• 検索結果がありません。

馬事通信原稿

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "馬事通信原稿"

Copied!
14
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

馬事通信原稿第 1 回版.doc

火がついた中国競馬事情

㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS) 理事長 小池 尚明 世界第 2 位の経済大国となった中国において、競馬を取り巻く馬産業も猛烈 な勢いで活発化しており、それも官民を挙げて大きく変化してきている。 民のレベルでは数年前から将来の競馬解禁を目論んで競馬場建設や軽種馬の 海外輸入などの動きが活発化していたが、最近になって官のレベルでも大きな 変化が起こってきた。特に、昨年 12 月の日中農業部副大臣級会合で中国側副 大臣が競馬に関して言及した点が大きい。これまでの中国農業部は競馬、すな わち中国語でいう“賽さい馬ま”という言葉は使わずに、頑なに“馬業の振興”とい う言葉で日本との交流を求めていたが、ここにきて「中国でも日本をモデルに 競馬の導入を準備しており、日本の先進的な競馬ノウハウを提供してほしい」 旨の具体的発言があったと聞いている。 これまで㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS)の前身である競馬国際交 流協会は 2005 年から中国の馬関係者と本格的な交流を開始し、中国における 競馬や生産の動向調査、中国要人の日本への招聘、中国馬関係者の技術研修、 中国における出張馬学講座など様々な活動を行なってきたことが一挙に花開い て来た感があり、感無量の思いである。 民間による海外からの馬輸入の動きは 2008 年頃から活発化し、欧・米・豪 州を中心に毎年 1,000 頭を超える馬が輸入される状況が生まれてきた。日本か らの馬輸入を希望する者も 2009 年春頃から急激に増加してきて、その中で吉 林省長春で乗馬倶楽部を経営する曲慶東氏がいち早く日本からの馬輸入に名乗 りを上げ、2010 年 3 月に 51 頭のサラブレッドを輸入した最初の中国人となっ た。 つぎに日本側を仰天させたのが山西省大同市で炭鉱業やホテル経営などを営 む玉龍集団理事長の張月勝氏が 2010 年のオータムセールで 18 頭のサラブレッ ドを競り落とし、いきなりトップバイヤーとなった“事件”である。我々が生 産管理研修生の一員として招聘した彼は、来日前に日本でサラブレッドを購入 したい意向は示していたものの、中国人がセリで購買するためには余納金や保 証人、決済方法など多くの課題を事前に詰めておく必要があるため、我々も今

(2)

回の来日中には購買は難しいのではないかと高を括っていたところがあった。 しかし、来日後も購買意欲を募らせていたために、セリ前夜に市場関係者らと 時間をかけて対応策を協議し、なんとか購買者登録を受付けることになり、当 日のセリに臨んだところ我々の予想に反し、本人は手を挙げだしたら止まらな くなってしまった。結果として、2010 年北海道市場オータムセールのトップバ イヤーとなり、日本のセリで購入した最初の中国人として一躍“時の人”とな ってしまった。 前出の曲氏も同様であるが、中国人は人に先駆けて“一番になる”ことが何 よりも快感であり、日本としては今後、この辺のところを心得てビジネスをし ていく必要があろう。 また、2010 年の中国での出来事として大きかったのが中国上海で行なわれた 「第 1 回中国国際馬博覧会 HORFA」である。これは、中国馬業協会が毎年行 なっていた国内の馬博覧会を、上海万博に合わせて国際的なイベントとして初 めて企画され、3 日間の開催に 12 カ国延べ 8073 名(主催者発表)が集まった。 日本からも我々を含め 20 名の馬関係者が参加し、日本の競馬やサラブレッド の優秀性をプロモーションすることができた。 私は、博覧会の初日に行なわれたシンポジウムで「馬大国中国はどのような 競馬を目指すべきか」というタイトルで約 1 時間の講演をする機会があった。 この講演の狙いは、1949 年以来中断している中国の近代競馬を“秩序ある公正 な競馬”として復活させることが、低迷を続ける世界の競馬ひいては日本の競 馬の振興に不可欠であるという思いで講演したところ、中国の参加者から大き な反応と手応えを感ずることが出来た。 (以下、次号に続く) オータムセールで購買馬を検討する張月勝一行 上海の国際馬博覧会に集まった各国の馬関係者

(3)

馬事通信原稿第 2 回版.doc

馬ビジネス拡大の戦略

㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS) 理事長 小池 尚明 前号につづき、2010 年 9 月に行われた中国国際馬博覧会に関連する事項か ら紹介する。 この博覧会には2つの大きな目的があって、①国内外の馬関係者を集めて世 界の競馬や乗馬、馬産などに関する情報を共有化し馬産業の発展に繋げること、 そして②馬産業のビジネス拡大を図るための国際的な場を提供することである。 私の感想としてはむしろ②の方に力を入れており、40 ヵ所の展示ブースには 12 カ国から馬に関する飼料、輸送、獣医医療、アート、セリなどの会社が出展 すると共に、40 頭以上の販売用の馬(サラ、アラブ、汗血馬など)が展示され 現場で相対のビジネスが盛んに行なわれていた。ここに集まった客層調査によ ると、個人馬主 34%、馬愛好家 22%、馬術倶楽部 13%、馬ビジネスマン 18% などの順になっており、現に、オランダの馬輸出業者 VDL 社は博覧会終了後に 「20 頭以上の馬売買が成立し大成功だった」と述べている。日本から唯一のブ ース展示を行なった T&Y 社のグループは、日本馬の輸出について中国各地の購 買希望者と面談し、その結果、本年 1 月の内モンゴルグループと北京グループ への馬販売に繋がったと思っている。本年 2011 年には 10 月 27 日(木)~31 日(月)の 5 日間に規模を拡大して開催する予定であり、今後、日本側として もこの機会を捉えて大いに販路拡大に努めるべきである。 それでは、この博覧会を主催した中国馬業協会(CHIA)とは一体どんな組織 なのだろうか。 この協会の設立は比較的新しく、2002 年 10 月に「全国馬匹育種委員会」と 「中国サラブレッド登録管理協会」を基礎として日本の農水省に当たる中国農 業部所管の唯一の馬関連全国組織として設立された。CHIA の業務範囲は広く、 競走用馬・乗馬・在来馬を含めた馬種の生産や育種、登録、保護はもとより、 学術、文化、研究、ひいては展覧会、研修会、競技会、セリ市場など馬業の振 興のためには何でもやれる組織となっており、全国 34 の行政区に約 4500 名の 個人・法人会員を抱えて急速な発展を続けている。 旧競馬国際交流協会は、いち早くこの組織と連携しながら技術研修会や中国 の要人招聘などを手掛けてきたが、日中間の馬取引に関しても不正な取引や無

(4)

用なトラブルが起こらぬよう、それぞれの国の取引参加者の信頼性をお互いに 担保し合うこととしている。 今、中国の馬ビジネスの現況は猛烈なスピードで変化し、拡大していること を実感する。競馬場建設などの大きなプロジェクトでは、ドバイのメイダン競 馬場をモデルとした天津市郊外の「天津馬城」や四川省成都の「成都金馬国際 体育城」を初め、数千億円規模の巨大プロジェクトが雨後の竹の子状態である。 また、中国での馬に関するネット情報や新聞情報を検索していると、中国人 は馬を持つこと自体がステータスであり、馬を自分のビジネスを成功させる道 具として使うなど日本では考えられない用途として用いられており、富裕層の 間で一大ブームを引き起こしているといえる。 このブームに便乗しようと世界各国はしのぎを削って対中馬ビジネスに乗り 込んでおり、特にオセアニア、米国が自国政府を巻き込んだプロモーション活 動に熱心である。現に、中国人が馬購買に訪れたい国別順位ランキングでは米 国 27%、欧州 21%、豪州 20%の順となっており、カナダと日本はそれぞれ 8%、 6%でやや出遅れ気味である。疲弊する日本の馬産業界としては、中国ビジネス を千載一隅のチャンスと捉え、官民挙げて中国進出を画策すべきである。幸い にも、農水省内に馬ビジネスを含めた「中国輸出促進本部」が立ち上がり、鹿 野大臣、筒井副大臣が陣頭を切って馬輸出促進を標榜しており、国を挙げて中 国ビジネスを成功させる体制が整ってきた。 日本は中国に最も近いパート 1 国というアドバンテージを生かし、あらゆる 機会を捉えて世界に冠たる競走馬を売り込んでいくことが求められている。 (以下、次号に続く) 天津市郊外で進められている「天津馬城」の建設プロジェクト

(5)
(6)

馬事通信原稿第 3 回版.doc

信用できる中国馬関係者

㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS) 顧問 小池 尚明 2010 年 3 月から中国への馬輸出が始まり、本年 3 月までに 111 頭のサラブ レッドが中国に渡った。現在スタンバイしている馬を加えると 150 頭を超える 馬が 1 年余りの間に中国人と日本人の間で成約したことになる。しかし、ここ に至るまでには多くの課題が浮き彫りになり、さまざまな紆余曲折があった。 私は、その中で最も大きな問題点であり今後の課題は “信頼関係の構築”だ と思う。 国を跨いで初めて取引をする場合、売る側も買う側も不安の中で契約 が始まる。特に日本人には中国あるいは中国人に対する潜在的な不信感が根強 くあるように思う。しかし、そこで改めて相手方の気持ちで考えてみたい。 今回の東日本巨大地震後によく流れていた公共広告機構のテレビ CM の「馬 鹿といえば馬鹿という、・・・・・こだまでしょうか、いいえ誰でも」という一節に あるように、“こちらが不安であれば相手も不安、こちらが信用しなければ相手 も信用しない”のは人の世の習いである。私は近年多くの中国人と接触してき たが、社会主義国家中国という特殊な社会体制の中で中国人は実に逞しくエネ ルギッシュで、ある意味プライドの高い人間が多い。大戦後の復興日本時代の 日本人を見ているようである。そして、商取引に関して言えば非常に論理的で、 建前ではなく本音で勝負する。納得できない時は 1 円でも払わないが、納得で きれば金に糸目を付けないところがある。 別に中国人の肩を持つわけではないが、日本から馬を輸入する場合、日本に はない国家安全保障上の各種の制約が中国国内には多いのも事実である。馬取 引の場合で一番問題になるのが契約後の送金問題であるが、中国元を外国に持 ち出せない中国の金融制度の中で、日本円などの外貨を中国国外に送金したり 持ち出したりする場合、外貨管理局の厳しいチェックが課せられる。これをク リアーするために日本では考えられないほど時間と手間がかかる。その他、中 国側には日本に行く場合のビザ発給や馬の輸入許可証の取得、検疫場所の確保 や検疫官や関税当局との交渉など日本にはない苦労の中で馬を輸入しなければ ならない。それでも中国人はひたすら頑張る。これを「日本と中国の商習慣の 違い」とひと言で片付けてしまうにはあまりにも気の毒な面があると思ってい る。

(7)

こういった環境の中でも中国人は世界中に馬を求めて輸入頭数を急増させて きている。この場面で見習うべきは、欧米人の“したたかさ”である。 馬を買いたがる富裕層を相手に、先ずはいろいろな媒体を通じて中国人が買 いたくなる様なメッセージを送り続ける。そして、自国の馬産地やセリ市場、 競馬場などに招待して気持ち良くさせ、相手をその気にさせる。場合によって は中国に乗り込んで、現地でのセリ開催や牧場経営などの共同経営・共同出資 にも踏み込む。このような動きは国や地方政府を挙げて民業を支援する形で官 民一体で行われている。 以上のように国際間の競争の中で日本がビジネスチャンスを広げていくため には、先ずは日本の良さを理解してもらいながら取引相手との信頼関係を作る こと、そのためには相手側の目線に立って徹底的に話をすること、さらに商売 を離れた付き合いが出来れば自ずと両者の理解が深まることになる。取引に関 しては、可能な限り相手の要望に沿うことを前面に打ち出し、その気になって もらうことが大切だと思う。日本の場合、リスク回避のために取引上の条件面 から説明していくために、“この人は俺に売りたくないのではないか”と思われ てしまうきらいがある。 このような民業の交流を深めるために行政側の支援も大切である。日本の馬 産業振興の大元締めである農水省も最近になって中国との交流支援に積極的に 乗り出してきた。 今回、農水省が馬を含めた農畜産物を中国に積極的に売り込むため、3 月 19 日から鹿野農水大臣をトップとする訪中団、いわゆる“鹿野ミッション”が計 画されていた。我々馬関係者もこれに同行して日本のセリ市場の説明会や中国 の馬購買者の動向調査を行う予定であったが、震災の影響によりこの号で紹介 することができなくなってしまった。しかし、いずれ日本馬のプロモーション を 中 国 で 行 う 予 定 な の で 機 会 が あ れ ば 後 日 紹 介 す る こ と と し た い 。

(8)

天津馬城の中国・ドバイ関係者によるメディア発表の様子

(9)

馬事通信原稿第 4 回版.doc

どうなる中国賭事競馬

㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS) 前理事長 小池 尚明 中国の競馬に関し日本の馬関係者が最も関心を持っているのは、“どうなるの か中国の賭事競馬は?”ということではないだろうか。私はこの問いに対して、 確信をもって“必ず始まる中国賭事競馬”と答えている。 その根拠は、私が今まで会った中国の要人と呼ばれる共産党や国務院の幹部 逹と中国の競馬制度について議論をしてきた中で、誰一人として“賭事競馬は だめだ”と競馬そのものを否定する要人がいないことである。そもそも競馬は 世界中で行われており、特に大国と呼ばれている国々で競馬が行われていない のは中国だけである。そして、各種のサミットに参加する国々の文化的水準を 表すバロメーターとなっているのが競馬であり、多くの民衆や地方政府関係者 が競馬の再開を熱望する中で、改革開放を進め人民の意思を反映する「特色あ る社会主義法体系国家」を標榜する中国の一つの負い目になっているものと思 っている。 現在、中国における賭け事は、「中華人民共和国刑法第 303 条」により禁止 されているものの、薬物や売春は第 6 章「社会管理秩序妨害罪」の中で単独の 節(第 7 節:薬物、第 8 節:売春)を起こし、死刑もしくは無期懲役の極刑で 取り締まられているものと異なり、賭事は第 1 節の「公共秩序攪乱罪」の中の 一条項で 3 年以下の懲役刑として規定され、“三悪”の中で比較的軽い扱いに なっている。 中国要人との話の中で、彼らが抱える最も大きな問題点は、“競馬を統括する 所管部署をどこにするのか”という整理が出来ていないという点である。現在、 国が認めている“賭事らしきもの”として財政部と民生部が所管する福祉クジ と財政部と国家体育総局が所管する体育クジがある。この体育クジは、中国の スポーツ振興を目的に行われているが、欧州のサッカーリーグと米国のバスケ ットボールリーグを対象に行われているもので、いずれも国内の競技を対象に 行われているものではない。賭事競馬をこの体育クジの一つとして行うことが 検討されていたが、2009 年の全人代終了直後に国家体育総局が「競馬を体育ク ジの一環として行うことは困難」という事実上の撤退宣言を行って以降、馬業 振興を所管する農業部が前面に出てきた経緯がある。すなわち今の中国では、

(10)

「何を目的に競馬をやるか」つまり「競馬の益金を何に使うか」について各省 庁間の“鬩ぎ合い”になっているものと考えられる。 日本としてもう一つ気になる点は、“いつ頃、賭事競馬が始まるのか?”とい う点であろう。 中国での新たな政策を決定するプロセスを見てみると、①まず、党または党・ 国務院が禁止事項の解禁を含めて方針を示し、②関係部署が数箇所の候補地を 選定し小規模な試行実施を行い、③関係部署が試行実施結果を総括して国務院 に対して提言を纏める。そして、④国務院の決定を受けて全人代常務委員会が 立法化に取り組み、⑤全人代常務委員会で法案を審議・採択・施行し、最終的に ⑥関係部署が法に基づき実施する、といった手順が採られている。 刑法で禁じられている賭事競馬も以上のような手順で解禁されるものと考え られるが、日本のように競馬の統括部署が農業部単独で管理・監督されるか、 あるいは他の部局や地方政府を参加させながらの複合的な所管制度を採用する かは微妙である。 いずれにしても、私自身、党の方針の下にここ数年の間に「競馬の試行実施」 が行われる可能性が高いものと考えている。その時には、刑法の「公共秩序撹 乱罪」の関係から、社会の騒乱を招かない「公正で秩序ある競馬」であること が絶対条件となるので、国家が厳しく管理する日本型の競馬が採用されるもの と思っている。 この原稿を書いている現在、福島第一原発の放射能汚染事故に終息の目途が 立たず、日本の食品や農産物の輸入規制措置が世界各国に広がり、この関係で 軽種馬の海外輸出も大きな影響を受けている。軽種馬生産地が中国への販路拡 大を進めている中で頭から冷や水をかけられた状況ではあるが、中国が求める 競馬は日本型の競馬であることを確信して、今は次のステップに向けて冷静に 判断し、戦略を練るべき時であると思う。次の号では、「立ち直れ日本競馬」に ついて私見を述べたいと思っている。

(11)

財経領導小組の陳錫文氏(左 6)がビッグレッドファームを視察した際の記念写真

(12)

馬事通信原稿第 5 回版.doc

立ち直れ日本競馬

㈶ジャパン・スタッドブック・インターナショナル(JAIRS) 前理事長 小池 尚明 東日本大震災と東電放射能汚染の影響が続く中で、日本経済は果てしない泥 沼にのめり込んいくように見えるが、競馬産業界も同様に大きな影響を受けて いる。特に軽種馬の対中国輸出に関しては、JRA 佐藤総括監の唱えた“今が最 高、最大、最後のチャンス”の言葉が今となっては時期を逸してしまったと感 じた人もあると思うが、本当にそうだろうか? 私は、昨年から始まった対中国馬輸出がやや過熱気味だったこともあり、今 の時期は少し頭を冷やして次のステップに向けての対中国輸出日本戦略を立て る好機だと思う。 最近の世界競馬の状況をみると、競馬先進国と呼ばれる欧米の競馬が悲惨な 状況に陥っている。特に英国やアイルランドでは「ブックメーカーへの賦課金 制度」が行き詰まり、競馬場の運営費や賞金費に金が回らず、馬産への影響も 甚大で軽種馬生産頭数も大幅に減少してきている。米国でも馬券発売業者間の 過当競争により老舗の有力競馬場が経営破綻により閉鎖に追い込まれる事態が 多数起こっている。さらに、ハッカーによる馬券発売ネットワークへの不正進 入や発走後の馬券発売など、競馬の根幹を揺るがすような不正行為も起こって いる。 こういった中で、日本ではファンに信頼された公正競馬がしっかりと行われ ており、相対的に日本の競馬システムや軽種馬の生産・育成技術が見直されてき ている。特に、今回の震災で打ちひしがれた日本が世界最大の競馬イベントで あるドバイ WC で日の丸のシャツを着て“チームジャパン”として日本産馬で 1,2着を独占した快挙も大きく影響している。 今こそ、世界に冠たる日本の競馬運営に自信を持つべきであり、この優れた 日本の競馬システムやノウハウを世界に売り込んでいくべき好機でもある。 競馬においては後発の中国においては、これら世界の一連の動向を冷静に観 察しており、中国馬関係者や中国政府筋も、「先進的で独創的な競馬モデル」と して日本の競馬を中国に取り入れようとする動きが広がっている。そこで、日 本が中国へ売り込むべき商品は、①公正競馬施行の根幹をなす競馬の基本シス テム、②世界の頂点を極めた日本産軽種馬、③公正競馬を支える競馬関連製品

(13)

と技術、④生産・育成・獣医・装蹄などの技術を備えた人的資源、⑤ファンや 業界関係者に提供される競馬関連情報、の 5 つだと思っている。 この中で私が今特に重要視したいのが、④の人的資源の中国進出である。今 の中国が特に欲している人材は、優れたサラブレッドをつくるための配合・生 産技術者、馴致・育成技術者であり、それらの技術者を育成するための教官で ある。サラブレッドに特化した日本競馬の中で優れた馬を造る技術を持つ日本 の人材が求められているのである。 欧州・米国・豪州などは、ビジネスチャンスの匂いを嗅ぐと世界中のどこにで も飛んで出て行く。競馬の行われていない中国にも多くの外国人が働いている。 日本人ではシンガポールの高岡秀行師やフランスの小林智師、アイルランドの 児玉敬師など外地で頑張る数少ない調教師はいるものの、中国においては生産 者や育成技術者、獣医・装蹄師などを含め皆無である。ヒトが出て行けば自ずと モノや情報は付いていくものである。 恐ろしい勢いで発展する中国では、今、馬のブームが起こっている。速度競 馬や馬術競技はもとより、ホーストレッキング、ポロ、ホースセラピーなど、 馬に関係するビジネスが盛んに行われている。これらの動きをキャッチするに は、中国の馬に関するインターネットサイトを見るのが一番早い。 私はほとんど中国語は話せないが、漢字(簡体字)を見ているとほぼどんな ことが書いてあるか次第に分かってくる。昔習った「漢文」の返り点のないよ うなものである。まず実際にお勧めしたいのは馬業協会のホームページ (http://www.chinahorse.org)である。トップページは五目チラシ寿司を見て いるようで、ゴチャゴチャしているところもあるが、馬に関する情報やリンク 先が満載である。 も う 一 つ は 、 国 家 体 育 総 局 の 傘 下 に あ る 中 国 馬 術 協 会 の サ イ ト (http://www.horse.org.cn)で、中国の馬術や馬文化を紹介してくれる。 最後に私事ではあるが、JRA を初めとした競馬業界に長年お世話になり、今 回ジャパン・スタッドブック・インターナショナル理事長を退任した自分とし ては、今後、日本競馬が元気になるようさまざまなお手伝いをしたいと考えて いるので、宜しくお願いします。 この項終わり。

(14)

コンテンツ満載の中国馬業協会ホームページ ドバイ WC 勝利後ポーズをとるミルコ・デムーロ

参照

関連したドキュメント

本ガイドラインは、こうした適切な競争と適切な効果等の把握に寄与する ため、電気通信事業法(昭和 59 年法律第 86 号)第 27 条の3並びに第 27 第

建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号)第 130 条の 4 第 5 号に規定する施設で国土交通大臣が指定する施設. 情報通信施設 情報通信 イ 電気通信事業法(昭和

1着馬の父 2着馬の父 3着馬の父 1着馬の母父 2着馬の母父

  池田  史果 小松市立符津小学校 養護教諭   小川 由美子 奥能登教育事務所 指導主事   小田原 明子 輪島市立三井小学校 校長   加藤 

[r]

  BT 1982) 。年ず占~は、

また︑郵政構造法連邦政府草案理由書によれば︑以上述べた独占利憫にもとづく財政調整がままならない場合には︑

廃棄物処理責任者 廃棄物処理責任者 廃棄物処理責任者 廃棄物処理責任者 第1事業部 事業部長 第2事業部 事業部長