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ヒトプロト型 c-Ha-ras 遺伝子導入トランスジェニックマウスにおける肺腫瘍発生に関する分子病理学的研究

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Academic year: 2021

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Title ヒトプロト型 c-Ha-ras 遺伝子導入トランスジェニックマウスにおける肺腫瘍発生に関する分子病理学的研究( 内容の要 旨 ) Author(s) 森, 郁生 Report No.(Doctoral Degree) 博士(獣医学) 乙第046号 Issue Date 2001-09-21 Type 博士論文 Version URL http://hdl.handle.net/20.500.12099/2030 ※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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氏名(本籍) 学 位 の 種 類 学 位 記 番 号 学位授与年月日 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 森 都 生(愛媛県) 博士(獣医) 獣医博乙第46号 平成13年9月21日 学位規則第4条第2項該当 ヒトプロト型c・Ha・raS遺伝子導入トランスジェニックマウ スにおける肺腫瘍発生に関する分子病理学的研究 主査 岐阜大学 教 授 柵 木 利 副査 帯広畜産大学 副査 岩 手 大 学 副査 東京農工大学 副査 岐阜 大 学 教 授 松 井 高 教 授 岡 田 幸 教 授 三 森 国 教 授 武 脇 昭 峯 助 敏 義 論 文 の 内 容 の 要 旨 本研究では,rα∫遺伝子の変異と肺鹿瘍発生の関連を調べるために,ヒトのプロト型 c-ぬ-rα∫遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)動物G芯H2マウス)における自然 尭生肺増殖性病褒偲瘍,■さらに同マウスにおける既知の発癌物質であるウレタン投与によ り誘発させた肺増殖性病熟度瘍について,病理組織学および分子生物学的検討を行った。 第1章では,児戯2マウスの肺における自然発生肺増殖性病変および腫瘍の特徴を明ら かにするた吟に病理組織学的および分子生物学的に調べた。雌雄各122匹の工おH2マウス を2年間無処置で飼育したところ,10例に肺の増殖性病熟度療が認められた。.その内訳 は,細気管支一肺胞上皮過形成(3例),細気管支_肺胞腺塵b例)および細気管支一月朝包腹 症P例)であった。遺伝子解析では,ヒトc一馳-r瓜ぎ導入遺伝子の変異が,細気管支一肺胞上 皮過形成の2例,細気管支一月朝鮎泉魔の1例および細気管支一肺胞腹症の5例に認められた。 一方,マウス内在性c_Haすα∫およびc_紀_和∫遺伝子には,いずれめ病変にも変異は認めら れなかった。したがって,rおⅠヱマウスの自然発生肺増殖性病変健瘍の発生および進展に は,導入遺伝子の変異が関与していることが示唆された。 第2章では化学物質に琴発された肺増殖性病変および腫瘍における遺伝子変異の関与

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一279-について検討した。1群雌雄3匹以上のrasH2マウスあるいは非遺伝子導入bon-Tg)マ ウスに1(X氾m岩井gのウレタンを単回あるいは3回短日間隔)腹腔内投与したところ,■ウ レタン投与群で肺の増殖性病変/腫瘍が早期に誘発されかつrasH2マウスはnon-Tgマウ スに比べより高い発生頻度を示した。raSH2マウスの3回投与群では,腺癌の発生数が増 加した。分子生物学的には,ヒトc_Ea_和∫導入遺伝子の変異が,raSE2マウスの単回投与 群で雄の58.3%,雌の62.5%にみられたが,3回投与群では雄の26.3乳雌の33.3%にのみ 認められた。また,マウス内在性c-Ⅲ-rα∫遺伝子の変異では,rおH2マウスの単回投与群で は,雌雄ともみられなかったが,3回投与群では雄の10.5乳雌の28.6%に認められた。し たがって,3回投与群は,単回投与群に比べ誘発肺増殖性病変と腫瘍数が高い値を示した が,導入遺伝子の変異頻度は低い値を示し,さちにマウス内在性のc一鮎イα∫遺伝子の変異 も低率ながら認められた。以上のことから,rおⅠ老マウスにおける肺発癌過程には,用∫以 外の遺伝子が関与している可能性が示唆された。 第3章では,一弘H2マウスのウレタン誘発肺増殖性病変値瘍の発生に関与するとされて いる細胞周期に関連したCydhDlおよびPCNAならびに癌抑制遺伝子産物であるP53の 発現を免疫組織化学的に検討した。Cyd血Dl陽性率は,.rおH2マウスの3回投与群の細気 管支一癖胞上皮過形成で単回役与群のそ頼こ比べ高値を示レ細気管支肺聯嘩癌にお ける陽性率と同様に高値を示した。一方,mH2マウスの単回投与群およびm一職群で軋 細気管支一肺胞上皮過形成に比べ細気管支_肺胞吼阻腺癌で高値を示した。PCNA陰性率は, 全ての群において細気管支一肺胞上皮過形成に比べ細気管支_肺胞腺月動腺瘡で高値を示した。 なお,いずれの群においてもP53の発現異常はみられなかった。m瓜H2マウスのウレタン3 回投与群では細気管支一肺胞上皮過形成にCyc血Dlの過剰発現が認められたことから, CyclinDlは肺増殖性病変偲瘍の細胞増殖活性に関与するだけでなく肺病変の進展に大き く関与することが示された。 本研究により、rおH2マウスにおける化学物質誘発肺発癌メカニズムには導入遺伝子あ るいは内在性和∫遺伝子の変動活性化に加えて、細胞周期関連遺伝子の異常が関与するこ とを明らかにした。また、本職マウスが発癌性を検討する実験動物として有用であるこ とを明うかにした。今回の研究の成果は、化学物質の発癌メカニズムの一端を明らかにレ

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同マウスを用いた化学物質の肺における発癌性評価実験は有用な短期瘡原性検出法である ことを明らかにした。これらは環境衛生および薬剤の安全性研究において多大な貢献を示 すものと考える。 審 査 結 果 の 要 旨 申請者は,武田薬品工業株式会社・薬剤機能第二研究所において,審歯類を 用いた医薬品の,がん原性試験でみられる増殖性病変/腫瘍の病理組織学的検査 を通して,腫瘍診断における組織病理の限界を痛感し,分子生物学的手法を用 いて腫瘍病理学をとらえるべく,ヒトのプロト型c-Haで郎遺伝子を導入した 這sH2マウスを用いて,自然発生およびウレタン誘発肺鹿癌の発癌過程に関与し ている遺伝子変異を調べることにより,肺発癌メカニズム解析を試み,さらに rasIi2マウスを用いて短期発癌性検出の有用性を検討した。 1. ヒトプロト型c-H-rα∫トランスジェニック(rasE2)マウスの自然発生肺増殖 性病変/腫瘍における病理組織および分子生物学的研究¢肋如上蝕ん0・) -aSH2マウスの肺腫瘍の特徴を掴むべく自然発生肺腫瘍の病理組織学的検 査と分子生物学的検査を実施した。雌雄各122匹のrasH2マウスを2年間無 処置で飼育したところ,10例に肺の増殖性病変/腫瘍が認めうれた。病理組 織学的にそれらの病変は細気管支_肺胞上皮過形成(3例),細気管支一肺胞腺 塵(2例)および細気管支●肺胞腺癌(5例)に分類された。遺伝子検査では ヒトc-Ha一用∫遺伝子の変異が,細気管支丁肺胞上皮過形成(2例),細気管支 _肺胞腺鹿(1例),および細気管支_肺胞腺癌(5例)のcodon61.2(CAd→ CTG)に認められた。一方,マウス内在性c-Ha-raSおよびc-Ki-raS遺伝子に は,いずれの病変にも変異は認められなかった。よって,raSH2マウスの自 然発生肺増殖性/腫瘍の発生および進展に導入遺伝子の変異が関与していた。 2. -aSH2マウスの肺におけるウレタン単回および3回投与による誘発肺増殖 性病変/腫瘍の発現と遺伝子変異の関連についての研究(Cβ乃Cerエe〝訂) 化学物質誘発肺増殖性病変/腫瘍における遺伝子変異の関わりについて検 討した。1群雌雄3匹以上の.asH2マウスあるいは非遺伝子導入(non-Tg) マウスに1000m帥gのウレタンを1回あるいは3回(2日間隔)腹腔内投与 した。ウレタン投与により肺の増殖性病変/腫癌が早期に誘発され rasH2マ

ウスでnon-Tgマウスに比べより多数の病変が認められた。raSH2マウスの3

回投与群では腺癌の発生個数が増加していた。分子生物学的には,導入遺伝 子のヒトc_Ha_iascodon61.2にATからTAへの変異がrasH2マウスの1回投 与群の雄58.3%,雌62.5%にみられたが,3回投与群では雄26.3%,雌33.3% と低率であった。また,マウス内在性c一鮎-raS遺伝子の変異はrasH2マウス の1回投与群では,雌雄ともみられなかったが,3回投与群では雄10.5%, 雌28.6如こcodon61.2(CAA→CGA)の変異が認められた。よって,3回投 与群では1回投与群に比べ誘発肺増殖性病変/腫瘍数が増加していたが,導入

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-281-遺伝子の変異頻度は低下し,加えて低率ながらマウス内在性のc_鮎_raS遺伝 子の変異も認められた。このため,raSH2マウスにおける肺発癌過程には, rα∫瘡遺伝子以外の遺伝子の関与が考えられた。 3・ra畠H2マウスのウレタン誘発肺増殖性病変/腫瘍におけるCyclinDl,PCNA およびP53の発現に関する免疫組織化学的研究¢撤肋d∫cり rasH2マウスのウレタン誘発肺増殖性病変/腫瘍の発生に係わる細胞周期 関連(CyclinDl,PCNA)および癌抑制遺伝子産物(P53)の発現率の関連を

免疫組織化学的に検討した。CyclinDl陽性率は,raSH2マウスの3回投与群

の過形成で1回投与群の過形成に比べ高値を示し,腺腫/腹症での陽性率と同 程度の高値であった。一方,raSH2マウスの1回投与群およびnon-Tg群では, 過形成に比べ腺塵/腺癌で高値を示した。PCNA陽性率は全ての群において過 形成に比べ腺腫/腺癌で高値を示した。なお,いずれの群においてもP53の過 剰発熟まみられなかった。よって,raSH2マウスのウレタン3回投与群の過 形成にCyclinDlの過剰発現が認められたことからCyclinDlは肺増殖性病変 /腫瘍の細胞増殖活性に係るのみならず肺病変の発生に深く関与することが 示唆された。

本研究により,raSH2マウスの化学物質による発癌過程には,導入遺伝子ある

いは内在性用∫癌遺伝子の変異′活性に加えて,細胞周期関連遺伝子(CyclinDl およびPCNA)異常発現が重要であることが明らかにした。本研究の成果,raSE2 マウスが肺発癌メカニズムの解明に有用であり,且つ,同マウスを用いた化学 物質の肺における発癌性評価実験は有用な短期癌原性検出法であることを明ら`

かざこした。これらは環境衛生および薬剤の安全性研究において多大な貢献を示

すものと考えられた。 以上について,審査委員全員一致で本論文が岐阜大学大学院連合獣医′学研究 科の学位論文として十分価値あるものと認めた。 基礎となる学術論文 1・Carcinogendose-dependentvariationinthetransgenemutationspectrumin urethane-inducedlungtumorsintransgenicmicecarrymgthehumanPrOtOtyPe C-Ha-rα∫geIle. MoriIkuo,YasuharaKazuo,HayashiShim-mO,NonoyamaTakashi,Nomhra Tats叫1andMitsumoriKunitoshi Cα乃Cerエe打er 153●1-2●199∼209・2000

2・Pointmutations ofthe c-H-raS

genein spontaneouspulmonarytumors of transgenicmic■ecarrymgthehumanc-H-raSgene・ Mori肋0,HayashiShim-mO,NonoyamaTakashi,YasuharaKazuo,Mitsumori KunitoshiandMasegiToshiaki わ〟r朋Jげ加ゎαbgfc劫加わ紗 13●3●165∼172・2000

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3・AberrantexpressionofcyclinDlinpulmonaryproliftrativelesionsinducedby

highdosesofurethaneintransgenicmicecarryingthehumanprototypec-H-raS

gene・

MoriIkuo,Yasuhara Kazuo,HayashiShim-mO,Nonoyama Takashi,Nomura

Tatsuji,YanaiTakuma,MasegiToshiakiandMitsumoriKunitoshi 乃e、わ〟川αJガIセねr血αワ〟bdねαJ先知ce

63・3・261つ〉268・2001

既発表論文

1・Enhanced clearance oflactic dehydrogenase-5in severe・COmbined

immunOde丘ciency(SCID)mice:e蝕ctoflacticdehydrogenaseviruSOnenZyme Clearance. HayashiToshiharu,OzakiMasakazu,Mori址uo,SaitoManabu,ItohTos血ioand YamamotoHanlya 血er乃α血朋り血r乃αJげ丘甲er血e乃ね才知加ゎ紗 73・2●173∼181・1992 2・lmmunofhoTeSCentantibodyresponsetolacticdehydrogenaseviruSindifferent Strainsofmice. HayashiToshiharu,Mori址t10,NoguchiYuko,ltohToshioandSaitohManabu ・わ〟r乃αJげCo叩クβrα血e劫加わ訂 107・2・179∼183・1992 3.BindingofasparaglnaSetOmOuSemOnOCyteS. Morilkuo,HayashiToshiharu,KitazimaSyqlandYamamotoHaruya 加er乃α血乃αJゐur乃βJ呼丘甲er血e乃ねJ鱒妨0わ紗 73・5・585∼592・1992

4・bctic dehydrogenase viruSinfection prevents development of anti-nuClear

antibodyin(NZBXNEW)Flmice;rOleofprostaglandinE2andmacrophageIa antigenexpression. HayashiToshiharu,MoriIkuoandYamamotoHaruya 加er乃dfわ那J力以r乃αJガ丘甲er加‡e乃ねJ劫班0わ訂 73・5・593∼601・1992 5・Endometrialcarcinogenesisinduced by concurrent oraladministration of ethylenethioureaandsodiumnitriteinmice. YoshidaAkiyoshi,HaradaTakanOri,HayashiShim-mO,Mori址uo,MiyaJlma HiroakiandMaitaKeizo CαrC加oge乃g血 15・10・2311∼2318・1994

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-283-6.SpontaneousproliftrativelesionsinthenasopharyngealmeatusofF344rats. HayashiShim-mO,Mori放uoandNonoyamaTakashi 7ぬ加わgわアα班0わgγ 26・3・419∼427・1998 7・Pointmutationsofthec-H-raS geneinspontaneouslivertumorsoftransgenic micecarrylngthehumanc-H-raSgene. HayashiShim-mO,Mori址uo,NonoyamaTakashiandMitsumoriKunitoshi 肋加わgね劫班0わ紗 26・4・556∼561・1998

8.Pulmonary 丘brosis caused by N-methylrN-nitrosourethaneinhibitsluung

tumongenesis by urethanein transgemic mice carrylngthe human prototype C-Ha-rα∫gene. MitsumoriKunitoshi,Yasuhara Kazuo,Mori駄uo,HayashiShim-mO,Shimo Takeo,OnoderaHiroshi,NomuraTatsujiandHayashiYuzo Cβ乃Cerエefねr! 129・2・181∼190・1998 9.SpontaneoussymOVitisinWistarrats. SasakiSatoshi,NagaiHirofumi,MoriIkuo,KandoriHitoshiandAnayama Hisashi 肋ic()わgfc劫助obgγ 26・5・687∼690・1998

10.Lack of modifying efftcts of NNK oflung tumorigenesisin hamsters with pulmonary丘brosisinducedbyMNUR KoujitaniTakatoshi,MitsumoriKunitoshi,YasuharaKazuo,MoriIkuo,Onodera Hiroshi,NonoyamaTakashiandHayashiYuzo ゐ〟川αJげnばicoわgねPα加わ紗 11・3・169∼175・1998 11・Collaborativeworktoevaluatetoxicityonmalereproductiveorgansbyrepeated dose studiesinrats24)testiculartoxicityofboricacid after2-and4-Week admimistrationperiods. FhkudaRyo,HirodeMitsuhiro,Mori汰uo,ChataniFumio,MorishimaHidekiand Maya血araHirosbi 乃eJ血r朋Jげ7厄加わgfcαJ∫cね乃Ce 25●SpecialIssue.233∼239・2000

参照

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