フランス民法典の一部改正(組合法)について
著者
中村 武
著者別名
T. Nakamura
雑誌名
東洋法学
巻
22
号
2
ページ
p1-19
発行年
1979-04
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00006049/
Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.jaフランス民法典の一部改正︵組合法︶につ
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六五四三二一
目 次 はじめに 総 則 民事組合 匿名組合と事実上の組合 改正法の規定の適用 むすびはじめに
カトリシスムの強い影響の下にあるフランスは、保守主義の国であるといわれ、法律の面でも、一八〇四年に制定 されたO&①9議をはじめとする9留乞巷oぎ鄭は依然としてその形態をあらためない。だがその内容は遂次改 東洋法学 一フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 二 修されたことは周知の通りである。殊に最近においては、西欧諸国のひんぱんな法改正、急激な経済社会の変転、国 際化につれて、フランス法の改修正は、いちじるしく活発となり、他国の法制度にさきがけて、独自の道をあゆむ場 ︵ま﹀ 合も少くない。 長い間フランスの立法者は.世間にはあまり知られていない準備の後に、民法典の第︸八三二条乃至一八七三条の 組合契約に関する規定︵9糞触典黛騰8聾伽︶ にたいし修正をくわえ、全く新しいものとした、この法律は一九七八 年一月四臓法であり︵ド黛離、お嶋焦灘置嚢圃題睡箋龍 蔀寓鑑蕎欝轡縦聾搭潤驚圃響㌶欝欝鵜a藤戴熱︶ 一九七八 年七月一騰から施行された。鑑の新法は.民法典第三編第九卓とし.三節にわかれている。 その第一節︵一八三二条ー一八四四条ー鱈︶には.総則の規定︵螢薦。む 。識慮鄭畿亀幕欝ぎ︶がおかれている.まず第 一に注目すべきは.旧法第一八三二条以下の組合契約法の総則規定が削除され、全く新らしくされ.その重要な、規 定は一九六六年の新商事会社法で新に設けた規定にしたがうものとした。各個々の規定でとくに注意すべきものは、 組合の新らしい定義をさだめた規定、法人の成立に関する規定.組合の設立無効に関する多くの規定の削除、組合の 総出資が一人の所有に帰した場合の規定等である。 第二節︵第一八四五条乃至第一八七〇条の一︶の規定は、いわゆる民事組合︵o っ8獄菰O憲竃︶ に関するもので 責任規定の変更に関する重要な新規定、有限責任会社︵も っo縁毬簸襯巷・蕊魯簿ゆご昆叡ぐ養︵ω湊歯由︶ の業務執行 に関する規定、有限会社社員の権利義務の新規定、持分の譲渡に関する規定がおかれた。従来民事組合は、不動産組 合・財産管理組合.ならびに特別法によって定められた農事組合および自由職業者団体の場合を除いては、経済上あ
まり利用されなかった組合形態であった。そのわけは、民法典の規定が部分的にまったく古めかしく、ω8聾働Ω色① とゆう組合の職能は実際上必要とされないためである。新法が組合の形態を厳格に規定する傾向は、次のような事情 を考慮にいれた故である。即ちあまりに広い当事者の自治は、法律関係の確実性を害し、またこれを濫用する弊に陥 り、民事組合の真の経済上の意味を悪用しようとする傾きがあるからだ。 第三節︵一八七一条ー一八七三条︶は匿名組合ω・。鄭ひ窪短鉱。昼践8︶ に関する規定である。その規定は従来 一九六六年の商事会社法の第四一九条ー第四二二条の規定におかれていたものであるが、一九七八年法律第九号によ って廃止された︵第五条皿︶。この匿名組合は文字通り匿名であり、その公表の規定には従わないし、また組合は法 人ではない。 匿名組合はその達成しようとする目的如何によって、民法上または商法上の見地から取扱われる。その実際上の意 義は、今日の経済上および社会生活の上からみて有意義なものである。この組合形態がしばしば好んで採用される所 以は、一回限りの取引を行うために便利であるとか、あるいは多数の大企業者が、一定目的遂行のため短期間協同す るために組織するのだ。 なお弦に注意すべきは、第一八七三条の匿名組合に関する規定は、事実上の組合︵ω8聾ひ9獣①号評ごにも 適用されることである。 ︵1︶ 一九六七年九月二三日の政令により定められ発布された、経済利益団体法︵90老o讐窪けα、簿鼠誌叶国88巨ρ器。巨 ○鵠︶や、一九六六年七月二四日発令の商事会社法︵欝獣宅霧出鶏身漣噺鼠一ζお30二①象R9”。①下8。身8 東洋 法 学 三
フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 四 導鋤議竈欝も 。銭諺ω8一簿診8響漫①容邑霧︶を別とし、一九七二年から一九七八年までの民法・民事訴訟法等の改正をあげ れば、次の通りである。これらの改正は最近のヨー纂ッパ諸国でも頻繁に行われる民事訴訟法、婚姻法・養子法・失踪・ 共有・組合等に関する規定の改修である。 ︵O施 ﹁最近のフランス民法典の改正﹂野村豊弘・学習院大教授.一九七九年 二月一ご一沼.日仏法学会講演。︶同教授の報告によれば.改正の跡は次の通りである。 ︵瞬︶ お謡 ヅ轡総雛諺山驚島 磯蜜誤蕊鶴岡鷺瞭 な鞭難猷鷺欝織欝 ︵裾欝 顎敏漉響ツ 圃麟γ騨野欝懸認母欝 駆瀞彫轡瓢灘謡−総輪驚㎝霊臨鯨お藤 瞬講難欝駄孫腰鷺階畔、鶏欝鱗卿露糞雛鵜瞬講難欝纂略叢鱒漁黛噂雛◎鋤蒲鵜畿熱齢 ︵︾P 犠竃桝謡な 婚回γ 獅野 雛破懸鴎騎 購輪騨 臨。麟い鉱灘認出お欝慧智欝糞鑑隷 竃&籔蓉二鯨獣賢譲出O鍵餐噺鉱鵠鶴厨零陣醤一纂凶お鰐鎌毒講霧魯驚襲ε諺浄8講鍵鷺譲爺︵轡ρお噺戴騨聯 諺羅γ鷺 離愉野P お認9Q o畷鋤 晒頓伽舞禽屡謡ふo 。麟欝卜oO繍繊一一鶉お謡 回霧鶏欝§瞥象8瓢く亀霧撫qり鷲霧醸o鑓欝肋瓢幕霧餅。。、ぎ鼠鵯韓籔濤鑓冨&Φ鱒簿驚巴Φ鉱、§蓉馨⑩器8留階マ 璽8蝕麩②甑く鵠⑱︵︾P翫い巳搾警誌8γ騨野螢お謡η蕊○ 。 餓砂O恥R驚潟飛鱒ー謎O o無麟鱒O o鶴○鷺お刈鱒 回霧籔鶏纂撃⑲仲3霞伽蓉禽勘狂留無。 q慧。 駐鑓o器傷総甑叡窃︾る 。、陣纂禽蔀鴎籔蕊ぴき薯Φ雲8留階鷹8獣鶏⑱鼠難Φ ︵︾ρo oOき魯緊88γじ ごト轡O。お謡。戯誤 ︵閏︶ おお 90伽R簿籍おー漣⑦伽q困霧響恥議おお 津ぼ唱o轟︸、巷覧ゆS鶏霧留鑓ぴ陣昌誌ム象⑳踊§︿一霞おお器貯識くゆ麩℃蝕蓉Φ韓独器9留鑓鷺器δ欝鞍−
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フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 六 騨G穫● 一㎝。いO凶 β 刈①ー一鱒o o① α瓢 G Q一 飢ゆOΦ欝ぴ穫Φ 一〇畷〇 一㎝験 力①嗣鋤瓢くの倒一、o噌σq節β齢勲篤o⇔餌の一、一昌伽陣く尻陣○類︵い○管 一。厚㎞勉欝︿. 一〇﹃評 噂◎闘㊤y 煽W。い停圃︾” ︸O畷S O⑳ ︵∼麟︶ 回り圃憶 一①. び〇一 P磁磁ー一蒔麟唄 山麟 鱒O Q 鳥ゆOO導び目⑦ 一㊤刈疇 噂O種轡餌び轡唖駆断O吋箏Φ 似幕瓢瞥種⑪困ぐ 蜘麟鵠︽騰⑦嗣⑩鴎 鎌鱗舎Φ傷Φ O一く綴 ㈱ O⑫賑 窪 鵜び◎ 唯ぐ 鋒雛仲む 稔 ︵︾鮮O。鱒O 瓢ゆO脳 噂瞭O継の逼㎝︶ 騨’び傷び恥 鰯O憾c Q◎ 糠轍 識 ︵騨Φむ艸痢畿農齢鶏幽 噂聾 遍Q頓︶ 回憾殊 野Φ岡 麟 鷲醜ー麻賑鱗韓 弧綴鱒楡 瓢鄭葛韓羅臨擁Φ 回蛉醜噛 羅鶯臨猟坤勲鱒静圃Φも 登鱗嫌識農圃撫鞄 警な ゆ醐鱒弗轡も ゆ轟鱒⋮①蜘綴費鶯瓢⑫鈴卿畷誼唖麟瞬麟鶏暁む糠麟瓢鵠融⇔瓢蝕溶躯鵠諏鞘騨鑓瀞灘箒欝⑦舞畷触嚇瓢聯囲、影⇔畿Φ瓢鰍識膝麟 瓢鋤 毒 撫蕩び帥陣蜘⑳麟︵験曲ハ﹀鞭 難 ゆ⇔ 瓢鄭凸恥 噂融 輪騰Q Qな ゆ︶騨 脚嘩野騨聯。 騨Φ飛O Q躰 ⇔ ゆ韓 ︵譲︶ お鍵 瞬O Q吟 騨Φ瞬鯵刈Q Q−O 瓢瓢 魁 ㎞恥欝副鵡ご降種 瞬鵠鴎O Q 竃○甑鼠圃麺欝轡一Φ瓢轡種Φ回図蜘江類頑瞬⑩回團囲伽織榔の蜘⑫⇔凶頑嵩︵︾O聴 遍㎝矯餌添畷B 噂” ω嚇○ ○︶癖 嘘 癖④野母鶯華 一〇疇G QΦ 獅鳴 ︵簿⑫o鶴訟o騨艸端 噴霧。︶ 一①“ びo凶舞刈○ ○ー陣鱒 瓢篇 轟 蟻勲潜く一⑦壇 騨㊤憶O Q 潟⑳︸鶴瓢ぐcp節一鋤械Φも 陰唱○ごも o鋤げ鷺諏働⑦轡餅圃、鋤も aも o瓢門鋤瓢oΦ伽鋤瓢も り一①駄○騒麟圃嬬o伽⑳一麟oo欝も 段簿慧o鉱o瓢︵︾○恰 凱 嵐鋤謬くや 唱噺 陣○ ○○ ○︶“回W◎ 騨。囲︶。 ︸㊤績○ ○。 刈麟 一㊤g いO陣欝“c Oー①潟噴 似信噺餌博欝 一〇﹃○ ○ 鷺○α賦陣鋤鄭酔傷ゆくΦ聴ω①o o伽沖ω℃oo o帥鋤○欝o o傷鱗oo侮似o帥ぐ圃種⑦一鎚無くのo 駐節一導陣誤甑陣く圃巴o添︵︾O。陣一繍鎌陣騨唱雛継⊃Q Oc ゆ轟︶露扁W飾磨⑫回︾畢回O¶○ ○“鱒唾鱒 鱒O. ビ○随 瓢刈C Oー刈ω一 鳥嘗 齢鱒矯嵩陣はO瞥一〇樋G O Oo導娼凱榑蝉拶替o替影○山賦一帥βけ伽一<①戦も oゆω山鍍℃o巴鶴o雛o o山糞oo傷①o一く昌︸ oo似ΦαΦ一岱類鋤獣o⇒鉱搾伽①紳山瓢 oo山o αΦ 一帥 G ゆp o拶酔ゆ 郊鐸ぴ凱の彊① ︵匂。○事 一Q ゆ 愉償一二3 郊事 ⑳刈○ ○斜︶● ω。ピ噂漏︾畢 一〇刈O Q. c QO㎝ 鱒歴 ピO一⇒鴎Q Q⋮畷頓○ ゆ 餌瓢 一唄蜘鋸陣鵠①醇 一〇刈O o
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二 総 則
︵臣o 。唱霧凶慧露鴨幕冨園霧︶ 新法の規定は民法典第三編第九章組合 ︵O①賦ω8襲継︶とされるものであり、総則の規定は第一節の中に含まれ る。総則の規定は特別の法により特別の形態をもつもの︵例えば一九六六年の商事会社法の範囲内のすべてのω8竿 簿俸︶に適用される。 重要な新規定は一八三二条に規定された組合の定義である。即ち従来の規定として﹁組合とは二人または二人以上 の人が共同してある事業を営み、これによって生じた利益を分配することを目的とする契約である。﹂ところが新法に よる定義ではスイス債務法第五三〇条のように﹁組合とは二人またはそれ以上の人が共同して財産を出資し、または 一身的に協力することを約し、これによって生じた利益を分配し、あるいは経済上の利益を得ることを目的︵窪毒の αΦ℃費鼠αqR8ぴ雪艦8窪留冥o津段8H、ひ8き昆①ρ鼠鷺昊餌象叡。 。聾巽︶ とする契約である﹂という。 従来の定義によれば、破殿裁判所のいうように組合の定義がせまく解釈され、組合とは特別の例外の場合を除き、 既存の財産を増加する目的を遂行するためにのみ、共力し組合を設立することができるとされる。だから単に経済上 の節約の目的達成をめぎす場合、例えば協同購入・制作をするとか、共同販売または共同宣伝をする目的をもって、組 合の形式を利用する場合とか、あるいは一九六七年以降には経済利益団体の形式︵90唇①ヨΦ纂似、囲導①蚤浮象? 東洋法学 七フランス民法典の一部改正︵縄合法︶について 八 讐5器︶をとれるようになった。 新法による組合の定義は、三様式の組合のあいだに存する差別を弱め、財や人力の節約の目的をもって、右三様の 組合の形態のいづれかを選択採用する自由が法律上みとめられたわけである。経済利益団体は︵O∴幽︶は特別の 法にしたがうかぎり、G・亙・Eと組合とのあいだの差異およびその認められた採用可能性等についての疑聞は、将 来生ずることであろう。 組合の定款は書面をもって作成され.組合の名称、各組合員の出資およびその形態・羅的物.組合の職能.組合の 資本額.本店所在地、組合の存続期間︵九十九年を超えない限度で︶等の記載をせねばならぬ. ︵繭八三五条輔八三 八条︶. 組合は原則としてすべて法人である。 ︵一八四二条︶。だが旧法とちがい、すべて組合は.その登記によってはじめ てその法人格を取得する。この法人登記およびその前提となるべき形式については.未だ確定されていないが.今の ところ推定によれば、これに関する政令は、一九六六年商事会社法の施行細則である一九六七年三月ヨニ日の政令 ︵纈R⑱晒︶の規定を、もっぱら援用するものとなろう。 定款の署名捺印と組合の登記との申間時における組合員間の法律関係は.一八四二条葺により.組合契約および契 約法の一般原則ならびに債権法の規定によって定まる。だがこうした一般的な法原則なるものは、臼本や西独法また 瑞西法の中にはみられない故に、当事者がこれを希望した場合には、むしろ人的会社たる合名会社における定款調印 と、登記との中間時における合名会社社員相互間の関係についての規定に従うべきか、或はもし当事者がこれを欲し
なかった場含には、債権法一般規定に従うべきであろう。 登記前の段階における組合の責任については、第一八四三条がこれを規定している。これによれば、以前は商事組 合に対してのみみとめられた規定を一般化して、組合の登記以前、組合設立申に為された行為により生じた債務につ いては、これを行った人が責任を負うとした。そして商事組合が設立された場合には、一定の行為に協力加担した者 の全員、あるいはその行為遂行のため代理権をあたえた者全員が連帯してその責任を負担する。組合登記の後には、 組合がはじめからその行為を行ったものと仮定し、組合において右責任を引受け負担することができる。 組合登記が遅延した後ようやく成立し法人たる組合となった組合にも第一八四三条の一の規定が適用された後は、 一定の財産例えば不動産または特許権は組合に登記前に移転されねばならぬ。この移転譲渡は組合設立が登記によっ て公表された後、はじめて第三者に対し有効となるのだが、同条の規定によれば、その財産移転の公表は定款調印後 直ちにこれを行うことができ、組合登記とともに、その移転の効力を全部遡及させることができる。 第一八四三条の三は、組合員の出資の権利義務、ならびにこれに対する責任につき規定している。これにつき殊に 興味深いところは次の通りだ。即ち組合員は恰も売買におけるように、売主が買主にたいする如き責任を負担するこ とだ。だから組合員が物の使用権を出資の目的とした場合には、恰も賃貸借契約における貸主が借主に対するような ︵単に動産不動産の利用を許した場合に︶賃貸人が負担する責任を組合員が組合にたいし負担する。種類債権の目的 物のように、通常消費される物件を消費のために出資した場合には、組合員は恰も賃貸人のような責任を負担する。 即ちこの場合組合員は組合にたいし所有権を移転した場合には、同等の種類、数量、品等ならびに価値を同じにする
東洋法学 九
フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 一〇 物をもって賠償引渡すべき義務がある。 組合員は各々組合設立.またはその後の増資の際の出資の割合に応じ、組合の資産に対し持分を有する︵静器寄 8覧欝﹃8鼠島 。・纂嘆・鷺益霧勢飾。 。窃8鷲誘︶ ︵第一八四三条の二︶。組合員の組合にたいする義務は.いかなる 場合も該組合員の同意なくしては、これを増加してはならない。 ︵第一八三六条二項︶。 すでに一九六穴年商事会社法のもつ規定と同様に、新法は本章においても、その総則の規定をもって.組合の設立 無効をみとめる新規定を設けたが、これを記める場合はきわめて少く.かかる原因は正擁に規定されている。新法第 一八四四条の一〇の規定はなお.一定の行為および組含の機関の決議無効の場合おも規定したが、これによれば組合 はその契約が一般の規定にしたがって無効となる場合のほか.その設立が無効 ︵鼎誰︾榔階鑓鶏 絵8聾伽︶ となる には.次の場合だけに限られている。即ち第一八三二条の規定に違反する場合︵出資が為されない場合.利益分配ま たは損失分担の規定違反︶または第一八三二条の一の第一項の規定に違反する場合︵配遇者が組合員として加入する こと.配偶者の負債にたいし組合員が連帯無限の責任を負担すること︶。あるいは第一八三三条に違反する場合︵組 合目的の違法、組合員間における共同の利害関なきこと︹慧魯雑江慧欝簿簿話8器跨募⑱留濤一、ぎ融聴訟8簿讐欝 傷霧憩 岐8綜鼠萄 ・︺︶である。その他の場合においては第一八三九条の規定にしたがい.各利害人および検事は︵簿導ヤ 鉱。 陰蒜話℃魯浮︶事実関係の正常化を︵﹃壽αQ焦畳呂8鑓8霧簿鼠露︶を裁判所に訴えることができる。組合の設 立無効の確認をもとめる訴は、三年の時効によって訴権が消滅する︵第一八四四条の一四︶。 組合の総持分が一人の所有に帰した場合も、今や当然.自動的に組合の解散を招かないが、これは一九六六年の商
事会社法の例にしたがった訳である。新法第一八四四条の五の規定によれば、右のような場合︵濁誌毯陣魯留8讐 富巴霧窓冨ω8芭の魯毯oω窪δβ鉱p︶にも組合は依然として存続しているが、一年の猶予期間の後にすべての利害 関係人は、何人と誰も組合の解散を請求することができる。同条第二項の規定によれば、組合の資産の総持分として の使用権が同一人の所有に帰しても︵ピ、巷℃鼠窪撃8留諄津鉱け締8露①巴霧短誘ω8難霧働一餌旨ひ鷺①需議o守 器︶組合の存続には障がない。 新法第一八四四条の三、および第一八四四条の四の規定によれば、各組合の組織変更は自由である︵新に法人を設 立せずして組織を変更し、民事組合から商事組合え、あるいはこれと反対な変更も自由︶、また組合を合併し、ある いは組合を脱退し出資財産を取戻し、これを他の組合に出資することも自由である。 新法第一八四四条の規定によれば、組合員は組合のすべての会議に出席し、その決議に参加する権利がある旨定め られている。但し注意すべきは、この規定は一九六六年の商事会社法第一六三条の規定する株主の株式利益享受権の 場合と異り、第一八四四条においては、用益権者は︵留匿o翼慧①ωけ㎎磐曾α、毒器昏魯︶単に利益分配に関する 決議だけに出席投票権を有するに過ぎない。但し右の規定は任意規定なので、定款のなかで、これと異る規則を定め ることが望ましい。 組合を脱退する者、または組合から持分を取得しようとする者が、その持分の価額につき争あるときは、当事者ま たは管轄裁判所長官から選任された鑑定人の鑑定によって確定される︵第一八三四条の四︶。 新法第一八四四条の二の規定によれば組合財産のうえに担保権設定のためには、いかなる代理権の授権設定が必要 東洋法学 コ
フランス民法典の一部改正︵粗合法︶について 一二 かが第二項により定められているが、これによれば、たとえ担保権の設定は公証人の作製する公正証書により行わる べしとされていても、その代理権の援権は、私製証書をもってすることができる。 組合の存続期間が当初さだめた年限を超過する場合には、組合の存続には、定款変更のために必要とされる一定の 多数決によるべしとの定めが定款に予定されていない限り.第一八四四条の六の規定にしたがい、組合員全員の一致 の決議によって、これを決定せねばならぬ。だがこうした規定は資本会社の場合には適用きれるべきではあるまい。と いう訊は、一九六六年の商事会社法第穴○条および第一五三条によれば、その特別株主総会においては.容易に定款 の規定の総ての点にわたり変更する ︵嘆Φ纂霧嚢嘗醗鷺Φ鎌誉舞賦蕊蜘霧灘 鶏欝窯謎葛 縫灘轡鳥曾瞬翫窃饗=講講零臨鐙馨− 噂捲醗繋轡黙鯵戴欝圃霧瞳欝綻識蒸欝籍農避圃欝岡雛臨琶ことができるからだ.但し右様の場合には.特別株主総会の 権限はこれを定款に明確に規定しておくべきである。 重大な事由ある場合には︵組合員がその義務を履行したかった場合とか.組合員間の不和のため組合業務の遂行が 困難になった場合︶各組合員は、組合の解散を裁判所に請求することができる︵第一八四四条の七︶。
三民事組合︵な
鐙灘馨ひδ響欝︶ 改正法における総則の規定で、組合の公表.および登記義務がみとめられた故に、民事組合の隠匿性はその存立の 価値がうしなわれることとなったが、さらにその構成を根本的に変更した。しかしながら改正法はすべての組合に適 用されるものではない。という訳は立法者は、組合の種々の活動のため、種々の特別法の規定を用意したので、その場合、民法典の規定は補充的に、援用きれるためのものである。のみならず、民事組合設立の数はいちじるしく増加 し、個人がその所有の不動産を利用管理するために、家族組合を設立して、専ら民法典の規定の支配をうける場合が 多くなった。 新法による重大な変更は、第三者にたいする組合員の責任の加重であり、改定法第一八五七条によれば、組合員は 組合の債務にたいしては、債務履行の日︵餅賦量帯一、窪曜窪蒙︶、または支払停止の日における組合資本にたいす る自己の持分の割合に応じ無限の責任を負担する。これに反して民法典の旧法第一八六三条によれば、組合員の責任 は頭割り︵窓器く鼠一霧︶であり、したがって労務出資をした組合員も、極めて少額の財産出資を為した組合員も、 同等の責任を負担したのだった。 債権者が第一八五条にもとづいて、組合債務につき右様の支払を請求するためには、法人たる組合にたいしその債 務の支払をもとめたに拘わらず、その支払を得られなかった場合なることを要する。 新法第一八五九条によれば、組合員、その相続人および権利承継人︵亀㊤導の8誘①︶にたいする請求権は組合解散 を公表した時から五年を経過すれば、時効によって消滅する。 業務執行の期間︵第一八四六条︶、業務執行員 ︵冨αq貯欝紳︶ の選任・解任︵第一八四六条三項・第一八四一条一 項︶、右事実の公表義務︵第一八四六条の二︶、業務執行員の外部関係にたいする代理権︵第一八四九条︶、組合の 持分の譲渡︵第一八六一条以下︶に関する各規定は、もっぱら有限責任会社における規定と類似している。 なお注意すべきは新法第一八四六条の一によれば、組合が一年以上業務執行員を欠いた場合には︵ざ誘息&①霧
東洋法学
一三フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 一四 8、鷺壕欝号αq緯§酔︶各利害関係人は組合の解散を請求することができる。日民第六八三条や瑞債務法第五四条は、 やむを得ざる場合とか、重大な事由ある場合︵餌器且oぼ蒔窪9欝α撃︶と抽象的にいうに止まり、仏民法のように 具体的に明確に規定していない。 新法第一八五五条および第一八五六条によれば、組合員は組合の帳簿および証拠書類を.少くとも一年一回これを 関覧し、また書面による質問を.業務執行員にたいし行うことができる。これにたいしては一ヵ月以内に.書面をも って画答がなされねばならぬ.業務執行員は、少くも毎年会計報皆ヤおよび営業報告書を作成し、これにより組合事 業の状況、および取得しあるいは取得すべき利益、または損失につき報告をせねばならない、 新法第一八六九条乃至、躍一八七〇条の一は、組合員の生存申または死亡による脱退︵沁獣縫搾鍵凱警蔚瓢.議霧繍糞竃︶ を規定しているが.組合員が生存中脱退する場合には.該組合員は定款により.あるいは他の組合員の決議により現 物で出資した物件.あるいはその持分の金銭的価額の返還をうけることができる。但し右価額につき争あるときは鑑 定人の鑑定にしたがう︵第一八六九条二項︶。死亡による脱退の場合には.民法典の旧規定第一八六八条は、まった く反対に改正された。旧法によれば組合員の死亡により組合は通常当然に解散するとされたが.相続人とともに引続 き組合を継続するためには︵獄G 駿8蜂ゆ8導ぎ欝邑轡鶏9。 参§頴葺δ穫︶定款においてその旨明定されていねばなら ない。ところが新法によれば、組合員一人の死亡により組合は解散せず、通常組合は存続するが.これに反する場合 には、定款でその旨を明規しておかねばならぬ︵第一八七〇条︶
四 匿名組合および事実上の組合
日本商法第五三五条や西独商法第三三五条による匿名組合は、つねに商事営業︵麟き8誇①類巽訂︶を行うものと されている。ところが一九四二年のイタリヤ私法典第二五四九条以下は匿名組合︵霧89鼠o奮ぼ饗誉。む⇔臥o器︶ に関する規定であるが、 ﹁匿名組合契約とは営業者と称する人の企業またはその者の一個もしくは多数の取引から生 ずる利益︵9瀞象貯。 。轟嘗短。鋸o象毯。o℃露鎌鍵一︶に参加する契約﹂という言葉を用いているので、それは 必らずしも商法上の企業または取引にかぎらず、民法上の取引を含むものであろう。したがってイタリャ法にける匿 名組合は、商事組合の性格と民事組合との性格を有する場合とがありうる。この点フランス法に似たものであろう。 フランス法において匿名組合 ︵冨ω8聾ひ$葛鼠oな餌ぎp︶ は伝統的には商事組合であるが、永い間一般的にみ とめられるところによれば、民事法に属する行為をも行うことができるとされる。 ︵例えば不動産に関する取引︶。だ からフランスにおいても匿名組合はその行動いかんにより、民法的性格または商法的性格をもつものだ。 匿名組合を設立するためには、組合員がこれを匿名組合とすることを合意し、したがって、組合として登記せず、 かつこれを法人とせず、また組合公表の規定にしたがわないことを組合員たちがあらゆる手段をもつてそのことを立 証せねばならの︵第一八七一条第一項︶。組合員の数には制限がない。組合員の数は、ただ二人またはそれ以上の多数 人によって設立されるべきか否かの問題にはふれていない。 組合員の契約自由は広くみとめられ、ただ第一八七一条第二項にかかげられた制限があるに過ぎない。言いかえれ東洋法学 一五
フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 一六 ば定款は組合法の重要な基本的原則に違反してはならないというだけだ。同項があげた重要な規定とは、第一八三二 条・第一八三二条の一、第一八三三条.第一八三六条二項、第一八四一条、第一八四四条一項、第一八四四条の一の 規定である。 組合の定款が何等かくべつの規定を設けなかった場合には.組合員相互の関係は、組合が民法的性格をもつか、あ るいは商法的性格を有するかに従い.民声組合︵輪 撫黛綜縞臨蕊縦︶の規定.あ呼⇔いは合名会社︵ぎ甑驚継態蓼羅蓉瀟き 鐸導の規定にしたがう︵第一八七︸条の一︶. 改正法によれば.匿名組合は鱒本法・西独法と同様に、組合自身の資本金をもたない.ダ鰐して各門名組合員は.各 匿名組合に出資された財産については.依然として所有者として存続する ︵6欝繋灘霧む 嚇⇔甑伽器馨⑫鷹o隅聾熱傷欝 瓢③鑓疎難岡欝獣撒軸鰹も 毎曝む り露露階鑓融8陣簿伽︶ ︵第一八七二条一項︶。ところが縫本法︵商五三六条一項︶や西独法 では、匿名組合員が営業者にたいし匿名組合えの出資として財産を移転したときは.最早やその財産の所有権者では なくなる︵独商第三三五条︶。イタリヤ法はこの点に関しては、何等特別の規定をおいていないのは不可思議だ。新法 第一八七二条二項によれば、串資財産については明かに、共有関係︵固猛圃鴫難臼︶の成立の可能があきらかにみとめ られている。 匿名組合における責任規定が、新たに詳細に明確化きれた︵第一八七二条の一第一項︶。これによれば各匿名組合員 は、なお依然として自己の計算において営業をいとなむことができるが、同条第二項によれば、匿名組合員︵窓旨− 鰍噂磐酔︶がその資格においてその地位をしり乍ら第三者と取引を行った場合、 ︵第三者にも右の匿名組合員の存立が
あきらかな場合︶には、総ての匿名組合員はこの取引にたいし責任を負担する。その取引行為の当事者が商事組合で あった場合︵。 。二働ω8叡融の馨889禽o芭o︶ には、その責任は連帯責任である。同様の原則が次の場合にも、同条 第三項の規定によって適用される。それは組合関係が公表されないが、組合員の介入により契約相手方をして、その 組合員もまた責任を負担するものの如く信ぜしめ、あるいはその取引がその組合員の利益のため為されたことが立証 された場合には︵39搾①馨冥8奉ε①一、o謎お。睡①導餌貯窪讐伽飾。 q霞領・簿︶ ︵第一八七二条の一第三項︶同様 の原則が適用される。 こうして日本法︵商五三六条二項︶によれば、匿名組合員は営業者の営業行為については第三者に対して何等の責 務を負わぬ旨規定され、また西独商法第三三五条二項においても同様に、営業者が営業のために為した取引にたいし ては、営業者だけが責任を負担する旨規定している規定とは、まったく対照的に異った原則が改正法によって採用さ れた訳である。 匿名組合が存続期問を定めず設立された場合は、各組合員は何時でも、他の組合員にたいしその決心を通告して、 組合の解散を生ぜしめることができる。 ︵第一八七二条の二第一項︶。但しその条件として解散の要求は悪意に出でず または不適当の時でないことを要する ︵窓舞毒ρ器8欝ぎ戴一8瓜露q 駐鼻号ぽ欝①略R9欝op建富鋤8⇒嘗。 富旨窃︶ 新法第一八七三条の規定、言い換えれば匿名組合に関する規定を、事実上の組合︵ω09傷鼠R獣Φ留建け︶ ︵登記 されず定款もない事実上の組舎︶に準用する旨さだめたことは、種々の困難をひきおこすであろう。匿名組合はその 東洋法 学 一七
フランス民法典の一部改正︵組合法︶について 一八 本質上外部には隠匿され公表されないわけだ。ところが事実上の組合の特性としては、それは未だ立法的には認めら れないが、西独における判例や学説からは外部にたいしては組合として取扱われ、恰も合名会社のようにみられた。 そして事実上の組合の組合員は恰も合名会社の社員のように取扱われ、連帯無限の責任を負担するものとされた。フ ランス改正法によって事実上の組合は、第三者にたいしては、法律上実在する組合のように取扱われ.また第三者に 九いする責任も.匿名紐合の場合に準じて重く課せられることとなる. 同様に従来みとめられた解決方法の正当性が疑われるようになひた.という訳は、事実上の組合は新法第一八七二 条の結帰、各磁合員は、各自が出資拠出した組合財産の所有者として存続し、麟動的にその組合財、焦の共有関係 ︵欝良蕊獣懲︶にたつからだ.
五 改正法の規定の適用
新法の規定は、一九七八年七月一照の施行期以降に設立された組合に適用される︵一九七八年法律第九号法第四条︶。 一九七八年七月一賑以前に設立きれた組合は、一九八○年七月一鷺からは、新法の適用をうける。但し右様の組合 は一定の条件の下に、自由に既に一九七八年七月一鷺から新法の適用をうけることができる。 一九七八年七月一露以前に設立されたが、未だその登記がなされない民事組合は、法人たる資格をもっている。か かる組合にたいしてはその公表義務が免ぜられる。但し検事および各利害関係人は、右組合の登記および公表に関す る規定の適用を請求することができる︵同法第四項︶。最後に注意すべきことは、本改正法施行の後においては、これに反する定款の規定は、これを定めなかったものと 看倣される︵同法第五条︶。定款の規定を新法の規定と一致させる義務はないが、これを潜脱することは許されない。 しかしながら、少くも法律の規定に違反する規定を定款から除くことは、実際上理性的な措置というべきであろう。