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HR図による球状星団M2の距離推定

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Academic year: 2021

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1

2016 年度卒業論文

HR 図による球状星団 M2 の距離推定

明星大学 理工学部 総合理工学科 物理学系 天文学研究室

(2)

2

要旨

本学の過去の卒業論文では、明星大学天文台での観測で散開星団までの距離は 求めていたが、球状星団を観測し距離を求めたことがなかったので卒業研究の テーマとした。目標天体は、秋の夜空に観測することができるみずがめ座のM2 を選定した。 40cm 反射望遠鏡(リッチークレアン式反射望遠鏡)と冷却 CCD カメラで B フィルター及び V フィルターでの観測を行った。各フィルターで撮像した画像 をソフトウェアで画像を解析し、文献の M2 の等級と近い星を標準星と設定し た。ポグソンの式を用いて星の見かけの等級を求めた。その後、既に絶対等級 のわかっている太陽近傍の恒星と同じグラフにプロットし CM 図(HR 図)を 作成した。星団の主系列の絶対等級は太陽近傍の恒星と同じであると仮定し、 太陽近傍の恒星と星団内の恒星の主系列の場所を探し、見かけの等級と絶対等 級の差を取ると15 等級と求められた。ここから与えられた式にその結果を代入 し距離が32,616 光年と推定された。

(3)

3

目次

第1章 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

第2章 星団・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.1 星団 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.2 星団の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.2-1 球状星団・・・・・・・・・・・・・・・・・5

2.2-2 散開星団・・・・・・・・・・・・・・・・・6

2.3 目標天体 M2 について ・・・・・・・・・・・・7

3 章 原理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

3.1 距離の求め方 ・・・・・・・・・・・・・・・・8

3.2 HR 図について・・・・・・・・・・・・・・・・9

3.2-1 HR 図・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

3.2-2 主系列(main sequence)・・・・・・・・・10

3.2-3 折れ曲がり点(転回点)(turn off point)・・10

3.2-4 赤色巨星分枝 (red giant branch) ・・・・・10

3.2-5 水平分枝 (horizontal branch)・・・・・・・10

3.2-6 等時曲線・・・・・・・・・・・・・・・・10

3.3 UBV 測光系 ・・・・・・・・・・・・・・・・11

3.4 ポグソンの式・・・・・・・・・・・・・・・・12

4 章 観測方法と画像処理・・・・・・・・・・・・・・・13

4.1 観測・撮像・・・・・・・・・・・・・・・・・14

4.2 画像合成・・・・・・・・・・・・・・・・・・15

4.3 測光・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

5 章 結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

5.1 画像の合成結果・・・・・・・・・・・・・・・17

5.2 カウント値の結果・・・・・・・・・・・・・・18

5.3 計算結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

6 章 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24

引用文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26

謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

(4)

4

1章 はじめに

天体までの距離は、日常のスケールに比べて非常に大きいため、天体は天 球に 張り付いているように見え、個々の天体までの距離の差は認識が難し いものとなっていると感じる。しかし、天体の大きさや放射されるエネルギ ー量といった基本的な値は、天体までの距離がわからないと算出することが できない。したがって、天体までの距離をどのように推定するかは天文学の 最も基本的な部分であり、重要な研究分野となっている。そこで、実際に天 体を観測し距離を求めどの程度の精度で求められるのか興味を持ち卒業研 究のテーマを「HR 図による球状星団M2の距離の推定」と決定した。 球状星団M2 の距離を求めることにした理由は、本学の過去の卒業論文を 参考に明星大学天文台での観測で散開星団までの距離は求めていたが、球状 星団を観測し距離を求めたことがなかったためである。したがって、これを 卒業研究のテーマとした。目標天体は、秋の夜空に観測することができるみ ずがめ座のM2 を選定した。

(5)

5

2章 星団

2.1 星団

狭い範囲内に、多数の恒星が密集して見えるもののうち、物理的(主に重 力)な関連をもったものを星団という。星団内の星は、どれも同じ起源の星で あると考えられている。星団の種類には大きく分けて球状星団と散開星団の 2 種類がある。

2.2 星団の種類

2.2-1 球状星団

球状星団は、恒星が球状に密集した星団である。恒星の数の密度は中心ほ ど大きくなっている。その中に含まれる恒星の数は散開星団よりもずっと多 く、数万から数百万個に達する。年齢は 100 億年以上と老齢で、ほとんどは 太陽よりも軽い(寿命が長い)恒星であり、銀河系の歴史のなかでも早い時期 にできたと考えられている。また、恒星は星団全体の重力によって束縛され ている。そのため時間が経っても散開星団のようにばらばらにならず、長い 間球状の形を保っている。 【図2.1:NGC 6388 Astro Arts サイトより】

(6)

6

2.2-2 散開星団

散開星団は、星が 1 ヵ所で生まれたもので、比較的年齢の若い数百から数 千個の恒星が不規則に集まっていて、星間ガスをともなうことがある。個々 の恒星の速度は、散開星団全体の質量で長い間引き止めておける速度よりも 大きいため、時間が経つにつれて恒星の分布はまばらになり、いずれはばら ばらになっていくと考えられている。 【図 2.2:M45 Astro Arts サイトより】

(7)

7

2.3 目標天体について

M2(NGC7089)

星団 球状星団

距離 37500 光年

赤経 3h33.5m

赤緯 -00°49´

等級 6.9 等

視直径 8´

直径 175 光年

【2.3:M2 メシエ天体ガイドサイトより】

(8)

8

3章 原理

3.1 距離の求め方

絶対等級…天体を 10 pc の距離から見た時の等級。 見かけの等級…地球から見た時の天体の見かけの明るさを示す指標。 恒星までの距離を求めるには、絶対等級と見かけの等級の関係から

− 𝑀 = 5 log(

/10)

(3.1)

m:天体の見かけの等級 M :天体の絶対等級 r:天体までの距離 また(3.1)式を変形すると、

𝑟 = 10

𝑚−𝑀+55

…(3.2)

となる。 星団の恒星が HR 図上で主系列星に位置していると考え、(3.2)式に代入し て距離を求める。

(9)

9

3.2 HR 図について

3.2-1 HR 図

Heltzsprung-Russell (ヘルツスプルング・ラッセル)図の略で、デンマーク の天文学者 E・ヘルツスプルングとアメリカの天文学者 H・N ラッセルによって つくられた図である。縦軸に光度と横軸に温度をとり、HR 図は星の進化の様子 がわかる非常に重要な図である。星を HR 図に載せると、論理計算による軌跡と 比較することで、星の進化を推測することができる。HR 図を作成するには、星 一つ一つのスペクトル型の測定を行い、スペクトル測定には分光器が必要であ る。今研究では、簡易的に 2 種類のフィルターによる観測で得ることができる CM 図を HR 図の代わりに作成した。 CM(Color-Magnitude)図とは、横軸に色指数、縦軸に見かけの等級をとった 図である。星団に属する星は、太陽からほぼ等距離にあると考えてよいので、 恒星の絶対等級の代わりに見かけの等級を用いても差し支えない。 ※色指数…天文学で天体の色を表す指標。 色指数は天体の等級を 2 種類の異なる色のフィルターを用いて測定し、その等 級の差を取ることで求められる。 今回は、観測により得られた数値を用いて、CM 図を作成し、距離を求める。 【図3.1:HR 図】

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3.2-2 主系列 (main sequence)

CM 図(HR 図)上での左上から右下への帯を主系列といい、ここに属する星 を主系列星という。主系列星は、水素原子核4つからヘリウム原子核1つへ変 換する核融合反応が起き、そのエネルギーで輝いている星である。質量の重い 星ほど温度が高く明るいため進化が早く進むので主系列星としての寿命は短い。 すなわち、主系列の左上ほど質量が重く寿命の短い星ということになる。

3.2-3 折れ曲がり点(転回点)(turn off point)

主系列星の左上に位置する質量の重い星から寿命がきて、主系列星から赤色 巨星へと変わる位置を折れ曲がり点(転回点)という。CM 図(HR 図)上で は右のほうに移動していく。

3.2-4 赤色巨星分枝 (red giant branch)

核融合反応が進み、恒星全体の約10%にあたる水素をヘリウムに変換しつく すと中心付近の収縮が進み、外層が膨張し赤色巨星へと進化する。主系列星か ら赤色巨星への進化は、CM 図上で左から右へほぼ水平に移動し右上にのびる 赤色巨星を赤色巨星分枝という。

3.2-5 水平分枝 (horizontal branch)

ヘリウム燃焼段階で一時的に CM 図上で左の方に移動した星々を水平分枝 という。主系列星の中心部で水素がなくなり、収縮し巨星へ進化し、その後、 中心核が収縮し温度が上昇することによってヘリウムの燃焼が開始する。太陽 程度の小質量星はヘリウム燃焼が爆発的に始まり、安定にヘリウムが燃焼され る。この進化の初期では、明るさの変化はなく CM 図上で温度の高い左の方へ 移動する。その後、右上の方に移動していく。

3.2-6 等時曲線

CM 図上での星の進化経路は、質量から理論的に求めることができる。ほぼ同 じ時期に進化を始めた星々は、CM 図上でそれぞれの進化経路のある時点の位置 プロットしそれを結んでできた曲線を、等時曲線という。

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3.3 UBV 測光系

2 種類の異なるフィルターを使用して撮影を行い、その等級の差を色指数とし て用いる。各フィルターの透過率は【図3.2】の通りである。今回使用する使用 する冷却CCD カメラには、ジョンソンフィルターが使用されている。 【図3.2:ジョンソンフィルターの透過率と波長】 B フィルター青色光(青色透過フィルター)350~550nm V フィルター緑色光(緑色透過フィルター)480~650nm B,V フィルターのそれぞれの見かけの等級を出すには、ポグソンの式を使う。

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3.4 ポグソンの式

カウント数…光子数、星の明るさに相当。 星の等級を数式で定義したもの。1等星と6 等星の等級の差は 5 等級、明るさ は100 倍明るい。これより、1 等級さあたりでは 100 の 5 乗根で約 2.5 倍明る いということになる。

𝑚 = 𝑛 − 2.5 × log(𝐼𝑚/𝐼𝑛)…(3.3)

m

:目標天体の等級

𝐼

:目標星団内の構成のカウント数

n

:標準性の等級

𝐼

:標準性のカウント数

ポグソンの式を用いて、B フィルター、V フィルターそれぞれの見かけの等級 を求めることができ、得られた等級から B-V の色指数を求める。今回の観測に おける標準星は【表3.1】の通りである。標準星は B,V フィルターの写真のどち らにも撮像されている恒星を選定した。

座標

21h32m04.95

-00°42’50.8”

B 等級

10.3

V 等級

9.798

データ元

ac2000.2

【表3.1:標準星】

(13)

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4章 観測方法と画像処理

4.1 使用機材

●望遠鏡:明星大学の天文台 ●カメラ:冷却CCD カメラ BITRAN 社 BN-82L ●フィルター:B,V フィルター ●画像処理ソフト:マカリィ、ステライメージ7

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4.2 撮像

撮像日時:2016 年 11 月 29 日 PM7:00~PM9:00 ●ライトフレーム 撮像枚数 B フィルター 50 枚 V フィルター 50 枚 <露出時間 30 秒> 【図4.1:ライトフレーム(1 枚)】 ●ダークフレーム 撮像枚数 B フィルター 1 枚 V フィルター 1 枚 <露出時間 30 秒> 【図4.2:ダークフレーム】

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4.3 画像合成

【図4.3:ステライメージでの作業中の画像】 各フィルターでそれぞれ撮像した画像を合成し、各フィルターで1 枚の画 像にまとめるために、天体画像処理ソフトウェア・ステライメージを使用し た。この作業で観測画像をダーク補正後コンポジット(合成)した。

(16)

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4.4 測光

【図4.4:M2 の測光画像】 ステライメージで合成処理したB、V フィルターの写真を天体教育画像解 析ソフト:マカリィを使って測光した。その後、フィルターの画像から得ら れたカウント値から色指数を求め距離を求めた。 ※色指数を出すためにカウント値 B-V の差を取るので、B フィルターと V フィルターでそれぞれ同じ星をマーク(上図の黄色丸)していき、番号を付 けて混同を防いだ。また、星団中心部の恒星は重なり合っているので周りの 恒星のみ測光した。

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17

5章 結果

5.1 画像の合成結果

●B フィルター

【図5.1:50 枚合成】

●V フィルター

【図5.2:50 枚合成】

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18

5.2 カウント値の結果

B フィルター V フィルター 1 5403.521 1 9292.414 2 3960.943 2 4847.179 3 2534.221 3 2666.775 4 2538.274 4 4858.274 5 3928.821 5 6872.238 6 1778.202 6 3416.833 7 677.7619 7 2118.429 8 1275.56 8 3097.429 9 6628.302 9 14816.04 10 12293.16 10 23943.28 11 6735.493 11 12472.61 12 9320.743 12 17169.78 13 3399.264 13 6703.514 14 3548.836 14 5399.438 15 8046.219 15 14135.52 16 9019.641 16 14744.73 17 5095.284 17 10992.56 18 3062.319 18 7487.164 19 1926.302 19 5465.359 20 2372.422 20 6513.313 21 2466.043 21 6609.453 22 7630.147 22 16409.2 23 3220.181 23 6333.25 24 1794.302 24 2717.5 25 3352.638 25 7311.172 26 1796.509 26 3613.625 27 2264.147 27 4834.469 28 2572.948 28 5718.164 29 2601.25 29 6017.094 30 7628.031 30 12722.28 31 4157.594 31 6093.883 32 7971.414 32 12286.81

(19)

19 33 6822.289 33 12180.4 34 2897.617 34 4786.219 35 3099.711 35 5002.57 36 2547.961 36 4175.586 37 2005.992 37 2866.57 38 3672.383 38 7675.422 39 2800.367 39 5790.82 40 3694.969 40 6016.664 41 6107.742 41 12581.3 42 1532.031 42 6171.055 43 2779.578 43 4490.129 44 1564.156 44 4206.233 45 3162.991 45 5688.75 46 2766.938 46 3673.688 47 5663.32 47 8493.242 48 7591.129 48 12610.36 49 6986.421 49 8556.779 50 2068.453 50 3816.086 51 2318.992 51 3385.648 52 2228.961 52 2752.352 53 1496.898 53 2976.758 54 7810.102 54 12026.34 55 1831.893 55 5940.219 56 1375.571 56 5276.156 57 4476.905 57 11752.49 58 1234.345 58 2587.026 59 4122.202 59 8495.862 60 3418.845 60 7607.845 61 1619.75 61 4066.129 62 3542.229 62 6948.514 63 2961.055 63 5570.469 64 4231.773 64 7206.656 65 3012.009 65 5376.06 66 3941.164 66 7135.06 67 6597.612 67 15186.31 68 52502.72 68 71333.14

(20)

20 69 1720.789 69 1551.078 70 55962.13 70 75439.17 71 58127.23 71 82706.02 72 390011 72 479901 73 1585.039 73 3563.203 74 3404.365 74 5054.291 75 2270.331 75 3180.095 76 3166.777 76 4965.878 77 5408.313 77 7961.977 78 1848.636 78 3906.943 79 1780.063 79 3261.415 80 1884.886 80 3924.443 81 1574.818 81 4225.074 82 1496.597 82 2841.744 83 2908.034 83 6120.403 84 1222.295 84 3289.347 85 6442.381 85 9538.313 86 3899.343 86 6274.093 87 3182.229 87 4790.736 88 2431.514 88 4089.064 89 1932.936 89 3026.879 90 2438.379 90 2986.707 91 2437.036 91 3917.771 92 1822.314 92 2887.636 93 1311.65 93 1307.664 94 2352.243 94 3605.314 95 1806.05 95 2654.621 96 13228.84 96 19315.27 97 1209.779 97 2550.657 98 3938.743 98 6077.4 99 4730.529 99 7555.157 100 45695.01 100 63199.56 101 348.392 101 1523.347 102 1376.455 102 2307.261 103 1812.227 103 2862.074 104 1841.307 104 3018.915

(21)

21 105 3135.943 105 4454.205 106 1381.966 106 2176.761 107 2602.71 107 3096.648 108 2137.278 108 2705.653 109 1151.057 109 1215.659 110 1035.972 110 1108.517 111 4010.239 111 5411.392 112 3567.636 112 5614.085 113 3435.665 113 4099.727 114 3481.045 114 4255.551 115 4330.636 115 7157.148 116 2505.336 116 4469.148 117 3890.986 117 6101.017 118 2687.421 118 4039.392 119 1387.814 119 2152.284 120 1579.957 120 1629.841 121 5251.171 121 6588.653 122 2674.464 122 4926.852 123 2830.757 123 3750.807 124 2616.164 124 3554.898 125 1806.314 125 3065.517 126 2014.664 126 3105.324 127 1700.043 127 2627.494 128 12422.47 128 19154.2 129 93873.5 129 129457.3 130 5374.795 130 8530.977 【表5.1:B,V フィルターのカウント値】

(22)

22

5.3 計算結果

【グラフ5.1:M2、M3、太陽近傍の星の CM 図】

◆M3(データ:Johnson & Sandage1956 より)、■M2 は、「見かけの等級」。

▲太陽近傍の星(データ:「ゼミナール宇宙科学」より、ヒッパルコス衛星によ る観測データ)は、「絶対等級」である。 観測結果からは、M2 の主系列星をとらえることができなかったため、太陽近 傍の星と直接主系列星同氏を比較して距離を求めることができない。このため、 主系列星と赤色巨星分枝、水平分枝を持っている別の球状星団 M3 を M2 のデ ータと重ねて描いた。まず M2 と M3 の赤色巨星分枝、水平分枝の等級の違い を調べる。次に、M3 と太陽近傍の恒星の主系列を比べることで M3 の距離を求 め、段階的にM2 を求める。 M2、M3 は【グラフ 5.1】において赤色巨星分枝と水平分枝の位置が重なって いることから、ほぼ同じ距離に存在することがわかる。 -5 0 5 10 15 20 25 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 2 2.5 M( 等 級) B-V(色指数)

CM図

M3 M2 太陽近傍の 星

(23)

23 m:M3 の等級 20 等級 M:太陽近傍の星の等級 5 等級 とすると、m-M=15 等級となり、(3.2)式に代入すると M2 までの距離rは 以下の値が得られた。

𝑟 = 10

15+55

= 10

4

[𝑝𝑐] =

𝟑𝟐, 𝟔𝟏𝟔[光年]

となった。 データ元 今回の観測結果 メシエ天体ガイド ニュートン 距離 32616 光年 37500 光年 37000 光年

(24)

24

第6章 考察

1.誤差について

生じた誤差は、4,384~4,884 光年だった。考えられる誤差の原因は以下 の通りである。 一つ目の原因は、大気のゆらぎが大きく撮像した画像に影響が生じたと考 える。シーイングが悪くなってしまった要因として、天頂から目標天体が 徐々に下がってきたことにより周辺減光の影響をうけてしまったこと。もう 一つは、月の光により暗い星まで観測できなかったと考えられる。その結果、 最終的な距離の誤差に結びついていると考えられる。 二つ目の原因は、観測時間の都合が原因だったと考える。観測に時間をも っと割き撮像枚数を増やしできる限り多くの写真を重ね合わせることが必 要だった。今回は、B,V フィルターそれぞれ 50 枚撮像し重ね合わせたが 200 ~300 枚程度それぞれ重ね合わせることができれば、光度が低く見えなかっ た恒星が見えてくると考えられる。 三つ目の原因は、恒星同士が近くに存在し測光の円とsky の部分に、他の 恒星の光が入ってしまいカウント値に誤差が生じたと考えられる。カウント 値は、その恒星の近くの空の暗さからカウント値を算出している。従って、 測光の円の部分と sky の部分に複数の恒星が入ってしまったことにより、 求めるカウント値に影響が及んだと考えられる。また、sky の幅(その空の 大きさ)によっても得られるカウント値は変化し、正しい値とは言えないだ ろう。 以上、大きく分けて三つことが考えられる。 【グラフ5.1】より、右の方へ行くと M2 と M3 のズレが生じており、お よそ 1~2 等級程度のズレが確認できる。また、M3 と太陽近傍の主系列と 比べると太陽近傍の星のばらつきにより、やはり1~2 等級程度のズレが確 認できる。m-M=16 等級の時と m-M =17 等級の時の二つの場合を考え、 距 離 に 換 算 す る 。 生 じ た 誤 差 は そ れ ぞ れ 、m - M=16 等 級 の 時 は 、 14,692~19,692[光年]、m-M =17 の時は、44,927~49,927[光年]の誤差が生 じた。この結果と本研究の誤差4,384~4,884[光年]を比較すると、本研究は 誤差の範囲で文献値と一致する良い観測ができたといえるだろう。

(25)

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2.CM図よりわかったこと

【グラフ 5.1】より、15 等級のところに一直線上に分布していることから それぞれの恒星がほぼ同じ時期に誕生し、金属量もほぼ同じことがわかる。 また、M3 とほとんど同じ位置にプロットされていることからM2 との距離 とほとんど変わらないことがわかる。 M3 のプロットと比較するとM3 は、B-V(色指数)0.5、20 等級のところ から右の方向に移動していることから転回点であることがわかる。しかし、 【グラフ5.1】からM2の転回点を見つけることができなかった。その原因 としては、光度の弱い恒星である主系列星を正確に観測することができなか ったからだと考える。【グラフ5.1】の右下から左上にプロットがのびていな いことから主系列星ではないことが明らかである。従って、すべて赤色巨星 であることがわかった。

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引用文献

◆JAXA 宇宙情報センター (http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/globular_cluster.html) ◆Astro Arts (https://www.astroarts.co.jp/alacarte/messier/html/m2-j.shtml) ◆Aladin (http://aladin.u-strasbg.fr/AladinLite/?target=M2&fov=3.00&survey=n ull) ◆Newton 別冊夜空に光る M1~M110 までメシエ天体のすべて ニュート ン プレス ◆理科年表 平成 28 年 丸善出版 ◆実習『星団のHR 図を作ろう』 (http://paofits.nao.ac.jp/Materials/CMD/text/TeachersGuide_HRdiagra m.pdf) ◆明星大学卒業論文 「散開星団までの距離」 10s1-004 阿久津貴晃 10s1-010 大枝克弥 ◆明星大学卒業論文 「H-R 図による M39 星団の距離と年齢の推定」 12s1-050 富沢優輔 12s1-059 新谷望 ◆明星大学卒業論文 「HR 図による散開星団 M41 の距離と年齢推定」 12s1-043 菅原慶裕 12s1-048 高松謙太朗 ◆戎崎修一(1995)「ゼミナール宇宙科学」東京大学出版会

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謝辞

本研究を進めるにあたり、小野寺幸子教授、井上一教授、日比野由美様か ら、望遠鏡や解析ソフトの使い方また、たくさんの天文学の知識など、丁寧 かつ熱心なご指導を賜りました。ここに感謝の意を表します。 また、最後まで暖かく見守ってくださった天文学研究室の皆様にも大変感 謝しております。一年間本当にありがとうございました。

参照

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