2006 年 9 月作成
−医薬品の適正使用に欠かせない情報です。使用前に必ずお読み下さい。−
新医薬品の「使用上の注意」の解説
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者2.
肝機能が低下していると考えられる以下のような患者急性肝炎,慢性肝炎の急性増悪,肝硬変,肝癌,黄疸[これらの患者では,本剤の血中濃度 が上昇するおそれがある。また,本剤は主に肝臓に分布して作用するので,肝障害を悪化さ せるおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
3.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦(「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の 項参照)4.
シクロスポリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重に投 与すること)
与すること)
与すること)
与すること)
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に,本剤とフィブラート系薬剤を併用す る場合には,治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。[横紋筋融解症があ らわれやすい。](「相互作用」の項参照)
製造販売元
薬価基準収載 薬価基準収載 薬価基準収載 薬価基準収載
(最新の使用上の注意をご確認下さい)
はじめに
クレストール®錠(一般名:ロスバスタチンカルシウム)は,塩野義製薬株式会社で創製され て初期の臨床試験までが実施された後,医療現場で求められている優れた脂質低下作用を持つ 薬剤として,アストラゼネカ本社(旧,英国ゼネカ社)に開発が引き継がれた薬剤です。
本剤は,肝臓への組織選択性の向上を目的として,親水性であることをコンセプトに合成さ れた完全合成型の化合物であり,高コレステロール血症患者を対象とした試験において,血清 脂質レベルの改善が認められました。
これらの成績に基づいて,高コレステロール血症の治療薬として,欧米を中心に世界
75
以上 の国と地域で承認を取得し(2005年11
月現在),わが国においても,国内外で実施された臨床 試験に基づいて2005
年1
月に高コレステロール血症及び家族性高コレステロール血症の適応で 承認されました。日本での開発は,海外での豊富な臨床データを利用することを目的に,ブリッジング試験を 実施して海外臨床データの日本人への外挿可能性について評価しました。その結果,日本人で は血中濃度が白人の約
2
倍を示したこと及び臨床試験成績から,有効性及び安全性の双方とも 日本人では欧米人の2
分の1
の用量に相当すると考えられました。本剤は速やかに吸収され,投与後約
5
時間にCmax
を示し,消失半減期(t1/2)は約20
時間で した。本剤は肝臓に選択的に取り込まれ,ほとんど代謝を受けずに,胆汁排泄により主に糞中 に未変化体のまま排泄されます。なお,日本人におけるCmax,AUC
は白人の約2
倍でした。本剤はブリッジングにより申請・承認された初めてのスタチンであり,日本人の臨床データ,
特に安全性データが限られていること及び日本人における全身曝露量が白人の
2
倍であること を考慮し,市販後においては安全性データを積極的に収集し日本人における安全性を検証して いく所存です。本冊子では,クレストール®錠のご使用に際しての注意事項を各項目ごとに解説いたしました。
本剤の適正使用ならびに本剤の副作用発現防止,早期対応による重篤化防止の一助となれば幸 いです。
目次
効能・効果 効能・効果効能・効果
効能・効果...1111 用法・用量
用法・用量用法・用量
用法・用量...1111 禁忌
禁忌禁忌
禁忌 ...2...222 原則禁忌
原則禁忌原則禁忌
原則禁忌...6...666 効能・効果に関連する使用上の注意
効能・効果に関連する使用上の注意効能・効果に関連する使用上の注意
効能・効果に関連する使用上の注意 ...7777 用法・用量に関連する使用上の注意
用法・用量に関連する使用上の注意用法・用量に関連する使用上の注意
用法・用量に関連する使用上の注意 ...8888 使用上の
使用上の使用上の
使用上の注意注意注意注意...10101010 1.
1.1.
1. 慎重投与慎重投与慎重投与慎重投与 10101010 2.
2.2.
2. 重要な基本的注意重要な基本的注意重要な基本的注意重要な基本的注意 13131313 3.
3.3.
3. 相互作用相互作用相互作用相互作用 14141414 4.
4.4.
4. 副作用副作用副作用副作用 23232323 5.
5.5.
5. 高齢者への投与高齢者への投与高齢者への投与高齢者への投与 39393939 6.
6.6.
6. 妊婦,産婦,授乳婦等への投与妊婦,産婦,授乳婦等への投与妊婦,産婦,授乳婦等への投与妊婦,産婦,授乳婦等への投与 40404040 7.
7.7.
7. 小児等への投与小児等への投与小児等への投与小児等への投与 40404040 8.
8.8.
8. 適用上の注意適用上の注意適用上の注意適用上の注意 41414141 参考文献
参考文献参考文献
参考文献...42424242
1
効能・効果
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症
効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意
1.
適用の前に十分な検査を実施し,高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症であ ることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。2.
家族性高コレステロール血症ホモ接合体については,LDL-アフェレーシス等の非薬物療法 の補助として,あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。「効能・効果に関連する使用上の注意」の解説は
7
頁をご参照下さい。用法・用量
通常,成人にはロスバスタチンとして
1
日1
回2.5mg
より投与を開始するが,早期にLDL-コレ
ステロール値を低下させる必要がある場合には5mg
より投与を開始してもよい。なお,年齢・症状により適宜増減し,投与開始後あるいは増量後,4週以降に
LDL-コレステロール値の低下
が不十分な場合には,漸次10mg
まで増量できる。10mg
を投与してもLDL-コレステロール値の
低下が十分でない,家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り,さらに増量でき るが,1日最大20mg
までとする。用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意
1.
クレアチニンクリアランスが30mL/min/1.73m
2未満の患者に投与する場合には,2.5mgより 投与を開始し,1日最大投与量は5mg
とする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)2.
特に20mg
投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。20mg投与開始後12
週までの間は原則,月に1
回,それ以降は定期的(半年に1
回等)に腎機能検査を行うなど,観察を十分に行うこと。
「用法・用量に関連する使用上の注意」の解説は
8,9
頁をご参照下さい。禁忌
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
【禁忌】(次の患者には投与しないこと)
1.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者<解説> <解説>
<解説> <解説>
医薬品全般に対する一般的な注意事項です。
過去に本剤の成分で血管浮腫を含む過敏症状があらわれた経験をもつ患者では,本剤の再投 与により過敏症状が再発するおそれがあります。従って,このような患者への本剤の再投与は 禁忌です。
本剤に関連する過敏症については,
36
頁「4.副作用 (1)重大な副作用4)
過敏症状」の項をご参 照下さい。3
2.
肝機能が低下していると考えられる以下のような患者急性肝炎,慢性肝炎の急性増悪,肝硬変,肝癌,黄疸[これらの患者では,本剤の血中濃度 が上昇するおそれがある。また,本剤は主に肝臓に分布して作用するので,肝障害を悪化さ せるおそれがある。](「薬物動態」の項参照)
<解説> <解説>
<解説> <解説>
肝機能が低下している患者では本剤の血中濃度が上昇することから,本剤の副作用があら われやすくなるおそれがあります。
肝障害患者(Child-Pugh A及び
B)にロスバスタチンカルシウム 10mg
*を1
日1
回14
日間 反復経口投与し,血漿中ロスバスタチン濃度を測定したところ肝障害患者のCmax
及びAUC
0-24hはそれぞれ健康成人群の1.5〜2.1
倍及び1.05〜1.2
倍の上昇が認められました。また,本剤は主に肝臓において作用するため,肝障害を悪化させるおそれがあります。
従って,肝機能が低下していると考えられる患者(急性肝炎,慢性肝炎の急性増悪,肝硬 変,肝癌,黄疸)への本剤の投与は禁忌です。
肝障害患者における薬物動態パラメータ(外国人によるデータ)1)2) 被験者
(Child-Pugh分類)
n Cmax
(ng/mL)
AUC
0-24h(ng・h/mL)
健康成人
6 6.02 60.7
軽度肝障害患者
(Child-Pugh
A)
6 9.29
(1.5倍)
63.7
(1.05倍)
中等度肝障害患者
(Child-Pugh
B)
6 12.8
(2.1倍)
73.3
(1.2倍)
Child-Pugh
スコア7 4 2.71〜13.2
(0.5〜2.2倍)
21.5〜96.1
(0.4〜1.6倍)
Child-Pugh
スコア8 1 23.4
(3.9倍)
128
(2.1倍)
Child-Pugh
スコア9 1 96.7
(16.1倍)
242
(4.0倍)
ロスバスタチンカルシウム(10mg*)を
1
日1
回14
日間反復経口投与*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は白人の 約2倍であるので,外国人に対する10mg投与は日本人に対する 5mg
投与に相当すると考えられます。本剤の「用 法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。1) Simonson, S.G. et al.
:Eur J Clin Pharmacol. 2003;58:669-675.2)社内資料(肝障害の影響、2000)
≪Child-Pugh分類について(肝硬変の臨床分類)≫
肝機能障害の程度を示す分類の一つ。脳症,腹水,ビリルビン値,プロトロンビン比の各 項目について,その程度をスコア化したものを合計して,その合計点が
5〜6
点をGrade A
(軽 症),7〜9点をGrade B(中等症)10〜15
点をGrade C(重症)と規定している。
Child-Pugh
分類Score 1 2 3
肝性脳症 なし
1〜2
度3〜4
度 腹水 なし 軽度 中等度以上 血清ビリルビン値(mg/dL)
1〜2 2〜3
>3 血清アルブミン(g/dL) >3.5 2.8〜3.5 <2.8原発性胆汁性肝硬変 における 血清ビリルビン値
(mg/dL)
1〜4 4〜10
>10プロトロンビン時間
(秒,延長)
(%)
1〜4
>70
4〜6 40〜70
>6
<40
5
3. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳婦(
「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項参照)
<解説> <解説>
<解説> <解説>
詳細は,40頁「6.妊婦,産婦,授乳婦等への投与」の項をご参照下さい。
4.
シクロスポリンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)<解説>
<解説>
<解説> <解説>
詳細は,14頁「3.相互作用(1)併用禁忌」の項をご参照下さい。
原則禁忌
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重
【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが,特に必要とする場合には慎重 に投与すること)
に投与すること)
に投与すること)
に投与すること)
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に,本剤とフィブラート系薬剤を併用す る場合には,治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。[横紋筋融解症があ らわれやすい。](「相互作用」の項参照)
<解説> <解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤及びフィブラート系薬剤共通の注意事項です。ベザフィブラート製剤では,平成
11
年3
月3
日に公示された再審査結果に伴い,自主改訂により「使用上の注意」の「禁忌」及び「併用禁忌」の項に「血清クレアチニン値が
1.5mg/dL
を超え,HMG-CoA還元酵素 阻害剤を投与中の患者には投与しない」旨が追記されました。この点について,厚生省医薬安 全局(現厚生労働省医薬食品局)安全対策課において改めて検討された結果,HMG-CoA還元 酵素阻害剤及びフィブラート系薬剤双方に,両剤の併用は,腎機能に関する臨床検査値に異常 が認められる患者では,原則併用禁忌とするよう厚生省医薬安全局安全対策課長通知(医薬安 第61
号:平成11
年6
月16
日付)が発出されました。以上のことから,本剤においても「原則禁忌」及び「3.相互作用 (2)原則併用禁忌」の項を設け,
注意喚起を行っております。
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者に対し,本剤とフィブラート系薬剤を併 用することがやむを得ないと判断された場合には,自覚症状(筋肉痛,脱力感)の発現,CK
(CPK)の上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等に注意しなが ら慎重に投与する必要があります。横紋筋融解症,ミオパシーの症状・徴候が認められた場合 には,直ちに投与を中止して下さい。
なお「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められない患者」では,フィブラート系薬剤と の併用は,「併用注意」となっています。
詳細は
16
頁「3.相互作用 (3)併用注意」の項をご参照下さい。7
効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意 効能・効果に関連する使用上の注意
1.
適用の前に十分な検査を実施し,高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症であ ることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。<解説>
<解説>
<解説> <解説>
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項です。
本剤の効能・効果は「高コレステロール血症」,「家族性高コレステロール血症」ですが,
ほかの疾患や薬剤により二次的にコレステロールが上昇する場合があり,このような場合には 原因疾患の治療を優先する必要があります。
従って,十分な検査を実施後,「高コレステロール血症」,「家族性高コレステロール血症」
であることを確認することが必要です。
2.
家族性高コレステロール血症ホモ接合体については,LDL-アフェレーシス等の非薬物療法の
補助として,あるいはそれらの治療法が実施不能な場合に本剤の適用を考慮すること。<解説>
<解説>
<解説> <解説>
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項です。
家族性高コレステロール血症のうち,ホモ接合体の患者ではLDL-コレステロールの代謝に必 要なLDL受容体の活性がほとんどないか,あってもごくわずかです。本剤の主な作用はLDL受 容体を誘導し,肝臓へのコレステロールの取り込みを増加することであるため,ホモ接合体の 患者では十分な効果が得られにくいものと考えられます。
このことから,治療上やむを得ないと判断される場合に限って,
LDL-アフェレーシス等の非
薬物療法の補助的手段として,本剤を使用して下さい。≪家族性高コレステロール血症について≫
LDL
受容体の欠損や機能異常により生じる常染色体性優性遺伝性疾患で,著明な高コレス テロール血症,腱黄色腫,早発性冠動脈硬化症が3
主徴とされています。用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意 用法・用量に関連する使用上の注意
1.クレアチニンクリアランスが 30 mL/min/1.73m
2未満の患者に投与する場合には,2.5 mg
より投 与を開始し,1日最大投与量は5mg
とする。(「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照)<解説>
<解説>
<解説> <解説>
腎障害のある患者にロスバスタチンカルシウム
20mg
*を1
日1
回14
日間反復投与し,血漿 中ロスバスタチン濃度を測定したところ,軽度から中等度の腎障害のある患者では,Cmax ,AUC
0-24hは健康成人の1.1〜1.8
倍でした。重度(クレアチニンクリアランス < 30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では,健康成人に比べて血漿中濃度が約
3
倍に上昇しました3)。腎障害患者における薬物動態パラメータ(外国人によるデータ)
被験者
(CCr:mL/min/1.73m2)
n Cmax
(ng/mL)
AUC
0-24h(ng・h/mL)
健康成人
4 10.1 98.0
軽度腎障害患者(50〜80)
8 17.7
(1.8倍)
139
(1.4倍)
中等度腎障害患者
(30〜50)
4 11.4
(1.1倍)
105
(1.1倍)
重度腎障害患者
(<30)
6 31.5
(3.1倍)
309
(3.2倍)
ロスバスタチンカルシウム(20mg*)を
1
日1
回14
日間反復経口投与一般に,HMG-CoA 還元酵素阻害剤投与時にみられる横紋筋融解症の多くは腎障害を有する 患者に発現しており,また,横紋筋融解症に伴って急激な腎機能の悪化があらわれることがあ ります4)。
従って,重度の腎障害のある患者では
2.5mg
から投与を開始し,5mgを1
日投与量の上限と していただくよう注意喚起しています。(10頁「1.慎重投与」の項参照)*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は白人の 約2
倍であるので,外国人に対する20mg
投与は日本人に対する10mg
投与に相当すると考えられます。本剤の「用法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。
3)社内資料(腎障害の影響、2001)
4)小竹英俊
他:Prog Med. 2004; 24 (1):92-96.9
2.
特に20mg
投与時においては腎機能に影響があらわれるおそれがある。20mg投与開始後12
週までの間は原則,月に1
回,それ以降は定期的(半年に1
回等)に腎機能検査を行うなど,観察を十分に行うこと。
<解説>
<解説>
<解説> <解説>
承認時までの臨床試験において,本剤40mg*以上の投与例では蛋白尿の発現頻度の上昇が認 められ,80mg*投与例では血尿の発現頻度の上昇が認められています。また,重篤な腎機能障 害の報告もありますが,本剤と腎機能障害との因果関係は明確にはされていません。
しかし,現時点では,日本人における本剤の安全性のデータは限られていること,同じ投与 量であっても日本人における本剤の曝露量は白人の約2倍に相当することを考慮し,本剤の国 内最高用量である20mg投与時においては,他の要因も含めて腎機能の悪化をきたしていないこ とを確認し,重篤な腎機能障害への進展を未然に防ぐために,定期的な腎機能検査(血清クレ アチニン,BUN等)の実施を本項にて注意喚起しました。
*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は白人の 約2
倍であるので,外国人に対する80mg,40mg
投与は日本人に対する40mg,20mg
投与に相当すると考えられま す。本剤の「用法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。使用上の注意
1. 1. 1.
1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)
(1)
腎障害又はその既往歴のある患者[重度の腎障害のある患者では,本剤の血中濃度が高くな るおそれがある。一般に,HMG-CoA還元酵素阻害剤投与時にみられる横紋筋融解症の多く が腎機能障害を有する患者であり,また,横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわ れることがある。](「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照)<解説> <解説>
<解説> <解説>
軽度から中等度の腎障害のある患者では,
Cmax, AUC
0-24hは健康成人の1.1〜1.8
倍でしたが,重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では,健康成人に比 べて血中濃度が約
3
倍に上昇しました3)。また,欧州医薬品審査庁(The European Agency for the Evaluation of Medicinal Products:
EMEA)
医薬品委員会(Committee for Proprietary Medicinal Product:CPMP)の医薬品安全性監視ワーキ ングパーティー(Pharmacovigilance Working Party:PhVWP)において
HMG-CoA
還元酵素阻害 剤による筋障害について検討が行われ,腎障害のある患者では横紋筋融解症を起こしやすい素 因を有するため,HMG-CoA 還元酵素阻害剤を処方する場合は慎重に投与すべきであるとの内 容を添付文書に記載するよう勧告が発出され,日本においてもHMG-CoA
還元酵素阻害剤共通 の注意事項として記載しています。従って,腎障害及びその既往歴のある患者において,横紋 筋融解症の症状・徴候や腎機能検査値の推移に注意するなど慎重な投与が必要です。なお,重度の腎障害のある患者では,本剤の血中濃度が上昇することから,用法・用量に関 連する使用上の注意において開始用量,1日最大投与量を明示しています。(8頁「用法・用量 に関連する使用上の注意」の項参照))
(2)
アルコール中毒患者,肝障害又はその既往歴のある患者[本剤は主に肝臓に分布して作用す るので,肝障害を悪化させるおそれがある。また,アルコール中毒患者では,横紋筋融解症 があらわれやすいとの報告がある。](「禁忌」及び「薬物動態」の項参照)<解説>
<解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤共通の注意事項です。上記(1)の解説同様,アルコール中毒患者も横紋筋融解症を起こしやすい素因のある患者とされています。
また,アルコール中毒患者ではアルコールによる筋細胞の代謝障害(エタノールやその代謝 物アセトアルデヒドによる筋肉内解糖系酵素活性の阻害)又は直接毒性(エタノールによる筋 鞘膜や筋肉内ミトコンドリアに対する直接毒性)等により横紋筋融解症を含む筋障害(アルコ ール性ミオパシー)を来たす場合があり,横紋筋融解症の危険因子となるとの報告があります
5)。
以上よりアルコール中毒の患者に対しては,筋障害の徴候に注意して慎重に投与していただ くよう注意喚起しています。
また,本剤は主に肝臓に分布して作用するため,肝障害を悪化させるおそれがあります。肝
11
障害又はその既往歴のある患者に本剤を投与する際には,肝機能検査値の推移に注意するなど,
慎重に投与して下さい。
なお,肝機能が低下していると考えられる患者(急性肝炎,慢性肝炎の急性増悪,肝硬変,
肝癌,黄疸)に対しては投与禁忌です(3頁「禁忌」の項参照)。
3)社内資料(腎障害の影響、2001)
5)大塚淳司
他:臨床と研究1999;76 (2):348-350.
(3)
フィブラート系薬剤(ベザフィブラート等),ニコチン酸,アゾール系抗真菌薬(イトラコ ナゾール等),マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン等)を投与中の患者[一般にHMG-CoA
還元酵素阻害剤との併用で横紋筋融解症があらわれやすい。](「相互作用」の項 参照)<解説> <解説>
<解説> <解説>
これら薬剤とHMG-CoA還元酵素阻害剤の併用により,横紋筋融解症があらわれやすいとさ れています。
このうち,「腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者」に対するフィブラート系 薬剤との併用については「原則禁忌/原則併用禁忌」となっています。「腎機能に関する臨床 検査値に異常が認められない患者」に対するフィブラート系薬剤(ベザフィブラート等)の併 用,また,ニコチン酸,アゾール系抗真菌薬(イトラコナゾール等),マクロライド系抗生物 質(エリスロマイシン等)については,16-19頁「相互作用」の各解説をご参照下さい。
(4)
甲状腺機能低下症の患者,遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患 者,薬剤性の筋障害の既往歴のある患者[横紋筋融解症があらわれやすいとの報告がある。]<解説>
<解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤共通の注意事項です。10
頁(1)の解説同様,甲状腺機能低下症の患 者,遺伝性の筋疾患(筋ジストロフィー等)又はその家族歴のある患者,HMG-CoA 還元酵素 阻害剤又はフィブラート系薬剤での筋障害の既往歴のある患者も横紋筋融解症を起こしやす い素因のある患者とされています。(5)
高齢者(「高齢者への投与」の項参照)<解説>
<解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA還元酵素阻害剤共通の注意事項です。10頁(1)の解説同様,高齢者も横紋筋融解症
を起こしやすい素因のある患者とされています。一般に,高齢者は腎機能,肝機能等生理機能 が低下していることがあり,慎重に投与する必要があります。なお,臨床試験において本剤を 投与した場合,高齢者と非高齢者に血中濃度の明らかな差は認められていません6)。なお,高齢者については,39頁「5.高齢者への投与」の項もご参照下さい。
6)Martin, P.D. et al.:J Clin Pharmacol. 2002;42:1116-1121.
13
2. 2. 2.
2. 重要な基本的注意 重要な基本的注意 重要な基本的注意 重要な基本的注意
(1)
あらかじめ高コレステロール血症治療の基本である食事療法を行い,更に運動療法や高血圧,喫煙等の虚血性心疾患のリスクファクターの軽減等も十分考慮すること。
<解説> <解説>
<解説> <解説>
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項です。
高コレステロール血症の治療の基本は,食事療法や運動療法を含めた生活習慣改善です。た とえ薬物治療が必要となっても生活習慣改善を基本に置くことが重要です。
(2)
投与中は血中脂質値を定期的に検査し,治療に対する反応が認められない場合には投与を 中止すること。<解説>
<解説>
<解説> <解説>
高コレステロール血症の治療剤にほぼ共通する注意事項です。
効果がない場合に漫然と使用され,適切な治療が遅れることを避けるために記載しています。
(3)
投与開始又は増量後12
週までの間は原則,月に1
回,それ以降は定期的(半年に1
回等)に肝機能検査を行うこと。
<解説>
<解説>
<解説>
<解説>
肝機能障害症例の多くは,投与開始後数ヶ月以内に肝機能検査値異常が発現しています。よ り重篤な肝機能障害への進展を未然に防ぐためにも,定期的に肝機能検査を行うことが望まし く,日本動脈硬化性疾患診療ガイドライン及び本剤の米国添付文書の記載を参考に検査時期を 設定しました。
≪日本動脈硬化性疾患診療ガイドライン(2002年)の記載≫
薬物治療のフォローアップ
薬物治療開始後は,薬剤の効果とともに副作用の検査をおこなう必要がある。一般には最初 の
3
ヶ月間は毎月,その後は少なくとも3
ヶ月ごとの検査が望まれる。薬物治療の評価には血清総コレステロール値,血清トリグリセリド値,および
HDL-C
値を 測定する。症例によりLp(a)[リポ蛋白(a)]の測定もおこなう。
副作用のチェックには肝機能[AST(GOT),
ALT(GPT), LDH, ALP,γGTP,総ビリルビン],
腎機能(尿検査,クレアチニン,BUN),CK,末梢血液などの検査が必要である。
≪米国添付文書の記載≫
治療開始前及び
12
週後,用量増量前及び増量12
週後,さらにその後は定期的に(たとえば 年2
回)肝機能検査を実施することが望ましい。通常,肝酵素値の変化はロスバスタチンの投与開始後
3
ヶ月以内に発現する。トランスアミ ナーゼ上昇が認められた場合は,正常に復するまで観察を続けること。基準値上限の3
倍を超 えるALT
上昇又はAST
上昇が持続する場合には,用量を減量するか,又はロスバスタチンの 投与を中止することが望ましい。3. 3. 3.
3. 相互作用 相互作用 相互作用 相互作用 (1)
(1) (1)
(1) 併用禁忌(併用しないこと) 併用禁忌(併用しないこと) 併用禁忌(併用しないこと) 併用禁忌(併用しないこと)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 シクロスポリン
(サンディミュン,
ネオーラル)
シクロスポリンを投与されて いる心臓移植患者に併用した とき,シクロスポリンの血中濃 度に影響はなかったが,本剤の
AUC
0-24h が健康成人に単独で反復投与したときに比べて約
7
倍上昇したとの報告がある。シクロスポリンにより本剤の 肝への取り込みが阻害される ためと考えられる。
<解説> <解説>
<解説> <解説>
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者に本剤を併用したとき,シクロスポリンの 血中濃度に影響はみられませんでしたが,本剤の
AUC
0-24hが健康成人に単独で反復投与した ときに比べ約7
倍上昇しました7)。シクロスポリンとHMG-CoA
還元酵素阻害剤との相互作 用の機序については,CYP3A4
以外にトランスポーターを介したものが報告されています8)。 本剤は,CYP3A4 を介した明らかな相互作用は報告されていないことから,トランスポータ ーを介した相互作用により本剤の肝への取り込みが阻害されるため,本剤の血中濃度が上昇 すると考えられます。従って,シクロスポリン投与中の患者への本剤の併用は禁忌です。
ロスバスタチン単独及びシクロスポリン併用投与時の薬物動態パラメータ
(外国人によるデータ)
ロスバスタチン
カルシウム投与量 パラメータ
併用投与
(心臓移植患者)
(A)
単独投与
(健康成人)(B) 比(A/B)
Cmax
(ng/mL)
48.7 4.58 10.6
10mg
*AUC
0-24h(ng・h/mL)
284 40.1 7.1
シクロスポリン(75〜200mg)
1
日2
回反復投与を受けている心臓移植患者にロスバスタチンカルシウム(10mg*)を
1
日1
回反復投与し,定常状態における血漿中ロスバスタチン濃度を測定(併用投与時 n=10,単独投与時 n=21)
*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg
,承認用量は1
日2.5mg
~20mg
です。日本人のCmax
,AUC
は白人の 約2
倍であるので,外国人に対する10mg
投与は日本人に対する5mg
投与に相当すると考えられます。本剤の「用 法・用量」につきましては,1
頁をご参照下さい。7)Simonson, S.G. et al.:Clin Pharmacol Ther. 2004;76:167-177.
8)Asberg, A.:Drugs. 2003;63(4)
:367-378.15
(2) (2) (2)
(2) 原則併用禁忌( 原則併用禁忌( 原則併用禁忌(原則として併用しないこと 原則併用禁忌( 原則として併用しないこと 原則として併用しないこと) 原則として併用しないこと ) ) )
腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者では原則として併用しないこととするが,
治療上やむを得ないと判断される場合にのみ慎重に併用すること。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 フィブラート系薬剤
ベザフィブラート等
(腎機能に関する臨床検査値 に異常を認める場合)
急激な腎機能悪化を伴う横紋 筋融解症があらわれやすい。自 覚症状(筋肉痛,脱力感)の発 現,
CK(CPK)の上昇,血中及び
尿中ミオグロビン上昇並びに 血清クレアチニン上昇等の腎 機能の悪化を認めた場合は直 ちに投与を中止すること。危険因子:腎機能に関する 臨床検査値に異常が認め られる患者
<解説> <解説>
<解説> <解説>
6
頁「原則禁忌」の項をご参照下さい。(3) (3) (3)
(3) 併用注意(併用に注意すること) 併用注意(併用に注意すること) 併用注意(併用に注意すること) 併用注意(併用に注意すること)
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 フィブラート系薬剤
ベザフィブラート等
(腎機能に関する臨床検査値 に異常を認めない場合)
フェノフィブラートとの併用 においては,いずれの薬剤の血 中濃度にも影響はみられてい な い 。 し か し 一 般 に ,
HMG-CoA
還元酵素阻害剤と の併用で,筋肉痛,脱力感,CK(CPK)上昇,
血中及び尿中ミ オグロビン上昇を特徴とし,急 激な腎機能悪化を伴う横紋筋 融解症があらわれやすい。両剤共に横紋筋融解症の報告 がある。
<解説> <解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤とフィブラート系薬剤の併用で,急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから記載しています。フィブラート系薬剤と併用する際には,
筋肉痛や脱力感等の筋症状,CK(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等の臨床検査 値の異常が認められた場合には本剤の投与を中止して下さい。なお,本剤とフェノフィブラ ートとの併用において,本剤の
Cmax
及びAUC
0-24hはそれぞれ本剤単独投与時の1.21
倍及び1.07
倍と統計学的に有意差はなく,フェノフィブラートの活性代謝物のCmax
及びAUC
0-8hもフェノフィブラート単独投与時の
0.91
倍及び0.96
倍であり,本剤とフェノフィブラートと の間に薬物動態学的相互作用は認められませんでした9)。ロスバスタチン,フェノフィブラート各単独及び両剤併用投与時の薬物動態パラメータ
(外国人によるデータ)
薬剤名 パラメータ 併用投与(A) 単独投与(B) 比(A/B)
Cmax
(ng/mL)
5.29 4.36 1.21
ロスバスタチン
AUC
0-24h(ng・h/mL)
40.7 38.0 1.07
Cmax
(μg/mL)
8.23 9.00 0.91
フェノフィブラート
(活性代謝物) AUC
0-8h(μg・h/mL)
54.3 56.5 0.96
ロスバスタチンカルシウム
10mg
*を1
日1
回7
日間反復投与,フェノフィブラート67mg
を1
日3
回7
日間反 復投与,あるいは両者を上記の用法・用量で併用投与(ロスバスタチンカルシウム単独時 n=14,フェノフィブラート単独時 n=13,併用時 n=14)
*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は白人の 約2倍であるので,外国人に対する10mg投与は日本人に対する 5mg
投与に相当すると考えられます。本剤の「用 法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。9)Martin, P.D. et al.:Clin Ther. 2003;25(2)
:459-471.17
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 ニコチン酸 一般に,
HMG-CoA
還元酵素阻害剤との併用で,筋肉痛,脱力 感,
CK(CPK)上昇,血中及び尿
中ミオグロビン上昇を特徴と し,急激な腎機能悪化を伴う横 紋筋融解症があらわれやすい。危険因子:腎機能障害のある患 者
<解説> <解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤とニコチン酸の併用で,急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから記載しています。筋肉痛や脱力感等の筋症状,CK(CPK)上昇,
血中及び尿中ミオグロビン上昇等の臨床検査値の異常が認められた場合には本剤の投与を中 止して下さい。
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 アゾール系抗真菌薬
イトラコナゾール等
一般に,
HMG-CoA
還元酵素阻 害剤との併用で,筋肉痛,脱力 感,CK(CPK)上昇,血中及び尿
中ミオグロビン上昇を特徴と し,急激な腎機能悪化を伴う横 紋筋融解症があらわれやすい。危険因子:腎機能障害のある患 者
<解説>
<解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤とアゾール系抗真菌薬の併用で,急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから記載しています。筋肉痛や脱力感等の筋症状,
CK
(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等の臨床検査値の異常が認められた場合には本剤の投 与を中止して下さい。なお,本剤とイトラコナゾールとの併用時には,本剤の
Cmax
及びAUC
0-tはプラセボ併用時に比べ,それぞれ
1.36
倍及び1.39
倍と増加する傾向がみられましたが,臨 床的に有意な変化ではないと考えられました10)。ロスバスタチン単独及びアゾール系抗真菌剤併用投与時の薬物動態パラメータ
(外国人によるデータ)
併用薬
ロスバスタチン カルシウム
投与量
パラメータ 併用投与
(A)
単独投与
(B)
比
(A/B)
Cmax
(ng/mL)
7.88 5.80 1.36
イトラコナゾール(200mg)
10mg
*AUC
0-t(ng・h/mL)
62 45 1.39
Cmax
(ng/mL)
45.1 41.4 1.09
フルコナゾール11)(200mg)
80mg
*AUC
0-t(ng・h/mL)
370 325 1.14 Cmax
(ng/mL)
37.2 39.0 0.95
ケトコナゾール12)(400mg)
80mg
*AUC
0-t(ng・h/mL)
310 305 1.02
ロスバスタチンカルシウム:10mg*or 80mg
*,単回投与(10mg*単独時n=12,80mg
*単独時n=14)
イトラコナゾール:200mg,1日
1
回5
日間反復投与(併用時n=11)
フルコナゾール:200mg,1日
1
回11
日間反復投与(併用時n=13)
ケトコナゾール:400mg,1日
2
回7
日間反復投与(併用時n=13)日本国内では外用剤のみ発売
*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg
,承認用量は1
日2.5mg
~20mg
です。日本人のCmax
,AUC
は白人の約2
倍であるので,外国人に対する80mg,10mg
投与は日本人に対する40mg,5mg
投与に相当すると考えられます。本 剤の「用法・用量」につきましては,1
頁をご参照下さい。10)Cooper, K.J. et al.:Clin Pharmacol Ther. 2003;73(4)
:322-329.11)Cooper, K.J. et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2002;58:527-531.
12)Cooper, K.J. et al.:Br J Clin Pharmacol. 2003;55:94-99.
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 マクロライド系抗生物質
エリスロマイシン等
一般に,
HMG-CoA
還元酵素阻 害剤との併用で,筋肉痛,脱力 感,CK(CPK)上昇,血中及 び尿中ミオグロビン上昇を特 徴とし,急激な腎機能悪化を伴 う横紋筋融解症があらわれや すい。危険因子:腎機能障害のある患 者
<解説> <解説>
<解説> <解説>
HMG-CoA
還元酵素阻害剤とマクロライド系抗生物質の併用で,急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすいことから記載しています。筋肉痛や脱力感等の筋症状,CK
(CPK)上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇等の臨床検査値の異常が認められた場合には 本剤の投与を中止して下さい。なお,本剤とエリスロマイシンとの併用では,本剤の
Cmax,
AUC
0-tはそれぞれ単独投与時の69%,80%と,血漿中濃度が低下する傾向を示しました。エ
リスロマイシンの消化管運動亢進作用により,本剤の吸収が低下した可能性が考えられてい ます13)。19
ロスバスタチン単独及びエリスロマイシン併用投与時の薬物動態パラメータ
(外国人によるデータ)
併用薬
ロスバスタチン カルシウム
投与量
パラメータ 併用投与
(A)
単独投与
(B)
比
(A/B)
Cmax
(ng/mL)
23.2 33.7 0.69
エリスロマイシン(2000mg)
80mg
*AUC
0-t(ng・h/mL)
202 253 0.80
ロスバスタチンカルシウム:80mg*,単回投与(単独投与時 n=14)エリスロマイシン:2000mg,1日
4
回7
日間反復投与(併用時 n=11)*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は 白人の約2
倍であるので,外国人に対する80mg
投与は日本人に対する40mg
投与に相当すると考えら れます。本剤の「用法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。13)Cooper, K.J. et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2003;59:51-56.
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 クマリン系抗凝血剤
ワルファリン
抗凝血作用が増強することが ある。本剤を併用する場合は,
本剤の投与開始時及び用量変 更時にも頻回にプロトロンビ ン時間国際標準比(INR)値等 を確認し,必要に応じてワルフ ァリンの用量を調節する等,注 意深く投与すること。
機序は不明
<解説>
<解説>
<解説> <解説>
本剤
40mg
を1
日1
回反復投与し,定常状態においてワルファリン25mg
を単回投与したと ころ,R-ワルファリン(S-ワルファリン)のCmax
及びAUC
0-∞はそれぞれワルファリン単独 投与時の0.99
倍(1.00倍)及び1.04
倍(1.06倍)でした。よって,本剤はワルファリンの体 内動態に影響を及ぼさないと考えられました。しかし,薬力学的作用を検討するためにプロ トロンビン時間(INR)を測定したところ,本剤併用時のINR
はプラセボ併用時の1.1〜1.2
倍でした 14)。また,安定したワルファリン治療(INR:2〜3)を受けている患者さんに本剤10mg
を14
日間投与したところ,7例中2
例でINR
が4
を超えたため試験を中止しました。投与完了した
5
例において,本剤の投与終了時と投与前のINR
を比較したところ,11〜37%の増加がみられました14)。
ワルファリンと本剤との間にみられた相互作用は薬力学的相互作用であると考えられまし たが,機序は不明です。
従って,ワルファリンと本剤を併用する際には,本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻 回にプロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を確認し,必要に応じてワルファリンの用 量を調節する等,注意深く投与して下さい。
ワルファリンの
Cmax
及びAUC
におよぼすロスバスタチンの影響(外国人によるデータ)
ロスバスタチン カルシウム
投与量
併用薬 パラメータ 併用投与
(A)
単独投与
(B) 比(A/B)
Cmax
(μg/mL) 1.77 1.78 0.99 R-ワルファリン
(主に
CYP3A4
で代謝される)
AUC
0-∞(μg ・ h/mL) 82.9 79.9 1.04
Cmax
(μg/mL) 1.71 1.71 1.00 40mg
*S-ワルファリン
(主に
CYP2C9
で代謝される)
AUC
0-∞(μg ・ h/mL) 49.7 46.9 1.06
ロスバスタチンカルシウム(40mg*)あるいはプラセボを
1
日1
回反復投与し,定常状態においてワルファリ ン25mg
を単回投与(単独投与時,併用時共にn=18)
*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg
,承認用量は1
日2.5mg
~20mg
です。日本人のCmax
,AUC
は 白人の約2
倍であるので,外国人に対する40mg
投与は日本人に対する20mg
投与に相当すると考えられま す。本剤の「用法・用量」につきましては,1
頁をご参照下さい。≪INRについて15)≫
プロトロンビン比を国際的に標準化して
INR
(international normalized ratio)と表現したもの。INR=(検体の PT(秒)/正常の PT(秒)
)ISI=(プロトロンビン比)ISI特にワルファリン治療のコントロールでは
INR
値が要求され,2〜3
に保たれることが多い。14)Simonson, S.G. et al.:J Clin Pharmacol. 2005;45:927-934.
15)臨床検査データブック(医学書院),2003-2004
年版,332-333.(2003)21
薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 制酸剤
水酸化マグネシウム,
水酸化アルミニウム
本剤の血中濃度が約
50%に低
下 す る こ と が 報 告 さ れ て い る。本剤投与後2
時間経過後 に 制 酸 剤 を 投 与 し た 場 合 に は,本剤の血中濃度は非併用 時の約80%であった。
(「薬物 動態」の項参照)機序は不明
<解説> <解説>
<解説> <解説>
機序は不明ですが,水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムを含有する制酸剤との同 時併用時に本剤の血中濃度が約
50%に低下し,本剤投与 2
時間経過後に制酸剤を投与した場 合には,非併用時の約80%でした
16)。本剤と制酸剤を併用する際には,本剤投与後2
時間以 上あけてから制酸剤を投与する等の注意が必要です。ロスバスタチン単独及び制酸剤併用投与時の薬物動態パラメータ
(外国人によるデータ)
パラメータ 併用投与
(A)
単独投与
(B) 比(A/B)
Cmax
(ng/mL)
5.56 11.2 0.50
制酸剤同時投与
AUC
0-24h(ng・h/mL)
50.1 110 0.46 Cmax
(ng/mL)
9.40 11.2 0.84
制酸剤2
時間後投与AUC
0-24h(ng・h/mL)
85.6 110 0.78
ロスバスタチンカルシウム(40mg*)単回単独投与,制酸剤(20mL:水酸化マグネシウム195mg/5mL,
水酸化アルミニウム
220mg/5mL)との同時併用投与,あるいはロスバスタチンカルシウム投与 2
時間後 に制酸剤を投与(単独時 n=14,同時投与時及び2
時間後投与時 n =14)*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg
,承認用量は1
日2.5mg
~20mg
です。日本人のCmax
,AUC
は 白人の約2
倍であるので,外国人に対する40mg
投与は日本人に対する20mg
投与に相当すると考えら れます。本剤の「用法・用量」につきましては,1
頁をご参照下さい。16)社内資料(薬物相互作用−制酸剤、2000)
≪ロスバスタチンによるヒト肝ミクロソーム
P450
活性の阻害≫ロスバスタチンによるヒト肝ミクロソーム
P450
(CYP1A2,CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6,
CYP2E1,CYP3A4)活性の阻害率は 10%以下であり,ヒト肝ミクロソーム P450
阻害に起因 する薬物相互作用を惹起する可能性は低いと考えられています。ロスバスタチンによるヒト肝ミクロソーム
P450
活性の阻害(in vitro)17) 酵素活性残存率(%)P450
分子種コントロール ロスバスタチン
50μM CYP1A2
(7-エトキシレゾルフィン O-脱エチル化)
100 91 CYP2C9
(トルブタミド メチル水酸化)
100 90
CYP2C19
(メフェニトイン 4’-水酸化)
100 95
CYP2D6
(デキストロメトルファン O-脱エチル化)
100 93 CYP2E1
(クロルゾキサゾン 6-水酸化)
100 104
CYP3A4
(テルフェナジン 水酸化)
100 104
17)McCormick, A.D. et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40(9)
:1055.23
4. 4. 4.
4. 副作用 副作用 副作用 副作用
国内・外の臨床試験において,副作用評価対象例
10380
例中1950
例(18.8%)に臨床検査値 異常を含む副作用が認められた。主な副作用は筋肉痛335
例(3.2%),ALT(GPT)上昇179
例(1.7%),CK(CPK)上昇171
例(1.6%)であった。(承認時)<解説> <解説>
<解説> <解説>
承認時までの国内・外の臨床試験において副作用集計の対象となった
10380
例中1950
例(18.8%)に臨床検査値異常を含む副作用が認められ,主な副作用は筋肉痛
335
例****(3.2%),ALT(GPT)上昇 179
例(1.7%),CK(CPK)上昇171
例(1.6%)でした。このうち,承認時までに実施された国内における臨床試験では,202例中
72
例(35.6%)181 件に臨床検査値異常を含む副作用が認められ,主なものは,CK 上昇が15
例(7.4%)と最も多 く,続いて血清ALT(GPT)上昇及びγ-GTP
上昇の各9
例(4.5%)でした。これらの調査における副作用発現状況は,次頁のとおりです(24〜26頁【副作用(臨床検査 値異常を含む)の種類別発現頻度一覧表[承認時迄の集計]】参照)。
なお,臨床試験においては用量に依存して副作用が増加する傾向は認められませんでした。
また,横紋筋融解症については,他のHMG-CoA還元酵素阻害剤と同様,頻度は非常に低いも のでした。
ただし,海外市販後において,40mg*使用時に他の用量に比べて報告例数が多い傾向がみら れており,また,一般に副作用は用量に依存して増加すると考えられていることから,本剤の 高用量を投与する場合には十分に注意して下さい。
*各臨床試験の実施時に使用された,副作用用語辞書COSTARTによる集計数。市販後調査ではMedDRA
(現在各国規制当局で使用されている新しい医学用語辞書)を用いるため,事象毎の表はMedDRAを 用いて再分類・再集計を行った結果を示している。なお,COSTARTによる分類で「筋肉痛」とされた
335例は,MedDRA分類では筋痛,多発性筋痛,線維筋痛等に細分化されたため,表中の「筋痛」発現
の328例とは例数が異なる。*本剤の開始用量は通常
1
日1
回2.5mg,承認用量は 1
日2.5mg~20mg
です。日本人のCmax,AUC
は白 人の約2
倍であるので,外国人に対する40mg
投与は日本人に対する20mg
投与に相当すると考えられます。本剤の「用法・用量」につきましては,1頁をご参照下さい。