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142 児童青年精神医学とその近接領域 Vol. 58, No. 1 経刺激薬と抗うつ薬の使用の増加が (Zoëga et al., 2009), フランスでは2006 年の調査において精神疾患の種類に関わらず抗精神病薬の使用の増加が (Winterfeld et al., 2008), それぞれ報

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えで身体症状に着目することが重要であること, 臨床症状を評価するうえでの親,学校との連携 のあり方,服薬の管理,薬剤の使い分け,副作 用のモニタリングの励行など,薬物療法を巡る 臨床的かつ実践的なトピックについて議論が交 わされた。

児童青年期患者に対する向精神薬の

適応外使用についての学会調査から

みえてくるもの

辻井 農亜 近畿大学医学部精神神経科学教室 Ⅰ.はじめに  日本児童青年精神医学会 「薬物療法に関する 検討委員会」 では,児童青年期患者に対する向 精神薬の適応外使用の現状を明らかにすること を目的に,当学会医師会員1970人を対象とした アンケート調査を2013年10月に行った。その結 果,696名(有効回答率35.3%)から回答を得, わが国の児童青年精神科領域における向精神薬 の適応外使用の実態について報告してきた(辻 井ら,2015;Tsujii et al., 2016)。本委員会セ ミナーでは,調査によって得られた結果から, 臨床医はどのように向精神薬の適応外使用の問 題に向き合っていくことが望まれるのかについ て検討を行った。  尚,本委員会セミナーでは向精神薬の適応外 使用について,「広義の意味で,適応症に限らず, およそ薬のラベルに記載されている各種の承認 範囲を超えて用いること(off-label use of psy-chotropic drugs;向精神薬の承認ラベル外使 用)」 と定義した。 Ⅱ.児童青年期患者に対する 向精神薬使用の現状  精神疾患をもつ児童青年期患者に対する向精 神薬の使用が増加していることは,これまでに も報告されてきた (Haw and Stubbs, 2007)。 アイスランドでは2003年から2007年にかけて神 重盲検比較試験で有効性がないことが繰り返し 報告されており,心毒性や鎮静などの安全性の 面からも推奨されないこと,また,新規抗うつ 薬についても有効性が報告されているのは, 8 歳から17歳までの児童・青年に対するフルオキ セチン(本邦未発売)と12歳から17歳までのエ スシタロプラムのみであり,その他の薬剤は優 位な改善がないとの報告がなされている。新規 抗うつ薬使用時の賦活化症候群,中止後発現症 状には注意が必要であるが,エスシタロプラム では QT 延長も報告されており,心電図等での フォローも考慮される。各種のガイドラインを 見ても,児童青年期のうつ病,とりわけ軽症か ら中等症においては心理社会的治療が優先され るし,また並存障害との関係についても注意が 求められる。新規抗うつ薬の使用されるもう一 つの病態は強迫症であるが,自閉スペクトラム 症のこだわりか,あるいは強迫症によって薬物 への反応性は異なると考えられ,適切な見立て が重要であると述べた。  泉本委員は,児童青年期の双極性障害の診断 が,特に米国において顕著に増加し,過剰診断 の懸念を持たれたこと,DSM-5 においては躁 病エピソードの診断を厳密にし,また重篤気分 調節症の診断基準を設けるなど,過剰診断に歯 止めがかけられたが,最も大切なことはもとも とのその子の状況から見て,最近の様子がどう かを見極めることであり,横断像のみならず縦 断経過を見ることが大切であることを強調した。 そのうえで,児童青年期双極性障害の薬物療法 のエビデンスについて概説したが,気分安定薬 よりも新規抗精神病薬において有効性を示すエ ビデンスが蓄積していることを示している。抗 不安薬については,非盲検試験のエビデンスに 限られ,二重盲検比較試験によるエビデンスが 存在しない。鎮静,脱抑制,依存性などを考慮 すると,ベンゾジアゼピンを使用すべき根拠は 乏しく,現状においては使用するとしても短期 の使用に限られることを述べた。  講演後のディスカッションでは,言語的な表 現に乏しい児童・青年の臨床症状を見ていくう

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精神領域を専門とする医師(117名)の90%以 上に適応外使用の経験があったことが報告され ている(石崎ら,2008)。また,小児神経専門 医と児童青年精神医学会認定医626名を対象に 自閉性障害児にみられるさまざまな症状に対す る薬物療法の実態を調査した調査では,対象者 の73%に小児自閉症児に対する薬物療法の経験 があったことが報告されている(中川,2012)。 しかし,わが国では精神疾患をもつ児童青年期 患者に対する向精神薬の適応外使用の現状が十 分に検討されているとは言い難い。 Ⅳ.向精神薬の適応外使用についての学会調査  本学会調査の結果をみると(辻井ら,2015), 回答者の91%に精神疾患をもつ児童青年期患者 に対する向精神薬の適応外使用の経験があり, 適応外使用を行うことの最も多い薬剤として抗 精神病薬が,以降,抗うつ薬,抗てんかん薬 / 気分安定薬が挙げられた。向精神薬の適応外使 用の経験があると回答した対象者の81.0%が, 親に適応外使用についての説明をすると回答し たが,子どもにも説明を行うと回答した者は 33.6%であった。また,向精神薬の適応外使用 の経験があると回答した対象者の34.3%が,適 応外使用を望まれなかった経験を有していた。 さらに,適応外使用について親(保護者)にの み説明するよりも,子どもにも説明するとき, 適応外使用を望まれないことを経験する割合が 高かった(32.4% vs. 50.2%;p<0.001)。  適応外使用についての情報は信頼を損ね,治 療には否定的に作用しやすいとされているが (Sweis and Wong, 2004),そ の 一 方,親(養 育者)に混乱や困惑を生じさせることなく,子 どもへの医薬品の適応外使用について説明を行 うことが医師の役割であることも指摘されてい る(Zachry and Ginsburg, 2001)。

 そこでわれわれは精神疾患をもつ児童青年期 患者に対する向精神薬の適応外使用を望まれな い経験に関連する要因についても検討を行った (Tsujii et al., 2016)。対象を精神科医のみ(447 名)に絞り,検討する因子には医師の経験年数, 経刺激薬と抗うつ薬の使用の増加が(Zoëga et al., 2009),フランスでは2006年の調査において 精神疾患の種類に関わらず抗精神病薬の使用の 増加が(Winterfeld et al., 2008),それぞれ報 告されている。また米国では1996〜2012年の 7 年間に,注意欠如多動症(ADHD)治療薬, 抗うつ薬,並びに抗精神病薬の使用が増加して い る こ と が 報 告 さ れ て い る(Olfson et al., 2015)。わが国における調査においても,2002 〜2004年と2008〜2010年を比較すると,ADHD 治療薬,抗うつ薬,並びに抗精神病薬の処方が 増加していることが,奥村ら(2014)によって 報告されている。 Ⅲ.児童青年期患者に対する向精神薬の 適応外使用の現状  諸外国では,児童青年期患者に対する向精神 薬の使用が増加していることに加えて,その多 くが適応外使用であることが問題とされている (Haw and Stubbs, 2007)。精 神 科 医・小 児 科 医に対する向精神薬の適応外使用に関する意識 調査をみると,オーストラリアにおける2000年 の調査では回答者の40%が向精神薬の適応外使 用の経験があると回答している(Efron et al., 2003)。オランダにおける2001年の調査では, 向精神薬の適応外使用は疾患によって19〜71% と 差 が み ら れ る こ と,そ し て,抗 う つ 薬 は ADHD,自閉症,または患児のもつ攻撃性に 対して使用され,抗精神病薬は睡眠障害,摂食 障害,衝動制御の障害などに使用されているこ とが報告されている(Hugtenburg et al., 2005)。 同様に,カナダにおける調査においても抗精神 病薬が気分障害,外在化障害,広汎性発達障害, 攻撃性,感情調節障害などに使用されている実 態が示されている(Doey et al., 2007)。  一方,わが国における向精神薬の適応外使用 に関する報告は,これまで小児科領域を中心に 行われてきた。日本外来小児科学会ならびに日 本小児精神神経学会に所属する医師443名を対 象にした調査では,対象者の42.0%に向精神薬 の適応外使用の経験があり,特に,小児心身・

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精神疾患をもつ児童青年期患者に対する向精神 薬の適応外使用を行っている現状が明らかにな った。  特に本調査では,抗うつ薬の適応外使用につ いて説明を行うことは,その使用を望まれない 経験を増加させる最も強い要因であるという結 果が得られた。これは,児童青年期患者に対す る抗うつ薬の副作用,特に,自殺関連事象とい う副作用が人口に膾炙していることが影響して いると考えられた。事実,児童青年期患者に対 する抗うつ薬の使用と自殺関連事象の関連に ついての米国食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)による public warning の後,精神科医の22%が子どもへの抗うつ薬の 処方を断られることが増加したと回答している (Bhatia et al., 2008)。これらの結果は,向精 神薬の適応外使用について説明を行うことが薬 物治療の導入には否定的に作用しやすいという ことを示すのであろうか。  成人の精神科臨床における患者から向精神薬 の使用を望まれない状況が生じる要因について, 園部・谷向(2010)は, 1 )患者が短時間の面 接で薬が出されたと感じたとき, 2 )患者が薬 による治療に納得しないまま薬を処方されたと き, 3 )患者が薬よりもカウンセリングで治し てほしいと考えているとき,そして, 4 )「統 合失調症ではない」 と説明されたのに出ている 薬は統合失調症の薬だったとき,と述べている。 これらは児童青年精神科臨床においても通ずる と考えられる。さらに,筆者の日常臨床場面お ける印象としては,親(保護者)以外にも,患 適応外使用について説明すること,向精神薬の 種類を含めた。その結果,対象となった精神科 医の93%に適応外使用の経験があり,そのうち 37.9%が親や子どもに向精神薬の適応外使用に ついて説明することと,その使用を望まれない 経験を有していた。加えて,向精神薬の適応外 使用を望まれない経験を増加させる要因として, 親に適応外使用であることを説明すること(オ ッズ比[Odds Ratio; OR]=2.73),子どもに説 明すること(OR=1.70),そして,抗うつ薬を 使用すること(OR=2.98)が挙げられた(表 1)。一方,向精神薬の適応外使用を望まれな い経験を低下させる要因として精神科医として の経験年数(OR=0.98)が挙げられた。 Ⅴ.向精神薬の適応外使用についての 学会調査から見えてくるもの  本学会調査から,向精神薬の適応外使用につ いて説明を行うことが,適応外使用を望まれな い経験を増加させるという結果が示された。向 精神薬の適応外使用について説明をすることは, 親や子どもの不安や混乱を生じさせやすいのか もしれない。また,臨床家は適応外使用につい て親のみでなく子どもにも説明しようとすると き,その概念や副作用をより平易に分かりやす く説明を行うであろうことが推察され,そのこ とが親の適応外使用についての理解を深め,適 応外使用を望まないという結果に繋がった可能 性も考えられた。一方,医師の経験年数は適応 外使用を望まれない経験の有無にはほとんど影 響しないことが示され,臨床医が悩みながらも 表1 向精神薬の適応外使用を望まれない経験に関連する要因

Odds Ratio 95% 信頼区間 p-value 望まれない経験を増加させる因子 適応外使用について親に説明すること 2.73 1.09-6.82 0.03 適応外使用について子どもに説明すること 1.70 1.12-2.58 0.01 抗うつ薬を使用すること 2.98 1.25-7.10 0.01 望まれない経験を減少させる因子 医師の経験年数 0.98 0.96-1 0.03

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備やそれを専門とする医師不足のみならず,研 究体制が不足しているという実情があり(飯田, 2013),今後,精神疾患をもつ児童青年期患者 に対する抗精神病薬の使用について,その使用 方法のみならず,子ども自身や親(保護者)へ の説明,とりわけの指針の整備が求められる。 Ⅵ.児童青年期患者に対する向精神薬を おこなう上での注意点  向精神薬の処方をおこなう上での注意点を表 2 (諸川・柳田,2005を改変)に,抗精神病薬 の処方をおこなう上での注意点を表 3 (Ameri-can Academy of Child and Adolescent Psy-chiatry, 2011)に示した。また,われわれが精 神疾患をもつ児童青年期患者に対して向精神薬 の適応外使用を行うとき,どのような点に注意 して説明を行えば良いのであろうか。わが国で は ADHD 児童に対する治療薬剤として長らく 速放型 methylphenidate(リタリン ®)の適応 外使用が行われてきた。その使用の際の注意点, 説明すべき事項については,「注意欠陥 / 多動 性障害─ AD/HD ─の診断・治療ガイドライ ン(第 1 版並びに第 2 版)」 には, 1 )適応外 医薬品の使用目的および方法, 2 )予想される 効果および副反応, 3 )あなたの疾患に関する 他の治療法の可能性, 4 )同意しない場合には この薬による薬物療法は開始しないこと, 5 ) 同意した場合でも随時これを撤回できること, 6 )人権保護に関しての必要な事項, 7 )副反 児にかかわるすべての者(例;祖父母,教師, 塾講師,知り合いなど)の向精神薬に対すると らえ方がさまざまに影響していると感じている。 つまり,「向精神薬の使用を望まれないこと」 は決して治療に否定的に作用するのでなく, 「子ども・家族・その子を取り巻く社会との関 係が深まる瞬間」 と捉える視点も,児童青年期 患者に対して薬物療法をおこなう上では必要で あると考えている。  一方,本学会調査において抗精神病薬の適応 外使用について説明を行うことは,その使用を 望まれない経験とは関連していなかった。近年, 第 2 世代抗精神病薬が成人よりも子どもにおい て体重増加や代謝異常を引き起こす懸念と,心 血管系への影響を与える可能性があるというエ ビデンスが集積されつつある。そして2013年, 米国精神医学会(American Psychiatric Asso-ciation; APA)は 「エビデンスの乏しい,また, 承認が得られていない抗精神病薬を小児期の精 神障害の行動・感情面の症状に対して日常的に 使用してはならない」 という薬物療法の選択の 際の注意事項を発表しており(APA, 2013), 現在,精神疾患をもつ児童青年期患者に対する 抗精神病薬(特に,第 2 世代抗精神病薬)の使 用は公衆衛生上の大きな問題点となっている。 本学会調査の結果は,抗精神病薬の安全性に関 する懸念がわが国ではまだまだ周知されていな いことを示唆しているのかもしれない。わが国 では,児童青年精神医学に関する教育体制の不 表2 向精神薬の処方をおこなう上での注意点(諸川・柳田,2005を改変) 1 .症状・診断の確認 2 .薬物療法の必要性の確認 3 .向精神薬服薬歴の確認 4 .服薬負担感の確認 5 .薬物療法の目的を確認 主に症状改善,病因や病態に関する説明 6 .効果と副作用の説明 効果の発現時期,どのような症状に有効か 効果が得られない時の計画(増量や変更) 副作用の内容・発現時期,持続期間 副作用が発現した時の対処方法 7 .向精神薬の内服予定期間の説明 8 .服薬へのサポートの有無の確認

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容の検討ならびに実施については学会理事会におい て承認を受けた。本調査は会員医師に対する無記名 式のアンケート調査であり,患者の個人情報は一切 含まれなかった。尚,本調査の実施に関連する利益 相反はない。

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児童青年期精神科における

薬物療法の実際 2

─抗うつ薬編─ 宇佐美 政英 国立国際医療研究センター 国府台病院児童精神科 Ⅰ.はじめに  子どもに抗うつ薬を使用すべきか,という問 いは,臨床家にとって避けては通れない課題で あり,新しい抗うつ薬が次々開発され発売され る。昨今では,その有用性だけが一人歩きして いる印象が拭えない。臨床家は明確な答えを持 って,その診療に当たるべきであろう。  実際に,奥村らの調査によれば,2002〜2010 年の 9 年間で未成年の精神疾患による受診者数 は 95,000 人(2002 年)か ら 148,000 人(2008 年)に急増しており,その中で気分障害(F3) は36%の増加を示しているという厚労省の報告 を受け,その期間のレセプト数から児童・思春 期における薬物療法の増加を指摘している。具 体的には, 6 〜12歳における ADHD 治療薬と 抗精神病薬の処方件数が増加していること,13 〜18歳においてはそれに加え,抗うつ薬の処方 件数も増加していることが示されている(奥村 ら,2014)。さらに,処方数の増加を支持する がごとく,選択的セロトニン再取り込み阻害 薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors: SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取 り込み阻害薬(Serotonin and Norepinephrine Reuptake Inhibitors: SNRI)は,成人で保険適 Pediatrics, 111, 372-375.

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