• 検索結果がありません。

散開星団NGC884の年齢と距離の推定

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "散開星団NGC884の年齢と距離の推定"

Copied!
19
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

散開星団

NGC884 の

年齢と距離の推定

明星大学 理工学部 総合理工学科 物理学系 天文研究室

(2)

要旨

散開星団NGC884 を、明星大学天文台で観測して距離と年齢を求めることを研究目的とし た。冷却CCD カメラを用いて B バンドと V バンドで観測し、撮影した画像の解析データ を元にCM 図を作成し距離と年齢を算出したところ、それぞれ 5170 光年と 9.26×10⁷年と 求められた。文献値と比較したところ、誤差が大きめであるものの近い数値を求められた ことが分かった。

(3)

目次

第一章 星団 1.1 星団とは 1.2 散開星団 1.3 球状星団 1.4 散開星団 NGC884 とは 第二章 距離と年齢の求め方 2.1 距離の求め方 2.2 HR 図・CM 図 2.3 ポグソンの式・標準星 2.4 年齢の求め方 第三章 観測・処理 3.1 使用機材 3.2 観測 3.3 画像処理 3.4 測光 第四章 結果 4.1 合成結果 4.2 カウント値 4.3 CM 図 4.4 計算結果 第五章 考察 引用文献 謝辞

(4)

第一章 星団

1.1 星団とは

恒星が狭い領域に集まって形成された天体で、恒星同士は重力的な結びつきを持つ。星団 内の星はどれも同じ起源と考えられている。星団の種類には散開星団と球状星団がある。

1.2 散開星団

散開星団は数百の若い恒星がまばらに集団になっている星団である。同じ分子雲から誕生 した恒星が殆どで、星団を形成する恒星の年齢は数百万~数億歳である。分子雲は銀河の ディスク部分に多く存在するため散開星団もディスクの付近に多く存在する。代表的な星 団にプレアデス星団やヒアデス星団、プレセペ星団などがある。

1.3 球状星団

球状星団は年齢が100 億年以上と老齢の恒星が球状に密集した星団である。恒星の密度は 中心ほど大きくなり、星団を形成する恒星の数は散開星団よりも遥かに多く数万から数百 万個に達する。星団内の恒星は太陽よりも軽く寿命が長い恒星であり、銀河系の歴史の中 でも早い時期に出来たと考えられている。また、恒星は星団全体の重力によって束縛され ているため時間が経っても散開星団のようにまばらにならず球状の形を保っている。代表 的な星団にオメガ星団やM13 などがある。 図1.散開星団 M45 引用文献 6 より 図2.球状星団 M13 引用文献 7 より

(5)

1.4 散開星団 NGC884 とは

散開星団NGC884 はペルセウス座にある星団で、散開星団 NGC869 のすぐ近くに存在する ため二つの星団をまとめて「二重星団」と呼ぶ。今回の目標天体はその二重星団の西側の 星団である。

NGC884 のデータ

星座 ペルセウス座 推定距離 7300 光年 推定年齢 14×10^6 年 赤緯 02h 22m 23s 赤経 57h 07m 5s 視等級 3.8 等 視直径 30’ 図3.散開星団 NGC884 引用文献 8 より

(6)

第二章 距離と年齢の求め方

2.1 距離の求め方

恒星までの距離は、実視等級と絶対等級の関係から以下の式で求められる。

m-M=5log(r/10)

m:恒星の実視等級 観測した時に観測点で見えた明るさ M:恒星の絶対等級 太陽から10pc(32.6 光年)の距離に天体を置いた時の明るさ r:恒星までの距離(pc) 上記の式をr=の形に変形すると、

r=10^((m-M+5)/5)

となる。 本研究では、 m:NGC884 の実視等級 M:太陽近傍の恒星の絶対等級 を上記の式に代入して計算を進める。

(7)

2.2 HR 図・CM 図

HR 図とは、ヘルツシュプルング=ラッセル図(Hertzsprung-Russell)の略称である。 恒星の絶対等級を縦軸に、スペクトル型を横軸にとり表した図で、恒星の進化の様子を知 る上で非常に重要な図である。 スペクトル型:恒星の表面温度 絶対等級:太陽から 10pc(32.6 光年)の距離に天体を置いた時の明るさ HR 図を作成するには星団中の恒星一つ一つを分光器を使用してスペクトル測定を行う必 要があり非常に煩雑な作業となる為、本研究ではHR 図の代わりに縦軸に絶対等級、横軸 に色指数を取ったCM 図(Color Magnitude)を使用する。色指数とは天体を 2 種類のフィル ターでそれぞれ撮影し、その等級の差を求めることで得られる。また、星団中の恒星は太 陽からほぼ等距離にあると考えて差し支えないので、縦軸には実視等級を用いて計算を進 める。本研究ではB バンドフィルターと V バンドフィルターを使用して B-V 色指数を求め る。 図4.HR 図 引用文献 10 より

(8)

2.3 ポグソンの式・標準星

明るさの比を等級差から求める。

m=n-2.5log(Im/In)

m:星団の等級 n:標準星の等級 Im:星団中の恒星のカウント数 In:標準星のカウント数 上記の式を用いてB バンドフィルターと V バンドフィルターの実視等級を求め、それぞれ の等級からB-V 色指数が求められる。 今回の観測で使用する標準星は以下の通りである。撮影したB、V バンドフィルターのどち

らにも写っているものを選択した。座標などの数値はSIMBAD Astronomical Database に

掲載されているものを引用した。 名前 HD 14476 座標 02h 22m 16.9645s +57°16′18.944″ B 等級 9.13 V 等級 8.75 B カウント値 15796 V カウント値 16267

(9)

2.4 年齢の求め方

星団の年齢を求めるには、HR 図上で転回点にあたる恒星を探す。転回点の恒星の色指数と 理科年表に掲載されている表を用いて年齢を算出する。転回点は古い星団ほど右下にあり、 転回点の恒星は内部での水素の燃焼が終わり、主系列星の段階を離れて赤色巨星に進化し 始めているところである。 スペクトル型(主系列) 有効温度(K) B-V色指数(等級) 質量(太陽質量) O5 45000 -0.3 40 B0 29000 -0.3 15 B5 15000 -0.16 6 A0 9600 0 3 A5 8300 0.15 2 F0 7200 0.33 1.7 F5 6600 0.45 1.3 G0 6000 0.6 1.1 G5 5600 0.68 0.9 K0 5300 0.81 0.8 K5 4400 1.15 0.7 M0 3900 1.4 0.5 M5 3300 1.6 0.2 質量(太陽質量) 主系列を終える年齢(年) 100 2.7*10^6 50 5.9*10^6 20 1.0*10^7 10 2.6*10^7 5 1.0*10^8 2 1.3*10^9 1 1.0*10^10 0.7 4.9*10^10 0.5 1.7*10^11 図5.主系列星の物理量 引用文献 4 より 図6.主系列星の寿命 引用文献 5 より

(10)

第三章 観測・処理

3.1 使用機材

望遠鏡:明星大学天文台の40cm リッチクレチアン型反射望遠鏡(画像左) カメラ:冷却CCD カメラ(画像右) 使用ソフト:マカリ、ステライメージ7 使用フィルター:B バンドフィルター、V バンドフィルター 冷却CCD カメラで特定の波長の光を透過させるジョンソンフィルターを用い、恒星の光度 を測定した。今回の観測ではB フィルター青色光(波長 350~550nm)、V フィルター緑色光 (波長 480~650nm)の二つを使用した。各フィルターの透過率は以下の通りである。 図7.望遠鏡 引用文献 12 より 図8.カメラ 引用文献 12 より 図9.透過率 引用文献 13 より

(11)

3.2 観測

明星大学天文台の40cm リッチクレチアン型反射望遠鏡にジョンソンフィルターをセット した冷却CCD カメラを取り付け撮影した。露出時間が極端に短いが、これより長い時間で 露出すると撮影した画像の中で明るい恒星のカウント値がCCD カメラで観測できる理論値 の65535 を超えてしまった為、時間を短くし枚数を増やして撮影した。 観測日時:2016/12/6 20:00~22:00 ライトフレーム撮影枚数:B バンド 100 枚 V バンド 100 枚 露出時間0.2 秒 ダークフレーム撮影枚数:B バンド 20 枚 V バンド 20 枚 露出時間0.2 秒 図10.ライトフレーム画像 図11.ダークフレーム画像

(12)

3.3 画像処理・測光

B バンドフィルター、V バンドフィルターで撮影した画像をそれぞれ合成(コンポジット)し 一枚の画像にするためにステライメージ7 を使用した。 測光には天体教育画像解析ソフト「マカリ」を使用した。マカリは天体の明るさを数値化 して表し、この数値をカウント値という。数値をExcel 上に出力し、それを元に恒星の等 級を求めることが出来る。B バンドフィルターと V バンドフィルターの画像から得られた カウント値から色指数を求めた。また、恒星にはそれぞれ番号を振って混同を防いだ。 色指数を算出するためにカウント値B-V の引き算を行うので、測光は B バンドフィルター の画像とV バンドフィルターの画像を同時に行った。 図12.測光に使用した恒星

(13)

第四章 結果

4.1 合成結果

図13.B バンドフィルター 合成後

(14)

4.2 カウント値

番号

B Count値 V Count値

番号

B Count値 V Count値

1

1218.621 3003.992

2

2929.703

4229.75

23

3014.257 3686.398

3

6095.949 5345.879

24

6085.733

5844.35

4

22037.08 23659.83

25

4710.457 7059.102

5

3124.324 4704.756

26

1691.078 26805.08

6

5977.097 9482.538

27

2754.567

18546.6

7

32099.25 32563.04

28

1417.138

1694.56

8

11197.59 10707.06

29

63962.87 90777.21

9

9034.239

7007.8

30

5452.943 4786.365

10

20050.75 20766.64

31

6810.983 10271.62

11

7236.153 11165.55

32

3101.878 3935.489

12

5339.322 7008.945

33

19102.35 18032.82

13

1501.633 15302.26

34

17900.03 18256.41

14

2984.102

2707.35

35

3822.094 7201.918

15

116172.8 149665.3

36

5107.775 32758.51

16

13011.99 19762.16

37

2447.891 2770.023

17

13797.57 16975.02

38

973.7125 1476.363

18

4823.25

6454.027

39

4058.421 4519.164

19

1655.536 3666.931

40

1513.578

4016.52

20

39967.57 60554.85

41

707.5714 5973.352

21

1495.107 2543.313

42

4066.067 3017.179

22

10557.54 10853.18

43

2157.023

2944.75

図15.カウント値データ

(15)

4.3 CM 図

-4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 NGC884 太陽近傍星

B-V色指数

V

図16.NGC884 CM 図

(16)

4.4 計算結果

作成したCM 図において、NGC884 のプロットでは縦軸を実視等級、太陽近傍星のプロッ トでは縦軸を絶対等級と置いている。 m:NGC884 の実視等級を 11.5 等級 M:太陽近傍星の絶対等級を 0.5 等級 と置いた時、NGC884 までの距離 r は r=10^((11.5-0.5+5)/5) =1585(pc) =

5170 光年

CM 図より転回点の色指数を-0.136858958 と置いた時、NGC884 の年齢は

9.26×10⁷年

(17)

第五章 考察

距離

年齢

文献

7500 光年

1.4×10⁷年

計算結果

5170 光年

9.26×10⁷年

・今回の研究で、距離については誤差が大きめではあるものの良い数値を得られた。星団 の等級がもう少し暗く写ればより正確な値に近づいたと思われるが、星団に属さない明る い恒星も一緒に測光してしまったこと等が原因と考えられる。 ・年齢についてはあまり近い数値を得ることが出来なかった。これは画像を処理する際に ノイズ等を除去しきれずに残り、それがカウント値等に影響してしまったことが考えられ る。文献に近い数値を出すには転回点の色指数が約-0.3 にならなければならない。また先ほ ども述べたように、星団に属さない恒星も測光してしまい転回点が判別し辛くなったこと も誤差を広げる一因になったと考えられる。 ・しかしB-V=-0.3 より小さい値の恒星というのは殆ど存在しない筈なので、-0.3 より小さ い恒星がCM 図上に多く出てきたのは測定の誤差によるものと考えられる。プロットの一 番左端にある恒星の値は約-0.7 なので、B-V の誤差は約 0.4 等はあると言える。また、転回 点の場所を特定することは難しい為、年齢の文献値1.4×10⁷年は十分に誤差の範囲内であ ると言える。 ・研究対象のNGC884 は天の川の中に位置する為撮影時に星団以外の恒星も一緒に写りや すい。今後同様の研究を始める時は可能な限り天の川から離れた天体を選択するべきであ ろう。

(18)

引用文献

1. 明星大学卒業論文「HR 図による散開星団 M41 の距離と年齢推定」 12s1-043 菅原 慶裕・12s1-048 高松 謙太朗 2. 明星大学卒業論文「H-R 図によるM39 星団の距離と年齢の推定」 12s1-050 富沢優輔・12s1-059 新谷 望 3. 明星大学卒業論文「M38 星団までの距離」 09s1-027 生田目 旭 4. 理科年表 5. 現代物理学の基礎「宇宙物理学」 6. http://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/photo/36936.html 7. http://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/photo/34758.html 8. https://www.astroarts.co.jp/photo-gallery/photo/12562.html 9. http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/globular_cluster.html 10. https://www45.atwiki.jp/a0061882/pages/22.html 11. http://simbad.u-strasbg.fr/simbad/ 12. http://www.hino.meisei-u.ac.jp/phys/astrolab/muo/ 13. http://www.sbig-japan.com/UBVRI/ubvri_m.html

(19)

謝辞

本研究を進めるにあたって、冷却CCD カメラの使い方と操作方法や計算結果の扱い、その 他アドバイスなど多くのご指導を小野寺先生と井上先生、日比野さんと津田さん、同室の 同級生から頂き非常に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 この一年間はとても充実した時間で、天文研究室で研究出来たことは非常に貴重な経験と なりました。

図 13.B バンドフィルター  合成後

参照

関連したドキュメント

しかしながら、実社会での導入実績 がない EV は充電インフラ整備など EV の普及にあ

relationships-strain-on-any-relationship/)

離は Quantum GIS の「距離マトリックス」ツールを用いて算出する。道路距離は SANET の「shortest-path dis-

 ここで言われる近い・遠いといった距離は仮想的距離( hypothetical

間距離が開く分、速度が上げられ、渋滞を解消する様子が見れた。一方、下り坂に関して

他にも自己と刺激との心理的距離が挙げられる。心理的距 離とは、自己の直接経験から対象もしくは出来事への距離 である(Bar-Anan, Liberman, Trope, & Algom,

3.より簡便な距離分布 ところで図2,図3を見ると道路網の距離分布が不連 続になっているが,それは以下のような状況で起こる.

いて対象間の距離の比を構成し,その比と距離関数によって測られた対象問の距 離の比を比較して,誤差が小さくなるような距離 (