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3T3 L1前脂肪細胞によるコラーゲン合成・分解におよぼすレチノイドおよびサイトカインの影響

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Academic year: 2021

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Title

3T3 L1前脂肪細胞によるコラーゲン合成・分解におよぼす

レチノイドおよびサイトカインの影響( 内容の要旨

(Summary) )

Author(s)

沼口, 諭

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)甲 第278号

Issue Date

1994-03-16

Type

博士論文

Version

publisher

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14858

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 沼 口

論(岐阜県)

士(医学)

甲第 278 号 平成 6 年 3 月16 日

学位規則第4条第1項該当

3T3Ll前脂肪細胞によるコラーゲン合成・分解におよぽすレチノイド およぴサイトカインの影響 (主査)教授 武

敏 (副査)教授 岡 野

教授

見 剛 論 文

内 容

の 要

慢性肝炎の多くは肝線維化を伴い,肝硬変へと進展する。したがって,肝線維化を抑制することは慢性肝疾患 の治療上極めて重要な課題といえる。一方肝においては伊東細胞が細胞外マトリックス(ECM)の大部分を 産生するものとみなされている。正常肝における伊東細胞は静止期にあり,レチノイド(ビタミンA誘導体の総 称)を大量に含有する脂肪滴を有し,ECM産生能はきわめて低い。しかし,一旦肝が障害されると,伊東細胞 は活性化されて増殖能が高まり,血小板やクッパー細胞あるいは伊東細胞自身から分泌されるtransforming growthfactor(TGF)-βによって筋線維芽細胞様細胞に形質転換され・ECM産生能が元進する。従って・こ のような伊東細胞の活性化やその制御機構の研究は,肝線維化の病態の解明および新しい治療法の開発にとって 不可欠である。 一方,肝線維化とレチノイドの関わりは,伊東細胞の活性化の過程でレチノイドが胞体から消失する事実から 特に注目されてきた。これまでに,レチノイドは培養細胞系において伊東細胞の筋線維芽細胞様細胞への形質転 換を抑制すると報告されている一方,臨床例においてレチノイドの過剰投与により肝線維化が誘発されたとの報 告もみられ,最近の研究ではむしろレチノイドは肝線維化を刺激するとも考えられている。教室では,四塩化炭

衰誘発肝硬変モデルにおける肝実質障害及び肝線維化をレチノイド誘導体が抑制することを報告した○しかし,

肝実質障害を伴わない他の肝線維化モデルではレチノイド誘導体を投与しても明らかな抑制効果はみられず,む しろ線維化が増悪する傾向にあることを観察している。 そこで申請者は,これら2つの見かけ上相反するレチノイドの作用を解明する目的でECMの産生ならびに分 解に及ぼすレチノイドおよびサイトカインの効果について,伊東細胞のモデルとして3T3Ll前脂肪細胞を用い て検討した。なお申請者は既に3T3Ll前脂肪細胞は未分化な状態では活性化した伊東細胞(筋線維芽細胞様細 胞)に,また脂肪細胞に分化誘導した状態では静止期の伊東細胞にそれぞれ相応する形態や,レチノイド含有量, ECMの産生およびTGF-βの転写発現の変動を示すことを確認している。さらに,最乱interferon(IFN)-a やIFN-βが慢性ウイルス性肝炎の治療のために広く臨床の場で用いられるようになり,肝線維化を減少させる との報告もみられる。そこで,ECMに対するIFNの影響についても併行して検討した。 対象および方法 3T3Ll前脂肪細胞の培養は,37℃,5%CO存在下,10%FCS,50U/mlペニシリン,50FEg/mlストレプト マイシンを含むダルベッコ改変イーグル培地中で行った。また,前脂肪細胞の脂肪細胞への分化誘導は既報に 従いインスリン存在下で行い,90%以上の細胞が分化誘導されたことを形態的に確認した上で用いた。All一打α那 レチノール,all一打Ⅶ那レチノイン酸,9-Cよぶレチノイン酸,デキサメサゾンはエタノールに,TGF-β1,マウスI FN-a,βおよびγは基本培地にそれぞれ溶解し用時培地に添加した。細胞増殖はdimethylthiazoltetra-zolium塩を用いた方法にて測定した(MTT法)。 RNAは培養細胞からacidguanidinium thiocyanate-phenol-Chloroform法により抽出し,10〟gのRNAを用 いてノーザンプロット法により解析した。ブロープは,human pro-a2(Ⅰ)collagenおよびhuman TGF-β1の cDNAを32Pにてラベルして用いた。培養液中のコラゲナーゼ活性はコラゲノキット(CLN-100)にて測定した。 31

(3)

結 果 1)3T3Ll前脂肪細胞の増殖に対するレチノイドおよぴサイトカインの影響:すべてのレチノイドは3T3Ll 前脂肪細胞の増殖を刺激した。特にall-れ那レチノールは濃度依存性に最も強く細胞増殖を刺激し,10〟Mで 対照群の約280%の細胞増殖を誘導した(alト加那レチノイン酸と9-Cよぶレチノイン酸は10〝Mでtそれぞれ約 180%と150%)。一方,TGF-β1,IFN-a,βそしてIFN-rは3T3Ll前脂肪細胞の増殖を各々対照群の約70%, 50%,60%までに抑制した。 2)3T3Ll前脂肪細胞の分化に対するレチノイドおよびサイトカインの影響:TGF-β1は3T3Ll前脂肪細胞 の脂肪細胞への分化誘導を著明に抑制し,また一旦分化した脂肪細胞を脱分化させ・形態的に脂肪滴の消失およ び細胞の長形化を誘導した。しかし,all-加那レチノイン酸およびIFN-α・βでは分化誘導に及ぼす明らかな 効果はみられなかった。 3)Pr。-a2(Ⅰ)collagenmRNAの発現におよぼすレチノイドおよぴサイトカインの影響‥いずれのレチノイド もその発現を増強した(1〝Mall-traTWレチノールにより320%に増強)。また,10ng/mlTGF-β1は,610 %まで発現を増強した。一方,1FLMデキサメサゾンは約60%に,400U/mlIFN-a,βおよびIFN-γはそれ ぞれ約30%と10%に発現を減弱させた。 4)TGF-β1mRNAの発現の及ぼすレチノイドおよびサイトカインの影響‥TGF,β1は10ng/ml添加にて自 らの発現を対照群の190%に増強させた。しかし,レチノイド,デキサメサゾン,IFN-α,βおよびIFN-γ添加 による変動はみられなかった。 5)細胞外マトリックスの分解に及ぼすレチノイド,サイトカインの影響‥レチノイド,TGF-β1及びデキサメ サゾンは,前脂肪細胞から分泌されるコラゲナーゼ活性をいずれも対照群の約70%に抑制した。IFN-α・βおよ ぴIFN-γはコラゲナーゼ活性に影響を与えなかった○ 考 察 レチノイドは,3T3Ll前脂肪細胞の増殖を刺激し,Ⅰ型プロコラーゲン遺伝子の発現を冗進させ,コラゲナー ゼ活性を抑制した。なかでも,all一加那レチノールがそれらの作用を最も強く示したことにより,レチノイン酸 核レセプターを介さない作用機序が関与している可能性も推定される。例えば,Ⅰ型プロコラーゲン遺伝子発現 の増強やコラゲナーゼ活性の減弱は,TGF-β1などサイトカインによる二次的な制御による可能性が考えられる。 このようなTGF-βの活性化を介するレチノイドのECM産生刺激作用は培養伊東細胞でも同様に観察されるこ とを現在確認している。 一方,教室では四塩化炭素投与により誘導された肝実質障害を伴う肝硬変モデルでの肝線維化がレチノイドに ょり抑制されることを観察したが,これは,レチノイドの肝実質細胞に対する保護作用が,肝での炎症を減弱さ せ,その結果肝線維化を抑制したものと推定される。このようにレチノイドは肝線維化に関して・間葉系細胞に 対する線維増生効果と肝実質細胞に対する細胞保護効果という二面性の効果を有するものと考えられる。 さらに,IFNは抗ウイルス■活性を介する抗炎症作用により,TGF-βなどのサイトカインの産生を二次的に抑 制し間接的な線維化抑制を示すものと考えられてきたが,加えてECM産生担当細胞に直接作用してⅠ型プロコ ラーゲン遺伝子の発現を抑制し,線維化を直接的に抑制する可能性が立証された○ 本研究は,将来,肝線維化の治療として,たとえばレチノイド関連遺伝子の転写活性を阻害するようなレチノ イド桔抗剤開発への途を拓くものであり,実際その研究が進行中である○

論文辛査の結果の要旨

申請者沼口論は間葉系細胞においてレチノイドが細胞外マトリックス産生を冗進させ一分解を抑制することに ょり線維化を刺激することを明らかにした。また,インターフェロンは,細胞外マトリックス産生細胞に直接作 用して線維化を抑制することを立証した。これらの新知見は肝臓病学およびビタミン学の進歩に少なからず寄与 するものと認める。 [主論文公表誌] 3T3Ll前脂肪細胞によるコラーゲン合成・分解におよぼすレチノイドおよびサイトカインの影響 岐阜大医紀42(2):掲載予定,1994 32

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