第 215 回 日本小児科学会宮城地方会 プログラム ◆12:00 開会の辞 日本小児科学会宮城地方会会長 呉繁夫 ◆12:05-12:41 循環器・救急 座長:木村正人(東北大学病院 小児科) 01. 意識消失で搬送された完全房室ブロックをきたした急性心筋炎の 1 例 ○岩澤伸哉、小野頼母、新田恩、小澤晃、田中高志 (宮城県立こども病院 循環器科) 02. 眼科的精査が診断確定に有用であった大動脈縮窄症を合併した神経線維腫症 1 型の女児例 ○木村正人、小林朋子、川野研悟、鈴木大、矢尾板久雄、呉繁夫 (東北大学病院 小児科)
03. 熱傷後に発熱、意識障害を認め Toxic Shock Syndrome と診断した一例
○木越隆晶 (東北大学病院 小児科、みやぎ県南中核病院 小児科) 柿崎周平、木村正人、川野研悟、中山東城、植松貢、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 佐々木太郎、伊藤健 (石巻赤十字病院 小児科) 04. 中等度熱傷治療経過中に高熱、ショック症状を呈した乳児の 3 例 ○吉井公浩、越浪正太、楠本耕平、近田祐介、岩澤伸哉、伊藤智子、鶴田靖、金城学、鈴木豊 (八戸市立市民病院 小児科) 野田頭達也 (八戸市立市民病院 救命救急センター) ◆12:41-13:08 腎臓 座長:三上仁(岩手県立中央病院 小児科) 05. 腹部膨満を主訴に受診した、腎外症候性溶連菌感染後急性糸球体腎炎の一例 ○松木琢磨 (大崎市民病院 小児科) 熊谷直憲、中山真紀子、上村美季、菅野潤子、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 川嶋明香 (岩手県立中央病院 小児科) 06. 扁摘パルス療法後に再発した IgA 腎症の 2 例 ○酒井秀行、伊藤貴伸、浅田洋司、田中佳子、小澤恭子、千葉靖、永野千代子 (仙台赤十字病院 小児科) 07. 高度蛋白尿を伴った紫斑病性腎炎(HSPN)の 3 例 ○西尾利之、高橋俊成、新妻創、田邊雄大、小松寿里、樋渡えりか、齋藤秀憲、髙橋怜、佐藤信一、 佐藤寛記、鈴木力生、北村太郎、近岡秀二、高柳勝、村田祐二、大浦敏博、大竹正俊 (仙台市立病院 小児科) 曽我睦 (曽我内科こどもクリニック) 板野正敬 (いたのこどもクリニック) 柏原彩曜 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) ◆13:08-13:35 血液·腫瘍·免疫 座長:力石健(東北大学病院 小児科) 08. 骨原発の悪性リンパ腫を発症した 5 歳女児例 ○新妻創、片山紗乙莉、森谷邦彦、小沼正栄、内山徹、笹原洋二、呉繁夫 (東北大学病院 小児科)
09. EBV-HLH として治療中に EBV 陰性で再燃し UCBT を実施した治療抵抗性 HLH の 1 例 ○曽木千純、及川善嗣、南條由佳、佐藤篤、今泉益栄 (宮城県立こども病院 血液腫瘍科) 林千代、渡邊庸平、山岡明子、三浦克志 (宮城県立こども病院 総合診療科) 武山淳二 (宮城県立こども病院 臨床病理科) 八角高裕 (京都大学 小児科) 10. 生着不全後に 2 回目の臍帯血移植を施行した高 IgM 症候群の一例 ○塙淳美、宮野俊輔、入江正寛、力石健、笹原洋二、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) ◆13:35-14:02 アレルギー·消化器 座長:山岡明子(宮城県立こども病院 総合診療科) 11. アサリ・シジミによる非 IgE 依存性食物アレルギーが疑われた 1 例 ○阿部弘 (仙台社会保険病院 小児科) 12. 当院でフォロー中の食物アレルギー児が受けている給食対応の実態調査 ○箕浦貴則 (岩切病院 小児科) 13. 心因性嘔吐腹痛症が疑われた好酸球性胃腸炎の 1 例 ○鈴木菜絵子、堅田有宇、松原容子、日下奈都子、大沼良一、久間木悟、貴田岡節子、中江信義、田澤雄作 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) 野口謙治 (国立病院機構仙台医療センター 消化器内科) 鈴木博義 (国立病院機構仙台医療センター 臨床検査科) 阿部麻耶子 (宮城県立こども病院 循環器科) 佐藤大記 (仙台市立病院 小児科) 川村和久 (かわむらこどもクリニック) ◆14:02-14:10 休憩 ◆14:10-14:37 神経 座長:菊池敦生(東北大学病院 小児科)
14. 可逆性脳梁膨大部病変を伴う軽症脳炎/脳症(mild encephalitis/encephalopathy with reversible splenial lesion:MERS)を呈した急性巣状細菌性腎炎(Acute focal bacterial nephritis:AFBN)の 1 例 ○内田崇、西尾利之、高柳勝、橋本美香、高橋俊成、新妻創、田邊雄大、芳賀光洋、大久保幸宗、鈴木力生、 北村太郎、村田祐二、大浦敏博、大竹正俊 (仙台市立病院 小児科) 15. 交通外傷後臨床的脳死状態と判断された 1 乳児例の経験 ○川嶋有朋 (登米市民病院 内科) 埴田卓志、工藤充哉、岩城利充 (大崎市民病院 小児科) 差波新 (沖縄南部医療センター 小児科) 宮野峻輔、工藤宏紀、内田奈生 (東北大学病院 小児科) 16. 単純気管切開児へのスピーチバルブ装着による唾液誤嚥防止法 ○田中総一郎 (東北大学病院 小児科、宮城県拓桃医療療育センター 小児科) 呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 萩野谷和裕、涌澤圭介、乾健彦、遠藤若葉、佐藤亮 (宮城県拓桃医療療育センター 小児科)
◆14:37-15:04 精神 座長:今公弥(医療法人五十嵐小児科) 17. いじめによる不登校と、慢性ストレス反応 ○前多治雄、江翔子 (前多小児科クリニック) 三上仁 (岩手県立中央病院 小児科) 18. いじめによる不登校児における神田橋処方の効果 ○前多治雄、江翔子 (前多小児科クリニック) 三上仁 (岩手県立中央病院 小児科) 19. 大災害時の喪失体験にどう向き合うか~大川小学校遺族の「話合い」に参加した経験から~ ○高田修 (たかだこども医院) ◆15:04-15:31 感染症 1 座長:沼田美香(東北労災病院 小児科) 20. 迅速診断キットにより診断に至った、ヒトメタニューモウイルス感染症入院例の臨床的検討 ○堅田有宇、鈴木菜絵子、松原容子、石田智之、日下奈都子、野口里恵、佐藤優子、渡邊浩司、大沼良一、 久間木悟、貴田岡節子、中江信義、田澤雄作 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) 佐藤大記 (仙台市立病院 小児科) 桑名翔太 (宮城県立こども病院 新生児科) 阿部麻耶子 (宮城県立こども病院 循環器科) 21. 迅速診断キットを用いたヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症例の臨床的検討 ○高柳玲子、沼田美香、石澤志信 (東北労災病院 小児科) 22. 2 種のウイルスの重複感染によって高サイトカイン状態が導かれたと考えることのできた 2 症例 ○神田進 (八戸市立市民病院 小児科) ◆15:31-15:58 感染症 2 座長:浅田洋司(仙台赤十字病院 小児科) 23. 当院で 1 年間に経験した上気道炎後に環軸椎回旋位固定に至った 4 例 ○阪本昌樹、菅谷憲太、根本照子、鈴木保志朗、藤江弘美、鈴木潤 (いわき市立総合磐城共立病院 小児科) 塙淳美、鈴木大、森谷邦彦 (東北大学病院 小児科) 浅田洋司 (仙台赤十字病院 小児科) 24. 乳児期早期(2 か月未満)に発症し集中治療を要した百日咳 3 例 ○林千代、星雄介、大久田隆、角田文彦、渡邊庸平、梅林宏明、山岡明子、稲垣徹史、虻川大樹、三浦克志 (宮城県立こども病院 総合診療科) 25. 深頸部感染症 11 例の臨床的検討 ○鈴木大、佐藤寛記、桜井博毅、鈴木恵美子、渡辺哲、柏原俊彦、近岡秀二、饗場智、渡辺眞史、藤山純一 (山形県立中央病院 小児科) ◆15:58-16:10 休憩
◆16:10-16:30 総会 ◆16:30-17:30 特別講演 座長:呉繁夫(日本小児科学会宮城地方会会長) 「 とても身近なミトコンドリア病-包括的診断と新規治療法の開発へ向けて- 」 埼玉医科大学小児科学講座 大竹 明 教授 ◆17:30 閉会の辞・表彰 日本小児科学会宮城地方会会長 呉繁夫 一般演題は口演 6 分、討論 3 分、計 9 分で進行します。時間厳守でお願いします。
<特別講演>
とても身近なミトコンドリア病
-包括的診断と新規治療法の開発へ向けて-
埼玉医科大学小児科学講座 大竹 明 教授
【はじめに】 ミトコンドリアの最も大切な役割はエネルギー(ATP)の生合成であり、その役目を果た すのがミトコンドリア呼吸鎖である。従ってミトコンドリア病はミトコンドリア呼吸鎖異 常症(Mitochondrial Respiratory Chain Disorders: MRCD)であると考えると、病態への 理解が飛躍的に深まる。MRCD は最も高頻度(1/5,000)なエネルギー産生系の先天代謝異 常症で、症状・罹患臓器・遺伝形式は極めて多岐にわたる。私達は日本全国から依頼され た症例を対象とし、酵素診断に始まりミトコンドリア遺伝子解析、次世代シークエンス法 を用いた全エキソーム解析に至る系統的病因探索システムを構築した。まずは現在までの 解析結果を報告しミトコンドリア病の驚くべき臨床的多様性に触れていただき、最後に私 達の手がけている新薬(5-アミノレブリン酸:5-ALA)の開発状況までお話ししたい。 【対象】 866 家系 890 症例から得た 1405 検体(皮膚線維芽細胞 685 検体、肝臓 283 検体、筋肉 283 検体、心臓 108 検体、腎臓 30 検体、脳 7 検体など)。 【方法】1) Blue Native 電気泳動を用いた Western Blot と in gel enzyme stain、および in vitro 酵素アッセイを用いた呼吸鎖酵素複合体蛋白レベルの解析。 2) サンガーシークエンス法やライフテクノロジーズ社 Ion PGM シークエンサーによるミト コンドリア DNA 全周塩基配列の解析。 3) ミトコンドリア遺伝子異常のない症例に対する次世代シークエンサーを用いた全エキ ソーム解析。 4) 患者由来皮膚線維芽細胞を 5-ALA と共に培養し欠損呼吸鎖酵素の活性と量の回復をみ る。 【結果】 1) 酵素診断の結果:現在までのところ、296 家系 300 例を MRCD と診断した。臨床診断で は乳児ミトコンドリア病が最も多く 72 例(致死型が 49 例、非致死型が 23 例)、次いで Leigh 脳症が 57 例、脳筋症が 57 例、肝症が 36 例、心筋症が 22 例、神経変性疾患が 13 例、突然 死が 28 例、その他が 15 例と極めて多岐にわたっていた。 2) ミトコンドリア遺伝子解析:160 例について解析を行い、既知・未知を合わせて病因と 考えられる遺伝子変異を 50 例(31%)に同定した。つまり 7 割の MRCD は核遺伝子異常と 考えられた。
3) 104 例についてエキソーム解析が終了し、うち 27 例について新規の原因遺伝子となる 候補を、別の 18 例で既知の原因遺伝子における新規変異を同定した。今回は既知遺伝子の うちいずれも日本人初例となる、BOLA3, ACAD9, EFTu 欠損患者を中心に紹介する。 4) 5-ALA は一部の患者細胞の ATP 合成能を回復し、その機序は主に呼吸鎖 III と IV の活 性回復にあった。 【考察】 私達の構築した「酵素診断から遺伝子解析に至る系統的病因探索システム」はしっかり と機能した。今後 iPS 細胞樹立を含めた機能解析方法を完成し、このシステムを応用して 5-ALA を発端とする創薬に向けた検討も発展させて行きたい。 [ 御略歴 ] 1973 年 3 月 北海道札幌南高等学校卒業 1979 年 3 月 千葉大学医学部卒業 4 月 千葉大学医学部小児科学教室入局 1982 年 4 月 千葉大学医学部第二生化学教室研究生 1985 年 10 月 千葉市立病院小児科医長 1987 年 1 月 熊本大学医学部分子遺伝学教室研究生 1988 年 1 月 国立療養所千葉東病院小児科厚生技官・医師 1988 年 8 月 千葉大学医学部小児科学文部教官・助手 1992 年 4 月 東京都臨床医学総合研究所臨床遺伝学研究部門主任研究員 1994 年 10 月 埼玉医科大学小児科学講師 2002 年 4 月 オーストラリア国 La Trobe 大学客員研究員(生化学) および 王立メルボルン小児病院客員研究員(遺伝病学) 2003 年 10 月 埼玉医科大学小児科学講師復職 2005 年 2 月 埼玉医科大学小児科学助教授 2007 年 4 月 埼玉医科大学小児科学准教授 2007 年 9 月 埼玉医科大学小児科学教授 [ 役職 ] 日本小児脂質研究会 理事長 日本小児科学会 代議員 兼 学会誌編集委員 日本小児科学会埼玉地方会 理事 兼 学術委員長 日本先天代謝異常学会 理事 日本マス・スクリーニング学会 理事 兼 学会誌編集委員 日本ミトコンドリア学会 監事 全国遺伝子医療部門連絡会議 監事 日本人類遺伝学会 評議員 日本小児内分泌学会 評議員 日本ライソゾーム病研究会 幹事
<一般演題>
01. 意識消失で搬送された完全房室ブロックをきたした急性心筋炎の 1 例
○岩澤伸哉、小野頼母、新田恩、小澤晃、田中高志 (宮城県立こども病院 循環器科) 症例は 6 歳女児。発熱、食欲不振および心窩部痛を訴えていた。翌日、意識消失し、近 医に救急搬送された。心電図上は完全房室ブロックを認めた。また、心エコーでは LVEF 40% と著明な心機能低下を認めた。急性心筋炎として当科に救急搬送となり、体外式一時ペー シングを挿入した。その後、洞調律の自己脈に回復し、心機能も改善した。退院し、現在 は外来フォロー中である。一連の経過について若干の考察を加え報告する。02. 眼科的精査が診断確定に有用であった大動脈縮窄症を合併した神経線維
腫症 1 型の女児例
○木村正人、小林朋子、川野研悟、鈴木大、矢尾板久雄、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 神経線維腫症 1 型(NF1)は多発性のカフェオレ班、神経線維腫などを伴う常染色体優性遺 伝疾患であり、約 1%に腎血管性高血圧や大動脈縮窄症などの心血管系疾患を合併すること が知られている。今回、幼児期に胸部大動脈縮窄症に至り、眼科精査にて Lisch 結節を認 め NF1 の診断に至った 1 例を経験した。胸部大動脈縮窄症は血圧差約 40mmHg、約 5cm 長あ り人工血管で置換術を施行した。NF1 は幼児期にはカフェオレ班のみで診断に苦慮するこ とがあるが、視神経膠腫や心血管病変など重篤な疾患を合併する可能性があり本疾患を疑 った場合には眼科精査が診断に有用と考えられた。03. 熱傷後に発熱、意識障害を認め Toxic Shock Syndrome と診断した一例
○木越隆晶 (東北大学病院 小児科、みやぎ県南中核病院 小児科) 柿崎周平、木村正人、川野研悟、中山東城、植松貢、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 佐々木太郎、伊藤健 (石巻赤十字病院 小児科) 症例は 1 歳 8 か月の男児。前胸部にⅢ度熱傷を伴う 5%程度の熱傷を受傷し、翌日から発 熱、嘔吐、痙攣があり前医に入院したが、その後意識障害を認めたため当院に転院した。 DIC や多臓器障害の合併があり Toxic Shock Syndrome と診断して集学的治療を行った。1 週間程度で全身状態は落ち着いた。発語がなく座位保持が不安定であったがリハビリによ り徐々に改善した。熱傷受傷後の発熱、意識障害では鑑別として TSS を念頭に置く必要が あると思われた。04. 中等度熱傷治療経過中に高熱、ショック症状を呈した乳児の 3 例
○吉井公浩、越浪正太、楠本耕平、近田祐介、岩澤伸哉、伊藤智子、鶴田靖、金城学、 鈴木豊 (八戸市立市民病院 小児科) 野田頭達也 (八戸市立市民病院 救命救急センター) 乳児では菌体成分や毒素への抗体産生が未熟であることが熱傷部位からの蛋白、水分の 喪失やサイトカインの産生持続と重なり容易にショック状態に進行しうると考えられる。 中等度熱傷受傷後 3~6 日目に発熱しその後ショック状態に至った乳児の 3 例を経験した。 1 例で紅斑、TSST-1 産生ブドウ球菌を検出し、他 2 例では痙攣発作を認めた。全例で抗菌 薬、IVIG 投与、呼吸循環管理を適宜行い、短時間でショック状態から離脱できたので報告 する。05. 腹部膨満を主訴に受診した、腎外症候性溶連菌感染後急性糸球体腎炎の
一例
○松木琢磨 (大崎市民病院 小児科) 熊谷直憲、中山真紀子、上村美季、菅野潤子、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 川嶋明香 (岩手県立中央病院 小児科) 溶連菌感染後急性糸球体腎炎(APSGN)において尿所見が軽微または見られない場合があ り、腎外症候性 APSGN として知られている。 9 歳の男児が腹部膨満を主訴に受診した。高血圧、乏尿、浮腫を認めたが肉眼的血尿は 見られなかった。ASO 高値、補体低値であり腎外症候性 APSGN と診断した。水分制限と利 尿剤投与が奏功し、後遺症なく退院した。 身体診察、鑑別診断、文献検索の重要性を再認識したので報告する。06. 扁摘パルス療法後に再発した IgA 腎症の 2 例
○酒井秀行、伊藤貴伸、浅田洋司、田中佳子、小澤恭子、千葉靖、永野千代子 (仙台赤十字病院 小児科) 当院では IgA 腎症児においては、鼻・副鼻腔/扁桃/口腔の病巣感染巣を検討し、歯科/ 耳鼻科治療+扁摘パルス療法により根治を目指す。これまで計 30 名にこの治療を行い、全 例尿寛解を得てステロイド治療を終了したが、うち 2 名が長期フォロー中に再発した。き っかけはキャンピロバクター腸炎とノロ胃腸炎であった。IgA 腎症治療における扁摘の意 義はほぼ確立しているが、腸管の粘膜免疫応答制御も重要と思われたので考察を加えて報 告する。07. 高度蛋白尿を伴った紫斑病性腎炎(HSPN)の 3 例
○西尾利之、高橋俊成、新妻創、田邊雄大、小松寿里、樋渡えりか、齋藤秀憲、髙橋怜、 佐藤信一、佐藤寛記、鈴木力生、北村太郎、近岡秀二、高柳勝、村田祐二、大浦敏博、 大竹正俊 (仙台市立病院 小児科) 曽我睦 (曽我内科こどもクリニック) 板野正敬 (いたのこどもクリニック) 柏原彩曜 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) 症例は 8 歳女児(高度蛋白尿、gradeⅢb、PSL 投与下で増悪)、8 歳女児(高度蛋白尿、 gradeⅢb、急速に腎炎進行)、6 歳女児(ネフローゼ、gradeⅡ)。全例でステロイドパルス 3 クール後にミゾリビンを含むカクテル療法を施行した。蛋白尿は全例で消失、血尿はネ フローゼ例でのみ微少に残存している。HSPN の高度蛋白尿例に対する治療法は未確立だが、 症例により強力な治療が必要と考えられる。08. 骨原発の悪性リンパ腫を発症した 5 歳女児例
○新妻創、片山紗乙莉、森谷邦彦、小沼正栄、内山徹、笹原洋二、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 症例は 5 歳の女児。入院 4 か月前から左足関節の疼痛が出現、持続し、複数の医療機関 で精査されるも診断がつかず、入院 1 カ月前に当院整形外科を紹介受診。MRI で左距骨に 病変を認め、骨シンチでも左距骨、左脛骨近位、右肋骨に集積を認めた。開放生検の結果、 悪性リンパ腫(B-lymphoblastic lymphoma)、生検部位からの RT-PCR で TEL-AML1 陽性であ り、当科へ転科し化学療法開始。骨原発の悪性リンパ腫について、文献的考察を含め、報 告する。09. EBV-HLH として治療中に EBV 陰性で再燃し UCBT を実施した治療抵抗性 HLH
の 1 例
○曽木千純、及川善嗣、南條由佳、佐藤篤、今泉益栄 (宮城県立こども病院 血液腫瘍科) 林千代、渡邊庸平、山岡明子、三浦克志 (宮城県立こども病院 総合診療科) 武山淳二 (宮城県立こども病院 臨床病理科) 八角高裕 (京都大学 小児科) 血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は何らかの原因で T 細胞やマクロファージの異常活性 化が持続し、それに伴う高サイトカイン血症により多臓器障害を引き起こす疾患であり、 原発性と二次性の二つに分類される。今回我々は、EBV-HLH として治療中に EBV 陰性で再 燃し、UCBT を実施した一例を経験した。EBV-DNA 定量の結果から、本症例の発症には EBV の関与が考えられたが、再燃時にはその関与は否定的であり、背景に何らかの原発性 HLH の存在が示唆された。10. 生着不全後に 2 回目の臍帯血移植を施行した高 IgM 症候群の一例
○塙淳美、宮野俊輔、入江正寛、力石健、笹原洋二、呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 高 IgM 症候群とは、γグロブリンのクラススイッチ障害による原発性免疫不全症候群で ある。患児は生後 10 ヶ月時に反復性感染で発症し、2011 年 8 月 5 日に根治目的に臍帯血 移植を施行したが、一次生着不全と診断した。2013 年 2 月 12 日に再度臍帯血移植を施行 し、その後は生着を確認し順調に経過している。 今回、2 度目の移植で生着不全予防のために工夫した点について文献的考察を加えて報 告する。11. アサリ・シジミによる非 IgE 依存性食物アレルギーが疑われた 1 例
○阿部弘 (仙台社会保険病院 小児科) 症例は 7 歳女児。2 歳頃より貝類摂取時に嘔吐。幼稚園給食でアサリやシジミが出ると、 必ず 3~4 時間後に数回嘔吐が見られたため、7 歳時に当科紹介受診。アサリ特異的 IgE 抗 体は陰性。prick to prick テストでは、アサリ・シジミで陰性。パッチテストでは、アサ リで刺激反応、シジミで陰性。リンパ球刺激試験での Stimulation Index は、アサリ 970%・ シジミ 1102%と高値で、アサリ・シジミによる非 IgE 依存性食物アレルギーが疑われた。12. 当院でフォロー中の食物アレルギー児が受けている給食対応の実態調査
○箕浦貴則 (岩切病院 小児科) 昨年末に東京都調布市で起きた学校給食での誤食によるアナフィラキシーショック死の 事故を踏まえ、食物アレルギー児への給食対応の実態を明らかにするため、当院でフォロ ー中の食物アレルギー児の保護者に対して緊急アンケート調査を実施した。給食に関連し た誘発症状の回数、症状を引き起こしたきっかけ、症状出現時の現場での対応、調理場形 態とアレルギー対応の状況などについて検討したので、その結果を報告する。13. 心因性嘔吐腹痛症が疑われた好酸球性胃腸炎の 1 例
○鈴木菜絵子、堅田有宇、松原容子、日下奈都子、大沼良一、久間木悟、貴田岡節子、 中江信義、田澤雄作 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) 野口謙治 (国立病院機構仙台医療センター 消化器内科) 鈴木博義 (国立病院機構仙台医療センター 臨床検査科) 阿部麻耶子 (宮城県立こども病院 循環器科) 佐藤大記 (仙台市立病院 小児科) 川村和久 (かわむらこどもクリニック) 症例は 10 歳男児、腹痛・嘔吐を主訴に受診した。腹部超音波検査で少量腹水、血液検査 で好酸球増多のほか特記すべき所見なく、心身症も否定できないと考えた。腹痛増悪時の 腹部造影 CT 検査で著明な腹水および腸管浮腫をみとめ、上部消化管内視鏡検査を施行し好 酸球性胃腸炎の診断となった。プレドニン投与開始後、消化器症状は速やかに改善をみと めた。現在外来で抗アレルギー剤を併用しプレドニン漸減中であり、症状再燃はない。14. 可逆性脳梁膨大部病変を伴う軽症脳炎/脳症
(mild encephalitis/encephalopathy with reversible splenial lesion:MERS)
を呈した急性巣状細菌性腎炎(Acute focal bacterial nephritis:AFBN)の 1
例
○内田崇、西尾利之、高柳勝、橋本美香、高橋俊成、新妻創、田邊雄大、芳賀光洋、 大久保幸宗、鈴木力生、北村太郎、村田祐二、大浦敏博、大竹正俊 (仙台市立病院 小児科) 7 歳男児。発熱 2 日目にせん妄状態になり当院救急搬送。軽度意識障害あり、髄液に異 常所見なく、第 3 病日の脳波で後頭部に徐波、頭部 MRI で脳梁膨大部に異常信号を認め MERS が疑われた。また炎症反応高値で腹部造影 CT 施行、腎臓に造影不良域を認め AFBN と診断。 第 10 病日の頭部 MRI にて異常信号の消失を認め MERS と診断した。AFBN に MERS を合併し た 1 例を経験したため若干の考察を加えて報告する。15. 交通外傷後臨床的脳死状態と判断された 1 乳児例の経験
○川嶋有朋 (登米市民病院 内科) 埴田卓志、工藤充哉、岩城利充 (大崎市民病院 小児科) 差波新 (沖縄南部医療センター 小児科) 宮野峻輔、工藤宏紀、内田奈生 (東北大学病院 小児科) 0 歳 6 か月女児、交通外傷後、救急搬送となる。重度脳挫傷あり、来院時 JCS-300 循環 動態不安定、対光反射弱く、頭部 CT にて著明な脳浮腫を認めた。気管内挿管の上 ICU 管理 となったが、一時循環動態安定するも、その後、瞳孔散大、対光反射(-)へ、第 3 病日、 臨床的に脳死に準じると判断し、その後、第 20 病日亡くなった。当時スタッフ間で行った 突発的な予後不良例への対応、臓器移植オプション提示の検討について再度学会で議論し たい。16. 単純気管切開児へのスピーチバルブ装着による唾液誤嚥防止法
○田中総一郎 (東北大学病院 小児科、宮城県拓桃医療療育センター 小児科) 呉繁夫 (東北大学病院 小児科) 萩野谷和裕、涌澤圭介、乾健彦、遠藤若葉、佐藤亮 (宮城県拓桃医療療育センター 小児科) 単純気管切開児へのスピーチバルブ装着による唾液の誤嚥防止法を報告する。Covidien 社製スピーキングバルブ(SSV)を用いて、気管カニューレと気管壁の隙間に呼気を上昇させ、 唾液の垂れ込みを防ぐ様子を、気管支鏡と嚥下造影で確認した。試みた 5 例の全例で効果 があり、3 例で唾液誤嚥による肺炎罹患がほとんどみられなくなり、1 例で気管支軟化症が 軽快、1 例で本来の目的である発声が可能になり発達指数が上昇した。17. いじめによる不登校と、慢性ストレス反応
○前多治雄、江翔子 (前多小児科クリニック) 三上仁 (岩手県立中央病院 小児科) 不登校の中でもいじめが原因の場合は再登校が難しく、登校出来ないままひきこもりに なってしまう子供達も少なくない。再登校が難しいのは慢性ストレス反応ではないかと考 え回避、再体験、過覚醒症状がどのぐらいあるか調べた。いじめから不登校となった児童 35 人中回避 35 名、再体験 28 名、過覚醒 9 名であった。過覚醒症状の 9 名は回避、再体験 症状もあり PTSD であった。いじめが原因の不登校は慢性ストレス反応と考え対応すべきで ある。18. いじめによる不登校児における神田橋処方の効果
○前多治雄、江翔子 (前多小児科クリニック) 三上仁 (岩手県立中央病院 小児科) いじめによる不登校を慢性ストレス反応と考えると、治療法としては EMDR、神田橋処方 (四物湯、桂枝加芍薬湯)等がある。16 名のいじめによる不登校児に神田橋処方を試してみ た(平均投与期間 3.4 カ月)。16 名の内訳は平均年齢 14.2 歳(12~17 歳)、男女比 1:1、平 均不登校期間 21.1 カ月(5~84 カ月)であった。結果は 16 名中 14 名が飲み始めてから気持 ちが楽になったといい、そのうち 7 名が再登校出来た。試みる価値のある治療法の一つと 思われる。19. 大災害時の喪失体験にどう向き合うか
~大川小学校遺族の「話合い」に参加した経験から~
○高田修 (たかだこども医院) 2011 年 3 月 11 日、石巻市立大川小学校では児童生徒 74 人と教職員 10 名が津波の犠牲 となった。演者はその年の 5 月より遺族有志の集まりに参加して事実確認をすすめる現場 に立ち会ってきた。参加者からはそれが、実はカウンセリングでありグリーフ・ケアにな っているという評価をいただいた。今回のような前例の無い出来事の前では、その心のケ アも道なき道を模索するしかない。震災時に生じる悲嘆=「曖昧な喪失」に向き合った演 者の体験を報告し、子どもを亡くした保護者へのグリーフ・ケアのありかたに対する私見 を述べたい。20. 迅速診断キットにより診断に至った、ヒトメタニューモウイルス感染症
入院例の臨床的検討
○堅田有宇、鈴木菜絵子、松原容子、石田智之、日下奈都子、野口里恵、佐藤優子、 渡邊浩司、大沼良一、久間木悟、貴田岡節子、中江信義、田澤雄作 (国立病院機構仙台医療センター 小児科) 佐藤大記 (仙台市立病院 小児科) 桑名翔太 (宮城県立こども病院 新生児科) 阿部麻耶子 (宮城県立こども病院 循環器科) hMPV は呼吸器感染症を引き起こすウイルスであり、小児において比較的高率に検出され る。当院では 2013 年 2 月より、hMPV 迅速診断キット(チェック hMPV)を採用している。 本ウイルスの流行期と考えられる同年 2 月から 5 月までの間に、当院において迅速診断キ ットにより診断に至った hMPV 感染症入院例約 30 例を対象として、年齢・症状・SpO2 値・ 検査所見・ステロイド投与の有無・細菌感染合併の有無等に関して、臨床的・文献的考察 を交え報告する。21. 迅速診断キットを用いたヒトメタニューモウイルス(hMPV)感染症例の
臨床的検討
○高柳玲子、沼田美香、石澤志信 (東北労災病院 小児科) hMPV 感染症は RSV 感染症に類似した臨床症状を示し、再感染をおこすことが知られてい る。本年 4 月に当科を受診した hMPV 迅速キット陽性症例 20 例について検討した。年齢 1 歳 1 月~12 歳 0 月(平均 3 歳 2 月)、診断病日 2~7 病日(平均 4.2 日)、有熱期間 0~5 日 (平均 3.4 日)、診断名(肺炎 8 例、気管支炎 7 例、上気道炎 4 例、クループ 1 例)、入院 8 例、呼気性喘鳴を聴取したのは 10 例、中耳炎合併 6 例だった。22. 2 種のウイルスの重複感染によって高サイトカイン状態が導かれたと考え
ることのできた 2 症例
○神田進 (八戸市立市民病院 小児科) 症例 1 は 2 歳女児。発熱のために受診した際に目の前で嘔吐していた子がいた。発熱が 遷延し第 6 病日に当院に紹介となり入院した。便ノロ陽性であった。mPSL 投与により解熱 傾向を得たが再燃し、初回の IVIG に不応で、2 回目の IVIG+PSL に反応して解熱が得られ た。症例 2 は 3 歳女児。第 17 病日に当院に紹介された。迅速検査で flu A(+)であった。 PSL 0.7mg/kg の単回静注により解熱が得られたが、その後微熱が続いたため観察を継続し たところ関節炎症状が出現し JIA 関節型と診断された。23. 当院で 1 年間に経験した上気道炎後に環軸椎回旋位固定に至った 4 例
○阪本昌樹、菅谷憲太、根本照子、鈴木保志朗、藤江弘美、鈴木潤
(いわき市立総合磐城共立病院 小児科) 塙淳美、鈴木大、森谷邦彦 (東北大学病院 小児科) 浅田洋司 (仙台赤十字病院 小児科)
環軸椎回旋位固定(atlantoaxial rotatory fixation ; AARF)は小児領域では比較的稀 な疾患であり、小児科医だけでなく整形外科医でも見逃すことのある疾患である。診断の 遅れが頻回の再発をまねき、難治例では観血的治療を要する場合もあるため、早期の診断 と加療が求められる。今回我々は、上気道炎後に有痛性の斜頚を呈し、AARF と診断した 4 例を経験したため、文献的考察を含めて報告する。