教育さいたま31号 25
授業の達人
(平成 28 年度さいたま市優秀教職員)クローズ アップ
さいたま市教育員会は、平成27年11月に、
子どもたちのさらなる学力の向上を目指して、
子どもたちの意欲を高め、学力を付ける「よい 授業」を4つの因子で示している。そこで、数 学科としての「よい授業」を考えてみた。
4つの因子の1つに「アクティブ・ラーニング」
がある。これは、問題や課題について目的意識 をもって主体的に取り組んでいる授業であり、
数学的活動を通した授業であると考える。生徒 は、必要性のない問題や課題には、主体的に取 り組もうとせず受動的になることが多い。そこ で、授業で扱う問題や課題に必要性をもたせる ことが重要であると考える。必要性を感じる問 題を提示することで、生徒は、自然に「なぜだ ろう」と「疑問」をもつ。そこで「解決するた めにはどうしたらよいか」と問い、「もしかした ら」と「予想を立てさせる」ことに繋げていく。
「予想」は、生徒の学びを深めることに繋がり、
その後の授業に対して主体的に取り組む糧にな ると考える。解決方法について予想を立てさせ ようとすると、生徒は、「間違った考え=恥ずか しい」という意識が働き、「間違ってはいけない」
と思い込んでしまうことがある。「間違い」を恐 れることで、考えることをためらい、数学の楽 しさの1つである「考える楽しさ」を感じられ なくなる。そこで、4つの因子の1つ「授業マ ネジメント」として、「授業では間違ってもよい」
ということを、教師が生徒に示すことが大切で ある。具体的には、間違った考えをもった生徒 に対して、それを適切に評価し、次に繋がる指 導を行うことで「恥ずかしさ」を緩和できると 考える。
4つの因子の中に「基礎アップ」があり、「学
び直し」もその1つだと考える。数学的活動の 授業において、問題や課題を解決するためには、
基礎的な知識・技能が必要である。生徒が基礎 的な知識・技能を習得していることを前提に授 業をつくるが、実際に授業をするとつまずく生 徒がいる。そこで、数学的活動の授業に、基礎 的な知識・技能を振り返る「学び直し」を取り 入れることで、「基礎アップ」に繋げることが大 切である。
全国学力・学習状況調査の報告書では、内容 の理解をみる問題の正答率が低く、課題がある としている。では、内容を理解させるには、ど のように指導の改善をしたらよいだろうか。例 えば、回転体を理解させる学習をする際に、実 際に手で触れる模型を作成することで、実感を 伴った理解に繋がると考える。
これは、4つの因子の1つ「授業スキル」に 関わることとして、実際に触れさせて理解させ るスキルだと考える。動画だけでなく、実際に 触れる教具を用意することで、印象付けること ができさらに理解が深まる。
ここで上げた「よい授業」の考察以外にも様々 な授業改革の意識や工夫があると思う。それら を自ら考えて実行することもよいが、まずは、
賢人の授業を見て、そのスキルを真似ることで 授業力や指導力を向上させることが「よい授業」
をする第一歩だと考える。