『
御
抄
」の
『正
法
眼
蔵
』解
釈
数
量
表
現
に
つ いて
伊
藤
一 八 〇秀
憲
一は じ め に 『 正 法 眼 蔵 』 に は 、 数 量 を 表 わ す 表
現
が 多 く 用 い ら れ て い る 。 勿 論、 四 大・ 五 蘊 ・ 十 二 処 ・ 十 八 界等
、 術 語 と し て 本来
の意
味 を有
す る も の も あ る が 、 三 寸 ・ 七 尺 八 尺 ・ 一 枚 二 枚 等 の よ う に 、 術 語 で は な い が 、 し か し単
な る 数 量 を 表 わ し て い る の で は な い と 思 わ れ る 表 現 も 少 く は な い 。 こ こ で 取 り 上 げ よ う と す る 「 数 量 表現
」 と は、前
者 で は な く後
者 の よ う な 場 合 を 言 う の で あ る 。使
用 さ れ る 数字
も 、 一 か ら 十 、 或 は 一 よ り小
さ く 半、 或 は 百 千 万 と い う 非 常 に 大 き な 場 合 も あ る 。 だ が 『御
抄 』 ( 『 正 法 眼 蔵 抄 』 ) は 、 心 ず し も そ の 数 量 通 り の 意味
に は解
釈 し て い な い よ う で あ る 。 本稿
で は、 小 さ な数
量 か ら 順 次 取 り 上 げ、 そ の 数 字 が 一 体 ど の よ う な 意 味 を 表 わ そ う と し て い る の か 、 『 御 抄 』 の 解 釈 を 通 し て 考 察 す る こ と に し た い 。 用 例 は 多 く あ る が 、 紙幅
の 関 係 上 、 主 な も の の み に と ど め る こ と に す る 。 以 下 の 引 用 文 中 、 『 正 法 眼 蔵 』 は 大 久 保 道 舟 編 『 古 本 校 定 正 法 眼 蔵 』 に 、 『 正 法 眼 蔵 抄 』 は 『 曹 洞 宗 全 書 』 註 解 一 ・ 二 に よ っ た 。 二 数 量 表 現 の 用 例e
半 「 半 」 と 号 . 口 え ぽ 、 「 一 」 或 は 「 全 」 ( 全 体 ) の
半
分 と い う こ と で あ り 、二
」 「 全 」 が 完 全 な 様 を表
わ す と す れ ば 、 「 半 」 は 不 完 全 な 様 を 表 わ し て い る と 言 わ な け れ ぽ な ら な い 。 で は、 『御
抄 』 は こ の 「 半 」 を ど の よ う に 解 釈 し て い る の で あ ろ う か、 次 に そ の 用 例 を 見 て み る こ と に し た い 。ω
半 人 こ の 宗 旨 を 挙 拈 す る と き は、 た だ 仏 祖 の み な り 。 さ ら に 半 人 な し 、 一 物 な し、 一 事 未 起 な り 。 ( 仏 教 三 二 二 頁 ) 是 ハ 此 理 ヲ ア ク ル ト キ ハ 、 仏 祖 ノ 外 二 又 交 物 ナ キ 所 ヲ 、 半 人 ナKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty シ 、 一 物 ナ シ ト 云 也 、 ロ ハ 仏 祖 ノ ミ ア ル ヘ キ 也、 唯 仏 与 仏 是 也 、 ( 抄 一 ・ 七 一 七 頁 下 ) 仏 祖 の み で 仏 祖 の
外
に 交 る も の が な い こ と ( 唯 仏 与 仏 ) を 述 べ ん が た め に 、 「 半 人 」 さ え も、 又 次 の 項 の 「 一 」 と 関 係 あ る が 、 「 一物
」 さ え も 仏祖
の外
に は い な い と 言 っ て い る 。 こ の 「 半 」 は 、仏
祖 に 相 対 す る も の の な き こ と を 強 調す
る た め に 用 い ら れ た も の で あ り 、特
別 な 意 味 は な い と 言 え る 。半
枚 い は ん や 雲 居 高 祖 い は く、 た と ひ 仏 法 辺 事 を 学 得 す る、 は や く こ れ 錯 用 心 了 也 。 し か あ れ ば、 半 枚 学 仏 法 辺 事 、 ひ さ し く あ や ま り き た る こ と 日 深 月 深 な り と い へ ど も 、 こ れ 這 皮 袋 に 撞 入 す る 狗 子 な る べ し 。 知 而 故 犯 な り と も 有 仏 性 な る べ し 。 ( 仏 性 三 二 〜 三 三 頁 ) 半 枚 学 仏 法 辺 事 、 ピ サ シ ク ア ヤ マ リ キ タ ル ト 云 ハ 、 ア ヤ マ リ ニ テ ナ シ 、 半 枚 ト 云 ヘ ハ 、 全 枚 ノ ア リ テ 不 及 所 ヲ 半 ト 云 ニ ア ラ ス 、 ユ へ 二 這 皮 袋 二 撞 入 ス ル 狗 子 ナ ル ヘ シ 、 知 而 故 犯 也 ト モ 、 有 仏 性 ナ ル ヘ シ ト 云 也 、 但 半 枚 ト 云 、 半 ノ 字、 非 7 無 7 謂、 錯 用 心 ト 云 方 ト 、 知 而 故 犯 也 ト モ 有 仏 性 ナ ル ヘ シ ト 云 方 ト ヲ 、 分 テ 半 枚 ト ハ 仕 フ ナ リ 、 ( 聞 書 一 ・ 一 一 二 頁 下 ) 半 枚と
一. 口 っ て も 全 枚 に対
す る 半 枚 で は な い こ と は 『 聞 書 』 に 明 ら か であ
る 。 た だ こ こ で は 、 錯 用 心 と い う 方 と 、 知而
故 犯 也 と も 有仏
性 な る べ し と い う 方 と を 分 け て 半枚
と 言 っ て い る の だ と 釈 し て い る 。 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 )半 到 ・ 半 不 到 い ふ べ し 、 意 句 半 到 也 有 時 、 意 句 半 不 到 也 有 時 。 ( 有 時 一 九 四 頁 ) 半 詞 出 ク レ ハ ト テ 、 不 満 二 対 シ タ ル 半 ト ハ 不 レ 可 二 心 得 } 、 有 時 ノ 半 ナ ル ヘ シ 、 ( 抄 一 ・ 四 五 七 頁 下 ) 「
半
到
・ 半 不 到 」 と あ っ て も 、半
に 特 に意
味 があ
る の で は な い 。 そ の ど ち ら も 、 有 時 に ほ か な ら な い こ と を述
べ ん と し て い る の で あ る 。⇔
一
ω
一
枚
動 ず る は い か 父 せ ん と い ふ は、 動 ず れ ば さ ら に 仏 性 一 枚 を か さ ぬ べ し と 道 取 す る か 、 動 ず れ ば 仏 性 に あ ら ざ ら ん と 道 看 す る か 。 ( 仏 性 三 一. 一 頁 ) 動 ヲ 仏 性 ト 心 得 ル 所 ヲ 、 暫 仏 性 ] 枚 ヲ カ サ ヌ ト ハ 可 一 一 心 得 一 歟 、 ( 抄 . ・ 一 一 四 頁 下 ) 尽 十 方 界 、 在 自 己 光 明 裏 。 眼 皮 一 枚、 こ れ を 自 己 光 明 と す 。 ( 十 方 四 七 七 頁 ) 此 自 己 尽 十 方 界 ノ 自 己 ナ ル ヘ シ 、 此 自 己 ノ 上 ノ 眼 皮 一 枚 也 、 如 γ 此 ナ ル ユ ヘ ニ 、 尽 十 方 界 ト 、 自 己 光 明 裏 ト 只 一 物 也 、 是 ヲ 自 己 光 明 ト ス ル ナ リ 、 ( 抄 二 ・ 二 四 七 頁 上 )は
動
と 仏 性 と が 異 な ら な い こ と を、 は 尽 十 方 界 と 自 己 光 明裏
と が 異 な ら な い こ と を二
枚
L な る 語 が 表 わ し て い る 。 こ の よ う に 、 二 者 が 異 な る の で は な く 不 二 同 一 で あ る こ と をコ
枚 L と 言 っ て い る の で あ る 。 一 八 一『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 )
一 句 ・ 一
偈
或 従 知 識 し て 一 句 を き き 、 或 従 経 巻 し て 冖 句 を ぎ く こ と あ る は 、 す な は ち 得 授 記 な り 。 ( 授 記 一 九 六 頁 ) 如 レ 文 、 一 句 ヲ 見 聞 ス ル ヲ 受 記 ト ハ 、 打 任 ハ 難 7 云、 但 仏 祖 ノ 一 句 ト 云 詞 ハ 、 イ カ ニ ト 可 二 心 得 一 ソ 、 一 句 ナ レ ハ 少 ク 不 足 二 、 万 句 ハ 多 満 足 シ タ リ ト ハ 不 〆 可 二 心 得 一 、 仏 祖 ノ 一 句 ノ 外 二 、 惣 カ ケ タ ル 義 不 レ 可 γ 有、 此 一 句 半 偈 授 記 ナ ル ヘ キ 道 理 必 然 ナ リ 、 ( 抄 一 ・ 四 六 六 頁 上 ) 聞 法 華 経 は た と ひ 甚 深 無 量 な る い く 諸 仏 智 慧 な り と も、 き く に は か な ら ず 一 句 な り、 き く に は か な ら ず 一 偈 な り、 ぎ く に は か な ら ず 一 念 随 喜 な り 。 ( 授 記 二 〇 〇 〜 二 〇 一 頁 ) 是 ハ 如 〆 文、 詮 ハ 法 華 経 ノ 無 量 無 辺 ト 云 モ 、 只 一 句 一 偈 ナ ル ヘ シ 、 一 句 一 偈 ハ 不 足 二 、 無 量 ハ 多 カ ル ヘ シ ト 不 レ 可 二 心 得 →ヨ
句 ノ 外 二 更 ア マ ル 一 法 ア ル ヘ カ ラ ス 、 一 念 随 喜 又 同 、 ( 抄 一 ・ 四 七 六 頁 下 〜 四 七 七 頁 卜 ) ◎ し か あ れ ば す な は ち、 乃 至 聞 一 偈 一 句 受 持 す る は 、 得 見 釈 迦 牟 尼 仏 な り 。 亦 見 多 宝 仏 な り、 見 諸 分 身 仏 な り 。 ( 見 仏 四 八 五 頁 ) ニ ど ぞ ピ ナ エニ
ノ ぞ ク ミ ナ ぼ ラ ナ コ ノ 今 所 レ 云 ノ 一 偈 一 句 非 こ 凡 見 】 偈 一 句 「 也、 尽 十 方 界 一 偈 ナ リ 、 尽 十 方 界 一 句 也、 此 道 理 ヲ 受 持 ス ト ハ 仕 也、 此 一 偈 一 句 ノ 道 理 ヲ 得 見 釈 迦 牟 尼 仏 ト モ 、 乃 至 諸 分 身 仏 ト モ 談 也 、 ( 抄 二 ・ 二 七 二 頁 下 ) 一 句 は 少 な く、 万 句 或 は 無 量 句 は 多 い と 考 え る が、 そ う し た 考 え を の 『 抄 』 は 否 定 し て い る 。 一 句 の ほ か に 一 法 が あ る の で は な い か ら 、 い わ ゆ る の 「 一 句 、 二 句 、 … … 」 と い 一 八 二 う 場 合 のコ
句 」 で は な い 。 仏祖
の 説 か れ た 一 句 に す べ て が 摂 さ れ て い る と 解釈
し て お り、 ◎ も ま た 、 「 尽十
方 界 一偈
ナ リ 、 尽 十 方 界 一 句 也 」 、 尽 十 方 世 界 が 即 ち 一偈
・ 一 句 に ほ か な ら な い と 説 か れ る 。一 丈 ・ 一 尺
二
寸 雪 峰、 示 衆 云 、 世 界 闊 一 丈、 古 鏡 闊 一 丈 。 世 界 闊 一 尺、 古 鏡 闊 一 尺 。 ( 以 下 略 ) ( 古 鏡 一 八 四 頁 ) 此 詞 不 〆 被 二 心 得 ハ 世 界 闊一 丈 ト 云 事 、 打 任 テ 、 ア ル ヘ キ 儀 ニ ア ラ ス 、 古 鏡 闊 一 丈 ト ア リ 、 是 又 不 二 打 任 一 、 彼 是 詞 、 耳 目 驚 カ レ ヌ ヘ シ 、 タ タ シ 此 丈 尺 ノ 様、 於 二 仏 法 上 一 ノ 所 談 ナ ル ウ ヘ ハ 、 頗 始 テ 非 レ 可 γ 驚、 勿 論 事 也、 丈 尺 サ ラ ニ 長 短 ニ カ カ ハ ル ヘ カ ラ 刃、 ( 抄 一 ・ 四 二 二 頁 下 〜 四 ニ ゴ . 頁 上 ) 一 丈 ノ 詞 ハ 、 世 界 ト 、 古 鏡 ト ノ 、 親 切 ナ ル 事 ヲ ア カ シ 、 一 尺 ノ 詞 ハ 丈 尺 ノ ヒ ト シ ク 、 親 切 ナ ル 所 ヲ イ フ 也 、 ( 聞 書 一 ・ 四 四 〇 頁 上 ) ω 大 慈 寰 中 禅 師 い は く 、 説 得 一 丈、 不 如 行 取 一 尺 。 説 得 一 尺、 不 如 行 取 一 寸 。 こ れ は、 時 人 の 行 持 お ろ そ か に し て、 仏 道 の 通 達 を わ す れ た る が ご と く な る を い ま し む る に に た り と い へ ど も、 → 丈 の 説 は 不 是 と に は あ ら ず、 → 尺 の 行 は 一 丈 説 よ り も 大 功 な る と い ふ な り 。 ( 行 持 上 = 三 二 頁 ) 此 詞 ヲ 打 任 テ 心 得 ニ ハ 、 一 丈 ヲ 説 得 ス ル ヨ リ モ 、 一 尺 ヲ 行 取 ス ル ハ 、 マ サ リ タ ル ヤ ウ ニ 思 付 タ リ 、 今 義 ハ 非 γ 爾、 其 故 ハ 一 丈 モ 行 持 ノ 上 二 仕 フ 、 一 丈 一 尺 モ 乃 至 一 寸 モ 行 持 ノ 上 二 談 ス ル 尺 寸 ナ リ 、 ユ ヘ ニ 勝 劣 高 下 ノ 論 二 不 γ 可 γ 及、 而 今 ノ 草 子 二 一 尺 ノKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 行 ハ 、 一 丈 ノ 説 ヨ リ モ 大 功 也 ト 云 ヘ ハ 、 猶 勝 劣 ア ル 一 = 一 タ リ、 前 後 ノ 参 差 ニ モ 聞 タ リ 、 是 ハ 行 持 ト 云 草 子 ノ 上 ナ ル ユ ヘ ニ 、 鏨 】 尺 ノ 行 ハ 一 丈 ノ 説 ヨ リ モ 大 功 也 ト ハ 云 ト モ 、 サ レ ハ ト テ 始 終 更 勝 劣 浅 深 ノ 義 不 γ 可 γ 有、 随 上 一 二 丈 ノ 説 ハ 、 不 是 ト ニ ハ ア ラ ス ト 被 レ 釈 分 明 也、 ( 抄 一 二 二 五 五 頁 下 ) ω 精 進 力 は、 説 取 行 不 得 底 な り、 行 取 説 不 得 底 な り 。 し か あ れ ば す な は ち、 説 得 一 寸 、 不 如 説 得 一 寸 な り 、 行 得 一 句、 不 如 行 得 一 句 な り 。 ( 三 十 七 品 菩 提 分 法 五 〇 九 頁 ) 又 説 二 得 一 寸 一 、 不 γ 如 γ 説 二 得 一 寸 一 也 ト ハ 、 本 ノ 詞 ハ 一 丈 ヲ 説 得 セ ム ヨ リ モ 、 不 7 如 7 説 二 得 一 尺一 ト ア リ 、 是 ヲ 人 ノ 心 得 様 ハ 、 一 丈 ヲ 説 ヨ リ モ 先 只 一 尺 ヲ 説 得 シ テ ア リ ナ ム ト 云 様 二 心 得 也 、 非 〆 爾 、 此 一 丈 一 尺 、 只 同 タ ケ ナ ル ヘ シ 、 今 ノ 説 得 「 寸、 不 如 一 寸 ハ 、 今 一 重 マ キ ル ル 方 ナ ク 、 被 二 心 得 一 タ リ 、 此 一 寸 如 二 前 云 一 ノ 説 行 程 ノ 一 寸 ナ ル ヘ シ 、 行 得 一 句 、 不 如 行 得 一 句 ト ハ 、 是 又 説 得 . 一 寸 ノ 同 心 ナ ル ヘ シ 、 一 寸 ト 一 句 ト ノ 替 目 許 也 、 寸 与 〆 句 更 不 F 可 レ 有 二 差 別 一 、 ( 抄 二 ・ 三 五 一 頁 上 〜 下 )
で は 「 世 界
闊
一丈
、 古 鏡闊
一 丈 」 「 世 界闊
一 尺 、 古 鏡闊
一 尺 」 と い う よ う に 、 相 対 す る 二 つ 、 世 界 闊 と古
鏡闊
と に 同 一単
位 の 同 一数
量 を当
て て い る 。 こ れ は 『 聞 書 』 が 、 「 一 丈 ノ 詞 ハ 世 界 ト 古鏡
ト ノ 親 切 ナ ル事
ヲ ア カ シ 」 と し て い る よ う に 、 相 対 す る 二 つ が 異 な る も の で は な く 、 同 一 であ
る こ と を表
わ し て い る の で あ っ て 、 丈 尺 の 長 短 に は 関 係 が な い と 考 え て よ い で あ ろ う 。 こ れ に 対 し て で は 、 大 慈 寰 中 禅 師 の こ と ば が 引 か れ る が 、 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) と は 異 な り、 単 位 が 異 な っ て い る 。 そ の こ と ぽ は 、 「 一 丈 を 説得
せ ん よ り は、 一 尺 を 行 取 せ ん に 如 か ず 。 一 尺 を説
得
せ ん よ り は 、 一寸
を 行 取 せ ん に如
か ず 」 ( 原 漢 文 ) であ
り、 又 本 文 で も 、 「 一 尺 の 行 は 一 丈 説 よ り も 大功
な る と い ふ な り 」 と 述 ぺ て い る 。 し か し、 こ れ は 、 行 持 の 巻 で あ る か ら行
持 の 大功
な る こ と を 述 べ よ う と し て い る の で あ っ て 、 行 と説
と の 間 に 勝 劣 が あ る の で は な い と 『 抄 』 は 説 い て い る 。 こ の よ う に 丈 尺寸
の 単 位 の 異 な り を 全 く 無 視 し 、 す べ て 同 じ であ
る と す る の は 、 『 御 抄 』 の 解 釈 の 特 色 の 一 つ で あ る と 言 っ て よ い で あ ろ う 。 ω は の 「 説得
一 丈、 不 如行
取
一 尺 」 「 説 得 一 尺 、 不如
行 取 一 寸 」 が 、 「 説得
一 寸 、 不 如 説得
一寸
」 「 行 得 一 句 、 不 如行
得
一 句 」 と改
め て 説 か れ て い る 。 で は 説 と 行 と が 比較
し て述
べ ら れ て い た が、 ◎ で は 説 と説
、 行 と 行 と が 並 べ て 、 し か も 同 一 数 量 の 一 寸 、 一 句 が 付 さ れ て お り 、 こ れ は 、 ど の よ う に解
す べ ぎ で あ ろ う か 。 「 説得
一 尺 、 不 如 行取
一 寸 」 で あ る な ら ぽ 、 説 よ り も 行 の 方 が 勝 れ て い る こ と を 示 し て い る が 、 ど ち ら も 「 説 得 一 寸 」 で あ る と い う こ と は、 説 の み で あ る と い う こ と を 表 わ し て い る と 考 え て よ い で あ ろ う 。同
様 に 「 行 得 一 句 、 不 如 行 得 一 句 」 は 、 行 の み な る こ と を 示 し て い る と 言 え る 。ω
一 片 石 空 是 空 の 空 と い ふ は、 空 裏 一 片 石 な り 。 ( 仏 性 一 九 頁 ) 一 八 三
『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 是 モ 空 ノ 内一 一 サ ル 一 ノ 石 ナ ム ト ノ ア ラ ム ス ル 様 二 聞 エ タ リ 非 レ 爾 、 只 空 ノ 無 辺 際 一 ト ヲ リ カ 如 此 イ ハ ル ル ナ リ、 此 石 モ 則 仏 性 ノ 一 片 石 ナ ル ヘ シ 、 此 裏 モ 対 二 表 裏 一 タ ル 裏 ト ハ 不 7 可 二 心 得 → ( 抄 一 ・ 四 七 頁 上 〜 下 ) 空 裏 一 片 石 ナ リ ト イ フ ハ 、 空 与 〆 色 ニ ニ キ コ ユ 、 シ カ ニ ハ ア ラ ス 、 タ タ 空 裏 ト イ ヒ ツ ル ト キ ニ 、 空 ナ ル ヘ シ 、 タ タ 一 ト 可 二 心 得 ハ 又 空 裏 ト イ ヘ ハ 石 モ ア レ 、 コ ノ 石 ハ 空 ノ 上 石 ナ レ ハ 空 ト ト ル ヘ シ 、 空 ノ 外 ノ モ ノ ニ ア ラ ス 、 空 裏 一 片 空 ト モ イ ヒ ツ ヘ シ 、 又 空 ニ マ シ ハ ル モ ノ ア ル ヘ カ ラ ス 、 一 片 石 ノ 空 ナ ル ヲ 、 空 裏 一 片 石 ト モ イ フ 、 ( 聞 書 → ・ 五 〇 頁 上 〜 下 ) 「 空 裏 一
片
石 一 と 言 っ て も 、 空 と 石 と が あ る の で は な い 。 『 抄 』 に は 「 空 ノ 無 辺 際 一 ト ヲ リ カ 如 此 イ ハ ル ル ナ リ 」 と あ り 、 『 聞 書 』 に も 「 空 ニ マ シ ハ ル モ ノ ア ル ヘ カ ラ ス 」 と あ る よ う に 、 空 に相
対 す る も の が な く、 空 の み な る こ と を 二 片 石 」 と 言 っ て い る の で あ る 。→ 条 鉄 脱 落 は . 条 鉄 な り、 一 条 鉄 は 鳥 道 な り 。 ( 仏 性 二 七 頁 ) 仏 性 ハ 又 尽 界 ス ヘ テ 客 塵 ナ シ 、 直 下 サ ラ ニ 第 二 人 ニ ア ラ ス ト、 一 切 衆 生 悉 有 仏 性 ノ 段 ニ ア リ 、 無 客 塵 無 第 二 人 ノ ユ ヘ ヲ 一 条 鉄 ト イ フ 、 ニ モ 、 三 モ 、 モ ノ ノ ア ル ヘ カ ラ サ ル 道 理 ヲ 如 此 イ フ ナ リ 、 ( 聞 書 一 ・ 八 一 頁 上 )
コ
条 鉄 」 と は 一 本 の 鉄筋
で あ る 。 客塵
も 第 二 人 も な く 、 仏 性 の み で あ る こ と を 「 一 条 鉄 」 の 語 は表
わ し て お り、 そ れ が 脱落
で あ る と 言 う の で あ る 。 一 八 四一 知 い ま の 一 知 わ つ か に 使 用 す る は 、 尽 界 山 河 を 拈 来 し 、 尽 力 し て 知 す る な り 、 山 河 の 親 切 に わ が 知 な く ば 、 一 知 半 解 あ る べ か ら ず 。 ( 坐 禅 箴 九 九 頁 ) 一 知 ワ ッ カ ニ 使 用 ス ト 云 ハ 、 此 知 ハ 我 等 力 見 カ ト 覚 ヘ タ レ ト モ ( C 不 γ 然 、 一 知 ト モ 不 触 事 ナ ル 所 ヲ 一 ト 云 ナ リ 、 一 知 半 解 ト 云 フ 知 ハ サ キ ノ 一 知 ヲ サ ス 也、 凡 夫 ノ 慮 知 二 非 ス 、 全 体 知 ヨ リ 外 二 物 ナ キ ユ ヘ ニ 一 知 ト 云 フ 、 ( 聞 書 一 ・ 二 七 七 頁 下 )
知
と 言 っ て も、我
々 の 慮 知 分別
を指
す の で は な く 、 不 触 事 な る と こ ろ を 言 う の で あ る 。 不 触 事 な る と こ ろ と は、 我 々 の 分別
に 依 っ て は 捉 え ら れ な い も の 、 即 ち 「 尽 界 山 河 」 そ の も の で あ り、 そ れ が 知 で あ っ て ( 拙 稿 「 『 正 法 眼 蔵 』 に お け る 三 界 唯 心 の 解 明 」 『 宗 学 研 究 』 第 一 八 号 所 収 一 六 七 頁 参 照 ) 、 知 の ほ か に は 何 も な く 、 あ る の は 知 の み で あ る か らコ
知 」 と 言 う の であ
る 。G
り一
草
ま さ に し る べ し、 空 は → 草 な り、 こ の 空 か な ら ず 華 さ く 。 百 華 に 華 さ く が ご と し 。 ( 空 華− 一 一 一 頁 ) 其 中 二 今 ノ 空 ハ → ノ 草 也 、 此 空 二 必 花 サ ク 、 百 草 二 花 ノ サ ク カ 如 シ ト ハ 、 此 空 ノ 道 理 、 百 草 二 花 ノ サ ク カ 如 ク ア ル ヘ キ 中 二 、 此 空 ハ 一 草 也 ト ハ 云 也、 但 此 ノ 草 ト 談 ス ル 時、 余 草 不 レ 可 γ 残 、 百 草 ト 談 セ ム ト キ 、 空 ノ 一 草 不 γ 可 二 各 別 「 也、 只 所 詮 、 妄 見 ノ 方 ノ 空 花 ヲ 、 詞 ヲ 不 レ 改 シ テ 、 仏 道 二 談 ス ル 空 花 ノ 理 ヲ サ マ サ マ 被 ノ 釈 ナ リ 、 ( 抄 一 ・ 三 一 四 頁 下 〜 三 一 五 頁 上 )Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 空 を 「 一 草 」 と 言 え ぽ 、 一 草 に
相
対 す る 草 は な く 一 草 の み で あ る 。逆
に 百 草 と 言 っ て も 、 空 の 一草
も そ れ と は 別 に あ る の で は な い 。 即 ち 、 す べ て が草
に 摂 さ れ て い る こ と をコ
草 」 と 述 べ て い る と 言 え る 。一
槌
た だ ま さ に ] 槌 千 当 万 当 な り 、 千 槌 万 槌 は 一 当 半 当 な り 。 ( 夢 中 説 夢 二 四 二 頁 ) 仏 法 ノ 上 ノ 一 槌 ノ 道 理 ハ 、 千 当 万 当 ナ ル ヘ シ 、 千 槌 万 槌 ハ 一 当 半 当 ノ 理 ナ リ 、 仏 法 ノ 関 捩 子 程 ノ 一 槌 ナ ル ヘ シ 、 此 一 槌 ニ ア タ ラ ス ト 云 物 不 レ 可 レ 有 也 、 ( 抄 一 ・ 五 七 七 頁 上 ) 『 抄 』 は 「 此 一 槌 ニ ア タ ラ ス ト 云物
不 〆 可 レ 有 也 」 と 述 べ て い る が 、 こ れ は 、 夢中
説 夢 の 巻 で あ る か ら 、 法 界 の す べ て が 夢 だ と い う こ と で あ る 。 「 千槌
万 槌 は 一 当半
当 な り 」 と は、 た と い 千槌
万 槌 し て も 、 当 る の は 一 半 の み、 即 ち 夢 の み で あ る と い う こ と を 表 わ し て い る と 言 え よ う 。 の一 ・ 両 ( 二 ) ω 一 ・ 両 ( 二 ) 梅 開 に 帯 せ ら れ て 万 春 は や し 。 万 春 は 梅 裏 一 両 の 功 徳 な り 。 ( 梅 華 四 六. 一 頁 ) 万 春 ハ 梅 裏 一 両 ノ 功 徳 也 ト ハ 、 打 任 ハ 、 春 ハ 総 ニ テ 梅 花 ハ 其 内 ニ サ ク 花 ト コ ソ 被 ユ 心 得 一 ヲ 、 此 梅 花 ノ 理 ハ 、 梅 裏 一 両 ノ 功 徳 ニ テ、 万 春 ハ ア ル 也 ト 被 γ 釈、 其 ユ ヘ ハ 以 二 万 春 ノ 当 体 → 梅 花 ト 談 ユ ヘ ニ 、 万 春 ハ 梅 裏 一 両 ノ 功 徳 卜 云 ハ ル ル 也、 一 両 ノ 詞 、 又 ア 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) マ タ ア ル 中 二 、 ワ ツ カ ニ 、 其 内 ノ 一 両 ト 云 ニ ハ ア ラ ス 、 梅 花 ノ 姿 ヲ ] 両 ト 云 也、 ( 抄 二 ・ 二 二 六 頁 下 ) み な 与 仏 同 参 な り 、 与 山 河 大 地 同 参 な り と い へ ど も、 な ほ こ れ 許 多 手 眼 の 一 二 な る べ し 。 ( 観 音 一 七 四 頁 ) コ コ ニ 猶 是 許 多 手 眼 ノ 一 ニ ナ ル ヘ シ ト 云 ヘ ハ 、 許 多 手 眼 ハ マ サ リ テ 、 今 右 二 所 γ 挙 、 真 覚 大 師、 麻 谷 臨 済 雲 門 百 丈、 乃 至 楞 厳 法 花 等 ノ 観 音 ハ 、 猶 許 多 手 眼 ニ ハ 不 〆 及、 纔 一 ニ ナ ル ヘ シ ト 云 b ヤ ウ ニ キ コ ユ 、 非 二 其 義 → 此 一 ニ ハ 全 一 全 ニ ナ ル ヘ シ 、 非 二 数 量 一 一 ニ ナ リ、 是 ハ 祖 師 等 中 二 被 γ 談 観 音、 人 人 ノ 詞 ヲ 被 レ 挙 也、 上 ニ モ 許 多 ノ
=
也 ト ア リ 、 許 多 ノ [ ニ ナ ル ユ ヘ ニ 、 非 二 数 量 二 二 也、 ( 抄 一 ・ 四 〇 〇 頁 下 )は 梅
華
の 一 両 の 中 に 万 春 が 摂 せ ら れ て い る こ と を 示 し て お り 、 こ の 一 両 の 梅 華 が 春 そ の も の だ と 言 う の で あ る 。は 許
多
手 眼 の . 二 に す ぎ な い と い う の で は な く 、 祖 師 等 が説
か れ た 観 音 も、 そ れ は そ れ で 全 一 全 二 の観
音 で あ る と し て い る か ら 、 こ の 一 ・ 二 は 数 量 を 表 わ し て い る の で は な い こ と に な る 。一 月 両 月 一 月 両 月 に あ ら ず 、 千 月 万 月 に あ ら ず 。 月 の 自 己 た と ひ → 月 両 月 の 見 解 を 保 任 す と い ふ と も、 こ れ は 月 の 見 解 な り、 か な ら ず し も 仏 道 の 道 取 に あ ら ず、 仏 道 の 知 見 に あ ら ず 。 ( 都 機 二 〇 六 頁 ) タ ト ヒ 一 月 両 月 ノ 見 解 ヲ 保 任 ス ト 云 ト モ 、 是 ハ 月 ノ 見 解 也 ト ハ 、 此 一 月 両 月 ノ 詞 モ 只 月 ノ 上 ノ 荘 厳 功 徳 ナ ル ヘ シ 、 月 ノ 上 ノ 保 任 ニ テ ヲ キ テ 、 仏 道 ノ 道 取 二 非、 仏 道 ノ 知 見 二 非 ト テ、 月 ノ 一 } 八 五
『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 法 独 立 ノ 上 ノ 荘 厳 ニ テ ヲ カ ム 、 此 上 ハ 仏 道 ノ 道 取 、 仏 道 ノ 知 見 ト ハ 、 シ ハ ラ ク イ ハ シ ト 云 心 地 ナ リ 、 ( 抄 → ・ 四 九 九 頁 下 ) 都 機 の
巻
で は、 す べ て が月
で あ る こ と を 説 く の で あ る か ら 、 一 月 両 月 も そ の 月 の 上 の荘
厳 功 徳 で あ る と 『抄
』 は 説 い て い る 。 そ れ 故、 一 両 に は 特 に 数 量 を 表 わ す 意 味 は な い と . , 口 え る 。一 面 目 ・ 両 頭 古 心 を 保 任 す る、 古 仏 を 保 任 す る 、 一 面 目 に し て 両 頭 保 任 な り、 両 頭 画 図 な り 。 ( 古 仏 心 八 〇 頁 ) 古 心 ヲ 保 任 ス ル 、 古 仏 ヲ 保 任 ス ル 一 面 目 ト ハ 、 心 与 レ 仏 総 非 二 別 物 } 所 ヲ 一 面 目 ト ハ 云 也 、 然 而 又 古 心 ヲ 保 任 シ 、 古 仏 ヲ 保 任 ス ル ト 云 詞 ノ 出 ク ル 所 力 、 両 頭 保 任 ト モ 、 両 頭 画 図 ト モ 、 シ ハ ラ ク 云 ハ ル ル ナ リ 、 ( 抄 一 ・ 二 ] 五 頁 上 ) 「 古 心 を 保 任 す る 」 と 「 古 仏 を 保 任 す る 」 と い う よ う に 、 ヘ ヘ ヘ へ
古
心 と 古 仏 と あ る か ら 「 両 頭 保任
」 「 両 頭 画 図 」 と 説 か れ る 。 し か し 、 心 と 仏 は異
な る の で は な く 同 一 で あ り 、 そ れ を二
面 目 」 と 言 う の で あ る と 『 抄 』 は 解 釈 し て い る 。 四 一 ・ 二 ・ 三 ・ 四 … … ω 一 条 両 条 三 四 五 条 自 己 に 参 学 せ ざ る ゆ ゑ に、 崩 壊 の 正 当 恁 麼 時 は、 一 条 両 条 、 三 四 五 条 な る が ゆ ゑ に 無 尽 条 な り 。 か の 条 条 、 そ れ 寧 無 我 身 な り 。 ( 古 仏 心 八 一 頁 ) 一 条 両 条 等 ノ 詞 ハ 、 只 次 第一 一 無 尽 条 ト 云 事 ヲ 云 ア ラ バ サ ム 詞 ナ の、 所 詮 崩 壊 ノ 姿 、 無 尽 際 ナ ル ヘ シ 、 又 一 条 両 条 一.一 四 五 条 ヲ 以 一 八 六 テ モ 崩 壊 ト ト ル ヘ シ 、 カ ナ ラ ス 無 尽 際 ヲ 極 員 数 ト 一 条 乃 至 三 四 五 条 等 ヲ 以 テ 少 ト ト ル ヘ カ ラ ス 、 一 条 乃 至 三 四 五 条 モ 、 無 尽 際 モ 、 只 同 心 ナ ル ヘ シ 、 イ ツ レ モ 崩 壊 ノ 道 理 ナ ル ヘ シ 、 彼 条 条 ノ 姿 ヲ 寧 無 我 身 ト ハ 可 ン 云 ナ リ、 ( 抄 一 ・ 二 一 七 頁 上 ) 世 界 が 無 限 に 崩 壊 す る 様 を 説 く に あ た り 、 一 条 両 条 三 四 五 条 の こ と ば を 用 い て い る の で あ る が 、 た だ こ れ の み に と ど ま る の で は な く、 無 尽 条 を 表 わ し て い る 。 一 枚 二 枚 三 箇 四箇
こ の 正 当 時、 ま さ し く 尽 十 方 界 を 覿 見 す れ ば、 未 曾 見 の 様 子 あ り 。 い は ゆ る 、 尽 卜 方 界 を 一 枚 二 枚、 三 箇 四 箇 拈 来 し て 、 開 方 便 門 な ら し む る な り 。 ( 諸 法 実 相 一. 一 六 九 頁 ) 尽 十 方 界 ヲ 覿 見 ス ル 人 ア ル ヘ カ ラ ス 、 此 覿 見 ト 云 詞 ハ 、 イ ハ ユ ル 尽 十 方 界 ヲ 一 枚 二 枚 三 箇 四 箇 拈 来 シ テ ト 云 詞 共 ノ 、 道 理 ノ ユ ク 所 ヲ 覿 見 ト ハ 仕 也 、 能 見 所 見 ノ 見 ニ ア ラ ス 、 一 枚 二 枚 ノ 詞、 不 二 心 得 一 ヤ ウ ニ キ コ ユ レ ト モ 、 只 所 詮 尽 十 方 界 ヲ 以 テ 、 → 枚 二 枚 ト モ 、 三 箇 四 箇 ト モ 仕 也、 ( 抄 二 ・ 一 一 五 頁 上 ) 『 抄 』 に は 「 尽 十 方 界 ヲ 以 テ 、 一 枚 二 枚 ト モ 、 一. 一箇
四 箇 ト モ 仕 也 」 と あ る か ら 、 こ の → 枚 二 枚 等 の こ と ば は、 単 に 数 量 を 表 わ す の で は な く 、 ま た こ れ だ け に と ど ま る の で も な く 、 尽 十 方 界 が 無 限 の 方使
門 を 開 い て い る こ と を 表 わ し て い る と 言 え る 。 面 二 二 二 : : :ω
二 一 二 斛
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty こ れ を 眼 睹 に 団 し き た る こ と 二 三 斛 、 こ れ を 業 識 に 弄 し き た る こ と 千 万 端 な り 。 ( 身 心 学 道 三 六 頁 ) ( 睛 力 ) 所 詮 以 心 ノ 道 理、 眼 精 ト モ 業 識 ト モ 談 ス ル ナ リ 、 二 三 斛 ノ 詞 立 レ 耳 様 ナ レ ト モ 、 不 γ 可 〆 滞 二 一 二 詞 噛 無 量 也、 又 眼 精 二 団 シ 来、 業 識 二 弄 シ 来 ト 云 詞 ヲ 、 暫 二 三 斛 ト モ 、 千 万 端 ト モ 仕 力 、
当
蘇
ヂE
端 郷 亂 歎戯
.冠
湯鱈
蜘
劉三
ヘ ニ 、 心 ノ 無 辺 際 ノ 道 理 カ ト モ カ ク モ 被 7 仕 也 、 ( 抄 一 ・ 一 二 四 頁 上 ) 二 三 斛 千 万 端 ト 云 モ 、 世 間 ノ 員 二 不 ノ 可 ノ 数、 仏 性 ヲ 真 如 ソ 、 実 相 ソ ナ ム ト 談 ス ル ヲ 、 二 三 斛 ト モ 千 万 端 ト モ 云 也、 ( 聞 書 丁 = 二 九 頁 上 )斛
は 量 を 表 わ す 単 位 で 、 十 斗 が 一斛
に 当 る 。 し か し こ こ で は 、 二 三 斛 は数
量 で は な く無
量 を 表 わ し て お り 、 千 万端
と 同 じ であ
る と し て い る 。 心 の無
辺 際 な る 道 理 が こ の よ う に説
か れ る の で あ る 。三 尺 ・ 二 寸 い は ゆ る 坐 禅 箴 の 箴 は、 大 用 現 前 な り 。 声 色 向 上 の 威 儀 な り、 父 母 未 生 前 の 節 目 な り 。 莫 謗 仏 祖 好 な り、 未 免 喪 身 失 命 な り 。 頭 長 三 尺、 頸 短 二 寸 な り 。 ( 坐 禅 箴 九 八 頁 ) 頭 長 三 尺 頸 長 二 寸 ト 云 フ 、 コ レ 又 カ カ ル 物 ノ ア ル ヘ キ ニ ア ラ ス 、 今 ノ 坐 禅 人 力 世 間 ノ 凡 夫 ニ コ ト ナ ル 所 ヲ 云 フ ト キ、 如 γ 此 イ ハ ル ル ナ リ、 ( 聞 書 一 ・ 二 七 六 頁 上 ) 『 聞 書 』 は 、 「 坐
禅
人 ヵ 世 間 ノ 凡 夫 ニ コ ト ナ ル 所 ヲ 云 フ ト キ 、如
7 此 イ ハ ル ル ナ リ 」 と し て い る が 、 「 頭長
三 尺 頸 長 二 寸 」 と い う 、 世 間 に は あ り え な い 姿 の 表現
に よ っ て 、 坐 禅 人 が 世 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 間 の 凡 夫 と は 異 な る こ と ( 坐 禅 は 凡 夫 の 行 で は な く 仏 行 で あ る か ら 、 坐 禅 人 は 既 に 几 夫 で は な く 仏 で あ る と 言 え る ) を 表 わ そ う と し た も の で あ る と 言 え よ う 。二 寸 三 寸 ・ 七 箇 八 箇 闊 は そ の 量 を 挙 す る な り、 広 を い は ん と に あ ら ず 。 闊 と い ふ は、 よ の つ ね の 二 寸 三 寸 と い ひ、 七 箇 八 箇 と か ぞ ふ る が ご と し 。 ( 古 鏡 一 八 五 頁 ) ( 前 略 ) 古 鏡 ノ 功 徳 ヲ 云 フ 、 総 体 ナ ル ス カ タ ヲ 広 ト 云、 セ ハ キ ニ 対 シ タ ル 広 ニ ハ ア ラ サ ル ヘ シ 、 古 鏡 ノ 上 ノ ニ 寸 三 寸、 古 鏡 ノ 上 ノ 七 箇 八 箇 也 、 ( 抄 一 ・ 四 二 四 頁 上 ) 二 三 寸 ト 云 ヒ 、 七 箇 八 箇 ト 云 ハ 、 員 数 又 広 狭 ノ 分 ニ テ ハ ナ シ 、 ゴ.
昧
モ ニ 寸、 陀 羅 尼 モ 三 寸 ト 云 ハ ム カ 如 シ 、 ( 聞 書 一 ・ 四 四 〇 頁 下 )古
鏡 の 上 の 二 寸 三 寸 で あ り 、 古鏡
の 上 の 七 個 八 個 で あ る と い う こ と は、 二 寸 三 寸、 或 は 七 個 八 個 の 数 量 に は 特 に 意 味 が な い と 言 え る 。 古鏡
の 上 の 変化
を 表 わ し た に す ぎ な い 。ω
両 翼 三 翼 二 二 足 五 足 去 来 は 尽 十 方 界 を 両 翼 三 翼 と し て 飛 去 飛 来 す、 尽 十 方 界 を 三 足 五 足 と し て 進 歩 退 歩 す る な り 。 ( 身 心 学 道 四 一 頁 ) 是 又 不 レ 可 γ 有 二 別 子 細 噛 尽 十 方 界 ノ 道 理、 千 変 万 化 ス ル 時 、 如 「 此 ノ 理 現 前 ス ル 也 、 ( 抄 一 ・ = 二 七 頁 下 ) 尽 十 方 界 の 千 変 万 化 す る 様 を 、 飛 去 飛 来 と 言 い 、 進 歩 退 歩 マ ヤ と 言 っ た の で あ る か ら 、 そ れ に関
連
す る 語 と し て 「 両 翼 三 翼 」 一 八 七『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) あ へ 「 三 足 五 足 」 を 用 い た の で あ っ て、 数 量 に 特 に 意
味
は な い 。 因三 ω
三 枚 大 悟 三 枚 を 拈 来 し て 少 迷 半 枚 を つ く る な り 。 ( 大 悟 八 五 頁 ) 是 ハ 大 悟 与 漏 却 迷 → 至 テ 親 キ 時 如 レ 此 云 ハ ル ル 也、 大 悟 三 枚 ヲ 持 テ 少 迷 半 枚 ヲ 作 ル ト ハ 、 大 悟 ヲ 以 テ 少 迷 ヲ 作 ト ハ 、 大 悟 与 二 却 迷 一 ロ ハ 同 物 ナ ル 道 理 ヲ 、 如 レ 此 云 也、 三 枚 ト 云 詞 ハ 、 大 悟 ヲ 三 枚 ト 仕 フ 、 少 迷 半 枚 モ 、 迷 ヲ 半 枚 ト 仕 フ 、 迷 悟 タ カ ヒ ニ 一 物 ナ ル 道 理 分 明 ナ リ 、 作 ト 云 モ 非 二 造 作 義 → 大 悟 与 二 郤 迷 一 ノ ア ハ ヒ ヲ 作 ト モ 云 ナ リ 、 ( 抄 一 ・ 二 二 九 頁 下 〜 二 三 〇 頁 上 ) 大 悟 三
枚
を も っ て 少 迷 半 枚 を 作 る と い う の は 、 大 悟 と 却 迷 と が 同 じ で あ る と い う こ と を 表 わ し て い る と 『 抄 』 は 解 釈 し て い る 。 こ の 解 釈 に 依 る な ら ば 、 三枚
・ 半枚
も 特 に そ の 数 量 に は 意 味 が な い こ と に な る 。三 寸 こ の ゆ ゑ に 古 人 い は く、 若 人 識 二 得 心 輔 大 地 無 二 寸 土 → し る べ し、 心 を 識 得 す る と き、 蓋 天 撲 落 し 、 而 地 裂 破 す 。 あ る い は 心 を 識 得 す れ ぽ 、 大 地 さ ら に あ つ さ 三 寸 を ま す 。 ( 即 心 是 仏 四 四 頁 ) 或 心 ヲ 識 得 ス レ ハ 大 地 ア ツ サ 三 寸 ヲ マ ス ト ハ 、 心 ノ 究 尽 ス ル 時 ハ 、 心 ノ 外 二 斉 肩 ス ヘ キ 物 ナ ケ レ ハ 、 蓋 天 撲 落 シ 、 匝 地 裂 破 ス ト 云 ハ ル 、 山 河 等 ヲ 心 ト ト ク 時、 ア ツ サ 三 寸 ヲ マ ス ト 暫 云 也、 数 ノ 局 量 ニ ト ト マ ル ヘ カ ラ ス 、 又 無 = 増 減 儀 一 也、 ( 抄 一 ・ 一 四 六 頁 下 ) し か あ り と い へ ど も、 野 狐 皮 五 百 枚 、 あ つ さ. ヨ 寸 な る を も て 、 曾 一 八 八 住 此 山 し、 為 学 人 道 す る な り 。 ( 大 修 行 五 五 〇 頁 ) 此 野 狐 皮 五 百 枚 ア 、 ツ サ 三 寸 ナ ム ト 云 二 付 テ 、 殊 ナ ル 子 細 ナ シ 、 只 脱 落 ノ 上 ノ 五 百 枚、 三 寸 ナ ル ヘ シ 、 五 百 塵 点 劫 ト モ 、 一.一 千 大 千 世 界 ト モ 云 程 ノ 三 寸 ナ ル ヘ シ 、 広 狭 多 少 ニ カ カ ハ ル ヘ キ ニ ァ ラ ス 、 此 道 理 力 曾 住 此 山 ト モ イ ハ レ 、 為 学 人 ト モ 被 談 也、 所 詮 脱 落 ノ 上 ノ 曾 住 為 学 ナ ル ヘ シ 、 ( 抄 二 ・ 四 七 三 頁 下 ) で は、 心 を 識 得 す れ ば 、 心 に 相 対 す る 大 地 は な い の で
あ
る か ら 「 大 地無
寸 上 」 「 蓋 天 撲落
し 市 地 裂 破 す 」 と 言 わ れ る 。 そ の よ う に 心 を 識 得 し た 時 に は 、 山 河 等 も す べ て が 心 で あ る か ら、 「 大 地 さ ら に あ つ さ 三 寸 を ま す 」 と 言 わ れ る 。先
に は ヘ ヘ ヘ へ 心 の ほ か に 大 地 は な い と い う 視 点 か ら 「 大 地 に 寸 土 無 し 」 と ヘ へ 言 っ た の で あ り 、今
度 は 大 地 す べ て が 心 の 現成
と し て あ る と ヘ へ い う 視 点 か ら す れ ぽ 、 「 大 地 さ ら に あ つ さ 三 寸 を ま す 」 と 言 う こ と も で き る の で あ る 。 し か し 、 三 寸 と 言 っ て も 数 量 に か か わ り な く 、 た だ 視 点 を変
え て 述 べ た の で あ っ て 、 大 地 に 増減
が あ る の で は な い こ と は 勿 論 で あ る 。 大 地 が 心 に ほ か な ら な い こ と を こ の よ う に 表 現 し た の で あ る 。で は 「 三 寸 」 は 三 千 大 千 世 界 の 意 味 に、 ま た 五 百
枚
は 五 百 塵 点劫
の 意 味 に 解 釈 し て い る が 、 「 広 狭 多 少 ニ カ カ ハ ル ヘ キ ニ ア ラ ス 」 と し て、特
に 数 量 に か か わ り な い こ と を 示 し て い る 。三 ・ 四 ・ 五 … …
ω
三 四
枚
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 不 出 法 性 の 衆 生、 さ ら に 法 性 に あ ら ざ ら ん と 擬 す る ち か ら、 た と ひ 得 処 あ り と も、 あ ら た に こ れ 法 性 の 三 四 枚 な り 。 法 性 に あ ら ざ ら ん と 言 談 祗 対 、 運 用 施 為 す る、 こ れ 法 性 な る べ き な り 。 ( 法 性 四 → 七 頁 ) 又 不 出 法 性 ノ 衆 生、 イ カ ニ 法 性 ニ ア ラ サ ラ ム ト 擬 ス ト モ 、 コ レ 法 性 ナ ル ヘ キ 理 ヲ 、 三 四 枚 也 ト ハ 云 ナ リ 、 言 談 祗 対、 運 用 施 為 ス ル 、 コ レ 法 性 ナ ル ヘ シ ト 云 、 文 ニ ア キ ラ カ 也 、 ( 抄 二 ・ 一 八 九 頁 上 ) 法 性 を の が れ よ う と し て 力 を
得
た と し て も、 そ れ も ま た 法 性、 即 ち 法 性 の 三 四 枚 で あ っ て 、法
性 か ら の が れ る こ と は で き な い こ と を 述 べ て い る 。 「 三 四 枚 」 の 数 量 に意
味 が あ る の で は な く 、 そ れ も 法 性 に す ぎ な い こ と を 表 わ し て い る の で あ る 。三 五 枚 し か あ れ ば す な は ち、 い ま 四 員 の 達 磨、 と も に 百 千 万 の 皮 肉 骨 髄 の 向 上 を 条 条 に 参 究 せ り 。 髄 よ り も 向 上 あ る べ か ら ず と お も ふ こ と な か れ 、 さ ら に 三 五 枚 の 向 上 あ る な り 。 ( 葛 藤 三 三 五 頁 ) 達 磨 ハ 一 人、 門 人 ハ 四 人 ト コ ソ 思 程 二 、 今 ハ 四 員 ノ 達 磨 ト 云 詞 出 キ タ リ、 警 耳 ヤ ゥ ニ 覚 ユ 、 但 師 資 ノ 面 目 ノ ヤ ゥ 、 尤 四 員 ノ 達 磨 ト 云 ハ ル ヘ シ 、 達 磨 ノ 皮 肉 骨 髄 ヲ 得 ル ト キ ハ 、 皆 達 磨 ナ ル ヘ キ 也 、 又 髄 ハ 最 結 句 至 極 ニ テ 、 此 外 ニ ハ 向 上 不 7 可 7 有 ト 思 所 ヲ 、 如 γ 此 被 7 釈 ナ リ、 実 ニ モ 門 人 多 ア ラ バ 、 イ ク ラ モ 、 六 根 ヲ モ 、 身 心 手 足 マ テ モ 、 サ ツ ケ ラ レ ナ マ シ 、 四 人 ア ル ユ ヘ ニ 、 皮 肉 骨 髄 ヲ ハ 被 レ 授 γ 之 歟、 然 者 実 三 五 枚 ノ 向 上 ア ル ヘ キ 也、 三 五 枚 卜 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 云 ヘ ハ 、 日 来 存 ス ル 三 四 ノ 数 ト 被 二 心 得 一 ヌ ヘ シ 、 是 ハ 其 数 ニ カ カ ハ ル ヘ カ ラ ス 、 数 多 ナ ル ヘ シ 、 已 下 如 γ 文、 無 二 殊 子 細 → ( 抄 二 ・ 四 二 頁 上 〜 下 ) 達 磨 は 門 人 が 四 人 で あ っ た か ら そ れ ぞ れ に 皮 肉 骨 髄 の 四 つ を 授 け た の で
あ
っ て、 こ の 四 つ に 限 る の で は な く 、 そ の 数 は 無 限 に あ る と い う 意 味 で 「 三 五 枚 の 向 上あ
る な り 」 と 説 か れ る 。 『抄
』 も 「 是 ハ 其数
ニ バ カ カ ハ ル ヘ カ ラ ス 、 数多
ナ ル ヘ シ 」 と 釈 し て い る 。 「 三 五 枚 」 は 数 量 に関
係 な く 、 数 の 多 い こ と を 表 わ し て い る の で あ る 。三 四 五 六
華
裏
三 四 五 六 華 裏 は 、 無 数 華 裏 な り 。 華 に 裏 功 徳 の 深 広 な る 具 足 せ り 、 表 功 徳 の 高 大 な る を 開 闡 せ り 。 ( 梅 華 四 六 一 頁 ) . 二 四 五 六 花 裏 ハ 無 数 花 裏 也 ト ア リ 、 名 目 相 違 シ テ 聞 ユ 、 但 今 ノ 三 四 五 六 ノ 詞、 数 ノ 多 少 ニ カ カ ハ ル ヘ カ ラ ス 、 以 二 無 数 花 裏 弗 . 二 四 五 六 ト 仕 也、 ( 抄 二 ・ 二 二 五 頁 上 ) 本 文 にも
「 三 四 五 六 華 裏 は 、 無 数華
裏
な り 」 と 明 ら か な よ う に、 三 四 五 六 は数
の多
少
を 表 わ す の で は な く 、 無数
を 表 わ し て お り 、 『 抄 』 は そ の 点 を よ り 明 確 に 述 べ て い る 。ω
三 頭 八
臂
向 上 に 道 取 す る と き 、 作 麼 生 な ら ん か こ れ 仏 性 。 還 委 悉 麼 。 三 頭 八 臂 。 ( 仏 性 三 四 頁 ) ( 臂 力 ) 作 麼 生 ナ ラ ム カ コ レ 仏 性 、 還 委 悉 麼、 三 頭 八 辟 ト イ フ ハ 、 ヤ カ テ イ カ ナ ル カ コ レ 仏 性 ト イ フ 事 ヲ ノ ヘ タ ル ナ リ 、 イ カ ナ ラ ム ト 一 八 九『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 云 ハ 三 頭 八 臂 ナ リ 、 一 頭 一 臂 ト モ サ タ メ サ ル ユ ヘ 一 二 二 頭 八 臂 ハ タ タ 、 無 量 頭 無 量 臂 ナ リ 、 仏 性 ノ 面 ニ ナ リ テ 、 臂 ト モ カ シ ラ ト モ 、 イ ハ ル ル ナ リ 、 所 詮 三 頭 八 臂 ハ 、 仏 性 ノ 道 理 ヲ 面 面 ニ ト ク 義 ナ リ、 ( 聞 書 一 ・ 】 二 一 頁 上 ) 『 聞 書 』 に は 、 「 イ カ ナ ル カ コ レ 仏 性 ト イ フ 事 ヲ ノ ヘ タ ル ナ リ 」 と あ る 。 「 イ カ ナ ル カ 」 と は 「 い か な る も 」 の 意
味
で あ り ( 拙 稿 「 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 − 疑 問 詞 と 疑 問 の 助 詞 に つ い てi
」 『 駒 沢 大 学 仏 教 学 部 論 集 』 第 八 号 所 収 一 六 九 頁 参 照 ) 、 「 イ カ ナ ラ ム ト 云 ハ 三 頭 八 臂 ナ リ 」 と あ る か ら 、 コ ニ 頭 八臂
L と は 「 い か な る も 」 の 意 味 であ
る こ と が 理解
さ れ よ う 。 『 聞 書 』 が 、「 三 頭 八 臂 ハ タ タ 無 量 頭 無 量
臂
ナ リ 」 と 述 べ て い る こ と か ら も、 三 頭 八 臂 と は、 三 ・ 八 と い う数
に 意 味 が あ る の で は な く、 こ こ で は 、 い か な る も の も 、 こ れ も 、 そ れ も 仏 性 の面
面
で あ る こ と を 表 わ し て い る と 言 え る 。六 六
年
・ 一 夜 こ の ゆ ゑ に 、 落 草 六 年、 華 開 一 夜 な り 。 ( 三 十 七 品 菩 提 分 法 五 一 八 頁 ) 落 草 六 年 ト ハ 、 六 年 苦 行 事 歟、 花 開 一 夜 ト ハ 、 成 道 ノ 時 節 ヲ 指 歟、 所 詮 六 年 ハ 久 ク 、 一 夜 ハ 麺 時 也 ト 不 レ 可 γ 云、 落 草 六 年 モ 、 花 開 一 夜 モ 只 同 事 也、 長 短 ニ カ カ ハ ル ヘ カ ラ ス 、 ( 抄 二 ・ 三 六 二 頁 下 ) 『 抄 』 は、落
草 六年
を 釈 尊 の 六 年 間 の 苦 行 に 、華
開 一 夜 を 一 九 〇 十 二 月 八 日 あ け の 明 星 を見
て 悟 っ た と い わ れ る 成 道 に 当 て て 解 釈 し 、 苦行
の 六 年 も 成 道 の 一 夜 も 同 じ であ
り 、 長短
に 関係
が な い と し て い る 。 こ れ は 、 修 行 と 悟 り と が 同 じ、修
証 一等
と い う道
元禅
師 の 立 場 か ら の 解 釈 で あ る と 言 え よ う 。 ω七 七 尺 而 今 の 髑 髏 七 尺、 す な は ち 尽 十 方 界 の 形 な り 、 象 な り 。 仏 道 に 修 証 す る 尽 十 方 界 は 、 髑 髏 形 骸 ・ 皮 肉 骨 髄 な り 。 ( 光 明 一 一 九 頁 ) 此 今 ノ 髑 髏、 又 儿 見 ノ ト ク ロ ニ 不 レ 可 〆 準 也、 以 ご 尽 十 方 界 「 髑 髏 ト 習 ヘ シ 、 今 ノ 七 尺 ト 尽 十 方 界 ト 更 広 狭 多 少 ノ 儀 ア ル ヘ カ ラ ス 、 ( 抄 一 ・ 三 三 七 頁 下 〜 三 三 八 頁 上 ) 七 尺 ト 云 ハ 尽 十 方 界 丈 尺 ナ リ 、 無 際 限 也 、 不 γ 可 7 準 二 世 間 [ 尺 寸 也、 ( 聞 書 一 ・ 三 四 二 頁 上 ) 『 抄 』 で 説 く よ う に 、 七 尺 と 尽 十 方
界
と の 広 狭 を問
題 と し て い る の で は な い 。 尽 十 方界
が 七 尺 だ と い う の で あ る 。 そ れ 故 、 七 尺 と 言 っ て も 世 間 で 言 う 七 尺 で は な く 、 無 際 限 を こ こ で は 七 尺 と 言 っ て い る に す ぎ な い 。七 ・ 八 七 尺 八 尺 い ま 火 爐 を み る 、 た れ 人 と な り て か こ れ を み る 。 火 爐 を 見 る に、 七 尺 に あ ら ず、 八 尺 に あ ら ず 。 ( 古 鏡 一 八 五 頁 ) 実 此 火 爐 ヲ 見 ル 人、 誰 人 ナ ル ヘ キ ソ 、 玄 沙 ノ 火 爐 ヲ 見 ル カ 、 火 爐 ノ 玄 沙 ヲ 見 ル カ 、 火 爐 力 火 爐 ヲ 見 カ ノ 道 理 也、 又 火 爐 闊 多 少
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty ノ 詞 力 、 辺 際 ナ キ 道 理 力 、 今 七 尺 八 尺 ニ ア ラ ス ト ハ 云 也、 ( 抄 一 ・ 四 二 四 頁 下 ) ω 玄 沙 院 宗 一 大 師、 侍 二 雪 峯 一 行 次、 雪 峯 指 二 面 前 地 一 云、 「 這 → 片 田 地、 好 造一一 箇 無 縫 塔 ご 玄 沙 日 、 「 高 多 少 。 」 雪 峯 乃 上 ド 顧 視 。 玄 沙 日、 「 人 天 福 報 即 不 γ 無、 和 尚 霊 山 授 記 、 未 夢 見 在 。 」 雪 峯 云 、 「 禰 作 麼 生 。 」 玄 沙 日 、 「 七 尺 八 尺 。 」 ( 授 記 一 九 六 頁 ) 又 玄 砂 ノ 七 尺 八 尺 ノ 詞 、 是 又 寸 尺 等 ニ カ カ ハ ル ヘ キ ニ ア ラ ス 、 火 爐 闊 ト ア リ シ 時、 七 尺 八 尺 ト 云 シ コ ト ハ ニ 不 レ 可 γ 違、 只 同 事 ナ ル ヘ シ 、 ( 抄 → ・ 四 六 七 頁 上 ) 一 草 一 石 も し 七 尺 八 尺 な れ ば 、 彼 → 念 も 七 尺 八 尺 な り、 発 心 も ま た 七 尺 八 尺 な り 。 ( 発 無 上 心 五 三 〇 頁 ) 是 ハ 先 先 ノ 沙 汰 ノ 如 シ 、 此 七 尺 八 尺 ノ 詞、 無 縫 塔 ノ 七 尺 八 尺 程 ノ 尺 ナ ル ヘ シ 、 ( 発 菩 提 心 抄 二 ・ 四 二 〇 頁 上 ) 先 ず に つ い て で あ る 。 先 に は 「 世 界
闊
一丈
、 古 鏡 闊 一 丈 」 「 世 界 闊 一 尺 、 古 鏡闊
一 尺 」 と あ っ た が ( ⇔ ) 、 こ こ で は 「 火 爐 を 見 る に 、 七 尺 に あ らず
、 八 尺 に あ ら ず 」 と 、 火 爐 の 闊 さ が 七 尺 八 尺 で は な い と 説 い て い る 。丈
尺 を 用 い た 同 様 の 表 現 で あ る の に こ の よ う に 肯 定 と 否 定 と に 異 な る の は、 前 者 が 世 界 と古
鏡 の 不 二 同 一 な る こ と を 説く
を 目 的 と し、 世界
の 闊 さ が 一 丈 な ら ぽ 、 古 鏡 の闊
さ も 一丈
であ
り 、 世 界 の 闊 さ が 一 尺 で あ れ ぽ 、 古 鏡 の闊
さ も 一 尺 で あ る と説
い た の に対
し て 、 後 者 は 、 火 爐 の闊
さ の 辺 際 な き 道 理 を 説 く こ と を 目 的 と し て い る か ら で あ る 。 火 爐 と 言 っ て も 七 尺 八 尺 の闊
の 火 爐 で は な 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) く 、 無 限 の闊
さ を 持 つ 火 爐 を こ こ で は 問 題 に し て い る の で あ る か ら、 「 七 尺 に あ ら ず 八 尺 に あ ら ず 」 と 説 か れ る の で あ る 。 の 「 七 尺 八 尺 」 も 、 『抄
』 で は 「 火 爐闊
ト ア リ シ時
、 七 尺 八 尺 ト 云 シ コ ト ハ ニ 不 7 可 γ違
」 と し て 、 と 同 じ 意味
に 解釈
し て い る 。 即 ち 七 尺 八 尺 と い っ た 限 ら れ た 長 さ を 表 わ す の で は な く 、 無 限 定 な 長 さ を表
わ し て い る 。 こ れ は、 問答
が単
な る 問 と答
で は な く、 両 者 が 同 じ 立 場 か ら 述 べ て い る と い う 『 御 抄 』 の解
釈 か ら す れ ぽ 、 「 倆作
麼
生 」 も 問 で は な く 、 「作
麼 生 」 と い う 疑 問 詞 は無
辺 際 を 表 わ す こ と に な り 、 こ の 限定
さ れ な い 雪 峯 の 「 作麼
生 」 と い う こ と ぽ に 対 し て 、玄
沙 は 「 七 尺 八 尺 」 と 答 え た の であ
る か ら 、 や は り こ の こ と ば も 、 七 尺 八 尺 に 限 ら れ た も の で は な く、無
辺 際 な る こ と を 表 わ し て い る と 言 う 解 釈 が 成 り 立 つ 。◎
も 『 抄 』 に 依 れ ぽ 「 此 七 尺 八 尺 ノ 詞、 無 逢 塔 ノ 七 尺 八 尺 程 ノ 尺 ナ ル ヘ シ 」 と あ る か ら 、 と 同 じ無
辺際
と い う意
味
で の 「 七 尺 八 尺 」 と考
え て よ い で あ ろ う 。⇔
八 八 両 ・ 半 斤 こ の 娑 婆 国 土 は、 釈 迦 牟 尼 仏 土 な る が ご と し 。 こ の 娑 婆 世 界 を 挙 拈 し て 、 入 両 半 斤 を あ き ら か に 記 し て 、 十 方 仏 土 の 七 尺 八 尺 な る こ と を 参 学 す べ し 。 ( 十 方 四 七 五 頁 ) ( 半 ) 此 娑 婆 世 界 ト 釈 迦 牟 尼 仏 ト ノ ア ハ ヒ 、 八 両 八 斤 ト 云 程 ノ 道 理 ナ 一 九 一
『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) ど ぞ ど ど エ ル ヘ シ 、 只 一 物 ナ ル 道 理 也 、 十 方 仏 土 ト 、 七 尺 八 尺 ト、 又 八 両 ( 半 ) 八 斤 ナ ル ヘ シ 、 ( 抄 二 ・ 二 四 〇 頁 下 ) ω 東 方 を 塁 礙 す と い へ ど も、 光 明 の 八 両 な り 。 ( 光 明 一 一 七 頁 ) 又 東 方 ヲ 畢 礙 ス ト 云 ヘ ト モ 、 光 明 ノ 八 両 也 ト 云 ハ 、 光 明 ハ 能 照 ノ 光 、 東 方 ハ 所 照 ノ 土 ト ノ ミ 、 思 習 ハ シ タ ル ヲ 、 今 ハ 此 東 方 ヲ 光 明 ト 談 ス ル 所 ヲ 、 光 明 ノ 八 両 ト ハ 云 ナ リ、 能 照 ノ 光 明、 所 照 ノ 土 力 、 共 二 光 明 ナ ル ユ ヘ ニ 、 八 両 ト ハ 云 ハ ル ル 也 、 其 故 ハ 十 六 両 ヲ 一 斤 ト 云 フ 、 八 両 ハ 半 斤 ナ リ 、 八 両 与 二 半 斤 一 ハ 、 只 同 事 也、 ユ ヘ ユ 東 方 与 二 光 明 ハ 只 同 シ キ カ ユ ヘ ニ 、 光 明 ノ 八 両 ト ハ 云 ナ リ 、 ( 抄 一 ・ 三 三 四 頁 下 〜 一 三. 一 五 頁 上 ) ◎ 仏 性 空 を 道 取 す る に、 半 斤 と い は ず、 八 両 と い は ず、 無 と 言 取 す る な り 。 ( 仏 性 一 九 頁 ) ( 前 略 ) 八 両 半 斤 ト ハ 同 キ 員 ヲ 云 也 、 空 ト 無 ト ヲ ナ シ カ ラ ネ ハ 、 八 両 ト モ イ ハ ス ト ナ リ 、 ( 聞 書 一 ・ 四 九 頁 ド ) 両 ・
斤
は衡
を 表 わ す単
位 で あ り、 十 六 両 が 一 斤 に 相 当 す る か ら 、 八 両 は 半 斤 と い う こ と が で き る 。 即 ち 、 八 両 と 言 っ て も 半 斤 と 言 っ て も 、 表 わ し方
が 異 な る の み で 、 同 じ 衡 を 表 わ し て い る こ と に な る 。 そ こ で 、 八 両 と 半 斤 と を 用 い て 、 異 な る 二 者 の 不 二 同 一 な る こ と を 表 わ す 表 現 と し て い る の で あ る 。 ω は 此 娑婆
世界
と 釈 迦 牟 尼 仏 と の 間 が 「 八 両 半 斤 ト 云 程 ノ 道 理 」 。 即 ち 不 二 同 一 で あ る こ と を 表 わ し て お り 、 『 抄 』 は そ の 点 を 明 解 に 解 釈 し て い る 。に は 「 半
斤
」 の 語 は な い が 、 『 抄 』 に 依 れ ば、 「 東 方 与 二 光 明 門 只 同 シ キ カ ユ ヘ ニ 、光
明 ノ 八 両 ト ハ 云 ナ リ 」 と あ る か 一 九 二 ら 、 八 両 の 語 が、 東 方 万 八 千 仏 土 と 光 明 と が 同 一 で あ る こ と を 表 わ し て い る と 言 え る 。 ヘ ヘ ヘ ヘ へ ω は 以 上 の 二 つ と は 異 な り 、 「半
斤 と い は ず、 八 両 と い は へず
」 と 否 定 に な っ て い る の は 、 空 と 無 と が 同 じ で は な い こ と を 表 わ し て い る か ら で あ る 。 ⇔八 ・ 九 ・ + 八 九 成 ・ 十 成 不 相 待 は 為 法 な り、 不 相 対 は 法 為 な り 。 不 相 対 な ら し め 、 不 相 待 な ら し む る は 、 八 九 成 の 道 得 な り 。 ( 海 印 三 昧 一 〇 四 頁 ) 不 相 対 ナ ラ シ メ 、 不 相 待 ナ ラ シ ム ル ハ 、 八 九 成 ノ 道 得 也 ト ハ 、 不 相 待 詞 モ 、 不 相 対 ノ 言 モ 、 ト モ ニ 満 足 ノ 道 得 也 ト 云 心 ナ リ 、 八 九 成 ノ 道、 十 成 二 及 ハ サ レ ハ ト テ 、 不 足 也 ト 不 レ 可 レ 云 、 満 足 ノ 詞 也 、 ( 抄 一 ・ 二 八 五 頁 下 ) ( 前 略 ) 道 吾 日、 「 汝 作 麼 生 会 。 」 雲 巌 日、 「 遍 身 是 手 眼 。 」 道 吾 [ [ 、 「 道 也 太 殺 道、 祗 道 得 八 九 成 。 」 ( 観 音 一 六 九 頁 ) 是 ハ イ ヒ ヨ セ タ レ ト モ 、 猶 不 r 及 二 十 成 一 ユ ヘ ニ 、 八 九 成 ノ 道 ハ 、 十 成 二 猶 不 γ 及 ト 云 タ ル ヤ ウ ニ 聞 ユ 、 是 又 シ カ ア ラ ス 、 人 ノ 十 人 シ テ 持 上 ヘ カ ラ ム 物 ヲ 、 七 八 人 シ テ 持 上 タ ラ バ 、 弥 イ カ メ シ キ、 力 量 ニ テ コ ソ ア ル ヘ ケ レ 、 其 定 二 十 成 ナ ル ヘ キ 事 ヲ 、 八 九 ピコ じカ じの ごヒ ごド しダ エド ら ニ ド こ 成 ナ ラ ム ハ 、 今 一 重 力 量 モ ア リ ヌ ヘ シ 、 但 是 ハ 八 九 成 十 成、 更 勝 劣 ア ル ヘ カ ラ ス 、 不 γ 始 二 于 今 一 事 也、 ( 抄 一 二. 一 八 八 頁 下 ) ω み つ か ら が 心 を 挙 し て 修 行 せ し む、 身 を 挙 し て 修 行 せ し む る に、 機 先 の 八 九 成 あ り 、 脳 後 の 莫 作 あ り 。 ( 諸 悪 莫 作 = 七 八 頁 ) 八 九 成 モ 不 足 ノ 員 ニ ハ ア ル ヘ カ ラ ス 、 十 成 ヲ 非 レ 可 レ 期 也 、 ( 聞
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 書 一 ・ 六 六 充 頁 上 ) こ の 相 ・ 性 ・ 体 ・ 力 等 を 、 果 ・ 報 ・ 因 ・ 縁 等 の あ ひ 里 礙 す る に 一 任 す る と き、 八 九 成 の 道 あ り 。 こ の 相 ・ 性 ・ 体 ・ 力 等 を 、 果 ・ 報 ・ 因 ・ 縁 等 の あ ひ 里 礙 せ ざ る に 一 任 す る と ぎ、 十 成 の 道 あ り 。 ( 諸 法 実 相 一 二 六 六 頁 ) 八 九 成、 十 成 道、 カ ス ノ 多 少 ニ ア ラ ス 、 只 塁 礙 墨 ノ ス カ タ ヲ 、 八 九 成 ト モ 十 成 ト モ 云 也、 ( 抄 二 ・ 一 〇 七 頁 下 ) こ の 道 取、 い ま だ
蘭
の 志 気 に あ ら ず、 わ つ か に 八 九 成 な り 。 た と ひ 八 九 成 を ゆ る す と も、 い ま だ 八 九 成 に あ ら ず、 十 成 を ゆ る す と も、 八 九 成 な き も の な り 。 ( 大 修 行 五 五 一 頁 ) 如 二 御 釈 → 十 成 二 非 ス 、 八 九 成 也 ト 云 ヘ ハ 、 猶 不 二 満 足 → 不 足 ナ ル 心 地 ス 、 祖 門 二 仕 フ 所 ノ 十 成 八 九 成 ノ 道 理 事 旧 ヌ 、 所 詮 十 成 与 二 八 九 成 一 総 勝 劣 多 少 ニ カ カ ハ リ タ ル 詞 ニ ア ラ ス 、 ユ ヘ ニ 如 此 云 也、 十 成 ノ 時 ハ 八 九 成 ア ル ヘ カ ラ ス 、 八 九 成 ノ 時 ハ 十 成 ユ ル ス ヘ カ ラ ス 、 サ レ ハ コ ソ 、 十 成 与 二 八 九 成 一 勝 劣 ナ キ 儀 モ ア ラ ハ ル レ 、 ( 抄 二 ・ 四 七 五 頁 下 ) ω 大 道 十 成 す る と き、 説 法 十 成 す 。 ( 無 情 説 法 三 九 七 頁 ) 大 道 十 成 ト ハ 、 大 道 ト ハ 、 今 ノ 仏 法 ノ 理 ヲ 指 歟、 十 成 ト ハ 、 満 足 円 満 ノ 心 地 也 、 大 道 十 成 セ ハ 、 説 法 モ 十 成 ス ヘ キ 理 必 然 ナ リ 、 此 大 道 力 説 法 ナ ル ユ ヘ ニ 、 ( 抄 二 ・ 一 四 五 頁 下 ) 十 成 と は ω に あ る よ う に 「 満 足 円 満 」 な る こ と 、 完 全 な る こ と を 言 う の で あ る が 、 『 正 法 眼 蔵 』 で は 十 成 よ り も 八 九 成 の 語 が 多 く 用 い ら れ る よ う で あ り、 こ こ に 上 げ た 用 例 も そ の 一部
分 で あ. る 。 十 成 に 対 し て 、 八 九 成 と 言 え ば 、 「 猶 不 〆 及 ト 『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 云 タ ル ヤ ウ ニ 聞 」 え る が 、 『 御 抄 』 は そ の よ う に は解
釈 し て は い な い 。 「 八 九 成 ノ 道 、 十 成 二 及 ハ サ レ ハ ト テ 、 不 足 也 ト 不 ゾ 可 7 云 、 満 足 ノ 詞 也 」 、 「 八 九 成 十 成 、 更 勝劣
ア ル ヘ カ ラ ス 」 、 ω 「 八 九 成 モ 不 足 ノ 員 ニ ハ ア ル ヘ カ ラ ス 、 十 成 ヲ 非 レ 可 〆 期 也 」 、 「 八 九 成、 十 成 道、 カ ス ノ 多 少 ニ ア ラ ス 」 、 「 十 成 ケ ご 八 九 成一 勝 劣 ナ キ 儀 モ ア ラ ハ ル レ 」 と 、 ど の 用 例 も 、 八 九 成 と 言 っ て も 十 成 に 満 た な い 、 不 完 全 と い う 意 味 で は な く 、 八 九 成 と 十 成 と は 同 じ で 、 八 九 成 が 既 に 完 全 で あ る こ と を 表 わ し て い る と 解 釈 し て い る 。 で は、 い か な る 理 由 に よ り 十 成 と 八 九 成 と が 同 じ だ と 言 え る の で あ ろ う か 。 そ れ を 『 抄 』 で は 、 「 十 成 ノ 時 ハ 八 九 成 ア ル ヘ カ ラ ス 、 八 九 成 ノ 時 ハ 十 成 ユ ル ス ヘ カ ラ ス 」 と 述 べ て い る が 、 こ れ はコ
方 を 証 す る と き は 一 方 は く ら し 」 の 論 理 に よ る 解 釈 と 言 え よ う 。 と 言 う こ と は、 十 成 と い う も の を 置 い て 、 そ れ に 対 し て 八 九 成 と 言 っ て い る の で は な く 、 八 九 成 は 八 九 成 で 完 全 で あ る と 言 え る 。 こ れ は、 先 に 「 許 多 手 眼 の 一 二 な る べ し 」 の = 一 を 、 『 抄 』 が 許 多 手 眼 に は 及 ぼ ず 、 わ ず か に 一 二 で あ る と い う意
味 に 取 ら な い で、 全 一 全 二 の 意 味 に 解 釈 し て い た の と 通 ず る も の で あ る と言
え よ う 。 白九 九 九 正 精 進 道 支 と は 、 抉 出 通 身 の 行 李 な り、 抉 出 通 身 打 人 面 な り 。 倒 一 九 三
『 御 抄 』 の 『 正 法 眼 蔵 』 解 釈 ( 伊 藤 ) 騎 仏 殿 打 一 而 、 両 而 三 四 五 市 な る が ゆ ゑ に 、 九 九 算 来 八 十 二 な り 、 ( 三 十 七 品 菩 提 分 法 五 一 七 頁 ) ( 前 略 ) 九 九 八 十 ニ ト 云 詞 モ 、 世 間 ニ ハ 異 ナ ル ヘ シ 、 但 是 モ 九 九 八 十 一 ト 云 ハ 、 凡 見 ナ ル ヘ シ 、 非 レ 可 レ 用 、 倒 騎 二 仏 殿 一 打 一 二 匝 一 ノ 方 ヨ リ 算 来 ス レ ハ 、 八 十 ニ ト モ 、 三 ト モ 、 乃 至 百 千 無 量 ト モ 云 ハ ル ヘ キ 也、 詞 ニ モ 数 量 ニ モ 非 7 可 〆 滞、 ( 抄 二 ・ 三 六 一 頁 上 ) 九 九 八 十 ニ ト イ フ 、 世 間 ニ ハ 九 九 八 十 一 ト イ フ 、 今 一 増 シ テ イ フ 、 不 〆 被 二 心 得 ハ 但 解 脱 ノ 後 ハ 八 十 ニ ト 仕 ヘ シ 、 九 十 一 ト モ 云 ヘ シ 、 カ ス ニ カ カ ハ ラ サ ル ユ ヘ ニ 、 ( 聞 書 二 二 二 八 三 頁 下 ) 「 九 九 八 十 一 」 で あ る べ き が 、 「 九 九 八 十 二 」 と あ る 。 『 抄 』 は 、 「 九 九 八 十 一 ト 云 ハ 凡 見 ナ ル ヘ シ 、 非 レ 可 〆 用 」 と し 、 『 聞 書 』 は 、 「 解 脱 ノ