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A 進 A 真 A 広明 A 元英 As 既設橋の耐震補強設計手法について ほんますすむ 本間 A1 A 関塚 せきづかまこと A1 A 奥原 おくはらひろあき A1 A 阿部 あ べもとひで A1 1 開発技建 ( 株 )( 新潟県新潟市中央区紫竹山 ) 1995

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(2)既設橋の耐震補強設計手法について

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既設橋の耐震補強設計手法について

本間

E ほ ん ま AA E

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AE

関塚

E せきづか AA E

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奥原

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広明

E ひろあき A 1

AE

阿部

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元英

E もとひで A 1 1開発技建(株)(〒950-0914 新潟県新潟市中央区紫竹山7-13-16) 1995年に発生した兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の甚大な被害を契機に、耐震設計 基準が大きく改定された。しかし、1995年以前に建設された橋梁に関しては、現在の基準 に比べ耐震性能が低い橋梁が多く存在する。既設橋梁は、耐震補強を行うにあたり、地震後に おける道路ネットワークとしての路線の重要性、当該橋が被災した場合における機能回復の難 易度等を踏まえて目標とする耐震性能を設定する必要がある。 本報告は、既設橋梁に求められる耐震性能に対して、制約条件を踏まえた上での耐震補強工 法の選定、提案した耐震補強設計手法について報告する。 Key Words : 既設橋梁、耐震性能、耐震補強,動的解析、解析モデル 1.はじめに 近年、100年、1000年オーダーで起きると言われ ている大規模地震が、1995年の兵庫県南部地震以後、 比較的頻繁に起きている。表-1に近年に発生した主 な大規模地震の概要を示す。 表-1 近年に発生した主な大規模地震の概要 最大加速度だけで比較すれば、最も構造物の被害 の大きかった兵庫県南部地震が最も小さい値となっ ている。これは、加速度応答スペクトルが構造物に 最も影響があるとされる1~2秒程度で卓越したこ とが原因であると推測される。他の地震では、短周 期が卓越する傾向にあったことと、また、耐震補強 が進んでいたため構造物の被害が少なかったと推測 される(図-1)。 本報告は、既設橋梁に求められる耐震性能につい ての考え方、制約条件を踏まえた上での最適な耐震 補強工法の選定、提案した耐震補強設計手法につい て報告する。 2.橋梁諸元 耐震補強を実施する対象橋梁は、一般国道290 号が一級河川荒川を渡河する幅員5.5mの道路橋であ る。橋梁諸元を表-2に示す。 発生年 地震名 マグニ チュード 最大 震度 最大加速度 (gal) 1995. 1 兵庫県南部地震 (阪神淡路大震災) 7.3 7 891(神戸JMA) 759(JR鷹取 ) 2004.10 中越地震 6.8 7 1722(JMA川口本震) 2515(JMA川口余震) 2008. 6 岩手宮城内陸地震 7.2 6強 4022 2011. 3 東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) 9.0 7 2933 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 0.00 0.50 1.00 1.50 2.00 2.50 3.00 3.50 4.00 4.50 5.00 加速度応答ス ペ ク ト ル 固 有 周 期 (gal) T(s) 兵庫県南部地震 中越地震 岩手宮城内陸地震 東北地方太平洋沖地震 道示タイプ2-Ⅰ種 道示タイプ2-Ⅱ種 道示タイプ2-Ⅲ種 図-1 主な地震の加速度応答スペクトル M F M F M F M F M F M F M A1 P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 A2 13 00 0 60 00 13 12 0 90 00 13 15 0 90 00 13 08 0 90 00 99 00 M F F 12 89 0 13 14 0 8500 8500 6000 19 00 0 5200 22 12 0 5200 22 15 0 5200 22 08 0 5200 7000 7000 As 450 45300 800 45300 800 45300 800 45300 800 45300 800 45300 800 45300 800 45300 450 46150 46100 46100 46100 46100 46100 46100 46150 橋長 368900 99 00 13 00 0

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表-2 橋梁諸元 交差物件 一級河川荒川 架設年次 昭和41年~47年 上部工形式 鋼単純合成鈑桁橋(8連) 下部工形式 逆T式橋台(直接基礎) 壁式橋脚 (直接基礎、 ケーソン基礎) 橋 長 L=368.90m 支間割り 8@45.30m 幅員構成 W= 5.50m 活荷重 TL-14 3.橋梁の耐震設計基準 (1) 橋梁の耐震設計基準 橋の耐震設計は、道路橋示方書(以下、道示とい う。)に準じて行う。 1996年[H8]道示以降(以下、現行基準という。) の耐震設計では、レベル2地震動を考慮しており、 レベル2地震動が作用した際には、塑性化させる部 材を明確にし、エネルギー吸収を考慮した非線形設 計法が基本となっている。 1996年[H8]道示以前の基準(以下、旧基準とい う。)で設計され、現行基準のレベル2地震動を考 慮した耐震補強を実施していない橋梁は、耐震性能 が低い状態となっている。さらに、1980年[S55]以 前の設計基準で設計された橋梁は、橋脚柱基部より も、段落し部の耐力が低くなっているケースが多く、 段落し部が構造上の弱点となっている。 エネルギー吸収を可能とするためには、じん性を 確保する必要がある。そのためには、横拘束効果の 向上を目的とした帯鉄筋等を配置することにより、 じん性が向上し、粘り強い構造となる(図-5 b))。 しかし、旧基準で設計された橋脚柱は、コアコンク リートに対する横拘束効果が低く、また、柱断面に 対する主鉄筋量が少ない場合が多いため、脆性的な 破壊(Mc>My)が生じるケースが多い(図-5 a))。 兵庫県南部地震において甚大な被害が発生した理 由も、現行基準に比べ、耐震性能が低いことが原因 であると推定できる。 (2) 既設橋の耐震補強対策 既設橋梁の耐震補強は、レベル2地震動に対する 落橋防止対策と橋脚柱補強対策が基本となる。 既設橋脚柱の耐震補強は、耐震性向上を目的に、 粘り強い構造とするため「じん性補強」を優先に補 強することが重要となる。橋脚柱の曲げ耐力を過度 に向上させると、基礎に大きな力が作用することな り、基礎構造に対しても補強が必要となる場合もあ る。したがって、基礎への影響を最小限にすること を目標とし、橋脚柱の耐震補強は、じん性向上を第 一に考え、曲げ耐力は最低限の補強とする。 4.目標とする耐震性能の設定 (1) 耐震補強における耐震性能の設定の考え方 既設橋の耐震設計を行うにあたり、必要とされる 対策を決定するには、目標とする耐震性能を設定す る必要がある。 耐震性能を設定する際には、地震後における道路 ネットワークとしての路線の重要性、他の構造物や 施設への影響、当該橋が被災した場合における機能 回復の難易度等に基づいて設定する必要がある。 既設橋の耐震補強を行うにあたり、目標として設 定する耐震性能として考えられる例を下記に記載す る。 ■目標とする耐震性能の例 7) ①レベル2地震動による損傷が限定的なものに留 まり、橋としての機能の回復が速やかに行い得 る状態が確保されるとみなせる耐震性能レベル ②レベル2地震動により損傷が生じる部位があり、 その恒久復旧は容易ではないが、橋としての機 能回復は速やかに行い得る状態が確保されると みなせる耐震性能レベル ③レベル2地震動に対して落橋等の甚大な被害が 防止されるとみなせる耐震性能レベル (2) 3プロ耐震設計の考え方 3) 耐震補強の考え方として、耐震補強を効果的かつ 効率的に行うために実施された「緊急輸送道路の橋 梁耐震補強3箇年プログラム」(以下、3プロとい う)に準じた耐震補強方法がある。これは、落橋に 至るような致命的な被害を防止し、緊急輸送道路と しての機能を確保することを目的としており「落橋 防止対策」施工が比較的容易である「段落し補強」 を行うことが主な内容となっている。耐震性能とし ては、上記の「目標とする耐震性能の例」③と同等 レベルであると判断できる。 (3) 本橋梁に要求される耐震性能 本橋梁に要求される当面の耐震性能は、大規模地 震時において、緊急輸送道路の確保と落橋に至るよ うな致命的な被害を防止することを第一の目標とす ることである。したがって、要求される耐震性能は 図-4 兵庫県南部地震で損傷した橋脚3) 500 5500 500 6500 床版厚 210mm アスファルト厚 50mm 220 0 1450 3600 1450 図-3 断面図 M φ Mc My Mu M φ Mc My Mu a)主鉄筋量が少なく、横拘束 効果が少ない場合 図-5 柱の曲げモーメントと曲率の関係 b)横拘束効果が高い場合 Mc>Myのため脆性的 破壊となる

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「3プロ」レベルの耐震補強=「目標とする耐震性 能の例」③とした。 5.耐震補強工法の選定 (1) 耐震補強工法の選定方法 要求される耐震性能は「3プロ」耐震レベルであ るため、落橋防止対策と柱の段落し補強となる。 しかし、当該橋梁は河川橋であり、段落し補強を 行うにあたり、河川の締切りが必要となり、耐震補 強費よりも仮設費の方が高くなる結果となった(表 -3)。「3プロ」の主旨からも外れることになるた め、抜本的な対策である、現行基準を満足する補強 工法(以下、アップグレード補強という。)5)も視 野に入れて検討することとした。 具体的な検討案は、「3プロ補強」では、炭素繊 維、RC巻立て、鋼板巻立てとし「アップグレード補 強」では、RC巻立て、支承を免震支承に取替える橋 梁全体系補強とし、各補強案に対して検討を行った。 表-3 耐震補強工法別概算工費(単位:千円) 補強 工法 3プロ アップグレード 炭素繊維 補強 RC巻立て 鋼板 巻立て RC巻立て (保耐法※) 橋梁全体 系補強 補強費 43,060 13,070 40,910 41,650 115,556 仮設費 61,070 61,070 61,070 61,070 61,070 工費 合計 104,130 74,140 101,980 102,720 176,626 比率 1.405 1.000 1.376 1.385 2.382 仮設費 割合 58.6% 82.4% 59.9% 59.5% 34.6% 河積 阻害率 3.7%<5% 4.7%<5% 3.7%<5% 5.4%>5% 4.7%<5% ※ 保耐法:地震時保有水平耐力法 (2) 耐震補強工法の選定結果 各補強工法による検討結果を、表-3に記載した。 本橋は、一般国道であり、緊急輸送道路にも指定さ れており、仮設費に多くの費用を要するのであれば、 一時的な対策ではなく抜本的な対策を行うことで、 費用対効果も得られることから、アップグレード補 強を選定することとした。 耐震性の面から判断すれば、減衰効果の高い免震 支承に取替える工法である「橋梁全体系耐震補強 案」とするこが理想である。しかし、主桁連結や移 動量を緩和するためのダンパーの設置等に多くの費 用を要すること、また、RC巻立て案は、河積阻害率 が5%を超えているが、河川管理施設等構造令の「や むを得ない場合」の制限値内(6%以内)となってお り、河川管理者の了解が得られれば対応可能である ことなどから、RC巻き立て工法を選定した。 6.動的解析の適用 (1) 静的解析の問題点 本橋は、8連の単純桁構造であるため、1次の固 有振動モードが卓越し、エネルギー一定則が成り立 つことから、設計は静的解析(保耐法)で行うのが 一般的(道示)となっている1)。しかし、静的解析 で照査した場合、柱幅が450mm、河積阻害率が5.4% (>5.0%)となり、基礎への負担も大きくなる。 (2) 動的解析の適用検討 当該橋梁は、新設する橋梁ではなく、既設橋梁の 耐震補強であるため、安全側の設計となる道示基準 に準じた、静的解析(保耐法)ではなく、地震動に よる影響を応答値で評価できる動的解析を用いるこ とにより、補強量を少なくすることが可能な場合が あるため、検討することとした。 (3) 動的解析モデルの選定 動的解析に用いるモデルは、橋脚柱を非線形でモ デル化するが、その際の骨格曲線には、ひび割れ点、 降伏点、終局点からなる「トリリニア型」と、ひび 割 れ 点 を 省 略 し た 「 バ イ リ ニ ア 型 ( 完 全 弾 塑 性 型)」がある(図-9)。 2012年[H24]道示では、動的解析時の単柱式RC 橋脚の骨格曲線は、バイリニア型(完全弾塑性型) の骨格曲線とすることを規定している。 しかし、既設橋脚の耐震補強に関しては、以下に 示す課題が存在する。 ■ 既設橋脚の耐震補強に関する課題 ・段落とし等の存在により塑性ヒンジの発生位置を 基部に限定できない可能性がある。 図-7 柱単独の耐震補強工法案 段落し補強  補強 「3プロ」 アップグレード 図-8 橋梁全体系の耐震補強工法案 E E 免震支承等へ取替え E E 巻立て補強 E E E E M 降伏 曲げモーメント 回転角 曲 率 降伏 曲げモーメント 回転角 曲 率 ひびわれ (a)トリリニア型 (b)バイリニア型 図-9 RC部材の非線形履歴モデル例 図-6 河川の締切り 3プロ補強 3プロ補強 築堤による締切 施工時水位

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・塑性ヒンジより上方の橋脚一般部において、コン クリートのひび割れが発生し、部材の剛性低下が 生じることが考えられる。 上記の課題を解決するため、動的解析モデルは以 下のように設定する。 ①固有振動が1次のモードで卓越する構造であるた め、柱基部に道示で規定している塑性ヒンジをモ デル化する。 ②段落し部が先に降伏する可能性があること、塑性 ヒンジより上方の一般部において、ひび割れによ る剛性低下が生じる可能性がある等を考慮し、橋 脚一般部を非線形梁要素(M-φモデル)でモデル 化する。 ③一般部を非線形梁要素(M-φモデル)とする関係 から、塑性ヒンジ部に対しても同じ骨格曲線とな るトリリニア型(剛性低下型)でモデル化する。 その結果、表-4に示すような結果が得られ、基礎 及び河積阻害の影響を少なくすることができ、施工 性及び経済性の向上も図れることが可能となった。 表-4 静的解析と動的解析の違い 静的解析(保耐法) 動的解析 補強厚 450mm 250mm 鉄筋量 D41-2段 D38-1段 河積阻害率 5.4% 4.7% 工 費(千円) 102,720 82,000 比 率 1.253 1.000 仮設費の割合 59.5% 74.5% 7.橋脚基礎への影響検討 (1) 現行基準での照査結果 本橋梁の基礎工は、直接基礎とケーソン基礎形式 である。 照査の結果は、レベル2地震動が作用した場合、 橋脚基部耐力に関わらず(補強の実施前後)基礎が 先に降伏する結果となった。 1996年[H8]道示より前の基準で設計されたケーソ ン基礎は、基礎本体を剛体として計算していた。こ のため軸方向鉄筋が非常に少ない場合が多く、現在 の設計計算手法で照査した場合、ほとんど全ての基 礎が既存不適格となる。6) (2) 基礎の耐震性能の評価 既設橋の基礎に対して、土木研究所より「既設道 路橋基礎の耐震性能簡易評価手法に関する研究6) (以下、土研基礎研究資料という)」が示されている。 土研基礎研究資料によれば、基礎工の補強優先度が 高いケースが整理されており6)、本橋基礎について は該当するものがなかったことから、基礎の補強優 先度は低いと考えられたことから、本業務では基礎 補強は実施しないこととした。 8.おわりに 動的解析時の骨格曲線の設定方法については「ひ び割れ点の影響はほとんどない」「履歴減衰効果が 卓越」「実挙動に近いモデル」など、種々の考え方 が示されている。また、2012年[H24]道示とNEXCO基 準(第二集 橋梁建設編)でも異なっている。 今回は、橋脚柱に段落しがあった関係で、一般部 にM-φモデル化を適用し、トリリニア型を採用した が、段落しが無い柱を補強する場合には、どのよう にモデルを設定するかが今後の課題となる。 既設橋であることから、新設橋と同じ耐震性能の 確保を目差すのではなく、重要なのは、落橋などの 致命的な被害の防止、人的被害などの2次被害の防 止、道路ネットワーク全体としての耐震性向上など、 必要とされる耐震性能を設定し、耐震補強を実施し ていくことが急務であると考える。 謝辞:加速度応答スペクトル解析に用いた地震波形 は、鉄道総合技術研究所、防災科学技術研究所、気 象庁より提供して頂きました。 参考文献 1) 日本道路協会:道路橋示方書・同解説,Ⅴ耐震設計編 2002,2012. 2) 国土交通省 関東地方整備局:既設橋梁の耐震補強マ ニュアル(案),2005. 3) 国土交通省:「緊急輸送道路の橋梁耐震補強3箇年プロ グラム」耐震補強マニュアル,2005. 4) 海洋架橋・橋梁調査会:既設橋梁の耐震補強工法事例 集,2005. 5) 国土交通省:3箇年プログラムで段落し部の対策を実施 した鉄筋コンクリート橋脚のアップグレード補強マ ニュアル(案),2009. 6) 土木研究所資料:既設道路橋基礎の耐震性能簡易評価 手法に関する研究,2010. 7) 国土技術政策総合研究所資料,土木研究所資料:既設 橋の耐震補強設計に関する技術資料,2012. 8) NEXCO:設計要領 第二集 橋梁建設編,2012. 9) 鉄道総合技術研究所:観測地震波形 JR鷹取,1995. 10)防災科学技術研究所:強震観測網K-NET,KiK-net 中越 地震,2004、岩手宮城内陸地震,2008、東北地方太平 洋沖地震 ,2011 11)気象庁:地震時加速度データ 中越地震,2004 フーチング 塑性ヒンジ 区間 塑性ヒンジ 区間以外の 柱部 横はり 非 線形モデル (M -φ) :基礎の抵抗を 表すバネ :非線形回転バネ :剛体 :水平方向質量 :積層ゴム支承 My φ φc φy M =Mu Mc Mpu θ θpcθpy M Mpy Mpc 図-10 動的解析概要図

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開発技建(株) 構造部 関塚 真 本間 進 奥原広明 阿部元英 2

~目

次~

1.はじめに

2.橋梁諸元

3.橋梁の耐震設計基準と耐震補強計画

4.目標とする耐震性能

5.耐震補強工法の選定

6.動的解析の適用

7.おわりに

3

1.はじめに

近年になって、100年,1000年オーダーで

起きるといわれている大きな地震が頻繁に

起きている。

1995. 1(H7) 兵庫県南部地震 2004.10(H16) 中越地震 2008. 6(H20) 岩手宮城内陸地震 2011. 3(H23) 東北地方太平洋沖地震 出典 :blog.goo.ne.jp 4

1.はじめに

近年の地震の規模

マグニ チュード 最大 震度 最大 加速度(gal) 兵庫県南部地震 (阪神淡路大震災) 7.3 7 891(JMA神戸) 759(JR鷹取) 中越地震 6.8 7 1722(JMA川口本震) 2515(JMA川口余震) 岩手宮城内陸地震 7.2 6 強 4022 東北地方太平洋沖地震 (東日本大震災) 9.0 7 2933

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0 2,000 4,000 6,000 8,000 10 ,000 12 ,000 0. 00 0.50 1.00 1. 50 2. 00 2. 50 3.00 3. 50 4. 00 4.50 5.00 加速度応答スペクトル 固有周期 (gal) T(s) 5

1.はじめに

各地震の加速度応答スペクトル

兵庫県南部地震 中越地震 岩手宮城内陸地震 東北地方太平洋沖地震 道示タイプ2-Ⅰ種 道示タイプ2-Ⅱ種 道示タイプ2-Ⅲ種 今回の対象橋梁 は0. 8 (s )程 度 6

2.橋梁諸元

2-1.橋梁諸元 M F M F M F M F M F M F M A1 P1 P2 P3 P4 P5 P6 P7 A2 13000 6000 13120 9000 13150 9000 13080 9000 9900 M F F 12890 13140 8 500 8 500 6000 19000 52 00 22120 52 0 0 22150 52 0 0 22080 5200 70 00 70 0 0 As 45 0 45 3 0 0 800 45300 80 0 453 00 800 453 00 800 45300 800 45 3 0 0 80 0 4 5300 800 4 5300 450 46150 46100 461 00 461 00 46100 46100 4 6100 46 1 5 0 橋 長   36 8900 9900 13000 50 0 550 0 50 0 650 0 床版厚 210mm アスファルト厚 50mm 2200 1 450 360 0 14 50 架設年次 昭和41年~47年 上部工形式 鋼単純合成鈑桁橋(8連) 下部工形式 逆T式橋台(直接基礎) 壁式橋脚 (直接基礎、ケーソン基礎) 橋 長 L=368.90m 支間割り 8@45.30m 幅員構成 W= 5.50m 活荷重 T L-14(二等橋) 7

3.

橋梁の耐震設計基準と耐震補強計画

(1).橋梁の耐震設計基準 M φ Mc My Mu M φ Mc My Mu a)主鉄筋量が少なく、横拘束 効果が少ない b)横拘束効果が高い H8以前の基準(旧基準) H8以降の基準(現行基準) ひび割れモーメントよりも降伏モーメントの方が 小さい(Mc>My)ため脆性的破壊となる 8

3.

橋梁の耐震設計基準と耐震補強計画

(1).橋梁の耐震設計基準 M φ Mc My Mu a)主鉄筋量が少なく、横拘束 効果が少ない H8以前の基準(旧基準) ひび割れモーメントよりも降伏モーメントの方が 小さい(Mc>My)ため脆性的破壊となる (脆性的な破壊の例) (段落し部の損傷例) 昭和55 年 以前の基準では、段落し部が 構造上の弱点となる場合が多い。

(8)

9

3.

橋梁の耐震設計基準と耐震補強計画

(2).既設橋の耐震補強対策 耐震性向上を目的に、粘り強い構造とするため、「 じん性補強 」 を優先に行う。 曲げ補強は最低限の補強 とする。 ◆ 耐震補強の基本 橋脚柱の曲げ耐力を過度に向上させると、基礎に大きな力が作用 することになり、基礎に対する補強も必要となる。 M Mc My Mu φ My Mu 基礎へのアンカー定着等の曲げ補強は 最小とし、横拘束効果を高める 過度な曲げ補強を行うと 基礎への影響が大きくなる 10

4.

目標とする耐震性能

耐震性能を設定する際には、地震後における道路ネットワークとし ての路線の重要性、他の構造物や施設への影響、当該橋が被災した場 合における機能回復の難易度等に基づいて設定する必要がある。 ◆ 耐震性能の設定の考え方 ①レベル2地震動による損傷が限定的なものに留まり、橋としての機 能の回復が速やかに行い得る状態が確保されるとみなせる耐震性能 レベル ②レベル2地震動により損傷が生じる部位があり、その恒久復旧は容 易ではないが、橋としての機能回復は速やかに行い得る状態が確保 されるとみなせる耐震性能レベル ③レベル2地震動に対して落橋等の甚大な被害が防止されるとみなせ る耐震性能レベル ← H24道示の耐震性能2 (1).耐震補強設計における耐震性能の設定の考え方 ◆ 目標とする耐震性能の例 (土研資料より) ← H24道示の耐震性能3 ← 3プロ耐震レベル 11

4.

目標とする耐震性能

本橋に要求される当面の耐震性能は、大規模地震時において、 緊急 輸送道路の確保 と 落橋に至るような致命的な被害を防止 することを第 一の目標とする。 ←要求されている耐震性能(3プロ同等レベル) ◆ 要求される耐震性能 ①レベル2地震動による損傷が限定的なものに留まり、橋としての機 能の回復が速やかに行い得る状態が確保されるとみなせる耐震性能 レベル ②レベル2地震動により損傷が生じる部位があり、その恒久復旧は容 易ではないが、橋としての機能回復は速やかに行い得る状態が確保 されるとみなせる耐震性能レベル ③レベル2地震動に対して落橋等の甚大な被害が防止されるとみなせ る耐震性能レベル ◆ 目標とする耐震性能の例 (土研資料より) (2).本橋梁に要求される耐震性能 ← H24道示の耐震性能2 ← H24道示の耐震性能3 ← 3プロ耐震レベル 12

5.補強工法の選定

(1) 耐震補強工法の選定方法 河川の締切り (切り回し)が必要 要求される耐震性能「3プロ」では、河川の締切りが生じ耐震 補強費よりも、仮設費の方が高くなる。 「3プロ」耐震補強は、段落し部の補強であり、レベル2地震 動に対する抜本的な対策ではなく、一時的な対策である。 抜本的な対策である、現行基準(H8道示以降)を満足する耐震 補強工法(アップグレード補強)を含めた検討を行う。

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13

5.補強工法の選定

(2) 耐震補強工法の選定結果 補強工法 3プロ ア ップグレード 炭素繊維補強 RC巻立て 鋼板巻立て RC巻立て(保耐法) 橋梁全体系補強 工費合計 104,130 74,140 101,980 102,720 176,626 比 率 1.405 1.000 1.376 1.385 2.382 仮設費割合 58.6% 82.4% 59.9% 59.5% 34.6% 河積阻害率 3.7%<5% 4.7%<5% 3.7%<5% 5.4%>5% 4.7%<5% 耐震補強工法別概算工費 段落 し補強  補 強 「3プ ロ 」 ア ップ グ レード E E 免震 支承 等へ取 替え E E 巻立 て補 強 E E E E 橋脚単独補強案 橋梁全体系補強案 仮設費に多くの費用を要するのであれば、一時的な対策ではなく、 抜本的な対策を行う事で、費用対高価も得られることから、アップ グレード補強を選定することとした。 14

6.動的解析の適用

(1) 静的解析の問題点 静的解析(保耐法) ・河積阻害率が5%以上 ・基礎への負担が大きい 動的解析を用いることより、補強量を低減できないか 動的解析 動的解析による照査を検討 M 降伏 曲げモ ーメント 回転 角 曲  率 降伏 曲げ モーメント 回転角 曲 率 ひびわれ 15

6.動的解析の適用

(2) 動的解析モデル (a) ト リリニア型 ・段落とし等の存在により塑性ヒンジの発生位置を基部に限定 できない可能性がある。 ・塑性ヒンジより上方の橋脚一般部において、コンクリートの ひび割れが発生し、部材の剛性低下が生じることが考えられる。 (b) バイリニア型 RC部材の非線形履歴モデル ◆ 既設橋脚の耐震補強に関する課題 16

6.動的解析の適用

(2) 動的解析モデルの選定 動的解析モデル フー チング 塑性 ヒンジ 区間 塑性 ヒンジ 区間 以外の 柱部 横は り 非線 形モデル(M-φ ) :基礎の抵 抗を 表すバネ :非線形 回転バネ :剛体 :水平方 向質量 :積層ゴ ム支承 My φ φc φy M =Mu Mc Mpu θ θpc θpy M Mpy Mpc 塑性ヒンジ 塑性ヒンジ以外 降伏 曲げモーメント 回転角 曲 率 ひびわれ (a)ト リリ ニア 型 骨格曲線

(10)

0 10 ,00 0 20 ,00 0 30 ,00 0 40 ,00 0 50 ,00 0 60 ,00 0 0. 000 0. 00 5 0. 010 曲げモーメント 曲率 M (kN・m) φ(1/m) 17

6.動的解析の適用

(3) 検討結果 静的解析(保耐法) 動的解析 補強厚 450mm 250mm 鉄筋量 D41-2段 D38-1段 河積阻害率 5.4% 4.7% 工 費(千円) 102,720 82,000 比率 1.253 1 .000 仮設費の割合 59.5% 74.5% 柱基部の曲げモーメ ン トと曲率の関係 静的解析(保耐法) 動的解析 既存の柱耐力 18

7.おわりに

動的解析時の骨格曲線の設定方法(新橋)について、H24道示 とNEXCO基準(第二集 橋梁建設編)で異なっている。 今回は、橋脚柱に段落しがあった関係で、一般部にM-φモ デル化を適用し、トリリニア型の骨格曲線を採用した。 段落しが無い柱を補強する場合のモデル設定が今後の課題 となる。 耐震補強に関しては、適用する基準が存在しない。 19

7.おわりに

既設橋であることから、新設橋と同じ耐震性能を目差すの ではなく、重要なのは、落橋などの致命的な被害の防止、人 的被害などの2次被害の防止、道路ネットワーク全体として の耐震性向上など、必要とされる耐震性能を設定し、耐震補 強を実施していくことが急務である。 耐震補強の際には、橋脚柱を過度に補強してしまうことで、 逆に基礎への影響が大きくなることが考えられる。 したがって、なるべく曲げ補強量を小さくし、基礎への影 響を少なくすることが重要である。

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