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学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 氏 名 牛島 秀爾 審 査 委 員 主 査 前川二太郎 ◯

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Academic year: 2021

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(様式第9号)

学 位 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

氏 名 牛島 秀爾

審 査 委 員

主 査 前川二太郎 ◯ 副 査 尾谷 浩 ◯ 副 査 荒瀬 榮 ◯ 副 査 伊藤 真一 ◯ 副 査 霜村 典宏 ◯

題 目 日本産Oudemansiellaならびにその類縁属菌の分類学的研究

審査結果の要旨(2,000字以内)

担 子 菌 門 (Basidiomycota) , ハ ラ タ ケ 目 (Agaricales) , タ マ バ リ タ ケ 科 (Physalacriaceae) に 所 属 す る

Oudemansiella ならびにその類縁属菌は,木材腐朽性(白色腐朽菌)であり,森林生態系における分解者と

して重要な役割を果たしている.また,これらの分類群には多くの食用となる種や生理活性物質を生産する 種が含まれ,遺伝資源としても有用である.従来,これら分類群の分類学的研究において,重要視する形 質が研究者間で異なるために,様々な分類体系や属・種の概念が存在し,未だ整理されていない状況にあ る.現在8属71種が世界から知られており、日本においては主に形態形質に基づき15種が報告されてい る.しかし,日本産種の中には分類学的再検討を要する分類群が多く含まれている.さらに未報告種の存 在も予備調査において示唆されている.本研究では,日本産Oudemansiellaならびにその類縁属菌の全貌 を明らかにすることを目的として,新規収集標本および既存標本の詳細な形態学的解析に基づき分類学的 同定を行った.また,日本産 Mucidula mucida と近縁分類群について,従来の形態解析に加え,交配試 験,栽培試験および DNA 解析によって,これら分類群の分類学的位置を究明した.さらに,核リボソーム DNAのLSUおよびITS領域の配列を解析し,Oudemansiellaならびにその類縁属の系統関係ついても考 察した.

1.日本産Oudemansiellaならびにその類縁属菌

本研究において,新種1種,日本未報告種3種を含む,日本産Oudemansiellaならびにその類縁属菌と して以下の 7 属 16 種を日本産種として認め,各々の種について記載および図示した:Dactylosporina gloeocystidiata(新種),Hymenopellis altissimaH. amygdaliformis,H. amygdaliformis f. bispora,H.

aureocystidiata,H. japonica, H. lingo-orientalis(日本未報告種,新名),H. orientalis,H. raphanipesおよ びH. vinocontusa,Mucidula brunneomarginata,M. venosolamellata,Oudemansiella exannulata(日本未報 告種),Ponticulomyces kedrovayae(日本未報告種),Paraxerula hongoiおよびXerula sinopudens.また,

H. orientalis var. margaritellaは形態的特徴においてH. orientalisの基準変種と差異が認められなかったこ とから,H. orientalisに統一した.

2.日本産ヌメリツバタケ(Japanese Mucidula mucida)の分類学的再検討

日本においてヌメリツバタケ(Japanese M. mucida)として知られている菌は、形態的特徴および核rDNAの ITS領域を用いた分子系統解析の結果、M. mucida var. asiaticaと同定された。本変種は、ひだに皺を持つ 日本固有種のヌメリツバタケモドキ(M. mucida var. venosolamellata)とは、肉眼的特徴に基づいて区別され

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てきた。しかし、両菌は交配可能であり、両菌の中間的な形態的特徴を示す捻性を有する子実体を形成し た。さらに、ITS 領域に基づく分子系統樹において、両菌は 1つのクレード内に混在した。これらの結果 は、両菌をM. mucida の種内分類群として分割すべきでないことを強く示唆する。また、日本産ヌメリツバタ ケ(ヌメリツバタケモドキを含む)は、担子胞子の大きさ、傘表皮組織の構造およびITS領域を用いた分子系 統解析結果において、M. mucida var. mucidaとは明らかに種レベルで異なった。これらの結果に基づき、日 本産ヌメリツバタケ(Japanese M. mucida)の学名をM. venosolamellataとするのが妥当であり、本種の再定 義を行った。

3.Oudemansiellaならびにその類縁属菌の分子系統解析

日本産標本を用いたLSU領域の解析において,Oudemansiellaならびにその類縁属菌はいずれもタマバリ タケ科に含まれ,Xerula–ParaxerulaグループとDactylosporina,Hymenopellis,Mucidula,Oudemansiella,

PonticulomycesおよびProtoxerulaが含まれるグループの2グループが認められた.ITS領域を用いた分子系 統解析では, Dactylosporina,Hymenopellis,Mucidula,Oudemansiella,ParaxerulaおよびXerulaはそれぞ れ単系統群を形成した.しかし,Ponticulomycesは単系統群を形成しなかった.すなわちP. kedrovayaeは Oudemansiellaの 基部に 位置し た . 一方,P. orientalisは ,Hymenopellisに含まれ,偽 根を 欠く 以外 は Hymenopellisの 形 態 的 特 徴 を 有 す る こ と か ら ,Hymenopellisと し て 新 組 み 合 わ せ を 行 う と と も に , HymenopellisおよびPonticulomyces両属の再定義を行った.また,従来日本においてO. canariiとして同定さ れた標本は日本未報告種として認められたO. exannulataと同定され,O. canariiとは系統的に明らかに異な っていた.

これらの一連の研究によって、日本産Oudemansiellaならびにその類縁属菌として,新種1種,日本未報告 種3種および新名1種が提案されるとともに,日本産M. mucidaおよびその種内分類群について多面的なア プローチによって各分類群の分類学的位置を明らかにしたことは高く評価できる。併せて、日本産種および 標本を用いた日本産Oudemansiellaならびにその類縁属種の分子系統樹の提示は,これら分類群を含むタ マバリタケ科の今後の系統分類学的研究の進展に大いに寄与するものである。よって、本論文は学位論文 として十分な価値を有すると判定した。

参照

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