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~﹁真報主﹂の翻刻読解研究
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は じ め に 日 本 に お け る 唯 識 思 想 は 論 義 研 究 を 通 し て 紋 密 に 発 展 し て き た と い っ て よ い 。 ことに 法 相 宗 ( 唯 識 ) に お い て は 根 本 論 典 で あ る ﹃ 成 唯 識 論 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 成論 ﹄ ) に つ い て 千 百 有 余 も の 論 題 が 立 て ら れ 、 ﹃ 成 唯 識 論 述 記 ﹄ ( 以 下 、 ﹁ 述記 ﹄ ) を 初 め と す る 諸 師 の 章 疏 を 用 い な が ら 、 教 義 上 の 諸 問 題 に つ い て 種 々 論 じ ら れ て き た 。 論 義 に 関 す る資料と して ﹃ 唯 識 論 尋 思 紗 ﹄ や ﹃ 成 唯 識 論 同 学 紗 ﹄ ( 以 下 ﹃ 同学紗 ﹄ と 略 称 。 ) と い っ た 大 部 の も の が あ る が 、 良 算 ( i 一 一 七 一 i = 二 七 1 ) に も ︿ 愚 ﹀ や ︿ 愚 草 ﹀ と 記 さ れ た 大 部 の 著 作 が あ っ た こと が 指 摘 さ れ て お り 、 後 世 の 学 侶 に 重 用 さ れ て い た こ と が 明 ら か と な っ て い る 。 -諭 義 ﹁ 真 報 主 ﹂ も 数 あ る 論 題 の 一 つ で あ る 。 本 論 義 は 輪 廻 の 主 体 が 第 八識で あ る こ と を 明 ら か に す る も の で あ り 、 法 相 宗 の 根本﹁阿頼耶識論 ﹂ に 分 類 さ れ る 。 さ ら に 、 ﹃ 同 学 紗 ﹄ に 収 め ら れ る 同 名 の 論 議 で は 第 八 識 を 輪 廻 の 主 体 と す る こ とに対して、 源 信 ( 九 四 二1
一O
一七)が ﹃ 唐 決 ﹄ に 論 難 を 載 せ て い る こ と か ら 、 天 台 宗 か ら の 論 難 に 応 え る も の で あ り 、 法 相 対 天 台 と い う 日 本 思 想 史 の 中 の 大 き な 論 争 の 中 に 位 置 づ け ら れ る 重 要 な 論 議 で あ る と い え る 。 し か し 、 ﹃ 同 学 紗 ﹄ で は 、 源 信 の ﹃ 唐 決 ﹄ の 論 難 を 会 通 し た と さ れ る 主 恩 ( 九 三 三 1 九 八 九 ) の 解 釈 を ﹁其の旨 幽 玄 に し て 末 学 は 識 り 難 し 。 し か る に 粗 く 其 の 趣 を 伺 い 、 疑 難 を 会 す 。 ﹂ と し 、 概 要 が 述 べ ら れ る に 過 ぎ ず 詳 細 な 検 討 ま では な さ れ て い な い 。 -M そ こ で 、 論義﹁真報主﹂を通して天台の 論 難 に 対 す る 法 相 宗 の 対 応 を 明 確 に さ せ る た め に は 、 個 別 的 研 究 論 文 の 性 格 を 有 す る 短 釈 の 検 討 が 必 要 不 可 欠 と な る 。 今 回 、 扱 う 良 算 撰 ﹃ 思 草 ﹄ ﹁真報主﹂は論義 ﹁ 真 報 主 ﹂ の 現 在 確 認 で き る 唯 一 の短釈である。 -w 本 短 釈 も ﹃ 唐 決 ﹄ が 念 頭 に あ り 、 そ の 内 容 は ﹃ 同 学 紗 ﹄ よ り 詳 細 で あ る 。 論 義 ﹁ 真 報 主 ﹂ の 主 眼は 第 八 識 が 輪 廻 の 主 体 で あ る こ と 、 ﹃ 唐 決 ﹄ の 論 難 に 応 え る こ と の 二 つ に あ る 。 本 短 釈 の 構 成 の 概 要 を 示 せ ば 実 に 端 的 で あ り 、 前 半 と 後 半 と に 分 け ら れ る 。 前 半 は 第 八 識 が 輪 廻 の 主 体 と 龍谷大学例数学研究室年報第二十三号平成三十 一 年良 算 撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 真 報 主 ﹂ の 翻 刻読解研 究 ( 西 山 ) い う こ と を 証 文 を 引 き 、 明 ら か に す る 。 後 半 は ﹃ 唐 決 ﹄ に あ る 因 明 の論証 式 の過失につ い て 諸 師 の 見 解 を 引 き な が ら 検 討 を 加 えている。 以 上 の よ う な 内 容 を も っ 良 算 撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 真 報 主 ﹂ は 実 は 後 半 の 論 証 式 の 検 討 が 中 心 であり 、 主 恩 に よ る ﹃ 唐 決 ﹄ 起 点 と な っ て 生 ま れ た 論 義 で あ る と い え る 。 こ の こ と を 明 ら かに しつつ 、 ﹃ 唐 決 ﹄ の 論 難 が 論 義 に 落 と し 込 ま れ 、 る 論 義 と い う 法 相 対 天 台の 論 争の 一 形 態 が あ っ た 可 能 性 につ い て 考 察 したい 。 そ こ で 本 稿 に お い て は 、 薬 師 寺 所 蔵 良 算 撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 真報主﹂ の会通が 著 作 に 対 す につ いて 、 以下 の 凡 例 に 従 って翻刻 ・ 読 解 研 究 を 行 う こ と に す る 。 ︻ 凡 例 ︼ て 本 翻 刻 は 薬 師 寺 論 集 所 蔵 良 算 撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 真報主﹂ 一 巻 、 全 八丁で あ る 。 一 て 本 文 中 に 使 用 さ れ て い る 旧 字 ・ 異 体 字 ・ 合 字 に 関 し て は 、 内 容 に 抵 触 し な い 限 り 常 用 漢 字 に改めた 。 の 片 仮 名 の 略 字 に つ い て は ﹁ コ ト ﹂ の よ う に 開 い て 表 記 し た 。 三 、 割 注 に 関 し て は ︿ ﹀ で 、 字 の 横 に 示 さ れ る も の に つ い て は 四 、 虫 損 等 に よ り 判 読 不 能 の 文 字 に つ い て は 、 また 、 ﹁ 寸 ﹂ な ど 2 -f、‘ 、》ノ で括 っ た 。 -に よ り 字 数 分 の 空 格 を 示 し た 。
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︻ 解 説 ︼ 第 一 問 答 及 び 第 二 聞 は 文 字 の 多 少 の 同 異 が あ る も の の ﹃ 同 学 紗 ﹄ ﹁ 真 報 主 ﹂ と 同 様 の 展 開 が な さ れ て い る。ょ 第 一 問 答 は 大 乗 で は 輪 廻 の 主 体 は 何 で あ る か と 聞 を 起 こ し 、 第 八 識 で あ る と 答 え る 。 こ れ に 対 し て 第 二 問 で は 酬 因 感 果 の 道 理に よ れ ば 善 業 に よ っ て 楽 果 、 悪 業 に よ っ て 苦 果 が 結 ぼ れ る の は 当 然 で あ る か ら 、 苦 楽 相 応 の 識 が 輪 廻 の 主 体 と な ら な け れ ば な ら な い と 離 を 進 め る 。 さ ら に ﹁ 有 人 ﹂ が 第 八 阿 頼 耶 識 が 輪 廻 の 主 体 で な い こ と を 因 明 の 論 式 を 立 て る こ と で 証 明 し よ う と し ている。 ﹃ 同 学 紗 ﹄ ﹁ 真 報 主 ﹂ に よ れ ば 、 こ の ﹁ 有 人 ﹂ は 源 信 の こ と で あ り 、 ﹃ 唐 決 ﹄ に あ る も の で 、 九 州 に い た 主 思 が 会 過 を し た と さ れ る 。 -M 龍 谷 大 学 隣 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 ︻ 翻 刻 ︼ 聞 大 乗 意 以 何 法 -為真奥川知体 -耶 答 唯 第 八 識 為 真 異 熟 果 一也 問 思 酬 因 感 果 之 道 理 一普 業 感 楽 果 イ 悪 業 感 苦 果 一須 以 苦 楽 相 応 識 ↓ 為 真 異 熟 体 ↓ 而 第 八 識 附 与 捨 受 一倶1
何 為 善悪因ヵ所感ノ果 一耶 有 人 立 量 ↓ 云 汝 悪 趣 第 八 応 非 悪 趣 ノ 真 報 主 ↓ 捨 受 相 応 故 如 人 天 第 八 一 ︿ 云 云 ﹀ 非 人 天 第 八 返 此 可 作 法︿
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若 無 此 ノ 識 一彼 異 熟 ノ 心 不 ャ 応 一有 一故 謂 眼 等 ノ 識 ρ 有 間 断 寸 故 非 一 切 ノ 時 ュ 是 業 ヵ 果 ζ 故 知 電 光 等 -非 へ シ 興 熱 心 ↓O
限 等 ノ 六 識 ノ 業 ニ 所 感 -者 猶 如 声 等 ノ 非 恒 統 一 故 是 奥 川 知 生 非 真 巽 執 二 ・ ・ - 4一
龍 谷 大 学 仰 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 許 一有 テ 真 異 熟 ノ 心 -酬 牽 引 ノ 業 一 “ 逓 而 ・ 断 て 変 為 ν 身 器 一作 ト 有 情 ノ 依 ↓ 。︿云 云 ﹀ 疏 云 論 定 応 許 有 至 作 有 情 依 述 日 申 帰 て 正 義 一 定 応 許 有 ト 真 異 熟 心 二 切 ノ 時 ニ 続 ト 者 酬 牽 引 業 一 -非 満 業 一 三 者 有 間 断 て 者 満 業 ヵ 故 引 果 識 遍 三 界 一有 リ 六 識 円 不 遍 一無 色 ト 無 心 定 ト ノ 等 。 三 五 識 ト 及 怠 ト 無 故 無 断 ト 者 其 恒 ヵ 故 遍 為 身 器 ト イ ハ 以 身 恒 有 必 由 ↓ 心 ヵ 変 ↓ ニ 理 故 ナ 3 然 境 ρ 不 断 ( 離 イ ) 心 一一 故 。 非 身 器 ノ 色 ノ 法 ィ 能 作 有 情 ノ 依 ↓ 有 情 定 ( イ 無 ) 是 仮 者
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々々 ヲ 依 此 ノ 識 一 -而 建 立 ヵ 故 。 若 無 此 識 一如 死 屍 等 }便 不 可 立 -仮 者 ノ 有 情 ↓ 何 須 恒 時 二 変 為 身 器 寸 ︿ 云云﹀ - 5 -論 上 文 云 此 識 行 相 極 不 明 了O
是 故 唯 与 捨 受 相 応 文 此 相 応 受 唯 是 異 熟 随 先 引 業良算撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁真報主﹂の翻刻読解研究(西山) 転 不 待 現 縁 任 善 悪 業 勢 力 転 故 唯 是 捨 受 苦 楽 二 受 是 異 熟 生 非 真 ( 興 ) 熟 待 現 縁 故 非 此 相 応
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若 か 如 何 此 識 亦 是 悪 業 異 熟 既 許 善 業 能 招 捨 受 此 亦 応 然 捨 受 不 違 苦 楽 品 故 如 無 記 法 善 悪 倶 招 ︿ 云 云 ﹀ t 寺、 p 疏 云 若 が 如 何 至 普 悪 業 感 ( 熟 イ ) 述 日 薩 婆 多 少 ザ 為 此 ノ 難 一也 彼 部 難 云 捨 受 ρ 寂 諦 ; 普 業 ノ 調 順 ナ ル可能招 一之 一如 何 E 逼 迫 業 ( 愛 イ ) 亦 招 寂 静 ノ 果 一O
諭 既 許 普 業 至 此 亦 応 然 -述 日 即 返 質 F 答 スO
論 捨 受 不 違 至 善 悪 倶 招 述 日 此 ρ 顕 λ 所由ト及同 法 喰 づ 捨 受 ノ 行 相 川 不 違 苦 楽 二 種 口 問 一 -故O
何 妨 善 悪 業 並 -一 能 招 E E -如 無 記 ノ 法 ノ 二 業 -一 倶 ニ 感 シ テ 不 一違 -二 一 -故O
余 七 転 識 同 設 起L
苦 楽 イ 此識皆倶ナリ以捨 ρ 不 -違 一. . - 6-こ こ で は ﹃ 成 論 ﹄ ょ ﹃ 述 記 ﹄ 4 が そ れ ぞ れ 二 度 ず つ 引 用 さ れ て い る 。 ﹃ 述 記 ﹄ の引用部分は、 そ れ ぞ れ 直 前の 部 分 の 解 釈 箇 所 に 相 当 し て い る こ と か ら 、 内 容 的 に 前 半 と 後 半 と に 分 け る こ と が で き る 。 さ ら に い え ば 、 前 半 は に 対 応 す る も の で あ り 、 後 半 は ︹ 第 二 問 ︼ に 対 応 す る も の で あ る 。 前 半 は ︻ 第 一 問 答 ︼ に 対 応 し て い る の で 、 第 八 阿 頼 耶 識 が 輪 廻 の 主 体 と な る こ と を 示 す 内 容 が 読 み 取 れ る 。 ﹃ 成 論 ﹂ ﹁ 定 ん で 応 に 真 異 熟 の 心 有 り て 、 牽 引 の 業 に 酬 し 、 遍 じ て 、 断 ず る こ と な く 身 器 を 変 為 し て 有 情 の 依 と 作 す ﹂ と あ る よ う に 、 真 異 熟 の 三 条 件 が 簡 潔 に 示 さ れ て い る 。 真 異 熟 の 三 条件とは﹁業果﹂、﹁不断﹂、﹁遍三界﹂である。 ﹃ 成 論 ﹄ の 当 該 箇 所 引 用 の 意 図 は 真 異 熟 の 三 条 件 に つ い て 確 認 す る こ と で あ り 、 そ の こ と は 次 に 引 か れ る ﹃ 述 記 ﹄ が ﹃ 成 論 ﹄ の ﹁ 定 ん で 応 に 真 異 熟 の 心 有 り て 、 牽 引 の 業 に 酬 し 、 遍 じ て 、 断 ず る こ と な く 身 器 を 変 為 し て 有 情 の 依 と 作 す と 許 す ベ し ﹂ に つ い て 解 釈 を 施 した 箇 所で あ る こ と か ら も 知 る こ と が 出 来 る 。 す な わ ち 、 ﹃ 述 記 ﹄ で は こ の 点 に つ い て 詳 説 を 施 し て お り 、 前 六 識 で は な く 阿 頼 耶 識 こ そ が 輪 廻 の 主 体 で あ る こ と を 述 べ て いる 。 八 識 の う ち 前 六 識 は 間 断 が あ る た め 総 体 的 果 報 で あ る 惣 報 を ま ね く 牽 引 業 で は な く 、 総 体 的 果 報 を 内 容 づ け る 満 業 で あ る と す る 。 ま た 、 引 業 の 果 に な る 識 体 は 三 界 に 遍 じで な け れ ば な ら な い に も か か わ ら ず 、 前 六 識 は 無 色 界 と 無 心 定 に お い て は 無 い た め 三 界 に 遍 じ で あ る と は い え な い の で あ る 。 境 は 識 を 離 れ る も の で は な く 、 ま た 身 器 は 有 情 が 存 在 す る よ り ど こ ろ と は な ら な い 。 す な わ ち 、 不 断 の 識 体 た る 第 八 阿 頼 耶 識 が な け れ ば 、 有 情 の 身 器 が 変 為 さ れ る こ
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故 過 失 如 前 り ︿ 云 云 ﹀ ﹃ 成 論 ﹄ { 第 一 問 答 ︼ の引用 で は 、 7-良算撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 其報主﹂の翻刻読解研究(西 山 ) 真 異 熟 の 三 条 件 である ﹁ 業 果 ﹂ 、 そ う と し て い る こ と が わ か る 。 以上のことから、 ﹁ 不 断 ﹂ 、 ﹁ 週 三 界 ﹂ を 満 た す も の は 第 八 阿 頼 耶 識 以 外 に は な い と い う こ と 示 の 大 乗 で は 真 異 熟 を 第 八 阿 頼 耶 識 と す る こ と に つ い て の 根 拠 ︻ 第 一 問 答 ︼ ﹃ 成 論 ﹄ 及 び ﹃ 述 記 ﹄ を 挙 げ て い るのである。 後 半 に 引 用 さ れ る ﹃ 成 論 ﹄ 及 び ﹃ 述 記 ﹄ は 、 ︻ 第 二 問 ︼ の 普 業 は 楽 果 を 結 び 、 悪 業 は 苦 果 を 結 ぶ こ と が 酬 因 感 果 の 道 理 で あ り 、 ど う し て 善 で も 惑 で も な い 捨 受 で あ る 第 八 阿 頼 耶 識 が 善 悪 の 果 を 結 ぶ の か と い う 問 に 対 応 し て お り 、 こ の 引 文 に よ っ て ︻ 第 二 問 ︼ に 答 え て い る と い っ て よ い 。 す な わ ち ﹃ 成 論 ﹄ で は 第 八 阿 頼 耶 識 は 捨 受 で あ り 、 引 業 に よ っ て 善 悪 業 の 勢 力 に よ り 転 ず る と あ り 、 苦 楽 は 異 熟 生 で あ っ て 真 異 熟 で は な い と い う の で あ る 。 これを 承 けて ﹃ 述 記 ﹄ で は 捨 受 は 苦 楽 と 相 違 す る も の で は な い と し 、 七 転 識 に 苦 楽 が お き る が 、 こ れ ら は 全 て 別 報 で あ る と し て い る 。 この捨 受 相 応 の 第 八 阿 願 耶 識 の 惣 報 と 別 に 苦楽の 別 報 が あ る と い う こ と が 法 相 宗 側の 主張の 中 心 と な る 。 こ のよう に前 半 で は として、 8
-︻ 有 人 尋 ・ 今 云 ・ 贈 僧 正 云 ︼ ︻ 原 文 ︼
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飽谷大学的数 学 研究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 ︻ 翻 刻 ︼ 有 人 尋 云 惣 別 二 報 既 異 也 設 第 八 識 与 苦 楽 一倶t
別 報 苦 楽 何 不 起 耶 ︿ 去 云 ﹀ 正 義 既 許 六 識 中 三 受 倶 転 此 亦 応 然 一況 大 乗 意 三 悪 趣 中 無 異 熟 楽 一第 八 雌 与 捨 受 相 応 一不 可 受 別 報 楽 一解 釈 立 方 叶バ任 H m 同 n U 1 u J h 引 " u h 訓 肘 } 引 ω " -' W F P 刷 ド 今 云 第 八 識 真 異 熟 也 報 主 第 八 若 与 苦 楽 一相 応 者 於 人 天 ノ 中 一不 可 受 苦 ↓ 於 三 悪 趣 一 不 可 受 楽 ↓ 伴 不 違 主 一之 故 不 如 六 識 中 苦 楽 相 応 一然 悪 趣 中 雌 無 異 熟 楽 一鬼 畜 報 受 処 許 有 等 流 楽 -以 之 一為 別 報ノ楽 ↓ 実 雌 非 異 熟 一遠 由 業 勢 力 一故 仮 云 報 -也 知 云 先 業 為 因 感 得 楽 受 一 也 其 例 非 一 可 助 見 也 - 9一良算撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 立報主 ﹂の翻刻読解研究 ( 西 山 ) ︻ 解 説 ︼ ﹁ 有 人 尋 云 ﹂ ﹁ A 7 一 玄 ﹂ 、 ﹁贈僧正云 ﹂ の 三 部 に 分 け る こ と が 出 来 る 。 ﹁ 有 人 尋 云 ﹂ は質問部分であり、 ﹁ A 7 云 ﹂ と 贈 僧 正 一 玄 疏 云 若 惑 ( 違 ) 苦 楽 倶 ︿ 乃 至 ﹀ 亦 相 違 故 者 意 云 若 或 但 与 苦 楽 一相 応 士 人 天 中 ノ 惣 報 此 苦 楽 耶 若 或 但 与 楽 受 一倶 者 三 悪趣惣報応非楽果一一 人 天須受楽之ノ果(報) 一若 受 苦 受 惣 報 一者 其 義 相 違 シ メ 惣 報 須 受 非 楽 之 ノ 果 寸 若 受 楽 受 報 一者 其 義 相 違 シ メ ︿ 為 吾 一 口 ﹀ 疏 此 名 可 苦 楽 皆 是 別 報 故 遮 不 適 者 通 伏 難 一也 伏 難 云 人 天 受 楽 果 一悪 趣 感 苦 報 一之 義 常 所 談 也 何 不 許 之 ︿ 為 号 一 口 ﹀ 通 此 難 也 意 云 其 楽 果 者 是 別 報 也 故 第 八 捨 μ 不退彼別報ノ苦楽 一也 ︿ 為 言 ﹀ 若 随 所 生 等 者 若 云 第 八 識 随 所 生 処 一 人 天 中 国 ・ 楽 一倶 三 悪 趣 与 苦 一倶 故 無 前 難 一者 不 然 一若 ・ ・ 処 受 ィ 転 変 者 易 脱 故 可 間 断 一亦 非 一 一 類 一 - 第 七 如 何 執 為 内 我 叶 哉 ︿ 為 一 吉 ﹀ 過 失 如 前 ト者即易 脱 等 業 也 以 上 傍 論 事 10 -はそれ に対
す る 回 答 部 分 、 ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ に よ っ て 補 足 が な さ れ て い る 。 い ず れ も 別 報 に つ い て 検 討 が 加 え ら れ る も の で あ る 。 ﹁ 有 人 尋 云 ﹂ で は 、 二 つ の 聞 が な さ れ て い る 。 ま ず 、 惣 報 と 別 報 は 異 な る も の で あ る か ら 、 第 八 識 が 捨 受 で な く 苦 楽 の 性 質 を 有 し て い て も 、 別 報 に 苦 楽 は 起 こ る の で は な い か と 聞 を 起 こ し て い る 。 次 に 第 八 識 が 捨 受 相 応 で あ っ た と し て も 、 六 識 が 三 受 相 応 す る の で あ る か ら 別 報 の 楽 を 受 け る こ と が で き な い の は ど う い う こ と で あ る の か と 聞 が 起 こ さ れ る 。 そ れ に 対 し て 答 に あ た る ﹁ 今 云 ﹂ で は 、 ︻ 第 一 問 答 ︼ と 同 様 に 第 八 阿 頼 耶 識 が 其 奥 州 知 す な わ ち 、 輪 廻 の 主 体 で あ る と す る 。 そ し て 先 の ﹁ 有 人 尋云﹂の 一 つ 目 の 問 に 対 し て は 、 若 し 捨 受 相 応 で あ る は ず の 第 八 識 が 苦 や 楽 と 相 応 す る と し た ら 、 普 趣 の 中 で は 苦 を 受 け る こ と は な く 、 同 様 に 悪 趣 に お い て 楽 を 受 け る こ と は 出 来 な い と し て い る 。 こ れ は 真 興 熟 の 体 で あ る 第 八 阿 頗 耶 識 か ら 苦 楽 等 の 前 六 識 の 異 熟 生 が 生 じ る た め で あ り 、 主 で あ る 阿 頼 耶 識 が 楽 の 性 質 で あ れ ば 、 そ こ か ら 生 ま れ る 異 熟 生 た る 前 六 識 は 楽 の み に な り 、 第 八 が 苦 の 場 合 は 異 熱 生 も 苦 と な る の で あ る 。 そ し て 二 つ 目 の 聞 に 対 し て は 、 悪 趣 の 中 に 異 熟 の 楽 は な い も の の 等 流 の 楽 が あ り 、 こ れ を 別 報 の 楽 と し て い る 。 こ の 等 流 の 楽 も 遠 く は 業 の 勢 力 に よ る も の で あ る か ら 、 異 熟 で は な く と も 仮 に ﹁ 報 ﹂ と い っ て お り 、 こ れ が ﹃ 聡 伽 師 地 論 ﹄ ( 以 下 、 ﹃ 聡伽論 ﹄ と略称 。 ) の ﹁ 先 業 為 因 感 得 楽 受 ﹂ に あ た る と し て い る 0 ・ " 最 後 に ﹁ 贈 僧 正 云﹂と あ り 、 蔵 俊 の 見 解 が 引 用 さ れ て い る が 、 何 れ の 著 作 の 引 用 か は 不 明 で あ る 。 こ の 引 用 の 意 図 は ﹁ 今云﹂ の 中 、 ﹁ 有 人 尋 云 ﹂ の 一 つ 目 の 答 を 補 足 す る 役 割 を 担 っ て い る 。 ま ず ﹃ 述 記 ﹄ 4 を 引 用 し 、 そ の こ と に つ い て 解 釈 を 施 し て い る 。 ﹃ 述 記 ﹄ の 当 該 箇 所 は 第 八 識 が 楽 の 性 質 を も つ も の で あ れ ば 、 八 識 所 生 の 前 六 識 の 別 報 が 苦 と な る こ と は な く 、 逆 に 第 八 識 が 苦 の 性 質 を も つ の で あ れ ば 、 前 六 識 の 別 報 が 楽 と な る こ と は な い と 述 べ る も の で あ る 。 さ ら に 、 こ れ は 第 八 阿 頼 耶 識 が 苦 楽 い ず れ か の 性 質 を 持 つ べ き で あ る と す る 論 難 を 会 通 す る も の で あ る と 述 べ ら れ る 。 ま さ しく﹁ 有 人 尋 云 ﹂ の 一 つ 自 の 問 に 対 す る 答 の 補 足 す る も の で あ る と い え よ う 。 す な わ ち 、 論 難 に お い て は 苦 や 楽 と い う も の を 惣 報 で あ る 阿 頼 耶 識 と 結 び つ け て い る が 、 法 相 唯 識 は 惣 報 た る 第 八 阿 頼 耶 識 は 捨 受 に ほ か な ら ず 、 苦 楽 と い っ た も の は 前 六 識 の 業 に よ っ て 結 ぼ れ る 別 報 で し か な い 。 の 上 で 捨 受 と い う も の は 苦 や 楽 と 相 違 す る ( 相 容 れ な い ) 関 係 で は な い と い う こ と を 示 し て い る 。 こ こ で も 繰 り 返 し 、 報 が 苦 楽 に な る と い う こ と を 明 ら か に し て い る こ と が 分 か る 。 支 ﹄ pりに 11一 そ 守こ
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d n ィ , , L ' v h , , ト 龍谷大学例教学研究室年報第二 十 三 号 平 成 三 十 一 年良掠撰 ﹃ 恕草 ﹄ ﹁ 其 報 主 ﹂の翻刻読解研究(凶山) ︻ ﹃ 轍 伽 師 地 論 ﹄ ﹃ 瑞 伽 師 地 論 略 纂 ﹄ ︼ ︻ 解 説 ︼ ︻ 翻 刻 ︼ 聡 伽 論 第 二 云 又 処 胎 分 ノ 中 ェ 有 リ 自 性 受 不 苦 不 楽 依 誠 一 -増 長 ス 唯 此 性 ノ 受 ρ 異 熟 ニ 所 摂 マ 余 一 切 ノ 受 ρ 或 異 熟 所 生 一或 境 界 所 生 一文 苦 楽 受 ハ 或 於 一 時 ニ 従 縁 一現 起 或 時 ニ 不 起 } ︿ 文 ﹀ 同 抄 一 云 即 阿 頼 耶 識 相 応 捨 受 ρ 是 異 熟 ノ 主 ナ H 捨 ρ 有 三 余 受 一名 自 性 受 ↓ 異 熟 生 ト 者 従 真 異 熟 -所 生 一体 非 異 熟 一異 熟 義 如 二 十 唯 識 疏 第 二 巻 ︿ 云 云 ﹀ 12 -別 報 の 苦 楽 が 異 熟 で は な く 惣 報 の 第 八 阿 煩 耶 識 か ら 生 ず る も の で あ る と す る 根 拠 と し て ﹃ 瑞伽諭﹄ . 一 。 と こ こ で は 惣 報 た る 真 異 熟 の 体 が 第 八 阿 頼 耶 識 で あ る と い う こ と 、 ﹁ 略築 ﹄ ( 以 下 、 と 略 称 。 ) 日 があげられている。 ﹃ 聡 伽 師 地 論 略 纂 ﹄ ﹃ 瑞 伽 論 ﹄ の 当 該 は 箇 所 は 有 の 中 本 有 の 胎 内 増 長 の 相 を 明 か す も の で あ る 。 の 司 俳 人 (第八阿頼耶識) ﹁不苦不楽﹂ と あ る よ う に 捨 受 で あ る と い う こ と が 示 さ れ て い る 。 第 八 阿 頼 耶 識 の 上 に 直 接 的 に 現 縁 に よ り 生 ず る 場 合 や 生 じ な い 場 合 が あ る と 示 さ れ て お り 、 従 縁 現 或 時 不 起 ﹂ とあるように、 れ る も の で な い こ と が 示 さ れ て い る こ と が わ か る 。 この ﹃ 聡 伽 論 ﹄ の 箇 所 に つ い て 解 釈 さ れ た も の が 、 第 八 阿 頼 耶 識 が 異 熟 の 主 で あ る こ と が 述 べ ら れ て い る 。 すなわち、 こ の 世に 生 を う け る に つ い て 自 性 さ ら に 苦 楽 に つ い て も ﹁ 或 於 一 時 こ こ に 引 か れ る ﹃ 略 纂 ﹄ すなわち、 そ の 所 述 は よ り 明 確 である。 であり、 さ ら に ﹁ 捨 は 余 受 有 る を ば 自 性 受 と 名づく﹂ とあることから、 惣 報 た る 第 八 阿 頼 耶 識 が 捨 受 に 余 受 が あ る と し 苦 楽 に 相 違 し な い こ と を 示 し て い る 。 ま A E 4九 、 前 六 識 の 上 に 苦 楽 等 と し て あ ら わ れ る 異
熟 生 の 体 は 異 熟 で は な い と し て お り 、 て い る 。 こ こ で も 直 接 的 に 苦 楽 が 惣 報 で あ る 阿 頼 耶 識 の 上 に あ ら わ れ る も の で な い こ と が 示 さ れ こ こ に お い て も 、 惣 報 と 別 報 に つ い て 述 べ ら れ て お り 、 特 に 別 報 が 苦 楽 と 相 応 す る も の で あ る と い う こ と が 繰 り 返 し 述 べ ら れている。 龍 谷 大 学 的 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 サ 平 成 三 十 一 年 唐 決 云 ︿ 源 信 ﹀ 第 二 疑 云 唯 識 等 論 ニ 以 第 八 識 寸 為 善 悪 業 ヵ真異 熟 果 ↓ 余 ρ 是 異 熟 生 ェ シ テ 非 真熟ノ体 一一 ︿ 云 云 ﹀ 疑 者 云 悪 業 ρ 感 苦 果 ↓ 善 業 ρ 感 善 果 ↓ 是 則 作 業 13
-良知撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁瓦報主﹂の翻刻読解研究(西山) 受 果 ノ 定 レ ル 理
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第 八 円 唯 是 捨 受 ト 相 応 ス 若 善 悪 ノ 業 因 以 第 八 二 局 其 異 熟 ↓ 則 違 シ メ 前 ノ 理 一 由 此 一 応 云 悪 業 ρ 以 逼 迫 ノ 受 -為 真 異 熟 叶 善 業 ρ 以 適 悦 ノ 受 一為 真 異 熟 一其 第 八 識 為 惣 ノ 所 依 ↓ 即 立 霊 云 汝 ヵ 悪 趣 ノ 第 八 円 非 悪 趣 真 報 主 一 ︿ 宗 ﹀ 捨 受 相 応 故 如 人 天 第 八 ︿ 轍 ﹀ ︿ 因 ﹀ 通 云 今 案 第 八 タ 名 真 異 川 知 ↓ 者 酬 牽 引 業 ↓ 逓 ニ シ テ 而 無 断 山変 為 シ テ 身 器 ↓ 作 有 情 ノ 依 -云 故 也 余 識 ρ 従 此 一生 ヵ 故 名 異 熟 生 ↓ 捨 受 ρ 不 違 苦 楽 口 叩 -故 如 無 記 ノ 性 引 普 悪 倶 ニ 招 随 先 引 業 転 ↓ 転 シ テ 不 待 現 縁 一任 善 悪 業 ノ 勢 力 一 日 転 ヵ 故 云 与 此 識 一 相 応 然 善 悪 業 感 苦 楽 果 一実 如 所 言 一謂 福 不 動 ノ 業 ρ 感 人 天 惣 別 報 -非 福 業 感 三 悪 趣 引 満 果 一也 寧 違3
ャ 依 善 悪 業 一 感 ル 苦 楽 果 一之 義 -耶 而 如 前 疑 一者 似 妄 引 満 ・ ・ 14一こ こ で は 源 信 の ﹃ 唐 決 ﹄ 第 二 疑 が 述 べ ら れ て お り 、 さ れ て い る も の の 、 ﹃ 成 唯 識 論 本 文 抄 ﹄ 論 義 ﹁ 真 報 主 ﹂ 云 ﹂ と な っ て い る 。 -Z ﹃ 唐 決 ﹄ の引用の冒頭では、 ﹁ 第 八 識 が 善 悪 業 の 真 異 熟 の 果 で あ り 、 そ の 他 は 異 熟 生 で あ り 真 興 熟 の 体 で は な い ﹂ 相 の 立 場 が 紹 介 さ れ て い る 。 続 い て 法 相 側 に 対 す る 論 難 が 進 め ら れ て い る 。 そ の 内 容 は 、 恕 業 は 恕 果 を 結 び 、 善 業 は 善 果 を 結 ぶ の は 定 ま っ た 理 で あ り 、 捨 受 と の み 相 応 す る 第 八 識 が 善 悪 の 業 因 の 真 奥 熟 と な る こ と は 、 こ の 道 理 に 背 く と い う も の で あ る 。 こ の 道 理 を 鑑 み れ ば 悪 業 は 逼 迫 の 受 が 真 異 熟 で あ り 、 普 業 は 適 悦 の 受 が 真 異 川 知 で な け れ ば な ら な い と す る の で あ る 。 る か ら 第 八 阿 頼 耶 識 は 惣 所 依 に 他 な ら な い と す る の で あ る 。 こ の よ う な 論 難 を す す め 、 っ て 唯 識 の 立 場 を 批 判 し て い る 。 そ の 論 証 式 は 三 支 作 法 と 言 われるもので、 ︻ 解 説 ︼ 汝 が 悪 趣 の 第 八 は 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ざ る べ し 捨 受 相 応 な る が 故 に ︿ 因 ﹀ 人 天 の 第 八 の ご と し ︿ 喰 ﹀ ︿ 告 示 ﹀ 龍 谷 大 学 例 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 随 宜 五 受 ト 相 応 ス ル 義 及 其 異 熟 ト L L 生 ; 義 ・ 疏 繋 広 : 不可具ニ記 一又誰ノ有智之人泊以苦楽受 心 所 二 日 テ 為 シ 真 異 熟 ↓ 以 捨 受 相 応 因 イ 遮 ン ヤ 第 八 真 異 熟 之 義 イ 耶 既 ニ 疑ヒ大乗之義 ↓ 又 異 ナ 3 経 部 サ ハ タ 所 執 之 義 4 雌 大 小 乗 一 -有 何 所 詮 ↓ 耶 ︿ 文 ﹀ そ れ に 対 す る 主 恩 の 会 通 が 引 用 さ れ て い る 。 こ こ で は 単 に の 箇 所 に 引 用 さ れ る も の と 同 一 の 内 容 で あ り 、 そ こ で は ﹁通云﹂とな ﹁主思法師通 と い う 法 15 -そ う で あ そ の 考 え に 基 づ い て 因 明 の 論 証 式 に よ 以 下 の 通 り で あ る 。
良算 撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁瓦報主﹂の翻刻読解研究(西 山) ﹃ 唐 決 ﹄ の 論 難 は 普 で も 悪 で も な く 、 た だ 捨 受 相 応 で あ る 第 八 阿 頼 耶 識 が 苦 や 楽 の 果 を 結 ぶ こ と は 、 果 の 道 理 に 背 く と い う 点 に 集 約 す る こ と が 出 来 、 こ の 主 張 に 基 づ き 因 明 の 論 証 式 が 立 て ら れ て い る 。 こ れ に 対 し ﹁ 通 云 ﹂ で は こ れ ま で と 同 様 に ﹃ 成 論 ﹄ ・ =を 引 き つ つ 第 八 阿 頼 耶 識 が 真 異 熟 で あ り 、 捨 受 相 応 で あ る こ と は 苦 楽 に 相 違 す る も の で は な い た め 苦 や 楽 の 果 報 を 結 ぶ こ と が で き る と 答 え る 。 捨 受 が 苦 楽 の 果 を 結 ぶ と い う 先 の 論 難 に つ い て は ﹃ 成 論 ﹄ の ﹁ 随 先 引 業 転 不 待 現 縁 任 善 悪 業 勢 力 転 故 云 与 此 識 相 応 然 善 悪 業 感 苦 楽 果 ﹂ を 引 き 、 第 八 阿 頼 耶 識 が 現 在 世 の 縁 を 待 た ず に 善 悪 の 業 の 勢 力 に 任 せ て 転 ず る の で 、 第 八 識 と 相 応 して 善 悪 業 が 苦 楽 の 果 を 結 ぶ と し て い る 。 -Z こ の こ と に よ っ て 福 業 や 不 動 業 は 人 天 の 惣 報 と 別 報 を 結 び 、 非 福 業 は 引 業 に よ る 果 と 満 業 に よ る 果 を 結 ぶ の で あ る 。 ち な み に 引 業 に よ る 果 と は 惣 報 に あ た り 、 満 業 に よ る 果 は 別 報 に あ た る 。 こ の よ う に み れ ば 善 業 によ っ て 楽 果 が 、 悪 業 に よ っ て 苦 果 が む す ば れ て お り 、 論 難 は 適 当 な も の で は な い と い う こ と を 言 わ ん と し て い る 。 さ ら に 智 の あ る 者 で あ れ ば 阿 頼 耶 識 か ら 生 ず る 奥 熟 生 た る 前 六 識 の 苦 楽 受 の 心 所 を 真 異 熟 と し た り 、 苦 楽 と 相 違 す る も の で な い ﹁ 捨 受 相 応 ﹂ と い う 因 を も っ て 第 八 阿 頼 耶 識 が 真 興 熟 で あ る こ と を 否 定 す る こ と は な い と し て 、 先 の 論 難 を 厳 し く 非 難 す る の で あ る 。 ま た 論 難 の 内 容 は 大 乗 の 教 え で も な け れ ば 、 経 門 地 部 や 有 部 の 所 説 に も 異 な る と 厳 し く 断 じ て い る 。 こ こ に み ら れ る 作 業 受 16
-︻ A7 云 ︼ ︻ 原 文 ︼ 間 谷 大 学 協 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 ︻翻 刻 ︼ 今 見 源 之 所 難 旨 一許 第 八 為 惣 所 依 ↓ 大 集 其 異 熟 義 一不 許 之 -依主思ノ意 一 -成 第 八 識 真 巽 熟 ノ 義 -惣 有 十 三 故 一者第八 無 記 故 有 漏 第 八 其 性 既 是 無 覆 無 記 若 非 異 熟 一 四 無 記 ノ 中 何 性 耶 ︿若云設 雌 異 熱 性 何 必 報 主 耶 ﹀ 二 者 第 八 所 依 故 既 第 八 識 諸 識 所 依 三 有 根 本 若 許 異 熟 一尤 可 報 主 づ 三 者 引 業 所 感 ノ 故 業 果 有 二 引 満 因 及 果 也 第 八 既 酬 牽 引 ノ 業 一室 非 真 興 熟 ︿ 若 云 第 八 何 必 業 所 感 耶 ﹀ 劣 故 第 八 自 性 微 制 段 劣 非 善 悪 性 一若 無 業 ノ 四 者 第 八 趣 17一
良算撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁真報主﹂の翻刻読解研究(西山) 助 一寧 得 生 一耶 五 者 不 待 現 縁 一室 不 先 業 之 牽 引 果 -耶 ︿若云苦楽 何 故 非 報 主 耶 ﹀ 六 者 苦 楽 不 遍 故 七 者 苦 楽 間 断 故 ︿ 己 上 二 故 在 諭 ﹀ 八 者 苦 楽 易 脱 故 ︿ 在 疏 ﹀ 九 者 背 楽 非 報 主 故 苦 楽 互 遊 不 応 己 ︿ 主 イ﹀相 ︿ 若 云 捨 受 微 塵 何 為 報 主 耶 ﹀ 十 者 捨 受 中 容 故 捨 受 不 違 苦 楽 品 故 尤 応 主 義 一十 一 性 受 相 例 故 如 無 記 性 善 悪 倶 十 二 能 所 顛 倒 故 若 以 苦 楽 以 主 一以 捨 受 一為 伴 ↓ 者 転 識 為 所 依 第 八 可 為 能 依 ↓ 若 許'邪者能所依義 便 為 顛 倒 ︿若云文 理 雌 有 因 果 不 順 之 理 私 不 遮 ﹀ 十 三 惣 別 有 殊 放 惣 報 捨 受
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不 違 苦 楽 一是 真 興 熟 義 也 六 識 別 報 苦 楽 相 応 苦 酬 悪 業 一 楽 依 前 国 一汝 之 所 難 不 弁 惣 別 ↓ 就 中 第 八 惣 果 於 普 趣 ノ 中 一 -生 別 報 ノ 楽 サ 於 三 悪 趣 一 - 生 別 報 ノ 苦 イ 故 引 果 中 雄 無 苦 楽 一所 生 六 識 異 熟 為 其 ・ ・ 18一︻ 解 説 ︼ 別 一彼 此 相 順 為 能 所 依 一為 能 所 生 一為 主 伴 -. . 別 -因 果 道 理 室 不 許 此 能 可 知 此 旨 イ 又 経 部 所 執 義 者 見 倶 舎 諭 第 三 巻 以 前 因 分 一惣 報 ノ 果 -以 眼 等 ︿ 七 色 恨 加 命 根 ﹀ 及 四 受 根 名 為 別 報 既 以 不 相 応 行 一為 惣 報 一不 取 苦 楽 等 受 一 也 源 之 所 疑 又 不 当 小 乗 一三 ︿ 為 ι 一 一 口 ﹀ ︿ 除 憂 余 ノ 四 ﹀ こ こ で は 源 信 の も の と さ れ る ﹃ 唐 決 ﹄ は 第 八 阿 頼 耶 識 が ﹁ 惣 所 依 ﹂ で あ る と い う こ と を 認 め て い る も の の 不 十 分 で あ る こ と を 指 摘 し 、 主 恩 の 意 に よ れ ば 第 八 阿 頼 耶 識 が 真 異 熟 で あ る と い う こ と に つ い て 次 の 十 三 の 理 由 が あ る こ と を 示 し て い る 。 19 -① 無 磁 無 記 に は 同 県 川 知 生 ・ 威 儀 路 ・ 工 巧 処 ・ 変 化 の 四 つ が あ る が 、 第 八 識 の 無 覆 無 記 は 異 熟 生 に し か な り 得 な い か ら 。 ② 第 八 識 は 諸 識 の 所 依 で あ り 、 三 有 の 根 本 で あ る か ら 。 ③ 第 八 識 は 衆 生 と し て の 総 体 的 果 報 を 結 ぶ 引 業 に よ る も の で あ る か ら 。 ④ 第 八 識 は 艇 劣 で あ り 、 善 悪 業 の 助 け を 無 く し て は 次 の 生 を 結 ぶ こ と は 出 来 な い か ら ⑤ 第 八 識 は 現 在 世 の 縁 を 待 た な い の で 、 過 去 世 の 業 に よ っ て 引 か れ る 果 で あ る か ら 。 ⑥ 苦 楽 は 三 界 に 遍 じ て あ る も の で は な い か ら 。 ⑦ 苦 楽 に は 間 断 が あ る か ら 。 ③ 苦 楽 は 脱 し や す い も の で あ る か ら 。 ③ 苦 楽 は 主 と な る も の で は な く 、 し か も 互 い に 相 違 す る も の で あ る か ら 。 龍 谷 大 学 協 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年
良算撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁真報主﹂の翻刻読解研究(西山) ⑮ 捨 受 で あ る 第 八 識 は 中 容 で あ り 、 苦 に も 楽 に も 相 違 す る も の で は な い か ら 。 ⑪ 捨 受 と は 無 記 性 の よ う な も の で あ り 、 善 悪 と 倶 な る も の で あ る か ら 。 ⑫ 苦 楽 受 を 真 異 熟 の 体 と な せ ば 、 能 所 が 顛 倒 し て し ま う か ら 。 ⑬ 前 世 の 業 に よ っ て 今 世 に 生 を う け る に あ た っ て 惣 報 と 別 報 の 殊 な り が あ る か ら 。 こ の 中 、 特 に ⑬ は 源 信 の も の と さ れ る ﹃ 唐 決 ﹄ の 論 難 に 対 す る も の で あ る と 考 え ら れ る 。 こ の 惣 報 と 別 報 を 考 慮 し な い こ と で ﹃ 唐 決 ﹄ の よ う な 離 が な さ れ る の で あ る と 断 じ て い る 。 惣 報 は 捨 受 で あ り 、 苦 楽 に 相 違 す る も の で は な い の で 真 異 熟 と な る 。 ま た 六 識 の う え に 現 れ る 別 報 は 苦 楽 に 相 応 し -て お り 、 苦 は 悪 業 に 、 楽 は 普 業 に よ る も の と な る 。 捨 受 で あ る 第 八 識 は 総 体 的 果 報であり、 普 趣 の 中 に あ っ て は 別 報 の 楽 を 生 じ 、 悪 趣 の 中 で は 別 報 の 苦 を 生 じ る の で あ る 。 こ れ に よ っ て 業 に よ っ て 苦 楽 が 結 ぼ れ て い る こ と が 明 ら か と な り 、 作 業 受 果 の 道 理 に 合 わ な い と い う 論 難 を 会 通 す る こ と が で き る の で あ る 。 ま た 、 先 の 主 恩 の 会 通 に あ っ た 経 量 部 の 所 説 に も 異 な る と い う こ と に も 言 及している。 舎 論 ﹄ と 略 称 。 ) に お い て も 不 相 応 行 を 惣 報 と し 、 別 報 が あ る と し て い る 。 よ 凶 一 方 ﹃ 唐 決 ﹄ る も の の 惣 報 や 別 報 に あ た る も の は な く 、 論 難 は 小 乗 の 所 説 に も 及 ば な い と 断 じ て い る 。 ﹃ 阿 毘 達 磨 倶 舎 論 ﹄ 三 巻(以下、 ﹃ 倶 で は 第 八 識 を ﹁ 惣 所 依 ﹂ と は し て い 20一
龍谷大学防教学研究 室 年 報 第 二 十 三号 平成 三 十 一 年 ︻ 翻 刻 ︼ 問 比 量 有 何 過 一耶 湛 秀 己 諮 云 有 法 自 相 相 違 ノ 過 一即 立 畳 一云 我 悪 趣 第 八 ︿ 有 法 ﹀ 可 自 界 趣 生 報 主 ︿ 法 ﹀ 許 相 談 捨 受 相 応 -故 ︿ 因 ﹀ 如 人 天 第 八 ︿ 喰 ﹀ 又 作 相 違 決 定 一云 我 悪 趣 第 八 可 自 界 趣 生 報 主 一許 酬 引 業 一故 如 人 天 ノ 第 八 一 贈 僧 正 云 法 自 相 川 能 別 相 替 亦 似 改 本 因 -不 似 常 途 違 決 無 両 宗 事 反 義 一又 能 別 摂 - 21一
良 材 料 撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁ 古 川 報主﹂の翻刻読解研究(西山) 人 天 趣 生 報 主 - 何 又 為 岡 崎 耶 ︿ 云 云 ﹀ 有 人 云 有 共 不 定 過 一作 法 云 為 人 天 第 八 一捨 受 相 応 故 悪 趣 第 八 非 悪 趣 真 報 主 一 -為 如 倶 時 触 等 捨 受 相 応 悪 趣 第 八 悪 趣 真 報 主 耶 勝 超 云 此 義 不 然 既 云 報 主 一関 心 所 }耶 何 以 触 等 為 不 定 敵 一耶 有 人 勘 違 決 云 我 悪 趣 第 八 応 恕 趣 真 報 主 悪 趨 第 八 識 種 子 現 行 倶 一 摂 故 如 悪 趣 第 八 ノ 極 子 イ 難 云 有 法 云 悪 趣 第 八 一者 通 種 現 一故 以 種 子 一不 可 付 相 違 決 定 - 22一 答 若 就 因 可 有 随 一 不 成 過 一種 子 ノ 第 八 非 捨 受 相 応 一故 文 勘 違 決 一 京 我 悪 趣 第 八 識 ρ 応 非 L 寸 -悪 趣 真 報 、王 一悪 業 所 感 故 如 汝 悪 趣 真 異 熟 一 ︿ 喰 ﹀ 贈 僧 正 云 又 勘 同 過 一云 我 悪 趣 第 八 識 応 ・ ・
真 報 主 一除 心 所 一酬 引 業 一果 故 如 汝 許 悪 ・ ・ 真 報 主 一 ︿ 鳴 ﹀ 数 論 師 対 大 乗 一立量 ゴ 玄 我 所 執 我 体 定 ( イ 無 ) 非 定 ( 是 ) 一 一 許 更 相 遍 故 如 汝 大 乗 同 処 不 相 離 色 ︿ 灯 二 文 ﹀ 大 乗 師 対 有 部 -立量 ゴ 玄 汝 六 識 業 所 感 者 是 異 熟 所 生 へ シ 非 恒 相 続 故 如 自 許 声 等 流 ︿ 疏 四 本 ﹀ 薩 婆 多 対 大 乗 -立
E
-
云 大 乗 無 表 色 定 実 有 2 体 非 極 微 等 是 無 対 故 如 許 定 果 色 ︿ 因 明 疏 中 巻 ﹀ 以 此 等 作 法 可 為 例 也 23 -︻ 解 説 ︼ こ れ 以 降 は 、 本 短 釈 の 後 半 に あ た り 、 ﹃ 唐 決 ﹄ に あ る 三 支 作 法 に つ い て 述 べ ら れ る こ と と な る 。 す な わ ち 天 台 側 の 論 証 式 に ど の よ う な 過 失 が あ る か 、 ま た 指 摘 し た 過 失 が 正 当 な も の か と い う 観 点 で 論 が 進 め ら れ て い く 。 先 に 挙 げ た 主 思 の 会 通 に よ り 十 分 に 天 台 側 の 論 難 の 会 通 は な さ れ て い る 。 しかし、 主 恩 の 会 通 で は 天 台 の 三 支 作 法 に つ い て は ﹁ 誰 か 有 智 の 人 ( 中略 ) 捨 受 相 応 の 因 を も っ て 第 八 真 異 熟 の 義 を 遮 せ ん や ﹂ と 一 蹴 す る の み で 、 具 体 的 に ど の よ う な 過 失 が あ る の か と い う こ と まで は 言 及 し て い な い 。 よ っ て 主 恩 以 降 、 天 台 側 の 論 難 の 過 失 に つ い て 様 々 に 検 討 さ れ る に 至っ た の で あ る 。 そ の こ と は 過 失 を 指 摘 し 、 そ の 過 失 の 正 当 性 を 検 討 す る と い う 一 連 の 流 れ か ら も 見 て 取 れ る 。 つ ま り 、 主 恩 の 会 通 で は 天 台 側 の 因 明 の 論 式 上 の 過 失 が 明 ら か に な っ て お ら ず 、 そ れ を 確 定 さ せ て い く 必 要 が 後 世 の 学 侶 に は あ っ た と い え る 。 そ う い っ た 試 行 錯 誤 の 跡 が 本 短 釈 に は 見 る 事 が 出 来 、 こ れ 以 降 は 天 台 の 論 難 に 対 す る 論 理 構 築 の 過 程 と し て 非 常 に 重 要 な 内 容 で あ る 。 出 谷 大 学 仰 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年良 算 撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁ 瓦報主 ﹂ の翻刻読解研究(西山) ﹁ 湛 秀 己 都 云 ﹂、﹁問僧正 云 ﹂ 、 ﹁ 有 人 云 ﹂ 、 ﹁ 勝 趨 云 ﹂ 、﹁有人勘違 決云﹂ 、 ﹁ 雛 云 ﹂ と 先 哲 ﹁ 湛 秀 己 抑 制 云 ﹂ に お い て 付 す べ き 過 失 が 示 さ れ 、 ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ で 付 さ れ た 過 失 に つ い て 検 討 が な さ れ ﹁ 有 人 云 ﹂ ・﹁有人勘違決云 ﹂ で過失が、﹁勝超 云 ﹂ ・ ﹁ 難 云 ﹂ で 付 さ れ た 過 失 に つ い て の 検 討 が 為 さ れ て い る 。 そ れ ら を 踏 ま え ﹁ 答 ﹂ で 付 す べ き 過 失 が 述 べ ら れ 、 最 後 に 参 考 と す る べ き 因 明の 論 式が 挙 げ ら れ て い る 。 な る 天 台 側 が 立 て た 三 支 作 法 は 先 に あ げ た も の で あ る が 、 改 め て 次 に 示 す 。 ま ず ﹁ 間 ﹂ の 解 釈 が 並 べ れ ら れ る 、 る 。 同 様 に そ し ここでは、 が 立 て ら れ 、 て 、 今 回、問題と 汝 が 悪 趣 の 第 八 は 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ざ る べ し 捨 受 相 応 な る が 故 に ︿ 因 ﹀ 人 天 の 第 八 の ご と し ︿ 申 市 ﹀ ︿ 喰 ﹀ ﹁ 問 ﹂ ではこの 三 支 作 法 に つ い て ど の よ う な 過 失 が あ る の か と 述 べ ら れ る 。 ﹁ 湛秀己誹云﹂ ・ ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ で は ﹁ 湛 秀 己 諮 云 ﹂によ っ て 天 台 側 が 立 てた 三 支 作 法 に 付 す べ き 過 失 が 挙 げ ら れ 、 ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ で そ の 検 討 が な さ れ て い る と い っ て よ い 。 ﹁湛秀己都云 ﹂ は 蔵 俊 の ﹃ 唯 益 抄 ﹄ と 問 機 の 引 用 が 見 ら れ 、 ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ は ﹃ 唯 盟 抄 ﹄ に お け る ﹁ 湛 秀 己 誠 云 ﹂ に 続 く 蔵 俊 の 私 見 の 取 意 で あ る 。 ・ 5 ここでは ﹁ 湛 秀 己 諮 云 ﹂ で過 失 を 指 摘 す る 論 証 式が 立 てられ る が 、 蔵 俊 に よ っ て そ れ が 通 常 の も の で な い こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 ﹁ 湛 秀 己 諮 云 ﹂ に よ っ て 示 さ れ る 過 失 は 法 自 相 相 逃 の 過 失 と 相 違 決 定 の 過 失 の 二 つである 。 ま ず 、 法 自 相 相 違 の 過 失 と は 理 由 披 拠 ( 因 ) が 主 張 命 題 の ・ 賓 辞 ( 法 白 相 ) に 相 違 す る 過 失 で あ り 、 正 反 対の 主 張 を も 成 立 さ せ て し ま う も の で あ る 。 す な わ ち 、 法 相 の 立 場 で は 真 報 主 と は 真 異 熟 の 体 で あ る 第 八 阿 頼 耶 識の こと をいうので、﹁捨受 相 応 な る が 故 に ﹂ と い う 理 由 根 拠 ( 因 ) は 天 台 側 の 立 て る ﹁ 真 報 主 に あ ら ざ る べ し ﹂ と い う 主 張 命 題 の 賓 辞 ( 法 白 相 ) と 相 違 す る のである 。 こ の 相 遣 を 指 摘 す る 論 証 式 は 次 の 通 り で あ る 。 24 -︿ 法 自 相 相 違 ﹀
我 が 悪 趣 の 第 八 は 自 界 趣 生 の 報 主 な る べ し 。 相 続 ・ 捨 受 相 応 を 許 す が 故 に 人天の第八の如し︿崎﹀ ︿ { 示 ﹀ ︿ 因 ﹀ こ の 法 自 相 相 違 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 が 通 常 の も の と は 異 な る こ と が ﹁贈僧正 云 ﹂ に よ っ て 指 摘 さ れ て い る 。 通 常 で あ れ ば 、 主 強 命 題 の 賛 辞 ( 法 白 相 ) を 正 反 対の 主 張 に 替 えるの み で 十 分 で あ り 、 今 回 の よ う に 理 由 根 拠 で あ る 。 ( 因 ) ま で 改 め る 必 要 は な い の 次 に 天 台 側 の 論 証 式 の も う 一 つ の 過 失 と さ れ る 相 違 決 定 と は 、 対 論 す る 両 者 の 主 張 が 、 そ れ ぞ れ 矛 盾 す る 別 の 正 当 な 理 由 根 拠 ( 因 ) を 備 え て い る も の で あ る 。 相 違 決 定 は 立 論 者 お よ び 対 論 者 の 論 証 式 が 正 当 な も の で あ っ て も 、 結 局 の と こ ろ 互 い の 主 張 を 論 破 す る こ と が で き な い の で 論 争 に 主 眼 を 置 く 因 明 で は 過 失 と さ れ て い る 。 そ の 天 台 側の 主 張 と 正 反 対 の 主 張 を 指 摘 す る 論 証 式 が に 示 さ れ て い る 。 ﹁湛秀己講云﹂ すなわち、 25 -︿相逃決定﹀ 我 が 悪 趣 の 第 八 は 自 界 趣 生 報 主 な る べ し 引 業 に 酬 す る を 許 す が 故 に 人天の第八の如し︿喰﹀ ︿ { 示 ﹀ ︿ 因 ﹀ こ の 相 違 決 定 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 も 通 常 の も の と は 異 な る こ と が ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ 立 論 者 と 対 論 者 の 正 反 対 の 主 張 が な さ れ る は ず な の で 、 本 来 ﹁ 我 が 悪 趣 の 第 八 は 悪 趣 の 真 報 主 な る べ し ﹂ という 主 張 命 題 ( 宗 ) が 立 て ら れ な け れ ば な ら な い 。 さ ら に 、 相 違 決 定 は 立 論 者 と 対 論 者 の 論 証 式 が そ れ ぞ れ 完 全 な も の で な け れ ば な ら な い と い う 前 提 が あ る 。 実 は 、 こ こ に 挙 げ ら れ た 論 証 式 は 法 相 側 の 立 場 で も 完 全 な も の で は な い の で あ る 。 完 全 な 論 証 式 で あ る た め に は 喰 例 に は 主 張 命 題 賓 辞 ( 法 ) と 同 類 の 実 例 を 挙 げ る 必 要 が あ る 。 し か し 、 ﹁ 自 界 趣 生 報 主 な る べ し ﹂ と い う 主 張 命 題 賓 辞 ( 法 ) で は 指 摘 さ れ て い る 。 すなわち、 ( 除 ) 龍 谷 大 学 似 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年
良 算 概 供 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 真 報 主 ﹂ の翻刻読解研究(西山) 崎 例 の ﹁ 人 天 の 第 八﹂が含まれており同 類 の 実 例 と す る こ と は で き な い た め 、 完 全 な 論 証 式 と は い え な い の で あ る 。 ﹁ 有 人 云 ﹂ ・ ﹁ 勝 超 云 ﹂ で は ﹁ 有 人 云 ﹂ で 共 不 定 の 過 失 が あ る こ と が 指 摘 さ れ 、 ﹁ 勝 超 云 ﹂ で そ の過 失 の指摘が 妥 当 な も の で あ る か の 検 討 が 為 さ れ て い る 。 共 不 定 と は 理 由 根 拠 ( 因 ) が 主 張 命 題 ( 宗 ) と 同 類 の も の ( 同 口 問 ) の み な ら ず 異 類 の も の ( 異 を も 含 む た め 、 宗 を 成 立 さ せ る こ と が 出 来 な い 過 失 で あ る 。 こ こ で は 三 文 作 法 と は 異 な る 過 失 の 指 摘 の 方 法 が と ら れてい 先 の 法 自 相 相 違 の 過 失 や 相 違 決 定 の 過 失 の よ う に 論 証 式 に よ ら ず し て 過 失 を 指 摘 す る も の で あ る 。 '﹂斗品、 口 問 ) る 。 すなわち、 すなわち、 ︿ 共 不 定 ﹀ ・ 為 し 人 天 の 第 八 の 如 く や 、 . 為 し 倶 時 の 触 等 の如くや、 捨受相応なるが故に、 捨 受 相 応 惑 趣 の 第 八 は 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ず と や せ ん 。 (なるが放に)、悪趣の第八は悪趣の 其 報 主 と や せ ん 。 こ の 共 不 定 の 過 失 を 指 摘 す る 作 法 は 二 つ で 一 つ で あ り 、 あ る 種 の 難 詰 で あ る と い え る 。 詳 し く 云 え ば 、 人 天 の 第 八 識 が 捨 受 相 応 で あ る か ら 悪 趣 の 真 報 主 で は な く 、 悪 趣 の 第 八 識 も 捨 受 相 応 で あ る か ら 悪 趣 の 真 報 主 で は な い 。 ま た 、 一 方 で 心 所 の 触 が 捨 受 相 応 で あ る か ら 、 悪 趣 の 第 八 も 悪 趣 の 真 報 主 と な る 。 そ う で あ る な ら ば 悪 趣 の 第 八 は 悪 趣 の 真 報 主 な の か 、 そ う で な い の か と 難 詰 し て い る の で あ る 。 す な わ ち 、 理 由 根 拠 ( 因 ) の 意 味 す る 範 囲 が 広 す 、 ぎ る と 天 台 側 を 難 じ て い る の で あ る 。 し か し 、 ﹁ 勝 超 云 ﹂ で は 共 不 定 の 過 失 を 指 摘 す る 作 法 が 適 当 な も の で は な い と し て い る 。 す な わ ち ﹁ 報 主 ﹂ と い う 言 葉 は す で に ﹁ 触 ﹂ の 心 所 を 簡 別 し て お り 、 ﹁ 触 ﹂ を 用 い て 共 不 定 の 過 失 を 指 摘 す る 作 法 を 梢 成 す る ことはで き な い の で あ る 。 さ ら に 端 的 に い え ば ﹁ 伴 ﹂ で あ る 心 所 が 真 報 主 と い う ﹁ 主 ﹂ に な る こ と は な く 、 作 法 が 正 当 な も の で な い と し て い る 。 ﹁有人勘違決 云 ﹂ で は 相 違 決 定 の 過 失 を 三 支 作 法 を 立 て る こと で指摘し、﹁難 云 ﹂ で 過 失 の 指 摘 が 不 適 切 で あ る と し て い る 。 すなわち、 ﹁ 有 人 勘 違 決 云 ﹂ で は 次 の 論 証 式 を 立 て て 天 台 側 の 過 失 を 指 摘 し て い る 。 ︿相違決定﹀ 我 が 悪 趣 の 第 八 は ま さ に 悪 趣 の 真 報 主 な る べ し 。 ︿ 告 示 ﹀ 26一
悪 趣 の 第 八 識 の 種 子 現 行 は 倶 に 一 悪 趣 の 第 八 の 種 子 の 如 し ︿ 聡 ﹀ の 摂 な る が 故 に ︿ 因 ﹀ ﹁ 難 云 ﹂ で は 、 こ の 相 違 決 定 の 過 失 の 指 摘 が 適 当 な も の で は な い と し て い る 。 す な わ ち 、 こ こ で は 主 張 命 題 ( 宗 ) の 主 辞 ( 有 法 ) の ﹁ 悪 趣 の 第 八 ﹂ は 種 子 現 行 と 同 義 で あ る た め 論 証 式 と し て 成 り 立 た な い の で あ る 。 そ れ は 例 せ ば ﹁ 声 は 無 常 で あ る 。 声 で あ る か ら 。 ﹂ と い う 主 張 が 成 り 立 た な い よ う な も の で あ る 。 ﹁ 答 ﹂ は 、 ﹁ 湛 秀 巳 前 云 ﹂ 以 降 の 諸 々 の 引 文 を 踏 ま え た 上 で 天 台 側 の 論 証 式 に ど の よ う な 過 失 が あ る の か と い う ﹁ 問 ﹂ の 回 答 と な っ て い る 。 す な わ ち 、 天 台 側 の 論 証 式 に は 因 に つ い て は 随 一 不成の過失(理由桜拠(因)を立論者と対論者の 一 方が認めな と 相 違 決 定 の 過 失 が あ る と し て い る 。 相 違 決 定 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 は 次 の 通 り で あ る 。 いという過失) ︿相違決定﹀ 我 が 悪 趣 の 第 八 は 応 に 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ざ る に あ ら ざ る べ し 。 悪業の所感なるが故に。︿因﹀ 汝 の 悪 趣 の 真 異 熟 の 如 し 。 ︿ 宮 小 ﹀ 27 -︿ 喰 ﹀ こ の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 は ﹁ 湛 秀 巳 講 云 ﹂ ﹁ 有 人 勘 違 決 云 ﹂ に み ら れ た 問 題 点 を 解 決 す る 意 図 が 見 受 け ら れ る 。 ち 相 違 決 定 で あ る か ら 、 天 台 側 と 正 反 対 の 主 張 命 題 と す る た め に ﹁ 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ざ る に あ ら ざ る べ し ﹂ と し て お り 、 張 命 題 主 辞 ( 有 法 ) と 理 由 根 拠 ( 因 ) が 同 義 と な る こ と が 避 け ら れ て い る 。 随 一 不 成 に つ い て は 、 そ の 過 失 が あ る こ と を 示 す の み で 具 体 的 な こ と ま で は 言及がない。 こ の こ と か ら も 相 違 決 定 が 天 台 側 の 論 証 式 の 第 一 の 過 失 で あ る と いえる 。 続 く ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ で は 、 こ の ﹁ 答 ﹂ の 相 違 決 定 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 に つ い て 蔵 俊 の 見 解 を 引 用 す る こ と で 正 当 性 を 持 た せ る 目 的 が あ る 。 こ の 引 用 は 蔵 俊 の ﹃ 唯 量 抄 ﹄ で あ り 、 そ こ で は 次 の よ う な 論 証 式 が 立 て ら れ ている。 や すなわ 王 すなわち、 龍 谷 大 学 側 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年
良算撰 ﹃ 愚草 ﹄ ﹁ 其報主この翻刻読解 研究(西山) 我 が 悪 趣 の 第 八 識 は 応 に 悪 趣 の 真 報 主 な る べ し 。 心 所 を 除 き 引 業 に 酬 じ る 果 な る が 故 に 。 汝 が 許 す 悪 趨 の 真 報 主 の 如 し 。 ︿ 晴 ﹀ ︿ 告 示 ﹀ ︿ 因 ﹀ この 論 証 式 は 字 句 の 異 な り は あ る も の の 、 ﹁ 答 ﹂ の も の と 一 致 し て い る こ と か ら 、 ﹁ 答 ﹂ の 相 違 決 定 に つ い て 蔵 俊 の 見 解 を 引 く こ と で 、 そ の 所 述 が 確 か な も の で あ る と い わ ん と し て い る 。 そ し て 、 ﹃ 成 唯 識 論 了 義 灯 ﹄ ・ 3 ・ ﹃ 述 記 ﹄ 4 ・ ﹃ 因 明 入 正 理 論 疏 ﹄ ・ 3 を 引 き 、 参 考 に す る べ き 論 証 式 を 提 示 し て い る 。 こ の 箇 所 で は 、 法 自 相 相 違 、 共 不 定 、 相 違 決 定 の 三 つ の 過 失 が 候 補 と し て あ げ ら れ た 。 し か し 、 共 不 定 は 過 失 と す る の は 適 切 で な い と さ れ 、 法 自 相 相 違 と 相 違 決 定 に つ い て も 過 失 の 指 摘 の 作 法 が 通 常 の も の と 異 な る と さ れ て い る 。 そ の こ と を 踏 ま え 、 ﹁ 答 ﹂ で は 相 違 決 定 の 過 失 が あ る と し 、 過 失 の 指 摘 も 通 常 の 作 法 に 準 じ て い る 。 ま た 具 体 的 な 説 明 は な さ れ な い も の の 、 随 一 不 成 の 過 失 も あ る と 指 摘 さ れ て い る 。 す な わ ち 、 こ こ で は 相 違 決 定 、 随 一 不 成 の 二 つ が 過 失 と し て 提 示 さ れ て い る 。 28 -の 他 の 過 失 ︼ 文 ︼ ︻ 翻 刻 ︼ 又 云 凡 云 真 報 主 -者 具 酬 率 引 業 遍 而 無 断 変為身器作有情依義之法也是故悪趣耕一回趣 真 報 主 義 ρ 其 体 是 可 其 義 無 二 一若 か 悪 趣 真 報 主ノ義 ρ 即 人 天 真 報 主 ノ 義 善 趣 真 報 主 義 即 三 悪 趣 ノ 真 ( 無 イ ) 報 主 義 雄 是 一 体 酬 善 業 一
龍 谷 大 学 傍 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 逓 為 人 天 真 報 主 -酬 不 善 業 一為 悪 趣 報 主 一能 感 雌 興 一所 感 報 主 其 ・ 味 ニ シ テ 彼 此 無 替 若 が 本 畳 有 所 立 不 成 ノ 過 -尋 云 以 五 趣 業 因 随 報 一立定異因一何剰 以 業 一為 為 異 報 主 為 一 哉 文 因 有 法 自 相 L 逃 ノ 過 一作 法 云 我 悪 趣 第 八 非 L 悪 趣 ノ 真 報 主 -︿宗﹀捨受 相 応 故 ︿ 因 ﹀ 知 人 天 第 八 ︿ 轍 ﹀ 文 捨 受 相 応 本 極 成 因 ρ 成 悪 趣 真 報 主 ゴ 亦 成 人 天 報 主 ゴ 之 因 也 而 汝 恕 趣 第 八 応 非 悪 趣 之 真 報 主 -之 宗 違 本 極 成 ノ 因 故 有 比 宜 相 違 一如 瓶 等 是 常 宗 迫 初 無 後 無 故 或 所 作 性 故 因 -比 重 相 違 不 必 待 因 時 ↓ 何 必 立 岡 崎 哉 主 恩 云 誰 有 智 人 以 捨 受 相 応 因 ↓ 遮 第 八 真 興 熟 義 耶 ︿ 云 云 ﹀ 此 意 也 問 第 七 亦 唯 捨 ・ n y 吋 ノ
-良 算 削 供 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁ 寸 ハ ハ報主﹂の翻刻読解研究(西 山) 非 真 異 熟 -何 云 非 悪 趣 真 報 主 之 宗 ・ 捨 受 相 応 故 因 一耶 答 此 量 小 乗 所 立 也 小 乗 不 知 第 七 寸 何 以 之 為 不 定 敵 一耶若 大 乗 所 立 故 者 若 か 此 量 比 量 相 違 他 比 也 何 違 自 一為 失 -耶 可 案 ︿ 己 上 菩 提 院 ﹀ 勝 超 擬 詩 作 比 量 相 違 ↓ 云 我 第 八 是 応 真 報 主 捨 受 相 応 故 如 人 天 第 八 問 能 違 可 有 法 差 別 相 違 過 一応 是 真 報 主 -法 自 相 下 ニ 有 悪 趣 真 報 主 人 天 真 報 主 之 差 別 作 法 如 本 量 一答 是 可 不 可 有 今 正 所 帯 -是 第 八 真 報 主 義 也 惑 趣 報 主 人 天 報 非 対 敵 一所 諦 一故 無 此 過 一也 ︿ 以 上 ﹀ 贈 僧 正 云 此 比 詰 相 違 不 似 通 途 所 作 n u 今 J
︻ 解 説 ︼ 比町 一 法 自 相 比 量 相 違 也 而 本 塁 能 別 応 非 悪 趣 ノ 其 報 主 能 違 霊 能 別 只 云 真 報 主 一両 宗 不 相 返 因 之 業 感 捨 受 相 応 故 者 以 異 熟 六 識 捨 受 相 応 時 亦 為 不 定 敵 一者 当 改 可 云 唯 業 感 捨 受 相 応 故 欺 先 師 云 比 量 相 違 所 立 不 成 二 過 非 別 義 -敗 比 量 相 違 以 本 量 岡 崎 一則 為 能 違 喰 一故 但 主 恩 返 詞 挙 因 -顕過一今宗喰所勘 恐 不 彼 本 意 一敗 故 可 有 ( 存 イ ) 法 自 相 L 違 過 之 義 一敗 作 法 如 上 設 表 詮 立
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無 失 一 31 -ここ以降は、先の﹁ 答 ﹂ で 示 さ れ た 随 一 不 成 ・ 相 違 決 定 の 他 に ど の よ う な 過 失 が あ る か と い う こ と に つ い て 述 べ られて いる 。 全 体 の 流 れ を 先 に 示 せ ば 、 先 の 天 台 側 の 論 証 式 に は 所 立 不 成 の 過 失 ( 実例である鳴が主岐 命題の賓辞で ある法と同類の実 例となって いない過失)、法自相相違の過失、比量相違の過失(主張命題(宗)が、その過失を指摘する論証式の理由根拠(因)や実例(聡)と矛 盾する過失 ) が あ る こ と を 明 ら か に し て い る 。 その上で、 ﹁勝超擬講 作 比 量 相 違 云 ﹂ 、 ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ 、﹁先師云 ﹂ を 引 用 し 、 特 に 比 霊 相 違 の 過 失 に つ い て 詳 細 に 説 明 を 加 え る 形 と な っ て い る 。 ま ず 、 所 立 不 成 の 過 失 に つ い て は 実 例 ( 除 ) である 関 谷 大 学 仰 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三 号 平 成 三 十 一 年 ﹁ 人 天 の 第 八 ﹂ が 、 主 張 命 題 賛 辞 ( 法 ) ﹁悪趣の真報主 ﹂ である の実例良算撰 ﹃ 愚 草 ﹄ ﹁其報主﹂の翻刻読解研究(西山) と な っ て い な い と い う 実 例 ( 時 ) の 過 失 で あ る 。 人 天 の 第 八 と 悪 趣 の 真 報 主 は ど ち ら も 第 八 阿 頼 耶 識 で あ り 、 そ の 体 は 一 つ で あ る 。 ﹁ 声 は 無 常 で あ る ﹂ の 実 例 に ﹁ 声 ﹂ を 用 い る 事 が 出 来 な い よ う に 、 ﹁ 人 天 の 第 八 ﹂ も ﹁ 悪 趣 の 誌 報 主 ﹂ も 同 じ 第 八 阿 頼 耶 識 で あ る か ら 実 例 の 役 割 を 果 た す こ と が で き な い 。 こ の よ う な 理 由 の た め 所 立 不 成 の 過 失 が あ る と し て いるのである。 次 に 法 自 相 相 泣 の 過 失 は 、 先 に も 述 べ た と お り 、 理 由 根 拠 ( 同 ) が 主 張 命 題 の 賓 辞 ( 法 自 相 ) に 相 巡 す る 過 失 で あ り 、 正 反 対 の 主 張 を も 成 立 さ せ て し ま う も の で あ る 。 そ の た め 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 を 立 て る 場 合 、 通 常 の 作 法 で は 主 張 命 題 の ・ 封 辞 ( 法 自 相 ) を 正 反 対 に す る 。 先 の ﹁ 湛 秀 己 講 云 ﹂ に み ら れ る 論 証 式 は 理 由 根 拠 ( 因 ) ま で 改 め ら れ て お り 、 通 常 の 作 法 と は 異 な る と 指 摘 さ れ て い た 。 し か し 、 こ こ で は 法 自 相 相 違 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 を 通 常 の 作 法 に 則 り 次 の よ う に 立 て る 。 すなわち、 ︿法自相相違﹀ 我 が 恕 趣 の 第 八 は 悪 起 の 瓦 報 主 に あ ら ざ る に あ ら ざ る べ し 。 捨受相応なるが故に。︿因﹀ 人天の第八の如し。︿輸﹀ ︿ 告 示 ﹀ 32
一
こ の 法 自 相 相 違 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 は 通 常 の 作 法 に 基 づ き 、 主 張 命 題 賛 辞 ( 法 ) を 天 台 側 の 主 猿 と 正 反 対 の ﹁ 悪 趣 の 瓦 報 主 に あ ら ざ る に あ ら ざ る べ し ﹂ と す る の み で 、 理 由 椴 拠 ( 困 ) や 実 例 ( 愉 ) は 天 台 側 の 論 証 式 の も の を そ の ま ま 則 い て い る 。 ﹁ あ ら ざ る に あ ら ざ る べ し ﹂ と い う 腕 曲 な 表 現 が 用 い ら れ て い る の は 、 通 常 の 作 法 に 基 づ く こ と を 強 調 す る も の で あ る と 考 え られる。 ま た 天 台 側 の 論 証 式 に は 比 量 相 違 の 過 失 が あ る と 指 摘 さ れ て い る 。 比 量 相 違 と は 主 張 命 題 ( 宗 ) の 過 失 で あ り 、 主 張 命 題 ( 宗) が 理 由 根 拠 ( 因 ) に 相 違 す る と い う 過 失 で あ る 。 た と え ば ﹁ 瓶 は 常 住 で あ る ﹂ と い う 立 論 者 の 主 張 命 題 ( 宗 ) が 対 論 者 の ﹁ 瓶 は 無 常 で あ る 、 作 ら れ た も の で あ る か ら ﹂ と い う 主 張 の 理 由 根 拠 ( 因 ) と 相 違 す る こ と を い う 。 前 の 法 自 相 相 違 の 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 に も あ る 通 り ﹁ 捨 受 相 応 な る が 故 に ﹂ と い う 理 由 根 拠 ( 因 ) は 天 台 側 と 正 反 対 の 主 張 を 成 立 さ せ る も の で あ る 。 ま り 、 立 論 者 で あ る 天 台 側 の 主 張 命 題 ( 宗 ) が 対 論 者 で あ る 法 相 側 の 理 由 恨 拠 ( 囚 ) と 相 違 す る こ と と な り 、 つ 比 誌 相 逃 の 過 失L ﹂ ι u m ス w
。
﹁勝趨擬耕作比虫相違 云 ﹂ 式は次の通りである。 で は 比 祉 相 違 を 指 摘 す る 論 証 式 の妥当 性に つ い て 考 察 が 行 わ れ て い る 。 比 位 相 迎 を 指 摘 する論 証 ︿ 比虫相違﹀ 我 が 悪 趣 の 第 八 は こ れ 其 報 主 なるべし。 捨受相応なるが故に。 人天の第八のごとし。 ︿ 告 示 ﹀ ︿ 因 ﹀ ︿ 轍 ﹀ こ の 論 証 式 に 法 差 別 相 巡 の 過 失 が あ る の で は な い か と 間 を 立 て る 。 法 差 別 相 違 と は 論 証 式 の 理 由 恨 拠 ( 囚 ) と 主 張 命 題 賛 辞 ( 法 ) の 内 に 含 ん で い る 意 味 と が 相 違 す る と い う 過 失 で あ る 。 例 え ば 、 ﹁ 眼 等 は必 ず 他 の 為 に 用 い ら れるもの で ある 。 集 ま っ たもの で あ る か ら 。 寝 具 の よ う な も の で あ る 。 ﹂ と い う 論 証 式 を 数 論 師 が 仏 教 徒 に 立 て る と き 、 主 張 命 題 賛 辞 ( 法 ) には ﹁ 神我他﹂ と ﹁ 仮 我 他 ﹂の 二 つ の 芯 味 が 内 包 さ れ て い る 。 こ の 時 の ﹁ 集 ま っ た も の で あ る か ら ﹂ と い う 理 由 恨 拠 ( 因 ) が 数 諭 師 の ﹁ 紳 我 他 ﹂ を 成 立 さ せ な い だ け で な く 、 成 立 さ せ た く な い ﹁ 仮 我 他 ﹂ の 正 し い 理 由 恨 拠 ( 囚 ) とな っ てし ま う過 失 である 。 つ ま り 今 回 の 場 合 、 ﹁ 立 報 主 ﹂ と い う 主 張 命 題 の 賓 辞 の 下 に ﹁ 惑 越 の 其 報 主 ﹂ と ﹁ 人 天 の 其 報 主 ﹂ の怠許 差 別 が あ る の で 法 差 別相違の 過 失 と な る の で は な い か と 問 う の で あ る 。 こ の 間 に 対 し て 、 天 台 側 と の 論 争 の 主 眼 は 第 八 識 が 真 報 主 と な る か 、 否 か で あ る た め 、 主 張 命 題 賓 辞 ( 法 ) に ﹁ 悪 趣 の 真 報 主 ﹂ ﹁ 人 天 の 真 報 主 ﹂ の 二 つ の 意 味 が 内 包 さ れ て い て も 論 争 に 関 係 が な い た め 過 失 に当たらないと答えている。 t J 1 J と ﹁ 勝 超 擬 諮 作 比 量 相 違 云 ﹂ で 挙 げ た 比 量 相 違 は 法 自 相 比 虫 相 違 で あ る が 、 通 途 の 法 自 相 比 量 相 逃 と は 異 な る も の で あ る こ と が 指 摘 さ れ て い る 。 法 自 相 比 量 相 違 と は 理 由 根 拠 ( 因 ) に 法 自 相 相 違 の 過 失 が 有 る と き 、 主 張命題(心 不 ) 比 量 相 違 の 過 失 が あ る と す る も の で あ る 。 図 示 す れ ば 次 の 通 り で あ る 。 ﹁贈僧正云﹂ で は 龍 谷 大 学 仰 教 学 研 究 室 年 報 第 二 十 三号 平 成 三 十 一 年良算侠﹃思草 ﹄ ﹁其報主﹂の翻刻読解研究(西山) ︿法自相 相 違 の 過 失 のある論証式﹀ C で あ る か ら 。 ( 誤った因 ) ︿過失を指摘する論証式﹀ A は 唱 で あ る 。 C で あ る か ら 。 (正しい因) A は B である 。 法 自 相 相 逃 の 過 失 が あ る と き 、 の 理 由 根 拠 ( 因 ) ま た 比 量 相 違 は 過 失 の あ る 主 張 命 題 ( 宗 ) が 理 由 根 拠 ( こ の 場 合 、 過失を指摘する論証式の正しい因)と相違するものである。 か し 、 ﹁ 勝 超 擬 講 作 比 量 相 違 云 ﹂ に あ る 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 を 見 て み る と 、 天 台 側 の 論 証 式 の 主 張 命 題 賓 辞 ( 法 ) に は ﹁ 応 に 悪 趣 の 真 報 主 に あ ら ざ る べ し ﹂ と あ り 、 過 失 を 指 摘 す る 主 張 命 題 賓 辞 ( 法 ) に は ﹁ 真 報 主 ﹂ と あ る 。 こ の 二 つの 主 張命題賛辞(法) は B と 也 と の 関 係 と は 少 々 異 な る 。 ま た 過 失 を 指 摘 す る 論 証 式 の ﹁ 捨 受 相 応 な る が 故 に ﹂ と い う 理 由 根 拠 ( 因 ) も ﹁ た だ 業 感 の 捨 受 相 応 な る が 故に ﹂ と す る べ き で あ り 、 理 由 根 拠 ( 因 ) も 改 め る こ と と な る 。 このことから、 ﹁勝超擬前 作比円 以 相 迎 云 ﹂ と は 異 な る 比 量 相 迎 を 指 摘 す る 論 証 式 を 必 要 と す る こ と が 読 み 取 れ る 。 ﹁ 先 師 云 ﹂ で は 主 張 命 題 ( 京)の 過 失 で あ る 比 量 相 違 と 実 例 ( 除 ) の 過 失 で あ る 所 立 不 成 は 別 々 の も の で は な い と 指 摘 し て い る 。 し か し 、 改 め て 主 恩 の 会 通 を 見 て み る と ﹁ 誰 か 有 智 の 人 ( 中 略 ﹀ 捨 受 相 応 の 因 を も っ て 第 八 真 異 熟 の 義 を 遮 せ ん や ﹂ と あ る よ う に 、 理 由 服 拠 ( 因 ) に 過 失 が あ る こ と を 明かし、 主 張 命 題 ( 宗 ) や 実 例 ( 除 ) には 言 及 し て い な い 。 こ の 点 か ら 、 主 張 命 題 ( 宗 ) や 実 例 (怜)について検討を 加 え る こ と は 主 思 の 本 訟 で は な か っ た と し 、 天 台 側 の 論 証 式 に は 法 自 相 相 迎 の 過 失 を 付すべ き で あ る と し て い る 。 同 が用いられ、 主 強 命 題 賛 辞 ( 法 ) が 正 反 対 の も の に 入 れ 替えられる。 し 34 -こ の 箇 所 で は 所 立 不 成 、 法 自 相 相 違 、 比 量 相 違 の 三 つ の 過 失 が 挙 げ ら れ て い る 。 所 立 不 成 は 実 例 ( 時 ) 法 自 相 相 違 は 理 由 根 拠 ( 因 ) の 過 失 、 比 量 相 違 は 主 張 命 題 ( 宗 ) の 過 失 で あ る 。 こ れ ら 三つ の 過 失 が 挙 げ ら れ て い る も の の 、 ﹁ 先 師 云 ﹂ で は 所 立 不 成 と 比 量 相 違 が 同 義 と し て 扱 わ れ て お り 、 か つ ﹁ 贈 僧 正 云 ﹂ に あ る と お り 比 量 相 違 と 法 自 相 相 違 は 離 れ て あ る も の で は な い 。 ま た 主 恩 が 理 由 根 拠 ( 因 ) の 過 失 が あ る こ と を 指 摘 し て お り 、 そ れ に 則 る な ら ば 法 自 相 相 違 の 過 失 が 適 当 で の過失であり、 あるとしている。