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根釧地区の機械開墾

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Academic year: 2021

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(1)Title. 根釧地区の機械開墾. Author(s). 古川, 史郎. Citation. 北海道学芸大学紀要. 第一部. B, 社会科学編, 13(1): 19-28. Issue Date. 1962-08. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/3816. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 第 13 巻 第 1 号. 北海道学芸大学紀要 (第一部B). 昭和3 7年8月. 根釧地区の機械開墾 古. 川. 史. 郎. 北海道学芸大学釧路分校地理学研究室. Shi 丁RUKAWA : ro F【. Mechani la iOn o fthe Nemuro-Kushi c Rec Inat ro. Regi i do) on (Hokka. 1.. は. し. が. き. 第二 次大戦中より戦後にかけて北海道へ入植 した 42,052戸 の 開 拓者 の う ち 3 94戸が根室支庁 ,5 ) これ ら の入植 管内に分布する約40箇所の開拓地に入植し, そのうち 2,430戸 が 定 着 して い る1 .. 者のなか には開拓に成功 し, 開拓地周辺の既存農家と比肩 しうる成果をあげてい るものもみとめ ) 一方 において不振開拓農家の数もきわめて多く 昭和35年の調査によれば 入植現 られるが2 , , , 在戸数の95%を粗収入5 0万円以下の農家がしめ, 気候, 土性ともに劣悪な条件のもとにおかれた 根釧台地の開拓が, 今日なお, きわめて困難な状況におかれていることをしめ している. かよう に不振開拓農家のきわめて多い根釧台地の一部において, 世銀の融資により, 建設事業費だけで も1 ) (庄丹 第一地区 0億円をこえる多額の資金を投入し, 昭和30年より着工さ れた機械開拓事業3 および 第二地区の造成) は, 機械開墾方式を採用 した点で戦後におこなわれた開拓事業のなかで. も特異な地位を しめているのみならず, その成果は今後の農地開拓事業にたい し, 多くの示唆を. 与えるものと考えられる.. 本稿 においては, 本事業のなかで最初に着工され, 現在すでに建設工事および入植の完了して いる床丹第二地区 を中心に, 入 手可能な資料の範囲内で, 入植開墾の過程と, 開拓営農の現況な らびに同地区における当面の課題をあきらかにし, 開拓研究の一資料を提供 したい, 2 , 開. 拓. 計. 画. 一般に戦後 に実施された農地開拓事業が容易に成功 しなかった理由としては, 種々の悪条件下 でなされたこと, 入植者の資質がかならずしも十分ではなかったこと, 入植適地の選定が十分に なされなかったことが指摘されるが, 他方 において, 資金不足のために道路, 住宅, 畜舎等の建 設, 農機具導入な ど, 営農基盤の整備がすすまず, 営農に支障を与えたことも大きく 指 摘 さ れ る. かような経験 にもとずいて, 本地区の開拓計 画においては総事業費を増額し, 従来例をみな. かったほど多額の資金を一地区に集中的に投入 して 機械開墾を実施して 短期間に営農基盤を整備. し, 入植者がすみやかに安定経営の段階に到達 しうるよう, 戦後の開拓事業のなかでは, とくに )はすでに紹介されているので 本稿 綿密な計画にしたがって事業がすすめられた, 計画の概要4 ,. では計画全体にわたる詳述をさけて, とくに重要とおもわれ る事項のみをつぎに摘記するにとど め る.. ①. 入植農家1戸あたりの家族構成を, 実人員5人, 労力換算 2 .5人, 消費換算 4,0人 と し, - 19 -.

(3) . 古. 川. 史. 郎. 乳牛飼養に重点をおく集約酪農経 営をおこなう. 入植10年後の基本家 畜数を耕馬2頭, 乳牛 0羽とし, 乳牛はジャージ←種を一括 して導入 1 0頭, 若牛仔牛2頭, 厭5頭, 緬羊2頭, 鶏5 す る.. ②. 入植地は野付郡別海村の床丹川 と春別川の流域にまたがる 標高30メ ← トル な い し60メ ド ト ) 春別~西別駅 間の標津線 より東側に床丹第一地区6 08ヘクター ルの台地の一部をえらび5 ,6 , ル, 西側に床丹第二地区 4,619ヘ ク タ ー ル を 区 画 し, 前 者 に264戸, 後 者 に195戸 を 3 年 間 に. 集団的に入植させる. 入植にさきだって建設工事を開始し, 機械力を利用 して短期間に工事を完了させる. (床 丹第二地区は昭和30年度着工, 昭和32年度完成) ④ 床丹第二地区の土地利用 計画は, 総面積4 ,158ヘクタ ールを入植 ,619ヘクタ ←ルのうち, 3 耕地とし, 周辺部に位置する75ヘクタールは付近農家の増 反用地にあてる. 耕地以外に採草 ③. 放 牧 地257ヘ ク タ ー ル, 薪 炭 備 林 地382ヘ ク タ ー ル, 宅 地58ヘ ク タ ー ル,. 公 共用 地13ヘ ク タ ←. ルを保留 し, その他は墓 地, 水路, 土砂防止林, 河川 敷地等とする. ⑤ 1戸の配当面積は, 床丹第二地区の場合18 .4ヘク .8ヘクタ ール とする. その内訳は耕地14 タ ー ル, 採 草 地1 .8ヘ ク タ ー ル,. 薪炭 林 地1 .3ヘ ク タ ー ル, 耕 地 防 風 林 .6ヘ ク タ ー ル, 宅 地0. 0 .7ヘクタールで, 耕地配 当にさい し, つぎの諸事項を考 慮する.. 名. 獅. 2 o%を超過 以内とし ,泥炭湿地が耕地面積の. しな い よ う にす る.. ) なるべく一筆にま とめる. ただし, 道路, 地形, 防風林 に 等の関係で, やむ をえず第1図⑨のどとくに分筆するとき には3筆以 内にま とめる. 分筆 した耕地相互が300 メ ー. 仲. 詳. ト. 土壌別耕地の生産力比 を考慮する. 生産力比は火 山性乾. 燥 地 1 にた い し, 低 位 泥 炭 地0 .9 と す る.. 』. . 第.図 床丹第ニ地区区画の一部. 採草 地は耕地に接近した位置に配 当 し, 2キロメ← トル以上はなれないようにする. 採草地 こは, 排水不良または排水 不能で改良困難な河川流域の部分と, 高台の泥炭地の 配分のさいぞ 部分の生産力比 を2:3, 配分比を3:2 とする.. ) は 住 宅 よ り 4 キ ロ メ ← トル 以 内 に配 当 す る. 薪 炭 林 地6. ⑥. ) )および付属施設を建設する8 3 ヶ年計画で住宅7 .. ) 個人および共同で主要農機具を導入する9 . な し4 メ ← トル, 延 長 51,159メ ー トル の 幹 線 道 路 メ い ド トル 有効幅員3 区 に ⑧ 床丹第二地 , と幹線農道を建設する. 融雪期 における道路の通行障 害 を除去するため, 機械力により, 約 ) を除去 して切込砂利を投入 しH) o 50センチメー トルの表土l , 路面の凍 結を防止する. ⑨ 春耕期間中にお ける南南東風と海霧の侵入を防止するため, 第2図にしめす ごとく, 防風 ⑦. )440町 歩 を 造 成 す る. 2 林1. ⑩. 3 ) は農地開発機械公団が実施 し, 入植後3年間に全部の耕地化 を完了さ 入植地の機械開墾1. 4 ) せ る1 ,. - 20 -.

(4) . 根釧地区の機 械開墾. -- 防風林. 熱線道 --‐. ▲ ● ,. - ▼ 「”- ↑ m - ◆ ‐ て ‐ て 2km 1 1. 路. 皿l m 公共用地 \ \. . . 第2図 床丹第二地区 概要図. ⑪. 営農資金として入植者1戸あたり個人 共同をあわせ253万円を融資し 償還は年次計画 , , にしたがって入植6 年目より開始し, 10年目で完了する , 3 . 入植および建設工事の経過. 床丹第二地区の入植者は, 道内より応募した希望者のなかから つぎの基準に該当するものを , 選抜 した. ① 開拓意欲がさ かんで, 酪農の経験者か, または主畜 経営を理解しう る農業経験者で あるこ と.. ② ③. 1家族のうち, 稼働可能なものが3人以上あり 根幹 となるものの年令がおおむね25才か ,. ら40才 ま で で あ る こ と.. 高等小学校 (新制中学) 卒業以上の学歴を有するも の . ④ ある程度以 上の資力を有するもの. (1戸あたり25万円の携行資金を予定する ) . ⑥ とくに協調的 で建設的意欲あるもの. 応募者数は昭和31年度11 6戸, 昭和32年度および3 3年度はおのおの約90戸で, 入植戸数に対する競 争率は, かならず しも高い方ではなかった. このなかか ら昭和31年度に70戸 昭和32年度に69戸 , , 昭和33年度に73戸が選ばれ, 現地入植 にさきだって 十勝 釧 路両拓殖実習場 において 4日な , , , い し5 0日間の準備教育をうけた. この期間中, 昭和31年度は12戸 昭和32年度は13戸が離脱 した , ので, 3年間に床丹第二地区へ 入植した総 戸数は187であった1 ) 6 . 7 ) は第3図にしめすとおり 網走支庁管内が68戸でも っとも多く 上川支庁管 入植者の出身地1 , , 内45戸, 釧路支庁管内2 7戸, 根室支庁管内1 9戸がこれ につぎ, 町村別では上湧別 町および美瑛町 より比較的ま とま って入植 しているのを除くと 特定の町村に出身地が集中する傾向はみとめら , ) 8 れ な い1 ,. 昭和31年度入植者は, まず58戸の代表者が現地の共同小屋に生活 して建設 にしたがい , 住宅と 畜舎が9月 に完成 し, 12月 に家族が現地に到 着 した1 9 ) , が, 昭和32年度以後は住宅完成後に入植 - 21 -.

(5) . 古. 郎. 史. 川. 第3図 床丹第二地区入植者の出身地. メ ス 」. . ′ ‘. .. . .. /. . \. .. ▲醐扇席入植者. 2年 櫨着 ・昭和3. . することにあらためられた. 配当 地は抽せんによって決定され, 配当地内における住宅の位置は 入植者の自由に委ねられたため, 完成後の住宅配置 は, 第1図とはかなり異る不規則な分布を し め し て い る.. 住宅, 畜舎等の建 設工事は全般に順調な進捗状態 をしめし, 予定期間内に大部分 の工事が完成 している. 農地開発機 械公団担当の開墾作業は, 昭和31年度入植者の場合, 入植後3年間に抜根 84%) 2町歩 ( 98%) 4町歩のうち847 , 播 予定面積86 , 新墾予定面積835町歩のうち7063 .12町歩 ( %ない し 9 8%の高 8 を除いて 0 20%) を終り, 播種予定面積 種予定面積289町歩のうち61 .25町歩 (. い進 捗率をLめ している. 道路の建設工事も計画通り進捗し, 地区中央の公共用地には, 床丹小 0 ) 等の, 公共諸施設が開設され 中学校, パイロット開協支所, 郵便局, 家畜検診所, 冷蔵集乳所2 た.. かく して床丹第二地区の建設工事は予定どおり3年の短期 間に, ほ とんどすべての工事を完了. す る こ とが で き た.. 4 . 営 農 の 展 開 ”) 土地利用. 0 全体の土地利用 計画のうち, 耕地の利用 方式は第1表にしめす とおり, 全体を5年輪作区 と1 年輪作 区 に大きく わかち, 輪作方式にしたが って作付を予定 していた. この計画にしたがえば, 開墾完成時に普通畑の面積は5 .64ヘクタールになる. ,76ヘクタール, 牧草畑の面積は8 しか し, この計画が最初からかならずしも十 分に守られな かったこ とは, 根釧営 農指導所が作 製した作付計画 のなかに, ナ タネが含まれていることをみてもあき らかである. 第2表にしめす - 22 一.

(6) . 根 釧地区の機 械開墾 第1表 作付計画 (輪作式). 5年輪作区. 1. 年. 2年. 刈 J 青 えんばく. 牧草 牧草 牧草. (牧草混播) 9 , .6ha. 大麦えん麦. 10年輪作区. (牧草混播) 4 .6… 5 .O. 3年. 9 .6. 9 ,6. 4年. 5 年. 9 .6. 年. 7年. 8年. 9年 10 年. レタノミカ ノ. 9 .6. 牧草 牧草 牧草 9 .6. 6. 9 ,6. えん麦. 馬鈴薯. 9 .6. えん麦, 青刈 牧草 牧草 牧草 えん まく. ビー ト. (牧草混播) : 7 .2… 2 .4. 9 .6. 9 .6. 9 .6. 9 .6. 9 .6. 第2表 作付計画および実績 (1戸平均) 昭和33年 計 画 麦 大 え ん 麦 青刈えん麦 そ. を土. な 馬. た ね 鈴 薯. ビ. ー. ト. ル タ メ カ ア. マ. 豆 類 牧 草 そ の 他 合 計. 4 .6反. 16 .8 19 .2. 9 .8 2 .O 12 ,O 9 .6 7 ,2. 昭和34年. 実 績. 計 画. 3 .8反. 12 ,5. 15 .3 1 .9 12 .5 7 .3 10 ,9 5 .5. 4 .6反. 14 .6 19 .2. 昭和3 5年. 実 績 2 .7反 8 .9 7 ・I. 4 .8 4 ,8. 1 ,I 9 .O. 12 .O. 9 .5 17 ・I 5 .9. 9 .6 7 .2. 1 ,6. 0 .9. 38 .8. 39 .4. 67 .6. 120 .O. 5 .2 115 .9. 67 ,3 4 .1. 144 .4. 133 .6. 実 績 0 .9反. }9 4 . 0 ,7 11 .6 2 .9 17 .4 5 .5 0 .2 1 .6 80 .3. 12 .4 142 .9. 昭和33年より35年にいたる3年間の作付計画面積と実績を対照すればあきらかなように, 入植者 はま ず商品作物の栽培に力をそそいだため, 甜菜 (ビー ト) とナタネの作付がいちじるしく計画. 面積を上まわっており, とくに昭和33年はナタネが, 34年は甜菜がいちじるしく計画面積をこえ 1 ) の作付状況をみると 48戸が ている. この傾向は35年に入っても持続さ れ, 昭和31年入植58戸2 ,. 1町歩以上の甜菜を, 31戸が1町歩以上のナタネを栽培してい る. したがって輪作方式は 現在 , にいたるもほとんど実行に移されておらず, 牧草畑と, 自給作物および飼料作物 (大麦, そば, 馬鈴薯, えん麦, ルタ バ カ) の作付が計画面積をわっており, なかでも, そば, 馬鈴薯, えん麦 の3種は, 計画面積と実績との間にいちじるしい懸隔がみとめられる. このように商品作物, とくに甜菜栽培にたいする努力が十分な成果をおさめているか, どうか. 3年は開墾時に実施した土壌改良の成果と, 良好な気 をみるため, 平均反収を調査すると, 昭和3 候条件に支援されて, 計画反収2 5 5 0 0 0 , 斤を 0斤超過し, 平均3 ,000斤の実績をあげているが, 34 年以後の実績はいずれも計画反収以下で, 本地区における甜菜栽培がきわめて危険 性の多いもの であることをしめしている. すなわち, 昭和34年は, 前 年にくらべ気候条件が悪化したため, 計 画 反 収2,100斤 にた い し実 績 は1,901斤 に と どま り, 35年になると 春耕期における天候 不順の影 ,. 響を大きくうけて, 実績は計画反収2 ,100斤の約半分, 1 ,109斤に激減している. 甜菜をのぞく他 の作物の作柄は第3表にしめすとおり, 昭和34年には, 大麦, ナタネ, 馬鈴薯, ルタバカを除い ー 23 -.

(7) . 川. 古. 史. 郎. て計画 反収を達成 しており, 昭和35年はそばを除くす べ ての作物が平均反収に達せず, 天候 不順. の影響による凶作傾向を顕著 にしめしている. 第3表 平. 均 反. 昭和34年 計 大 え 青 ラ. ん 刈 イ. そ. ば. あ. な 馬. 麦 麦 麦 麦. 画. 績. 計. 画. 中核をなす乳牛飼養の状況から考察. 実. 績. 150. 210. 98. 210. 220. 280. 107. 1 ,125. 3 .000 200. 3 ,000 210. 2,691. 78. 100. 135. 170. 180. 300. 250. ね. 144. 120. 150. 66. 薯. 1 ,406 3 ,000. 1 .050 2 ,300. 1 ,837 4,500. 1 ,539 2 ,000. 2 ,100斤 450kg. 1 ,901 600. 2 ,100 650. 1 ,io9. ノレ タ ノミ カ. とうもろこし ビ. ー. ト. 乾. 牧. 草. 200. 産. 入植農家が飼養する家畜のうちで. 昭和3 5年. 163kg. ま. た 鈴. 実. 中 ) 畜. 収. ?. すると, 当初の営農計画では, 入植 2 年目に1戸あたり若牛2頭, ひき つづ き3年目に若牛2頭を導入 し,. 33年の飼養頭数が4頭となるよう予 定していた. しかし入植者は乳牛飼 養頭数の増加に努力を傾けたため,. 33年の実績は計画頭数を1 ,9頭上ま わ り, ジ ャ ー ジ ー 種 5 頭 の ほ か に, ホ ル ス タイ ン 種 1 .6 頭 が 加 わ り, 合. ) 2 2 計6 .6頭 が 飼 養さ れ てい る . しか. し入植当初における乳牛の飼養 はか. ならず しも順調 に進んだとはいえず ジャージー種は購入方法が適切 でなかったため, 低能力牛32頭が含まれていたうえ, ブルセラ発生 のため20頭の処分牛を生じたので, 合計50頭の乳牛を代替する必要が生じている. これらのうち. で, 処分牛にたい しては, 現物補償の方針にしたがってホルスタイ ン種が支給され, 低能力牛は 入植者が1頭あたり15 ,000円を負担したうえで健全なものと交換さ れた. 昭和34年以降乳牛飼養 頭数は順調 に増加し, 同年には, 1戸平均ジヤ←ジー種6 .7頭, 合計8 .8 .1頭, ホルスタイ ン種2 ) 2 3 頭が飼養されている. ジャー ジ←種の産乳量も, 一産目12石の計画に達している ので, 乳牛飼 養は順調な発展を しめ しているとみとめられる. 昭和31年入植者58戸につき, 昭和35年の乳牛飼 養頭数を調査すると, 1戸平均成牛4 ,7頭飼養の計画を達成 しなかった農家は, 乳牛皆無の3戸 であったが, 昭和31年入植者 一方耕馬は1戸平均2頭を飼養する計画 ぎない を除けば2戸にす . の飼養実績をみる と, 総数63頭で, 計画 にたい し約半分の頭数にとどまっている.. 中小家畜は, 31年入植58戸全部で, 厭175頭, 鶏2 06羽を飼養 し, 緬羊の正確な頭数は不明であ る. 中小家畜は全般的に, 今後導入の余地が残されているものとみとめられる.. 内 農業収入と経営収支. 77 3円, 34年457 当初に作製された営農計画によれ ば, 1戸平均の農業収入は昭和33年2 ,92 ,627 これらのうち 農産収入と畜産収入の構成比率は1 1 7 2と見込まれて 7 円であり ; 円, 35年589 , , , を しめる予定の畜産収入の実績をみると / 3年は前述した障害のた いた. まず農業 ・収入の2 3 , 昭和3 め, 計画収入を達成できなかったけれ ども, 34年に入る と乳牛飼養が軌道 に のったうえ, 乳価も 4 ) 計 画2 5 ) を 約 7 万 円 超 過 し 371 413円 の 実 績 を あ げ る こ と が でき 上 昇 を しめ した た め2 , , , , さら. ) を10万円以上超過 して548 6 に35年 に は計 画2 ,800円に達 し, 凶作による農産収入の減少を補填す る こ とが 可 能 で あ っ た. 一 方, 農 産 収 入 は 昭 和33年 が244,451円, 34年が262 ,328円 でブ い ず れ も. 35 計画以上の実績をあげているが, 35年は商品作物不作の影響が大きく, 実績は 1 ,900円にす ぎ ) 7 な か っ た2 .. )は410 208円 34年633 741円 35年684 700 8 畜 産, 農 産 両 収 入 を 合 算 す る と, 昭 和33年 の 実 績2 , , , , , 一 24 一.

(8) . 根釧地区の機械開墾 円となり, いず れも計画収入を10万円以上超過する成果をあげ とくに畜産収入のいち じるしい , 増加が, 農業収 入の増進に大きく寄与 してい る , つ ぎに 支 出 を み る と 3 , 3年および34年は農業経営費以外の実績がしめき れていない ので収支差 額があきらかではないが , 昭和35年には農業経営費, 生計費および諸負担を含めて, 支出 の実績 が1戸平均647 0 0円に達し, 計画より約3万円ほど超過 している . したがって農業 収入が計画 以上にのび ている反面 物価騰貴によ る購入資材費 生計費の増嵩もさけられないので , , , 収支差 額 が,. 当 初 の 計 画 よ り い ち じ る しい 好 調 を しめ し てい る と は み とめ ら れ な い .. 村 経営較差 1戸平均の農業収入は前述のごとく , 当初の計画を上ま わる実情をおさめてい るが, 昭和34年 と35年 の2 ヶ年にわたり 戸別の農 業収入 をみると, 第4表 の ごとく上層農家を下層農家 の間に ,. い ち じ る しい 収 入 の 較 差 を み と め る こ と が で き る , 第4表. 農業収入 3O~4o声 40ハー50 年次\ 昭和3 4年 昭和3 5年. 9. 4. 2. 7. 農 業 収. 全 体で も っ とも 多 数 を しめ てい る の は50万 円. 入 別 戸. 数. 50ハ J60 60トJ70 70ト }80 80ト 〕90 90ハ JIOO 合 14 9. 13 15. 10 11. 計. ハ h v. ▲ n d. 58 ハ h V 58. より80万円にい たる階層で 全体の約半数に達し 昭和34年37戸 35年35戸をかぞえ , ることがで , , きる. 計画収入を達成できなか った農家は 34年 に1 3戸, 35年1 8戸あって, それぞれ全体の1”お , よ び1 / 3を しめ てい る が, 35年には, これらのなかから逃亡1戸 乳牛皆無2戸が発生 してい る点 , が注目される, 入植後4年ない し5年でこれほど顕著な 較差を生じた原因を知 るため まず 昭和35年 における , 農業収入6 0万円以下の農家のなかから9戸 を選んで調 査した結果は つぎにしめすとおりであ る. ① 配当地の自然条件によ るもの (1戸) 過湿地が耕地全体の半分を しめて 作付に支障を与えている 土地配分計画作製 当時におけ る , 事前調査の不備によるものと考え られる . ⑨. 営農意欲の乏 しいもの (4戸) このうちの1戸は, 入植当時, 家族の代表であったものが死亡し 後継者が営農 に熱意を し , めさぬ農家であり, ほか の3戸は 入植以来 営農意欲が稀薄 で 農業収入 も低位にと , どまっ , , ている. これらの原因は, 限られた応募者のなかか ら 入植年次計画に見あう戸 数を早急に確 , 保する必 要上, 選衡基準 に一部抵触する開拓者の入植 をみとめたためであると考え られる , ⑨ 稼働力不足, 営農計画の不備あるいは経営技 術の拙劣 によるもの (4戸). 労力換算2 .5人の基準に達しない農家は, 58戸のなかに8戸含まれてい るが, これら のなか には比較的良好な成果をあげてい るものもみとめられ るので 稼働力不足だけが 直接 不振の要 , 因である とはみとめられない. む しろ稼働力 不足が 営農 計画の不備または経営 技術の拙 劣さ , と結合 して, 不振を招いてい ると考えられる この 場合も⑨と 同様に入植者の選 衡に問題があ ,. る こ と を しめ してい る.. つ ぎに31年入植者 のぅちで 8戸を調査 した結果 によ , 現在ま で比較的良好な 成績をあげ ている1 ると, まず全戸移住と分家移 住との割合は前者が10戸にたい し後者が8戸で 両者がほ ぼ 相なか , ば し, 一方がとくに好 成績をしめしているとはみとめられない . 第二に入植以前 の農業経験 にっ 一 25 -.

(9) . 古. 川. 史. 郎. いてみると, 経験のまったくない ものも1戸含まれ ているが, 12戸が酪農経 験者によってしめら れ, 水田地帯より入植 した酪農 未経験者は5戸にす ぎない. 第三に入植後, 短期間に安定経営の 域に到達するうえに大きな役割 を果すと考 えられる携行資本 の状況をみると, 18戸のな かで, 選 衡 基準を こしめされた25万円の資金を携行せず に入植 したと推定されるものは2 戸あるが, その他. の15戸はいずれも30万円以上を携行している. 金額別の戸数は第5 表にしめす とおりで, 過半数 第5表 携 行 資 金. 金 額 戸 数 30万円 40 0 o 5 60. 金 額 戸 数. 2. 2 70万円 2 0 2 8o 3 0 9o 3 l. ^ K v. の11戸 が50万 円 以 上 を 携 行 し てい る. こ のほ か 乳 牛 持 込 が18戸 の う ち 5 戸 あ り, 3 頭 持 込 が 4 戸, 4 頭 持 込 が 1. 戸かぞえられる. 比較的良好な成績をあげている農家 の. 3 多 額 の 資 本 を 携 行 入 植 し て い る も のが 多 く み と , ^ z 】 な か に, め ら れ る が, こ の ほ か の40戸 と の 比 較 資 料 が え られ なし、 i1 ▲ た め, こ の 結 果 の み に よ っ て 結 諭 を 下 す こ と は 不 可能 で あ る,. 5 . 機械開墾の意義と今後 の課題 根釧台 地においてはじめ て実施された大 規模な機 械開墾方式による床 丹第二 地区の造成は, 戦 想さ 前 および戦後を通 じて十分な成果 をあげ るま でにいたらなかったこの地域の開拓を, 従来予 義を見 れなかった短期 間に完成させて, 入植者の営農を軌道にのせる ことができた点に大きな意 出すことができる. また周辺開 拓地の既入植者にたし・し, 将来の希望を与えた こと, および道内 える 農家の分家 希望者 (二,三男) と他に入植適地を求める農民に, 酪農経営の可能な場所を与 ことが できた点 も高く 評価される, 多額の投資に見 しかし本地区の機械開墾事業は, 何分にも はじめておこなわれたものであり, でいる. つぎの各項はそ 合う十分な成 果をあげ てゆくために, 今後解決す べき多くの課題を含ん の一部をなすとお もわれる. ④. 不振農家 対策. 要で 本地区 の開拓事業が今後十分な成果をあげ ていくためには, 不振農家 対策がきわめて重 な ある とおもわれる. 不 振農家のなかで, 現在す でに営農意欲をま ったくそう失 しているのみ 出の方策を らず, 乳牛全部 を処分して無牛農家にてん落している ものにたい しては, 早急に転 ま 講ずる とともに, 適当な後継入植者を募 集して, 耕 地の荒廃を防止する ことが必要である. しては とめられる入植者にたい ているとみ , た配 当地の 自然条件が劣悪なために, 不振に陥っ である 営 んすることが必要 替地をあっせ より 代 などの方法に , 途 中離 脱者の跡 地と交換する , いして ている入植者にた 農意欲はみとめられる が, 経営技術が拙劣なた めに不振状態におかれ は, 営農指導を一層徹底させる必要があろう.. 借入金 の償還 5 ,36 当初の営農計画によれば, 入植者は 入植6年目 より借入金の償還を開始し, 6年目に96 0年目に完済する予定で 8万円ない し22万円づ っ償還して, 1 0年目までは毎年1 円, 7年目 から1 してい ある↓ しか し本地区の入植が開始さ れて以来物価が漸騰 し, 入植者の支出が計画を超過 べ さほどの好 とくら ると , るので, 農業収入が増加 しているにもかかわらず, 収支差額は計画 あるいは 延長するか 還 期限を 借入金の償 現状では 他 種の かよぅな , 転を しめしてはいない. , あるとみと 低利資金を導入して入植者の負担軽減をはかり, 経営基盤の強化を促進する必要が. ◎. め ら れ る. 一 26 一.

(10) . 根釧地区の機械開墾. ⑭ 農業機械の利用 入植開墾時における機械力の利用をのぞけば, 開墾後の耕続作業はすべて畜力でおこなう計 ′画になっていた, しかし 入植者は入植開墾作業が終了した後に も ひきつづいて床丹第一地 , ,. 区の建設に従事する諸機械の余力を利用して, 賃耕を依頼することができたため, 現在では耕 続作業において機械力を利用することが入植者の間に一般におこなわれている. したがって, 床丹第一地区が完成した後, 耕馬を急速に充実し, 全面的に畜力への転換をはかることは, き わめて困難であると みとめられる, したがって, 今後も, 入植者が機械力を利用できるような 方法を講じておくことが必要であろう. ⑭ 道 路 および防風林の維持管理. 床丹第二地区の建設工事終了後, 道路は5年間, 防風林は4年間, ひきつづいて国費による 維持管理がなさ れ, この期間を経過すると, これらの維持管理が別海村に移管される予定であ. る, しかし, 財政事情の逼迫せる地方自治体が, これらの十分な維持管理を実施することは, きわめて困難であろうとおもわれる. 入植者の経営を安定させるためにも, 国費によ る維持管 理期間の延長がきわめてのぞましいことであるとおもわれる. . 1 ) 昭和3 2年3月末現在. 北海道 「農地開拓の概要」 . ) 昭和3 2 5年度 「根室支庁管内開拓地営農実績概要」 によると, 粗収入が70万円をこす開拓農家は10 3戸にす ぎない, ) 床丹第二地区だけで, 所要資金の総額は1 3 2 2 ,129 ,000円である, ,9 4 ) 北海道開発要覧 (昭和33年)46 1~464頁. 5 ) 計画当時は, 台地部はシラカバ, カシカ, ナラ, 低地はアカ ダモ, ヤナギ, ドスナラ, 湿地はヤチハソ ノキ, ヤチャナギ, カ ピタな どがしげっている道有林であった. ), 薪炭年間所要量50石の約3分の1を自給するために 「からまつ」 を造林する, 6 ) 建坪は一般開拓地の規格住宅より5割増の15坪とし, 入植者が快適な住居を営みうるよう配慮されてい 7 る,. ) 年次計画はつぎのとおりである, 8 初年目 住宅 (建坪1 5坪, 中2階, 耐寒ブロック建) , 畜舎 (建坪28坪, 耐寒ブロック建)1 棟, 尿溜 / ( 1 00石入)1 2 , 井戸2眼, / 2年目 畜舎ののこり1 / 10坪) 2棟, 尿溜ののこり1 2 , 農舎1棟 ( , サイロ1基 (半地下 ブロック建8 ×10 尺).. 9 ). 10 ) 1 1 ) 12 ). ) 1 3. 1 4 ). 3年目 サイロ1基 (地上式ブロック建9x18尺) . 農機具導入計画 個人 プラウ2, ハロー1, カルチベーター1, 馬車1, 馬そり1, 馬具一式, 電度牧柵1, ルートカ ッター1, 尿汲取機1, 共同 2戸共同 ヘーモーア, デスクプラウ, 双輪 プラウ. 5戸共同 発動機アタッチメント, ヘータクター, ヘーレーキ, 噴霧機, 脱穀機. 10戸共同 蓄力ドリル, 吹上カッター. 通称は 「黒ボク」 , 作物の栽培には適するが, 道路には不向である, 砂利厚は15センチメートルないし20センチメートル, 砂厚は1 0センチメートルとする, 砂利は上春別市 街地より北方に46 .5キロメートルはなれた川北で採取して輸送した, 床丹第二地区内に東西8条, 南北7条を造成する, 間隔は東西6 0 0間ないし9 00間, 南北300間, 幅3 0間と し, 一部は天然林を存置してこれにあてる. 新規に造林する部分は, 1町歩あたり, カラマツ, ヤチ ダ モを平均6 ,ooo本植林し, 防そ溝, 補そ器によってそ害を防止する. 工種は抜根, 新墾 (耕起, 砕土, 土壌改良) , 牧草播種, 中小排水に分けることができる. 機械開墾はまず準備作業で幹径6センチメートル以下の樹木を人力で伐採する. つぎに機械抜根をおり なって地上の障害物を除去したうえで耕起をおこない, 耕起を終った部分では砕土を実施する. 砕土は 3回おこない, 第1回目と第2回目の砕土作業の間に1町歩あたり平均して30トンの炭酸カルシウムを 撒布し酸性匡正をおこなう. さらに熔成燐}肥を1トン撒布して土壌を改良する, 各年度の開墾および作付の進度はつぎのとうりである.(単位へクタール) - 27 一.

(11) . 古 年. 次. 1年目 2年目 3年目. 川. 抜 根 新 墾 6 .O 6 .O 2 .9. 5 .5 6 .O 2 .9. (完成時). 史. 郎. 普通畑 牧草畑 5 .5 8 .62 5 .76. 2 .88 8 .64. 作付合計 5 .5 11 .5 14 .4. 15) 共同融資はパイロット開協にたいしておこなわれ, 倉庫, 加工場, 自動車等の建築, または購入資金に 充当される. 総額は約1 ,500万円である, 16) 昭和3 4年度分としては, さきに計画していた8戸の入植は, 都合によって中止された, 17) 床丹第二地区へ入植後間もなく離脱した農家については, 継承者の出身地をしめす. 18) 昭和31年度の入植者58戸の出身地は, 網走支庁管内がもっとも多く, 内半数をかぞえ28戸をしめ, この ほかに空知, 上川, 十勝, 釧路, 根室各支庁管内に2ないし8戸ずつ分布している. 19) 北方農業第7巻第1号. 20) ボクレソ所有で開協に経営を委托している. ) このなかには途中離農のため生じた継承農家4戸を含む. 21 22) このなかには開拓計画にしたがって導入されるもの以外に, 系統資金および国貸牛制度により導入され た分と, 入植者の持込によるものが含まれている. 23 ) 昭和3 4年度の P .F .乳検資料による. 6銭であったが, 34年 24) 昭和33年における釧路地方の平均乳価 ( 187 .5グラムあたり, 脂肪率3 .2%)は40円2 には41円41銭に上昇している. 25) 302 ,711円 26) 436 ,070円. 27) 計画収入は212 00円 ,6 ) 実績は開協の取扱分だけがしめされており, 入植者と業者の直接取引の対象となるナタネ, 豆の販売収 28 入の一部は不明である. しかし実績の2割は下らぬとみこまれている. 〔図の説明〕 第1図 床丹第ニ地区区画の一部 (東南部) 番号を付した部分が1戸の耕地をしめす. すま増反地, ◎は共有地 (薪炭林地) をしめす. 共有地は各戸 ) 00 に分割されている. 下方の斜線をほ どこした部分は採草地, 黒い線は防風林をしめす. (縮尺1:12 ,0 第3図 .床丹第二地区入植者の出身地 別海村出身者は, おもに離農者の跡地を継承した農家である. 釧路国標茶町出身者のなかには, 釧路拓殖 実習場出身者で出身地不明のものを一部含んでいる.. 一 28 -.

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参照

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