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耐酸化還元性を有する固体酸化物燃料電池アノード 材料の開発

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Academic year: 2022

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

耐酸化還元性を有する固体酸化物燃料電池アノード 材料の開発

沈, 雪松

https://doi.org/10.15017/1785411

出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Fulltext available.

(2)

(様式2)

氏 名 :沈 雪松

論 文 名 :

Development of Redox-Stable SOFC Anode Materials

(耐酸化還元性を有する固体酸化物燃料電池アノード材料の開発)

区 分 :

論 文 内 容 の 要 旨

固体酸化物形燃料電池(SOFC)は燃料の有するエネルギーを電気に変換する効率の高さか ら、将来が期待される技術の1つである。SOFCのアノードは、供給した燃料の酸化反応に より電気を取り出す機能が求められる重要な部位である。一般的なアノードにはニッケル と安定化ジルコニアのコンポジットが用いられる。ニッケルは電極内の電気化学反応に伴 い得られる電子の伝導パスであり、安定化ジルコニアは同様の反応に用いられるO2-イオン の伝導パスとして働く。それらの材料が接触する境界は、燃料がO2-イオンと反応して電子 を放出する反応が起こり、三相界面(TPB)と呼ばれる。

アノードの酸化還元に対する不安定な挙動は、ニッケルが酸化還元を繰り返すことによ って生じるアノードの微細構造変化や電気化学特性低下が関係している。実際の SOFC の システムでは、燃料供給の不具合やガスリークに起因して、不可逆なアノードの劣化を容 易に引き起こす。優れた耐酸化還元性を有する新規 SOFC の開発はシステムの長時間運転 を見据えて必要不可欠である。

本論文の第1 章において関連する燃料電池技術の現状と課題について述べた後、第 2 章 においてアノードで使用されている金属ニッケルに代わる酸化物導電体、特に酸化還元に 伴う化学的膨張収縮を抑制できる材料での試験を行った。導電性、熱膨張率、化学的構造 変化などを考慮した結果、2 種類の酸化物を評価した。13%Sr-doped LaCrO3 (SLT)と 10%La-doped SrTiO3 (LST)をその代替となる導電性材料として用い、Sc0.1Ce0.01Zr0.89O2 (SSZ) や Gd0.1Ce0.9O2 (GDC)などの酸素イオン伝導性酸化物と組み合わせたアノードを作製した。

そして、ナノスケールのニッケルとセリア(CeO2)を触媒としてそのアノード内に含浸させた。

本研究で開発したこの酸化物導電材料を用いたアノード材料は、従来のニッケル-ジルコニ ア系アノードと比べ、導電パスが酸化還元の繰り返しにより破壊されないため、優れた耐 酸化還元性を示した。さらに、共含浸したセリアによってニッケルの凝集に伴う反応サイ トの減少が抑制できた。GDCでコーティングしたSLT-SSZを導電パスとし、金属触媒を良 好に分散させたアノードで最も優れた性能を示し、250回の酸化還元サイクル後も優れた発 電性能を示した。

第3 章ではアノード支持型SOFC の単セルを用いた耐酸化還元性の評価を行った。酸化

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還元環境下では、薄い電解質部に対して、アノード支持体に含まれる耐酸化還元性の低い ニッケル-ジルコニア材料が悪影響を与える。性能への影響が大きな部位はアノード活性層 であり、支持体部分ではないものの、LST を支持体として用いた実験では、50 回の酸化還 元の繰り返し実験においても電解質への影響は現れなかった。

第 4 章では、触媒ナノ粒子のアノードへの含浸手法に関して、新たなアプローチを検討 した。第 2 章で示した作製手法を用いることで、電極は良好な電気化学特性や耐酸化還元 性を示したが、十分な触媒の担持には複数の含浸を繰返すため、工程が複雑であった。ま ず 、GDC を ド ー プ し た 遷 移 金 属 の 表 面 特 性 を 様 々 な 条 件 下 で 検 証 し 、 60wt%Gd0.1Ce0.8Ni0.1O2-(Sr0.9La0.1)0.9Ti0.9Ni0.1O3(GDCN-SLTN)を用いた実際の SOFC アノード はドープを行っていない酸化物より優れた電気化学特性を示した。このアノードの酸化還 元試験や周期的な酸化還元によって、酸化物表面におけるニッケルの固溶体分離が引き起 こされた。さらに、酸化還元サイクル中のニッケルの表面酸化などによって生じるアノー ド過電圧の振動現象の理解をふまえたGDCN-SLTNアノードの微細構造の劇的改善により、

安定化がなされた。セル性能はニッケルアノードの安定化によって最終的に50回の酸化還 元サイクル試験後において200mAcm-2で6.6%の向上が確認できた。

このように本研究は第 5 章でまとめたとおり、次世代の高効率発電システムの性能を左 右するアノードについて、耐酸化還元性を有する材料の設計指針を明らかにした。この指 針に沿って、固体酸化物形燃料電池システムの高効率化、高耐久化、高性能化につながる アノードを開発することができた。

参照

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