土持 ゲーリー 法一 教授
皆さん、こんにちは。今日は京田辺校地への中継も入っているということなので、
いつもの状況と違って、ちょっと緊張しております。先ほどご紹介に預かりました、
帝京大学高等教育開発センターの土持です。この4月に帝京大学もやっとと言ってい いのでしょうか、高等教育開発センターを設置しまして、今、ホームページの立ち上 げ等、忙しくやっております。私立大学でFD関連のセンターをつくるというのは非 常に難しいところですけれども、大きな大学でたくさんの学生を抱えていますので、
センターができて忙しくもあるし、ファカルティ・ディベロッパーとして楽しく仕事 をしております。
ファカルティ・ディベロッパーとは何か、聞かれたことのない言葉かもしれません が、要するにFDを専門にやる仕事ということです。専門職ということで、北米に行 きますと、教員というよりも専門職スタッフ、教員と職員の間にある方がファカル ティ・ディベロッパーとして、授業改善や学習改善をやっています。
ところが、日本では、教員が主にやっているわけです。これからどう変わるかわか りませんが、こういうのは諸外国では、どの大学でも必ずやっているということです。
私は、どちらかというとポートフォリオとかシラバスとかが、得意な分野ですが、今 日は「アカデミックサポート」というテーマをいただきました。実は、こういうテー マで話すのは今回が初めてです。なぜ、これを引き受けたかと言うと、前々から関心 を持っていたからです。このテーマをいただいて、私自身も勉強してみようと、もう 一度、頭を整理し直してみようということにした次第です。
「はじめに」として、「学習支援」か「学修支援」か、日本語は大変難しいのですが、
これはワード変換の間違いではなく、こういう二つの表現があるのです。最初の「学 習支援」にするのか、あるいは後の「学修支援」と書くのかによって、サポートのあ り方、あるいは学生への対応、教員の関わり方も違うのではないかと考えております。
タイトルの「学修支援」を見て、関心を持ったわけです。
皆さん方に配布されたポスターのように、今回のFD講演会では「正課と連動した 学修支援(アカデミックサポート)のあり方」となっているかと思います。そして「学生・
教員双方にとっての有効的なラーニング・コモンズの活用方法」との説明がなされて いると思います。私は、このポスターのタイトルを見て、長年、こういう授業をやり たい、あるいはやってきたことから、「我が意を得たり」とばかりに、張り切りすぎて、
控え室から興奮しておりました。京都の暑さも大丈夫という感じです。ぜひお付き合 いいただきたいと思っております。
第二部 講演会・ワークショップ講演録
次のスライドのチャートで示しますように、私の授業の取組みというのは、まさしく、この学修支援(アカデミックサポート)ということになるかと思います。簡単な 図表で示せば、私の授業はこうです。弘前大学でもこういう授業をやってきましたし、
現在、帝京大学でもこういう授業をやっています。ですから今日のお話は、このチャー ト、図表に沿った話になるかと思います。授業は、「教室内授業」「教室外授業」そして、
「MIT方式の試験」、あるいは「ラーニング・ポートフォリオ」という聞きなれない言 葉もありますけれども、これらのものをミックスしたものが私の授業で、こういう中 から学生の学習意欲、あるいは学習力を向上していこうという考えから、今日のタイ トルのような、アカデミックサポートをしていると考えております。
「学習支援」という言葉を使った 場合、いろんなところで使われてい ますけども、最も身近なところで読 売新聞社の教育取材班が毎年行って いる「大学の実力」、今年2011年も 出されたと思いますけども、こうい うのを毎年やっております。昨年度 の2010年度に関しての著書が出てお りまして、その著書では、「あの手 この手の学習支援策」という、全国
の大学がどういう学習支援の対策を講じているかというのが、大変興味深く書かれて おります。今年はまだ出ておりませんけれども、2010年度は中央公論新社から出され ております。
2009年度の「学習支援」調査項目については10項目ありますけども、これを見てい ただくと、これが読売新聞の大学の実力調査で各大学に依頼している項目です。特に 注目したいのは、「入学前」それから「入学後」の高校補習とか大学準備、そういう ものが非常に目に付くということです。大学に入ってくる、あるいは入った後でも、
こういう補習授業とか大学準備というのが、今、学習支援の調査項目として重要な位 置づけをしています。もちろん大学として必要な卒業論文とか、今日、重点的に話し ます授業時間外の課題というようなことも行いますけども、こういうところが特徴で はないかなと思います。
今年は、誰かが去年を踏まえて提言したのかもわかりませんが、今年の調査項目は 前年度とちょっと違います。今年は、もう少し詳しくアドバイザー制とか、宿泊を伴
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う勉強会、オリエンテーションというものが、初めて加わったということです。私が 言いたいことは、本当にこういう調査項目だけで大学の実力が測れるのだろうか、と いうことです。これだけでは測れない大学もあるのではないか。あるいは大学の実力 というのは、そういうものではないだろう、というようなこともいろいろ出てくるか もわかりません。
今年の2011年度の調査で特に注意してほしいのは、「コミュニケーション能力の育 成」です。コミュニケーション能力の育成というのは、どこでも言われているし、最 近では経済産業省が出した「社会人基礎力」の中で、コミュニケーション能力が非常 に問われております。そういう中でも特に注目してほしいのは、「日本語」に重点が 置かれているということです。要するに、論文の書き方とか、レポートの書き方とか、
日本語が問題になってきているのではないかということです。そういう基礎的な日本 語を学び直す、母国語をしっかりやる必要があるのではないかということで、調査項 目にも「日本語」が注目されているのではないかということです。
では、アカデミックサポート(学修支援)についてですが、まず、「アカデミックサポー ト」をインターネットで調べると、最初に北海道大学のアカデミックサポートセンター のウェブサイトが出てくるかと思うのですが、そこには、北海道大学で考えている学 修支援の説明が出ております。それは「大学では、授業内容を確実に身につけ、授業 の目標を達成するために、授業時間以外の学習が不可欠です」ということですね。こ れが非常に大事なことなのです。「授業時間以外の学習、これが不可欠です」。これに
(注)のマークがついていますが、(注)については「1単位は45時間の学修を必要と する内容をもって構成する」と書かれています。「授業期間が15週であることを考え ると、1単位を取得するには、授業と授業外での学習を合わせ、1週あたり3時間程 度の学習が必要ということになります」ということで、「単位の実質化」に重点を置 いています。
文科省や中教審も単位の実質化、あるいは単位制度の実質化ということを言ってい るわけですが、単位の実質化はどう進めたらいいのかが問題なのです。単位の実質化 をどう進めるのか、言うのは簡単ですが、どう実行するのかということが、とても大 事なことで、この単位の実質化を図るために、「正課と連動した学修支援(アカデミッ クサポート)が大学教育において不可欠である」ということに繋がるわけです。まさ しく単位の実質化をどう進めるか、ということがアカデミックサポートの中心になる かと思います。
私は、弘前大学に行ってからポートフォリオの研究を始め、本も書いていますので、
第二部 講演会・ワークショップ講演録
相当昔からポートフォリオをやっているように思われ、「ポートフォリオのゲーリー先生」と呼ばれていますけれども、そんなに歴史があるわけではなく、たまたま弘前 大学でワークショップをやって、最後に、「今日のFDのワークショップでは、教育を やれ、教育を重視しろ。授業を重視しろ、と言っているが、どういうふうに教員がやっ た教育が研究とは別に評価されるのですか?諸外国ではどうなっているのですか?」
というフロアからの素朴な質問がありまして、「実は、アメリカにはティーチング・
ポートフォリオというものがあって、先生方の教育業績が教員業績に繋がるポート フォリオというものがあるのです」と話をしたら、参加していた副学長が、「他の先 生方も大変興味を持っているので、ポートフォリオについて調べてきてください」と いうことで、アメリカ、カナダのティーチング・ポートフォリオをやっている大学を 徹底的に調べました。そして最終的に探し当てたのがカナダのダルハウジー大学であ りました。この大学は素晴らしい大学です。皆さんは、ティーチング・ポートフォリ オと聞けば、英語なので、アメリカが先駆者だと思っていらっしゃるかもしれません が、実はポートフォリオに関してはカナダが発祥地なのです。カナダでは、Teaching dossier、というフランス語の「ドシエー」を使っているのですが、アメリカが真似て、
ティーチング・ポートフォリオとして出して、最近ではティーチング・ポートフォリ オという名で世界中に広まっておりますが、もともとカナダで生まれたものです。
そういうことで、カナダでティーチング・ポートフォリオを学んできたという経緯 があります。「ポートフォリオのゲーリー先生」と呼ばれますが、私の専門は先ほど ご紹介いただきましたように、戦後日本の高等教育改革、特に最初の頃は、六三制と いうのが研究テーマで、その元となったアメリカ教育使節団に関する研究で東京大学 から博士号をもらいました。その後、「六三制」の後の大学はどうなっているか、と いうことで『新制大学の誕生』などで、大学のこともやったわけです。特に大学で関 心があるのは、「一般教育」と「単位制度」です。「一般教育」と「単位制度」という のは、戦後日本の大学の特徴だったわけです。ところがご承知の通り、1990年には一 般教育というものがなくなって、今では死語になっているわけですが、その後、復活 して一般教養とか言っています。復活するぐらいなら最初から残したら良かったとい うのが個人的な意見です。
今日は単位制の話をするわけですが、一般教育というのが、実はFDに関連がある のです。この話をすれば面白いのですが、「脱線のゲーリー先生」になってしまいま すので、一般教育の話はしませんが、一般教育が1990年に解体されたことは、日本の FDがつまずいたということです。要するに、FDと一般教育は密接な繋がりがある、
ということだけお話しておきます。
なぜ、単位制度が今、問題になっているのか。単位の実質化が、なぜうまく行われ ていないか。これは戦後の出発点が悪かったからです。「ボタンの掛け違い」という 言葉がありますが、最初ちょっとした掛け違いでも、時間が経てばずれが大きくなり、
とんでもないことになっている。そのボタンの掛け違いが、ここで紹介するものです。
まず、単位制度というのは1949年に新しい戦後の大学が生まれたことによって生まれ たもので、戦前には単位制度はなかったわけです。単位制度もどき、とでも言うので しょうか、単位制度に似たものはあったのですが、今のような単位制度ではなかった わけです。昔の単位制度というのは、科目制と同じで、授業で取ったものを単位に並 べ替えていたわけで、授業時間外の活動というような、アメリカ的な単位制度という のはなかったわけです。当時のGHQ担当官が、なぜ単位制が必要であるかということ で、当時の詰め込み授業を厳しく批判して、「日本では学生は教室でじっと座っている。
先生は土びんから水を注ぐように上から知識を注ぎ込む。後から後から注ぎ込む。一 杯になるまで注ぎ込む。場合によっては受け入れるものが一杯になってもまだ注ぎ込 む。日本の学生は湯呑みのように扱われている」と、言ったのです。これは私の本に 書いてありますが、たまたま読売新聞の「大学の実力」調査の担当記者である松本美 奈さんが、これを紹介してくれたことがあるのです。これは1947年の話です。教員が 上から、上から知識を注ぎ込む。溢れてもまだ注ぎ込む。そのような状態を解消する ために、単位制を導入しようと、こういうことになったわけです。これは1947年の話 ですけが、今もあまり変わらないのではないか、というような話をしています。
そういうことを避けるために、GHQ担当官のイールズという人は、どういうふうに したかと言うと、特別な時間割を作ったわけです。大学の時間割は一つの科目を週に 3回、月水金、1時間ずつ週3時間教える。あるいは火木で1時間半を週2回、火木 で3時間。同じ科目を週3時間、もしくは週2回、アメリカと同じ教え方をするとい う条件だったわけです。
もう一つは、時間割では授業のあった次の時間を空けるとなっているわけです。例 えば、1時限目に授業を取ったら2時限目は空けるわけです。そして3時限目に授業 の後、4時限目を空ける。その空いた時間が予習復習の時間なのです。
ところが、日本では時間割が空いていないのです。私が学生に「空けなさい」と言 うと、「先生、空けると不真面目だと事務担当者から言われるのです。ちゃんと詰め なきゃいけない」と。だから時間割が詰まっている学生は真面目な学生、ぽつぽつと 空いている学生は不真面目な学生というような誤解がなされているようです。そうで
第二部 講演会・ワークショップ講演録
はない、当初は空けるようになっていたわけです。たくさんの科目を取りすぎているということもありますが、時間割も単位制に大きく影響しているということです。
もう一つ、なぜ単位制がうまく機能しなかったか。これは当時の日本のリーダーた ち、特に東京帝国大学を中心とする当時の指導者の責任なのですよ。この人たちがカ リキュラムなどの制度を作ったわけですから、重大な責任があります。その時に単位 制度についての議論があったわけですが、当時の指導者たちは、単位制度に非常に消 極的だったのです。なぜ消極的かと言うと、単位制度では「人物養成」ができないと言っ ているのです。面白いでしょう。だからいかに当時の人たちが単位制度を認識してい なかったかということです。人物養成ができないから反対だというのです。これはま さしく頭の中に「科目制」というものがあるから、単位制度ではなかなか人物養成が できないということで、これが消極的な理由として日本に広まって、結果的に単位制 度に対して充分な配慮がなされなかったのです。ですから今でもどの大学でも、多分、
同志社大学でもそうだと思いますが、単位制と言いながら、単位制では卒業させてく れないのです。4年間大学に在籍しければ卒業できない。これは科目制ですよね。そ ういう科目制と単位制が混在しているわけです。ですからアメリカのように、3年で 卒業単位を満たしたら卒業するということは、日本ではできないシステムになってい ます。やはりこういう戦後のものの考えには、戦前との混在があるということです。
私は弘前大学で最終講義を行ったのですが、実際はゼミを教えていないし、学生も いなかったので、最終講義をする必要はなかったのですが、「やってください。なん でもいいですから、先生にタイトルは任せます。」ということで、それでは「単位制 度の問題について話をさせてください」ということにしました。最終講義については、
詳しくは『ポートフォリオが日本の大学を変える』という5月に刊行された本の付録 に収録されています。
その中の一部を紹介しますと、特に国立大学はそうでしたが、教員の授業回数を15 回としなさいと徹底されました。15回しなさいとすごくうるさかったのです。15回の 中には試験は含んではならない。試験する場合は16回にすることと、文科省からの 通達とばかりに授業回数を問題にしたわけです。授業回数を問題にするということ は、1947年にGHQのイールズが「湯呑み」と表現したことと変わらないのではないか なと思っているわけです。「なぜ15回なのですか?」と質問したのです。すると当時 の弘前大学の副学長が、「FD担当者が、そういうようなことを言うようではダメです ね。FD担当者が15回の授業を促進する側にまわらなければならないのに、足を引っ 張ってどうするのですか」と叱られたのです。「いや、私は足を引っ張っているつも
りではないのです。どこに15回授業をしなさいと書かれていますか。根拠があるので すか?」。傍にいた事務長が真っ青になって、「こんなこともわからないのですか。当 たり前ですよ」と駆け足で自分の部屋に行って、大学設置基準を持ってきて、「先生、
ここに書いてありますよ」って言ったのです。「どこに書いてありますか?」。もう、怒っ て手が震えていました。第23条でしたかね、「ちゃんと書いてあります」「本当にそう 書いてありますか?読んでください」。しかし、そうは書いてないのです。書いては あるのですが、少し違うのです。どういうことかと言うと、「15回」とは書かれてい ないのです。「15週」と書いてあるのです。週も回も同じじゃないかと考えるかも知 れませんが、週と回では、全然違うのです。週と回を一緒にするようでは、単位の実 質化はおぼつかないですね。単位制度においては、週と回は全然違うのです。なぜか と言うと、回は講義の回数を言っているわけです。週は、一週間に課せられる講義プ ラス学生の準備学習を言っているわけです。ですから同じ15でも、週と回では全然違 うという認識が、私たちには薄れているのです。
アメリカは単位制が非常にうるさい。授業料も高いのでなおさらです。コロンビア 大学などではどうなっているか。本当に15回やっているのか。アメリカで15回やって いるところは少ないです。大体多くて13回くらいです。問題にならないのか。今回は、
原発事故の影響で1週間繰り上げて授業をやっています。私も補習が終わったばかり なのです。これも回を問題にしているからです。週という考えだとあまり問題ないわ けですよ。要するに回は欠けても週でカバーすればいいわけです。だから13週でも15 週の課題を与えたらできることです。回だけ問題にするから、先生が教室に出た回数 だけを言っているわけです。だから、試験をしたら16回分やらなければいかんと言っ ているわけです。本質がどこにあるかということですね。要するに、先生が教壇に立 てば回と数えているわけです。
次が、ラーニング・コモンズについてで、副題の方に入るわけですが、ラーニング・
コモンズに関しましては、図書館関係の人はよく知ってらっしゃると思いますが、た またま文献を調べたら、『名古屋大学付属図書館研究開発年報』の米澤先生の論文が 非常に詳しくて、今日のお話の多くは米澤先生のお話を参考にさせていただきました。
米澤先生は、ラーニング・コモンズについて、「多くは学習支援のための施設・設 備として位置づけられている」と述べ、そして「図書館の居住性を高める役割をもっ ている」としています。図書館の居住性を高める役割については、最近、『教育学術新聞』
(2011年6月22日)に、「学生が『主役』のアメリカの大学〜注目されるアクティブ・
アクションの一例」という題で紹介しておりますので、ぜひ見ていただきたい。今日
第二部 講演会・ワークショップ講演録
は時間がありませんので、そういう話はしませんが、今、日本で注目されているのは、アクティブ・ラーニングです。アメリカでは、アクティブ・ラーニングを通り越して、
アクティブ・アクションの時代に入っています。アクティブ・ラーニングは、能動的 学習ですが、アクティブ・アクションについては、新聞を読んでいただくと詳しく書 いてあるのですが、これは面白いのです。どこが面白いかと言うと、実は帝京大学で 導入する「スコット」というプログラムです。「スコット」というのは、「SCOT」の ことです。これはStudents Consulting On Teachingの頭文字をとっているものです。
スコットは、私が知る限りではアメリカのユタ州の一部の大学が導入しているもので す。昨年のPOD年次大会でこれについての発表を聞いたのです。すごく感動しました。
スコットは、帝京大学では「学生による授業コンサルティング」と訳しています。要 するに、学生が教員の授業改善のためのコンサルティングをするということなのです。
昨年10月のPOD年次大会で、スコットのコーディネートをしている3年の学生が発 表したとき、目から鱗が落ちる思いでした。以前から授業改善は誰のためにやるのか ということを、ずっと問い続けていました。授業改善は究極のところ、学生のために やらなければならないのです。そうだとすると、教員が公開授業とかでコメントして も、あまりインパクがないのではないか。それよりも学生が教員の授業を学生の視点 で見て、やれば素晴らしい授業改善が出来るのではないか、ということで、早速、そ れを発表したユタバレー大学3年の学生を、発表後に捕まえて、1時間ぐらいインタ ビューしたのです。それでも信じられないから、現地調査したいと言って、今年2月 に調査してきたわけです。これは日本の大学の授業改善の「切り札」だと私は思って いるのです。帝京大学では、始めたばかりなのです。これは、学生がスコットとなっ て、もちろん5回のトレーニングを受けなきゃいけないのです。トレーニングを受け て、シラバスとはどういうものなのか、能動的学習とはどういうものなのか、グルー プ学習とはどういうものなのか、図書館の指定図書とはどういうものなのか、そうい うことを学生の視点から私たち高等教育開発センターの教員が教えて、修了者に認定 書をあげ、そのスコットが教員の授業に潜るのです。どの授業でも潜るのではありま せん。教員がリクエストした授業のところだけ潜るのです。そうしないと問題があり ますから。教員が「ぜひ私の授業を見てほしい。どうも私の授業は、後ろの学生が騒 がしい。どうも発表をしない。どうも宿題を出さない」というような問題を持ってい る教員がスコットにコンサルティングを依頼するのです。スコットは要請を受けて、
クラスに入って、教員の授業を観察し、記録するわけです。スコットが絶対やっては いけない二つの条件があって、その教員の授業を履修している学生はダメということ
です。もう一つは、スコットはその教員の授業を評価してはダメなのです。スコット は事実関係だけを、データだけを提出するわけです。例えば「先生は、9時開始の授 業に9時10分に来ました。すぐ教壇に立って板書を何分した。質疑応答にどれだけの 時間を費やしました」、そういう事実関係だけを記録します。それをどう判断するかは、
教員が決めるのです。
スコットはコンサルタントですから、大学がお金を支払います。帝京大学では1時 間1000円払わせるようにしています。学生もなかなかやる気があるのです。どういう ことになったかはまた報告します。ちょっと脱線しました。
ラーニング・コモンズは、共有の場としても注目されています。今まで図書館とい うのは、非常に敷居が高かったわけです。特に弘前大学にいた時に、「図書館とシラ バス」という単元の授業を持っていたわけですが、その時、学生に「図書館のイメー ジについて5つ挙げなさい」と尋ねました。ほとんど共通していたのは「暗い」「不 親切」「コミュニケーションが取りにくい」。これは、国立大学を代表しています。明 るくないはどの学生でも言うことです。帝京大学の学生はそうでもないのですが、弘 前大学の学生のイメージはそうだったのです。そういうことはアメリカでも一緒で、
図書館は敬遠されがちです。今は、「ラーニング・コモンズ」として、図書館で勉強 するだけでなく、本を読むだけでなく、友達と話し合いができる、友達と協議ができる、
そういう共有の場に変わってきています。
私はアメリカの大学で、ラーニング・コモンズを見せてもらいました。昔はこうで はありませんでした。「なぜこういうふうになったのですか?」と尋ねたら、このよ うな場を提供しなければ、学生が自宅に閉じこもって外に出ない。パソコンやインター ネット、携帯だけで、直接に友達と話す機会がない。だからこういうラーニング・コ モンズを作って学生のコミュニケーションの輪を広げることにしたのだそうです。
実はもう数年前に、ティーチング・ポートフォリオのところで話題になったカナダ のダルハウジー大学に、インタビューに行った時に、この大学図書館の素晴らしいの を見ました。ティーチング・ポートフォリオのワークショップを一般公開し、1年間 に30名をワークショップの参加者として受け入れてくれ、そのうちの4名は弘前大学 が枠をもらったのです。ですから弘前大学は2年続けて4名ずつ送ったのです。その 後、このようなワークショップはなくなりました。
カナダのFD関連のセンターは、Center for Teaching and Learning(CTL)と言う のですが、ダルハウジー大学だけは、Center for Learning and Teaching(CLT)と 言っているのです。普通はCTLと言っているのですが、ダルハウジー大学だけはCLT
第二部 講演会・ワークショップ講演録
なのです。「先生、これ間違いですね」と直されるのですが、ダルハウジー大学の場合はLearningが先にくるのです。同大学のセンター長に聞いたら、「うちの大学は TeachingよりLearningを優先しているから、Learning and Teachingにしている」と いう回答が返ってきました。ダルハウジー大学のいいのは、CLTが図書館に隣接して あることです。これはいいですね。
私は帝京大学でもやりたかったのです。帝京大学はMELICという素晴らしい図書館 があります。まだできて3年くらいです。その中に新しいFDセンターを作るって言っ たら、簡単に却下されました。でも、私の考えは正しいと思うのですが、時期尚早で 十分に理解してもらえなかったのです。図書館にFDセンターを置くというのは、非 常に理に叶っています。なぜかと言うと、センターはTeaching and Learningあるい はLearning and Teachingでも、学生の動きが見えないと、理想的な活動ができません。
すなわち、図書館は学生の動きが一番良く見える場所ですから、FDセンターを置く のは、素晴らしいプログラムが出来るというわけです。そういう理由からダルハウジー 大学でもFDセンターを図書館に隣接して作ったのです。これは同大学のCLTセンター 長と図書館長の構想だったそうです。その図書館長というのが大変ユニークな人で、
アポイントは取ってなかったのですが、インタビューすることができました。ダルハ ウジー大学のような図書館、今でこそ、他の大学でも見られますが、当時、北米の大 学ではほとんど見られなかったのは、図書館に「蓋付きのコーヒー」を持ち込むこと ができるということです。すごいでしょう。図書館ですよ。素晴らしい大学の図書館に、
蓋の付いたコーヒーカップを持っていけるのです。私も飲んでみました。皆さん、図 書館でコーヒーを飲んでみてください。どんなに美味しくないインスタントコーヒー でも最高においしいです。飲んでいけないところで飲む、これがおいしいのです!
学生も多分、一緒だったと思うのです。この大改革、大英断をやったのが、図書館 長だったのです。これはエピソードになっています。私も聞いたのです。「どういう 議論で実現したのですか?」と。最初に、図書館長が「蓋付きのコーヒーカップを図 書館に入れたい」と提案したそうです。そしたら、他の教職員が手を挙げて「絶対ダ メだ!」と。当然ですよね。皆さん方も同じことを言われたら、「絶対ダメだ」と言 いますよね。聞くまでもないことで、絶対ダメなのですよね。そこで、図書館長が「な ぜダメなのですか?」と聞き返すと、「当たり前だろう。コーヒーを本にこぼしたら どうするのだ」。皆さん方同じこと考えていると思います。皆、同じですよね。図書 館長は、「そうですか?」って言ったのです。そこで引き下がったら、ゲーリー先生と 変わらないのですが。そこが図書館長のすごいところです。「そうですか、わかりま
した。それでは、蓋付きのコーヒーカップを図書館に持ち込むことはやめましょう。
しかし、それをやめるのだったら、今行っている図書館の、本の貸し出しもやめましょ う。これは一緒のことじゃないですか?家に持って帰ったら、コーヒーどころか、スー プをこぼすかもしれない」と言ったのです。そしたら文句を言った教職員もちょっと 困っちゃったのです。なぜなら図書館が本の貸し出しをやめたら困るわけです。妥協 案として、試験的に持ち込んで、図書館の入り口にカウンターをつけて、蓋付きのコー ヒーを持ち込む前のデータと、その後とのデータを取ることになりました。北米らし いですよね。データを取ってみると、約1.7倍増えたのです。それは増えますよね。そ うすると負けず嫌いの「反対派」が、このまま納得するわけがないわけです。「数字 上では1.7倍増えたけど、本当に図書館で勉強しているのですか?」と「逆襲」したの です。当然、皆さん方も同じ反論をすると思うのです。図書館長は全然ひるまないで す。「図書館の仕事は、あるいは教員の仕事は、学生が図書館で何をしているかを干 渉することではない。私たちの仕事は、学生を図書館に行かせることがメインであっ て、図書館で勉強する、勉強しないは別問題だ」と反論して一件落着です。去年も行っ て来たのですが、今も蓋付きのコーヒーカップを持ち込んで飲んでいます。今は、も う当たり前です。先ほどの『教育学術新聞』に紹介しているユタバレー大学では、全 フロアの図書館で、ダルハウジーでは蓋付きのコーヒーだけでしたが、ユタバレーの 大学では、コーヒーはおろか、食べ物もサンドイッチも持っていけます。図書館の受 付カウンターの近くには、スターバックス、その横には何があると思いますか、何と 寿司コーナーがあるのです。ここは、図書館だろうか、と驚きました。許可をもらっ て撮影しました。これは、新聞に紹介され、証拠がありますから見てください。寿司 コーナーがあるのです。ラーニング・コモンズを拡大解釈して、このような動きになっ てきているということです。
図書館に行って学生が何をするかは、個々の教員が、どういう課題を与えて授業を するかによるわけです。ですから学生が勉強しない、ではなくて、教員が学生に勉強 させるのです。これが大事です。学生は勉強しないです。生理的にしないのです。し たくないので。させなくてはいけないのです。させるためには、やはり教員が課題を 出さなければいけないのです。させなかったら、絶対しないです。私は、毎回、課題 を出して、指定図書を読ませて、図書館のカウンターで図書館印のスタンプを押させ るのです。図書館印がなければ、学生はレポート提出できないのです。図書館から「先 生、空白の状態でスタンプもらいに来ていますが、スタンプを押してあげてよろしい でしょうか?」「あ、押してください。私に提出する時は、空白を埋めてきますから
第二部 講演会・ワークショップ講演録
大丈夫です。図書館に行った証拠ですから」。図書館二階の指定図書コーナーに行かないとスタンプもらえないので。毎回言っているわけですね。要するに何か課題を出 さないといけないのです。課題を出すことによって、図書館に行くし、図書館で何を するかにも繋がってくるのです。これは、教員の授業形態にも繋がってきます。講義 だと90分で済みますが、課題を出したら、その2倍かかるわけです。ですから教員の 負担はもっと大きくなります。皆さん方もそうでしょうが、学生に言うより、自分が やった方が早いと思うでしょう。やらせる方が、いかに大変か、負担が多いかという ことなのです。
次に、ライティング・センターについてです。ライティング・センターは、今、ど のアメリカの大学にもあります。日本の大学でも補習授業とか、レポートの書き方な どで、最近、ライティング・センターのようなものを置いています。
ライティング・センターでは、大学院のTAがアルバイト代わりに、学部学生のラ イティングの手伝いをしています。予約制で1人30分くらいのチューターリングを受 けることができます。図書館に置かれているのでとても便利なのです。資料を探した り、調べたり、いろんなことができます。どのライティング・センターもほとんど図 書館にあります。ここで紹介するのは、南カリフォルニア大学(通称USC)で、アメ リカでもレベルの高い、名門私立大学です。特に作業療法士の分野では世界的に有名 です。このライティング・センターのスタッフのことを、「ライティング・コンサル タント」と呼んでいます。もちろん院生ですが、プロフェッショナルなコンサルタン トです。そこでは、単に学生の宿題を手伝う、あるいはチューターリングするという ことではなく、もっとレベルの高いコンサルティングを行っています。
センター長のウイリアム・ワイアット(William Wyatt)に話を聞きました。この ライティング・センターのライティング・コンサルタントは、他のTAやチューター とは違います。もっとプロフェッショナルな手伝いをします。どのようなプロフェッ ショナルな手伝いかと言うと、学生の宿題を手伝わないことです。学生のレポートの 添削をしたり、指導したりはしない。なぜかと言えば、約30分しかコンサルティング の時間がないのであるから、そんなことやっていてはもったいない。プロのコンサル タントという自覚があります。
ここのコンサルタントは、現在、約10の部門から17名がコンサルタントとして登録 されています。コンサルタントはTAとは違って、時間給で支払われます。1時間18 ドルです。TAの場合は、もっと優遇されています。なぜかと言うと、授業料が免除 になっています。それに奨学金をプラスされます。そして保険料も支払われます。し
かし、コンサルタントは時間給だけで保険は含まれない。まったくのプロなのです。
コンサルタントになるためには、ライティングとしてのサンプルを提出して、プロ としての資格があるかどうかが見られます。どういうことで役立つかと言うと、大学 院の博士課程とか修士課程に所属する学生ですので、将来、職に就く時に備考の欄に コンサルタントをしていたと書くことで就職に有利になるということです。
コンサルタントの50%の仕事は、学部学生のライティングをやります。大学院生に 対してもコンサルティングをします。非常に驚いたのは、この大学のライティング・
コンサルタントは教員のコンサルティングもするということです。教員のレポートや ライティング、そして論文のコンサルティングもするのです。名称がTAとかチュー ターだったら、教員はちょっと相談に行きにくいですよね。しかし、コンサルタント だから、院生もプロフェッショナルとして仕事ができます。
普通、ライティング・センターでは、学生が課題を持ってきて、自分はやらない で、チューターとかTAにさせます。ここでは、そういうことはしない。どういうこ とからするかというと、コンサルタントは、学生の課題を隅から隅まで読んで直すの ではなく、学生と話すことに重点を置いているわけです。例えば、エッセーや論文で は何を書きたいのか。反対意見は含まれているのか。参考文献や資料は適切なのかど うか。そういう問いかけをするわけです。ですから、コンサルタントは学生の課題を 手伝うチューターではない。学生に間違いや問題を気づかせることが、一つの特徴で す。ですから、他大学のチューターリングとは違う。さすがにUSCだなと思ったのです。
ちょっとレベルが高いのです。ですから結果的には出来上がった「プロダクト」では なくて、「プロセス」を大事にしているということです。
センター長のウイリアム・ワイアットさんが話してくれたのは、学生のエッセーや 論文を手直ししてあげれば、良いものが出来上がるかもしれないが、それでは良いラ イターにはなれない。しかし、学生は将来に生かせるライティング・スキルをコンサ ルタントから学ぶことができるのです、と。アメリカでも日本と同じように、高校か ら大学に入ってきた時に、母国語の英語が乱れているということで、ライティング・
センターの役割は益々重要になってきているということです。
最後が、ラーニング・ポートフォリオについてです。このラーニング・ポートフォ リオという概念は、実はそんなに古くはないのです。2004年にラーニング・ポートフォ リオというのが、アメリカ、あるいはカナダの大学で注目されるようになったのです。
「授業・学習改善の変遷」(資料2)の冒頭を見てください。最初のところに「アクティブ・
ラーニング」とあるでしょう?アクティブ・ラーニングは1991年にアメリカの大学で
第二部 講演会・ワークショップ講演録
注目されたものが、今、日本でも注目されています。注目されているというか、活用されはじめているということです。ですから、2004年から広まったラーニング・ポー トフォリオは、日本ではこれからということになるかもしれません。
ポートフォリオをアカデミックサポートと位置づけるのは、多分、私だけかも知れ ません。私はこれを究極のアカデミックサポートではないかと考えています。なぜか と言うと、私の授業では、最初に見せたチャートからもそうなっています。すなわち、
すべての学生の能動的活動がポートフォリオに集約されています。すなわち、授業、
準備学習、図書館活動、授業外活動のすべてが、そうであるということです。
「学修支援」としてポートフォリオをサポートするにはどうしたらいいかというこ とについて、ルーブリックがあります。これについて聞かれたことあります?ルーブ リックは、今、非常に注目されています。これは、後で触れることになりますが、評 価基準、ものさしと考えていただいたら良いと思います。そういう評価方法について ですが、『学習経験をつくる大学授業法』(玉川大学出版部、2011年)という、大変面 白い本があります。私は、この本を監訳して、8月くらいには刊行されるのではと思っ ています。この本の著者は、フィンクという、この分野のコンサルタントとして有名 な人です。この英語版はアメリカでベストセラーの本です。この中でフィンク氏が評 価方法について書いているところがあります。これは面白いので、今日、ご紹介しま すが、「教えたことをどれだけ学生が記憶したかを問うのではなく」、「学んだことを 踏まえて、どのように応用できるか、すなわち『後ろ向きの評価』ではなく、『前向 きの評価』が重要である」と述べています。
本を読んでいただければわかりますが、「例えば、授業で『XYZ』について勉強し ました。そして学生に対して、それについてどれだけ覚えましたか?」。これは後ろ 向きの評価です。教えたことについて学生がどれだけ学んでいるか。これは我々が学 生に対してやっていることです。ところが前向きの評価は、そうではないのですね。
前向きの評価は「これまで『XYZ』について勉強しました。例えば、今、福島で原発 という新しい問題が出ておりますが、あなたは『XYZ』について学んだことで、これ をどう生かすことができますか?」と問いかけたとします。これは、前向きの評価に なるわけです。ですから、根本的に違うわけです。これを日本の学生にやらせると、
「そんなことは習っていません。わかりません」ということになるかもわかりませんが、
アメリカは、そういう評価方法に関心が持たれているのかもしれません。
ルーブリックは、非常に優れています。ルーブリックの何が良いかと言いますと、
教員が学生に何を期待しているかを事前に伝えることができることです。後で紹介し
ますが、これは、公平な成績評価に繋がります。学生たちに聞けば、口を揃えて、「ど ういうレポートを書けば、良い点数をもらえるのですか。どういうレポートを書けば 悪い点数になるのですか。わからない」と言うのです。わからない。それでは、教員 はわかっているのですか?教員もわからない。ですから、「私は最初の3人くらいの レポートを読んでから、採点をはじめます」と言っているのですが、難しいですよね。
ところが、ルーブリックがあれば便利です。さらに、教員の評価基準の手の内を学生 に知らせることになります。レポート課題を与える前に、ルーブリックを学生に渡し ます。学生は、ルーブリックを見ながらレポートを書きます。ルーブリックには4年 間のものと個別の授業のものがあります。私は個別の授業に使っていますから、内容 中心になります。
英語のルーブリックは次のような ものです。悪い評価、良い評価と、
最後はExcellentです。Excellentの 評価を取りたい学生は、どういうコ ンテンツで書けば良いかが詳しく書 かれています。学生も教員の手の内 を知っていることになります。日本 語の方がわかりやすいと思われるの で、これ(下)が帝京大学で使って いるポートフォリオのルーブリック で す。40点、30点、20点、10点。A をもらいたい学生はこういうふうに 書きなさい。Bをもらいたい学生は こういうふうに書きなさいと。これ がルーブリックです。ポートフォリ オを書かせる前に、学生に配ります。
教員の評価の手の内を見せることに なります。この話をある学会でした ら、フロアから質問が出て、「先生、
こんな先生の手の内を見せたら、学生が良い点数を取りすぎるのではないですか?」っ て言うのです。皆さん、これどう思います?面白いと思いません? 学生が良い点数 を取りすぎて何が悪いのですか?どうも、日本では学生が良い点数を取りすぎると問
Catego y of
Evaluat on Poo Develop ng Imp ov ng Acceptable Excellent
Cent al Ideas, Reason ng and Content (50 po nts)
Pape has m n mal o supe f c al content and lacks developed cent al deas.
Pape has an n t al f amewo k but lacks spec f c suppo ts fo those ma n po nts
Pape has adequate content developed a ound cent al dea(s)
Pape has good content and s well- developed a ound a cent al dea(s)
Pape has excellent content that s fully developed a ound the cent al dea(s)
O gan zat on and Cohe ence (30 po nts)
Pape lacks o gan zat on and w t ng lacks cohe ence
Pape has some o gan zat onal f amewo k.
T ans t ons a e ab upt o connect ons a e unclea .
Pape has adequate o gan zat on and cohe ence
W t ng eflects good college-level w t ng n te ms of o gan zat on and cohe ence
W t ng eflects excellent college- level w t ng n te ms of o gan zat on and cohe ence
Sentence Cla ty and St uctu e (10 po nts)
Sentences th oughout pape do not flow smoothly and do not va y n length o st uctu e
Sentences n many pa ts of the pape do not flow smoothly and do not va y n length o st uctu e
Sentences n seve al pa ts of the pape do not flow smoothly and do not va y n length o st uctu e
Sentences gene ally va y n length o st uctu e. Ideas flow th oughout.
Connect ons w th n a pa ag aph a e ev dent.
Sentences flow smoothly and a e va ed n length and st uctu e, and deas a e exp essed clea ly and conc sely
G amma , Usage, and Mechan cs (10 po nts)
Pape has many spell ng, g amma , and/o mechan cal e o s. Wo ds of othe s a e not c ted o efe enced p ope ly.
Pape conta ns qu te a few se ous spe l ng g amma , and/o mechan cal e o s. Wo ds and deas of othe s may not be efe enced p o ly ncomp te.
Pape conta ns some m no spell ng g amma , and/o mechan cal e o s. Some wo ds may be
ed ev ly, and
Pape conta ns a few m no e o s but noth ng d st act ng. A c tat on may be
ncomplete o nco ect.
G amma , punctuat on, cap tal zat on, usage and spell ng a e co ect. Wo d cho ce s va ed.
Wo ds o deas of othe s a e
efe enced and Source: Peter Ingle Rubric for the Course of EDUC 205-Service Learning in Salt Lake City
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第二部 講演会・ワークショップ講演録
題になるのですね。先生の試験が甘いのではないかと思われているわけです。そうですか? 良い点数をとってくれたら喜ばなきゃいけないでしょう。評価基準を決めて いるわけですから、このレベルまできたら、やっぱり良い点数をあげなきゃいかんで しょう。私の今日の講演を聴いて、授業でポートフォリオを導入したい、と思ってらっ しゃるかもしれません。ポートフォリオを導入すると、良い点数になるのです。なぜ かと言うと、ポートフォリオは個人のベストの良いところを求めるからです。悪いと ころは書かないわけですから、評価は高くならざるを得ないのです。そういう性格の ものです。アメリカ的な発想かもしれません。アメリカ人は悪いことを言わない。良 いことしか言わないですよね。そういう国柄から生まれたものですから、日本とは違 うかもしれません。
ポートフォリオがどういうふうなことかと言うと、授業では能動的学習、グループ 学習を積極的にやります。そして教室外学習では図書館で予習復習をやります。そし てラーニング・ポートフォリオをまとめます。先ほど言いましたように、ラーニング
・ポートフォリオは高い点数を取りやすいのです。私のラーニング・ポートフォリオ は70点満点です。平均すると、50点くらい取っちゃうのです。ですから、バランスを とるためにMIT方式の筆記試験を導入しています。これは面白い試験です。MIT、す なわちマサチューセッツ工科大学の方式を真似たもので、私が発案した試験方法では ありません。MIT方式の試験はどういうものかというと、試験問題(解答を含む)を 学生が作るのです。私がこのような話を京都大学のフォーラムで紹介したら、フロア から質問が出て、「先生、学生に試験問題が作れるのですか?」と。学生は、教員よ りも試験問題を上手に作るかもしれません。作りたくて仕方がないのです。これまで 試験問題でいじめられた人生を送ってきていますからね、一生懸命作るのです。不思 議なことに、学生が作る試験問題は、教員のものより難しいのを作っちゃうのです。「君 たちは自分で自分の首を絞めているよ」と私は冗談を言います。ものすごく一生懸命 なのです。でも、最後の授業のときに、学生に「じゃ、試験問題を作ってもらいます」
と言っても、誰も作れません。しかし、オリエンテーションの時、授業の始まる前に、「単 元ごとに2問の問題を作りなさい、解答もつけなさい」と説明します。12回だと24問 が出てくるわけです。そうすると学生は授業を聞きながら、むしろ私の授業内容より も、試験問題を作ろうと一生懸命になるのです。試験問題を作れるということは授業 内容がある程度わかっているということです。一生懸命に授業に参加します。これが MIT方式の「試験問題を学生が作る」ということです。
これからスクラッチ・クイズをやります。スクラッチ・クイズというのは、日本で
は行われていませんが、宝くじのスクラッチのようなもので、削ると当たりがすぐに わかるというものです。
このクイズ問題は指定図書課題から出されます。図書館でどういう準備をしたか、
クイズにしてやる方法です。スクラッチ・クイズはグループでやる方が効果的です。
一人ではやらない。スクラッチ・クイズの解答用紙は、アメリカでパテントをとって いますから、日本では買えないのです。一枚100円もするのです。帝京大学の授業でも、
スクラッチ・クイズを使っています。学生は授業に出てくるというよりも、スクラッチ・
クイズをやりたくて出席します。それだけ面白いのです。皆さん方もやりたいですか?
スクラッチ・クイズというのは、4択問題から正解をコインで削ると、☆印が出てく るのです。正解の☆印が出ないグループは出るまで削るのです。
次は、コンセプト・マップについ てです。どういうのがコンセプト・
マップかと言うと、インターネット で調べると、マインド・マップが出 てきます。コンセプト・マップに似 ています。同じものだと理解しても らっても良いでしょう。今の学生は 単元ごとに学んだことを覚えるのは 得意なのです。しかし、15回で学ん だことを繋げることは苦手です。点
を線に繋げるのは苦手なのです。コンセプト・マップは、各単元を繋げなければいけ ないのです。学生にコンセプト・マップを描かせると、文句を言うのです。「先生の 授業は、繋がっていない」「繋げるのは君たちの仕事でしょう」と言うのですね。繋 ぐプロセスで学びが深まるのです。コンセプト・マップを描くのに相当時間がかかり ます。15回を振り返りながら描きますか、学びを深めることに繋がります。学びを深 めるだけでなく、このコンセプト・マップを書くことで、ラーニング・ポートフォリ オに一貫性を持たせることができるようになります。
先ほど、私は「ポートフォリオは、究極のアカデミックサポートだ」と言ったのに は理由があります。その理由を説明します。今年の2月にユタ州にあるグリガムヤン グ大学、これは名門の私立大学ですが、そこのオーナーズ・プログラムについて調査 することができました。この大学のオーナーズ・プログラムは、GPAが3.5以上の学生 が履修するプログラムです。要するに優秀学生だけを集めて行う授業です。これが素
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第二部 講演会・ワークショップ講演録
晴らしいです。GPAが3.5から4.0というのはすごいことです。レベルが違います。普通、大学では卒業論文と口頭試問が終われば修了でしょう。口頭試問の後には何もありま せん。ところが、この大学には卒業ポートフォリオというのがあるのです。すなわち、
卒業論文よりも、口頭試問よりも、卒業ポートフォリオが重要だと位置づけているの です。なぜ重要なのかを次に説明します。
GPA3.5以上の学生たちが、自ら プログラムを作っています。これが、
オーナーズ・スチューデントが提出 したポートフォリオ、卒業ポート フォリオです。これは、4年間でま とめたものです。普通は学生持って 帰ってしまってなかなか見られない のですが、たまたま残っていたので 撮影しました。4年間のものをファ イルするのです。なぜ卒業論文より
も卒業ポートフォリオが大事かと言うと、卒業論文では学習面しかわからない。結果 しかわからない。表面的にしかわからない。しかし卒業ポートフォリオは、4年間す べてが凝縮されている。卒業論文では内容しかわからない。しかし卒業ポートフォリ オは内容に至ったプロセスがわかる。そのプロセスについて、教員が学生にメンタリ ングすることによって、学生の学びを振り返ることができる。こういうことです。
最後に、先ほども出てきました、フィンクが本で述べていることを紹介します。「良 い授業の究極の目的は、優れた学習を支えていくことです。しかしながら、学習は、
教員がするものではなく、学生がするものです」と述べているように、教えることよ りも学習させるということが、とても重要です。そういう意味からすれば、図書館の 役割が、これから益々重要になると思います。ご清聴をありがとうございました。
勝山:
土持先生、ありがとうございました。皆さん方からお聞きになりたいことがあると 思います。ご質問のある方、いかがでしょうか。
フロア:
学生からフィードバックを受けますと、それに応えていく必要があって、そこが重
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要だと常々思っています。レポートを出すのも良いことはわかっていますが、それを チェックすることとか、そういう時間を大学側に認めさせて、どのような戦略でやっ ていくか、うまくシステムに乗っかっていくのかということについてと、もう一つは、
ライティングで、日本語の質の保証をするためには、どんな具体的な方法があるか、
教えていただけますでしょうか。
土持:
最初の質問は、大学の先生方、同じ悩みで、学生の教育の面倒を見たいが、時間的 に悩んでおられる。どういうふうにして大学側がそれを評価に繋げるかということだ と思いますが、難しい問題ですね。回答というのはないと思うので、私が、どういう 実践をしているかで回答させてもらいます。
私の場合は、できるだけ、自分の手を煩わせないで、学生同士でやってきたことを グループで発表させ、グループでまとめて、最後にリフレクションを書かせます。そ のリフレクションをもとに、最後にラーニング・ポートフォリオを書かせます。15回 のうち3回くらいリフレクション・シートを集めてチェックします。簡単なコメント に、 Excellent” Very Good”などのスタンプを押して返します。それがどう教員評価 に繋がるかは、これからの検討課題だと思うのです。教員の授業評価を、どの大学で も学生による授業アンケートでやっていますが、これで教員の評価がなされるのは不 満です。帝京大学でも学生による授業アンケートのベストをとって、ベストティーチ ング賞をやろうということで、私が就任する前に決まっていましたが、現在、再検討 中です。基本的には、学生による授業評価だけで教員評価ができるか、ということです。
私の答えは、NOです。そんなに簡単に教員の評価ができるものではない。ティーチ ング・ポートフォリオはカナダで生まれたものですが、教員を評価するのに49項目が あります。そのひとつが学生による授業評価です。学生による授業評価だけをとって 教員評価をするのは問題であるということから、ティーチング・ポートフォリオが生 まれたのです。FDでは、教員が何を教えたかは問わない。学生が何を学んだかが問 われているわけです。学生が何を学んだか、第三者に見える形で示しなさいというわ けですから、ポートフォリオが重要になります。教員は学生の優れたラーニング・ポー トフォリオを示して、「私はこういう良い授業をやっているのです」と。そうすると、
「全部の学生のラーニング・ポートフォリオが必要ですか?」。そうじゃない。学生の 良いものを2、3点選んで「これが私の授業のやり方です」とアピールすることがで きます。ティーチング・ポートフォリオにしても、ラーニング・ポートフォリオにし