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学位論文題名Taxonomic Study of Japanese Marine Tubificidae (Annelida,Oligochaeta)

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 高 島 義 和

     学位論文題名

Taxonomic Study of Japanese Marine Tubificidae     (Annelida ,Oligochaeta)

(日本 産海産イトミミズ科の分類学的研究)

学位論文内容の要旨

  貧 毛 類 は 、 大 型 の 陸 棲 ミ ミ ズ 類 が 含 ま れ る こ と で よ く 知 ら れ て い る環 形 動 物の 一 綱 で ある 。 し かし こ の グル ー プは そ の 他に も 、小 型 の 水棲 種 を多 数 含 んで い る 。 貧 毛 類 に は 現 在 お よ そ30の 科 が 認 め ら れ て い る が 、 そ の う ち 、 三 分 のー ほ ど が小 型 の 水 棲 種 か ら な る も の で あ る 。 従 来 、 水 棲 貧 毛 類 は 殆 ど が 淡水 産 で あり 、 海 産 種 は 稀 で あ る と さ れ て き た 。 し か し こ こ20年 の 研 究 に よ り 、 か な り の数 の 海 産種 が 存 在 す る こ と が 明 ら か に な っ て き た 。 特 に イ ト ミ ミ ズ 科 に おい て は 、水 棲 貧 毛 類 全 体 の 中 で も 大 き な 割 合 を 占 め る 約500種 の海 産 種 が報 告 さ れて お り、 イ ト ミミ ズ 科 の も の を は じ め と し た 海 産 種 は 貧 毛 類 全 体 の 系 統 関 係 を 考え る 上 でも 無 視 で き な い 存 在 に な っ て い る 。 し か し 、 日 本 で は 海 産 貧 毛 類 は こ れま で 注 目さ れ る こ と は ほ と ん ど な く 、 分 類 学 的 研 究 に お い て さ え 、 断 片 的 な 少 数の 報 告 があ る の み で あ っ た 。 そ こ で 、1991年 よ り 、 多 く の 海 産 種 を 擁 す る イ ト ミ ミ ズ科 に 焦 点を 絞 り、日本におけるこのグループの分類学的な研究を行った。

  学位論文では、以下の9属17種の記載を行った。

Rんなodrilus pacif icus(Brinkhurst and Baker,1979;Heセrodrilus mediopapillosus Takashima and Mawatari,1997;Aたtedrilus longituらularis Finogenova and Shurova, 1980;A. Locyi Erseus 1980;A.たnoellnビガErseus,1987;A. michibatain.sp.; Bathydrilus litoreus Baker,1983;Nootkdrilus  crassisピめsus Takashima and Mawatari,1996;Pacif idrilus vanus Erseus,1984;MitinoたH耐rilusピメcavatus Takashima and Mawatari,1998;Limnodriloides agnes Hrabe,1967;己,victoriensむ Brinkhurst and Baker,1979;己.tenuiductus Erseus 1987;己,ezoensis Takashima and Mawatari,1997;工.uniductusn.sp.;Tuろif icoides pseudogaster(Dahl,1960);ア ろrevicoleus Baker.19 83.

これ らのうち 、Rカizodrilus pacificu.sとTubir icoides brevicoleusの2種は、申請 者 が 研 究 を 行 う 以 前 に 既 に 日 本 か ら 報告 の あっ た4種 の 海産 イ トミ ミ ズ 類に 含 ま れ て い る も の で あ っ た 。 よ っ て 、 本 研 究 に よ り 、 日 本 産 海 産 イ トミ ミ ズ 類の 種 数 は 19種 に 達 し 、 以 前 知 ら れ て い た よ り も か な り 多 く の 種 が 存 在 す る こ とが 明 ら かに     ―218ー

(2)

なった。

  申請者が 新たに記 録したも ののうち 、Aたtedril us michibaとajとLimnoclriloides uniductusの2種は未 記載種で あり、Ba曲ydrilus liめi'eusとPacifidrilus vaロ‖S, Limnodriloides victoriensisの3種 は 日 本 新 記 録 種 で あ る 。ま た 、Aたぬdril us 10ngitubularis,A. 10cyi,A. knoellneri,工imnodriloides agnes,己.teロuiductLIS, Tu所 icoides  pseudogasterの6種 は 日 本 初 記 録 種 と し て 、Hetrerodril us mediopapillosus,」N′ootkadril us crassisetosus,Mitinoたuidril us exca va tus‑, Limnodiーiloides ezoensisの4種 は新 種 とし て 、 研究 の 過 程で 申 請者 に よ り報 告 さ れたもの である。 特にMitinoたuidril us  exca va tusは既存のどの属にも入らないと 判 断 さ れ た た め 、 新 し い 属 Mi tiロ oたuidril usを 創 設 し て 収 容 し た 。   貧 毛 類 は 雌 雄 同 体 で 、 ま た 、 殆 ど の 種 に お い て 、 雄 性 生 殖器 と 雌 性生 殖 器が 同 時に発達 すること が知られ ている。 しかし、本 研究で発 見されたMi tiiioたuiclrjJus exca va tusで は 、発 達 し た雄 性 生 殖器 官 (精 巣 、 精嚢 、雄性生殖 管)と未 発達の雌 性 生 殖 器 官 ( 卵 巣 、 受 精 嚢 ) を 有 す る 個 体 及 び 、 発 達 し た 雌 性生 殖 器官 と 退 化的 な 雄 性 生 殖 器 官 を 持 つ 個 体 と ぃ う 、2つの タ イ プの ど ちら か の 個体 の みが 存 在 し、

発 達 し た 雄 性 生 殖 器 官 と 雌 性 生 殖 器 官 の 両 方 を 持 つ 個 体 は 観 察さ れ なか っ た 。こ の 結 果 か ら 、 本 種 が 雌 雄 異 体 で あ る か 、 雄 性 生 殖 器 と 雌 性 生 殖器 が 異な っ た 時期 に 成 熟 す る 隣 接 的 雌 雄 同 体 で あ る 、 と ぃ う2つ の 可 能 性 が 挙 げ ら れ た が 、 発 達 し た 雄 性 生 殖 器 を 持 つ 個 体 に あ る 受 精 嚢 の 組 織 学 的 な 所 見 が 発 達途 上 のも の と 認め ら れ る こ と 、 及 び 、 イ ト ミ ミ ズ 科 と こ れ に 近 縁 な ミ ズ ミ ミ ズ 科で は 雄性 生 殖 器の 形 成 が 雌 性 生 殖 器 の 形 成 に 先 立 つ 傾 向 が あ る こ と か ら 、 本 種 の生 殖 様式 は 、 雄性 生殖 器 の 成熟 が 雌性 生 殖 器の そ れに 先 立 つ、 隣 接 的雌 雄 同体 で あ ると 推 測さ れ た 。   本 研 究 は 、 一 地 域 の 動 物 相 を 解 明 す る に は ま だ 充 分 と は 言え な い 。し か し、 本 研 究 に お い て 発 見 さ れ た 17種 の う ち の6種 が 新 種 で あ り 、 ま た そ の 中 に は Mitinoたuidr.il us  exca va tusのような独自の形態、生殖様式を示す種が存在するこ と を 明 ら か に す る こ と が 出 来 た 。 こ の こ と か ら 、 海 産 イ ト ミ ミズ 類 には 系 統 的、

生 態 的 に も 特 異 な も の を 含 む 未 記 載 種 が ま だ 多 く 存 在 す る も の と 結 論 さ れ た 。

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Taxonomic Study of Japanese IvIarine Tubificidae     (Annelida ,Oligochaeta)

(日本産海産イトミミズ科の分類学的研究)

  海 産無 脊椎動物の分類は現在においてもあまり進んでいない。我々人類が陸上動 物で あり また、海産無脊椎動物はおしなべて体が小さく、採集・観察・研究が困難 なた めで ある。これまで特に研究の遅れている微小な動物グループには、形態、生 態的 に既 知種と大きく異なる、興味深い種がなお潜んでいる可能性が大きい。記載 分類 こそ がこれらの動物の存在を明らかにし、今後の研究の発展のきっかけをっく る鍵 を握 っている。現在知られている生物学の知見は、膨大な生物多様性のうちの ごく 一部 に過ぎない。近年、分子生物学等の台頭により記載分類に対する関心が減 少し てい るが、生物の多様性は生物学がいかに発達しようとも予測不可能であり、

我々 はー つーつの種を地道に記載していく以外、その全貌を知る手だてはをいので ある 。本 論文は、このような意識のもと、日本では特に研究の進んでいない海産イ トミ ミズ 類の種構成を少しでも明らかにすべく行われた分類学的研究をまとめたも のである。

  イトミミズ科は環形動物貧毛綱に属するグループのーつであ・る。従来この科を構 成す る種 は殆どが淡水産であるとされ、海産種は少数が知られるに過ぎなかった。

し か し 、 近 年 多数 の海 産種 が報告 され るよ うに なり 、現 在で はイ トミ ミズ 類600 種以 上の うち およ そ2/3を 海産 種が 占め るに至 って いる 。日 本で は海産イトミミ ズ類 に対 する 関心 は低 く、 これ まで に、4種が報告されていたに過ぎなかった。こ の現状を改善すべく本研究は企画された。

  本 研 究 で は 、 日 本 の9地 点 よ り 採 集 を 行 い 、 得 られ た お よ そ1000の 標 本 に基 い て9属17種 の 海 産 イ ト ミ ミ ズ 類 を 確 認 し た 。 こ のう ち6種 は 新 種 、9種 は 日本 初記 録、 残り の2種 は既 知種 とし て確 認さ れた もの であ る。 なお 、新種6種のうち 4種 は研 究の 過程で 出版 し報 告し たも のであり、本論文ではこれらの種を再記載し て い る 。 日 本 産種 の種 数は 、本研 究に より 確認 した17種 に、 既知 種4種 のう ち本 研 究 で 確 認 で き な か った2種 を 加 え 、 従 来 の4種か ら19種とな った 。こ れに より

介 雄夫 駿晴 道 渡 倉田 馬片 増 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

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日 本 産 海 産 イ ト ミ ミ ズ 類 の 分 類 学 的 知 見 は か な り 増 大 し た と 言 え る 。   新種6種のうちの1種Mitinokuidrilus excavatusは、形質状態の組み合わせが特異 で あり 、既 存の どの 属にも所属させることが困難であると判断されたため、新属を 創 設し た。 更に 、こ の種は特異な成熟を行うことが見出された。貧毛類は雌雄同体 で 、成 熟す ると 雌雄 両方の 生殖 器官 が1個体 に発 達する。ところが本種は、発達し た 雄性 生殖 器官 をも つ個体 と発 達し た雌 性生 殖器 官をもつ個体とぃう、2夕イプの 成 熟個 体を 持っ てい た。本種の生殖様式は、雌雄の生殖器官が時をずらして現れる 隣 接的 雌雄 同体 であ るか、或いは雌雄異体である可能性が考えられる。イトミミズ 科 及び これ に近 縁で あるミズミミズ科では、雄性生殖器官の形成が雌性生殖器官の そ れに 先立 つ傾 向の あること、また生殖器官の間の組織学的な特徴とぃう間接的な 証 拠か ら、 隣接 的雌 雄同体、中でも雄性生殖器官の形成が先に行われる雄性先熟で あると暫定的ながら判断された。

  貧毛 類tま2個 体が 互いに精子を交換し合う交尾を行うとされているが、本研究で 見出された一種Mitinokuidrilus excavatusを初めとするイトミミズ類では生殖器官の 形 態が 多様 で、 交尾 において必ずしも一般的な精子交換が行われてはいない可能性 が指摘された。

  以上 のよ うに 、本 研究は、海産イトミミズ類の分類学に関する新しい知見をもた ら した 。ま た貧 毛類 の生殖様式に関する今後の研究に新しいきっかけを与えるもの として評価される。

  公開発表において、雌雄同体が雄性先熟へと変化することの進化的要因について、

およぴ、M. excavtusにおける環帯の存在についての質問がなされたが、発表者はお おむね妥当な回答を行った。

  よっ て著 者は 、北 海道大学博士(理学)の学位を授与される資格のあるものと認 める。

参照

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