• 検索結果がありません。

MJ148 06 論文 サービス・ドミナント・ロジックからみた医薬品情報提供サービスデザイン ― 消費者による医薬品情報の自己管理に向けて ―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "MJ148 06 論文 サービス・ドミナント・ロジックからみた医薬品情報提供サービスデザイン ― 消費者による医薬品情報の自己管理に向けて ―"

Copied!
22
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

Ⅰ. はじめに

 近年の増大する医療需要をできる限り抑えつ つ,「国民の健康寿命が延伸する社会」を実現 するためには,国民自らが自己の健康管理を進 めることが必要となってきており,セルフケア 行動としてのセルフメディケーション1)が重要 視されてきている。たとえば,日本再興戦略 (2013年6月14日)では,薬局・薬剤師を活用 したセルフメディケーションの推進が盛り込ま

れている。また,「経済財政運営と改革の基本 方針2015」(2015年6月閣議決定)では,「個人 の健康管理に係る自発的な取組を促す観点か ら,セルフメディケーションを推進する」とさ れ,そのためのさまざまな施策が動き始めてい る。ところで,世界保健機構(WHO)によると, セルフケアは,「健康を確立・維持し,病気を 予防するとともに,対処について,自己で行動 を起こすこと」という意味づけと,「衛生,栄養, ライフスタイル,環境,社会経済,セルフメディ ケーションを含む幅広い概念」とされている

医薬品情報提供サービスデザイン

― 消費者による医薬品情報の自己管理に向けて ―

要約

 本研究では,消費者のセルフケア行動に対する医薬品情報提供サービスのあり方をサービス・ドミナ ント・ロジックの観点から検討する。消費者は自身の健康管理において健康に関するさまざまな情報を 利用し,セルフケア行動を通して健康を維持するという価値を創造している。そのセルフケア行動にお いて,OTC 医薬品を活用して行うセルフメディケーションの場合,医薬品の外箱や添付の説明書などの 情報を利用することになる。それらは製品の機能や特徴に関する情報が主体となっており,使用中のど の段階で必要になる情報なのか,時系列管理できる情報デザインとはなっていない。これは,製品(モノ) の情報提供サービスと考えられ,消費者の健康価値創造に対するサービスとはなっていないと考えられ る。そこで,OTC 医薬品の情報提供サービスの現状を,消費者のセルフケア行動に対する価値提案,自 己管理用の情報デザイン,情報提供及び管理資源の構成の視点から見直し,さらに,医療サービスの領 域で既に活用されている自己管理のための医薬品情報提供サービスについて同様の観点から検討し,消 費者のセルフケア行動に対する医薬品情報提供サービスのあり方を考察する。

キーワード

サービス・ドミナント・ロジック(S-D ロジック),セルフケア行動,医薬品情報提供サービス, エコシステム,協働

(2)

(WHO, 1998)。この健康の自己管理(セルフケ ア)に向けた情報は,専門的知識に精通してい なくても理解できるように,わかりやすく提供 されることが重要であり,近年,この健康の自 己管理に向けた情報提供サービスのあり方が見 直されている。そのひとつとして,消費者が薬 局やドラッグストアなどで購入できる医薬品 (OTC医薬品2))を利用して行うセルフケア(セ ルフメディケーション)がある。このセルフメ ディケーションに向けて,消費者が OTC 医薬 品を購入する際の情報提供サービスに対し,さ まざまな施策が提言されてきており,またそれ らを受けた実務研究が行われてきている。しか し,OTC 医薬品購入後,消費者が実際に OTC 医薬品を使ってセルフメディケーションを行っ ている際の情報提供サービスについては十分に 検討されているとはいえない。このように,消 費者が自己管理すべき情報に対する情報提供 サービスが,どのような仕組みや構造になって いるのか,その全体像は明らかでない。では, 消費者は,セルフメディケーションの実施中に, OTC 医薬品のどのような情報を,どの段階で 確認し,自己管理に活用すればよいのだろうか。 この問題意識にたち,セルフメディケーション と消費者のセルフケア行動の先行研究について 概観すると,情報提供サービスの過程における 協働のあり方が重要な鍵となることが示唆され ている。そこで,協力関係という視点でみると, たとえば,WHO では,セルフメディケーショ ンの実施にあたって,医薬品の専門家である薬 剤師の役割を提言しており3),消費者の積極的 な健康管理に,専門家による助言や補助の必要 性を論じている。このように,専門家がかかわ ることにより,サービスの提供過程において消

費者に何をしてほしいかを伝えて,消費者がそ の 役 割 を 果 た せ る よ う に(Kotler, Hayes & Bloom, 2002)し,消費者と専門家の協働によっ て,健康管理の価値を創造していくことがセル フメディケーションには重要であることを示唆 している。また,消費者自身によるセルフケア 行動に対する医薬品情報提供サービスおいて, 医薬品を使用中に経験する情報(効果,相互作 用,副作用など)などは消費者にとって非常に 重要な情報である。これらの経験情報を評価す ることで使用した医薬品などが自身のヘルスケ アに価値があったと感じ,次に同様のセルフケ ア行動をする際に,この経験情報を活かしてい くことになる。このように,サービスによって 提案される価値は,消費者側においてその消費 者が体験している文脈の中で消費者によって判 断される(Lusch & Vargo, 2014)。つまり,消 費プロセスにおいて具現化される価値の管理 ツールの提案が,セルフケア行動やその中のセ ルフメディケーションにおける情報提供サービ スにおいて必要になると考えられる。そこで, 本研究では,このように使用プロセスにおいて 価値を作り出していくことを前提条件のひとつ としているサービス・ドミナント・ロジック (S-Dロジック)の概念(Lusch & Vargo, 2014)

を援用し,S-Dロジックの戦略思考として挙げ られている5つの観点(サービス・エコシステム, 協働,価値提案,サービスデザイン,リソース 構成)から,セルフメディケーションにおける 消費者への情報提供サービスのあり方を検討す る。

(3)

OTC医薬品の情報提供資源である外箱,本体, 添付文書で提供されている医薬品情報を対象と し,その情報提供デザインについて整理分類す る。これらを対象とする背景としては,医薬品 情報提供サービスの情報源として,医薬品添付 文書などからの情報がそのベースとなっている 点がある。即ち,規制当局,製薬企業からの情 報が基本となっていることから,医薬品添付文 書に書かれている項目に着目する。続いて, S-D ロジックの 5 つの戦略視点である,サービ ス・エコシステム,協働,価値提案,サービス デザイン,リソース構成の観点から理論的に評 価を行う。また,医療サービスとの情報連携の 観点から,医療領域で利用されている患者自身 による自己管理ツールについてもS-Dロジック の5つの視点で評価し,自己管理ツールの特徴 を整理する。医療領域の自己管理ツールとして は,お薬手帳4)と患者用の地域連携クリティカ ルパス5)を対象とする。

Ⅱ. 医薬品情報提供サービス研究の

動向と本研究の位置づけ

1.医薬品情報提供のあり方と医薬品情報の価値

 医薬品には,医療用医薬品と一般用医薬品が あり,それぞれに情報提供が規定されている。 医薬品市場全体の9割弱を医療用医薬品が占め ていることから,医薬品情報提供のあり方(厚 生労働省,2001)も,医療用医薬品を中心に検 討されている。医薬品情報には,医薬品そのも のの性質や特徴などの科学的な基礎情報のほ か,臨床で医療提供に必要な情報,医薬品の価 格の情報などもあり,ひとつの医薬品に対する 情報の種類や量は膨大である。そのどれもが医

薬品の利用において必要な情報ではあるが,利 用者や利用背景に対応した情報が適切に提供さ れることが重要となる。すなわち医薬品の利用 にあたっては,適切に使用されるための情報が 一体となっていなければ,その有効性を十分に 発揮することは難しく,却ってリスクをまねく おそれがある。医療サービスにおける医薬品情 報提供については,Porter & Teisberg (2006) も『医療戦略の本質』の中で,医療サービスに おける価値連鎖とケア・サイクルの可視化を行 い,問題点を指摘している。医療の価値を高め る原則として,「医療提供者の経験,診療規模, 学習が価値を高める」,「診療実績に関する情報 を広く提供する」ことなどを挙げている。医療 が目標とすべきは,患者にとっての価値,つま り,支出当たりの患者にとってのアウトカムの 質を高めることであり,医療の価値は,患者を 対象として評価しなくてはならないとしてい る。また,医療の価値を向上させる競争には, それを支える情報の階層が必要であり,必要な 情報の中でも圧倒的に重要性が高いのが,診療 実績に関する情報であることを強調している。 この診療実績に関わる情報として医薬品情報が あり,この医薬品情報が適切に提供されること が医療の価値を向上させる。また,患者のとる べき役割として,自分の健康管理に積極的に加 わることをあげており,患者の医療への参加の 必要性を説いている。さらに,「医薬品情報は 消費者に大きな役割を持たせる」ことの意義に ついても論じている。

2. セルフケア行動に対する医薬品 情報提供サービス

(4)

定のケアが必要となった時に,どのような方法 が適しているか事前評価を行っている(図1)。 この際に,医薬品情報提供サービスを活用して, 専門的知識を自身のセルフケアに利用している と考えられる。OTC 医薬品の消費者がとる行 動として,信頼できる科学データ,医薬品の基 本的な情報,自身の薬物療法の実施スキル,規 制当局からの注意喚起,行動の修正,アウトカ ム,測定と分析が,行われているとの報告があ る(Soller & Mann, 2014)。医薬品情報提供サー ビスに対して,消費者は,専門的知識の情報提 供サービスの受け手になりがちであるが,サー ビスの提供過程における消費者の役割として, 使用経験情報の送り手の役割もあることをあま り意識していないと考えられる。そのため,サー ビスの提供過程において消費者に何をしてほし いかを伝えて,消費者がその役割を果たせるよ うにする(Kotler, Hayes & Bloom, 2002)ため の仕組みが必要である。このような消費者の積 極的な役割を提唱している概念として,S-Dロ ジック(Lusch & Vargo, 2014)がある。S-D

ロジックでは,消費者と企業の関係に前提条件 として,消費者はサービスの共同生産者であり, サービスをその文脈において利用することで文 脈価値の共同創造者であることなどを提唱して いる。このS-Dロジックの概念からの見直しは, 医薬品情報提供サービスにおける消費者の役割 や価値提案の方法を再検討するうえで,価値の 共創における消費者の参加の仕方を変える(近 藤,2012)ための新たな視点として有用である と考えられる。

Ⅲ. 健康管理に向けた情報提供サービス

の枠組み

 本研究では,健康管理とその際に消費者が利 用する情報提供サービスを,消費者におきる一 連のモノと情報の提供と行動,及びそこにおき ている協働を体系的にとらえなおす必要がある との立場をとる。また,この健康管理市場にお ける情報提供サービスを体系的に見直すための 枠組みとして,S-Dロジックの理論枠組みで提 図 —— 1 消費者のセルフケア活動の概念図

事前評価 事後評価

特別のケア

自己治療 健康

評価

改善 継続

日常のケア 消費者のセルフケア行動

セルフメディケーション

OTC医薬品

健康

(5)

唱されている観点を用いる。そこでまず,この 研究枠組みについて概観し,健康管理マーケッ トにおけるS-Dロジックの利用可能性について 考察する。

1. サービス・ドミナント・ロジック (S-Dロジック)のアプローチ

 医薬品は,使用されることでその効果を発揮 しており,消費者の自己治療において,医薬品 が使われ具体的な効果が生まれることで価値が 生まれる。このように,資源の使用が消費者の 健康自己管理の文脈において,価値を創造して いると考えられる。使用価値は,利用される背 景やモノの生産と消費が一体となって文脈価値 としてとらえることができる。消費者だけでな く,医療者などの専門家からの情報提供など文 脈に関連する事象が一体となって効果をもたら していると考えられる。即ち,健康管理や医療 サービスにおける情報提供サービスは,サービ スが提供されるエコシステムの全体像を把握 し,体系的に評価する必要がある。これまで, 各サービスは個々に議論されてきてはいたが, 体系的な視点からの議論は十分とはいえず,そ の要因として,体系的な評価のための具体的な 枠組みがなかったことが挙げられる。健康管理 における医薬品は,健康管理中に起こったイベ ントに対して,その症状を改善させるようには たらき,医薬品(モノ)自体の持つ機能を用い て患者にはたらきかけることで治癒という価値 を生んでいる。消費者のセルフケア行動に対す る医薬品情報提供サービスでは,健康の自己管 理行動から,必要に応じて医療へ移行し,そし てまた健康管理の行動へと,関連する事象に そって情報がシームレスに提供される必要があ

(6)

である。S-D ロジックでは,動的な市場の相互 作用に焦点を当てていることから,価値のネッ トワークやサービス・エコシステムの視点から, アクターを取り巻くサービス体系を設計でき る。価値は,サービス・エコシステム内で常に 共同で創出されるため,エコシステム全体に価 値を提案することに焦点をおいた戦略をとる。 また,アクター自身が将来を自身で設計する存 在とみなすことから,将来を管理するための資 源形成や統合に注力することが必要となる。こ れらの観点から見直すことにより,健康管理の ための情報提供サービスにおいて,各アクター が自身の役割と何ができるかを検討評価するこ とができるとともに,アクター間でどのような 支援が必要なのかを検討することができる。

2. S-Dロジックの視点からみた 健康とヘルスケア

 健康管理に向けた医薬品情報提供は,医薬品 情報の利用者,価値提供,情報提供資源,基盤 整備の状況といった全体像を把握し直し,課題 の所在を明らかにすることが必要である。例え ば, 全 体 像 を 把 握 す る た め の 価 値 設 計 図 (Adner, 2012)は,エコシステムとそこにおけ る依存関係を明確にし,価値提供を実現するた めに必要な要素の配置を示している。各活動が どこに位置づけられ,どのようにつながってい るのか,各パートナーはどのような責任がある かといったことを可視化する。つまり,健康管 理や医療サービスにおける医薬品情報提供の価 値設計図によって役割の関係性を可視化するこ とで,より明確にその機能や役割が示される。 利用者のニーズに対応した補完者の機能や役割 図 —— 2 セルフケア・サイクルと医療サービス

事前評価 事後評価

特定ケア

自己治療 健康

評価

改善 継続

日常のケア 消費者のセルフケア行動

セルフメディケーション OTC医薬品

健康

事前評価 事後評価

特別のケア

自己治療 健康

評価

改善 継続

日常のケア

消費者のセルフケア行動

セルフメディケーション OTC医薬品

健康

事前評価 事後評価

医療サービス

医師による 診断と治療

医療用医薬品

(7)

の適切な組み合わせが成否を分けることにもな ることから,個々の取り組みではなく,組み合 わせ単位での取り組みの評価が必要と考えられ る。相補的な関係がうまく機能している時に, 価値を最大化できると考えられることから,組 み合わせ単位内での齟齬が生じないような仕組 みが重要であり,アクター各自の意識が重要な 鍵となる。健康管理のための医薬品情報提供は, 健康管理の実施者や補完者など関係するアク ター間の双方向の情報を集積し,情報交換を繰 り返しながら,健康管理に貢献しているものと 考えられる。このように,消費者の健康管理の プロセスにおける特定のタイミング,場所,出 来事に対して行われる情報提供は,関係する複 数のアクターとの共創経験からつくられている と考えられる。

 ところで,健康とヘルスケアのためのS-Dロ ジックについては,Joiner & Lusch (2016)に よって検討が行われている。エコシステムの一 部としてヘルスケアをみることで,消費者のた めによりよい保健制度の価値提案を設計でき る,としている。ヘルスケアにおけるS-Dロジッ クの実装と評価について,顧客価値,動機付け, 在宅医療,がん医療,IT を活用した医療サー ビスなどでの事例について検討している。健康 とヘルスケアの領域では,医薬品や医療機器な どモノとその特徴を知らせるための情報を提供 するサービスと,医薬品を使って治療を行った り,検査を行ったりといった行動によって価値 を生み出すためのサービスがあるとしている。 前者は,グッズ・ドミナント・ロジック(G-D ロジック)の概念で説明することができ,後者 はS-Dロジックの概念が適していると論じてい る。S-Dロジックはアクターが他のアクターに

対して利益を提供するために適した知識とスキ ルを使いつつ,自身の利益にもつながるという 連携の論理であり,この連携関係は相互の信頼 に基づくwin-winの交換が行われているとして いる。S-D ロジックは,製品の供給者から構成 される緊密な結びつきによる直線的なシステム を,健康エコシステムを形成するその他のさま ざまなアクターたちからなる価値星座に置き換 えるものであると論じている。また,S-Dロジッ クの健康とヘルスケアへの適用の議論におい て,これらのサービスはエコシステムの一部で あると論じており,医療をエコシステムの一部 とみなすことにより,消費者に対する健康エコ システムの価値提案を創出できるものと結論づ けている。つまり,現在のシステムの非常に断 片化している構造ではなく,エコシステムとい う体系的な視点に立つことができるようにな る。医療提供者及び消費者の双方が,感じ,体 験し,創出し,リソースを統合し,学習するプ ロセスの過程で,価値を共創しているのである。 健康のエコシステムは,線上に結びついた商品 提供者のシステムをその他の共創アクターの価 値星座に置き換えて形成している。このような 観点は,これまでのサービスの理論枠組みより も,より健康・医療の実際に近いデザインをす ることができ,消費者に対する健康システムの 価値提案を創出できるものと考えられる。

3.本研究における5つの戦略思考の概念定義

(8)

サービス・エコシステム:健康管理に向けた情 報提供サービスにおいては,情報の提供者とそ の利用者という役割が,さまざまな機能のアク ターによって組換えられ連鎖して担われてお り,それらが相互連結して構成されている。こ れらのアクターのもつ専門的知識や経験情報を 交換して価値を生み出している。このような関 係性の全体像がサービス・エコシステムである。

協働:OTC 医薬品を使用する際の情報提供 サービスでは,製薬企業,規制当局,薬局やド ラッグストア,消費者がアクターであり,これ らのアクターの健康管理に向けた情報サービス のエコシステムにおける協力関係やその密度を 協働関係とする。

価値提案:健康管理に向けた情報提供サービス

では,健康の自己管理を行う際の情報を提供す るだけではなく,その提供された情報を適切に 使用することによって価値を生み出している。 この使用経験から得られた価値を通して複数の アクターと価値を創り出し文脈に対して提案す ることである。

サービスデザイン:健康管理に向けた情報提供

サービスでは,サービス・エコシステムにおけ る各アクターの機能や役割の設計,アクター間 の協力関係等,価値を創造するエコシステムを 開発するための全体設計をさす。

リソース構成:健康管理に向けた情報提供サー

ビスにおけるエコシステムの配列と資源を再配 列することであり,そのための評価方法を検討 することである。

Ⅳ. セルフケア行動と医薬品情報提供

サービスの全体像

1.医薬品情報提供サービスの価値のながれ

 医薬品に同梱されている医薬品添付文書は, 医薬品の製造元である製薬企業が規定に則り作 成しており,そこに書かれている情報が医薬品 情報を提供する際のもとになっている情報源で ある。これらの情報は,製薬企業のウェブサイ トから閲覧することができる。また,規制当局 である厚生労働省や独立行政法人医薬品医療機 器総合機構(Pharmaceutical and Medical Devices Agency:PMDA)のウェブサイトか らも閲覧,入手が可能である。よって,消費者 は専門家を介さずに医薬品情報にアクセスする ことが可能である。この情報提供サービスシス テムは,医療用医薬品,一般用医薬品・要指導 医薬品に共通している情報提供サービスであ る。OTC医薬品の情報提供サービスとしては, この他,OTC 医薬品業界のメーカー等関連団 体によって構成されているセルフメディケー ション・データベースセンター(JSM-DBC) によって運営されている「おくすり検索」があ る。なお,PMDA のウェブサイトでは,OTC 医薬品は,「一般用医薬品・要指導医薬品」と 記載されている。医薬品情報提供サービスは, 医療や医薬品の専門家が関与する場合としない 場合がある。医師の処方箋による医薬品(医療 用医薬品)の場合,医師からの説明や情報提供 (図3の①)や,薬剤師からの情報提供(図3の②)

(9)

度を背景として,要指導医薬品と第一類の一般 用医薬品に限り,薬剤師からの情報提供が義務 づけられている。第二類,第三類の一般用医薬 品については,説明は必須ではないことから, 医薬品に添付されている情報すなわち製薬企業 からの情報提供(図3の③)から,自己管理に 必要な情報を入手し利用することになる。以上 のように,医薬品情報提供サービスは,製薬企 業と消費者だけでなく規制当局,専門家が互い につながり,各自がもてる資源を再構成し,価 値を創造していると考えられる。

2. 消費者による医薬品情報の 自己管理と価値共創

 セルフケアの行動視点として,食事,運動, 睡眠,禁煙などがあり,これらに対するさまざ まな工夫や取組みが提唱されている。これらの セルフケア行動にセルフメディケーションを利 用する場合,食の機能性や,睡眠や禁煙に対す る医薬品との相互作用などに関する情報はセル フメディケーションを安全に実施するうえで, 消費者自身による管理が大変重要となってく る。消費者は OTC 医薬品を使用した後の自己 の使用経験に基づき,同様な症状の場合に常備 薬として自己管理に向かうものと考えられる。 しかしながら,これらの情報は,消費者のみが

知り得る情報であり,消費者が患者になった時 にそれらの自己治療履歴については,初診時に 確認される。つまり,セルフメディケーション の際の使用経験情報,常備薬や実際の使用実績 (治癒状況など)が適切に管理されていること が,セルフケア・サイクルには必要になるもの と考えられる。ケア・サイクル6)については, Porter & Teisberg(2006)が『医療戦略の本質』 の中で,医療サービスにおける価値連鎖とケア・ サイクルの可視化を行い,問題点を指摘してい る。セルフケア・サイクルは,このケア・サイ クルの前の段階に存在し,かつケア・サイクル から脱した時に新たなセルフケア・サイクルへ とつながっていくと考えられる。ケア・サイク ルはセルフケア・サイクルの過程におきている と考えられることから,セルフケア・サイクル の全体像を可視化し,消費者自身が理解してお く必要があると考えられる。このセルフケア・ サイクルの中でセルフケアが行われており,そ のひとつとしてセルフメディケーションがあ る。セルフケアの中にある食事については,食 の機能性に医薬品と相互作用があるものなども あり,医薬品の特徴を理解することが消費者に とって重要であることがわかる。このように, 消費者が自身の健康という文脈において,自身 の健康管理サイクルをどのように好循環させて 図 —— 3 医薬品情報提供の価値のながれ

製薬企業

・厚生労働省 ・PMDA

規制当局 医薬品情報提供 医師

消費者 薬剤師

医療関係者

③ ② ①

(10)

いくか,また自身にとってどのようなサービス が好循環につながるのか,どのようなサポート や専門家とのかかわりが鍵となるのか,検討す ることが必要である。また,セルフケア行動で 蓄積された情報は,医療サービスを受ける時の 貴重な患者情報となることから,医療サービス で既に利用されている自己管理ツールとのシー ムレスな情報連携ができる情報構成や情報内容 であることも重要である。

Ⅴ. セルフケア行動に対する医薬品

情報提供サービスの価値提案

 セルフケア・サイクルの自己治療に対する医 薬品情報提供サービスについて,S-Dロジックの 5 つの戦略視点から検討する。まず,セルフメ ディケーションにおける医薬品情報提供サービ スの全体像を俯瞰する。次に製薬企業と規制当 局による情報提供サービスの特徴を検討する。

1. セルフメディケーションにおける 医薬品情報提供サービスの全体像 ⑴サービス・エコシステム

 セルフケア行動において,OTC 医薬品を使 用して自己治療する場合,OTC 医薬品を購入 する際に医薬品情報も合わせて提供される。特 に,要指導医薬品と第一類医薬品については, これらの医薬品が抱えるリスクの度合いから, 消費者の使用目的や薬剤使用歴なども薬剤師が 確認する仕組みとなっている。消費者が自身の 健康管理にかかわる個人情報の提供を行い,安 全にセルフメディケーションを行うことを目的 とした情報提供サービスである。これは図4の ②のルートである。また,図4の①は,産業医 などセルフケアに関わる医療者からの情報提供 が想定される。しかし,これらはいずれも,購 入時や受診時など,消費者が OTC 医薬品を使 い始める前の段階での情報提供サービスであ る。使用開始後から使用終了時までの情報提供 サービスは,図4の③が主体となると考えられ る。つまり,企業と消費者が,直接,情報交換 や共有を行っていることになり,消費者が安全 に OTC 医薬品でセルフメディケーションを行 えるような,自己管理に向けた情報提供サービ スが必要である。

図 —— 4 OTC医薬品の情報提供のながれ

製薬企業

・厚生労働省 ・PMDA

規制当局 医薬品情報提供

(OTC医薬品) 医師

消費者 薬剤師

医療関係者 情報デザイン

OTC医薬品情報

OTC医薬品の 情報提供

???

リスク分類情報、価格の情報… 等々. 医薬品情報へのアクセス 使用経験情報のフィードバック

③ ② ①

(11)

⑵協働

 医薬品の基本的な情報の提供サービスは,製 薬企業や規制当局の側からは,安全に適正に医 薬品を使用することを目的として,OTC 医薬 品の情報提供サービスがそれぞれのウェブサイ トを活用して行われている。この情報提供サー ビスの情報は,製薬企業から提供されており, その提供方法や提供資源の作成では協働がおき ている。しかし,消費者が医薬品を使用して得 られた使用経験情報や,自己管理に向けた工夫 などの情報は,上記のウェブサイト上ではみら れない。これらの情報は,消費者が医薬品を使 用することで得られる経験価値の情報であり, 医薬品を利用するセルフケア行動に対して大変 重要な情報であるばかりでなく,市販されるま では見えていなかった医薬品情報として収集評 価され,共有されるべき情報であり,健康管理 に関する貴重な資源である。これらの資源を活 用するための仕組みの見直しや各アクターの役 割の明確な提示などが必要と考えられる。

⑶価値提案

 OTC 医薬品を利用したセルフメディケー ションに対する医薬品情報提供サービスでは, 適正使用に向けた,使用期間や使用終了の目安 など自己管理上の情報が考えられるが,セルフ メディケーションによって得られる効果の評価 やその結果使用終了するというような判断は, あくまで消費者の自己判断に委ねられており, これらの情報は積極的には明記されていない。 また,自己判断の指標となるような,専門家の 評価視点など自己管理上の評価指標について も,とくに提供されていない。これは,消費者 のセルフケア行動における自己診断と自己管理

の行動に対する価値提案がされていないことを 示唆している。消費者が,セルフメディケーショ ンでの OTC 医薬品の使用から終了までに必要 となる情報とそれに対する専門家の評価やそれ らを指標とした消費者自身の使用経験情報の フィードバックが必要と考えられる。

⑷サービスデザイン

 OTC 医薬品の情報提供サービスは,医薬品 購入時の意思決定にかかわる情報提供サービス に重点がおかれたデザインとなっている。しか し,使用開始以降は,自己管理と自己判断に委 ねられていることから,OTC 医薬品に記載ま たは添付されている情報から,消費者が自己評 価していくことが求められている。この際に利 用できる情報などについても,情報提供が必要 であると考えられる。消費者自身が必要な情報 を選択するために必要な薬識を提供できるよう な情報サービスデザインが必要である。

⑸リソース構成

(12)

理ツールとしても活用できる資源として検討す る必要があると考えられる。

2. 製薬企業によるOTC医薬品の 情報提供サービス

 製薬企業の情報提供サービスとして,商品に 添付されている医薬品添付文書とウェブサイト を活用した情報提供サービスについて検討す る。

⑴サービス・エコシステム

 製薬企業から消費者への情報提供は,医薬品 の外箱,本体,添付文書を通して,直接的に提 供される。また,製薬企業のウェブサイトでも, それぞれに書かれている情報を閲覧できるよう になっており,こちらも消費者への直接的な情 報提供サービスとなっている。これらの情報提 供において,消費者がわかりやすいような表現 や工夫(イラストなどの利用)をすることが規 定されていることから,情報デザインにかかわ る専門家の関与が示唆される。

⑵協働

 製薬企業からの情報提供サービスでは,消費 者にわかりやすく医薬品情報を提供するために さまざまな工夫がされている。例えば,外箱の 文字の種類や大きさ,配色をはじめ,言葉遣い などが挙げられ,これらに精通した専門家の協 働がおきていると考えられる。このような情報 の見せ方に関する専門家は,セルフメディケー ションの直接的なアクターではないが,セルフ メディケーションを安全に実施するために重要 な補完的なアクターであると考えられる。また, 消費者は,医薬品情報のわかりやすさや使いや

すさなどをフィードバックすることで,情報提 供サービスの見直しに貢献することになる。

⑶価値提案

 OTC 医薬品を消費者自身の判断で安全に使 用するための情報や医薬品の基本情報を専門知 識によらずわかりやすく提供することは,モノ (医薬品)の価値提案に主眼をおいたサービス と考えられる。これに加え,消費者のセルフケ ア行動に役立つ情報として,日常生活における 健康管理についてウェブサイト上で紹介してい る企業もある。この情報提供サービスは,消費 者の健康に向けた行動に対する価値提案を行っ ているものと示唆される。これらのセルフケア・ サイクルと医療サービスにおける医薬品の情報 が途切れることなく,消費者の一連の健康活動 における情報価値としての情報提供が必要であ る。

⑷サービスデザイン

(13)

にまで踏み込んだ情報提供サービスの取組みも みられる。この情報提供サービスは,製薬企業 のウェブサイト上で提供されていることが多 く,セルフケア行動に対する情報提供サービス となっていると考えられる。

⑸リソース構成

 製薬企業が提供している OTC 医薬品の情報 資源は,医薬品の外箱,本体(直接印字または ラベル等の貼付),添付文書が主たる情報資源 となっている。その他,これらの情報を製薬企 業のウェブサイトからもアクセスできるように なっている。また,セルフケアに関する情報も 提供されている場合があるが,それらを自己管 理するためのツールの提供までは行われていな いことが多い。添付文書の読み方や構成につい ても別途解説や説明がされているとは限らない ことから,その基本構成については,規制当局 や企業団体のウェブサイト等で提供されている ものを参考とすることになると考えられる。

3.規制当局のOTC医薬品の情報提供サービス

 規制当局の OTC 医薬品の情報提供サービス について,独立行政法人医薬品医療機器総合機 構(PMDA)が行っている消費者向けの医薬 品情報提供サービスを検討する。

⑴サービス・エコシステム

 PMDA のウェブサイトを起点として,製薬 企業が提供する電子媒体での添付文書あるいは 説明書を発信している。製薬企業からの登録の 仕組みやアップロードとそのタイミングなどを 規定しており,それに基づいて製薬企業から提 供される情報を提供している。また,副作用発

現時の救済制度についても,その仕組みに関す る情報を提供している。ウェブサイトでは,一 般者向けとして直接消費者に向けた情報提供を 行っている。

⑵協働

 規制当局と企業の間では,医薬品の安全使用 と適正使用を目的とした情報提供のための仕組 みがつくられている。添付文書や外箱に記載さ れている内容の改定時における迅速な情報提供 の仕組みであり,これらの情報はウェブサイト への掲載についてもその流れが示されている。 消費者からの情報をフィードバックするシステ ムとして医薬品副作用に関するサイト7)がある が,まだ消費者との直接的な協働とは必ずしも いえない側面がある。消費者からは具体的には 見えないが,規制当局が評価した結果の情報と いう前提に立ち,消費者が情報サービスを利用 していると考えられる。また,OTC 医薬品の 医薬品情報に対する規制当局の関わりとして, 一般用医薬品の添付文書記載要領(添付文書作 成に際しての原則,記載項目及び記載順序,各 項目の記載要領の3点)を通知している。つまり, 規制当局は,情報提供サービスにおける仕組み づくりの規定部分を共創しているものと推察さ れる。

⑶価値提案

(14)

フケア行動から創造される価値についても情報 提供されていることが重要である。セルフメ ディケーションの推進に向けた施策として,医 療費の控除等が見直されており,消費者のセル フメディケーションへのインセンティブとなる ことが期待されている。これは,確定申告によっ て行われる仕組み8)となっており,消費者から の申告によることから,この医療費の控除に関 する消費者への情報提供が必要となる。また, これが消費者のセルフケア行動や医療サービス の利用とどのようにつながるのかまではさらに 検討が必要と考えられる。

⑷サービスデザイン

 消費者の PMDA のウェブサイトへのアクセ スのしやすさや,その認知度についてはまだ十 分ではないところがある。また,検索方法が限 定的であり,消費者の情報利用のニーズと合っ ているかなどさらに検討が必要と考えられる。 また,ウェブサイトのデザインは添付文書情報 の発信,副作用報告情報の発信などであり,評 価結果や規制当局からの注意喚起情報など,一 般者向けの情報は十分とは云えない。その他, 登録制でカスタマイズできる機能もあるが,消 費者の認知度やその使い勝手なども含めた検討 が求められる。

⑸リソース構成

 医薬品添付文書の情報や外箱に記載の情報な どがウェブサイト上で提供されているが,その 見つけやすさの点から,消費者は,製薬企業の ウェブサイトを利用するものと考えられ,あく まで補助的な役割となっていると考えられる。 製薬企業の情報提供サービスによるところが大

きい。セルフメディケーションは,あくまで自 己の責任においての治療であるが,一方で規制 当局からの根拠に基づいた情報提供サービスの あり方にも今後検討が必要であると考えられ る。

4. 医薬品情報提供サービスによる価値提案 から消費者の価値創造へ

 消費者のセルフケア行動に対する医薬品情報 提供サービスでは,モノと情報のサービスに留 まっており,消費者のセルフケア行動やセルフ ケア・サイクルにおける状況の変化に対する情 報提供サービスとはなっていない状況であるこ とがわかった。消費者の健康状況の変化やそれ に伴って変化すると考えられるセルフケア行動 に向けた医薬品情報提供サービスが必要である と考えられる。このような消費者の状況の変化 をふまえた情報提供の方法として,医療サービ スでは患者向けの自己管理ツールを提供する仕 組みがある。セルフケア・サイクルに医療サー ビスが必要となった時にこれらのツールは医療 サービスにのみ利用されている。そこで,この ツールの消費者の自己管理ツールとしての応用 可能性を検討する。

Ⅵ. 医薬品情報提供サービスにおける

価値提案

(15)

がある。また第二の例として,地域による包括 的なケアを行うための情報共有ツールである地 域連携クリティカルパスのうち,患者に提供さ れる患者用クリティカルパスがある。この2つ の自己管理ツールを用いた情報提供サービスを S-D ロジックの戦略思考である 5 つの観点から 見直し,患者による自己管理に向けた情報提供 サービスの特徴を把握する。

1. 自己管理に向けた医療用医薬品の 情報提供サービスの概要

 医療分野では,医薬品を使った治療中の情報 提供サービスにおいて,患者による自己管理の ツールとして,お薬手帳やクリティカルパスが 活用されており,薬物療法中に必要な情報や使 用経験情報などを管理できる仕組みがある。  お薬手帳の担う役割としては,患者自身が使 用する治療薬の薬識を高めること,服薬コンプ ライアンスの自己管理を行うことなどが挙げら れる。また,医療者にとっては,重複投与や相 互作用の早期発見など薬物療法におけるリスク 管理の情報共有ツールとしての役割を担ってい る。

 患者用のクリティカルパスは,治療計画の全 体像が把握できることが基本となっている。地 域連携クリティカルパスの場合は,さらに,患 者が自身の病態や服薬管理,薬物療法中に自己 管理すべきことなどを時系列に管理ができるよ うなデザインとなっている。しかし,患者用の クリティカルパスは紙媒体での提供が主流であ ることから,投薬される医薬品の詳細な情報な どは,お薬手帳との併用となる場合が多くみら れる。

2. お薬手帳による情報提供サービスと 自己管理の特徴

⑴サービス・エコシステム

 お薬手帳による情報提供サービスは,医師の 処方内容を薬剤師がお薬手帳に記載し,患者に 提供するというプロセスをとる。医師による服 用方法などの指示の他に,治療目的や薬剤使用 の意義などが,薬剤師を介してわかりやすく患 者に説明される仕組みである。処方された医薬 品の効能効果などの基本情報をはじめとする治 療に関する情報をわかりやすく加工して発信す る情報提供サービスのひとつであり,薬剤師が 発信している情報ともいえる。薬剤師が加工し ている情報は,医薬品の添付文書に記載されて いる内容であることから,この情報提供サービ スは,製薬企業の情報提供サービスに専門家が 補完的な役割を果たしているといえる。一方で, お薬手帳の情報提供サービスにおいて,患者か らのフィードバックは薬剤師が聴取するような 仕組みとなっている。薬剤師が聴取した際の情 報は薬剤師側で記録として管理する仕組みと なっていて,患者が自発的に記録しない限り, 使用経験情報についての自己管理ツールとは なっていない可能性がある。

⑵協働

(16)

患者から収集した情報を薬剤師が管理すること によって,患者や医師とともに適正使用に向け た情報の共有を行っている。しかし,このお薬 手帳による情報提供サービスにおける協働の実 態として,処方を履歴することが中心となって いる傾向がみられることから,その活用の意義 についてアクター間で見直す必要があると考え られる。

⑶価値提案

 このサービスによって,医療サービスの過程 における薬歴の共有,重複投与の回避などを, 情報共有できることが価値として提案されてい る。どのような医薬品を使ってきたのか,治療 薬の履歴を患者自身が管理できることは,自身 の薬物療法に対する薬識の向上につながるもの と期待される。しかし,患者の使用経験情報ま でを管理できるような形式になっているとは限 らず,患者自身の自己評価情報からの価値の創 出に至っていない。

⑷サービスデザイン

 現在のお薬手帳による情報提供サービスのデ ザインは,情報提供資源としては,紙媒体が主 流であり,その構成は,処方単位,時系列,診 療科別等である。内容としては,使用薬剤,用 法用量,処方日数等である。患者の使用経験情 報の記入欄は,自由記載の形式をとっているこ とが多く,その管理方法は患者に委ねられてい る。使用経験情報のフィードバックができるよ うな情報提供サービスデザインが必要と考えら れる。

⑸リソース構成

 情報提供資源は,その管理媒体として,携帯 しやすいサイズの手帳形式や財布に入るような カードサイズの紙媒体などをはじめ,スマート フォンなどで管理できるアプリケーションソフ トのような電子媒体がある。紙媒体の特徴とし ては,患者自身が自己管理する視点というより は,医療者の情報共有の視点で構成されている。 電子媒体では,健康情報や OTC 医薬品の使用 歴なども管理できるようになっているものもあ り,拡張性が期待されている。しかし,この電 子お薬手帳の運用の実態としては,対応できる 薬局やドラッグストアがまだ十分ではないこと から,紙媒体での情報を患者自身が入力し直す ことが必要である。

3. 患者用地域連携クリティカルパス(患者用 パス)による情報提供サービス

 本稿では,患者用パスの中から,がんの地域 連携パス9)で活用されている患者用パスの事例 を検討する。がんの地域連携パスは,医療者側 だけでなく,地域連携医療における患者の役割 も明確になっており,自己管理すべきことが示 されている。がんの地域連携パスは,治療病院 をはじめ,かかりつけ医やかかりつけ薬局だけ でなく,治療の中心である患者自身が治療につ いて熟知していることが求められており,患者 を中心とした医療サービスの連携と協働による 新たな治療システムとして提供されている。

⑴サービス・エコシステム

(17)

療病院,かかりつけ医,かかりつけ薬局などと 情報共有することを目的としている。患者は, 薬物療法の経験情報などを自己管理するだけで なく,薬物療法中に経験した使用経験情報を フィードバックし,治療計画の各段階における バリアンス評価10)につながるような動きが必 要である。

⑵協働

 同一の専門資格でありながら,その機能と役 割がちがう専門家による協働によって成り立つ 仕組みとなっている。専門家の機能と役割が明 確に分化されていることが特徴であるが,それ らが共同で医療サービスを提供している。適正 使用のための情報共有であり,相互に評価する ための患者の自己管理ツールでることから,同 じ認識をもつための情報の共有が重要となる。 それは患者自身にも認識されていることが最も 重要で,患者からの情報提供や評価も鍵のひと つである。

⑶価値提案

 医療の専門家の多角的評価,患者本人と多職 種の情報共有が目的であることから,わかりや すい表現やことばを用いることで,患者の自己 管理やパスの活用を促す仕組みをとっている。 患者用連携パスを患者が持つことの目的は,患 者の病態や治療方針などの情報を治療担当病 院,かかりつけの医療機関,患者の間で共有し, 均質でシームレスな医療が提供されることであ る。つまり,薬物療法を行う上で必要な医薬品 情報が治療担当病院,かかりつけの医療機関, 患者の間で共有され,共通の理解を得ているこ とである。

⑷サービスデザイン

 連携パスによる医療サービスの過程において 医療者が直接患者と情報共有できるが,構成等 は連携パスの特徴によってさまざまである。治 療の全体が一目でわかるような,一覧表形式の ものから,診療日・治療日単位のスケジュール 帳のようなものまでさまざまであり,がん種や 治療方法の特徴などによってもその情報管理デ ザインはさまざまである。また,紙媒体である ため,都道府県を越えたシームレスな情報連携 には課題がある。そのため,連携を目的とした 患者自身の参加が鍵であると考えられ,自己管 理しやすい情報管理デザインの提供が必要であ る。

⑸リソース構成

 患者用パスは,紙媒体での提供が主体であり, 各地域の連携パスの特徴によってさまざまな提 供形式をとっている。患者用の診療計画書とお 薬手帳または治療薬説明書を組み合わせた構成 となっている。また,診療スケジュールと自身 が書き込める構成などもある。紙媒体での提供 であることから,お薬手帳にある処方歴との関 係や連携などは医療者が補助的な役割を果たす 仕組みとなっている。

Ⅶ. 考察

(18)

1. 健康管理のエコシステム上の各アクターが もつ資源と役割の明確化

 消費者のセルフケア行動とそれに対する医薬 品情報提供サービスのエコシステムを描くこと によって,情報提供サービスの全体像が可視化 され,またそこにかかわる機能や役割が明確に なった。また,消費者が情報提供サービスの受 け手だけではなく,送り手であること,自身の 経験情報から新たな価値を創造する役割の担い 手であることが示唆された。よって消費者は, 自身の経験情報をどのように管理し,そのため にどのような医薬品情報をどのタイミングで活 用するかといったことも含めた情報の管理が必 要である。セルフケア行動における価値設計図 によって,消費者がおかれている健康状況に応 じたエコシステムを示すことができた。健康の 背景に応じて各アクターがどのようなタイミン グで情報提供するかといった機会を体系的にと らえることができる。この設計図は各アクター がそれぞれ想定することが可能であり,それら をマッチングさせる仕組みが必要である。ここ に「かかりつけ」という役割が援用できると考 えられる。消費者は,自身の健康状況や環境の 移り変わりを想定したエコシステムをイメージ しておくことが必要である。

2. 医薬品の使用経験情報の活用に向けた アクター間の協働の見直し

 消費者の医薬品使用経験情報が現在の医薬品 情報提供サービスでは十分に活用されていると はいえず,その背景として,使用経験情報の管 理や評価方法が消費者にとってわかりにくいも のとなっている可能性がある。消費者が自身の 使用経験情報が,自身の健康を維持するセルフ

ケア・サイクルや同様の文脈にある他のアク ターにとって,どのような価値を提案できるか, 具体的な使用目的を示すこが必要と考えられ る。その目的に向けた評価指標などが,わかり やすく示されることで,同じ文脈を共有するア クター間での協働につながるものと期待され る。また,セルフケア行動に対する医薬品情報 提供サービスにおける協働の特徴として,アク ター間で見える協働と,含まれていて顕在化し ていないことからアクター間に見えない協働が 存在することが示唆された。提供される情報資 源などがその例として挙げられる。既に専門家 の評価の視点が入っており,消費者の健康管理 に管理ツールを通して協働しているといえる。 アクター間の資源交換という点からは,消費者 からの協働として,満足度調査などが既存研究 等でいわれているが,消費者のセルフケア行動 において利用可能であるクリティカルパスや医 薬品添付文書などに消費者の使用経験情報が反 映される仕組みも有用ではないかと考えられ, これらの活用についてさらに検討する必要があ ると考えられる。

3. 健康価値の評価に向けた情報提供サービス システムの構築

(19)

のように,価値提案と価値創造の役割が明確に なることで,価値の循環につながるエコシステ ムの見直しになると考えられる。現在の情報提 供サービスでは,モノの安全使用に対する情報 提供が主体であるが,消費者が健康管理をする うえで必要な消費者の行動をふまえた情報提供 サービスによって新たな価値提案につながるも のと期待される。また,消費者のセルフケア行 動に対する健康管理情報提供サービスでは,提 供する情報の精査が必要である。誰がどの段階 でどのような情報を評価し,消費者にフィード バックするかについては,現在明確にはなって いないことから今後さらに検討する必要があ る。

4. 自己管理の内容とその評価のための 情報提供サービスの再設計

 消費者が自己管理する内容とそれを消費者自 身が評価するための指標がわかりやすく提供さ れることが必要である。医薬品の基本情報をど のようにいつ使うことによって,何を評価でき るのか,また消費者の健康管理に有用であるか がわかるような情報提供デザインになっている ことが必要である。現在のデザインはモノの機 能や役割,特徴が主体であり,それをどのよう に消費者の自己管理に結びつくのかがわかりに くくなっている。そのため,消費者が自己管理 していく際の評価の仕方や,自己評価の結果か らセルフケア行動の見直し,およびその修正に 向かいやすいような情報構成が重要な鍵となる ものと考えられ,これらの一連のデザイン構成 に工夫が必要である。

5. セルフケア行動で履歴する内容の見直しと 管理資源の再構成

 消費者がセルフメディケーションにおいて, その使用経験情報を履歴する際に,その内容に ついて,効果の評価に関わる項目,実際に使っ た量と期間を記載しておくことが,セルフケア 活動だけでなく,医療サービスを利用する際な ど,消費者の健康活動におけるシームレスな情 報連携には必要である。実際の使用にあたって の記録は患者しか知り得ない情報であり,この 情報は臨床評価の際に重要な情報となるからで ある。この情報が必要であることは消費者も医 療者も既にわかっていることであるが,情報提 供サービスのひとつとしてその管理方法や管理 資源について十分ではないことが本研究でも明 らかとなった。情報管理のための資源構成につ いてもデザインが必要であり,その項目として は,どのようなサービスとの連携があるかを想 定した医薬品の特徴すなわち対象となる症状に 応じたデザインについても必要であると考えら れる。

Ⅷ. 結論

(20)

略のツールとして,お薬手帳とクリティカルパ スの活用が考えられる。セルフケアと医療を別 にとらえるのではなく,消費者のおかれた健康 環境の移り変わりをとらえる管理資源としての 新たな役割が期待される。

Ⅸ. まとめ

 本研究では,S-Dロジックの戦略思考の視点 から,セルフケア・サイクルの好循環に向けた 医薬品情報提供サービスを見直し,情報提供に おける5つのサービス戦略を理論的に導き出し た。S-D ロジックの理論枠組みによって,セル フケア行動と医療サービスのそれぞれの文脈 を,シームレスな情報連携の文脈としてとらえ なおし,消費者のセルフケア・サイクルという 視点から体系的に評価することができたと考え られる。また,このサービスにおいて情報の提 供者,利用者をアクターととらえたことにより, セルフメディケーションや医療サービスでの各 アクターの関係性は相互補完的な関係にあり

(図5),その関係性を機能させることこそが鍵と なることを示した。また,本研究では,医療サー ビスで既に活用されている自己管理ツールの役 割について見直しており,既存のツールの応用 可能性についても検討した。一方,今回,消費 者のセルフケア行動の特徴や背景までは考慮で きていない。今後の展開としては,消費者のセ ルフケア行動と活用している自己管理ツールに ついて現状分析を行い,消費者の健康背景の遷 移過程における情報ニーズの変化と必要な情報 提供サービスを明らかにしたいと考えている。

1) WHO では,セルフメディケーションは,セルフケ アの一分野としており,その定義を,「自分自身の 健康に責任を持ち,軽度な身体の不調は自分で手当 てすること」としている。また,その際に使用する 医薬品に必要な情報として,飲み方,効能・効果及 び可能性のある副作用,医薬品の効果をモニターす る方法,他の医薬品や食品との相互作用,禁忌及び 使用上の注意,服用間隔,専門家にアドバイスを求 めるべき時,を挙げている。

2) OTC 医薬品とは,薬局やドラッグストアなどで購 入できる医薬品(一般用医薬品と要指導医薬品)の こと。なお,OTC とは,米語「Over The Counter」

図 —— 5 S-Dロジックのアプローチからみた医薬品情報提供サービスのイメージ

・お薬手帳 ・患者用クリティカルパス

消費者

(アクター)

薬剤師

(アクター)

規制当局

(アクター)

製薬企業

(アクター)

医薬品 情報提供 サービス

価値星座

セルフメディケーション 医療サービス

交換

医 師

(アクター)

価値共創 価値創造 価値提案

(21)

の頭文字による。

3) WHO は,「セルフケア及びセルフメディケーション における薬剤師の役割」として,情報提供者,質の 高い医薬品の提供者,指導者,ヘルスプロモーター を挙げている。

4) お薬手帳は,「患者自身が自分の服用している医薬 品について把握するとともに正しく理解し,服用し た時に気付いた副作用や薬の効果等の体の変化や服 用したかどうか等を記録することで薬に対する意識 を高めること」,「複数の医療機関を受診する際及び 薬局にて調剤を行う際には,それぞれの医療機関の 医師及び薬局の薬剤師に見せることで,相互作用や 重複投与を防ぐことにより,医薬品のより安全で有 効な薬物療法につなげること」が,その意義として 挙げられている。(出所:平成 27 年厚生労働省委託 事業『電子版お薬手帳の適切な推進に向けた調査検 討事業報告書』(2015 年 11 月)p.3)。

5) クリティカルパスとは,良質な医療を効率的,かつ 安全,適正に提供するための手段として開発された 診療計画表のことで,医療者用と患者用がある。診 療の標準化,根拠に基づく医療の実施(EBM),イ ンフォームドコンセントの充実,業務の改善,チー ム医療の向上などが期待されている。地域連携クリ ティカルパスとは,診療にあたる複数の医療機関が, 役割分担を含め,予め診療内容を患者に提示・説明 することにより,患者が安心して医療を受けること ができるようにするもの。内容としては,施設ごと の診療内容と治療経過,最終ゴール等を診療計画と して明示。これにより,医療連携体制に基づく地域 完結型医療を具体的に実現できると考えられている。 (参考:http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/

s1031-5e.pdf)

6) Porter & Teisberg (2006)は『医療戦略の本質』の なかで,「医療における価値は,モニタリングや予 防から,治療や継続的な疾病管理に至るまでのケア・ サイクル全体を通して,その患者固有の病態に対処 する中で決まる。」と論じている。また,「医療の価 値はケア・サイクル全体を通してのみ評価できるの であり,個別の処置,医療サービス,通院あるいは 検査によって評価させるのではない。」としている。 7) PMDA では,オンラインで医薬品による副作用報

告ができるようになっており,現在事業の一環とし て,試行的に患者からの副作用情報を収集している。 この事業は,医薬品の安全対策を進めることが目的 であり,この試行期間を経て報告システムの見直し を行ったのち,正式な受付を開始することとなって いる。(参考:以下 PMDA ウェブサイト https:// www.pmda.go.jp/safety/reports/patients/0004.

html)

8) 現行の医療費控除制度では,自己負担額が 10 万円 を超えた場合,医療費が控除される仕組みとなって いる。しかし,OTC 医薬品(要指導医薬品及び一 般用医薬品)を用いてセルフメディケーションに取 り組んでも,自己負担額の程度によっては医療費控 除の対象とならない場合がある。そこで,厚生労働 省では,主な税制改正の要望(2015 年 8 月)として, セルフメディケーション推進のための一般用医薬品 等に関する所得税控除制度の創設を掲げている。 9) がん地域連携クリティカルパスとは,がん診療拠点

病院と地域の医療機関等によって作成される,がん 治療に対する地域連携クリティカルパスのこと。そ の構成は,役割分担表,地域連携診療計画表および 患者用診療計画表からなっている。

10) クリティカルパスのバリアンス評価とは,クリティ カルパスで示されている標準からはずれたもの,揺 らぎを与えるもの,アウトカムに変化を及ぼしたも の,パスを継続できなくなったもの(経過が良好の 場合と悪化の場合とがある)などを,評価指標に基 づき評価すること。

参考文献

Adner, R. (2006), “Match Your Innovation Strategy to Your Innovation Ecosystem,”Harvard Business

Review, 84 (4), pp.98-107, (山本冬彦訳,「イノベー

ション・エコシステム」『DAIAMONDハーバード・ ビジネス・レビュー』第31巻,第8号,2006年, pp.73-85)。

Adner, R. (2012), The Wide Lens: A New Strategy for

Innovation, Portfolio/Penguin. (清水勝彦監訳『ワ

イドレンズ―イノベーションを成功に導くエコシ ステム戦略―』東洋経済新聞社, 2013年)。 Joiner, K. A. and R. F. Lusch (2016), “Evolving to a New

S e r v i c e - D o m i n a n t L o g i c f o r H e a l t h C a r e ,” Innovation and Entrepreneurship in Health, vol.3, pp.25-33.

Kotler, P., T. Hayes and P. N. Bloom (2002), Marketing Professional Services, Second Edition, Lear ning Network Direct. (白井義男監修,平林祥訳『コトラー のプロフェッショナル・サービス・マーケティング』 ピアソン・エデュケーション, 2002年)。

Lusch, R.F. and S.L. Vargo (2014), Service-Dominant Logic: Premises, Perspectives, Possibilities, Cambridge University Press.

(22)

Customer Value Cocreation Practice Styles,” Journal of Service Research 15 (4), pp.370-389.

Por ter, M. E. and E. O. Teisberg (2006), Redefining Health Care: Creating Value-Based Competition on

Results, Harvard Business School Press. (山本雄士

訳『医療戦略の本質 ―価値を向上させる競争―』 日経BP社,2009年)。

Prahalad, C. K. and V. Ramaswamy (2004), The Future of C o m p e t i t i o n : C o - C r e a t i n g U n i q u e Va l u e w i t h

Customers, Harvard Business School Press. (有賀裕

子訳『コ・イノベーション経営 ―価値共創の未来 に向けて―』東洋経済新聞社,2013年)。

Ramaswamy, V. and F. J. Gouillart (2010), “Building the Co-Creative Enterprise,”Harvard Business Review, 88 (10)pp.100-109, (DIAMONDハーバード・ビジ ネス・レビュー編集部訳「人間中心の共創型事業 をつくる」『DAIAMONDハーバード・ビジネス・ レビュー』第36巻,第8号,2011年,pp.110-124)。 Soller, R. W. and S. Mann (2014), “A Systems Cycle of

Self-Care: Adaption of Institute of Medicine (IOM) Principles for Creating a Systems Approach to Healthcare,” Self Care, 5 (3)pp.47-57.

World Health Organization (1998), The Role of the Pharmacist in Self-Care and Self-medication. http:// apps.who.int/medicinedocs/pdf/whozip32e/ whozip32e.pdf

井出和希,幾見泰洋,木内亜弥,曽根順子,小島真, 山田浩(2015)「お薬手帳の再持参率を指標とした 手 帳 活 用 度 の 調 査 」『 医 薬 品 情 報 学 』16(4) pp.201-205。

伊藤宗彦,髙室裕史(2010)『1からのサービス経営』 硯学舎・中央経済社。

井上崇通,村松潤一(2010)『サービス・ドミナント・ ロジック―マーケティング研究への新たな視座―』 同文舘出版。

大 塚 邦 子, 安 原 一, 鎌 江 伊 三 夫, 大 塚 誠, 斉 藤 洋, James A. Jorgenson (2004)「一般用医薬品点鼻薬の 適正使用に対する外箱情報提供とリスクマネジメ ン ト に 関 す る 日 米 比 較 」『 医 療 薬 学 』30(7) pp.483-491。

河瀬絢子,崔 庭瑞,小山慎一,泉澤恵,日比野治雄 (2012)「日米消費者行動の比較によるOTC医薬品 パッケージデザインの評価」『デザイン学研究』。 経済産業省(2015)『セルフメディケーション推進に向

けたドラッグストアのあり方に関する研究会 報告 書』http://www.meti.go.jp/press/2014/03/2015031 3004/20150313004a.pdf

厚生労働省(2001)『医薬品情報提供のあり方に関する

懇談会最終報告(平成13年9月27日)』

厚生労働省(2002)『中間報告書セルフメディケーショ ンにおける一般用医薬品のあり方について~求め られ,信頼され,安心して使用できる一般用医薬 品であるために~(平成14年11月8日)』 近藤隆雄(2012)『サービス・イノベーションの理論と

方法』生産性出版。

舘知也,田中和秀,浅野祥子,横井貴文,臼井一将, 加藤未紗,野口義紘,大澤友裕,市橋厚司,安田 昌宏,水井貴詞,後藤千寿,寺町ひとみ(2014)「OTC 薬・健康食品等購入時におけるお薬手帳利用を目 指した退院時患者教育の効果―ランダム化比較試 験―」『医療薬学』40(11)pp.632-642。

内閣府(2015)『経済財政運営と改革の基本方針2015 について』http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/ kaigi/cabinet/2015/2015_basicpolicies_ja.pdf 野呂瀬崇彦,木村雄太,野津諭志,櫻井秀彦(2014)「薬

局薬剤師と患者を対象としたお薬手帳の認識と活 用実態に関するアンケート」『社会薬学』33(1) pp.15-20。

真野俊樹(2005)『健康マーケティング』日本評論社。 南千惠子,西岡健一(2014)『サービス・イノベーショ

ン―価値共創と新技術導入』有斐閣。

上西 智子(かみにし ともこ)  東北大学大学院経済学研究科博士研究員

参照

関連したドキュメント

①正式の執行権限を消費者に付与することの適切性

② 

先行事例として、ニューヨークとパリでは既に Loop

2 保健及び医療分野においては、ろう 者は保健及び医療に関する情報及び自己

『消費者契約における不当条項の実態分析』別冊NBL54号(商事法務研究会,2004

を占めており、給湯におけるエネルギー消費の抑制が家庭

その2年目にはその数798件におよんだ。 その 届出相談, および行政にたし、する大衆からの