• 検索結果がありません。

今後の食料生産と国際農業協力

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "今後の食料生産と国際農業協力"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

J Intl Cooper Agric Dev 2019 1 Journal of

International Cooperation for Agricultural Development

J Intl Cooper Agric Dev 2019; 17: 1

 巻頭言 

今後の食料生産と国際農業協力

縄田 栄治

京都大学大学院農学研究科長

「年間24億トン」。この数値を聞いて、何を思われるだろうか。2014年から2016年の3年間、イネ・

コムギ・トウモロコシ、いわゆる3大穀類の全世界の総生産量は、24億トンを超えている。「年間24 億トン」がどのくらいの量なのか、あまりにも膨大でとらえにくいが、大ざっぱに言って、1年1トン の穀物でほぼ4〜5人の人が食べていける。即ち、「年間24億トン」は、100億人かそれ以上の人口を 養うことが可能な生産量といえる。2014年から2016年は、エルニーニョ現象が現れたため、この間、

世界各地で異常気象が報告され、旱魃や洪水なども頻発し、農業被害も多かった。にもかかわらず、

地球規模では比較的安定した穀物生産が実現している。他の多くの主要食用作物の生産もほぼ同様で ある。多くの要因がこのことを可能にしたと思われるが、農業技術の進歩は間違いなく大きく寄与し ているであろう。また、農水省農業環境研究所の最近の発表によると、地球温暖化の悪影響は既に現 れているという。地球温暖化の影響が徐々に現れてくる中での高く比較的安定した穀物生産の実現は、

ある程度温暖化の影響を考慮した技術革新や政策実行がなされていることを示している。

ただ、上のような状況は、あくまで地球規模で農業生産を見た場合である。地域レベル、国レベ ルでは、相変わらず生産が不安定で飢饉が頻発し、国際連合国際食糧計画(World Food Program WFP)の食料支援活動は、毎年、活発である。頻発する飢饉の原因は様々であり、地域によっては民 族紛争や宗教紛争を含む政治的な不安定性、あるいは人口急増の影響も大きいが、砂漠化を含む気候 変動による生産の減少・不安定化も主要な原因の一つであろう。地域紛争の解決には、国際連合や他 の多国間の枠組みなど、国際的な協力が欠かせないが、多くの場合、短期間での解決が困難で、国際 社会の持続的な支援が必要である。一方、地域レベル、国レベルでの安定した農業生産は、ある程度、

地域の安定化をもたらすことが期待される。反対に、不安定な農業生産は紛争地域の政治的安定をよ り一層遠ざける懸念がある。地域レベル、国レベルでの農業生産の安定は、今後の地域の安定に必要 不可欠であろう。この意味で、農業分野の国際協力は、地球規模での安定した穀物供給を達成した今 も重要であるし、気候変動や人口増加、現在の農業が大きく依存する化石エネルギーの枯渇など、安 定した穀物生産を脅かす問題が次々と顕在化してくる近い将来において、より一層の重要性をもつと 思われる。本誌が、農業分野の国際協力の一助となれば幸いである。

参照

関連したドキュメント

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ

世界レベルでプラスチック廃棄物が問題となっている。世界におけるプラスチック生 産量の増加に従い、一次プラスチック廃棄物の発生量も 1950 年から

単に,南北を指す磁石くらいはあったのではないかと思

 今日のセミナーは、人生の最終ステージまで芸術の力 でイキイキと生き抜くことができる社会をどのようにつ

自然言語というのは、生得 な文法 があるということです。 生まれつき に、人 に わっている 力を って乳幼児が獲得できる言語だという え です。 語の それ自 も、 から

 国によると、日本で1年間に発生し た食品ロスは約 643 万トン(平成 28 年度)と推計されており、この量は 国連世界食糧計画( WFP )による食 糧援助量(約

★ IMOによるスタディ 7 の結果、2050 年時点の荷動量は中位に見積もって 2007 年比約3倍となり、何ら対策を講じなかった場合には、2007 年の CO2 排出量 8.4

1ヵ国(A国)で生産・製造が完結している ように見えるが、材料の材料・・・と遡って