社
会
系
教
科
教
育
学
会
『社
会
系
教
科
教
育
学
研
究
』
第19
号 2007
(pp.29-36)
内容知と方法知の統一的習得をめざす
「 ̄
身近な地域の調査」の授業開発
一
三津勝衛の匚
郷土地理教育」を援用して−
A Lesson
Based on
P
l
a
n : Learning both Knowledge and Skill at
“Hometown Geographical Education
” of Katsue Misawa
a Unit
“ Survey of Region",
I 問題の所在 近年,「総合的な学習の時間」の導入や「学社 連携」の高まりの中で,身近な地域を調査する学 習の機会が拡大している。一方,社会科において も,身近な地域の調査は匚身近な地域」が「郷土」 と呼ばれていた時代から行われているが,現行学 習指導要領匚地域の規模に応じた調査」が導入さ れてからは,匚学び方重視,知識軽視(無視)」と の批判や,地域調査など,地理的な学び方を身に 付けていない教師が指導することの困難性などの 問題点が指摘されている1)。こうしたなかにあっ て,われわれ社会科教師は,社会科における「 ̄身 近な地域の調査」学習の意義および目標を再確認 する必要がある。筆者は,社会科の目標を達成し, かつ匚学び方」を習得させる匚身近な地域の調査」 学習を行うためには,習得させたい「 ̄内容知」お よび匚方法知」を明確にし,それらを統一的に習 得させることが必要であると考える。 そこで本稿では,中学校社会科地理的分野「 ̄身 近な地域の調査」で生徒に習得させたい厂内容知」 と匚方法知」を定義し,内容知と方法知の統一的 習得をめざす授業構造,および開発した授業モデ ルを示すことを目的とする。 H「身近な地域の調査」で習得させたい「内容 知」と「方法知」 1 「内容知」および「方法知」の定義 これまで社会科において,匚身近な地域」の学 習では,目的概念論と方法概念論が主張されてき た。 しかし,ここでいう「 ̄目的」「 ̄方法」はとも に「 ̄身近な地域の調査」学習を通して,生徒に習 得させたい知識であり知識の匚質」の違いを論じ 角 田 正 和 (早島町立早島中学校) ているにすぎない几一方,学習指導要領におけ る技能の習得は,平成元年版から位置づけられる ようになり,それ以降,[方法]に習得させたい 知識と習得させたい技能が位置づけられた几 そこで,生徒に習得させたい匚内容知]および 匚方法知」について,再度検討が必要である。岩 田一彦氏は,教科内容の構造を匚内容知」と匚方 法知」で構成し,匚方法知」を厂法則性・概念の 探究方法と技術」と位置づけ,これらを基礎と基 本に分けて考えることを提案している(図1,図 2)几岩田氏の見解および先行研究5)を検討し, 本研究では,匚内容知」を社会科授業で生徒に習 得させたい知識(概念的・説明的知識),「 ̄方法知」 を「 ̄社会科で生徒に習得させたい知識」を習得さ せるための探究方法・技能と定義した。 このように両者を定義することで,内容知と方 法知は不離の関係であり,統一的に習得させるこ との重要性をより一層明確に示すことができた。 この点が十分考慮されてこなかったことがこれま での「 ̄身近な地域の調査」学習の問題点として指 摘できる。 教科内容 口 ・概社会事念(内容象に関す知)る法則性 法則性・概念の探究方法 と技術(方法知) 図1 社会科の教科内容の構造 出典:岩田一彦(2001):『社会科固有の授業 理論・30の提言一総合的学習との関係を明確 にする視点−』明治図書, pp.110. ― 29
○社会諸科学のツ訟:方法・技術 苺 一 一 基礎 厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄一一一 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄│ | 資料収集→ 分類・比 較→問題 発見→予想・ 仮説→検証→ ま とめ | 概念探 究過程 し_________________________________________________________」 ○社会諸科学の中の個別科学独自の探究方法・技術 = 基本 苺 厂 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄゛ ̄ ̄ ̄-一一一一│ | 地理学 における地図 の活用技術 | 地 理的技能 匸_____________________________」 図2 法則性・概念の探究方法と技術の基礎・基本 出典:岩一田総合一的学彦(2001習との):『社関係を明確会科固有にすのる視授業理点−』論・30明治の図書提言, pp.111-112. 2 地理学独自の技能の検討一三澤勝衛の「郷土 地理教育」を援用して一 匚内容知」と匚方法知」を定義した際,一つの 疑問が生じる。それは図2中にも示されている 匚社会諸科学の中の個別科学独自の探究方法・技 術」である。この点について岩田氏は,「社会科 の教科内容は,内容知と方法知から構成される。 内容知に関しては,これまでの社会科教育史の中 で種々検討され,その研究成果の蓄積もできつつ ある。しかし,方法知については,体系性,構造 性に関しては,社会科学習場面で,ほとんど考慮 されてこなかった」と述べ,地理学独自の探究方 法・技術として地図の活用技術を例としてあげて いる‰匚身近な地域の調査」学習は中学校社会 科地理的分野のみならず,他領域,他教科でも行 われている。それらとの違いを明確にするために は,地理学固有の探究方法・技能を明らかにし, それを方法知として位置づけ,内容知の習得に関 連付けていく必要がある。 本研究では,地理学固有の探究方法・技能を明 らかにする手がかりとして三澤勝衛の匚郷土地理 教育」を考察した几三澤は地理的技能として 「分布図の調整」および匚臨地調査」を位置づけ, 他の諸科学の技能との峻別を図っている。特に, 分布図の意義について,匚地理学として成立され ていく場合はもちろん,地理的記述である場合で も,そこには必ず分布図が用いられるべきであ る」8)と述べるとともに,その分布図について, -「 ̄しかし単に正確だけでは不十分である」9)として, 「分布図の調整」の必要性をあげ,それを匚O) 正確で(2)明瞭で,かっまた(3)典雅である という三条件を,しかも,この順序で具備すべき である」lO)と述べている。 このように,三洋は地理的技能として匚分布図 の調整」および「 ̄臨地調査」を示すとともに,そ れらの調整方法や要諦を,具体的観察例にもとづ きながら詳細に示している。三洋の郷土地理教育 を援用することで,地理学固有の探究方法や技能 を明確にすることができるとともに,調整の技法 やその際の要諦などは,生徒に指導する際に生か せ,授業開発に有益な示唆を与えるものである。 そこで,内容知と方法知の統一的習得をめざす 授業構造を作成するに際して,三洋が明らかにし た「 ̄分布図の調整」および匚臨地調査」を地理的 技能として援用した。また,授業モデルの開発に おいては,臨地調査や分布図の調整においてそれ らの要諦に留意した。
Ⅲ
内容
知
と方
法
知の統
一的
習得
をめ
ざす
「身近
な
地域
の調
査
」の
授
業
開発
1
内容
知
と方
法
知の統
一的
習得
をめ
ざす
「身近
な
地域
の調
査
」の
授
業構
造
これ
ま
で検
討
してきた
「内
容知
」
お
よび
「方
法
知
」
をも
とに
,内
容知
と
方法
知
を統
一
的に
習得
さ
せ
る
「身近な
地域
の
調査
」の
授
業構造
を示す
(図
3)
O
30−匚内容知」と匚方法知」を統一的に習得させる ためには,その中核となる匚内容知」を明確に示 す必要がある。本研究では,定義した匚内容知」 を学習指導要領の目標にてらし,地理的分野匚身 近な地域の調査」で生徒に習得させたい厂内容知」 を,「地理的見方からとらえた地域的特色」とす るとともに,地域的特色を匚なぜ」と問い,その 原因を探究する学習をとおして地域的特色を原因 記述的知識 ・身近な地域の社会的 事象 分析的知識 ・構造・過程・手段・ 方法・目゛的・関連に 関する分析的知識 ・社会事象から地理的 事象への選択 説明的知餓 ・地理的事象の因果関 係的説明 概念的知識 ・一般化・笹遍化 内容知 I 資料収集→分類、比較 ・身近な地域に関心を持ち、様々 な情報を集める。 ・集めた情報を地理的な見方か| らとらえ。整理することで 課題へとつなげる。 II 課題設定 ・rなぜ∼だろうか亅といった なぜ疑問の設定 Ⅲ 予想・仮説 ・多様な予想を出し、それらを基 に仮説を立て叺 ・仮説をもとにその後の調査の流 れや方法を検耐する。 IV 検証 ・仮脱を確かめるための資料の 収集、整理 ・仮脱の証明 V まとめ ・地域的特色の把握 探究方法 方 法知
と結
果の
因
果
関係
で
と
らえ
る説
明的
知識の
習得
を
中核に
据
えた
。また
,
「方法
知
」に
ついては
,こ
れ
ま
での
「身近
な
地域の
調
査
」
学習
に
欠け
て
いた
「問題
発見
→予想
・仮
説→検
証
」の
過程
を探
究方
法
に組み
込ん
だ‰また
,技
能では
,三澤
が
明
ら
か
に
した
「分
布
図の
調
整
」
と
「臨
地
調査
」
を援
用
し
,探究
これ
に
よって
方法
の
それ
,
生徒
ぞれ
は
地域
の
過程
的特
に
位置
色
を
「原
づけた
因
。
と結
・地図・画唯・統計 からの地理的事象 の読み取り ・地理的見方からの 野外観察 ・表現のための 分布図の作成 ・検証のための 野外観察 ・検証のための 分布図の作成 ・検証のための 分布図の肩整 地理的技能 4 内容知と方法知を統一的に習得する「身近な地域の寰査」 図3 「身内容近知な地と方法域の調知の統査」の一的習授業構得をめ造 ざす(筆者作成) −31− 果」の関係でとらえることが でき,地域的特色をとらえる だけでなく,他地域の地域的 特色にも適応できる知識や, 地域的特色を追究するための 探究方法と技能を習得するこ とができる。 2 開発した授業モデル 作成した授業構造を検証す るため,岡山県都窪郡山手村 を事例とした授業モデルを開 発した几以下,その概要を 示す。 (1)単元名 匚山手村の地 域的特色を追究しよう」 (2)目 標 ○山手村の特産である桃に着 目し,桃作りが発達した諸 条件とその関連について調 べる学習をとおして,身近 な地域の農業の成立に関心 をもつことができる。(社 会的事象への関心・意欲・ 態度) ○山手村で桃作りが盛んになっ た理由について仮説をもと に追究し,収集した資料を 比較したり関連付けたりし て検証し,その理由を考え たり,諸条件の関連跿を明 らかにすることができる。 (社会的事象への関心・意 欲・態度) ○山手村で桃作りが盛んになった理由について仮説をもとに追究し,収集した 資料を比較したり関連付けたりして検証し,そ の理由を考えたり,諸条件の関連哇を明らかに することができる。(社会的な思考・判断) ○身近な地域の特色を探究する技能として,地域 的特色を追究する探究方法と,収集した資料を もとに分布図を作成・調整したり,視点を決め て野外観察したりする技能を習得することがで きる。(資料活用の技能・表現) ○山手村で桃作りが盛んになった背景について, 桃の栽培条件に適した気温や降水量,地形,土 壌などの自然条件が適していたことと,産地育 成のために生産組合が結成され,産地の育成が 図られたことを知り,農業産地の形成には,自 然条件だけでなく,社会的条件などの諸条件が 整うことが必要であることを理解することがで きる。(社会的事象についての知識・理解) (3)教材について 調査対象地域とした山手村は岡山県の南部に位 置し,県内有数の桃の産地として知られている。 桃の生産については,小学校社会科の副読本でも 桃作り農家の工夫や努力として取り上げられてい るが,桃の栽培条件と山手村の環境との適合につ いては学習していない。また,山手村は諸条件に より農業に特化した地域で,生徒に着目させる地 理的事象を限定しやすいことや,地理的見方13) の一つである「 ̄分布」に着目したとき,村の特産 である桃園が,平野部と山間部の接触部である丘 陵地に広がっていることに気づかせることができ, その理由を追究させることで,村の自然環境と桃 の栽培条件との関連を明らかにすることができる などの奸条件を有した地域である。 そこで,本研究においては,地理的な見方の一 つである匚分布」を用い,山手村の代表的な農産 物である桃に着目させ,分布からとらえた地域的 特色を追究させる学習を計画した。 (4)単元の指導計画(全13時間扱い) 第一次 ・身近な地域の情報収集身近な地域の情報を集めよう(4時間) ・資料の整理と地図の活用 ・野外調査の計画 ・野外調査(課外) 第二次 身近な地域の特色を追究しよう(7時間) ・収集した情報の整理 ・問題発見 ・仮説の設定 ・検証のための資料収集 ・調査結果の分析 ・検証・まとめ 第三次 身近な地域の特色をまとめよう(2時間) ・身近な地域の特色のまとめ ・新たな問いの設定 発展学習・他地域との(課外)比較 ・他の条件についての検証 (5)展開例 ここでは第7,8時を例に,方法知について, 援用した三津の匚分布図の調整」をふまえながら 地理的技能の指導について説明する。図4は,調 査対象地域における分布図の調整例をあらわした ものである。ここでは,桃園が南部と北部の接触 部の斜度3∼15度前後の丘陵地に分布している ことに着目させたい。これまでの「 ̄身近な地域の 調査」においては,厂土地の傾斜を知るために断 面図を作成する」匚土地の高低を示すために段彩 図を作成する」匚土地利用の特徴を知るために土 地利用図を作成する」として,厂技能」の習得が 先に立ち,着目させたい「 ̄内容」の検討が不十分 であった。また,村史や村政要覧等に掲載されて いる既成の分布図は,難解であったり,傾向性を うまく現すことができていないものが多い。その ため,生徒は分布図を作成する技能や,既成の分 布図を収集する技能を身に付けているが,それら から特色を読みとったり,調整したりすることが できていない傾向が見られる14)。 三津は匚分布図の調整」について,「正確・明 瞭・典雅」に留意して調整することの重要性を示 している整の場合。例,果樹園の分布えば,学習指導案中の①分布図の調している土地の様子にっ ー
い
ては
,野
外観
察の
結
果
,斜
面
で
多く栽培
され
て
いる
ことに
気
づ
く
ことが
で
きる
。
しか
し,斜面
と
い
っても
,具体
的
に
どの
よ
うな斜
面
で
つ
く
られ
て
いるの
か
を考
え
させ
る
とき
,既成
の
分布
図
を提
示
しだの
では
,正
確
では
あ
るが
,その
傾
向性
を生徒
一32−にとらえさせることは難しい。また,どんなに正 確な分布図を作成させたとしても,その傾向性を 読み取らせることができなければ検証のための資 料としては使えない。三澤は分布図の調整として 匚明瞭」であることの必要性を述べている。三澤 は明瞭について,匚そもそもわれわれが分布図に 対してもつ最後の要求はその現象の分布形態であ る。調査した事象の質的または量的分布の形態で ある。そして明瞭というのは,まずそれをその必 要の最小限度に単純化してしまうことJ15)と述べ, ここでは調査したものを最小限度に単純化するこ とが必要であるとしている。 そこで,果樹園が位置しているところの断面図 を作成させ,それらから土地の傾斜の傾向性を生 徒に検討させ,そこで現れた傾向性をもとに,段 彩図を作成させる。断面図1∼3は,段彩図Aに 示した,線A-B, C-D, E-Fにおける断面図で ある。これらの比較検討の結果,山手村において ︱ 土
は
,標
高20m
以下
,20
∼50m,
50m
∼の
3段階
で
土地の
傾
斜
が
変わ
っ
て
いる
こ
と
をつか
ませ
る
こ
と
がで
きる
。これ
ら
をも
とに
,
3段階の
段
彩図
A
を
作
成す
るこ
とが
でき
る
。最
後に
,分
布
図
A
と段
彩
図
A
を重ね
させ
る
こ
とで
,果樹園の
分
布
と
土地の
傾
斜
との
関連院
だ
け
でな
く
,他の
条
件
につ
いての
検
証の
必要
性
を生徒
に
気
づか
せ
る
こ
とが
で
き
る
。
この
一連の
作
業に
よ
って
,生徒
に
果樹
園の
立地
と
自然
条件
との
関連
に
気
づか
せ
る
こ
とが
で
き
る
と
とも
に
,仮
説
を検
証す
る
資料
と
して
,分
布
図
と断
面図
を組み
合わ
せ
て
,
3段階の
明瞭な
段
彩図
を作
成
す
る
な
ど
,分
布
図の
調
整技
能
を習
得
させ
る
こ
と
が
で
き
る
。こ
う
した
調
整
を
重ね
る
こと
で
,生徒
は
自
ら課題
を追究
す
る際
にも
,既
成の
分
布図
をその
ま
ま
利用す
るの
では
な
く
,それ
ら
を利用
した
り,
加
工
した
りして
自分の
仮
説
を検
証す
るた
めの
資
料
を作
成す
る
こ
とが
でき
る
。
300 250 200 50 00 50 【段彩図A 山手村段彩図】 X 分布図 20∼50mのみとの関連性着色を考慮し 0『鰰二
 ̄
刪
2(km) ― 33 B 200 15 0 100 (m) 5 0 0(m) 250 200 150 100 50 0(m) (筆者作成) 【分布図A 山手村における果樹園の分布】 図4 調査対象地域における分布図の調整○
第
7時
・第
8時
(検
証の
ため
の
資
料収
集
・調
査結
果の
分
析
)
O)
目 標
・検
証の
ため
に
収
集
した
情
報
を,
段彩
図や
断面
図
,分
布
図
に表
現
す
る
こ
とが
で
きる
O
(資
料活
用の
技
能
・
表現
)
・作成
した
分
布
図
を比較
した
り
,関連
付
けた
り
して
,桃園の
分
布
と
,傾斜
地
との
関係
を見
いだ
す
こ
とが
で
きる
。
(社会
的
な
思考
・判断
)
・山
手村
では
,桃
の
土壌
の
適
応条
件か
ら,斜
面の
な
だ
らか
な砂
礫
質の
丘
陵地
に
分布
して
いる
こ
とを理
解
す
る
ことが
で
きる
。
(社
会
的事
象
に
つい
ての
知識
・理解
)
(2)展開
主な
発
問
・指
示
○仮
説
を検
証す
るた
めの資料
を収
集
し
よ
う
。
予想される生徒の反応 「一設定した仮説---・ | 斜面は水はけがよいから斜| |面で栽培しているのではないl l だろうか。 1 匸_______________________________」・どん
な斜
面で栽培
して
いるのだ
ろ
う。
→桃
圉か
おる
とこ
ろの斜
面
を調
べ
てみ
よ
う。
匸し
・桃園は
,標
高20
∼50m
の
間の傾
斜の
なだ
らかな
と
ころで栽培
さ
れ
て
いる
。
→標
高50m
以上の
急傾
斜の
所
で
は
作
られ
て
いな
い
。
→厂
斜面だ
か
ら」だけ
では説
明
が
っか
な
い
。
⑤
・桃園は
田の
多い平坦地
では栽培
が
少
な
い
。
→
田は湿
って
いる
。桃園
は乾
い
て
いた
。土
と関係
が
あるの
で
は
な
いか
。
→
地域の
上の
様
子
を調べ
るには
どうすれ
ば
いいの
だ
ろう
。理
科の
先
生に
聞
い
てみ
よ
う
。
→
『山手村
史』の
地質
図や地
形
分
類図
と比
べ
てみ
よ
う
。
→
栽培
して
いる農
家の
方に
,桃
作
りに適
した
上に
ついて聞
い
て
こ
よ
う。
34 ―指
導上の
留意
点
・前時
で
吟味
した
仮
説
をも
とに
立
てた調
査計
画
に従
い
,計画
的
に資
料
を収
集
し
,分析
に
時
間
をか
け
る
よ
う促
す
。
・桃園か
おるところの傾斜
を
調べ
る
には
ど
うすれ
ば
よ
いか
と問
いか
け
,断
面図
を活用す
る
方法
に
気
づかせ
る
。
※①
分
布
図の
調整
・匚
現地調査
を
した
ときの
桃
園の
様
子」
を尋ね
だ
り
,田が
湿
気て
いる理
由な
どを考
える
よ
う助
言す
る
ことで
,桃作
り
と土壌
が
で
き
るよ
との
う支
関係
援す
に
気
る
づ
。
くこと
・農家に聞き取りに行く際に, 桃園のある現地で聞き取りを したり,桃園の分布の境目を 観察し,その違いを調べるよ う助言する。資
料
・果樹園の 断面図 【図4】・断
面
図
【図
4】
・作成
した
桃園の分
布
図
【図
4】
・調整
した
段
彩
図
【図
4】
・山手村史
の
地質
図
・山手村史
の地形分
類
図
○調査結果を分析仮説を検証しよう。し,
・検証
とめ
よ
した結
う。
果
をま
汗
⑤
・調べた
果
を整
理
資料や
しよ
う。
聞き
取
り調査の
結
口 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄調査結果の整理一一-一一一二 │・桃園は,標高20∼50mの間の1 1 なだらかな丘陵地で栽培さ絹 | ている。 | ・傾斜の急な山地や,田の多い 平坦地ではほとんど栽培され ていない。 ・傾斜の緩やかな丘陵地は花崗 岩が風化したまさ土が多い。 ・農家の方は,桃は一度植えた らそこでずっと栽培するので, 土壌の適不適は非常に重要だ といっていた。 ・農家では,作業のしやすさと 水はけのよさの両面を考えて, 傾斜の緩やかな丘陵地で栽培 している。 1 1 1 ↓ ___」 【分析的知識の獲得】 ※ 臨地調査のた
野外
観
察
をふま・集め
た資
料や
現地
調査
で得た
情報
を分
布
図にま
とめ
、それ
らを重ね
だ
り
、比較
す
る
こと
に
よっ
て
、事
象の
関連性
を明
らか
に
し
、仮
説
を検
証
できる
よ
う支
援す
る
。
※③ 検証のための分布図の ー山手
村
では
,斜
面の
なだ
らか
な
,花
崗岩の
丘陵
地
で桃
を栽培
して
いる
。そ
こは
水
は
けの
よ
い砂礫
質の
土壌
を奸む
桃の
栽
培
条件
を満た
して
いる所
で
あ
る
。
・次時で,仮説の検証をするこ とを伝えれた結論をまとめるよ,調査結果から得らう促す。3
授
業モ
デル
の
成
果
本
授
業モ
デルの
成
果
と
して次の
二
点を
示す
。
①
従
来の
「身
近な
地域の
調査
」
学習
が
,
内容
知も
しくは
方
法知の
み
の
習
得
に
と
どま
って
いたの
に
対
して
,本モ
デル
では
内
容知
と
方法
知
を統
一的
に習
得
させ
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35IV 本研究の成果と課題 本研究では,地理的分野における厂身近な地域 の調査」学習の目標を達成するための匚内容知」 および匚方法知」の定義,およびこれらを統一的 に習得させるための授業構造を明示することがで きた。本研究で開発した授業モデルで獲得された 知識は,これまでの「地域を知る」にとどまらず, 他の事象や他地域での追究においても有効に働く 匚地域で知る一方で,地域的特色」知識となを追究すりうるものであるるためには。,地理 的技能だけではなく,他の諸科学の技能も必要で ある。また,小・中・高校での系統的な指導を行 う必要もある。今回は中学校社会科地理的分野で の授業開発のため,地理的技能の提示にとどまっ た。今後の課題は,他教科,他領域,他校種との 関連を図り,総合的に地域的特色を追究するため の技能の習得を図るカリキュラムを開発すること である。 〈注および引用文献〉 1)竹内裕一(2004):身近な地域を調べる視点と方法, 地理, 49-5, pp.60-61. 2)この点については,地域を学ぶのか,地域で学ぶの かといった学習のねらいの違いと解釈できる。篠原 昭雄,松岡尚敏(1991):地理的分野の実践の展開 『現代社会科教育実践講座 第20巻 社会科教育の 歴史と展望』研秀出版, pp.157-158. 3)「地形図の利用とその技能」に関する記述はこれま での学習指導要領においても示されていたが,平成 元年版学習指導要領では,地形図の利用とその技能 の他に,「資料の選択と活用,適切に表現する能力」 など,技能に関する記述が付け加えられた。 4)岩田一彦(2001):『社会科固有の授業理論・30の 提言一総合的学習との関係を明確にする視点−』明 治図書, pp.110-112. 5)松下誠(1998):『社会認識における探究能力・技能 育成の論理』兵庫教育大学平成10年度修士論文。 6)前掲4), pp.112-119. 7)三澤勝衛(1885∼1937)は,長野県の地理教師であ り,並行して地理学および地理教育に関する数多く の研究を行った人物である。三澤は,地理教育にお ける「郷土」の意義を明確に示すと共に,地理教育 -の目標を「風士吐の認識とその能力の養成」とする 独自の地理教育論を展開した。宮坂氏は「三洋の主 要な業績には,彼の生前に刊行されたものとして, 『郷土地理の観方一地域性とその認識−』(1931年), 『新地理教育論』(1937年)がある。これは,それ以 前に書かれた論稿や公演筆記を整理し,体系化した もので,三洋理論の集大成である」と述べている。 本研究では,これら著作を「郷土地理教育」として 取り上げ,分析,考察した。なお,これら著作は矢 洋大二氏が編者となり,三津勝衛著作集全3巻とし て1979年に刊行されている。宮坂広作(1990): 『風土の教育力:三洋勝衛の遺産に学ぶ』大明堂, pp.69-70. 8)三洋勝衛(1931):郷土地理の観方一地域性とその 認識−,矢洋大二編『三洋勝衛著作集1 郷土地理 研究』みすず書房, pp.29. 9)同上, pp.30. 10)同上, pp.30 11)岩田氏は,「人間形成の基本は,人類が辿ってきた 『問い→仮説→検証→新しい問い』の過程をできる だけ効率よく辿らせることである。このプロセスが 『学び方』の基礎・基本である」と述べ,「「問題発 見→仮説→検証」の学習過程を組めば,説明的知識, 概念的知識の形成が可能である」との理論を示して いる。前掲4), pp.52-53. 12)山手村は,平成17年3月22日に,都窪郡清音村,総 社市と合併し,総社市(新設)となった。本研究に おいては,合併以前の山手村を調査対象地域とした。 13)して,位置,分布例えば,岩田氏は,景観地理的見方,環境(地理的分析視点)と,地域を提案してい る。岩田一彦(1984):地理的見方考え方の構造, 岩田一彦編著『中学校社会科授業研究4 地理教科 書を活用したわかる授業の創造』明治図書, pp .29-30. 14)福田秀樹(2004):この木,何の木,気になる木, 地理49-5,古今書院, pp.38-40. 15)前掲8), pp.31. 36−