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マーケティング戦略と消費者製品システム観の創発的進化(吉田修教授退官記念論文集)

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シス テム観 の創発 的進化

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は じ め に 本稿 の 目的は,近 年我が国のマーケテイング論で議論 された特徴的な理論的 トピックをで きる限 り操作可能 なマーケテ イング戦略 として読みかえる作業 を することである。本稿 で想定す る近年の もっとも代表的な議論 は,そ れ まで支 配的だつたマーケテイングの基本図式が崩壊 したことを強調す る。典型的なそ れは,消 費者 ニーズの理解→製品開発→ マーケテイング活動 (4P)→アフター サー ビス→情報のフイー ドバ ック,で あるが,こ こでは特 にメーカーと消費者 の製品使用経験 をめ ぐっての情報の解釈の問題であると考 えている。 そ ういった議論が成立 した理由はそのマーケテイングを成立ならしめるのに 重要であった 4つ の前提が否定 されだ して きたか らといわれる。それ らは,(1) 需要は存在す る,(2)消費者 とはモノの購買者である,(3)価格 こそが唯一無二の 競争手段 である,“ )競争 の基本原理 は強者 の論理である,と い うことである (和国 (1998))。本稿 の問題意識 に関 していえば,(1)需要の存在 と(2)消費者の定 義 についてが何 よ りも重要である。 それ らの議論の特徴 は,消 費 にあたつて製品の機能が どの ように決定 される のか,に ついて問題提起があつたことである。通常,わ れわれは製品がある特 定の機能 を持 っている と考 えがちである。た とえば,車 は移動手段であ り,冷 蔵庫 は食料 を冷や した り,冷 凍 した りする機能 を提供す る。洗濯機 は衣類や身 の回 りの繊維類の汚れを落 とす機能があ り,ビ ールはの どの渇 きや仕事の疲れ ※本稿 は, 1 9 9 8 年度滋賀大学学術後援基金 による 「効果的な製品開発 に関す る研究」 の一部 である。記 して感謝 したい。 明 正 本寸 竹

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1 9 8 吉 田修教授退官記念論文集 ( 第3 1 7 号) を癒す 「潤滑剤」 とい う機能がある。われわれが製品を購入するのは,そ れが もた らす 「機能」 を必要 としているか らだ,と い うのがそこでの論理の骨子で ある。 こういった製品の機能 に関す る定義は,メ ーカーか らみれば,消 費者のエー ズ を半ば 「想定」 しなが ら,製 品 コンセプ ト作成→製品機能設計→構造設計→ 工程設計→製造工程→製品機能→消費 と続いてい く一連の製品開発活動 によっ て確立 されてい く1)。通常の理解では,顧 客のエーズ を くみ取 って,そ れに適 合す る機能 を提供す る製品を開発 し,顧 客 にそれを届 ける条件 を整備 し,一 方 向で届 ける。 これこそがマーケテイングだ と考 えられて きた。 それに対 して,近 年の問題提起ではこの製品機能 と顧客ニーズの関係 を再考 察す る。石原 (1984,43-48ページ)は この問題 を次 の ように説明す る。す な わち,生 産者 と消費者が分れている社会では,た とえ消費の側 における欲望が 具体 的であつた として も,そ れがその もの として生産以前 に生産者 に伝達 され るわけではない。それは顧客のエーズが どれ くらい正確 に伝 えられるか とい う 程度の問題 ですな らない ことに注意 しなければならない。生産者 は,そ れ どこ ろかで きれば一般 には具体的な形態規定 を受けない抽象的な欲望 に対応 した製 品開発 をすべ きであって,生 産者はこのような抽象的欲望 を 「内的な像」 とし て想定 し,そ れを具体的な属性 と有用性 をもった商品に体現 させなければなら ないのである。それが うまくいったか どうかは,商 品の交換過程 においてのみ 明 らか にされるのである。 これまで支配的なマーケテイングでは,お そらく,こ のような 「想定」の もっ ているある種 の不確実性 を低減 させ るために,消 費者のニーズを調査するアイ デ イアがでて くるだろう。顧客ニーズが 「存在」 していて,製 品の機能 とそれ が一対一で対応す るならばこのマーケテイングの仮定は成立する。 しか し,こ こで紹介 した近年の議論 は,実 際にはこの仮定 に基づ く製品開発やマーケテイ 1)製 品開発 のプロセスの概念枠組み については,Clark=FuiimotO(1991,pp.22-31)の特 に,Fig.2-3やFig.2-4を参考 に している。本稿では専 ら部品組立型の製品だけを考 えてい る。た とえば,薬 品などは製品構造 と製品機能 を明確 に分離す ることが難 しい製品がある か らであ る。その点 については藤本 (1995)を参照 されたい。 ゃ

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ング諸活動がうまく機能していないことだけでなく,そ の仮定に問題があるこ

2 ) とを示 しているのである。 本稿 はこの議論 を,マ ネジリアルに読み替え,そ れに基づ くマーケテイング 戦略 を考察 しようとい う試みである。 本稿 の構成 は次 の ようになる。 まず,マ ーケテイング研究でここ20年ほど支 配的だつたマーケテイング戦略論 について考察する (I.経 営戦略 とマーケテイ ング戦略)。中で も代表的な先行研究の知見 を簡単 に考察する。それ らの研究 は,非 常 に多 くあって,分 析 の対象や方法 なども全 く異 なるが,経 営戦略の定 義 についてはコンセ ンサスがある。それは,企 業活動の基本方針であることで ある (伊丹 (1984),奥 村 (1990))。た とえば,Abell(1975)は,市 場 における変 化 を予測 し,反 応する重要性 に注 目した。Porter(1980)は,競 争 (他社)を分析 す る枠組み を提供 した。そ ういった経営戦略 を策定す る目的は,外 部でお こる チャンス と脅威に,タ イムリーにそ して正 しく対応するためであ りlAaker(1984), 25-26ベージ),そ のためには戦略が必要になるのである。戦略 とはこの場合, 競争環境 を正 しく理解 し,将 来 どの ように変化す るのか正 しく予測 し,そ れを 実現す る競争の仕方 を選択す る,こ とを可能 にす る分析手法 とい うことになる (Porter(1980))。 ところが,実 はい ささか驚 くべ きことであろ うが,な ぜ戦略が必要なのか, については理論的な説明はあま りなされていない。環境が不確実になっている か ら,資 源配分 を明確 にす ること,な どがあげ られるが,な ぜ といつたん問え ばその説明は,あ まり説得力がない。ここでは,経 営戦略 とは,将 来のある種 の予測可能性を高めることが目的となっていることとして理解できることを示 そう。それによって活動の合理性 を確保するためなのである(Collins(1980); Mintzberg(1994);Ritzer(1995))。 2)こ の問題提起については石井 (1994)が代表的である。 もっとも,消 費者が何 を 「消費」 するのか, ということに関する考察は今に始まったことではない。Levitt(1969)の有名な 問題提起 「1/4インチの ドリル」は,製 品の機能的な定義の重要性,あ るいは消費者の立 場からいえば,製 品を買 うのではなく製品の もたらすベネフイットの期待 を買 うことを強 調 したものであつた。ただ し,近 年の議論は機能が消費者のニーズに一対―に近い形で定 義することが難 しい, と認識する点で彼の理解 とは異なっている。

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200 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 一方,近 年の我が国で検討 されたマーケテ イング戦略論 は,そ ういった経営 や消費 の局面 で これ まで理解 されて きたあ る種 の 「合理性 」 を, 批 判 的 に検討 した こ とが最 大 の特徴 で あ る。論 理 の詳細 は後 述 す るが 「合 理性 」 の実現 は 「予測可能性」 を高めることによって可能 となる。その点 についての問題点 を 検討す る (正.消 費者製品システム観 の創発 的進化)。そ こでは,将 来の予測 困難性が指摘 されるが,マ ーケテイングの文脈でいえば消費者行動の予測可能 性である。 周知の ように,現 在の経営戦略は,情 報 システムの発展 によってます ます予 測可能性への期待 を高めている。特 に,経 営戦略の レベルでは ともか く,事 業 レベルではそれがある種の成功 を収めていることは疑いない (回.予 測可能性 を確保するためのマーケテイング戦略)。そ して,お わ りに,で はいつたいマー ケテ ィング戦略は, どの ような展望 を得 ることが出来 るのかを検討 して,実 践 的インプリケーシ ヨンを考察す る。 I経 営戦略 とマーケテ ィング戦略 経営戦略 とは,一 体何 なのか,と い う問題 については多少の違いはあるに し ろ,か な リコンセ ンサスがえられていると考 えられる。 ここでは経営戦略 につ いての既存知見 を簡単 に考察することにする。 この作業 によつて,経 営戦略の 目的を理解 しよう。 (1)長期計画 ・戦略計画 ・経営戦略 ・企業戦略論 経営戦略の重要性 は,一 般的に,企 業 を取 り巻 く環境変化 と競争の激化のな かで認識 されて きた。経営戦略の重要性 は,企 業の長期的存続 に重要な役割 を 3 ) 占めることが認識 された1 9 6 0 年代 のアメ リカでお こつた。長期計画や戦略計画 が その前身にある。 ここでは,Collis=Montgomery(1998)にしたが つて,企 業戦略 コンセプ ト, 組 織構造 と多角化, ポー トフォリオ,価 値ベース戦略,基 本戦略,資 源ベース戦略を簡単に考察 しよう。 3 ) 企 業戦略論 の簡潔 な レビューは, 石 井他 ( 1 9 8 5 ) , 特に第 1 章 やC o l l i s ―M o n t g o m e r y ( 1 9 9 7 , 1 9 9 8 ) のA p p e n d i x A などを参照 されたい。

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①企業戦略 コンセプ ト 企業戦略の重要性 は,ハ ーバー ドビジネススクールの ビジネスポ リシーのグ ループによって強調 された。個別の機能戦略 を企業全体か ら考 えることが戦略 の コンセプ トであった。企業全体の戦略の重要性 を主張 したが,卓 越 した能力 を事業単位 レベルでの競争優位性 に翻訳で きるような方法 を明示で きなかつた。 特 に,ア プローチが分析的 とい うよりも概念的であることが問題であつた。 ②組織構造 と多角化 同 じ頃,Chandler(1962)は ,企 業の成長のための多角化 と,そ れ を管理す るための組織構造の変遷 を分析 した。そこでは戦略は,企 業の基本的長期 目標 ・目的の決定 と定義 される。そこでは,と るべ き行動の方向が採択 され,こ れ らの 目標遂行 に必要な資源の配分が決定 されるのである。企業の活動範囲が広 が ってい くときに,そ れを実行する組織構造 も変化 してい くことを明 らかに し た。 ③ポー トフォリオ計画 1970年代になると成長のための多角化だけでなく,そ れをどのように管理す

るのかについての戦略に焦点が移っていった。Boston Consulting Groupは多

角化 した事業に,経 営資源を合理的に分配する手法を考え出した。成長/市 場 シェアマ トリックスと呼ばれるものである。ひとつの次元で高い市場成長に属 する事業 と低いそれを識別 し,も う一方の次元で最大の競合他社 との相対市場 シェアの大小 を比較するのである。1980年代の前半には,半 分以上の大企業が この手法を採用 したといわれるが,問 題点がないわけではなかった。中でも, 事業間の関連をうまく扱えなかったことが指摘 されるだろう。 ④価値ベース戦略 1980年代 には,M&Aが 活発 になった。このことは巨大に多角化 した企業の ある種の危 うさを浮 き彫 りにした。R」R Nabiscoの買収などがその例であろう。 結果として,経 営者は自社の株式市場での評価 を最大限にするよう経営の焦点 を当てるようになった。株主の価値 を最大化するような経営戦略手法が開発 さ れるようになったのである。 しか し,価 値ベース戦略はすべての事業単位 と投

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202 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) 資提 案 が それぞ れ 自己充足 で きる こ とを暗黙 に仮定 してい る。 この独立 した仮 定 は, しば しば事業 間の連結性 や事業 に またが る投資 を無視 す るこ とにな りか ね なか った。 ③基本戦略 1980年代 を通 じて もっとも影響力の高かった戦略論 は,Porter(1980)の競争 戦略論である。 この競争戦略論の特徴 は, 5つ の脅威 に対 して防御可能な地位 を確保することである。戦略 とは,こ の地位 をどのように築 き上げるのか,を 分析するための手法 を提供することであった。その対応策は 3つ しかない。そ れ らは基本戦略 と呼ばれる。 5つ の脅威 よりも低いコス トでのオペ レーション を実現す ること。それ らに対 して差別化すること。そ して,ニ ッチなどに集中 す ることであった。 ⑥資源ベース戦略 1990年代 には持続的な競争優位 を生み出すのは,競 合他社が真似のできない 「コアコンピタンスー中核能カー」にあると強調 されるようになった。この議 論はただし199o年代 になってはじめて議論 されたわけではない。資源に基づ く 組織観がそれである(Wernerfelt(1984))。これは,む しろ,コ アコンピタンス として機能する資源をより広 く正確に定義することになり,そ して多角化 した 表1 さ まざまな経営戦略論 企業戦略論 組織構造論 多 角 化 論 P P MI 価値ベース論 基本競争戦略 資源ベース論 関 心 総合的なマ ネジメン ト の役割 組織構造 多角化の拡 張 と様式 資源配分 S B U 成 果 への企業の 貢献 競争優位の 源泉 企業独特の 資源/ 成 長 貢 献 企業戦略 と 競争戦略ヘ の言及 構造 と戦略 的 戦略変数 と しての事業 セ ッ ト: シナジー ポー トフォ リオ管理 企業価値の 限定性 企 業戦略 の タイポ ロジ イー ( イン) タ ンジブル資 源 と能力 結 論 企業の ビジ ョン 強み/弱 み 分析 多角化事業 構造 関連性の測 定/成 果の 分析 成 長/ シ ェ アマ トリ ッ クス キャッシュ フロー , 価 値ベースの 戦略 戦略の役割 価値ある資 源の特性 (SourcざCollis=Montgomery(1997),p.16,FigA lよリー部省略。)

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事業 における価値 の源泉 となる条件 を設定す ることになった。 ここまでの簡単 な考察 を一覧 にすれば次の ようになるだろう (表1)。 (2)マーケテ ィング戦略論 経営戦略が,企 業全体の将来に対する活動の指針 を提供するものであったが, そこではマーケテ イング論 は一種 の機能戦略 と考 えられている。ただ し,そ こ では 2つ の支配的な考 えがある。 ひとつは,経 営戦略 としてのマーケテイング 戦略である。典型的には,全 社 レベルの戦略か ら機能別 にブ レイクダウンした マーケテイング機能の戦略を扱 うが,そ の全社 レベルの戦略に顧客志向,市 場 志向,競 争関係などを基準に用いようという思考を持っているタイプである。 その際,マ ーケテイング戦略の策定はどうしても企業全体に及ぶことになる。 それは市場戦略 と呼ばれることがある。 もう一つは, どちらかといえば機能別戦略に焦点を当てているタイプがある。 たとえば,石 井 (1984)は,日 本企業の代表的なマーケテイング戦略を識別 した。 それによれば,絶 えざる製品革新,製 品のフルライン化,流 通の徹底管理,信 頼ベースの営業 (石井 ・嶋口(1994))であった。そこでの議論に基づけばマー ケテイング戦略は,企 業戦略にもとづいて開発 された製品や価格,流 通活動な どの特色ある実践 と考えられる。そこで,こ こでは2つ のタイプのマーケテイ 4 ) ング戦略 について簡単 に考察 して,そ の必要性 を検討 しよう。Greenley(1983) はその関係 を次の ように簡潔 に示 している (図1)。 4 ) た だ し, 実 際 には全社戦略 と機能戦略 には密接 な相互補完関係が存在 しているだろう。 全社戦略 を考 えるためには, 前 述の ように基準が必要だが, そ れ を設定するためには自社 の利用可能 な機能の レベルを理解 しておかねばならないだろう。 となれば, 機 能戦略は/ 図 1 企 業戦略 とマ ーケテ イングの関係 (Source:Greenley(1984),p94,Figi.)

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204 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) ①経営戦略 としてのマーケテイング戦略 経営戦略論 をベースにするマーケテイング戦略の特徴は,ま ず戦略 とは何か を検討することから始 まる。Czepid(1992)によれば,戦 略 とはある目的を達 成する最善の方法を選択することやその方法をつ くりだすアイデイアなどを含 んだコンセプ トである。彼は,あ る都市から別の都市へ旅行する例を出 して, そのときにも戦略的選択が存在 していることを示 している。たとえば,そ こで は 「歩 く」 という選択があるし,「ヒッチハイク」,「自転車」,「自動車」,「バ ス」,「電車」それに 「飛行機」 という選択ができる。これらの関係 を次のよう に図示 している (図2)。 図2 戦 略 ,戦 術 ,目 的,日 標 の関係 目 標 目 的 戦 略 戦 術 この図では,戦 略は目的を達成するための選択肢 を示 しているが,実 際には この中か らどれが もっとも良いのかを決定する作業 までを含んでいることに注 意 しなければな らない。 どれが もっ とも良いのかを決定するためには何 らかの 基準 を設定する必要があるが,こ こでは速度,費 用,快 適 さ,安 全性 といった 考 え られるすべ ての基準 を評価 しなければな らない。 まさにこれは,将 来 にお ける自分の位置,す なわち目標 を達成するための可能性 を分析 して,決 定 しよ うとす る経営戦略 に他 な らない。 これ をマーケテ イングの主要変数である製品 (消費者ニーズ),流 通,価 格,販 売促進 についておこなうことこそがマーケテイ ング戦略 なのである。 \全社戦略の策定 に影響す るはずである。一方では,機 能戦略 は全社戦略 によって規定 さ れ る。 ここで検討す る 2つ の タイプはあ くまで も, どちらか といえば, とい う相対的な重 要性 に基づ いている。 ヒ ッチハ イク

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その代 表 的 な議論 は市場 戦略論 であ る。経営 戦略論 が経営資源 (を配分 した り,蓄 積 した り,そ れその もの)の 重 要性 を強調す る こ とに対 して,市 場 戦略 論 は組織 的資源 の使用方法 を強調 す る こ とが特徴 であ る。 た とえば,経 営戦略 論 で は, 小 売 りの店舗 は重 要 な経営資源 と して理解 され るが,僻 地 にある店舗 は都心にある店舗ほどの戦略的価値はない,と いうわけである (田村 (1989))。 この認識に基づいて,消 費者,製 品,流 通,競 争市場について分析する手法を 提供するのである。 ②機能戦略 としてのマーケテイング戦略 機能戦略 としてのマーケテイングの代表的な議論はマーケティング ・ミック スに基づ く議論が代表的である(Greenley(1984))。マーケテイング・ミックス とは,製 品,流 通,価 格,販 売促進にかかわる意思決定を戦略変数 として考え ることである。製品の特性に応 じて,流 通や販売促進や,価 格付けの最適値が 異なるだろう,と いう認識がそこにはあると それに対 して, 日本企業の支配的なマーケティング戦略は,絶 えざる製品革 新,製 品のフルライン化,流 通の徹底管理 (石井 (1984)),それに日本型営業 システム (石井 ・嶋口(1994))であった。これは,日 本の代表的な企業がどの ようにして現在の支配的な地位 を築 き上げたのかについて詳細なケースを分析 6 ) した結論である。 (3)経営戦略,な ぜ必要か 経営戦略やマーケテ イング戦略の定義や 目指 した問題 についてはコンセ ンサ スが成立 していそ うだが,な ぜそれが必要かについての理論的な説明は説得力 5)Greenly(1984)は,マ ーケテ イング・ミックス以外 に も,既 存の研究で扱 われて きたマー ケテ イング戦略 を考察 している。それ らは,製 品ライフサイクルに基づ く戦略,市 場 シェ アに基づ く戦略,製 品一市場 ポジシ ョエ ングに基づ く戦略,産 業財市場での戦略,国 際市 場 での戦略であ る。製品 ライフサ イクルは,製 品が導入 された ときと,か な り普及 して成 長期 にある場合 とでは,効 果的な戦略 は異 なると考 えていることが特徴であるが,そ こで も操作可能な変数はやは り,製 品,流 通,価 格,販 売促進が中心である。それ以外 の議論 について も,そ れはほ とん ど変わ りない。 6)も っとも,こ の議論 はさらに情報プロセシング理論 によって定式化 され,そ の理論はサー ベ イ調査 によつて実証的に検証 されている。詳 しくは,石 井 (1984)を参照のこと。

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206 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) があま りない。た とえば,環 境が不確実で変化が大 きいならば,新 しい方向性 を示す ことが重要だ,そ れこそが経営戦略だ,と い うわけである。 しか し,変 化が大 きければなぜ方向性 を示す経営戦略が必要かは,明 示 しない。 実 は,あ ま り明示 されることはないが,経 営戦略の著作 を読めば,そ れが合 理的であることが暗黙 に示 されていることが多いのである。Porter(1980)の競 争戦略論 の 目的は,業 界 を分析 し,そ の今後の変化 を予測 し,競 合他社 の特性 を自社の競走場の地位 を理解 し,戦 略 を練 り上げる分析技法 を提供することで ある。重要な点は,こ の手法 を使 って業界 を分析すれば,業 界の変化が予測可 能 になることである。Aaker(1984,25-26ページ)も,経 営戦略がなぜ必要か, とい うことについて,長 期的な視野の提供や環境変化 に対応する手段 を提供す ることがで きるか らだ,と 述べ る。それがなぜ可能 になるのか,は 明示 しない が,予 測のたてに くい環境 に直面 しているか らとい う。そ うい う環境で,競 合 や 自社の能力 を分析す ることで,予 測可能性が高 まるか らである。Montgom一 ery=Porter(1990,p,Xl―xii)も,競 争環境の激化が戦略計画 を必要 とさせ る と い う。それは,競 争環境 を分析 して,そ れに適 した,つ まり合理的な活動の指 針 を提供す るためである。 この点 について,Day(1984,3-5ペ ージ)は,経 営戦略の真髄 は,予 想 され る未来の結果 を考慮 に入れて,現 在の意思決定代替案 を熟慮することであると い う。つ ま り,そ れは予測で きる回避すべ き脅威 と追求すべ き機会 とを識別す ることである。急速 な環境変化 と増大する不確実性 は,そ れ らの事態に対 して 単 に対応す るよ りも,む しろそれ らの事態 を予測 し,構 想するような戦略 を誘 発 す ることを必要 とす るか らだ。Mintzberg(1990,193-195ページ)は経営戦 略の もた らす合理性 こそがその理由であることを示唆す る。つ ま り,経 営戦略 を策定することは,シ ステマチ ックであ り,能 率的であ り,調 整が とれていて, 首尾一貫性が維持 で き,何 よ りも合理的だか らである,と い うのである。 合理性 について最 も代表的な議論 はウェーバーによって与えられているが, Ritzer(1994)はその 4つ の次元 を識別す る。それ らは予測可能性,効 率性,技 術 の管理,そ して数値化 による計算可能性である。 さらに,Collins(1984)は

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その合理性 の特徴 を精査 し,予 測可能性 と規則性 が重要であることを主張す る。 つ ま り,将 来 の行動 を予測す る ことが合理性 につ なが るのである。経営戦略 と は合理性 を確保 す る手法 なのであ る。 Ⅱ 消費者製品システム観の創発的進化 近年のマーケティング論で最 も特徴的な議論 は,繰 り返 しになるが,そ れま で支配的であったマーケテ ィングの論理 を批判的に検討 したことである。特 に 経営戦略 との関連で考 えれば,そ れが将来の活動の予測可能性 を高めることを 目的 としていたことを検討 して きたが,マ ーケティング戦略 も同様 になん らか の予測可能性 を高めることを目的 としている。 ここでは特 に消費者行動の予測 可能性 に焦点 を当てよう。 (1)製品機能の社会的定義の困難 さ 通常,製 品はある機能 をもってお り,そ れが消費者のある問題解決の手段 と なるか ら売れるのだ, とい う理解が支配的であろう。 しか し,近 年の議論はそ の手段が事前 に予測で きないだけでな く,予 想 もしない使用方法があることが 指摘 されるのである (藤川三竹内 (1994))。マーケテイング ・リサーチは,製 品 開発 に先 だって この予想の精度 を確保 しようとする試みであるが,そ れを高め ることは思いのほか難 しいだろう。ある製品が,特 定の使用方法 を市場で発見 されるまで にさまざまな思惑が入 り乱れることは 「電話」が登場 して きた とき の文化史で詳細 に議論 されている (吉見 (1996))。 た とえば,電 話は,周 知の ように1876年,グ ラハム ・ベルによって発明 され るのであるが,こ の通信機器は,あ くまで電信の技術延長線上 に位置づけられ ていた。初期の電話事業 に乗 り出 していった人々は,彼 らの事業 を成功 させる 最大の鍵が,電 話の社会的用途 を明 らかに し,こ れを広 く浸透 させてい くこと にあると考 えていた。そこで,彼 らはビジネスの世界で電話がいかに有効な武 器 とな りえるか を宣伝 してい くのである。電話があれば,緊 急の業務連絡 をす ぐに取 るこ とがで きる し,取 引先 とのアポイン トメン トを迅速 に取 ることがで

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208 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) き,大 幅な時間の節約 にもなるとい うわけである。 しか し,初 期の電話の普及が電信技術の延長上 にあつただけでない。む しろ, 電話の可能性 を巡 るさまざまな試みがあつたことが強調 される。ベル と助手の ヮ トソンが電話の可能性 の実験 を公 開 し,講 演 してい くのである。1876年5月 10日,ボ ス トンのアメリカ芸術科学アカデ ミーでおこなわれた実験がある。会 場 のベルが,ボ ス トン大学の研究室でオルガンを前 に待機 していたウイリアム │ハ バー トに合図の信号 を送るとハバー トの奏でるオルガンの音色が会場 まで 送 られて きて聴衆 を大い に驚かせ たのである。電話 は,そ の発明者 自身によつ て も,単 に用件伝達の手段以上の もの として,音 楽や演劇,ニ ユースを送信す る能力 を含 んだメデイア として宣伝 されていたのである。実際,1880年 代 には 電話 は,有 線 ラジオ的なメデイアとして普及 していつた。1890年にはパ リの電 話会社が契約者 に,市 内の 5つ の劇場か らの公演の実況中継 を提供 しは じめた。 イギ リスで も同 じように,ロ ン ドンの主なall場の中継 を電話でおこなってい く。 電話はむ しろ「ラジオ」だつたのである。 (2)製品システム観 と創発 プロセス この ように,あ る製品が市場 において どの ように使用 されるのか,事 前 に予 測で きない場合,メ ーカーも消費者 もその製品に対する使用方法を,試 行錯誤 の中か らつ くりだ してい くことになる。それだけではない。消費者が使用方法 を完全 に理解 している製品について も,こ うした予想 もしない使用方法が発見 されることがある。 この ような,あ る製品に対す る支配的な使用方法か らえら れる経験 を,消 費者の製品システム観 と呼ぼう。 この製品システム観 は,製 品 の経験 を蓄積することで,あ る支配的な使用方法 に収束 してい く。 しか し,こ のシステム観 は,決 して安定的な ものではな く,い つで もどの ようにで も変容 す るダイナ ミズムを持 っている。それは人間の創造性がある限 り決 して失 われ ない性質の ものである。そのダイナ ミズムを予測することが製品開発 にとつて, 決定的に重要であるが,そ のすべ てを予測す ることは困難である。 こういつた あるシステム変化 において次の ようなシステム発生のパ ター ンの多様性が観察

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され, しか もどのパ ター ンが発現 す るのか事前 には予測 で きなか った と推定 さ れ る場合 ,創 発 プロセス と呼 ぼ う。一般 的 には,創 発 プロセス は次 の 5つ が あ る と考 え られてい る。それ らは,(1)合理 的計算 ,(2)知識移転,(3)企業者的構想, “)環境 制約 ,(5)偶然試行 であ る (藤本 (1997))。それぞれ を簡単 に説 明 しよう。 ① 合 理 的計 算 消費者が明確な目的関数 と制約条件の仮定に基づ く合理的な計算によって, よりよい使い方 と主観的に半J断する製品システム観へ移行する。 ②知識移転 社会的相互作用や他人のもつある製品システム観を,自 分のそれより優れて いるとみなして,模 倣 したり,導 入 して移行する。 ③企業者的構想 環境分析や合理的計算に基づかないで,本 人のビジョシや信念,直 感に基づ いて製 品 システム観 を移行 させ る。

④環境制約

認知 された環境の制約 によって製品システム観の試行の方向, 探 索する代替 案の範囲が限定 される場合 における製品システム観の移行。制度の変更などに よって, シ ステム観 を変更せ ざるをえない場合 を含 む。 ③偶然試行 消費者のランダムな試行によって新 しい製品システム観を発見する。 これらの製品システム観の移行の類型に関する概念図は次のようになるだろ う(図3)。 消費者製品システム観があってその進化が創発プロセスにしたがうならば, マーケティング戦略論が求める合理性が実現 されないことになる。おそらく, 近年のマーケティング戦略の中心的なテーマの一つは創発プロセスを利用 しな がら,こ の合理性 を確保すること,す なわち,予 測可能性を確保することに求 められるだろう。田.で はそのとき期待 されるマーケティング戦略の概念枠組 みを検討することにしよう。

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吉 田修教授 退官記念論文集 (第317号 ) 図 3 消 費者製品システム観の創発 プロセスの概念図 目的 関 数 活動2 合理的計算 ヤ舌動2 企業家的構想 活動2

活動 1 合 理 的計 算 、知識 移転 の活動2 か ら活 動 1 に か か る線 の右 上 方 面 は制 限 され た活動 範 囲 を 意 味 す る。 環境 制 約 は、 そ れ 以外 の道 が ない こ とを意 味 し てい る。○ は現 在 の製 品 シス テ ム観 。矢 印 は進 化 の方 向 を 示 して い る 。 環境制約 偶 然試行 (出典 :藤本 (1997),16ベージを一部修正) Ⅲ 予測可能性 を確保するためのマーケテ ィング戦略 経営戦略 とは環境 の予測可能性 を確保す ることであ り,そ の機能戦略 として のマーケテ イング戦略では,特 に消費者行動の予測可能性 を高めることが機能 のひとつ として強調 される。それは近代マーケテイング論の基本的な命題 「顧 客の求める もの を作 る」 とい う顧客志向に適合す る。製品開発 にあたつて消費 者のエーズを想定す るために,消 費者の購買行動 を理解 しようとい う思考が正 当化 された とす るな らば,予 測可能性 の確保 は,ま ずその調査 の精度 を上げる ことに努力が向か うことになるだろう。 しか し,実 は行動の予測精度 を高める 方法 はそれだけではない。 もっと直接 的に行動 を制約す ることによつて予測可 能性 は高 まるのである。 ここでは,そ れぞれについて簡単 に考察す ることに し よう。 ジ ョン

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活 動 知識移転

︲ヽ

活 動

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(1)予測可 能性 を高 め る情 報 システム 1980年代 のマ ーケテ イング戦略論 の特徴 の ひ とつ は,情 報 システムヘ の期待 が非常 に高 まった こ とで あ った。Montgomery=Weinberg(1979)は ,戦 略策定 にあたつて情報 シス テムの重 要性 をい ちはや く指摘 した。 それは,経 営戦略策 定 には環境 を分析す るための情報が不可欠である との認識 に基づいている。 し か し,そ の背後 には,コ ンピュータの性能が高 ま りつつあつたことと轍 を一 に す ると考 えられる。それだけではない。消費者行動のある局面での予測可能性 はむ しろ高 まっているといって もよい。情報技術の発展がそれを ドライブする。 まず,大 量の情報 を確保するすべが確保 されたこと。 さらに,処 理 ツールが飛 躍的に向上 していること (大沢 (1991))が指摘で きるだろう。実際,コ ンビニ エ ンスス トアにおける近年の 目覚 ましい業績 は,情 報技術抜 きには考えられな い (/1ヽナ│ │ ( 1 9 9 7 ) ) 。 (2)予測可能性 を高めるマーケテ ィング戦略 消費者行動の予測可能性 は,情 報技術の進歩 によって確保 される部分がある。 もっとも,そ れで もおそ らく消費者の使用段階での創発性 を予測することはで きない。 しか し,創 発性 を起 こさない ようにす ることは決 してで きないわけで はない。それ どころかむ しろマーケテイング戦略は,そ れを最 も得意 として き たのである。 ここでは消費者行動の予測可能性 と製品開発の関係 を例 にとって検討 しよう。 消費者の製品システム観がマーケテイング ・リサーチなどで予測可能な場合, 製品開発 は技術進化 をベースにお こなうことが可能である。消費者側 も,自 分 の問題 を解決するために,今 以上の優れた技術 を必要 としているか らである。 よ り早 く,よ り軽 く,よ り長 く,な ど 「比較の形容詞」が付 く場合がそれにあ たる。製品システム観が安定 した場合 は,技 術の進化の方向 (技術 トラジェク トリー)を 前提 に した製品開発 は,技 術 開発の効率性や,そ れに基づ く製品エ ンジエアリング,工 程エ ンジエアリングの効率性 を高める可能性があるために, 有利であろう(Dosi(1982),Iansiti(1997))。

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レベ

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時 間 技術の トラジェク トリー に基づ く開発 創発 プロセスが存在す る 開発 212 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号) そ れ に対 して, こ れ まで議論 して きた こ とをベース にす るな らば,製 品シス テム観 に創発 プロセスが発 生す る場合 は, そ うい った技術 トラジェク トリー を ベ ース に した製 品開発 はなか なか予測可能性 が確保 で きないだろ う。その とき は,市 場における 「製品体験 ・経験」のもっとも大 きなセグメントを素早 く開 発の焦点 とフイー ドバ ックし,取 り込むことが成果を高めるだろう。その概念 図は,次 のように示すことができるだろう (図4)。 図 4 技 術進化経路 に基づ く開発 と創発 プロセス を前提 に した開発 の比較 技術 の レベル 技術 の 時 間 その一方で実はマーケテイングにはこうした創発 プロセスを抑制する機能があ る。ひとつは,広 告 などの さまざまなメデ イアによる情報提供である。 これ ら のメデ イアは単 に製品の情報 を提供するだけでな く,実 はある種の使用方法 ま で教授 しているのである。そ ういった具体的な手法の開発がマーケテイングの 機能の一つであったのだ (Firat=Dholakia(1998))。 おわ りに一マーケテ ィング戦略を再考する一 顧容のエーズ を精度高 く予測で きる場合 もあれば,で きない場合 もある。そ してそれは製品の特性 とい うよりも,消 費者の製品システム観の創発的進化が 発生す るのか どうかによっていることを示 した。つ まり,提 供 された製品によっ て彼女/彼 が どんな問題 を,ど のように解決するのかは,事 前 にはほとんどわ か らない, とい うことである。消費者がその製品をどのように使 うのかは,事 前 にはわか らない し,消 費者 自身 も製品にどんな機能があつて,そ れによつて

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自分のどの問題を解決できるのかは,本 人す らも使ってみるまでわからないこ とがあるだけでなく, もっというならば使い方次第でどんな問題でも解決でき 7 ) ることになるのである。 しか し,企 業 に してみれば消費者の使用段階で事前 に想定 しない使用方法で 使用 されることは,そ れほどあ りがたい ことではない。 もっとも, どうい う使 い方 をされて もそれが財務成果 などに反映 されるのであれば,想 定 などは どう で もよい,勝 てば (売れれば)官 軍だ,と いう議論 も成立するだろう。 しか し, Mintzberg(1994)のい うデザイン学派 に したが えば,予 測不能な時代 にこそ, 経営戦略 によつて合理性 を確保す ることが重要 になる。それがなければ,資 源 の分配 も,製 品開発 の焦点 も,流 通政策 も,価 格政策 もほとん ど決 まらないか らである。経営戦略 に したがつて目的を達成するために資源の配分 を決定する ことが何 よ りも合理的だ と信 じられてお り,そ れを強化す る多 くの事例が存在 す るのである。 そこで,で きれば消費者の製品システム観 を管理する必要が出て くるだろう。 マーケテイング戦略は,情 報 フイー ドバ ックの面か らもシステム観の安定性の 面からも,貢 献で きることを示 した。ただ し,競 争戦略を想定するならば,マ ー ケテ ィングによって消費者の製品システム観 を安定化 させ るだけが焦点ではな い。む しろ,製 品システム観の変化の させ方,こ れこそがマーケテイング戦略 の課題 となると考 え られる (Brown=Eisenhardt(1998))。この点 については, 稿 を改めることに したい。 7)た だ し,製 品の機能については,比 較可能な現象 として考える物理的限界は,確 かに存 在する。たとえば,ボ ールペ ンで穴 を掘 ることはできる。その意味でボールベンにも 「ス コップ」力ざ持 っている機能があるといえるが,そ の機能は文字 を書 くよりも劣 っているか, それらを比較することも難 しい。 となれば,消 費者がその劣 った機能を問題解決に積極的 に用いるのかどうかは,相 当怪 しいだろう。

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214 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号 ) 参考文献

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216 吉 田修教授退官記念論文集 (第317号 )

Marketing Strategy and Emergent Evolution

of the Consumer Perspectives on the Products.

Masaaki Takemura

This essay is concerned with an understanding of marketing strategy and with the perspectives on product evolutions of consumers. They are related tO the corporate strategy. Although there are many deinitions of corporate strategy, originally the term was used to describe the pattern of decisions that deterElined a company's goals, produced the principal policies for achieving these goals, and defined the range of businesses the company was to pursue. Attarketing strategy is seen as one of the functional opera一 tions of it. A common approach in the literature is silnply to link market一 ing strategy to the elements of the marketing mix(decislon― making about the product, promotion, price, and place).

This essay is focused on the roles of marketing strategy which influence to consumer behavior. It is differ from general understanding of them. Marketing strategy was honed and , in the field of business as well as in ields that aspired to be businessllke, 1lstening to the voice of the consum一 er was made into a religlon. ′ 「his essay will provide an insight into this role of marketing strategy and consumption, and its modern structures

which constructed the emergent evolution of the consumer perspectives on the products.

参照

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