続・主張整理的観点からする民法の解釈
著者名(日)
丹野 達
雑誌名
東洋法学
巻
40
号
1
ページ
1-32
発行年
1996-07-20
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00000496/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja︻論 説︼
続・主張整理的観点からする民法の解釈
丹
野
達
東洋法学
本稿は、さきに﹁比較法﹂三二号︵一九九五年三月︶に登載した同題名の論稿の続きである。主張整理的 観点とは耳慣れない用語と思うが、前稿で簡単な説明をしているので参照されたい。要するに、民法の解釈 の通例の立場は、確定的な客観的事実の存在を前提としている。しかし、実際の民法の規定の適用は、民事 訴訟の場において重要な働きを示す。民法は、民事訴訟における審理に当たって、審理を指導し、その指示 に従って当事者の主張・立証が行われ、適用すべき事実の認定がなされる。そしてこのようにして認定され た事実について民法の規定が適用されるのである。したがって、このような事実認定作業を考慮しないで、民 法の解釈を考えるのでは不十分ではなかろうか。当事者の主張・立証活動を視野に入れた解釈方法があるの ではないか、という発想の下で考察を加えたものである。1
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続・主張整理的観点からする民法の解釈 二 重 効 [設例1] Aは、B不動産会社の係員から、﹁近く鉄道が敷設されることになっている格好の土地があります。値上が りは必至ですのでお買得です。﹂ともちかけられたので、鉄道が通ることになれば大きなもうけになると考 え、右土地について売買契約を締結した。その後土地は値下りした上、鉄道が別のところに敷設されてしま うという二重の打撃を受けることになった。聞くところによると、当初鉄道敷設について甲乙の二案があ り、契約時には、本件の土地を通過する甲案が非常に有力であったのが、後になって急転直下乙案に決定し たという経緯が判明した。この場合、Aが法的救済を受けるにはどうしたらよいか。 本設例の場合、契約を解消したいのはAであり、Bとしては早期に契約が履行されることを望むであろうか ら、その不履行は期待できない。Aは、その攻撃方法として契約における意思表示のかしを取り上げざるをえな い。想定されるAの提起する訴訟は、売買契約の無効確認又は代金債務不存在確認訴訟である。 この訴訟における訴訟物は、売買代金債権である。本来は債権者であるBが売買代金債権の発生原因として売 買契約の成立を主張立証しなければならないが、Aは、売買契約の成立については争わず、その契約におけるか東洋法学
し︵錯誤及び詐欺︶の存在を主張しようとするものであるから、本訴における請求原因は、①AB間で本件土地 売買契約が締結されたこと、②Aの買受けの意思表示に錯誤があったこと、そうでないとしても、Bの係員に詐 欺行為があり、AがBに対して取消しの意思表示をしたこと、である。ここで最も重要な争点となるのは、契約 に係る錯誤あるいは詐欺の存否であるが、この点はしばらくおき、Aが②における錯誤と詐欺とを併せて主張す ることができるのかについて焦点をしぼりたい。 この点については、古くは錯誤が成立する以上、当該意思表示はもともと無効なのであるから、それを取り消 ︵−︶ す余地はない、という考え方があった。この考え方は、法的現象を自然的現象と同視し 物化し、現に存在し ないものを存在しないようにすることは不可能である、すなわち二重効は存在しないとするもので、二重効否定 説である。しかし、現在では、効力排除原因︵要件事実︶の競合の可能性として論じられ、通説はその可能性を 肯定した上、どちらかを選択的に主張できる、との立場をとり、その効果についても、同様にどちらかを選択的 ︵2︶ に主張できるとし、要件事実及び効果のどちらについても二重効を貫く︵以下、かりに﹁選択説﹂という︶。これ に対して、﹁法律行為が二つの効力排除原因に該当しているのに、行為者は、どちらか一方の︵効力排除︶規範に よる保護しか受けられないという不都合が生ずる。しかも、二つの原因によって効力が排除されるといっても、行 為者は、経済的・実質的には、原状回復に向けられた一つの法的地位を取得するにすぎない。そうだとすれば、そ こには二つの効力排除規範によって基礎づけられた一つの法的地位が成立すると考えるべきである。そして、理 論的には、この法的地位の内容たる規範は、全法的秩序の立場から、二つの効力排除規範を統合することによっ3
続・主張整理的観点からする民法の解釈 て、すなわち、問題点ごとに、原則として行為者に最も有利な規範をもって形成すべきである。﹂とする︵以下、 ︵3︶ かりに﹁総合説﹂という︶考え方がある。 実際の訴訟において、前述のAの主張がどのように審理判断されるかを見てみると、通常はAの主張の順序に 従い、まず錯誤について判断し、それが認容されれば、詐欺の主張については判断しない。逆に錯誤が認容でき なければ、詐欺について審理判断することになる。どちらか一方が認容されれば、Aの請求が認容され、売買契 約が無効となり、法律上は現在存在しないことに帰するし、Aの代金支払義務が現在存在しないことになる。こ れによってAB間の法律関係が確定し、紛争は解決する。事後AB間においてこの法律関係について争うことは できない。 AB間の法律関係がどのように決定されるのかという訴訟を視野に入れた上で考えるならば、錯誤と詐欺とは 別個に独立の争点として論じられるのであるから、両者の衝突はそもそも起りえないのである。もっとも二重効 否定説からはこのような並立的主張は許されないとの反論があろう。しかし、権利の存否は、民事訴訟手続によ り認定された事実について実体法を適用するのであり、このこと自体は二重効否定説も否定しえないことであ る。錯誤と詐欺とでは要件事実が異なるのであるから、一方が否定されると他方も否定されるとは限らない。し ︹4︶︵5︶ たがって、攻撃方法としてその一方のみの主張しか許されないとすることは、当事者にとって酷であろう。訴訟 ︵6︶ における実益が認められる限り、手段としての競合が認められるべきである。なお、二重効肯定説においても、選 択説が錯誤又は詐欺のどちらか一つのみを主張しうるにすぎないと言うのであれば、訴訟上そのような制限を加
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えうる根拠が問われることになろう。また、総合説が両方の抗弁を主張することができ、そのどちらか有利な抗 弁H有利な効力排除規範をもって形成する、と言っても、両者は要件事実を異にするから、常に同時に認容され るとは限らないし、一方が認容されれば主張者の訴訟の目的は達せられ︵すなわち、売買契約の無効が確認さ れ︶、他方を審理判断する必要がないのであって、有利かどうかを判定するため他方を審理判断しなければならな いと言うのであれば、余分な審理をつけ加えるにすぎないこととなるおそれがあろう。 二 無権代理と相続 [設例2]
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Aの長男Bは、Aの不在中に、A所有の不動産に関する書類を全部持ち出し、Aの代理人と称してこれを Cに売却した。 ω Aが死亡し、BがAを相続した場合、BはCに対してどのような権利義務をもつか。 ③ Bが死亡し、AがBを相続した場合、AはCに対してどのような権利義務をもつか。 ㈹ 右ωωの場合において、他に共同相続人Dがいるときはどうなるか。5
続・主張整理的観点からする民法の解釈 1 qDの場合 本設例において訴訟を想定すると、Bが相続により売買の当事者︵売主︶となった場合として、CのBに対す る売買に基づく本件不動産の引渡請求訴訟︵以下﹁1型﹂という︶か、Bの無権代理人としての責任を追求する 場合として、民法一一七条に基づく本件不動産引渡請求訴訟又は損害賠償請求訴訟︵以下﹁n型﹂という︶であ ︵7︶ る。 その訴訟物は、1型では、売買契約に基づく本件不動産引渡請求権であり、H型では、Cの選択に従い、民法 一一七条に基づく本件不動産引渡請求権又は損害賠償請求権である。 これらの訴訟でのCの請求原因は、1型では、①AがBに代理権を授与したこと、又は①A又はBが追認した ︵8︶ こと、②BがAのためにすることを示したこと︵顕名︶、③AC間の本件売買契約を締結したこと、④BがAの子 であり、Aが死亡したこと︵相続︶、である。Cは、Aとの間で本件不動産の売買契約を締結したと認識している のであるから、Cの認識の下では、その請求原因として①又は①の事実が主張されるわけであるが、本設例の下 ではそのような事実は存在しないのであるから空振りの主張となる。H型では、①BがAのためにすることを示 したこと︵顕名︶、②AC間の本件不動産売買契約を締結したこと、履行請求の場合は②により履行請求の内容は 特定されているから、請求原因として主張すべきことは他にはないが、損害賠償請求の場合は、更に③Cが本件 ︵9︶ 売買契約を締結したことにより損害を被ったこと︵因果関係及び損害額︶、である。これに対するBの抗弁は、① Aが代理権を授与したこと、②Aが追認したこと、又は③Cが悪意若しくは有過失であること、である。
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このように見てくると、本設例における主張の構成は比較的単純であり、とくに1型では請求原因のみであっ ︵−o︶ て抗弁はなく、専らCの主張・立証のみにまつべきものである。主張整理の観点から見ると、請求類型、主張の 構成が異なるだけであって、本観点は、ほとんど寄与するところはないように見える。しかしながら、無権代理 人の責任におけるキーワードとされる信義則、追認拒絶権は要件事実に現われていないのになぜ問題となるの か、それらはどのようなところでどのように働いているのか、また一見自明のように考えられている﹁相続﹂の 内容ないし結果がこの場合にどのように働いているかをあらためて考えてみる必要はないのか、それによって、請 求類型あるいは主張の構成に影響はないのかが気になるところである。そこで、これらの点について検討してみ ることにする。e信義則
本設例において信義則が取り上げられるのは、無権代理人が本人を相続した場合に無権代理人が締結した契約 の追認を拒絶することができるかどうかということで論じられ、本人の有していた追認拒絶権を行使することは 信義則に反し許されない、とされる。しかし議論の中心となっている信義則は、当事者双方の主張のどこにも現 われてはいない︵いな、後に述べるように、無権代理人の無権代理行為自体がそれに当たる事実なのである。︶。信 義則違背は、相手方の主張する法律効果の否定的事由に係る当事者の反対主張として一般的には必ず争われ、そ れが重要な争点となるのが通例である。 信義則は、民法、いな法律一般の大原則であるが、それは訴訟において初めから主張されるものではなく、例7
続・主張整理的観点からする民法の解釈 外的な事情として ある特定の法律行為の効果の発生を妨げるものとして、相手方の反対主張︵請求原因に対 しては抗弁︶において主張される。すなわち、信義則の特徴の一つは、その外在性にある。次に、信義則は一般 条項であり、不特定概念︵評価概念︶である。それが要件事実として主張される場合には、それを基礎づける間 接事実を評価することによって信義則違背の成否が判断される。それには、まず判断の対象となる行為︵作為又 は不作為︶が存し、その効果として相手方に一定の権利ないし有利な法律効果が生じていることを要する。本設 例においては、Bに追認拒絶権があるかどうかが問題である。そもそも追認拒絶権がなく、これを行使する余地 がないならば、信義則はそれを適用すべき的がないことになる。信義則違背を問題とする考え方においては、信 義則に反する理由の根本は、Bが無権代理人であるということである。無権代理人であるBの締約行為自体が相 手方Cの信頼︵契約が本人Aに対して有効に成立するであろうとする信頼︶に違背する行為であって、無権代理 人の代理行為自体が信義則違背を基礎づける事実となっている。相手方の契約締結の目的は、契約の履行である のに、締結された契約は無効なのである。相手方としては、契約の履行以上の利益を期待すべきではないし、こ れを許す必要はない。次の口において述べるように、追認拒絶はこの状態をそのまま保持するものであり、相手 方の契約の目的に対応するものとして民法一一七条一項により、同一の内容の効果は保障されている。すなわ ち、信義則違背の事実が要件事実として既に組み込まれ、根拠法条である同条の規定に内在させられており、こ れについての効果も規定されていると言うことができる。したがって、無権代理人の締約行為について生ずる効 ︵n︶︵12︶ 果は、実定的に法条として規定ずみであり、これについて更に信義則が入り込む余地がないと言えよう。
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ω 追認拒絶権 無権代理人の締約行為に対する本人の対応について、追認拒絶権という権利概念が用いられている。本人は、無 権代理人の行為について、追認して有効なものとするか、相手方からの催告に対して追認することを拒絶し、あ るいは放置して無効なものと確定させることができるのであるが、本人がこれをしないまま死亡した場合、本人 を相続した無権代理人は、相手方からの催告について追認を拒絶することが信義則に違背するかという型で論じ られる。 ところで、無権代理の場合には、無権代理人の行為が本来無効なのであるが、この場合に限り、本人が追認す ることにより有効となしうることとされているのである。すなわち、その限りにおいて無効は確定的なものでは なく、有効となる可能性を残しており、浮動状態にあると言うことができる。行為自体は本来無効であって、何 らの法律状態も存在しないのであるが、追認により蘇生する可能性があるため、相手方は本人に対して追認する ︵13︶ かどうかを催告し、本人の態度によって追認の可能性を奪い、法律行為を沈静させるだけである。本人には追認 権があるだけであって、追認の義務がないことはもちろん、追認を拒絶する権利、それによって初めて契約上の 義務の免脱をはかることができるというものではない。つまり、追認権は存在するが、追認拒絶権は存在しな い。したがって、信義則が作用する対象は存在しないのである。本人の追認権の行使が、相手方の権利の発生原 因となり、あるいは無権代理人の責任の阻却事由として働くかであり、追認しない以上、無権代理人による法律 行為の効果は生じないという法律状態に変化はないのであり、追認拒絶という行為はこの状態に何ものも加える9
続・主張整理的観点からする民法の解釈 ものではない。追認の拒絶あるいは拒絶権の行使が独自の効果を生ずるものではなく、たかだか現状固定という 消極的ないし補助的効果があるのみであるから、攻撃防御方法として訴訟の場に現われることはない。追認拒絶 ︵14︶︵15︶ 権なるものを想定して、これについて信義則の適用を論ずることは無意味である。 日 相 続 相続とは、被相続人に属する一身専属的でない権利義務ないし法律上の地位が、被相続人の死亡により相続人 に移転することであり、生理的にはもちろん、法律的に︵この意味するところは必ずしも明らかではないが︶一 ︵16︶ 体化するものではない。人格融合説︵あるいは承継説︶に言う人格が何を意味するかは必ずしも明らかではない が、人格が権利主体たりうることを意味するのであれば、それ自体まさに一身専属的なものであって、相続の対 象たりうるものではないであろうし、相続人は相続以前において既に権利主体なのであって、相続によって権利 ︵17︶ 主体となるものではない。したがって、このように解することは法律的には無意味である。また資格融合説にお ける資格も、融合すべきものが本人の地位と無権代理人の地位とするなら、無権代理人は代理権がないのに表見 的な代理行為をした者であって、それは事実行為をしたにすぎないから、法律上の地位を有する者ではないであ ろう。代理権の授与という要件事実を欠く不完全な代理行為の要件事実が存し、相続によってその不備が充足さ れると考えるのであるなら、むしろそれは追完に親しむであろう。そもそも資格の融合とは、どのような法的作 用であるかが先決であり、融合の内容が相続の結果どのような法律上の地位あるいは法律状態を発生するかのメ カニズムを意味するのかを示すことが必要であり、単に融合するからと言うだけでは説明不足と言わざるを得 10
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︵18︶ ず、やはり比喩的表現の域を出ないであろう。追完説について見ると、無権代理行為が本人のため有効となるの は、本人の追認ー本人が、現に存在する自己のためにするものとしてなされた行為︵それ自体は事実であるが︶ を自己のために利用し、それにより自己のために法的効果が生ずることを欲する旨の意思表示をすることーが なされることである。追認があったと言うためには、この場合には明示の追認は存在しないのであるから、黙示 の追認があったと見ざるをえない。黙示の法律行為とは、その法律行為をなしうる権限を有する者が、その法律 行為をなしたと同一の評価をすることができる行為ないし態度があったとするのが一般である。相続には被相続 人の死亡という事実があるのみであって、黙示の追認とみるべき被相続人及び相続人いずれの行為も存在しな い。その後において相続人に黙示の追認とみるべき行為ないし態度があったとしても、それは相続自体ではな い。そうすると、以上の三つの考え方は法律論としてはとりえないものと言うほかはない。 相続を要件事実とする場合には、被相続人のどのような権利義務ないし法律上の地位が相続人に移転するのか を個別的に見てみる必要がある。ここでは、無権代理人の行為に関して本人たる被相続人がどのような権利義務 をもち、相続人たる無権代理人がそれを取得するのであろうか。相続人である無権代理人の表見的代理行為に関 ︵19﹀ して被相続人である本人が取得するのは追認権にすぎない。相続人はこれを承継するのである。近時は資格併存 説が有力となり、このような法律状態を前提とした上、追認拒絶権の行使は信義則により許されないとする考え ︵20︶ ︵21︶ 方︵かりに﹁信義則説﹂という︶と信義則に反しないとする考え方︵併存貫徹説︶とに分かれる。前述したよう に、この資格とは何を意味するのか、それは果して相続の対象となりうるものなのかを検討しなければならな 11続・主張整理的観点からする民法の解釈 い。しかも、信義則説においては、信義則違背とは先行行為と矛盾する行為は許されないととらえ、追認拒絶権 の存在が当然であるとの前提に立っているが、果してそれは当然なのであろうか。前記⑫において述べたよう に、それが存在しないとすれば、もともと相続の対象となりうるのかが間題であるし、更に信義則適用の対象は 存在しなくなり、信義則説は立論の根拠を失うことになる。そして無権代理人の表見的代理行為の信義則違背 は、民法一一七条の規定により、実質的に評価し尽くされているのである。したがって、無権代理人が相続する のは追認権のみであり、無権代理人としては追認するかしないか自由な立場にあり、追認することによって相手 方の本来の目的を達せしめるか、追認しないで実質的に信義則に違背したことによる無権代理人としての責任を 負担するかの選択権があるとするのが相当である。相手方は、いずれにしろ最少限契約の目的を達することがで きるのである。無権代理人が民法一一七条の責任を選択した場合、相手方に故意過失があれば、その責を免れる ことになり、相手方にとって不利であるから、無権代理人の責任権を否定すべきであるとする考え方がある。し かし、悪意又は有過失者を保護しないとするのは民法の基本的立場であり、民法はこの場合においてもその立場 ︵22︶ を貫徹したものと解して差支えないであろう。 12
2 ②の場合
この場合は、いわゆる本人相続型であるが、相続人である本人にはもともと無権代理行為はないのであるか ︵23︶ ら、追認拒絶権の行使は信義則に反しないとするのが判例通説である。しかし、この場合における相手方の本人に対する請求及び主張の構成はωと異なるところはないし、本人が相続するのは無権代理人の責任のみであり、追 認拒絶権不行使義務なるものは相続の対象として存在するものではない。あえて言うならば、それは無権代理人 が本人を相続した場合に発生する条件付義務ということになろうが、果してそれ程までの法律構成をすることが 可能なのかについては、前記2⇔において述べたところであるし、そもそもこの場合には無権代理人の相続自体 ではないのであるから、問題にならない。したがって、基本的にはωの場合と異ならないとするのが相当であろ う。本人Aが追認すれば契約は有効となるし、追認しなければ、Bの無権代理人の責任を負担しなければならな ︵24︶ いことになる。
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3 ⑥の場合
相手方Cが共同相続を知らない場合には、無権代理人Bのみに対する訴訟を提起するであろうが、それはωの 場合に当たる。本人Aの妻Dがいると、BとDとは共同相続人となり、追認権にしろ、追認拒絶権まで含ませる にしろ、このような形成権を共同相続する場合には、共同相続人はこれを準共有することとなり、相続人全員に ︵25︶ 不可分的に帰属するから、全員によって共同行使されることが必要である。したがって、共同相続人Dがいるこ とは、Bの義務の全部少なくとも一部を消滅させることになるから、Bの抗弁となり、Cは、再抗弁として全員 の追認があったことを主張しなければならないことになる。無権代理人Bが追認拒絶権を行使することができな いとする考え方︵当然有効説︶をとっても、やはり全員が追認することを必要とするのであるから、少なくとも 13続・主張整理的観点からする民法の解釈 Dが追認しない以上、Cは、Bに対してすら契約上の義務の履行の請求をすることはできない。それは、当然有 効否定説でも、Bが追認したところで契約が当然有効とはならないから、Bの相続分に相当する契約上の義務を 請求することはできない。しかし、Bの相続分に相当する無権代理人の責任を訴求することができる︵H型の請 ︵26︶ 求による︶。当然有効説でも無権代理人の責任を請求することができるものと考えられる。 三 中間省略登記 [設例3] 14 Bは、Aから土地の贈与を受けたが、所有権移転登記をすることなく、更にその土地をCに売却した。C は、Aと友人であったので、土地をBから買い受けたことを話し、Aから直接に売買に基づく所有権移転登 記をするように懇請し、Bの同意を得ないで、AからCに所有権移転登記がなされた。Cは、その後Dのた めにこの土地につき抵当権を設定し、その登記を完了した。 Bは、まだCから売買代金の支払を受けていない。 Bは、C及びDに対して、登記の無効を主張して、それぞれが得ている登記の抹消を請求することができ るか。
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本設例において、訴訟を想定すると、BのCに対する抹消登記及びDに対する抹消登記についての承諾各請求 ︵27︶ 訴訟である。 ︵28V その訴訟物は、Cに対しては、一は所有権に基づく抹消登記請求権であり、他は中間省略登記による抹消登記 請求権であり、Dに対しては、同様の根拠に基づく抹消登記の承諾請求権である。前者は、実体上の抹消登記又 は承諾請求権であるのに対し、後者は、権利移転の経過とそごする登記であることに基づくそれであるから、手 続的請求権︵登記手続上の請求権︶である。 前者においては、Bの請求原因は、①Bが本件土地の所有者であること、②C及びDがそれぞれの登記を有 し、Bの所有権の行使を妨害していることである。C及びDの抗弁は、Bの所有権の消滅原因として、BがCに 本件土地を売り渡したことであり、Bのこれに対する再抗弁は、右売買の消滅原因として、Cの代金不払いによ り、Bが売買契約を解除したことである。Cの再々抗弁となりうる事実は見当たらないが、Dの再々抗弁として は、Bの契約解除前にCがDのため右土地につき抵当権を設定したことであり、Dに対しては第三者としてBの 右解除の効果が及ばないことが、解除の効果についての相対的阻止事由として主張されうる。 手続的請求権としての抹消登記又は承諾請求についての主張の構成は、中間省略登記の効力をどのように見る かによって異なってくる.中間省略登記の効力については、①権利関係の変動と符合しないものであるから無効 ︵29︶ であるとする考え方︵無効説︶と、②中間省略登記であっても、現在の真実の権利状態を示すものであれば有効 ︵30︶ であるとする考え方︵有効説︶とが対立する.無効説によれば、Bの請求原因は、①A、B、Cと本件土地所有 15続・主張整理的観点からする民法の解釈 権が順次譲渡されたこと、しかるに、②Aから直接Cへの所有権移転登記がなされていること︵中間省略登記︶で ︵3 1︶ ある.これに対するCの抗弁は、①A、B及びC間に中間省略登記をすることについて合意であったこと、②少 ︵32︶︵33︶ なくともA及びBが中間省略登記をすることについて同意したこと、又は③Aが中間省略登記をすることについ ︵3 4︶ て同意し、BがCの登記を抹消するについて正当な利益を欠くことがそれぞれ独立の主張となる。これに対し て、有効説に立つなら、Bの請求原因は、無効説による場合の①、②に加えて、③A、B及びC間に中間省略登 記をすることについて合意がないこと、Bが中間省略登記をすることについて同意していないこと、又はBはC の登記の抹消について正当な利益を有することがそれぞれ独立の主張として提出されるべきこととなる。無効説 の抗弁③、あるいは有効説の請求原因③のBの登記の抹消についての正当な利益とは、不特定概念︵評価概念︶で ある。法律的な一般的用語例から見ても、正当の利益という表現自体からしても右概念に親しむし、実質的にも 諸般の事情の総合的評価によって判定されるものである。この正当な利益の存否について判示した最判昭和三五 年四月二一日民集一四巻六号九四六頁は、Aから建物の譲渡を受けたBが、Cにその建物を譲渡したところ、C は、D、Dに二重譲渡し、登記はAからDに対して、B、Cの同意なしに所有権移転登記がなされたという事案 において、﹁BはAより本件家屋を未登記のまま承継取得して自ら所有する期間これを登記しようとしたことな く、登記方を他人に依頼することもなく、未登記のまま何ら不満を感ぜず経過し、これを訴外Cに譲渡するに当 っても、単に所有権を与えてその対価を取得することをもって満足し、不動産を何人の名をもって保有登記をな すや等既登記不動産とする点に関しては毫も関心なく、話題となすこともなかったこと及びBは自己名義を登記 16
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簿に登載することを要するがごとき利益もまた何らなかったこと⋮⋮、更にBの本訴を提起した動機について も、何ら自己自身の利益を守る目的に非らずして、ただCが二重譲渡したことを聞知し、その譲受人の一人であ るDをもって正当の権利者と解し、これに責任ありと感じて同人名義の登記を実現するためD名義の登記を抹消 しようとするにあること⋮⋮。かかる事実関係の下においては、⋮⋮DとDといずれが法律上の保護に値するか どうかは同人らの訴訟の結果によるべきであり、Bには本件登記の抹消を訴求するについての法律上の利益は認 めがたく、本訴請求は失当である⋮⋮。﹂としている。この判決の事案では、中間者Bは代金全額の支払いを受け ており、この事実はBが正当の利益を有しない適例とされているものであるが、この判決では、そのことのみに 止めず、諸般の主観的事情をも認定し、それらについて配慮を加えた上判定している点では、これらの事情をも 斜酌すべきものとしていると考えられる。もっとも、結局は正当な利益が有する場合には当たらないとしている のであるから、このような非法律的事情ないし利益はマイナス要素として働いている場合であって、積極的に正 当な利益として斜酌すべき事情は何かという参考にはならない。しかし、判決文では法律上の利益としめくくっ ているのであるから、保護されるべき中間者の利益は、法的利益︵たとえば、同時履行の抗弁権、期限の利益な ど︶を中核とはするが、これのみで決定的となるものではないと解するのが相当であり、他方、単に経済的利益 や感情的利益の獲得のみを欲していたなどの主観的事情のみで決定すべきではないと言えよう。 中問省略に基づく抹消登記請求権が認められるのは、権利移転の経過に応じた登記が実行されることにより、登 記の信頼度を高めるという登記政策の面と、登記を保有することによる実体法上の権利者の利益を実質的に保護 17続・主張整理的観点からする民法の解釈 することにあった。登記が現在の真実の権利状態に符合する限り登記は有効であるとされるに至り、登記の権利 移転の経過に即した忠実な記載の原則は、登記政策面でのその役割を減少している現在では、登記による実体法 上の権利者の利益保護機能に重点がおかれるに至った。登記によって実体法上の権利者の利益を保護するという 以上、権利者の意思と登記手続とを厳密に一致させることが必要となることは言うをまたない。三者の合意ある いは中間者の同意の有無は、中間省略登記についての同意 いわば手続上の同意という事実を要件とすること になるのであって、この場合は手続上の請求権と見るのに格別の違和感はないであろう。しかし、正当の利益の 存否を要件とすることとし、その内容が実体上の権利関係に関わるとなると、実体法と密接な関係をもつことに なり、その限りにおいては、手続上の請求権と割り切りにくい状況となってしまい、実体法上の抹消登記請求権 に吸収される可能性がある。また他方において、中間省略登記について現になされてしまった中間省略登記は、現 在の権利関係に符合する限り常に有効であって、Cの登記自体について中間者Bは当然には抹消を請求すること はできず、Bの正当な利益が害されるときも、BC間の実体上の法律関係のみに基づいて救済をはかるべきであ ︵35︶ る、とする考え方が有力となってきている。しかし、この請求権は、その根拠を登記の記載形式という手続に関 わる原則におくものであって、実体関係から発生するものではない。正当の利益が実体関係に密接な関係をもつ 利益であるとしても、それは、この抹消登記請求権が、いったん登記を抹消しても、相手方からの要求があれ ば、直ちに同一の登記をしなければならないという不合理な結果を生ずるようなものであれば、全く無益な請求 権に堕することを避けようとする利益考量の見地から生まれた要件事実なのであって、実体法たると、手続法た 18
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るとを問わない法の一般原則に由来するものである。したがって、この抹消登記請求権が手続上の原則から生ず るという本質を変えるものではない。もっとも、この登記請求権の実行によって原状に復帰させることにより、主 としてはいったん喪失した同時履行の抗弁権の行使によって中間者Bの利益を保護することになる︵事実上の効 果は代金の弁済受領が容易になることであろう。︶。しかし、この登記請求権によって保護される利益の一つとさ れる期限の利益は、その期限が既に経過している場合が多いであろうし、また譲渡代金不払いに基づく解除権の 行使は、Bの登記の有無に関わらないのであって、まさに実体上の登記請求権の発生原因である。このように見 てくると、手続上の請求権により中間省略登記の抹消を認めることによる実際的利益はそれ程期待できないもの と言えないことはない。しかしながら、手続上の抹消登記請求権は、実体法上の登記請求権の有無に拘らず、中 間者の不利益を救済するところにメリットがあり、主たる要件は結局中間者の同意の有無にしぼられ、簡易迅速 な審理判断が見込まれる。しかも、これにより生ずることが予想される不当な結果は、正当な利益の存否を要件 とすることにより封じられている。またこれを認めても、登記上利害関係を有する第三者については、相手方に 対する抹消登記を請求するには第三者の承諾を要することとされているから、実体上中間者に対抗しうる権利を 有する者は保護されている。 本設例においては、Bは、Cの登記の抹消は求めることができるが、実体上Dの登記の抹消についての承諾を 求めることはできず、抵当権付きの所有権を回復することができるにすぎない。したがって、Bは、Cに対して ︵36︶ 真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記請求をするほかはない。 1920 続・主張整理的観点からする民法の解釈 四 訴訟中に登記を得た仮装譲受人 [設例4] AがB会社から土地を買い受け、Bに対して所有権移転登記請求訴訟を提起して、勝訴の確定判決を得 た。ところが、Bは社長の長男Cと通謀してその訴訟の第一審の判決言渡しの直前に︵第一審口頭弁論終結 後に︶贈与を原因とする所有権移転登記を経由した。Aが自己の登記を実現するためにどのような方法をと ることができるか。 本設例において、Aが自己の登記を実現するためには、AがCの登記を抹消することにより、前訴の勝訴の確 定判決に基づき、Bからの所有権移転登記をしてもよいし、Cから真正な登記名義の回復を原因とする所有権移 転登記をすることもできる。 Cに対する訴訟を想定するのであれば、訴訟物は、Aの所有権に基づくCに対する抹消登記請求権であり、そ の請求原因は、①Aが前所有者Bから本件土地を買い受けたこと︵所有権の取得︶、②Cが登記を有してAの所有 権の行使を妨害していること、である。Cの抗弁は、BC間の贈与により、CはAの登記の欠訣を主張する正当 な利益を有する第三者であること、であり、Aの再抗弁として、BC間の贈与は通謀してなされた虚偽の意思表
東洋法学
示であること︵贈与の無効︶が考えられ、本設例の設定のもとでは、再抗弁が認容されるから、Aの請求は認容 される。 ただ本設例の場合には、Cは名目上の登記名義人であるにすぎず、民事執行法二三条三項の目的物の所持人と 同視することにより、前訴の確定判決についてCに対する承継執行文の付与を受け、Cから所有権移転登記を受 ︵37︶ ける途が考えられる。この方法であれば、Cに対して別訴を提起することなく、承継執行文の付与手続によるこ とができる。この場合には、付与手続において要求される書面のみによる立証ができないであろうから、執行文 付与の訴を提起せざるを得ない︵民執法三三条一項︶.この場合の請求原因は、①Bに対する所有権移転登記手続 を命ずる確定判決が存在すること、②BC間の贈与を原因とするCのための所有権移転登記が存在すること、③ BC間の贈与が行われたこととその贈与が通謀虚偽表示であること︵目的物の所持人に当たること︶、である。た ︵38︶ だ登記を命ずる判決の承継執行の許否についてはまだ定説がないから、第二の方法は不安定である。またこの場 合において注意すべきことは、Cに対する登記の実行の根拠は、民事執行法において認められた前訴の確定判決 の執行力の拡張であることである。前訴判決の効力の拡張については、民事訴訟法二〇一条一項による既判力の 拡張と見られないことはない。しかし、AのCに対する登記請求権の発生原因︵請求原因︶は前述のとおりであ るから、AのBに対する判決の既判力は、この判決の事実審の口頭弁論終結時におけるAのBに対する所有権に 基づく移転登記請求権の存在について生ずるものであって、これ自体はAのCに対する登記請求権自体でないこ とはもちろん、その発生原因のどれにも該当しない。言い換えれば、AのBに対する判決の既判力は、AのCに 21続・主張整理的観点からする民法の解釈 対する訴訟において働く余地はない。したがって、前訴判決の既判力を拡張すると言っても、後訴の審理判断、い わんや執行については無意味である。これに対して、前訴判決の執行力の拡張とすれば、AのCに対する登記請 求権について、前訴の確定判決を債務名義として執行することが可能となるのである。この場合の請求原因は前 述のとおりであるが、これはまさに民事執行法壬二条三項に依拠するものである。したがって、同条項は執行法 上の実体法規ということになろう。 このように見てくると、本設例の登記請求権については、実体法のみならず執行法︵手続法︶も視野に入れる ことが必要となる。それには、その長所短所があるから、そのどちらの方法を利用するかに当たっては、その点 についての配慮を怠ってはならない。 本稿で取り上げたのは僅かに四個のテーマであり、前稿を合わせても八個にすぎない。 その緒についたばかりである。ここであらためてのまとめはない。現時点でのまとめは、 いので、この点も前稿を援用する。 このような作業は 前稿のそれを出な 22
注
︵1︶ 鳩山秀夫・註釈民法全書第二巻法律行為乃至時効一六九頁、石田文次郎・現行民法総論三七三頁。ドイツ学界に おいては、一九四〇年代までは多数説であったといわれる︵奥田昌道﹁二重効の意義﹂︵民法学1︶六〇頁︶。東洋法学
︵2︶ ︵3︶ ︵4︶ 我妻栄・新訂民法総則三一〇∼一頁、川島武宜・民法総則三〇一∼二頁、薬師寺志光・改訂日本民法総論新講下 巻二〇二頁、幾代通・民法総則︹二版︺二八二、四四八頁、下森定・注釈民法㈹二三三ー四頁、とくに二三四頁、 山中康雄・民法総則講義二六一頁、松坂佐一・民法提要総則︹三版増訂︺二三六頁、近江幸治・民法講義1︹二 版︺一八一、一八二頁、石田穣・民法総則三六三頁、川井健・民法概論1民法総則二二一頁。 四宮和夫・民法総則︹四版︺二〇八∼九頁。奥田・前掲︵1︶七三頁も同旨か︵はじめから無効⋮⋮である場合に は、法律効果を否定するための重ねての取消は無用であり、ただ独立に取消権を行使したならば与えられるであろう 効果︵対第三者効、あるいは原状回復義務等︶だけを鵯一け窪︵通用︶させればよい、とする。︶。 この点について少しく敷術すると、社会的に承認された一個の利益を生じさせるある一定の社会的・歴史的事実︵出 来事︶があり、その中にはこれを構成する人の行為・態度、客観的事実が含まれている。かりに前者を﹁親事実﹂ と、後者を﹁子事実﹂と名付ける。右の利益を法的利益とするため、子事実を要件事実とし、数個の権利あるいは法 律効果を生ずるものとする実体法規が規定され、数個の権利あるいは法律効果が生ずることになる。法的利益が一個 なのであるから、これに該当する権利あるいはこれを基礎づける法律効果も一個しか存在しないのか、それとも数個 発生しうるのかということが問題となる。これが実質的な二重効の問題であると考えられる。 承認される法的利益は権利の存在という型で表現される。したがって、法的利益を享受しようとする者は、権利の 存在という形式で主張しなければならないが、権利自体は抽象的・観念的存在であるから、その発生原因︵要件事実︶ を規定した実体法規を適用することによってその存在が判断される。言い換えれば、権利又は法律効果の存否の判断 の前提作業は、要件事実の認定である。権利又は法律効果を主張する者は、その要件事実に当たる子事実を主張・立 証しなければならないし、裁判所は、当事者の主張・立証によってこのような子事実の存否の認定をすることにな る。実体法規を適用すべき子事実︵要件事実︶の覚知はこのようにしてなされる。 承認すべき法的利益が一個である以上、これを表現する権利も一個であり、これを基礎づける法律効果も一個でな ければならないとするならば、その原因となる要件事実も一個ないし一組でなければならないことになる。すなわ 23続・主張整理的観点からする民法の解釈 ︵5︶
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無権代理人の責任については、①無権代理時に発生し、直ちに選択権を行使することができるとする考え方︵長尾 於保不二雄﹁二重効︵UO署Φ一蓋詩琶閃︶について﹂法学論叢四一巻二号四〇六頁︶。 なり、敵に塩を送ることになりはしないであろうか。 照︶、更に錯誤があれば売買は初めから無効となるのであり、主張共通の原則から相手方の請求が理由があることに を異にすることになり、訴訟物の壁を越えて抗弁となりうるのか疑問の余地があるし︵山本・前掲五五六∼七頁参 の場合には不当利得返還請求権となり、取消しの場合は原状回復請求権となるとする考え方をとる場合には、訴訟物 ないとするならぱ、錯誤は詐欺による取消権の障害事由に当たるとみられないことはないからである。しかし、無効 和敏﹁無効と取消の競合﹂︵民法注解﹁財産法﹂民法総則1︶五五五頁参照︶。すなわち、無効行為の取消しが許され 二重効否定説からは、詐欺による取消しの主張に対して錯誤を抗弁として主張することができることになる︵山本 うべきである︵舟橋諄一﹁取消と無効との一一重効﹂︵民法の争点1︶五二∼五頁、とくに五四∼五頁参照︶。 賭けを強要する結果となるであろう。この点からも、事の性質の許す限りにおいて、二重効を認めざるをえないと言 ることが少なくない。したがって、当事者に対して一個又は一組の要件事実の主張しか許さないとするなら、一種の る。のみならず、親事実から認められる権利あるいは法律効果は、種々の見地から一個とは限られず、数個認められ 事実認定は相対的な真実で満足せざるをえないし、訴訟手続が終了しなければ法の適用される事実も不明なのであ の眼から見た事実が前提となる。しかるに、事実認定は人の眼によってなされるほかはない。民事訴訟手続における これが妥当するためには、客観的事実の存在を誤りなく認識しうることが必須の条件となる。比喩的に言えば、神 ち、それは二重効の否定である。 治助﹁無権代理人が処分目的物を取得した場合の法律関係﹂判例タイムズニO八号一四頁、司法研修所民事裁判教官 室・民事訴訟における要件事実第一巻一〇六頁︶、②発生時は同じであるが、追認拒絶後でなければ行使できないと する考え方︵奥田﹁﹃無権代理と相続﹄に関する理論の再検討﹂法学論叢一三四巻五u六号一九∼二〇頁、とくに二〇 頁︶及び追認拒絶後に発生し、選択権の行使によって確定するとする考え方とがある。しかしながら、この点につい 24東洋法学
︵8︶ ︵9︶ ︵10︶ ︵n︶ ︵翅︶1413
ては余り論じる実益に乏しいように考えられる。相手方としては、第一の希望は契約に基づく履行請求であろう し、それが無権代理であった場合に次に希望するのは履行の請求であろう。そうであれば、相手方の提起する第一の 訴訟は本人を被告とするものであり、それが敗訴に終った場合に無権代理人に請求することになる。したがって、当 然本人の履行拒絶後ということになろう。しかし、何らかの理由で相手方が無権代理人に損害賠償請求をすることを 希望する場合、本人あるいは無権代理人にとって法律上不利益となるとは考えられないから、これを禁ずるには当た らないと言えよう。 Aの相続人である無権代理人Bが信義則に基づき追認拒絶権を行使することができないから、Cの何らの主張をま たずにBが売主の地位につくという考え方や相続によりAとBとの地位又は資格が融合するという考え方をとるなら ば、①又は①の主張の必要はない。この点が主張の前提となる考え方の差違が主張に現われるところである。 他の要件として、ωAの︵相続前になければ、相続後にBの︶履行拒絶があったこと、⑧Cが選択権を行使したこ と、を民法一一七条の要件事実とする考え方があるが、この点については、注︵7︶参照。 抗弁が全くないわけではない。Bの意思表示についてのかし︵錯誤、Cの詐欺など︶があった場合、抗弁として主 張できることは言うまでもない。本設例では、Cの主張の流れとしてそれらが出されていないし、問題点としてそれ らを論じるには及ばないということである。 結果同旨 高森八四郎”高森裁子﹁無権代理と二重相続﹂関大法学論集三九巻一号四一∼二頁、久保宏之﹁無権 代理人の本人相続と信義誠実の原則﹂阪大法学四四巻二旺三号五六〇頁、松坂・前掲︵2︶二八八頁、石田︵穣︶・前 掲︵2︶四六二頁以下。 この点の信義則違背については、近時きめの細かい検討がなされている︵安永正昭﹁﹃無権代理と相続﹄における 理論上の諸問題﹂法曹時報四二巻四号一七頁、久保・前掲︵11︶五五九∼六四頁、とくに五六二∼三頁︶。 奥田・前掲︵1︶二〇∼一頁、幾代・前掲︵2︶三六一頁、司法研修所民事裁判教官室・前掲︵7︶一〇一頁。 無権代理人が本人を相続した場合において、無権代理人について追認拒絶権の行使の許否が論じられるのは、相手 25続・主張整理的観点からする民法の解釈 ︵15︶ ︵1 6︶ ︵17︶ 方にとって無権代理人に対して契約上の権利を行使できるか、それとも無権代理人に対する権利を行使できるかによ って内容に差違があるため、相手方保護の見地からなされているものであるが、この点についてはまた別個の考慮す べき事項が存するのであり、必ずしも追認拒絶権を取り上げて論じなければ解決しないものではないことは後に触れ るところである︵注︵22︶参照︶。 H型では、追認が抗弁として現われる。これに対して追認拒絶の位置付けはどうなるのであろうか。考えられるの は請求原因の一つとしてである。そうだとすると、追認が抗弁として現われる余地はなくなる。なぜなら、追認と追 認拒絶︵それは追認のないことを本人の行為ないし態度としてより積極的に表わすということであって、その基礎は 追認の不存在である。︶とは、追認の存否の立証という関係になるから、立証責任の分配、ひいては主張責任の分配 の原則に背致することになる。その意味からも、追認権と共に追認拒絶権が本人に帰属するとするのは合理的ではな い。 穂積重遠・判例民事法昭和二年度二一事件八八頁は、﹁相続の効果を個々の権利義務の承継とのみ見ずして、人格 即ち法律上の地位の承継即ち被相続人と相続人とが法律上同一人たるものとする態度は、寧ろ相続の根本義に叶うも のとして賛成したい。﹂とする。 四宮・判例民事法昭和一七年度二一事件四六頁は、﹁無権代理は、本来その法律行為の効果が本人に帰属すべきも のとしてなされたにもかかわらず、法律行為の効果を他人に帰属せしむべき﹃代理権﹄を欠くために、本人に帰属せ ずして浮動状態にあるものである。しかるに今無権代理人が本人を相続して本人たる資格と無権代理人たる資格とが 同一人格に融合したとすれば︵相続によって﹃人格の承継﹄を生ずると説くまでもなくただ当該代理行為におい て、無権代理人が本人たる資格を承継し、そこに本人たる資格と無権代理人たる資格とが同一人格に融合すると考へ れば足るのである︶、本人と代理人とはもはや他人ではなく、従って﹃代理権﹄の媒介を必要とせずして理論上当然 に法律行為の効果がその人格に帰属することに確定し、通常の 自己のためになされた 法律行為となると考 へられる。﹂とする。 26
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︵18︶ ︵19︶ ︵20︶ 於保・民商法雑誌一巻四号七〇二頁は、﹁無権代理行為とは、たまたま代理権を欠いていたためにその内容に相応 した効果を確定的に発生せしめ得ず、かかる効果の成否未定の状態にある行為である。即ち代理権さへあれば其内容 に相応した効果が直ちに発生し得べき状態にあるのであって、謂はず代理権の存在を法定条件とした行為である。而 して行為後何等かの事由で代理権を得たならば契約の時に遡って其効力を生じ得べき代理行為である︵民一一六条参 照︶。だから無権代理人が本人を相続して相続財産を拘束すべき債務行為を為し又は相続財産を処分し得る権限を取 得した時には代理権の欠敏は治癒され恰も本人が自ら為したと同様な効力を生じて来るのである。﹂とする。これに 対して、﹁抽象的な管理権を有することと、具体的な代理権とは別であり、抽象的な管理権から追認権が派生すると しても、この追認権を有するということと、これを行使するということは別であり、行使しない以上はその効果︵門 無権代理行為の効果の財産への帰属︶が生じない。﹂との批判がある︵奥田・前掲︵7︶一二∼三頁︶。 例えば、義務者が権利者を相続する場合、人格の承継によって権利義務が消滅するのではなく、義務者が権利を取 得することにより、混同という法律的メカニズムによって消滅するのである。 杉之原舜一・民商法雑誌九巻五号八六六頁は、﹁私的自治の精神は反面に於て、法律行為の当事者は自ら欲してな した法律行為の効果の発生を、原則として、自ら阻止し得ないとする。これは私的自治の精神に反し信義則にもとる からである。従って、無権代理人と錐、一旦自ら欲してなしたるその行為の効力の発生を自ら阻止し得るわけのもの ではない。⋮⋮無権代理人が本人を相続しその追認権を承継取得しその行為を追認し確定的に有効ならしむることを 得る地位にある場合、その追認権を行使するや否やは権利者たる無権代理人の任意であり、無権代理人はその行為を 拒絶し得るとするならば、形式的概念的にはともかく、実質的には無権代理人をして自己が欲してなしたる法律行為 の効力の発生を自ら阻止し得ることを認めることとなり、私的自治の精神に反し信義則にもとるところ大なるものが ある。従って、かかる場合には、追認をまたず無権代理行為は追完され当然に有効と確定されるものといはねばなら ぬ。﹂とする。後藤勇﹁無権代理人が本人を共同相続した場合における無権代理行為の効力﹂桐蔭法学一巻一号一五 五∼六頁。大判昭和一七年二月二五日民集一一巻四号一六四頁、最判昭和三九年四月二〇日民集一六巻四号九五五 27続・主張整理的観点からする民法の解釈
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︵23︶ ︵24︶ 頁。 高森閥高森・前掲︵n︶四〇∼三頁。 この点については、近時再検討の必要が唱えられ、議論が深化されている。とくに無権代理人が代理権の欠敏を知 り、しかも本人の追認を受けられる見込みがないのに、あえて無権代理行為に出た場合に、善意・有過失の相手方を 保護する途を閉ざすのは適当ではなく、相手方に単なる過失があるに止まる限り、信義則上これを主張しえない、と する考え方︵奥田・前掲︵7︶二二∼三頁、辻正美・民法判例百選−総則・物権︵第三版︶八五頁、同・私法判例リ マータス一号二一∼二頁︶、無権代理人の免責要件である相手方の過失の認定基準について相応の配慮を加えるべき である︵少々のことは大目に見る︶とする考え方︵安永・判例評論三五一号一九一∼三頁、とくに一九三頁︶、不法 行為を根拠にして無権代理人の責任追及を認めるべきであるとする考え方︵安永・同一九三頁、岡孝・判例タイムズ 六五六号九七頁、久保・前掲︵n︶五六六頁︶がある。私としては、この問題は立法政策に関わり、有過失にすぎない 相手方を除くことは、解釈の域をこえるものであり、他方﹁過失﹂は、当該場合の具体的事情によりその判定基準が 定まってくるのであるから、これに委ねることにより無理のない解決ができるのではないか、と考える。 最判昭和三七年四月二〇日民集一六巻四号九五五頁。谷口知平・民商法雑誌四七巻六号九六四頁以下、とくに九 六八頁、中川善之助−泉久雄・相続法︹新版︺一六九∼七〇頁、松坂・民法提要親族法・相続法︹第四版︺二三六 ∼七頁、泉・専修法学論集二〇号一八一∼三頁、とくに一八三頁、高野竹三郎・民法の判例︵第三版︶四四∼六 頁、とくに四六頁、山本進一・家族法判例百選︵新版︶︵別冊ジュリスト四〇号︶二〇六頁、奥田・家族法判例百選 ︵第三版︶一八O∼一頁、高木多喜男・新民法演習−総則二〇四頁。 Aが追認を拒絶した場合には、Bの無権代理人の責任を負担するとの考え方に対して、それは右手で与えて左手で 奪うことになるから、本人は無権代理人の責任を負担しないとする考え方︵中川”泉・前掲︵23︶一七〇∼一頁︶があ る。しかし、相続の対象として、被相続人の無権代理人としての責任は存在するのであり、本人でない相続人はこれ を負担することを否定する考え方はないのであるから、本人だからといってこれを免れるとすることはできないであ 28東洋法学
︵25︶ ︵26︶ ︵27︶ ︵28︶ ろう。人格融合説及び資格融合説は否定するが、相続人である本人の資格と被相続人である無権代理人の資格とが混 同し、追認と同一の効果を生ずる、とする考え方もある︵伊藤進・明治大学法律論叢三六巻五号一〇四頁以下、とく に一〇九∼一〇頁︶。 最判平成五年一旦二日民集四七巻一号二六五頁。谷口・前掲︵23︶九六九頁、後藤・前掲︵20︶一五六∼七、一六 〇頁。 最判平成五年一旦二日民集四七巻一号二六五頁の三好裁判官少数意見.後藤・前掲︵20︶一六〇∼二頁。 この判例の事案は、無権代理人である相続人の一人が、本人である被相続人の不動産について譲渡担保権を設定 し、所有権移転登記をしたため、無権代理人である相続人を含める共同相続人全員で右登記の抹消を訴求したもので ある。多数意見は、契約を有効とするための追認は、共同相続人全員でなされることを要するとして、譲渡担保権の 設定契約の無効を理由に請求を認容した。そして無権代理人である相続人の相続分の限度においても契約は有効とは ならない、とした。契約上の責任と民法二七条の履行請求についての責任とが別個の訴訟物であるとする考え方で は、この事案についての判断としては十分である。しかし、少数意見は、無権代理人の責任としては相続分の限度で 負担するとして、無権代理人の責任に言及している。この点からすると、最高裁、少なくとも少数意見は、無権代理 人に対する履行請求についての責任と契約上の責任とは訴訟物が同一であるという考え方をとっているのであろう か。また多数意見は無権代理人の履行請求についての責任は生ぜず、損害賠償請求だけが許されるとするのであろう か。理論上ないし解釈上の興味が広がる。 本来はDに対しても所有権に基づく妨害排除請求権としての抹消登記請求権であるが、不動産登記法は、Dが依存 する登記︵この場合はCの所有権移転登記︶が抹消される場合にこれに伴って抹消することとし、Dの利益を害しな いためその承諾を要するものとしている︵一四六条︶。この手続上の仕組みに従い、Dに対しては、抹消登記請求で はなく、Dに対抗することができる裁判として承諾請求をすることになる。 売買契約の解除に基づく原状回復請求としての抹消登記請求権も考えられる。その請求原因は、所有権に基づくそ 29続・。主張整理的観点からする民法の解釈 ︵29︶ ︵30︶ ︵3 1︶ ︵3 2︶ ︵3 3︶ れの場合の再抗弁までが含まれることになる。 大判明治四四年五月四日民録一七輯二六〇頁、大判昭和八年三月一五日民集二一巻五六六頁。石田︵文︶・全訂改 版物権法論三二〇頁以下、末川博・物権法一三六頁、山田晟・注釈民法⑥一九八∼二〇一頁、とくに一九九頁、舟 橋・物権法一二一頁以下。 大判大正一〇年四月二百民録二七輯七〇三頁、最判昭和四四年五月一百民集二一二巻六号九五一頁。我妻︵有泉 亨補訂︶・新訂物権法一三四∼五頁、柚木馨・判例物権法総論一五六、一七五頁、林良平・物権法六一頁、川島一 郎﹁中間省略登記の有効性﹂民事研修五〇号四四頁以下、杉之原・新版不動産登記法五〇頁、幾代﹁登記請求権に おける実体法と手続法︵四︶﹂民商法雑誌五六巻四号一〇頁、同︵徳本伸一補訂︶・不動産登記法︹第四版︺四八三 ∼四頁、於保・物権法︵上︶九〇頁、金山正信・物権法論︵総論︶二三四頁、石田喜久夫・注釈民法㈲二三九頁、鈴 木禄弥・物権法講義二四三頁、柳川俊一﹁中問省略の登記﹂︵不動産法大系W登記︹改訂版︺︶一〇六∼八頁。 大判大正五年九月二百民録二二輯一七〇二頁、大判昭和八年三月一五日民集一二巻三六六頁、最判昭和三八年 六月一四日最高裁判所裁判集︵民事︶六六号四九九頁、最判昭和四〇年九月二一日民集一九巻六号一五六〇頁。 大判大正一一年三月二五日民集一巻一三六頁︵AC間の特約に基づき移転登記を請求した事案において、Bの同意 が必要であるとして、請求を認容した原審判決の破棄差戻しをしたものである。中間省略登記の請求に対して三者の 合意が必要であるとしたものと解せられないではない。︶。末川・前掲︵29︶=一一六頁、山田・前掲︵29︶一九九頁、我妻・ 物権法八五、八九頁、林・前掲︵30︶六一頁、川島︵一︶・前掲︵30︶四四頁以下、高木﹁中間省略の登記﹂︵不動産登 記講座−総論①︶一〇六頁。 ①と②とは、単に形式︵契約︵同時的意思の合致︶か個別的な同意か︶の違いにすぎず、結局三者の同一の意思が 存在すればよいことに尽きよう。そして実際の場合は、AからCへの所有権移転登記は共同申請によってなされるか ら、これによって両者の合意が存するわけであり、他にBの同意があれば足りることになる。すなわち、適法な登記 がなされておれば、Bの同意のみがスポットライトを浴びることになる。 30
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︵3 4︶ ︵3 5︶3736
) ) ︵38︶ 最判昭和三五年四月二一日民集一四巻六号九四六頁︵もっとも、この判決は、原審が原告である中間者に訴訟法上 の権利保護要件を欠くとしたのを肯定したもので、従来の判例を変更したものではないとする見方がある︵川島︵一Y 前掲︵30︶三六頁︶、最判昭和四四年五月二日民集二三巻六号九五一頁︵但し傍論︶。山田・前掲︵29︶二〇〇頁。 杉之原・前掲︵30︶五〇頁、金山・前掲︵3 0︶二三四頁、於保・前掲︵30︶九〇頁、鈴木・前掲︵30︶二四三頁、石田 ︵喜︶・前掲︵30︶二三九頁、幾代・前掲︵30︶四八三∼四頁、柳川・前掲︵30︶一〇六∼八頁。 幾代・前掲︵3 0︶不動産登記法三四一∼二頁。 大阪高判昭和四六年四月八日判例時報六三三号七三頁。兼子一・条解民事訴訟法六六八頁︵竹下守夫︶、新堂幸 司・続民事訴訟法判例百選一八八頁、同・判例民事手続法二九八∼三〇四頁、とくに三〇〇頁、上田徹一郎・判例 タイムズニ七〇号九二頁、小室直人・重要判例解説昭和四六年度九六頁、中野貞一郎u松浦馨−鈴木正裕編・民事訴 訟法講義︵第三版︶五〇九∼一〇頁︵吉村徳重︶、佐上善和・民事訴訟法二一三頁、谷口安平・口述民事訴訟法三 五六∼七頁、松本博之・民事訴訟法判例百選︵第二版︶二四六頁、長谷部由起子・民事訴訟法判例百選H三三〇 頁。 執行自体を否定する考え方︵したがって、承継執行も当然否定される。︶ 最判昭和四一年三月一八日民集二〇巻四 六四頁。中野﹁意思表示義務の強制執行﹂阪大法学二二号六二頁、山本卓・注解強制執行法㈲一九六頁、町田顕・ 注解民事執行法㈲一二八頁、並木茂﹁判決の内容﹂︵不動産登記講座−総論①︶三六二頁、清水湛﹁意思表示義務 の執行﹂︵実務法律大系7強制執行・競売︶七二八頁、小倉顕﹁判決による登記﹂︵不動産法体系W登記︹改訂版︺︶ 二〇三頁、山木戸克己・民事執行法・保全法講義一二五頁、林伸太郎・民事執行法判例百選二〇五頁。 承継執行を肯定する考え方 大判昭和一一年九月二六日民集一五巻一七四一頁、最判昭和五四年一月三〇日判例 時報九一八号六七頁︵但し傍論︶。兼子・判例民事訴訟法四三〇頁、中務俊昌日川村俊雄﹁口頭弁論終結後の承継人 と判決の効力﹂︵実務民事訴訟講座2判決手続通論H︶六二頁、香川保一﹁判決による登記㈲﹂登記研究一一〇号三 頁、同﹁不動産の処分禁止の仮処分の登記とその後の処分の登記の効力﹂︵村松還暦記念・仮処分の研究下︶四三 31続・主張整理的観点からする民法の解釈 頁、石川明・不動産登記先例百選一九四頁、上田・前掲︵3 7︶九四頁、 高見進・民事訴訟法判例百選11三二八頁、遠藤功・判例タイムズ四一 論﹂東洋法学三八巻︸号九八∼一二頁、とくに一〇〇頁。 竹下”上原敏夫・判例評論二五二号一七九頁、 一号二五九頁、拙稿﹁執行力の客観的範囲試 32