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流れ加速型腐食(FAC)による配管の減肉予測モデルの構築

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Academic year: 2021

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(1)主要な研究成果. 流れ加速型腐食(FAC)による配管の減肉予測モデルの構築 背 景 原子力・火力発電プラントの運用・管理において、配管の減肉現象は重要な問題であり、特に流れ加速型腐 * 1 は最も注意を要する現象である。配管減肉を合理的に管理する為には、定期的な肉厚検査と共に、 食(FAC) 現象メカニズムに基づく定量的な予測の併用が望まれる。FAC は流動・水化学・材料の各因子が複合した現 象である為、減肉量の予測にはこれらの因子を全て考慮したモデル式の構築が必要である。定量的な予測モデ ルが確立されれば、例えば肉厚検査が困難あるいは検査回数が少ない部位の減肉傾向や、水質改善あるいは出 力向上等の運転条件変更による余寿命、等の評価が可能となり、減肉現象に対する実機配管の保守管理の合理 化に大きく貢献することができる。. 目 的 FAC の各影響因子に対する評価手法を確立すると共に、各因子を考慮した減肉率予測モデル式を構築する。. 主な成果 1.FAC に関与する流動因子(物質移動係数)の評価 配管内で FAC が発生し得る偏流条件に対応する流動因子(物質移動係数)の評価手法として、壁面近傍 における平均流速の増大分と、流速の変動成分(乱流速度* 2)とを加味した物質移動モデルを構築した(図 1)。 このモデルを FAC 試験の減肉率データに適用し、乱流速度を考慮することの妥当性を確認した(図 2)。 2.FAC に関与する水化学因子(鉄の溶解度、溶存酸素濃度)の評価 主に水化学・材料因子の影響を考慮した FAC モデルを、以下の仮定を基に構築した(図 3)。 (1)仮定①:材料表面と溶液の間に鉄の飽和溶解層、鉄の拡散層が存在し、飽和溶解層から溶液への鉄の拡 散が FAC 速度を律する。 (2)仮定②:溶液から飽和溶解層への酸素の拡散と鉄の腐食による酸素消費のバランスが酸化皮膜性状を決 定する。 このモデルに基づき、FAC の主要な水化学因子である鉄の熱力学溶解度を算出した(図 4)。また溶存酸 素濃度による影響の評価式を構築し、pH をパラメータとした場合の FAC 速度の急激な低下を伴う、FAC 試験結果* 3 を定性的に説明し得ることを示した(図 5)。 3.FAC による減肉率予測モデル式の構築 上記 FAC モデルに基づき、減肉率の予測モデル式を構築した。このモデル式を用いることにより FAC 速 度が温度 140 ℃近辺で極大を示す、従来の知見を理論的に示した(図 6)。. 今後の展開 本モデルに、環境条件に依る酸化皮膜厚さの評価を加えると共に、減肉実験や実機配管のデータによりモデ ルの妥当性を検証する。 主担当者. 関連報告書. PLM 総括プロジェクト配管減肉研究ユニット   材料科学研究所  原子力材料領域  主任研究員 藤原 和俊 原子力技術研究所 発電基盤技術領域 主任研究員 米田 公俊 「水化学条件と流動状態が配管減肉挙動へ及ぼす影響に関する研究(その 1)」、電中研報 告: Q08016 「流れ加速型腐食に対する影響因子の定量的な評価(その 2)」、電中研報告: L07015. * 1 :炭素鋼・低合金鋼配管の酸化皮膜の腐食が、管内の流れによって促進される減肉現象(Flow Accelerated Corrosion)。過度に進展した場合には、大規模な配管破損事故を生じる可能性があるため、充分な注意を要する。 * 2 :局所流速の変動成分の時間平均値に対する用語“turbulent velocity”への対訳として便宜的に使用 * 3 :FAC 試験は電中研、日本原子力発電(株)および University of New Brunswick(カナダ)との共同研究により 実施. 96.

(2) 5.原子力発電/軽水炉発電の経済性・信頼性向上. 流速. 偏流条件に対応した 仮想的な流速分布 偏流条件. 2. 相関係数 R =0.367. 条件 直管. 直管条件. 配管内流速分布の概念. V=4.5m/s V=3.0m/s V=1.5m/s. 0.1. 腐食による 酸素の消費. 酸化皮膜 酸化皮膜 の生成 の溶解 配管 金属. 酸化 皮膜. 鉄. 鉄の 飽和溶解層. 酸素の拡散. 仮定! 仮定① 鉄の拡散 (FAC速度 速度) 鉄の 拡散層. 1. 実験体系における偏流に伴う乱流速度を考慮するこ とにより、減肉速度と物質移動係数の相関が大幅に 改善. 偏流条件における壁面での平均流速の増大と乱流速 度とを考慮した、仮想的な流速分布を物質移動係数 に適用して評価. 酸素. 1 0.1 物質移動係数(mm/s). 図2 実験による減肉速度と物質移動係数の相関. 壁面流速分布の概念. 図1 偏流条件に対する物質移動係数評価の概念. 仮定" 仮定② 安定皮膜 の形成. 2. 相関係数 R =0.664. 1.0. 0.1 壁面からの距離. 乱流速度を考慮. TR ∝ k. 物質移動係数の評価に適用. 乱流速度を考慮せず. 度 速 流 件 条 乱 流 数× 偏 定 成分 ++ 変 動 速度) 流 (乱 条件 偏流. FAC速度(mm/年). 流速. 溶解度の極大値. 酸素. 鉄. 溶存水素: :0.016ppb. 5. 溶液. 図4 鉄の溶解度の評価(温度依存性). 定常状態のFACに対して鉄の飽和溶解層の存在を 仮定し、鉄の溶解・拡散と酸素の拡散・消費のバラ ンスを考慮してモデル化. 溶解度は100℃前後でピークを有する分布となり、 その極大値は中性条件(pH=7.0)で弱アルカリ条 件(pH=9.2)の約20倍となる。. FAC速度 (実験:mm/年、計算:相対値). 図3 FACモデルの概念図. pH 7.0. FAC速度 速度 の 極大値. 平滑直管条件 配管径:550mm 流速:5.0m/s 溶存酸素:0ppb. pH 9.2. 図5 FAC速度に及ぼす酸素濃度の影響. 図6 FAC速度の評価(温度依存性). 溶存酸素濃度の増大に伴い減肉速度が急減する傾向 及びそのpH条件による違いを、本モデルを用いた計 算により定性的に再現. 減肉速度が150℃付近で最大となる、従来からのF ACの特徴的知見を、本モデルを用いた計算により 定性的に再現. 97.

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