製造販売承認申請書添付資料
第2部(モジュール2) CTDの概要(サマリー)
2.6. 非臨床試験の概要文および概要表
2.6.6. 毒性試験の概要文
2.6.7. 毒性試験概要表
グラクソ・スミスクライン株式会社
非臨床概要 毒性試験の目次
項目
- 頁
2.6.6. 毒性試験の概要文...
~xr1i
2.6.6.1. まとめ...
~xr2i
2.6.6.2. 単回投与毒性試験...
~xr3i
2.6.6.2.1. マウス...
~xr4i
2.6.6.2.2. ラット...
~xr5i
2.6.6.2.3. イヌ ...
~xr6i
2.6.6.3. 反復投与毒性試験...
~xr7i
2.6.6.3.1. ラット13週間反復投与毒性試験 ...
~xr8i
2.6.6.3.2. ラット13週間反復投与比較毒性試験(1)...
~xr9i
2.6.6.3.3. ラット13週間反復投与比較毒性試験(2)...
2.6.6.3.4. イヌ13週間反復投与毒性試験...
2.6.6.3.5. イヌ13週間反復投与比較毒性試験 ...
2.6.6.4. 遺伝毒性試験...
~xr13i
2.6.6.4.1. 細菌を用いる復帰突然変異試験 ...
~xr14i
2.6.6.4.2. マウスリンフォーマTK試験...
~xr15i
2.6.6.4.3. ヒト培養リンパ球を用いる染色体異常試験 ...
~xr16i
2.6.6.4.4. マウス骨髄小核試験...
~xr17i
2.6.6.5. がん原性試験...
~xr18i
2.6.6.6. 生殖発生毒性試験...
~xr19i
2.6.6.6.1. 胚・胎児発生に関する試験...
~xr20i
2.6.6.6.1.1. ラット ...
~xr21i
2.6.6.6.1.2. ウサギ ...
~xr22i
2.6.6.7. 局所刺激性...
~xr23i
2.6.6.8. その他の毒性試験...
~xr24i
2.6.6.8.1. 免疫毒性試験...
~xr25i
2.6.6.8.1.1. リンパ球サブセット検査 ...
~xr26i
2.6.6.8.2. 不純物の毒性試験 ...
~xr27i
2.6.6.9. 考察及び結論...
~xr28i
2.6.6.10. 図表...
~xr29i
2.6.6.11. 参考文献 ...
~xr30i
2.6.6 - p. 1
2.6.6 - p. 1
2.6.6 - p. 4
2.6.6 - p. 4
2.6.6 - p. 4
2.6.6 - p. 5
2.6.6 - p. 5
2.6.6 - p. 6
2.6.6 - p. 7
2.6.6 - p. 7
2.6.6 - p. 8
2.6.6 - p. 8
2.6.6 - p. 10
2.6.6 - p. 10
2.6.6 - p. 10
2.6.6 - p. 11
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2.6.6 - p. 12
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2.6.6 - p. 13
2.6.6 - p. 13
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2.6.6 - p. 14
2.6.6 - p. 14
2.6.6 - p. 14
2.6.6 - p. 14
2.6.6 - p. 15
2.6.6 - p. 17
2.6.6 - p. 20
2.6.6 - p. 20
2.6.7. 毒性試験概要表...
~xr31i
2.6.7.1. 毒性試験:一覧表...
~xr32i
2.6.7.2. トキシコキネティクス:トキシコキネティクス試験一覧...
~xr33i
2.6.7.3. トキシコキネティクス:トキシコキネティクデータ一覧...
~xr34i
2.6.7.4. 毒性試験:被験物質(バッチごと)一覧 ...
~xr35i
2.6.7.5. 単回投与毒性試験...
~xr36i
2.6.7.6. 反復投与毒性試験:重要な試験以外の試験...
~xr37i
2.6.7.7. 反復投与毒性...
~xr38i
2.6.7.7.1. ラット13週間反復投与毒性試験 ...
~xr39i
2.6.7.7.2. ラット13週間反復投与比較毒性試験(1)...
~xr40i
2.6.7.7.3. ラット13週間反復投与比較毒性試験(2)...
~xr41i
2.6.7.7.4. イヌ13週間反復投与毒性試験...
~xr42i
2.6.7.7.5. イヌ13週間反復投与比較毒性試験 ...
~xr43i
2.6.7.8. I n vitro遺伝毒性試験...
~xr44i
2.6.7.8.1. 細菌を用いる復帰突然変異試験 ...
~xr45i
2.6.7.8.2. マウスリンフォーマTK試験...
~xr46i
2.6.7.8.3. ヒト培養リンパ球を用いる染色体異常試験 ...
~xr47i
2.6.7.9. I n vivo遺伝毒性試験 ...
~xr48i
2.6.7.9.1. マウス骨髄小核試験...
~xr49i
2.6.7.10. がん原性試験...
~xr50i
2.6.7.11. 生殖発生毒性試験:重要な試験以外の試験...
~xr51i
2.6.7.12. 生殖発生毒性試験:受胎能、初期胚発生および
胚・胎児発生に関する試験
...
~xr52i
2.6.7.13. 生殖発生毒性試験:胚・胎児発生に関する試験 ...
~xr53i
2.6.7.13.1. ラット胚・胎児発生に関する試験...
~xr54i
2.6.7.13.2. ウサギ胚・胎児発生に関する試験...
~xr55i
2.6.7.14. 生殖発生毒性試験:出生前および出生後の発生ならびに
母体の機能に関する試験
...
~xr56i
2.6.7.15. 新生児を用いた試験...
~xr57i
2.6.7.16. 局所刺激性試験 ...
~xr58i
2.6.7.17. その他毒性試験 ...
~xr59i
2.6.7.17.1. 免疫毒性試験...
~xr60i
2.6.7.17.2. 不純物の毒性試験(細菌を用いる復帰突然変異試験)...
~xr61i
2.6.7 - p. 1
2.6.7 - p. 2
2.6.7 - p. 3
2.6.7 - p. 4
2.6.7 - p. 5
2.6.7 - p. 6
2.6.7 - p. 7
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2.6.7 - p. 11
2.6.7 - p. 12
2.6.7 - p. 14
2.6.7 - p. 16
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2.6.7 - p. 18
2.6.7 - p. 21
2.6.7 - p. 23
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2.6.7 - p. 24
2.6.7 - p. 24
2.6.7 - p. 24
2.6.7 - p. 25
2.6.7 - p. 25
2.6.7 - p. 27
2.6.7 - p. 29
2.6.7 - p. 29
2.6.7 - p. 29
2.6.7 - p. 29
2.6.7 - p. 29
2.6.7 - p. 30
2.6.6 および 2.6.7 の略語等一覧
セチリジン セチリジン塩酸塩 レボセチリジン レボセチリジン塩酸塩 ALT アラニンアミノトランスフェラーゼ AST アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ AUC 血漿中濃度-時間曲線下面積 AUC0-t t 時間までの血漿中濃度-時間曲線下面積 Cmax 最高血漿中濃度 Hb ヘモグロビン Ht ヘマトクリット LD50 50%致死量 NOAEL 無毒性量NZW ウサギ New Zealand White ウサギ SD ラット Sprague Dawley ラット
2.6.6.
毒性試験の概要文
2.6.6.1.
まとめ
レボセチリジンについて、マウス、ラットおよびイヌを用いた単回投与毒性試験、ラット
およびイヌを用いた 13 週間反復投与毒性試験、in vitro/in vivo 遺伝毒性試験ならびに不純物
の毒性評価を実施した。また、レボセチリジンとラセミ体であるセチリジンの毒性プロファ
イルをラットおよびイヌの 13 週間反復投与比較毒性試験、ラットおよびウサギの胚・胎児発
生に関する試験ならびに免疫毒性試験により比較した。実施した毒性試験の一覧を表 2.6.6-1
および 2.6.7.1 に示した。
表 2.6.6-1 毒性試験一覧表
試験項目/期間 投与経路 動物種/系統 被験物質 単回投与毒性試験 経口 NMRI マウス レボセチリジン 経口 SD ラット レボセチリジン 経口 ビーグル犬 レボセチリジン 反復投与毒性試験 13 週間 経口 SD ラット レボセチリジン 13 週間 経口 SD ラット レボセチリジン、セチリジン 13 週間 経口 ビーグル犬 レボセチリジン 13 週間 経口 ビーグル犬 レボセチリジン、セチリジン 遺伝毒性試験 復帰突然変異試験 in vitro ネズミチフス菌、大腸菌 レボセチリジン マウスリンフォーマ TK 試験 in vitro マウスリンパ腫細胞 レボセチリジン 染色体異常試験 in vitro ヒト培養リンパ球 レボセチリジン 骨髄小核試験 経口 CD-1 マウス レボセチリジン 生殖発生毒性試験 胚・胎児発生に関する試験 経口 SD ラット レボセチリジン、セチリジン 胚・胎児発生に関する試験 経口 NZW ウサギ レボセチリジン、セチリジン その他の毒性試験 免疫毒性試験 経口 SD ラット レボセチリジン、セチリジン単回投与毒性
レボセチリジンをマウス、ラットおよびイヌに単回経口投与したときのおもな所見は、げっ
歯類では脱力、腹臥位、跳躍、呼吸障害および血様内容物を伴った消化管のうっ血/出血な
らびにイヌでは流涎、嘔吐および下痢であった。
経口投与時の概略の致死量はマウスおよびラットではともに 560mg/kg であり、イヌでは
320mg/kg 超であった。
反復投与毒性
ラットおよびイヌにレボセチリジンを 13 週間経口投与したときの ucb 28556 の曝露量(C
maxおよび AUC)は、ラットでは投与量増加の割合を上回って増加し、8 および 25mg/kg/日群で
は雄の曝露量は雌よりも高い傾向を示した。イヌの曝露量は投与量増加に伴い増加し、性差
はなく、反復投与により蓄積性を示した。しかしながら、75mg/kg/日群では嘔吐の発現頻度
増加のため曝露量は投与量増加の割合を下回って増加した。
レボセチリジンの 75mg/kg/日までをラットに 13 週間経口投与した結果、25mg/kg/日以上の
群の雄で可逆性の体重補正肝臓重量の高値、小葉中心性肝細胞肥大および脂肪沈着がみられ
たが、いずれも肝代謝酵素誘導に対する適応性の変化と考えられ、毒性と判断しなかった。
その他に、レボセチリジンの投与によると考えられる毒性所見は認められなかった。したがっ
て、ラットにおける無毒性量は雌雄ともに 75mg/kg/日と推定された。セチリジン群において
もレボセチリジン群と同様に肝臓への影響(小葉中心性肝細胞肥大および脂肪沈着)が認め
られ、発現頻度および程度は同投与量のレボセチリジンとほぼ同程度であった。
イヌでは、13 週間反復投与毒性試験において、レボセチリジンの 25mg/kg/日以上の群で対
照群と比較して嘔吐の発現頻度増加が認められた。しかしながら、嘔吐に関連する変化は観
察されず、また、嘔吐以外に投与に関連する変化も認められなかった。したがって、無毒性
量は 8mg/kg/日と推定された。セチリジン群においてもレボセチリジン群と同様に、投与に関
連する変化は嘔吐のみであり、レボセチリジンとセチリジンはほぼ同様の毒性プロファイル
を示した。
遺伝毒性
細菌を用いる復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ TK 試験、ヒト培養リンパ球を用い
る染色体異常試験およびマウス骨髄小核試験により評価した結果、いずれの試験においても
陰性を示したことから、レボセチリジンは遺伝毒性を有していないと考えられた。
生殖発生毒性
ラットおよびウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験では、レボセチリジンのそれぞれ
100 および 60mg/kg/日以上の群で一般状態の悪化および体重増加量/摂餌量への影響がみら
れ、ウサギでは死亡も認められた。また、胚・胎児への影響として、ラットの 200mg/kg/日群
では胎児体重の低値によると考えられる胸骨分節未骨化の発現頻度に高値傾向がみられ、ウ
サギの 120mg/kg/日群では第 13 肋骨出現頻度に高値傾向が認められた。したがって、ラット
およびウサギの母動物に対する無毒性量はそれぞれ 50 および 30mg/kg/日、胚・胎児発生に対
する無毒性量はそれぞれ 100 および 60mg/kg/日と推定された。セチリジン群(ラットおよび
ウサギでそれぞれ 200 および 120mg/kg/日)においてもレボセチリジン群とほぼ同様の母体毒
性および胚・胎児への影響が観察された。催奇形性はいずれの動物種または投与群において
も認められなかった。
以上より、レボセチリジンは生殖発生毒性においてもセチリジンと同様の毒性プロファイ
ルを示した。
その他の毒性
免疫毒性
レボセチリジンの 75mg/kg/日までをラットに 13 週間反復経口投与した結果、免疫毒性を示
す所見は認められなかった。
不純物の毒性
規格値で安全性確認の必要な閾値を超える不純物(類縁物質)は、製剤では
gsk002*であり、
原薬では
gsk005*(不純物 A)、gsk001*(不純物 B)、gsk004*(不純物 C)、gsk008*(不純
物
D)および gsk002*の計 5 種類である。なお、ucb 28556 のエナンチオマーである gsk002*
に関してはセチリジンの申請概要において安全性は十分評価されていると考えられたため、
それ以外の不純物の安全性について、ラットの
4 および 13 週間反復投与毒性試験ならびに遺
伝毒性試験(細菌を用いる復帰突然変異試験およびマウス骨髄小核試験)に使用したバッチ
に含まれている不純物含量を基に各不純物の安全性を評価した。その結果、これらの試験の
無毒性量または陰性用量における不純物の推定曝露量は臨床推奨用量投与時の推定最大曝露
量を大きく上回っており、遺伝毒性試験においても異常はみられなかった。これらのことか
ら、原薬中に含まれるこれらの不純物により、臨床使用時に危惧されるような有害作用また
は遺伝毒性が発現する可能性は低く、いずれの不純物の安全性についても確認されていると
判断した。
* 新薬承認情報提供時に置き換え
2.6.6.2.
単回投与毒性試験
レボセチリジンの経口投与による急性毒性を検討するため、マウス、ラットおよびイヌを
用いた単回投与毒性試験を実施した(表 2.6.6-2)。成績の概要はいずれも 2.6.7.5 に示した。
表 2.6.6-2 単回投与毒性試験一覧表
動物種/系統 投与 経路 被験物質 投与量 (mg/kg) 動物数/ 性/群 GLP 適用 実施施設 資料番号 NMRI マウス 経口 レボセチリジン 0, 240, 560, 1300, 3200 5 適 UCB (ベルギー) 4.2.3.1.1 SD ラット 経口 レボセチリジン 0, 240, 560, 1300, 3200 5 適 UCB (ベルギー) 4.2.3.1.2 ビーグル犬 経口 レボセチリジン 32, 100, 320 1 適 UCB (ベルギー) 4.2.3.1.32.6.6.2.1.
マウス
4.2.3.1.1
レボセチリジンの 0(媒体)、240、560、1300 および 3200mg/kg を各群雌雄各 5 匹のマウ
スに単回経口投与した結果、雌雄ともに 560mg/kg 以上の群で死亡が認められたことから、概
略の致死量は雌雄ともに 560mg/kg であった。
240mg/kg 以上の群で鎮静、半眼および痙攣性呼吸などが認められた。また、560mg/kg 以上
の群ではこれらの変化に伴い脱力、呼吸障害および腹臥位などが観察され、560、1300 およ
び 3200mg/kg 群でそれぞれ投与後 6 日、3 日および 7 時間までに死亡例が認められた。一方、
生存例では、一般状態への影響は投与後 3 日までには回復し、体重増加量は対照群と同程度
であった。
剖検および組織学的検査では、1300mg/kg 以上の群の死亡例で血様内容物を伴った胃の出
血/うっ血および腸のうっ血などがみられ、そのうち 2 例に腺胃壊死が観察され、1300mg/kg/
日群の雌 1 例では肝臓に広範な壊死が認められた。なお、生存例では投与に関連する異常は
観察されなかった。
2.6.6.2.2.
ラット
4.2.3.1.2
レボセチリジンの 0(媒体)、240、560、1300 および 3200mg/kg を各群雌雄各 5 匹のラッ
トに単回経口投与した結果、雌雄ともに 560mg/kg 以上の群で死亡が認められたことから、概
略の致死量は雌雄ともに 560mg/kg であった。
240mg/kg 以上の群で半眼および痙攣性呼吸、560mg/kg 以上の群では鎮静、脱力、腹臥位お
よび跳躍などが認められ、560、1300 および 3200mg/kg 群でそれぞれ投与後 22 時間、2 日お
よび 1 時間までに死亡例が認められた。生存例の一般状態への影響は、240mg/kg 群の雌 1 例
(投与後 7 日までに回復)を除き投与後 2 日までに回復した。生存例の体重増加量は対照群
と同程度であった。
剖検では、560mg/kg 以上の群の死亡例で血様/白色内容物を伴った胃および腸の出血/うっ
血、ならびに膵臓のうっ血などが認められ、組織学的検査において 1300mg/kg 群で腺胃に壊
死が認められた。生存例では、560mg/kg 群の 1 例に剖検で腎臓に赤斑がみられ、組織学的検
査では腎皮質の尿細管拡張、線維化および単核球浸潤が認められた。
2.6.6.2.3.
イヌ
4.2.3.1.3
レボセチリジンの 32、100 および 320mg/kg を各群雌雄各 1 匹のビーグル犬に単回経口(カ
プセル)
投与した結果、
いずれの投与群においても死亡例はみられず、
概略の致死量は 320mg/kg
超であった。一般状態の変化として、流涎(32mg/kg 以上の群)および嘔吐・下痢(100mg/kg
以上の群)が認められたが、これらの変化は投与後 48 時間までに回復した。体重への影響は
全投薬群で認められなかった。なお、320mg/kg 群では全例で嘔吐がみられたため、これ以上
の高用量は投与しなかった。
2.6.6.3.
反復投与毒性試験
ラットおよびイヌにレボセチリジンを 13 週間経口投与し、レボセチリジンの毒性プロファ
イルを評価した。さらに、レボセチリジンとセチリジンの毒性プロファイルを比較するため、
レボセチリジンおよびセチリジンを 13 週間経口投与した反復投与比較毒性試験を実施した(表
2.6.6-3)。
表 2.6.6-3 反復投与毒性試験一覧表
動物種/ 系統 投与 経路 投与 期間 被験物質 投与量 (mg/kg/日) 動物数/ 性/群 GLP 適用 実施 施設 資料番号 SD ラット 経口 13 週間 レボセチリジン 0 4 8 25 75 10 (R5) 10 (T6) 10 (T6) 10 (T6) 10 (R5, T6) 適 (英国) 4.2.3.2.2 レボセチリジン 0 18.7 37.5 75 経口 13 週間 セチリジン 37.5 75 10 (R5) 10 (T6) 10 (T6) 10 (R5, T6) 10 (T6) 10 (R5, T6) 適 (英国) 4.2.3.2.3 レボセチリジン 0 18.7 37.5 75 経口 13 週間 セチリジン 37.5 75 6 適 (英国) 4.2.3.2.4 ビーグル犬 経口 13 週間 レボセチリジン 0 8 25 75 4 適 (英国) 4.2.3.2.6 レボセチリジン 0 37.5 75 経口 13 週間 セチリジン 75 4 適 (英国) 4.2.3.2.7 R:休薬群、T:TK 用動物、実施施設: = 、 =2.6.6.3.1.
ラット 13 週間反復投与毒性試験
4.2.3.2.1/ref および 4.2.3.2.2
レボセチリジンの 0(媒体)、4、8、25 および 75mg/kg/日を各群雌雄各 10 匹のラットに
13 週間経口投与した。対照群および高用量群にはさらに各群雌雄各 5 匹からなる 4 週間休薬
群を設けた。また、各投薬群には各群雌雄各 6 匹のサテライト群を設け、投与 13 週にトキシ
コキネティクスを実施した。本試験の投与量は、ラット 4 週間反復投与毒性試験(2.6.7.6 参
照)でレボセチリジンの 25、75 および 225mg/kg/日を経口投与したところ、225mg/kg/日群で
死亡、体重・摂餌量低値、肝臓重量増加、小葉中心性/中間帯肝細胞肥大・脂肪沈着、腎臓
皮質尿細管の好塩基性変化などが認められたため、最高用量は 75mg/kg/日とした。
成績の概略は 2.6.7.7.1 に示した。ucb 28556 の曝露量(C
maxおよび AUC
0-24)は雌雄ともに
投与量増加の割合を上回って増加し、8 および 25mg/kg/日群では雌に比べて雄でより高値を
示した。
投与に関連する死亡はみられなかった。一般状態の変化として、75mg/kg/日群の雌雄で投
与後にレボセチリジンの苦味に起因すると考えられる流涎が高頻度に認められたが、休薬期
間中には観察されなかった。また、25mg/kg/日以上の群の雌で投与期間中の体重増加量の低
値が認められたが、いずれの群においても体重に有意な変化は認められなかった。また、後
述の 13 週間反復投与比較毒性試験(2.6.6.3.2 および 2.6.6.3.3 参照)では体重および体重増加
量への影響は認められなかったことから、本所見は再現性のない変化と考え、悪影響とはし
なかった。
眼科学的検査および血液学的検査に異常は認められなかった。
血液生化学的検査において、8mg/kg/日以上の群の雌で AST の高値がみられたが、明らか
な投与量との関連性はなく、
8 および 75mg/kg/日群の各 1 例で対照群値の範囲
(38~88mU/mL)
を上回ったのみで、その他の動物に変化はみられなかったことから、偶発的な変化と考えら
れた。また、尿検査では 25mg/kg/日以上の群の雄および 75mg/kg/日群の雌に軽度の尿 pH 低
値、8mg/kg/日以上の群の雄および 75mg/kg/日群の雌に尿蛋白量の高値がみられたが、尿蛋白
量の変化は尿中に排泄された被験物質の測定系への影響が原因と考えられ[RRLE99E1801]、
さらに組織学的検査において腎臓に変化がみられなかったことから、これらの変化は毒性学
的意義のない変化と考えられた。休薬期間終了後に特記すべき変化は認められなかった。
器官重量測定において、25mg/kg/日以上の群の雄で体重補正肝臓重量の軽度の高値が認め
られたが、相対肝臓重量に影響はみられなかった。組織学的検査では、25mg/kg/日以上の群
の雄の肝臓に軽微な小葉中心性肝細胞肥大または脂肪沈着が認められた。しかしながら、ラッ
トではレボセチリジンの投与により肝代謝酵素が誘導される(2.6.4.9 参照)ことから、これ
らの変化は肝代謝酵素誘導に対する適応性およびそれに関連した変化であると考えられ、毒
性学的意義は低いと推察された。休薬期間終了後では、器官重量測定および組織学的検査に
変化は認められなかった。
以上より、レボセチリジンの無毒性量は雌雄ともに 75mg/kg/日と推定された。
2.6.6.3.2.
ラット 13 週間反復投与比較毒性試験(1)
4.2.3.2.3
レボセチリジンおよびセチリジンをラットに 13 週間反復経口投与したときの毒性プロファ
イルを比較した。レボセチリジンの 0(媒体)、18.7、37.5 および 75mg/kg/日、ならびに比較
対照群にはセチリジンの 37.5 および 75mg/kg/日を各群雌雄各 10 匹のラットに 13 週間経口投
与した。媒体対照群ならびにレボセチリジンおよびセチリジンの高用量群にはさらに各群雌
雄各 5 匹の 4 週間休薬群を設けた。本試験の最高用量は先の 13 週間反復投与毒性試験(2.6.6.3.1
参照)と同じ 75mg/kg/日とし、以下、37.5 および 18.7mg/kg/日を設定した。また、各投薬群
には雌雄各 6 匹のサテライト群を設けトキシコキネティクスを実施したが、血漿中濃度測定
の結果、レボセチリジンの 75mg/kg/日群以外の群で信頼性のあるデータが得られず、血漿サ
ンプルのラベルミスが原因と考えられた。そのため、トキシコキネティクスの評価は後述の
13 週間反復投与比較毒性試験(2.6.6.3.3 参照)で実施した。さらに、リンパ系組織の詳細な
組織学的検査およびリンパ球サブセット解析により免疫機構への影響について検討した
(2.6.6.8.1.1 参照)。
成績の概要は 2.6.7.7.2.に示した。いずれの投薬群においても投与に関連する死亡または一
般状態の変化は認められず、体重増加量、摂餌量、摂水量、眼科学的検査、尿検査および血
液学的検査にも投与の影響はみられなかった。また、免疫グロブリンおよびリンパ系組織の
形態、器官重量ならびに剖検所見で投与に関連する変化はみられなかった。レボセチリジン
群において、投与 3 時間後の直腸温に投与前に比べ軽度な低下が認められたが、明らかな用
量相関性はなく、また、後述の 13 週間反復投与比較毒性試験(2.6.6.3.3 参照)では同様の変
化は観察されていないことから、本所見は偶発的な変化と考えられた。
血液生化学的検査では、レボセチリジン群およびセチリジン群で ALT または AST の高値
傾向がみられたが、投与量との明らかな関連性もみられなかった。その他のパラメータに変
化は認められなかった。
投与に関連する組織学的変化として、先の 13 週間反復投与毒性試験(2.6.6.3.1 参照)と同
様にレボセチリジンおよびセチリジンの 75mg/kg/日群の雄に軽微な小葉中心性肝細胞肥大お
よび脂肪沈着が認められた。脂肪沈着の発現頻度・程度は同投与量のレボセチリジンに比べ、
セチリジン群でより高値を示した。いずれの変化も 4 週間の休薬によりほぼ回復した。
以上より、レボセチリジンの 75mg/kg/日までの投与により毒性学的に意義のある変化は認
められなかった。また、レボセチリジンおよびセチリジンは同投与量で概して同様の毒性プ
ロファイルを示し、レボセチリジンの投与により新たな毒性発現はみられなかった。
2.6.6.3.3.
ラット 13 週間反復投与比較毒性試験(2)
4.2.3.2.4
前述の 13 週間反復投与比較毒性試験(2.6.6.3.2 参照)においてトキシコキネティクスの十
分な評価ができなかったため、レボセチリジンおよびセチリジンを用いた追加の 13 週間反復
投与比較毒性試験を実施した。レボセチリジンの 0(媒体)、18.7、37.5 および 75mg/kg/日な
らびに比較対照群にはセチリジンの 37.5 および 75mg/kg/日を各群雌雄各 6 匹のラットに 13
週間経口投与し、一般状態、体重、摂餌量および直腸温について検討した。
成績の概要は 2.6.7.7.3.に示した。ucb 28556 の AUC
0-12は投与量増加の割合を上回って増加
した。また、18.7 および 37.5mg/kg/日群では雄の曝露量は雌よりも高い傾向を示した。
投与に関連する死亡は認められなかった。一般状態への影響として、レボセチリジンおよ
びセチリジンのおもに 75mg/kg/日群の雌雄で流涎の発現頻度の増加がみられたが、その他に
変化は認められなかった。体重および摂餌量に投与による影響はみられなかった。また、先
の 13 週間反復投与比較試験(2.6.6.3.2 参照)において軽度な直腸温の低下がみられたが、同
投与量を用いた本試験では直腸温に投与の影響は認められず、再現性のない変化であった。
以上より、いずれの投与群においても毒性学的に意義のある変化は認められなかった。ま
た、レボセチリジンおよびセチリジンは同様の毒性プロファイルを示した。
2.6.6.3.4.
イヌ 13 週間反復投与毒性試験
4.2.3.2.5/ref および 4.2.3.2.6
レボセチリジンの 0(媒体)、8、25 および 75mg/kg/日を各群雌雄各 4 匹のイヌに 13 週間
経口(カプセル)投与し、媒体対照群には空カプセルのみを同様に投与した。本試験の投与
量は、イヌ 4 週間経口投与毒性試験(2.6.7.6 参照)において、33.75、67.5 および 135/90mg/kg/
日を投与したところ、135/90mg/kg/日群で死亡、一般状態の変化(嘔吐、振戦および流涎)、
体重・摂餌量低下および胃・気管での粘膜萎縮・炎症などが認められたため、
最高用量は 75mg/kg/
日とした。
成績の概要は 2.6.7.7.4.に示した。ucb 28556 の曝露量(C
maxおよび AUC
0-24)に性差は認め
られず、25mg/kg/日までは投与量増加の割合を上回って増加し、75mg/kg/日では投与量増加の
割合を下回って増加した。この原因として、75mg/kg/日群における高頻度の嘔吐の関与が考
えられた。また、投与 13 週の曝露量が投与 1 日よりも高かったことから、反復投与による蓄
積性が考えられた。
一般状態への影響として、8mg/kg/日以上の群で嘔吐が認められた。8mg/kg/日群における嘔
吐の発現頻度は低く、散発的にみられたのに対し、25mg/kg/日以上の群では対照群に比べて
発現頻度は高く、投与期間を通じて連続して観察された個体も認められた。
体重・摂餌量測定、血液・血液生化学的検査、眼科学的検査、剖検および組織学的検査で
はいずれの群においても投与に関連する変化は認められなかった。尿検査では、75mg/kg/日
群の投与 6 および 12 週に有意な尿蛋白量の高値がみられたが、尿中に排泄された被験物質が
測定系に影響を及ぼしたためと考えられた。
以上より、
25mg/kg/日以上の群で嘔吐の発現頻度増加が認められたため、
無毒性量は 8mg/kg/
日と推定された。嘔吐以外に投与に関連する変化は認められなかった。
2.6.6.3.5.
イヌ 13 週間反復投与比較毒性試験
4.2.3.2.7
レボセチリジンおよびセチリジンをイヌに 13 週間反復経口投与したときの毒性プロファイ
ルについて比較した。レボセチリジンの 0(媒体)、37.5 および 75mg/kg/日を各群雌雄各 4
匹のイヌに 13 週間経口(カプセル)投与し、比較対照群にはセチリジンの 75mg/kg/日、媒体
対照群には空カプセルのみを投与した。本試験の最高用量は先の 13 週間反復投与毒性試験
(2.6.6.3.4 参照)と同様に 75mg/kg/日とした。
成績の概要は 2.6.7.7.5.に示した。いずれの投与群においても投与に関連する死亡は認めら
れなかった。一般状態への影響として、先の 13 週間反復投与毒性試験と同様に、レボセチリ
ジン群およびセチリジン群で嘔吐の発現頻度増加がみられ、セチリジン群の雄でもっとも高
頻度に認められた。また、レボセチリジンの 37.5mg/kg/日以上の群の雄で投与 8 週に媒体対
照群と比較して投与後直腸温の軽度の低下がみられたが、各個体における投与前値からの変
化量は媒体対照群とほぼ同程度であり、また、雌では直腸温への影響はみられていないこと
から、投与に関連する変化ではないと判断した。
レボセチリジンの 75mg/kg/日群の雌 1 例(No.940)および 37.5mg/kg/日群の雄 1 例(No.935)
で投与期間中に貧血を示唆する所見(粘膜蒼白、四肢冷感など)が認められたため、これら
の動物について血液・血液生化学的検査を実施したところ、多くのパラメータに変化(Ht、
Hb、赤血球、総白血球、好中球、好酸球、リンパ球および血小板の減少、軽度の連銭形成、
有核赤血球および巨大血小板、ならびに総蛋白およびアルブミンの減少)が認められた。し
かしながら、糞便検査および寄生虫検査に異常は認められず、血液生化学的検査では貧血ま
たは出血の指標であるビリルビン値などにも変化はみられなかった。このため、投与 28 日に
レボセチリジンの 75mg/kg/日群の全例で血液学的検査を実施したが、上述の No.940 以外の動
物で血液学的パラメータに異常は認められなかった。
なお、これら 2 例(No.940 および No.935)
については投与を継続したところ、投与期間内に正常な一般状態および血液・血液生化学的
パラメータを示すにまで改善し、他の動物および先に実施した 13 週間反復投与毒性試験
(2.6.6.3.4 参照)では同様の変化はみられていないことから、これらの変化は投与に関連す
る所見ではないと推察された。
体重・摂餌量、眼科学的検査および心電図検査に投与による影響は認められなかった。ま
た、尿検査においても毒性学的意義のある変化はみられなかった。
器官重量測定では、75mg/kg/日群の雌で対照群に比べ体重補正肝臓重量の高値が認められ
たが、剖検・組織学的検査で関連する変化はみられなかったため、毒性変化ではないと考え
られた。
以上より、レボセチリジン群およびセチリジン群ともに投与に関連する変化は嘔吐のみで
あり、レボセチリジンおよびセチリジンは同様の毒性プロファイルを示した。
2.6.6.4.
遺伝毒性試験
レボセチリジンの in vitro および in vivo 遺伝毒性評価として、表 2.6.6-4 に示した試験を実
施した。
表 2.6.6-4 遺伝毒性試験一覧
試験系 動物種/系統 投与量/処理濃度 GLP 適用 実施 施設 資料番号 復帰突然変異試験 ネズミチフス菌 大腸菌 31.25~1000µg/plate (-S9) 78.125~5000µg/plate (+S9) 適 (英国) 4.2.3.3.1.1 マウスリンフォーマ TK 試験 マウスリンパ腫細胞 50~350µg/mL (-S9) 100~300µg/mL (+S9) 適 (英国) 4.2.3.3.1.2 染色体異常試験 ヒト培養リンパ球 300~700µg/mL (-S9) 400~700µg/mL (+S9) 適 (英国) 4.2.3.3.1.3 骨髄小核試験 CD-1 マウス 800mg/kg (単回) 適 (英国) 4.2.3.3.2.1 実施施設: =2.6.6.4.1.
細菌を用いる復帰突然変異試験
4.2.3.3.1.1
ネズミチフス菌(TA1535、TA1537、TA98 および TA100 株)および大腸菌(WP2uvrA 株)
を用いてプレインキュベーション法によりレボセチリジンの変異原性について評価した。細
胞毒性試験においてレボセチリジンの 0.1~5000µg/plate を TA100 に処理した結果、代謝活性
化系(S9)の存在下および非存在下でそれぞれ 5000 および 1000µg/plate より細胞毒性が認め
られたため、本試験では S9 の存在下および非存在下でそれぞれ 78.125~5000 および 31.25~
1000µg/plate の処理濃度で 2 試験実施した。
成績の概要は 2.6.7.8.1.に示した。いずれの試験においても、S9 の有無にかかわらず変異原
性は認められなかった。
以上より、レボセチリジンは本条件下でネズミチフス菌および大腸菌に対して復帰突然変
異誘発能を示さないと考えられた。
2.6.6.4.2.
マウスリンフォーマ TK 試験
4.2.3.3.1.2
マウスリンパ腫 L5178Y 細胞株(clone 3.7.2.C)を用いて S9 の存在下および非存在下で遺
伝子突然変異誘発能について検討した。
S9 存在下および非存在下でそれぞれ 2 試験ずつ実施した。レボセチリジンの処理時間は、
S9 存在下の 2 試験および非存在下の 1 回目の試験は 4 時間、非存在下の 2 回目の試験では 24
時間とした。先に実施した細胞毒性試験において、0.5~5000µg/mL で処理した結果、S9 存在
下および非存在下の 4 時間処理でそれぞれ 50 および 500µg/mL、非存在下の 24 時間処理では
150µg/mL より毒性(S9 存在下および非存在下の 4 時間ならびに非存在下の 24 時間処理でそ
れぞれ 73.9、0 および 45.7%の相対生存率)が認められた。これより、本試験には S9 の存在
下(4 時間処理)および非存在下(4 または 24 時間処理)でそれぞれ 100~300 および 50~
350µg/mL の処理濃度を用いた。
成績の概要は 2.6.7.8.2.に示した。いずれの試験においても S9 の有無にかかわらず、相対生
存率の低下した処理濃度で突然変異体の発現頻度に有意な増加はみられなかった。
以上のことから、レボセチリジンはマウスリンパ腫 L5178Y 細胞に対して細胞毒性を示す
処理濃度まで突然変異誘発能を示さなかった。
2.6.6.4.3.
ヒト培養リンパ球を用いる染色体異常試験
4.2.3.3.1.3
レボセチリジンの染色体異常誘発能について、S9 の存在下および非存在下でヒト培養リン
パ球を用いる染色体異常試験(2 試験)により評価した。
試験 1 では、S9 存在下および非存在下で 3 時間処理し、その後 17 時間の回復期間を設け
た。本試験の処理濃度は分裂指数を基に設定し(表 2.6.6-5)、S9 の有無でそれぞれ 47 およ
び 44%の有糸分裂阻害を示した最大処理濃度を含む 3 用量で染色体異常を評価した。
試験 2 では、S9 の存在下で 3 時間処理+17 時間回復時間および非存在下で 20 時間処理し
た。S9 の非存在下では、150~500µg/mL の処理濃度において有糸分裂指数の増加がみられた
ため、もっとも強い有糸分裂指数を示した 300µg/mL を加え、S9 の有無でそれぞれ 57 および
65%の有糸分裂阻害を示した最大処理濃度を含む 3~4 用量で染色体異常試験を実施した(表
2.6.6-5)。
表 2.6.6-5 染色体異常試験概要
試験 S9 処理時間+回復時間 (h) 媒体対照群 処理濃度 (µg/mL) 陽性対照群 (µg/mL) - 3+17 0 600, 650, 700 NQO:2.50 試験 1 + 3+17 0 400, 550, 650 CPA:12.5 - 20+0 0 300, 550, 600, 650 NQO:5.00 試験 2 + 3+17 0 600, 650, 700 CPA:12.5 NQO=4-Nitroquinoline 1-oxide、CPA=シクロホスファミド成績の概要は 2.6.7.8.3.に示した。いずれの処理群においても染色体構造異常を示す細胞比
は S9 の有無にかかわらず媒体対照群と同程度であり、全処理群において染色体異常数(gap
を除く)は陰性対照群の背景値の範囲内であった。また、染色体の数的異常を示す細胞比に
おいても、S9 の有無にかかわらず陰性対照群の背景値の範囲を超える増加は認められなかっ
た。このことから、S9 非存在下の 300µg/mL の 20 時間処理群で認められた有糸分裂指数の増
加は倍数体の増加とは関連していないと判断された。
以上のことから、レボセチリジンはヒト培養リンパ球に対して、S9 の有無にかかわらず、
細胞毒性を示す処理濃度で染色体の構造的および数的異常を誘発しなかった。
2.6.6.4.4.
マウス骨髄小核試験
4.2.3.3.2.1
レボセチリジンをマウスに経口投与したときの骨髄細胞における小核誘発能について評価
した。
予備試験において 800mg/kg で一般状態への影響、1000mg/kg で死亡が認められたため、
本試験では 800mg/kg をマウスに単回経口投与した。対照群には媒体、陽性対照群にはマイト
マイシン C を 12mg/kg 単回経口投与した。
レボセチリジンおよび対照群では投与 24、48 および 72 時間後、陽性対照群は投与 24 時間
後に各群雌雄各 5 匹から骨髄塗沫標本を作製し、小核を有する多染性赤血球の出現頻度を求
めた。また、全赤血球に対する多染性赤血球比および小核を有する多染性赤血球の発現頻度
を求めた。
成績の概要は 2.6.7.9.1.に示した。800mg/kg で昏睡などの一般状態への影響および 3 例の死
亡が認められ、レボセチリジンの骨髄毒性によると考えられる多染性赤血球/正染性赤血球
比の有意な低下がみられた。
レボセチリジン群で小核を有する多染性赤血球の出現頻度に有意な増加は認められず、レ
ボセチリジンは骨髄小核誘発能を示さなかった。
2.6.6.5.
がん原性試験
レボセチリジンを用いた試験は実施していない。
2.6.6.6.
生殖発生毒性試験
レボセチリジンのラットおよびウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験を実施した(表
2.6.6-6)。なお、レボセチリジンおよびセチリジンを用いた 13 週間反復投与毒性試験および
反復投与比較毒性試験ならびに、後述する胚・胎児発生に関する試験において、レボセチリ
ジンおよびセチリジンは同投与量でほぼ同様の毒性プロファイルを示し、レボセチリジンの
生殖機能への影響はセチリジンの毒性試験データ(セチリジン申請概要)により評価可能と
判断したため、レボセチリジンを用いた受胎能および着床までの初期胚発生に関する試験な
らびに、出生前および出生後の発生ならびに母体の機能に関する試験は実施しなかった。
表 2.6.6-6 生殖発生毒性試験一覧
試験系 動物種/ 系統 投与経路 (投与期間) 投与量 (mg/kg/日) 動物数 GLP 適用 実施 施設 資料番号 0 ♀25 50 ♀24 100 ♀24 200 ♀25 胚・胎児発生に 関する試験 SD ラット 経口 (妊娠 6~15 日) 200 a ♀25 適 (英国) 4.2.3.5.2.2 0 ♀14 30 ♀16 60 ♀16 120 ♀16 NZW ウサギ 経口 (妊娠 6~18 日) 120 a ♀15 適 (英国) 4.2.3.5.2.4 妊娠 0 日:交尾確認日、実施施設: = a:比較対照としてセチリジンを投与2.6.6.6.1.
胚・胎児発生に関する試験
レボセチリジンの胚・胎児への影響について、ラットおよびウサギを用いた胚・胎児発生
に関する試験により評価し、いずれの試験においても比較対照としてセチリジン群を設けた。
2.6.6.6.1.1.
ラット
4.2.3.5.2.1/ref および 4.2.3.5.2.2
レボセチリジンの 50、100 および 200mg/kg/日ならびに比較対照群としてセチリジンの
200mg/kg/日を各群 24~25 匹の雌ラットの妊娠 6~15 日(妊娠 0 日:交尾確認日)に経口投
与した。ラットを用いた胚・胎児発生に関する予備試験(2.6.7.11 参照)においてレボセチリ
ジンの 65、130 および 260mg/kg/日を投与したところ、260mg/kg/日群で死亡、一般状態の悪
化(流涎、異常呼吸音、体調不良および摂餌量低値)などの母体毒性が認められたため、本
試験の最高用量は 200mg/kg/日とした。妊娠 15 日に血漿中薬物濃度を測定するために採血し、
妊娠 20 日に剖検して、胚・胎児発生に及ぼす影響について検討した。
成績の概要は 2.6.7.13.1.に示した。投与 2 時間後の ucb 28556 の曝露量は投与量増加に伴い
増加した。
レボセチリジン群で死亡はみられなかったが、セチリジン群の 2 例で一般状態の悪化によ
る死亡または切迫屠殺例(それぞれ妊娠 15 および 16 日)が認められた。一般状態の変化と
して、レボセチリジンの 100mg/kg/日以上の群およびセチリジン群で流涎/被毛湿潤および異
常呼吸音が観察された。また、レボセチリジンの 50mg/kg/日群の 2 例で投与 1 日に流涎、
200mg/kg/日群の 1 例で円背位および四肢蒼白が認められた。
レボセチリジンの 200mg/kg/日群およびセチリジン群で体重増加量および摂餌量の低値がみ
られ、レボセチリジンの 100mg/kg/日群でも妊娠 6~10 日に体重増加量の低値がみられたが、
摂餌量は対照群と同程度であった。いずれの投与群においても投与に関連する剖検所見は認
められなかった。
レボセチリジンの 100mg/kg/日以上の群およびセチリジン群で胎児体重に軽度の低値傾向が
みられた。胎児骨格検査では、レボセチリジンの 200mg/kg/日群およびセチリジン群で胸骨分
節未骨化の発現頻度に軽度の高値傾向が認められた。これらの群では、母動物に体重増加量
および摂餌量の低値がみられており、また、未骨化の発現頻度は形態的変化よりもむしろ胎
児の骨化段階の指標と考えられることから、本所見は母動物の体重増加量・摂餌量の低値に
基づく胎児体重の低値に起因した変化であると推察された。いずれの群においても催奇形性
は認められなかった。
以上より、レボセチリジンの母動物および胚・胎児発生に対する無毒性量はそれぞれ 50 お
よび 100mg/kg/日と推定された。また、レボセチリジンおよびセチリジンの同投与量の投与に
より同様で同程度の母体毒性がみられた。
2.6.6.6.1.2.
ウサギ
4.2.3.5.2.3/ref および 4.2.3.5.2.4
レボセチリジンの 30、60 および 120mg/kg/日ならびにセチリジンの 120mg/kg/日を各群 14
~16 匹の雌ウサギの妊娠 6~18 日(妊娠 0 日:交尾確認日)に経口投与した。ウサギを用い
た胚・胎児発生に関する予備試験(2.6.7.11 参照)においてレボセチリジンの 23、45 および
90mg/kg/日を投与したところ、90mg/kg/日群で一過性の体重および摂餌量の低下以外に明らか
な母体毒性は認められなかったため、本試験の最高用量は 120mg/kg/日とした。妊娠 6 および
18 日に血漿中薬物濃度を測定するために採血した。妊娠 29 日に剖検し、胚・胎児発生に及
ぼす影響について検討した。
成績の概要は 2.6.7.13.2.に示した。投与 1.5 時間後の ucb 28556 の曝露量は投与量増加に伴
い増加した。
レボセチリジンの 120mg/kg/日群において、顕著な体重減少、摂餌量の低値および体調不良
のため 3 例が死亡または切迫屠殺した(妊娠 19、20 および 25 日)。セチリジン群では誤投
与により 1 例が死亡した。
一般状態の変化として、レボセチリジンの 120mg/kg/日群で対照群に比べて糞量減少の発現
頻度の軽度な増加が投与期間後期~終了後に認められた(対照群の 2/13 例に対し 4/13 例)。
一方、セチリジン群では呼吸数の増加、瞳孔散大および流涎がそれぞれ 5/13、2/13 および 1/13
例に観察された。
レボセチリジン群では投与に関連する体重の変化はみられなかったが、セチリジン群で投
与開始時(妊娠 6~8 日)に一過性の体重減少が認められた。また、投与期間終了後の妊娠
19~22 日にレボセチリジンの 60mg/kg/日以上の群およびセチリジン群で摂餌量の低値が観察
された。
いずれの投与群においても投与に関連する剖検所見は認められなかった。
胚・胎児発生に対する影響として、レボセチリジンの 120mg/kg/日群およびセチリジン群で
胎児の第 13 肋骨出現頻度の高値がみられたが、いずれの群においても催奇形性は認められな
かった。
以上より、レボセチリジンの母動物および胚・胎児発生に対する無毒性量はそれぞれ 30 お
よび 60mg/kg/日と推定された。また、同投与量のレボセチリジンおよびセチリジンの投与に
より同様で同程度の母体毒性および胎児に対する影響がみられた。
2.6.6.7.
局所刺激性
本剤は経口剤であるため、レボセチリジンを用いた局所刺激性試験は実施していない。
2.6.6.8.
その他の毒性試験
2.6.6.8.1.
免疫毒性試験
2.6.6.8.1.1.
リンパ球サブセット検査
4.2.3.7.2.1
ラット 13 週間反復投与比較毒性試験(2.6.6.3.2 参照)において、媒体対照群、レボセチリ
ジン群(18.7、37.5 および 75mg/kg/日)およびセチリジン群(37.5 および 75mg/kg/日)より
投与 13 週に採血して得た末梢血を用いてリンパ球サブセット(T 細胞、ヘルパーT 細胞、サ
プレッサーT 細胞、CD4 陽性 CD8 陽性 T 細胞、IL-2R 陽性活性化 T 細胞、ナチュラルキラー
細胞および B 細胞)をフローサイトメトリーにより評価した。
レボセチリジン群およびセチリジン群ともにリンパ球サブセットに投与に関連する変化は
認められなかったことから、レボセチリジンおよびセチリジンの 75mg/kg/日までを経口投与
しても免疫機構に影響を及ぼさないと考えられた。
2.6.6.8.2.
不純物の毒性試験
ラットの 4 および 13 週間反復投与毒性試験の無毒性量投与時の不純物の推定曝露量は、臨
床推奨用量(5mg/日=0.1mg/kg/日)における各不純物の推定最大曝露量(それぞれの規格値
の上限が含まれていると仮定した場合)の少なくとも 50 倍以上、マウス骨髄小核試験におけ
る陰性用量での各不純物の推定曝露量は、臨床推奨用量での推定曝露量の 1600 倍以上となる。
また、0.04~0.8%の類縁物質を含む細菌を用いる復帰突然変異試験においても 5000µg/plate
まで変異原性はみられなかった。
以上より、反復投与毒性試験における無毒性量および遺伝毒性試験における陰性用量での
不純物の推定曝露量が臨床推奨用量投与時のそれを上回っていたことから、いずれの不純物
においても設定した規格値までの安全性は確認されていると判断した。
規格値で安全性確認の必要な閾値を超える不純物(類縁物質)は、製剤ではgsk002*(≤2%)
であり(2.3.P.5.1 参照)、原薬ではgsk005*(不純物A:
≤0.2%)、gsk001*(不純物B:≤0.2%)、
gsk004*(不純物C:≤0.2%)、gsk008*(不純物D:≤0.2%)およびgsk002*(≤2%)の計 5 種
類である(2.3.S.4.1 参照)。なお、gsk002*の安全性に関してはセチリジンの申請概要におい
て十分評価されている。各不純物を用いた毒性試験は実施していないが、ラットの
4 および
13 週間反復投与毒性試験ならびに遺伝毒性試験(細菌を用いる復帰突然変異試験またはマウ
ス骨髄小核試験)に使用したバッチに含まれていた不純物含量ならびにそれぞれの試験での
無毒性量または陰性用量を基に算出した類縁物質曝露量およびヒトでの類縁物質の推定最大
曝露量を比較し、その安全性について評価した(表 2.6.6-7)。不純物CおよびDはそれぞれ
遺伝毒性試験に用いたバッチまたは非臨床試験に用いたすべてのバッチ(不純物Cのバッチ
No.100 を除く)で検出されたが(検出下限:0.04%)、いずれも定量下限(0.1%)未満であっ
たため、不純物CおよびDの含量は検出下限である 0.04%と仮定して安全性の評価を実施した。
また、細菌を用いる復帰突然変異試験においては、本試験(2.6.6.4.1 参照)に用いた 506 バッ
チの不純物A~Dの含量はいずれも 0.1%未満であり、このバッチでは十分な不純物の評価が
できないため、もっとも不純物含量が多いD005 バッチを用いた復帰突然変異試験(2.6.7.17.2
参照)により評価した。なお、この試験では、レボセチリジンの
5000μg/plateまでをネズミチ
フス菌
5 株に処理した結果、いずれの菌株においても変異原性は認められなかった。
* 新薬承認情報提供時に置き換え
表 2.6.6-7 毒性試験に使用したバッチの不純物含量
試験項目 バッチ 番号 不純物含量 (%) 無毒性量または 陰性用量 曝露量 (µg/kg/日) 1) ヒト曝露量 (µg/kg/日) 2) 安全係数 3) 反復投与毒性試験 D 5 A (0.8) 200 0.2 1000 ラット 4 週間 B (0.2) 50 0.2 250 C (0.04) 4) 10 0.2 50 D (0.04) 4) 25 (mg/kg/日) 10 0.2 50 ラット 13 週間 1 0 A (NQ) B (NQ) C (0.1) 75 0.2 375 D (0.04) 4) 75 (mg/kg/日) 30 0.2 150 遺伝毒性試験 D 5 A (0.8) 6400 0.2 32000 マウス骨髄小核 B (0.2) 1600 0.2 8000 C (0.04) 4) 320 0.2 1600 D (0.04) 4) 800 (mg/kg) 320 0.2 1600 復帰突然変異 D 5 5000 (µg/plate) NQ:定量下限未満かつ検出下限以上(0.02%≤A, B の不純物含量<0.1%、0.04≤C, D の不純物含量<0.1%) 1) 試験に使用したバッチの不純物量と無毒性量または陰性用量から算出した推定曝露量 2) 不純物の規格値(0.2%)と臨床用量(5mg/日)から算出した推定曝露量: 5(mg/日)÷50(kg)×0.002×1000 3) 毒性試験における曝露量÷ヒトにおける最大曝露量 4) 推定不純物含量2.6.6.9.
考察及び結論
単回投与毒性
レボセチリジンをマウス、ラットおよびイヌに単回経口投与したときのおもな所見は、げっ
歯類の脱力、腹臥位、跳躍、呼吸障害および血様内容物を伴った消化管のうっ血/出血、な
らびにイヌでの流涎、嘔吐および下痢であった。経口投与時の概略の致死量はマウスおよび
ラットではともに 560mg/kg であり、イヌでは 320mg/kg 超であった。
反復投与毒性
ラットおよびイヌ反復投与毒性試験の投与 13 週における ucb 28556 の曝露量(C
maxおよび
AUC
0-t)を表 2.6.6-8 に示した。ラットの曝露量は投与量増加の割合を上回って増加し、8 お
よび 25mg/kg/日群では雄の曝露量は雌よりも高い傾向を示した。イヌの曝露量は投与量増加
に伴い増加し、性差はなく、反復投与により蓄積性を示した。しかしながら、高用量群では
嘔吐の発現頻度増加のため曝露量は投与量増加の割合を下回って増加した。
表 2.6.6-8 ラットおよびイヌ反復投与毒性試験における曝露量および臨床曝露量の比較
動物/ヒト曝露量比 動物種 用量 (mg/kg/日) 性別 Cmax (µg/mL) AUC0-t (µg・hr/mL) Cmax AUC 4 ♂ ♀ 1.71 1.23 3.08 1.98 6 4 1 1 8 ♂ ♀ 5.48 3.55 32.5 10.6 18 11 15 5 25 ♂ ♀ 21.2 16.6 107 46.8 68 54 50 22 ラット 75 ♂ ♀ 72.5 89.0 441 386 234 287 208 182 8 ♂ ♀ 18.8 25.1 194 188 61 81 92 89 25 ♂ ♀ 83.3 74.0 822 795 269 239 388 375 イヌ 75 ♂ ♀ 188.6 145.7 2379 1934 608 470 1122 912 ヒト 5mg a ♂+♀ 0.31 2.12 - - a: 海外健康成人 (男女各 10 名) にレボセチリジンの臨床推奨用量である 5mg を 8 日間経口投与 (5.3.1.1.1)レボセチリジンをラットに 13 週間反復経口投与した結果、25mg/kg/日以上の群の雄で肝代
謝酵素誘導に対する適応性の変化と考えられる一連の肝臓所見(可逆的な体重補正肝臓重量
の高値、小葉中心性肝細胞肥大および脂肪沈着)がみられた。また、ラセミ体であるセチリ
ジン群でもレボセチリジンと同様に小葉中心性肝細胞肥大および脂肪沈着がみられ、発現頻
度および程度は同投与量でレボセチリジンとほぼ同程度であった。同様の変化は既承認薬で
あるセチリジンの毒性試験においても認められている(セチリジン申請概要)。
その他の投与に関連する所見として、13 週間反復投与毒性試験の 25mg/kg/日以上の群の雌
で体重増加量の低値がみられたが、これらの群で体重への影響は認められず、その他の 13 週
間反復投与比較毒性試験でも体重および体重増加量の変化はみられなかったことから、悪影
響とはしなかった。13 週間反復投与毒性試験および 13 週間反復投与比較毒性試験において、
レボセチリジンおよびセチリジンのおもに高用量群で流涎が認められたが、セチリジンはわ
ずかに苦味を示すことが確認されている(セチリジン申請概要)ことから、本所見はレボセ
チリジンおよびセチリジンの物理化学的性質に起因する変化であり、毒性学的意義はないと
考えられた。
以上より、レボセチリジンのラットに対する無毒性量は雌雄ともに 75mg/kg/日と推定され
た。レボセチリジンの投与によりみられた所見は、同投与量のセチリジン投与時とほぼ同様
であった。
イヌの 13 週間反復投与毒性試験および 13 週間反復投与比較毒性試験では、投与に関連す
る変化としてレボセチリジン群およびセチリジン群で嘔吐がみられ、25mg/kg/日以上の群で
高頻度に認められた。しかしながら、8mg/kg/日群における発現頻度は対照群と比較して大き
な差はなく、散発的であったことから、毒性学的意義は低いと考えられた。なお、いずれの
投与群においても嘔吐に伴う脱水症状(一般状態の変化、Ht・Hb の上昇および電解質の低下
など)はみられなかった。その他に、レボセチリジン群およびセチリジン群で投与に関連す
る変化、またはラットの主要所見である肝臓への影響、肝代謝酵素誘導を示唆する所見も認
められなかった。
以上より、25mg/kg/日以上の群で嘔吐の発現頻度増加が認められたため、イヌでの無毒性
量は 8mg/kg/日と推定された。また、セチリジン群でも投与に関連する変化は嘔吐のみであり、
レボセチリジンとセチリジンは同様の毒性プロファイルを示した。
レボセチリジンの反復投与毒性試験における主要所見は、ラットの肝臓への影響およびイ
ヌでの嘔吐であり、これらの変化はセチリジンでも同投与量でほぼ同程度/同頻度に認めら
れた。これより、レボセチリジンとセチリジンは概して同様の毒性プロファイルを示すと考
えられ、セチリジンと比較してレボセチリジンの投与により新たな毒性発現や毒性の増強が
みられる可能性は低いと考えられた。
遺伝毒性
レボセチリジンの遺伝毒性について、一連の in vitro/in vivo 遺伝毒性試験(ネズミチフス
菌および大腸菌を用いる復帰突然変異試験、マウスリンフォーマ TK 試験、ヒト培養リンパ
球を用いる染色体異常試験ならびにマウス骨髄小核試験)の結果、レボセチリジンはいずれ
の試験においても陰性を示したことから、レボセチリジンは遺伝毒性を有していないと考え
られた。
生殖発生毒性
ラットおよびウサギを用いた胚・胎児発生に関する試験では、レボセチリジンのそれぞれ
100 および 60mg/kg/日以上の群で一般状態の悪化および体重増加量/摂餌量への影響(ラッ
トおよびウサギ)および死亡(ウサギ)などの母体毒性が観察された。胚・胎児発生への影
響として、ラットでは、200mg/kg/日群で胸骨分節未骨化の発現頻度に軽度の高値傾向がみら
れた。この群では母動物の体重増加量・摂餌量の低値ならびに胎児体重の軽度の低値傾向を
伴っていたことから、本所見は母動物への影響に基づく胎児体重の低値に起因する変化と推
察された。ウサギでは、120mg/kg/日群で第 13 肋骨出現頻度の高値傾向が認められた。した
がって、ラットおよびウサギの母動物に対する無毒性量はそれぞれ 50 および 30mg/kg/日、胚・
胎児発生に対する無毒性量はそれぞれ 100 および 60mg/kg/日と推定された。
比較対照として用いたセチリジン(ラットおよびウサギでそれぞれ 200 および 120mg/kg/
日)においても、レボセチリジンと同様の母体毒性および胚・胎児への影響(ラットの胸骨
分節未骨化の発現頻度の高値傾向およびウサギでの第 13 肋骨出現頻度の高値)が認められた。
いずれの試験においてもレボセチリジン群およびセチリジン群で催奇形性はみられなかっ
た。
以上より、レボセチリジンおよびセチリジンは、生殖発生毒性試験においても、同様の毒
性プロファイルを示し、セチリジンと比較してレボセチリジンの投与により新たな毒性の発
現や毒性の増強がみられる可能性は低いと考えられた。
免疫毒性
レボセチリジンの 75mg/kg/日までをラットに 13 週間経口投与しても、免疫機構に影響は認
められなかった。
不純物の毒性
以上より、レボセチリジンの非臨床試験における毒性プロファイルは既承認薬であるセチ
リジンと概して同様であり、レボセチリジンの投与による新たな毒性および毒性の増強は認
められなかった。このことから、レボセチリジンの長期反復投与毒性、がん原性、受胎能お
よび着床までの初期胚発生ならびに出生前・後の発生および母体の機能に関する影響につい
ては、セチリジンの毒性試験データ(セチリジン申請概要)により評価可能であると考えら
れた。
規格値で安全性確認の必要な閾値を超える不純物(類縁物質)は、製剤では
gsk002*であり、
原薬では
gsk005*(不純物 A)、gsk001*(不純物 B)、gsk004*(不純物 C)、gsk008*
(不純物
D)および gsk002*の計 5 種類である。なお、gsk002*に関してはセチリジンの申請
概要において安全性は十分評価されていると考えられたため、それ以外の不純物の安全性に
ついて、ラットの
4 および 13 週間反復投与毒性試験ならびに遺伝毒性試験(細菌を用いる復
帰突然変異試験およびマウス骨髄小核試験)に使用したバッチに含まれている不純物含量を
基に評価した。その結果、これらの試験の無毒性量または陰性用量における不純物の推定曝
露量は臨床推奨用量投与時の推定最大曝露量を大きく上回っており、遺伝毒性試験において
も異常はみられなかったことから、原薬中に含まれるこれらの不純物により、臨床使用時に
危惧されるような有害作用または遺伝毒性が発現する可能性は低く、いずれの不純物の安全
性についても確認されていると判断した。
* 新薬承認情報提供時に置き換え
2.6.6.10.
図表
図表は本文中に記載した。
2.6.6.11.
参考文献
bile salts levels determination in urine of rats and Beagle dogs. UCB
社内資料
. ;:.
RRLE99E1801 , . In vitro interference study of ucb 28556, gsk002* and ucb P071 on protein and
2.6.7.
毒性試験概要表
2.6.7.1.
毒性試験:一覧表
Test Article: Levocetirizine
Type of Study Species and Strain AdministrationMethod of Duration of Dosing Doses (mg/kg/day) ComplianceGLP Testing Facility Report No. Location in CTD
Single-dose toxicity Mouse, NMRI Oral, gavage Single 0, 240, 560, 1300, 3200 Yes UCB (Belgium) RRLE92C1003 4.2.3.1.1
Rat, SD Oral, gavage Single 0, 240, 560, 1300, 3200 Yes UCB (Belgium) RRLE92D2104 4.2.3.1.2
Dog, Beagle Oral, capsule Single 32, 100, 320 Yes UCB (Belgium) RRLE92C1202 4.2.3.1.3
Repeat-dose toxicity Rat, SD OFA Oral, gavage 4 weeks 0, 25, 75, 225 Yes UCB (Belgium) RRLE95C1401 4.2.3.2.1/ref
Rat, SD Oral, gavage 13 weeks 0, 4, 8, 25, 75 Yes (UK) RRLE92G0902 4.2.3.2.2
Oral, gavage 13 weeks Levocetirizine; 0, 18.7, 37.5, 75 Cetirizine; 37.5, 75
Yes (UK) RRLE98H2402 4.2.3.2.3
Oral, gavage 13 weeks Levocetirizine; 0, 18.7, 37.5, 75 Cetirizine; 37.5, 75
Yes (UK) RRLE98F0401 4.2.3.2.4
Dog, Beagle Oral, capsule 4 weeks Levocetirizine; 0, 33.75, 67.5, 135/90 Yes UCB (Belgium) RRLE99J1401 4.2.3.2.5/ref
Oral, capsule 13 weeks 0, 8, 25, 75 Yes (UK) RRLE92G1003 4.2.3.2.6
Oral, capsule 13 weeks Levocetirizine; 0, 37.5, 75
Cetirizine; 75 Yes (UK) RRLE97F0201 4.2.3.2.7
Genotoxicity
Bacterial mutation S. typhimurium/ E. coli
In vitro - -S9 up to 1000; +S9 up to 5000µg/plate Yes (UK) RRLE99K1101 4.2.3.3.1.1
TK locus assay Mouse lymphoma In vitro - -S9/+S9 up to 400µg/mL Yes (UK) RRLE99K1102 4.2.3.3.1.2
Chromosome aberration Human lymphocytes In vitro - -S9 up to 700, +S9 up to 700µg/mL Yes (UK) RRLE06B1736 4.2.3.3.1.3
Micronucleus Mouse, CD-1 Oral, gavage Single 800mg/kg Yes (UK) RRLE92F1501 4.2.3.3.2.1
Reproductive and Developmental Toxicity
Embryofetal development Rat, SD Oral, gavage F: G6-15 0 , 65, 130, 260 Yes (UK) RRLE92G1001 4.2.3.5.2.1/ref
Rat, SD Oral, gavage F: G6-15 Levocetirizine; 0, 50, 100, 200 Cetirizine; 200
Yes (UK) RRLE93F3001 4.2.3.5.2.2
Rabbit, NZW Oral, gavage F: G6-18 0, 23, 45, 90 Yes (UK) RRLE92G0903 4.2.3.5.2.3/ref
Rabbit, NZW Oral, gavage F: G6-18 Levocetirizine; 0, 30, 60, 120 Cetirizine; 120
Yes (UK) RRLE93C3005 4.2.3.5.2.4
Other toxicity studies
Immunotoxicity Rat, SD Oral, gavage 13 weeks Levocetirizine; 0, 18.7, 37.5, 75 Cetirizine; 37.5, 75mg/kg
Yes (UK)/
(France)
RRLE98H2403 4.2.3.7.2.1 Underlined doses correspond to the NOAEL, G=Day of gestation, : , :