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(1)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法 規則 : 赤十字国際委員会『慣習国際人道法』研究 の批判的考察

著者 新井 京

雑誌名 同志社法學

巻 60

号 7

ページ 1121‑1145

発行年 2009‑02‑28

権利 同志社法學會

URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000011664

(2)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二一同志社法学 六〇巻七号

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則 ―

赤十字国際委員会﹃慣習国際人道法﹄研究の批判的考察

新 井   京

  (四一三九)

     

はじめに

  二〇〇五年、赤十字国際委員会(以下、ICRC)は﹃慣習国際人道法﹄という書籍を出版した

。この書籍の基盤と 1)

なったプロジェクトは、一九九五年一二月の第二六回赤十字・赤新月国際会議において、ICRCに対して「国際的武

(3)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二二同志社法学 六〇巻七号

力紛争及び非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則」に関する報告の作成が命じられたことに端を発し

2

その後一〇年の歳月をかけて完成された。書籍は、一六一の慣習法規則をリステートし注釈を施した第一巻と、それを裏付ける国家実行を集めた第二巻(二分冊)からなる。

  国際人道法の規則は、すでに数多くの条約によって規定され、それが非常に良く整備され、かつ戦争の多くの側面を網羅している。このことは、ICRCでプロジェクトの責任者であったヘンケールツも認めるところである

。それにも 3

かかわらず慣習法規則の研究が必要とされたのはなぜか。ICRCは、理由を次のように説明する。第一に、条約上の規則は締約国のみを拘束するのに対して、慣習法の規則はすべての国家を拘束しうることである。国際人道法に関わる

条約は、多くの国家に批准されており、特に一九四九年のジュネーヴ諸条約は、普遍的批准(

U niv er sa l R at ific at io n

)を得ているとさえ言われている。しかし、一九七七年の第一追加議定書については、締約国数こそ一六〇を超えるもの

の、現実に国際的武力紛争に関与している、または関与した国家で未批准のものが多く(例えば、アメリカ、イスラエル、イラク、イラン)、その効果は限定的なものとなっている。第二に、条約上の規則が国際的武力紛争に適用される

それに偏在しており、非国際的武力紛争に適用される規則が貧弱なことである。国際人道法は、国際的武力紛争に適用される規則と非国際的武力紛争に適用される規則が別個に発展し、後者に関しては、条約の規定が十分ではないため、

慣習法の規則が果たしうる役割が大きい。ゆえに、非国際的武力紛争に適用される規則の充実は、この慣習国際人道法研究の主要目的の一つとされた

4

  確かに、近時発生する武力紛争のほとんどが非国際的武力紛争であるにも拘らず、条約が規定する規則は、特に戦闘方法についての規定が、国際的武力紛争の場合に比べて圧倒的に不十分であった。慣習国際人道法研究においては、「常 識的に考えれば、戦闘の方法に関して適用される規則は、紛争が国際的であるか否かを問わないはず

」だという楽観的 5)

  (四一四〇)

(4)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二三同志社法学 六〇巻七号 な観点から、これまで国際的武力紛争のみに適用される条約の規則だったものが、非国際的武力紛争にも移植されることとなった。その結果、全部で一六一のルールのうち、一四六の規則が国際的であると非国際的であるとを問わず、い

かなる武力紛争にも適用されると同定されたのである。

  非国際的武力紛争においてこそ、より一層の惨禍が目立つ今日、この研究が非国際的武力紛争にも適用される非常に 多岐にわたる国際慣習人道法を再確認したことは、非常に意義深いものと言えよう。今後の国内裁判、国際裁判、特に国際刑事裁判所における判例形成に大きな影響を与えるのではないかと思われる

6

  この研究の成果から見れば、非国際的武力紛争規則は国際的武力紛争に適用される規則とほぼ同じ程度まで慣習法化され、国際的武力紛争と非国際的武力紛争に適用される国際人道法の規則は、同一化しつつあるように見える。しかし、

これまで条約規則として実現が難しく貧弱なままであった非国際的武力紛争に適用される規則について、なぜこのように広範な「慣習法」の同定が可能だったのか。国際的武力紛争と非国際的武力紛争を分かつ越えがたい一線、非国際的

武力紛争に適用される条約規則の発展を阻んできた「躓きの石」を越えることができたのか。越えたとすればどのようにしてなのか。このような問題意識から、非国際的武力紛争に適用される規則に対するICRCプロジェクトのアプロ

ーチを批判的に検証したいと思う。

一  紛争の種別と適用される慣習法規則   慣習国際人道法研究で掲げられた一六一の規則は、武力紛争の種別(国際性の有無)に基づいて分類すると図Aのよ

うになっている。

  (四一四一)

(5)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二四同志社法学 六〇巻七号

  このように相当数の規則が、国

際的武力紛争であるか非国際的武力紛争であるかによって、適用さ

れたり、されなかったりするように見える。しかし、よく注意して

読むと、非国際的武力紛争にのみ 00

適用される規則として挙げられる

ものは、ほとんどが国際的武力紛争規則を

m ut at is m ut an dis

に非国

際的武力紛争に適用したものに過ぎない。例えば規則一二四のAと

B、一二八のABとC、一二九のAとB、一四五~一四七と一四八

がそれにあたる

削的を定規の容内同はに質実なう 。よのそ、でこそ 7)

除すると、図Bのように整理することができる。

  国際的武力紛争または非国際的

図A

該当する慣習法規則 国際的武力紛争にのみ適用可

能な規則

 3  (戦闘員の定義)

 4  (軍隊の定義)

41  (被占領国文化財の密輸防止、返還義務)

49  (敵軍用品の押収の権利)

51  (占領地財産の没収)

106  戦闘員が自己と文民たる住民を区別する義務、

捕虜資格の喪失)

107  (諜報活動中に捕獲された者の捕虜資格の喪失)

108  (傭兵の戦闘員資格・捕虜資格否定)

114  (遺体返還義務)

124A(自由を奪われた者の家族との連絡)

128A(捕虜の解放)

128B(文民である収容者の解放)

129A(占領地住民を移動させることの禁止)

130  (占領地への自国民移送の禁止)

145、146、147(復仇の制限)

非国際的武力紛争にのみ適用 可能な規則

124B(自由を奪われた者の家族との連絡)

126  (自由を奪われた者の家族との面会)

128C(自由を奪われた者の解放)

129B(文民たる住民を移動させることの禁止)

148  (復仇の禁止)

159  (紛争終了後の恩赦)

国際的/非国際的武力紛争の 双方に適用可能な規則(「非国 際的武力紛争にも適用可能だ と言われている規則」を含む)

その他すべて

  (四一四二)

(6)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二五同志社法学 六〇巻七号 武力紛争のいずれかにのみ適用可能な規則は、なぜ他方においては適用されないのか。まず、非国際的武力紛争にのみ適用可能な規則一五九は、第二追加議定書六条五項

と同旨の、 8

敵対行為に参加した者に可能な限り恩赦を与える努力規定である。非国際的武力紛争において、反乱団体側で敵対行為に参加する者は、そもそも戦闘を行う権利を有さず、国際人

道法に従ったとしても、個々の暴力行為に関して国内法上刑事責任を問われる。国内刑法上極刑の対象となる内乱罪に問われる可能性もある。反徒を鎮圧しその刑事責任を問うこ

とは、国家の領土保全の権利の一部として認められる反面、そのことが反徒の国際人道法の不遵守を助長するのではないかとの懸念が、第二追加議定書の起草時から存在した

。包 9

括的な恩赦の付与を義務的なものとすれば、反徒が戦闘員としての資格を得るのに等しくなるため、妥協的に努力規定とされたのである。このような考慮は、対等な交戦者を前提

とする国際的武力紛争においては不要である。

  また国際的武力紛争にのみ適用される規定の大半は、三つの種類に分けることができ

る。第一は、国際的武力紛争においてのみ存在する「戦闘員」、「軍隊」、「捕虜」などの定

義や資格要件に関わる規則である(規則三、四、一〇六~一〇八)。第二は、敵に属する軍事用品を戦利品として押収することができるという規則四九である。第三は、占領地に

おける占領軍の権利に関する規則である(規則四一、五一、一三〇)。戦闘の資格や戦利品押収の権利は、国際的武力紛争という対等な交戦者間においてのみ、正規軍同士の交戦

を前提とした概念である。また領域主権を持たない外国軍隊による暫定的な支配を意味す

図B

該当する慣習法規則

国際的武力紛争にのみ適用可能な規則 3、4、41、49、51、106、107、108、114、130 非国際的武力紛争にのみ適用可能な規則 159

国際的/非国際的武力紛争の双方に適用 可能な規則(「非国際的武力紛争にも適 用可能だと言われている規則」を含む)

その他すべて

  (四一四三)

(7)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二六同志社法学 六〇巻七号

る「占領」は、一国内で当事者が対峙する非国際的武力紛争とは馴染まない。

  以上の三類型に含まれない唯一の例外は、戦死者の遺体返還に関わる規則一一四である。ICRCの説明によれば、遺体返還の努力義務は、国際的武力紛争においては慣習法となっているが、非国際的武力紛争においては十分な実行が 存在せず慣習法化したとは言えないという

10

  結局、国際的武力紛争に適用される規則のうち、国際的武力紛争特有の概念であるとされる戦闘員、捕虜、占領など

に関わる規則、そうした用語を含む規則を除くと、国際的武力紛争では慣習法と認められるものの非国際的武力紛争においては国家実行が存在しないため慣習法と認定されなかったのは、規則一一四のみである。その他の全ての国際的武

力紛争に適用される規則は、非国際的武力紛争においても同時に認められていることになる。

二  非国際的武力紛争に適用される慣習法規則の同定方法  

1

際的武力紛争への拡大

区別の原国非の争国際的武力紛に則適用される規則   ICRCの慣習国際人道法研究では、国際的武力紛争のみに適用されてきた条約上の規則のほとんどが、そのまま非

国際的武力紛争にも適用可能とされている。別個に発達してきたはずの規則が、国際的武力紛争/非国際的武力紛争の両方に適用される同一内容の慣習法規則として、どのように同定されたのだろうか。ここでは「区別の原則(

T he

P rin cip le o f D ist in ct io n

)」のセクション、特に規則七~二四を例に検討してみる。攻撃目標の区別は、国際的武力紛争についてはハーグ陸戦規則から第一追加議定書に至るまで広範な条約規定が存在するものの、非国際的武力紛争につい

ては条約規定が存在していなかった。しかし最近では、旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所(ICTY)のタディッチ事

  (四一四四)

(8)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二七同志社法学 六〇巻七号 件中間判決

裁に事刑際国ていつ任判責の者たし反違につ所そすたっなにうよる定(規が程規)CCIれ れか、ら用非に争紛力武的際国、め来以てれらめ認り適さに在認に範広上例判が存れの則規法習慣際国るよ 11

。そのような意味で、国際 12

的武力紛争に適用される規則の広範な「移植」の現象を検討する最適の素材であろう。

  慣習国際人道法研究の規則七~二四において、非国際的武力紛争に適用される目標区別原則の慣習法化の評価のため

考慮されている要素は、次のような事実、実行である。

・第二追加議定書の起草過程において、当初の草案では含まれていたが最終段階で脱落した規定であること

。さ追加議定書一三条に含意れ第る具体化規定であること二たのし文民たる住民の保護」ための一般的原則を規定・「 。 13

  ・

特定通常兵器制限条約の追加議定書および文化財保護条約第二議定書など非国際的武力紛争に適用される条約の規定に含まれること。

・ボスニア内戦時に紛争当事者により締結された国際人道法遵守協定に含まれること。・規則一四の「均衡性の原則」のような「人道の原則(

th e pr in cip le o f h um an ity

)」であること。   ・国家実行の存在。すなわち各国の軍事マニュアル、国内法、国内判例、公式声明(非難声明)、国際裁判における

口頭弁論、国際判例、安保理決議など。・「反対の実行がない」こと。

  これらの要素には、いくつかの問題がある。まず第二追加議定書の起草過程のとらえ方に違和感を覚えざるをえない。 外交会議に提出された当初のICRC草案は、実質部分で三五ヵ条からなるかなり手厚い規定ぶりであった

。しかし植 14

  (四一四五)

(9)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二八同志社法学 六〇巻七号

民地解放闘争が第二追加議定書ではなく、国際的武力紛争として第一追加議定書の適用対象となったことで、一転して

非国際的武力紛争に適用される規則を発展させる機運が低下した。逆に、反乱団体に法的地位を与えることになるのではないかとの危惧が強まり、議定書の採択そのものが危ぶまれることになった。そこで妥協のため、外交会議での採択

寸前に、パキスタンの提案により、反徒に「当事者」性を認めたという印象を与えうる規定の大幅な削減が行われ、実質規定が一八ヵ条の現行規定となった

れな提案を便宜的妥タ協案とみて、そンス研キ習国際人道法究。では、このパ慣 15

以前(ICRC草案)の内容の慣習法規則が存在するという十分な法的信念があったと考えるようである。しかし第二追加議定書が採択されなかったかもしれないという事実からして、妥当な推論とは言い難い。

  さらに批判の余地があるのは、評価対象となった国家実行の中に、「非国際的武力紛争に関わる実行」が少ないこと、あるいは国際的武力紛争に関わる実行と非国際的武力紛争にかかわるそれとが混同されているのではないかということ

である

。いくつか例を挙げてみよう。 16

  例えば、国際司法裁判所の核兵器使用の違法性に関する勧告的意見に関連して、各国が陳述した内容についての評価 である。これらの陳述における国際人道法の諸原則への言及が、「全ての紛争に適用可能な一般的用語」でなされていることから、国際武力紛争のみならず、非国際的武力紛争についての国家実行とも評価されている

。しかしながら、核 17

兵器使用の合法違法を問うたこの勧告的意見手続において、非国際的武力紛争を想定していた国家がどれほどあったか疑問である。非国際的武力紛争に当てはめる場合には、何らかの補強証拠が必要だったのではないかと思われる。

  同様の曖昧さは、ICTYの判例に対する評価においても見られる。慣習国際人道法研究の目標区別原則に関する部分では、同裁判所のクプレシュキッチ事件第一審裁判部判決の次のような一節が繰り返し引用され、非国際的武力紛争

にも適用されうる多くの慣習法規則を根拠づける実行の一つとされている。

  (四一四六)

(10)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一二九同志社法学 六〇巻七号 「第一追加議定書五七条と五八条は、今日では慣習国際法の一部であると思われる。なぜなら、それらの規定が既存の一般的規則を具体化したものだからというのみならず、議定書を批准していない国を含むいかなる国も異議を 唱えていないからである

。」 18

第一追加議定書の五七条と五八条は、軍事目標に対する攻撃の際の予防措置の規定、および攻撃の際の影響に対する予防措置であり、均衡性の原則や警告の義務など幅広い義務を課す規定である。問題は、ここで問われているのが第一追

加議定書の規定が慣習法化したかどうかの問題、すなわち国際的武力紛争に適用される規則の問題であって、非国際的武力紛争にも適用される規則の慣習法化が問題とされているわけではないということだ。この判例の引用箇所付近で、

非国際的武力紛争について直接言及があるのは「スペイン内戦に関する英国の一九三八年の声明」のみである。

  非国際的武力紛争における目標区別原則に関する国家実行として重視されているのは、各国軍隊の軍事マニュアルで

ある。アクセスできるマニュアルについてチェックすると、例えば一九九二年のドイツ軍マニュアルでは、「他の同盟国と同様に、ドイツ軍兵士は、紛争の性質の如何を問わず(非国際的武力紛争においても)国際人道法の諸規則に従わ

なければならない

、同が「他の同盟国と様アに」と述べるようにルュ二ニする規定がある(一。」一項)。ドイツ軍マと 19

例えば米国のマニュアルにも同様の記述がある

ルい理と能可用適もておさに争紛力武的際国解れがかアュニマのこ、しして。るあでうよるい非定のて全の分部の他規 し究こ、はで際研法道人ら国習れたの規定に。がって、マニュアルの慣 20

の規定から、「すべての国際的武力紛争法規則」を非国際的武力紛争においても遵守するという各国の法的信念を読み取ることができるだろうか。非国際的武力紛争の規則が国際的武力紛争のそれとは別に発展してきたことからいって、

このような簡単な結論はありえないのではなかろうか。むしろ、国際的武力紛争法規則の幾つかを選別的に遵守するこ

  (四一四七)

(11)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三〇同志社法学 六〇巻七号

とを意味するのか、または政策的に「全ての規則」を遵守するといっているに過ぎないと考えるのが妥当であろう。確

かに第一追加議定書のような広範な条約規則があり、その加盟国が、場合によっては非加盟国が、当該条約規則の内容を取り込んだマニュアルを策定している場合には、当該条約規則が慣習法化していることの証拠たる実行になりうるだ

ろう。しかし非国際的武力紛争のように条約規則の乏しい状況において、先の規定のように曖昧な原則が述べられているに過ぎないのであれば、それほど決定的な証拠とは言えないように思われる。

  最も批判されるべきは、「公式の反対実行がない」ことを慣習法が存在する根拠としている点であろう。これはおそらく、国家実行の「一般的一致」に関するニカラグア事件の有名な一節

しら立確で範広、がるれえ考とのもたし拠依に 21

た条約規則がある国際的武力紛争においてならまだしも、そもそも規則の存在が希薄な非国際的武力紛争で、ニカラグア事件のフォーミュラが当てはまるのかどうか疑問がある。またここでも国際的武力紛争と非国際的武力紛争の混同が

みられる。規則二一の非国際的武力紛争に関わる反対実行として米国の実行が挙げられているが、これは湾岸戦争時の実行であり、非国際的武力紛争にかかわるものではない。

  非国際的武力紛争に適用される国際人道法のうち、目標区別の諸原則は、慣習法規則が最も必要とされる部分であり、慣習国際人道法研究の手法が最も典型的に現われている部分でもある。判例上も、国際的武力紛争に適用されてきたこ の分野の多くの規則が、非国際的武力紛争に適用される慣習法規則として認められている

的論法として確立しているという結自慣体は肯定しうるとしても、国際習、非紛したが際的武力国争適用される規則に 道習国際人同法研究が定。慣 22

武力紛争の規則が非国際的武力紛争においても適用可能なパラレルな規則であることを証明しようとするこの研究のスタンスには、大いに疑問を呈せざるをえない。

  (四一四八)

(12)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三一同志社法学 六〇巻七号

 

2

扱の仇復

?則規法習慣の自独に争紛力武的際国非い   以上のように、慣習国際人道法研究では、良く発達した国際的武力紛争に適用される規則の非国際的武力紛争への「移植」にあたって、国際慣習法の成立要件たる国家実行と法的信念の存在を十分説得的に証明できていない側面がある。

それでは非国際的武力紛争に国際的武力紛争とは異なる規則が適用されるという場合、どのようにしてその慣習法性が立証されているのだろうか。ここでは、復仇の取扱いを検討してみよう。

  慣習国際人道法研究では、国際的武力紛争に関して、「ジュネーヴ条約で保護される者」ならびに「ジュネーヴ条約およびハーグ文化財保護条約で保護される物」に対する復仇が禁止され(規則一四六、一四七)、「国際法で禁止されて いない場合にも、戦時復仇(

be llig er en t re pr isa l

)には厳格な条件が課される(規則一四五)」という。他方で、非国際的武力紛争における復仇については、

「非国際的武力紛争の当事者は、復仇を行う権利を有していない。敵対行為に直接参加していない、あるいは直接

参加するのをやめた者に対するその他の対抗措置は禁止される。(規則一四八)」

とされている。国際的武力紛争においては、一定の制限の下で戦時復仇が許容されているのに対して、非国際的武力紛争においては当事者に「復仇の権利」がないという。これは非国際的武力紛争においては復仇が禁止されたということ

であろうか。

  国際人道法に違反する形で行われる戦時復仇が禁止されるべきだという立場は、一九七七年の追加議定書の起草過程 においても主張された

に仇き者・物」への復、るおよび特定の手段べれ定さかし第一追加議書。においては、「保護し 23

  (四一四九)

(13)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三二同志社法学 六〇巻七号

よる復仇が禁止されるにとどまり、全面的な禁止は実現しなかった。非国際的武力紛争に関しては、ジュネーヴ諸条約

共通三条はもちろんのこと、第二追加議定書にも復仇への言及は存在しない。

  そのような状況で、慣習国際人道法研究が非国際的武力紛争における復仇に関して、なぜ、どのような根拠で右の規 定を置いたのだろうか

止ヴ条三第通共の約条諸ー項ネュジ。るあで釈解一(文二禁のかつくい、は項条一四書定議加追二第と)理の条四書定 、疑に質性的法習慣ながのいなとりかが手ずるいの通議加追二第と条三共。約条諸ヴーネュジま 24

事項を列挙しているが、それが「いかなる場合にも、また、いかなる場所でも(

at a ny t im e an d in a ny p la ce

w ha ts oe ve r

)」禁止されると規定している。さらに国際司法裁判所は、共通三条が「人道の基本的考慮(

ele m en ta ry co ns id er at io ns o f hu m an ity

)」であると認めている

紛争見みのていおに紛さ力武的際国は行実出れめ議力武「の五七六二決る会総連国。ういとる認仇復、りあで弱薄はを 紛はを仇復、実てしと行国家非争際的武力。において認める実行国 25

争における文民たる住民の保護に関する基本原則」(非国際的武力紛争にも適用がある)でも文民たる住民が復仇の対象とされてはならないと述べている

26

  確かに、慣習国際人道法研究が言うように、非国際的武力紛争において共通三条(および第二追加議定書四条二項)に反する「復仇」が許されないことは明らかであろう。このことが規則一四八第二文を裏付けているのである。しかし、

規則一四八が右のように奇妙な規定ぶりとなっているのはなぜか。国際的武力紛争と違って、非国際的武力紛争においては復仇が全面的に禁止されていると評価できるのか。

  このあたりの複雑さは、第二追加議定書の起草過程における議論の影響だと考えられる。追加議定書を採択した外交会議において当初提案されたICRC草案

生難傷病者および船)」者ならびに衛、「項わで条八(者たれ四奪を由自、「は 27

要員等(一九条)」および「文民たる住民(二六条四項)」に対する復仇を禁止する規定が含まれていた。しかし最終的

  (四一五〇)

(14)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三三同志社法学 六〇巻七号 には復仇に関する言及はすべて削除された。議論の過程で、非国際的武力紛争において復仇が可能だと考えた国は四カ国のみにとどまり、それらの国も厳格な制約の下認めるにすぎなかった

的国際国非もそもそ、はの外以国カ四られそ。 28

武力紛争において復仇が「概念上」有り得ないことを強調して反対した。「禁止」対象として復仇の用語を持ち出すと、反対に非国際的武力紛争においても復仇が可能であるとの印象を与えることが懸念された。そもそも、ICRC草案で

「復仇」が禁止された人々に対しては、「いかなる場合にも」非人道的な取扱いが禁止されるのであるから、復仇禁止と同じ効果が達成できる。このような理由で、復仇への言及が消えたのである

29

  このような事情からすれば、非国際的武力紛争においては、復仇が禁止されているというよりも、復仇が「概念上」存在しえないというとらえ方が正しいと思われる。従来、非国際的武力紛争については条約規定が少なく、共通三条の

ような「基本的保障(最低限度の保障)」としての保護が認められてきたにすぎないので、そもそも、そうした条項に違反する復仇が認められる余地はあまりなく、復仇に関わる国家実行が存在しない。したがって「紛争当事者には復仇

の権利がない」ということすら、不明なのである。そうだとすれば、なぜ規則一四八のような規定を置く必要があったのか、第二文にいう「その他の対抗措置」という奇妙な用語とも相まって、大いに批判されるべきであろう

。これは、 30

国際的武力紛争に適用される復仇の規則との過度のパラレル化がもたらした結果の一つであろう。

三  ワン・ボックス・アプローチかツー・ボックス・アプローチか   国際人道法では、伝統的に、国家主権を保護する観点からツー・ボックス・アプローチがとられてきた。すなわち、

国際的武力紛争に適用される規則の大きな箱と、非国際的武力紛争に適用される小さな箱の二つが別個に存在するとさ

  (四一五一)

(15)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三四同志社法学 六〇巻七号

れていたのである。対等な当事者間で争われる国際的武力紛争と、一方が他方を制圧する権利をもった垂直的な関係で

争われる非国際的武力紛争とでは、必然的に適用される国際法の規範構造が異なってくる。この点を強調するならば、二つの箱の間の相違は決定的であり、統合されることはありえない。

  しかし、人道的見地からみれば、「同じように酷い行為について、紛争の性質が違うという理由で法的効果が区別される」ことは不合理であるとも考えられる

のにでも、「常識的考序えれば、戦闘文の習。研法道人際国究慣のCRCI 31

方法に関して適用される規則は、紛争が国際的であるか否かを問わないはず

タ、るけおに戦内ば習え例。るいて慣国らきたっなとけがさ際の認承の法道人れべCYえ方はITにおいて繰り返し述 指さ摘なとるあてれ考いる。このよう」で 32

ディッチ事件中間判決控訴裁判部決定では、「国際紛争において非人道的とされ、その結果禁止されていることは、内戦においても非人道的であり、許容できないものであるというよりほかない

を国益利な当正の家、が法際国、「しと」 33

保護する一方で、だんだんと人間の保護をも目指さなければならないとすれば、(武力紛争の)二分化はその意味を失っていくべきである」と述べた

34

  先に指摘したように、慣習国際人道法研究では、国際的武力紛争に関わる実行と非国際的武力紛争に関わるそれとを厳密に区別していない箇所がある。そこでは、「国際人道法の規則に関する見解が、紛争の性質を(国際的武力紛争に)

限定せずに述べられていること」をもって、それが非国際的武力紛争に適用される慣習法規則の証拠ともされた。これは、前述の序文の立場を考え合わせれば、伝統的なツー・ボックス・アプローチではなく、国際人道法は、全ての武力

紛争にその性質の如何をとわず適用されるべき規則であるというワン・ボックス・アプローチを示すものであろう。

  ワン・ボックス・アプローチは、実はICRCの伝統的立場であるとも言える。非国際的武力紛争に適用される国際

人道法の規則は、一九四九年のジュネーヴ諸条約共通三条において初めて法典化されたが、その準備段階で、ICRC

  (四一五二)

(16)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三五同志社法学 六〇巻七号 は、すべての国際人道法が「国際的性質を有しないすべての武力紛争」に適用されるべきだとの立場を表明していた

、紛質を有しない全ての武力争的、特に内戦、植民地紛争性際上国CRC草案には、「一以の締約国領域内で生じる、I 。 35

または宗教戦争において、本条約の諸原則を実施することは、敵対する者双方にとって義務的でなければならない」(マキシマリスト・アプローチ)との共通二条四項が置かれたのである。この規定が、国際赤十字会議や外交会議において

強い反対に遭い、提案し直されたのが、現行の共通三条(ミニマリスト・アプローチ)であった。この当時、スペイン内戦の経験をふまえて、非国際的武力紛争に適用される規則が初めて起草されようとしていた。それ以前の国際法では、

内戦に国際人道法が適用されるのは「交戦団体承認」がなされた場合のみであったが、交戦団体承認の下ではすべての戦時国際法が適用されていた。マキシマリスト的な考え方により、ごく限られた状況ではあるが、全ての戦時規則が適

用されたのである。そのような背景で、ICRCは、交戦団体承認が無くても全ての国際人道法規則が適用できるというワン・ボックス・アプローチに沿った提案を行ったのである。

  その後の経過を見れば、諸国家がワン・ボックス・アプローチを受入れなかったのは明白であろう。それは一九七七年の追加議定書にも引き継がれ、第一追加議定書と第二追加議定書の条文数のギャップとなって如実に表れている。

  しかし冷戦終結後、大きく状況が変わってきた。ICTYやルワンダ国際刑事裁判所(ICTR)の判例の積み重ね

により、「条約規定のギャップ」は慣習法規則によって埋められようとしている。特に大きなインパクトを与えたタディッチ事件中間判決以降、ICRCの研究に限らず、多くの論者が国際的武力紛争に適用される規則と非国際的武力紛

争に適用される規則の「統合」の可能性を指摘している

36

  事実として言えるのは、冷戦終結後、ICRCが慣習国際人道法研究で同定したような幅広い慣習法規則が、非国際

的武力紛争に適用されうると認められるようになったことである。その内容が、国際的武力紛争に適用される慣習法規

  (四一五三)

(17)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三六同志社法学 六〇巻七号

則と「パラレル」と言えるほどに充実しているということも確かであろう。しかしこれは二つの規範体系の「統合」、

国際的武力紛争と非国際的武力紛争の区別の消滅を意味しているのだろうか。この「統合」の流れの原点ともなったタディッチ事件中間判決で、次のように述べられていることに注意が必要であろう。

「国際的武力紛争を規律するいくつかの規則と原則が国内紛争にも適用されるようになってきたにすぎない。また

この拡大は、﹃全面的機械的な移植﹄を意味するわけではない。個々の具体的な規制ではなく、規則の一般的本質が国内紛争にも適用可能になったにすぎない

。」 37

この事件において控訴裁判部は、「国際人道法の諸原則諸規則の中には、﹃人道の基本的考慮﹄を反映し、いかなる種類

の武力紛争においても最低限度の行動規範として広く承認されたもの」があると認めつつ

方国にける国家実行を検討して、非際内的武力紛争に適用される戦闘の戦おのサ国、ナイジどリア、エルェルルバなド 000000 、、スペイン共コンゴ民主和 38

法手段に関する規則の存在を立証した。「非国際的武力紛争」に適用される慣習法規則を幅広く認定するこの決定は、むしろ、伝統的なツー・ボックス・アプローチを前提としてはいないだろうか

39

  また最後に、仮に国際人道法の慣習法規則において規則の「統合」がみられるとしても、条約上の問題としてツー・ボックス・アプローチは今日でも厳然として存在していることに注意が必要である

議択会マーロたし採を程規CCI。 40

においても、国際的武力紛争と非国際的武力紛争との区別を廃止するべきだという示唆があったが、多くの代表にとってそれは夢物語であった。その結果ツー・ボックス・アプローチは温存されたのである

41

  (四一五四)

(18)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三七同志社法学 六〇巻七号 むすびにかえて

「躓きの石」を越えたのか?

  非国際的武力紛争に適用される慣習法規則の発展は、国際的武力紛争との規範の不均衡を解消し、いずれの性質の紛争であっても、「同じ規則」が適用される状況をもたらした。例えば旧ユーゴ紛争のように、武力紛争の国際/非国際 的性質の区別がつきにくい状況では、両法体系に共通の核(

co m m on c or e

)の存在は、国際人道法の適用と執行に多大な便宜をもたらす

42

  慣習国際人道法研究では、非国際的武力紛争に適用される規則の発展を妨げてきた「戦闘員」「占領」「捕虜」などの語を用いることなく、人道的保護の観点から非国際的武力紛争においても十分な規則を保障し、国際的武力紛争と非国

際的武力紛争の実質的な規則の統一化を行おうとするアプローチをとった。これは、非国際的武力紛争に適用される規則が飛躍的に発展した今日の国際人道法の発展の方向と一致するものであろう。

  このようなアプローチは、保護を実質的に 0000拡大し、非国際的武力紛争と国際的武力紛争の間の区別の意味を相対化したと言える。しかし、これにより非国際的武力紛争に適用される国際人道法は、「躓きの石」を乗り越えることができ

たのだろうか。

  本稿では、これに完全には答えることはできないが、残された問題、そして新たに考えるべき問題をいくつか指摘することで、むすびにかえたい。

①  「保護の実質的な均衡」で十分か?

  例えば、捕虜の地位は国際的武力紛争においてのみ、戦闘員にのみ認められる。他方で慣習国際人道法研究では、非

  (四一五五)

(19)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三八同志社法学 六〇巻七号

国際的武力紛争においても被拘束者は「自由を奪われた者」として人道的保護を受ける。今日の国際人道法では、国際

人権法の影響もあって、第一追加議定書七五条のような基本的保障も適用される。さらに、国際人権法そのものが武力紛争時にも国際人道法と同時に適用される

質保、少なくとも護者については実はた捕。わ奪を由自と虜れ、りよにれこ 43

的に平等な立場にあり、もはや捕虜資格そのものに重要性はないのだろうか

s D G ua nt an o am et ain ee

が位地のを否定しなら捕束基、がるいてし約人とるす遇処に的道虜地て者し地抑留の()に関 。カ例えば、アメリン政府はグアタナモ基 44

で虐待を引き起こす兵士等のメンタリティーは、抑留者を捕虜である(すなわち自分たちと対等な立場の人間である)と分類すれば違ったものになっていたのではないかという指摘もある

まる、くなはでかうどかれらえ与が護保的道人。 45

さに捕虜で「あるかないか、それが問題(

To b e or n ot t o be , th at is a q ue st io n.

)」なのだろう。非国際的武力紛争における反乱団体の兵士は、政府軍兵士と法的に同等の立場に立っているわけではないが、その事実から生じる微妙なギ

ャップは、この研究によりどの程度埋められたのだろうか。

②  履行確保の問題

  慣習国際人道法研究に含まれる多くの規則は、非国際的武力紛争において、すべての紛争当事者によって遵守されな

ければならないとされる。反乱団体兵士が、政府軍の兵士と相対したときに、これらの規則により保護されるのと同時に、反乱団体も軍事的活動の際には、これらの規則を遵守しなければならない。この研究では、反乱団体の条件として、

第二追加議定書一条の予定する条件、すなわち「持続的にかつ協同して軍事行動を行うこと及びこの議定書を実施することができるような支配を責任のある指揮の下で当該領域の一部に対して行う」組織された武装集団という条件を採用

していない。したがって、そうした統制の構造をもたない団体との間の武力紛争においても適用されることが予定され

  (四一五六)

(20)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一三九同志社法学 六〇巻七号 ていることになる。しかしそのような状況でも、規則一三九に規定するように、個々の規定が遵守され、または遵守が確保されうるかどうか疑わしい。規則一四〇は、国際人道法の遵守義務が相互主義に基づかないことを明言しているが、

伝統的に国際人道法が相互主義的要素によって成り立ってきたことは明白であって、研究が提供する一ページ半の証拠がそうした伝統を覆すに足るものであるか疑問である。

③  文民の定義、敵対行為への直接的な参加

  この研究では、編者のヘンケールツが指摘しているように、非国際的武力紛争においては「文民の定義」の問題が未解明のまま残っている

46

  規則三と四で戦闘員と軍隊の定義がなされているが、これは国際的武力紛争のみに適用される。しかしながら、規則五の「軍隊の構成員ではない者」という文民の定義は、非国際的武力紛争にも適用されることになっている。すなわち、

非国際的武力紛争における文民は、本来存在しないものの反対概念として定義されるのである。また、非国際的武力紛争では、文民としての保護は「敵対行為に直接参加しない限り」認められ、敵対行為に直接参加する文民は保護を受け

ない。それでは非国際的武力紛争において、どのような者が「軍隊構成員」とみなされ、どのような者が文民とみなさ

れるのか。例えば「組織された武装集団」の構成員は文民とみなされるのか、「軍隊構成員」なのか。それらの者は攻撃目標とみなされるのか。攻撃目標とみなされるのなら、「軍隊構成員」だからそうなのか、または文民であるが例外

的にそうなのか。これらの点が明らかにされていない

別しに為行対敵つつ持接維を位地のてしと直参文と区のとのもるな象加対撃攻でとこるす民と事者るす属に門部軍の体 習定国際の慣果こ、てしと道人式法研究の。の下では、反乱団結 47

はきわめて曖昧になる。

  (四一五七)

(21)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一四〇同志社法学 六〇巻七号

  このような保護の間隙に関わるのが、イスラエル軍がハマスのリーダーに対して行っているような

T ar ge te d kil lin g

問題である。先のような文民の定義の不存在と「敵対行為への直接参加」概念の不明確な状況においては、極端な解釈によれば、「武装集団の指導者は文民ではなく、たとえ攻撃時点においていかなる敵対行為にも従事していないとして

も、例えば就寝中であっても、攻撃目標である」ということになる。しかし、逆の極端な解釈によって、政府軍の兵士はいかなる場合も軍事目標であるのに対して、反乱武装集団の構成員は敵対行為を実際に行っている間のみ攻撃され、

それ以外の場合は文民とみなされ、攻撃されてはならないとも主張できる。このような解釈は、文民としての保護と戦闘行為に従事することとを自由に行き来できるという意味で、回転ドアアプローチと呼ばれるが、当事者間に治癒しが

たい不平等を生み、かえって文民の保護を危険にさらす可能性がある

48

  この問題は、ある意味では、非国際的武力紛争に国際人道法の規則を適用することの限界を示しているのではなかろ

うか。通常の法執行過程において、少なくとも軍事行動の烈度が非国際的武力紛争のレベルに達していない限り、適用されるべき国際人権法の基準は、生命権を基本的権利と位置づけ、きわめて厳格な例外の下に武器の使用を許容してい

るに過ぎない。そのような基準と「敵対行為への直接参加」の基準とは整合性があるのだろうか

法者軍事手段を保有する一方当事が的、状況を恣意的に「国際人道な倒念に参加」の概圧明確が定限、義りはいなれさ 。「接直のへ為行対敵 49

が適用される状況」へと移行させることで、文民の保護をかえって危うくする可能性がある。この現象が、仮定の話ではなく、現実に発生していることを忘れてはならない。

geer., edhereinaft ck, ited asCambridLs.,ec-BHenckaerts, J.-M., and DoswaldLawHumanitarian International StudyCustomary 1)  UP, 2005.

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  (四一五八)

(22)

非国際的武力紛争に適用される国際人道法の慣習法規則一一四一同志社法学 六〇巻七号 Law: From Law to Action; Report on the Follow-up to the International Conference for the Protection of War Victims,”International Review

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  (四一五九)

参照

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〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

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高尾 陽介 一般財団法人日本海事協会 国際基準部主管 澤本 昴洋 一般財団法人日本海事協会 国際基準部 鈴木 翼

ケース③