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「大学の自治」を知っていますか。 利用統計を見る

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Academic year: 2021

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「大学の自治」を知っていますか。

著者

清水 泰幸

雑誌名

共通教育フォーラム

13

ページ

3-3

発行年

2011-01-07

URL

http://hdl.handle.net/10098/7991

(2)

Center for Interdisciplinary Studies,University of Fukui 3 世俗的権威と一体となって、人々の脅威となるでしょう。 したがって、学問研究が結果的に人類に奉仕すると しても、既存の権威に挑戦するのであれば、危険を覚 悟しなければなりません。権威におもねるのであれば、 有害無益となるのは言うまでもないでしょう。 学問の目的は「真理の探究」にあり、このことは、 自由な思索によって可能となります。思索とは、人間 の精神作用の中でも非常にデリケートなものであるた めに、自由な環境を必要とします(抵抗という文脈で の思索は、ひとまず置いておきます)。けれども、思索 する人を外から見たところで、何をしているか分かる はずもありません。また、先に挙げたように、素人目 からすれば、研究成果の評価すら覚束ないのです。 傍目から見て訳の分からないものに自由を認めよ、と いうのは受け入れがたい要求かもしれません。しかし、 学問研究は世俗的権威や即席の価値判断から距離を取る 必要があります。そうすると、むしろ、傍目から見て分 からないからこそ、自由を認める必要が生じます。とは いえ、大学だから自治を認めよ、というのでは乱暴で しょう。そこで、学問的営為に真摯に携わるものには 「学問の自由」を、そのような者が構成する大学に対し ては自治を認めよ、という定式が導かれます。もちろん 学生の皆さんも真剣に学問に取り組むならば、この自由 と自治を当然に享受します。逆に言えば、大学教員で あっても、研究を放棄したのであれば、そこから退場す べきとなります。学問の自由が市民的自由と同一の基底 を共有するのは、学問に携わる主体がその本分を果たし ていることに見いだされるからです。 大学が社会に貢献するのは、真理の探究によっての み可能となります。ある時代において真理の探究を怠 れば、不当な負債は未来の世代に課されるのです。 (参考文献:高柳信一『学問の自由』(岩波書店、1983年)ほか) 近年、大学の社会貢献や外部評価の必要性がヒステ リックに叫ばれ、目に見える成果を強要される状況に あります。しかし、社会に対する貢献度など測定可能 でしょうか。また、外部評価についても、アリバイ作 りのための資料作成に追われて、大学の本来の使命で ある、研究や教育に充てる時間を奪われている現実が あります。これでは本末転倒と言わざるをえません。 ここ10年くらいの間に、大学は、外部からどう見られ ているかを非常に気にするようになりました。行政が そのように誘導したことはもちろんですが、大学側も 呼び水に応じたことは否めないでしょう。これにより、 大学は自らを不自由に追い込むことになりました。 日本国憲法第23条は、「学問の自由」を定めた条文と して、学問に係わる人にとっての「学問の自由」、およ び、大学にとっての自由として「大学の自治」を認めて います。非常に逆説的ですが、「大学の自治」とは、今の 時代に流れに真っ向から対立するものです。すなわち、 責任主体としての当事者が、自らの責任を全うするため に、さらなる自由を訴求する努力を不断に行わなければ ならないという意味においてです。それでは、憲法がこ うした自由を定めているのは何故でしょうか。 ここで一例を挙げましょう。日本人研究者が2010 年度のノーベル化学賞を受賞して社会の注目を集めま した。多くの人(もちろん私もです)は、今回初めて こうした研究の存在を知ったと思いますが、受賞した 研究は既に私たちの日常生活に役立っているそうです。 このことは、賞を受賞していなくても素晴らしい研究 が存在することの裏返しでもあります。 また、学問研究は、何らかの先進性や新奇性を備えて いなければ、その名に値しません。しかし、研究が先進 的であるほど、体制や社会にとっての劇薬となり、場合 によっては、研究者自身も危険に晒されることになりま す。これとは逆に、(本来なら研究の名に値しないもので すが)体制に都合の良い結果を生み出すための研究は、

「大学の自治」を知っていますか。

第5(共通教養・副専攻科目第1分野「社会」)部会長 教育地域科学部 社会系教育講座 

清水 泰幸

部会 稿

参照

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