キーワード:
Technical Sheet
大阪府立産業技術総合研究所
No.OSAKA OSAKAOSAKA OSAKA OSAKA
PCR、
PCR、PCR、
PCR、PCR、ポリメラーゼ、ポリメラーゼ、ポリメラーゼ、ポリメラーゼ、連鎖反応、ポリメラーゼ、連鎖反応、連鎖反応、連鎖反応、連鎖反応、バイオテクノロジー、バイオテクノロジー、バイオテクノロジー、バイオテクノロジー、バイオテクノロジー、DNA、DNA、DNA、DNA、DNA、増幅反応増幅反応増幅反応増幅反応増幅反応
DNA DNA DNA
DNA DNA 増幅用ポリメラーゼ連鎖反応 増幅用ポリメラーゼ連鎖反応 増幅用ポリメラーゼ連鎖反応 増幅用ポリメラーゼ連鎖反応(PCR 増幅用ポリメラーゼ連鎖反応 (PCR (PCR (PCR (PCR 反応 反応 反応 反応) 反応 )) ))装置 装置 装置 装置 装置
機器紹介 機器紹介機器紹介 機器紹介 機器紹介
00023 00023 00023 00023 00023
概要 概要概要 概要 概要
バイオ産業を支えていく上で、多くの新しい 装置や技術が開発されています。例えば、微量 の DNA(デオキシリボ核酸)を高感度で検出す るためには、従来は、感度の点から放射線プ ローブを使用しなければいけないという問題が ありました。Mullis らによって 1986 年に開発 された PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法は、この 問題を解決する画期的な DNA の増幅技術で、ご く微量の DNA さえ存在すれば、大量のコピーを 作製することができ、高感度の検出が容易に行 えるようになりました。彼はこの業績によっ て、1993 年にノーベル化学賞を授与されていま す。ここでは、PCR 法の原理および PCR 反応装置 について説明します。
PCR PCRPCR PCR
PCR 法の原理法の原理法の原理法の原理法の原理
PCR 法の基本原理は、図1に示すように、3 段階からなる DNA の合成反応を繰り返し行うこ
とにあります。①増幅しようとする鋳型となる 2本鎖 DNA を加熱して変性し、ばらばらの1本 鎖に分離します。②増幅したい特定部位の DNA の両端に、相補する2種類のプライマーを加え て温度を下げると、これらのプライマーが DNA 鎖に結合します(アニーリング)。③この状態 で、DNAポリメラーゼと呼ばれるDNAのポリマー をつくる酵素を作用させると、鋳型DNA上でDNA の伸長反応が進んで行きます。これらの反応を 1サイクルとして、反応サイクルを繰り返すこ とにより、目的の領域は、その反応の名称の通 り連鎖反応的に、かつ指数関数的に増幅されま す。理論的には、20 サイクルで約百万倍に増幅 することが可能です(図2)。
次に、PCR 反応での1サイクル中の温度変化 を図3に示します。
①熱変性(94℃、30 秒〜1分)
②プライマーのアニーリング(50℃〜 60℃、
1〜2分)
③伸長反応(72℃、1〜2分)
各ステップでの反応温度、反応時間、および 反応サイクル数は、サンプルにより増幅の最大 効率を得る条件が異なりますので、設定条件を
図1 PCR法の原理 図1 PCR法の原理 図1 PCR法の原理 図1 PCR法の原理 図1 PCR法の原理
0 20 40 60 80 100
0 10 20
サイクル数
増幅量(×10、
図2 PCR反応における理論増幅量 図2 PCR反応における理論増幅量図2 PCR反応における理論増幅量 図2 PCR反応における理論増幅量図2 PCR反応における理論増幅量
作成者 材料技術部 酵素応用グループ 増井 昭彦 Phone:0725‑51‑2688 発行日 2001 年 3 月 5 日
変更する必要があります。いずれにしても、数 十万倍の増幅反応が短時間に行われます。
このように、目的とする領域を短時間に増幅 することができるため、たとえサンプルがごく 微量しかなくても、高感度の検出が可能となり ました。そのため、従来感度が問題とされてい た非 RI(ラジオアイソトープ)法による検出が 可能となり、特別な設備を必要とする RI を用い た実験をする必要がなくなりました。
DNA DNADNA DNA
DNA ポリメラーゼポリメラーゼポリメラーゼポリメラーゼポリメラーゼ
PCR 法が始められた頃は、ポリメラーゼ反応 には、熱に対して不安定な酵素が用いられてい ました。この場合、熱変性ステップで酵素も変 性失活してしまうため、新しいサイクルごとに 酵素を追加する必要があり、実用性に乏しいも のでした。
後に、熱に強い(熱変性ステップの 94℃でも 耐えられる)酵素が開発され、PCR 反応に応用 されました。その結果、酵素の追加の必要がな くなり、プロセスが簡単になっただけでなく、
反応全体の効率すら上がることが明らかになり ました。
PCR PCRPCR
PCRPCR 反応装置反応装置反応装置反応装置反応装置
PCR 反応装置は、基本的には上記のような温 度と時間変化を、プログラムされたとおり自動 的に何回でも繰り返すことができる恒温装置で す。最も一般的なものは、0 . 6 m l のマイクロ チューブを用いるヒートブロック方式の装置で す。これは、加熱・冷却機能のついたヒートブ ロックに、反応液の入ったマイクロチューブを 入れ反応を行なうものです。機種によって、さ らにいろいろな機能が盛り込まれているものも あります。
冷却方式には2種類あり、1つは普通の冷蔵 庫やエアコンと同様、コンプレッサーを用いた ものです。もう一つは、ペルティエ冷却(熱電 冷却)方式のものです。異種の導体または半導 体の接点に電流を流すとペルティエ効果による 吸熱が起こることを利用しています。また、最 近はブロックを加熱・冷却するのではなく、3
つの独立したインキュベータに順次浸けていく ことで、PCR 反応の3つの温度ステップを行う タイプの装置もあります。
PCR PCRPCR
PCRPCR の利用分野の利用分野の利用分野の利用分野の利用分野
上記のように PCR 法は、目的とする DNA 領域 を増幅させるという単純ではありますが、画期 的な方法です。そのため、基礎的な研究分野へ の応用だけに留まらず、さまざまな分野で応用 されています。
例えば、醸造分野では、清酒の製造過程にお いて最も恐れられている火落菌の混入検査を PCR 法を用いて行うことにより、従来法よりも 短時間に高感度で行うことができます。食品分 野では、食品中に存在する汚染菌の検出や組換 え食品の検出に利用することができます。医学 分野では、遺伝子疾患などの病気の診断、集団 食中毒の原因菌のベロ毒素に関与する遺伝子の 検出などに利用されています。法医学の分野で も、1本の髪の毛から個人の同定が可能となっ ています。さらにこれら以外にも、考古学など の分野でも利用されています。
参考文献 参考文献参考文献 参考文献参考文献
中山広樹,バイオ実験イラストレイテッド 3,秀潤社,1996
1サイクル
1 2 3 4 5 時間(分)
94 72 50〜60
温度︵℃︶
①熱変性
②プライマーの アニーリング
③伸長反応
①〜③の反応を nサイクル繰り返す
図3 PCR反応における反応行程 図3 PCR反応における反応行程 図3 PCR反応における反応行程 図3 PCR反応における反応行程 図3 PCR反応における反応行程