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共有知を利用した個人的発想支援システムの提案

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Academic year: 2021

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(1)情報処理学会第 73 回全国大会. 2Z-1. 共有知を利用した個人的発想支援システムの提案 福中. 勝博†. 大久保. 雅史†. 同志社大学大学院工学研究科. 1. はじめに 近年,フィンランドメソッドと呼ばれる教育 手法が注目されている.フィンランドメソッド は発想力や論理力,表現力,批判的思考力,読 解力が鍛えることができると言われている.そ の第一段階としてカルタを用いた発想力トレー ニングがある.例を図 1 に示す[1].. JR. 新幹線. バス. 電車. 自動車. 旅客機 戦闘機. 図1. 乗り物 飛行機. F1 タクシー. バイク. 白バイ. カルタを用いた発想力トレーニングの例. 図 1 のように,中央の1つのテーマから発想 の枝を広げることを繰り返すことで,発想力を 鍛えることができると言われている.この手法 は個人が紙面上で行うものであり,紙面上では 資源に限りがあって発想が広げられなくなって しまう場面があること,また,1人で行う場合 にはその人のバックグラウンドによって,発想 を展開する分野や方向性などに偏りが出てしま うという問題点がある. そこで本研究では,複数人がそれぞれ,コン ピュータ上でフィンランドメソッドを用いて発 想を展開したものを,参加者間で共有される知 識(以下,「共有知」)として統合して提示す ることで,新たな方向性での発想を思いつく可 能性があると考え,共有知を利用した個人的発 想支援システムを提案している.また,提案シ ステムを用いたトレーニングの評価実験を行い, その有効性について検証している. Conception Training Support System Using Shared Knowledge † Katsuhiro Fukunaka and Masashi Okubo Graduate School of Engineering, Doshisha University. 4-41. 2. 提案システムの構成 提案システムは Perl を用いた CGI プログラム で開発しているため,Web 上で利用可能で,遠隔 地にいる参加者たちがシステムを利用できる. 2.1 システム利用の流れ 提案システム利用の流れについて説明する. まず個人がフィンランドメソッドを用いて発想 を展開し,発想が行き詰った時点で共有知を見 せる.もし共有知から新たな発想が浮かべば, 再び発想を展開する.この作業をワンセットと し,繰り返し行うことで発想力を鍛えるトレー ニングとなる. 2.2 表示アルゴリズム 提案システムでは,フィンランドメソッドの 表示方法に,Windows のファイル構造に用いられ ているような階層構造の提示法を利用した.図 2 に例を示す.. 図2. 提案システムの実行例. この提示法により,図 1 のように紙面上で放 射状に行う場合には中央付近が密集して見づら いことや,新たな発想が浮かんでも書きにくい という問題が解決され,1列に1つのカルタが 表示されることで見やすく,また,どのカルタ からでも発想の展開がしやすくなる. 2.3 共有知生成アルゴリズム 共有知の生成方法について説明する.2者の 発想の展開のうち一方をベースとし,他方に存 在するカルタ1つずつをベース側のカルタと照 らし合わせて,共通のカルタが存在すれば無視, 存在しなければそのカルタの上位階層にある共 通カルタをベース側から探して,そこに繋ぎ合 わせる.このとき,非ベース側でそのカルタか ら発想された枝がある場合,それらもまとめて ベース側の共通カルタから続けて表示されるよ うにした.これを繰り返していくことで,非ベ ース側に存在するすべてのカルタは,ベース側. Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

(2) 情報処理学会第 73 回全国大会. と繋がって1つの発想の展開となる.これを繰 り返すことで参加者全員の共有知を作成する. また,トレーニングの際には,ユーザの発想の 展開に存在するカルタを図 2 のように,共有知 に存在するカルタの文字色を赤色,ユーザの発 想の展開だけに存在するカルタを青色に色分け することで,共有知を見たときに一目でそれら の属性を把握することができる. 3. 提案システムの評価実験 3.1 実験目的 提案システムにおける共有知の存在が,個人 の発想の手助けになることを検証することを目 的として評価実験を行っている. 3.2 実験内容 まず,被験者に対してフィンランドメソッド と提案システムの概要や機能について説明した 後,提案システムを用いて発想を展開させてい る.2.1 に記述した流れで1つ目のテーマについ て発想を展開させ,休憩後テーマを変えてもう ワンセット行わせた.用いたテーマは以下の3 つである.. 図4. 発想1つ当たりの所要時間の平均と標準偏差. 図 4 より,個人での発想の展開も共有知から の発想の展開も1回目より2回目の方が,1つ の発想を思い浮かぶのに必要な時間が短くなっ ている.また,個人での発想の展開においては, 検定の結果,5%で有意な差がみられた. 個人での発想の展開の開始から7分,共有知 からの発想の展開の開始から4分までの,1分 ごとの発想数の平均の時系列変化を図 5 に示す.. 図 5 個人での発想数の平均の時系列変化(左)と 共有知からの発想数の平均の時系列変化(右). z テーマ A:同志社 z テーマ B:携帯電話の新機能 z テーマ C:ネットワークコミュニケーション. テーマによって共有知から得られる情報量が 大きく違わないように,共有知として登録され ているカルタの数はそれぞれ 100 個とし,順序 効果を考慮して 3 種類の組み合わせ全6通りで, 男性 17 名,女性 1 名の理系の大学生と大学院生, 計 18 名に対して実験を行っている. 3.3 実験結果 個人での発想と共有知からの発想の数と所要 時間の平均と標準偏差を図 3 に示す.. 図 5 より,どの時間帯においても2回目のほ うが多くの発想が浮かんでいることが分かる. 図 3 左の発想数では2回目のほうが減っている 理由は,図 3 右の発想の所要時間の結果から分 かる通り,2回目は1回目に比べて発想の展開 に要した時間が短かったためと考えられる.こ れらのことから,提案システムを繰り返し利用 することで,より短い時間でたくさんの発想を 展開できるようになる可能性があることが示さ れた. 4. おわりに 提案システムを評価するために行った実験に おいて,まず,共有知の存在が個人の新たな発 想の展開を支援できること,また,繰り返し利 用することで個人の発想力を向上させる可能性 があることが分かった.今回の実験では短期的 なトレーニングによる検証のみを行ったが,今 後は長期的なトレーニングによる検証を行う必 要がある.. 図 3 発想数の平均と標準偏差(左)と 発想の所要時間の平均と標準偏差(右). 図 3 左の発想数の結果より,一度は発想に行 き詰ってしまっても,共有知を見ることで新た な発想が展開されていることが分かる.よって, 参考文献 共有知は個人の発想の支援になる可能性が示さ [1] 諸葛正弥:読解力を高める世界一を誇る教 れた.また,発想1つ当たりの所要時間の平均 育プログラム「フィンランドメソッド実践 と標準偏差を図 4 に示す. ドリル」,毎日コミュニケーションズ,2008. 4-42. Copyright 2011 Information Processing Society of Japan. All Rights Reserved..

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