『同和問題に関する直接的指導のタイプ』 明治小学校 第6学年社会科学習指導案 1 単元名 世界に歩み出した日本 2 単元観 本単 元は ,学 習指 導 要領の 第 6学 年の 目標 (1)・( 3) 及び 内容 (1 )の クに基 づいて 設定した。 (目標) (1) 国家・社会の発展に大きな働きをした先人の業績や優れた文化遺産について興味・関 心と理解を深めるようにするとともに,我が国の歴史や伝統を大切にし,国を愛する心 情を育てるようにする。 (3) 社会的事象を具体的に調査するとともに,地図や地球儀,年表などの各種の基本的資 料を効果的に活用し,社会的事象の意味をより広い視野から考える力,調べたことや考 えたことを表現する力を育てるようにする。 (内容) (1) 我が国の歴史上の主な事象について,人物の働きや代表的な文化遺産を中心に遺跡や 文化財,資料などを活用して調べ,歴史を学ぶ意味を考えるようにするとともに,自分 たちの生活の歴史的背景,我が国の歴史や先人の働きについて理解と関心を深めるよう にする。 ク 大 日 本 帝 国 憲 法 の 発 布 , 日 清 ・ 日 露 の戦 争 , 条約 改 正 ,科 学 の 発展 な ど につ い て 調 べ,我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことが分かること。 本 小 単 元 で は , 明 治中 ・ 後 期 から 大 正 にお け る, 大 日 本 帝国 憲 法発 布 , 日 清・ 日 露 戦 争 , 条 約 改 正 , 科 学 の発 展 な ど の歴 史 的 事象 を 取り 上 げ , これ ら を具 体 的 に 調べ る こ と を 通 し て , 我 が 国 の 国力 が 充 実 し国 際 的 地位 が 向上 し た こ とが わ かる よ う に する こ と を ねらいとしている。 大 政 奉 還 後 , 日 本 は大 日 本 帝 国憲 法 の 発布 や 帝国 議 会 の 開設 , 日清 ・ 日 露 戦争 の 勝 利 に よ っ て 国 力 も 充 実 し, 対 外 的 にも 条 約 改正 を 果た す な ど ,国 際 的地 位 も 向 上し て い っ た 。 そ の 一 方 で , 国 内で は 女 子 労働 問 題 に代 表 され る 経 済 ・人 権 問題 , 国 際 的に は 武 力 による中国の侵略や朝鮮半島の支配,それに伴う民族差別等の問題も生じてきた。 また,本単元では,特に,解放令後も差別され続ける人々が,自らの手で立ち上がり, 「 全 国 水 平 社 」 を 結 成し , 差 別 解消 に 向 け運 動 した こ と や その 運 動が 全 国 へ と拡 大 す る き っ か け と な る 事 件 を取 り 上 げ ,人 権 へ の意 識 が徐 々 に 芽 生え て きた こ と を 学習 す る 。 3 単元の目標と評価規準 (1)単元の目標 日本が様々な分野で世界へ進出していったことやそれに関わる人々の働きに関心をもち, 大 日 本 帝 国 憲 法 の 発 布 ,日 清 ・ 日 露戦 争 , 条約 改 正, 科 学 の 発展 な どに つ い て 調べ , 条 約 改 正 を 求 め る 国 民 の 願 いや 日 清 ・ 日露 戦 争 の背 景 やそ の 影 響 を考 え ,我 が 国 の 国力 が 充 実して国際的地位が向上し,社会が変化していったことが分かる。 (2)評価規準 ・ 日 本 が 様 々 な 分 野 で世 界 へ 進 出し て い った こ とや そ れ に 関わ る 人々 の 働 き に関 心 を も ち,意欲的に調べ,考えながら追究している。 (社会的事象への関心・意欲・態 度) ・ 条約改正を求める国民の願いや,日清・日露戦争の勝利で国際的地位が向上した反面, 中 国 の 侵 略 や 朝 鮮 半 島の 支 配 , それ に 伴 う民 族 差別 な ど の 問題 が 生じ た こ と に気 づ き , それに関連する意見をもつことができる。 ・ 全 国 水 平 社 運 動 に つい て 調 べ るこ と に より , 設立 の 目 的 や経 緯 を理 解 し , 差別 の 不 合理に対して立ち上がった人々の行動について考えることができる。 (社会的な思考・判断) ・ 大 日 本 帝 国 憲 法 の 発布 , 日 清 ・日 露 戦 争, 条 約改 正 , 科 学の 発 展な ど に つ いて , 年 表 や文章資料などの各種の基本的な資料を活用して調べることができる。 (観察・資料活用の技能・表現) ・ 我が国の国力が充実して国際的地位が向上し社会が変化していったことが分かる。 (社会的事象についての知識・理解) 4 本時の資料について 日 本 で 初 め て の 人 権 宣言 と 言 わ れる 水 平 社宣 言 は, 差 別 解 消の た めに 自 ら 立 ち上 が ら な け れ ば な ら な い と 訴 え た人 々 に よ り作 ら れ た。 そ して , そ の 思想 と 精神 を 引 き 継ぎ , 勇 気 を も っ て 闘 っ た 人 々 に よっ て 運 動 は広 が っ てい っ た。 そ こ で 児童 が 自分 自 身 で 問題 意 識 を を も ち , 主 体 的 に 学 習 する た め に ,以 下 の 3点 の 資料 を 用 い て歴 史 的事 象 を 取 り上 げ , そ れに関係した人々の思いに共感していくことこそが差別解消につながると考えた。 (1) 資料① 解放歌について 水平社運動が全国へ広がっていく中で,より団結するために歌われた解放歌(水平歌) がある。人々の思いが詰まった解放歌を授業の導入で扱い,関心を高めたい。
2 -(2) 資料② 水平社宣言文について 西光万吉によって起草された。部落差別をなくそうと全国にいる被差別部落民300万 人に熱意と誇りを訴えた宣言文である。ここでは,わかりやすく,なおかつ抜粋して小学 生にも理解しやすいようにした。 (3) 資料③ 別府的ヶ浜焼き打ち事件 全国水平社運動が大きくなった背景には,多くの差別事件や差別裁判があった。この別 府的ヶ浜焼き打ち事件は,全国水平社が結成された直後に起きた事件で,被差別部落の立 場にある人々の人権を無視した事件である。被差別部落の人々の怒りや苦しみに共感し, このような事件等が水平社運動の全国への広がりの原動力になっていたことを理解させた い。 5 人権教育との関連 明 治 時 代 か ら , 条 約 改正 に 向 け て国 際 的 地位 を 向上 さ せ よ うと し てい た 日 本 は, 日 清 ・ 日 露 戦 争 を 起 こ し , そ の中 で , 中 国や 朝 鮮 半島 に 住む 人 々 に 対す る 人権 侵 害 を して い る 。 国 内 で も 人 権 侵 害 に 対し て 民 主 主義 を 求 めよ う とす る 運 動 が展 開 され た 。 ま た, 江 戸 時 代の身分制度で,「農民や町民とは異なる身分」に置かれた人々は,解放令後も差別を受け 続 け て い た こ と を 理 解 させ , 差 別 を受 け 続 けた 人 々の 気 持 ち を考 え させ る こ と で, 差 別 の 不当性を感じ取らせたい。さらに,差別解消に向けて自らの手で立ち上がり,「全国水平社」 を 結 成 し た こ と や 水 平 社 運 動 が 全 国 へ 広 が り を 見 せ る き っ か けと な る 別府的ヶ 浜焼き 打 ち事件を取り上げ,事件について考えていくことは,差別解消のために自分はどう行動した らよいか考える力を育てる素地を養うものである。 こ の 内 容 は , 本 校 人 権 教 育 の 目 標で あ る 「よ く 考え , 正 し く行 動 をす る 子 」 の育 成 に つ な が る も の で あ り , こ れは 高 学 年 の目 標 「 相手 の 立場 や 考 え を尊 重 し, お 互 い に助 け 合 え る子」につながるものである。 6 指導計画(総時数 8時間 本時7/8) 評 価 時 主 な 学 習 活 動 関 思 技 知 1 ○ グラ フな どの 資料から ,明治時 代の産 業がど う変化し ていっ ○ たかに関心をもち,学習問題を作る。 2 ○ 不平 等条 約が 日本にど のような 影響を 与えた か,また ,条約 ○ 改正 にか かわ る陸奥宗 光の願い や働き を,資 料から読 みとっ てまとめる。 3 ○ 日清 ・日 露戦 争によっ て日本と 世界の 国々と の関係は どのよ ○ うに変わっていったのか考え,まとめる。 4 ○ 日本 が朝 鮮半 島を植民 地にして 勢力を のばし ,条約改 正を果 ○ たし たこ とで 欧米諸国 と対等な 地位を 築いた ことを理 解す る。 5 ○ 国際 社会 での 日本人の 活躍が国 力の充 実や国 際的な地 位向上 ○ につながったことを考え,まとめる。 6 ○ 産業 の発 展が 労働問題 ,公害問 題など 様々な 面で人々 の生活 ○ に変化をもたらしたことを理解する 7 ○ 水平 社運 動の おこりや 差別解消 のため 闘う人 たちの行 動につ ○ 本時 いて自分の考えをまとめる。 8 ○ 本小 単元 をふ り返り, 登場した 人物や 事件な ど,立場 を変え ○ ○ ながら話し合うことができる。 7 本時の指導 (1)題目 全国水平社運動 (2)ねらい 全 国 水 平 社 の 起 こ り や差 別 と 闘 った 人 た ちの 思 いを 共 感 的 に理 解 し, 不 当 な 差別 を 受 け 続 け た 人 々 が , 自 分 た ちの 力 で 立 ち上 が っ たこ と や, 差 別 解 消の た め進 ん で 行 動し た こ と について,自分の意見をまとめることができる。 (社会的な思考・判断) (3)人権教育の視点 解 放 令 以 降 も 不 当 に 差別 さ れ 続 けた 人 々 が, 自 らの 手 で 「 全国 水 平社 」 を 結 成し た り , 差 別 と 闘 っ た り し た こ とを 調 べ る こと を 通 して , 差別 の 不 合 理や 運 動に 携 わ っ た人 々 の 強 い意志を感じ取らせたい。 こ の こ と は , 本 校 人 権教 育 で 育 てた い 能 力・ 態 度高 学 年 の 感受 性 ②「 友 達 の 意見 や 立 場 を考え,その気持ちを考えようとする。」知性①「日常生活のいろいろな差別や偏見の原因
が分かる。」にかかわるものである。 (4)展開(別紙1) 8 参考文献 ・「水平社宣言・解放歌」 解放出版社 ・「全国水平社を支えた人びと」 解放出版社 ・「明るい展望のもてる指導の工夫」 県教委 ・「別府的ヶ浜焼き打ち事件」 部落解放同盟大分県連合会 ・長野県同和教育推進協議会「あけぼの」資料編増補版改訂版の改作 ・大正時代の下野新聞
4 -(別紙1) (4 ) 展開 ○学 校 課題と の 関連 ※ 人権 教育 上の配 慮 具体目標 学 習 活 動 教 師 の 支 援 資 料 ○ 本 時 の 学 習 課 1 解 放 歌 を 聴 い て , 感 想 を 述 べ ・ 解 放 歌 か ら 伝 わ っ て く る イ ・CD 題 を つ か む こ 合 い , 全 国 水 平 社 に つ い て 学 習 メ ー ジ を 発 表 さ せ , 本 時 の ・ P C とができる。 し て い く こ と を 理 解 す る 。 課題につなげる。 ・ 大 画 面 ・ こ の 歌 は , 差 別 さ れ 続 け た テレビ 人 に と っ て 欠 か す こ と の で き な い も の だ っ た と 伝 え , 学習への関心につなげる。 差別 され 続け た人々 の行動に ついて自 分の考 えをま とめよう 。 ○ 大 正 時 代 の 差 2 全 国 水 平 社 の 起 こ り や 水 平 社 ※ 解 放 令 以 降 も 差 別 が 続 い て ・ P C 別解消に向け, 宣 言 に つ い て 資 料 か ら 読 み と お り , 厳 し い 暮 ら し や 辛 い ・ 大 画 面 全 国 水 平 社 を る。 思 い を し て き た こ と を 押 さ テレビ 立 ち 上 げ た 人 (1)差別歴史の流れを復習する。 え , 自 ら 立 ち 上 が っ た 人 々 ・資料1 々 の 様 子 や 宣 (2)大正時代の差別の実態を知る。 の 行 動 を 予 想 さ せ る こ と に ・資料2 言 文 に 込 め ら ( 3 ) 差 別 さ れ 続 け た 人 々 が と っ た つなげる。 れ た 願 い に つ 行動を予想する。 ※ 自 分 た ち の 力 で 差 別 を な く い て 理 解 す る (4) 水 平 社 宣 言 か ら , 自 ら の 解 放 そ う と 立 ち 上 が っ た 人 々 の ことができる。 を 自 ら の 手 で 勝 ち 取 ろ う と し た 思 い や 力 強 さ を 感 じ 取 ら せ 熱意と願いを読みとる。 る。 ※ 人 間 平 等 を 訴 え た 日 本 で 初 め て の 人 権 宣 言 の 精 神 を 読 みとらせる。 ○ 水 平 社 運 動 が 3 別 府 的 ヶ 浜 焼 き 打 ち 事 件 を 知 ・ 別 府 的 ヶ 浜 焼 き 打 ち 事 件 の ・資料3 全 国 へ と 広 が る。 資 料 は 児 童 向 け に 簡 単 に し ・ ワ ー ク る き っ か け を (1)事件を読みとる。 たものを配付する。 シート つ く っ た 事 件 (2)事件についてペアで話し合う。 ※ 被 差 別 部 落 の 人 々 の 立 場 に に つ い て 友 達 (3)発表する。 なって事件を考えさせる。 と 話 し 合 い , ○ ペ ア の 話 し 合 い 活 動 は , 必 自 分 の 考 え を 要 に 応 じ て 友 達 の 意 見 を 取 深 め る こ と が り 入 れ る と と も に , 相 手 の できる。 考 え に 共 感 や 賞 賛 す る よ う にする。 ・ 水 平 社 の 設 立 後 も , す ぐ に は 差 別 が な く な っ た わ け で はないことに気付かせる。 ・ こ の よ う な 事 件 が , 水 平 社 運 動 の 全 国 へ の 拡 大 に つ な が っ て い く こ と を お さ え る。 ○ 全 国 水 平 社 を 4 本 時 の 学 習 に つ い て , 自 分 の ※ 差 別 を 受 け て き た 人 々 が , ・ ワ ー ク つ く っ た 人 々 考えをまとめることができる。 自 分 た ち の 力 で 差 別 解 消 を シ ー ト に つ い て 自 分 目 指 し た 行 動 に つ い て , 改 ・CD な り の 意 見 や めて考えさせる。 ・ P C 感 想 を も つ こ ※ で き る だ け 多 く の 児 童 に 発 ・ 大 画 面 とができる。 表させる。 テレビ ・ 解 放 歌 を 聴 か せ , 水 平 社 運 動 に 参 加 し た 人 々 の 思 い を 確認する。 評価の観点 全国水平社の起こりや差別解消に向けて,多くの人々が自ら立ち上がっ て行動したことに共感的に理解し,自分の意見をまとめることができる。 (社会的な思考・判断・表現) 学習活動4の活動の観察とワークシートから評価する。 評価の方法 十分満足な状況 おおむね満足できる状況 努力を要する児童への手だて 全国水平社の起こりや差別 全国水平社の起こりや差別解 別 府 的 ヶ 浜 焼 き 打 ち 事 件 を 解消に向けて,多くの人々が 消 に 向 け , 多 く の 人 々 が 自 ら 再 度 説 明 し , 差 別 を 解 消 す る 自ら立ち上がって行動したこ 立 ち 上 が っ て 行 動 し た こ と に た め に は , 多 く の 人 々 の 協 力 とに共感や賛同的な考えをも 共 感 や 賛 同 的 な 考 え を 表 現 し が 必 要 で あ っ た と 助 言 し た 上 つとともに,自身も差別解消 ている。 で,感じたことを表現させる。 を望む意見を表現することが できる。
6年社会科