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Academic year: 2021

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論文内容要旨

Suppressive Activity of Adiponectin on the Development of Allergic Rhinitis in Mice

(マウスでのアレルギー性鼻炎発症におけるアディポネクチン抑制効果)

IN VIVO Vol. 30 No. 1 P93–98 2019

専攻名 外科系耳鼻咽喉科学 古川 傑

背景・目的: アディポネクチンは,アレルギー性鼻炎(AR)をはじめとする気道アレルギー性 炎症性疾患の発症に重要な役割を果たすことが知られている内在性タンパク質である.また,神 経ペプチド,特にサブスタンス

P(SP)は AR

の臨床症状発現や遷延化に寄与していることも知 られているが,アディポネクチンの神経ペプチド産生に及ぼす効果については十分に検討されて いない.そこで今回,SP 産生に及ぼすアディポネクチンの効果について細胞培養実験と動物実 験によって実験的に検討した.材料・方法: 【細胞培養実験】各種濃度のアディポネクチン存 在下,PC-12細胞

1×10

4個を

10.0ng/ml

のカプサイシンで刺激した.刺激

72

時間後に培養上清 を採取,上清中の

SP

濃度を

ELISA

法で測定した.【動物実験】BALB/c系雄マウスに

1.0μg

の卵 白アルブミン(OVA)を

1

週間隔で

3

回,腹腔内投与し,

OVA

感作マウスを作製した.

OVA

の最終 感作

7

日目に各種濃度のアディポネクチン並びに

0.1%の OVA を感作マウスに点鼻投与, 10

分間 当たりのくしゃみ回数と鼻掻き行動回数を計測した.また,

OVA

攻撃点鼻投与後

6

時間目に鼻腔 洗浄液を採取,洗浄液中の

SP

濃度を

ELISA

法によって測定した.結果: 細胞培養系にアディ ポネクチンを添加し

PC-12

細胞をカプサイシンで刺激,SP産生に及ぼすアディポネクチンの効 果を検討したところ,

7.5 ng/ml

以上のアディポネクチン添加により,

SP

の産生が有意に抑制さ れた.次に,OVA感作マウスにアディポネクチンを点鼻投与,その後

0.1%の OVA

を攻撃点鼻し,

アディポネクチンの生体内における

AR

の発症に及ぼす効果を検討したところ,10.0ng/ml以上 のアディポネクチン点鼻により,

OVA

によって誘発される

AR

の症状発現が対照マウスと比較し,

有意に抑制された.更に,アディポネクチンの点鼻は

OVA

攻撃点鼻によって誘導される鼻粘膜に おける

SP

産生をも抑制し,その最少抑制濃度は

10.0 ng/ml

であった.考察: アディポネクチ ンは脂肪細胞から産生・放出される内在性タンパク質で,炎症性サイトカイン産生や好酸球等の 多核白血球の血管外への遊走に寄与している接着分子の発現を抑制し,アレルギー性炎症反応の 発現を調節する機能を有していることが報告されている.AR を代表とする気道アレルギー性疾 患の症状発現にはヒスタミンをはじめとする化学伝達物質に加え,SP やカルシトニン遺伝子関 連物質等の神経ペプチドが重要な役割をはたしていることも報告されている.したがって,本実 験の結果は,アディポネクチンは上述した生体反応調節作用に加え,神経ペプチド,特に

SP

の 産生を抑制し,ARの症状緩和や遷延化を予防している可能性があることを示唆する.

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