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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール : SimonsによるモデルとM社の事例(野中大輔講師追悼号)

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ネットワーク組織における

マネジメン ト・コン トロール

ーーS i m o n s によるモデル とM 社 の事例一一 I. は じaめに これ まで,カ ンパニー制,社 内ベ ンチャー,プ ロジェク トチーム,ネ ッ トワ ー ク組織等,多 様な名称の組織が提唱されてきたが,同 じ名称の組織であって もそれ らの意味にはかな りの幅がある。有機的組織 をとる理由に して も不確実 性 ・複雑性への対処,公式的 コス トの最小化,イ ノベー ション等 さまざまである。 しか しなが ら,本 稿 では組織 を細か く分け各組織単位 に大幅 な権限 を与えて 自律性 をもたせ ると同時に,独 立採算性 で利益責任 を負わせ る場合,こ れ らを マ イクロ ・プ ロフィッ ト・センター (MPC)と 呼ぶ ことにす る。本稿 で とり あげるのは,そ の ような組織の一事例 である。 フラッ トで自律的な組織の 目的 1 ) と特徴,特 に統合の システムを明かにす ることが本稿の課題である。 本稿 では,Simonsの モデル を簡単 に説明 した上 で,そ れ をM社 の事pllの説 明に利用す る。 もちろん米国のマネジメン ト・コン トロールのモデルを日本企 業 に適用 しようとす るのには限界がある。 それに もかかわ らず SimOnsの モデ ル を利用す るのは,一 つには 日米企業のマネジメン ト・コン トロール ・システ ムの違 いを示唆す るためであ り,一 つにはインターア クティブ ・コン トロール がM社 の事例説明に適切 だ と思われ るか らである。 ただ し,議 論の中心は SimOnsの モデルの説明 自体 にあるのではな く,M社 をモデルに して MPCの 一類型 を描 くこ とにある。程度の差 はあれ,M社 はフ ラッ トで極めて柔軟 な組織構造 をもってお り多数の 自律的 MPCか ら構成 され 誠 頼

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r 十 1 1 126 野 中大輔講師追悼号 (第307号) て い る点 で他 の MPCと 共 通点 を もつ。 しか し,M社 は 日本 型企業 の良 い面 を 維持 してお り,一 部 導入 しつつ あ る とはいえ,基 本 的 に ソフ トバ ン クの よ うに 結 果 としての業績 を即 報酬 に運動 させ るこ とで従業員 に インセ ンテ ィブ を与 え るような方法 をとっていない。会計 システムの役割 ない し使 われ方 も自ず と相 違が あると思 われ る。 残念なが ら今 回は会計 システムについてはほ とん ど触れ られない。 しか し, 近 い将来,会 計 システムがマネ ジメン ト・コン トロー ル ・システム (MCS) の中で どのような位置づ けにあるのか (その他の MCSの 下位 システム との関 係) を 調査 ・分析す る予定である。 そのための予備的研究 として本稿 を位置づ けたい。 II.研 究概要 III節では,Simonsの マ ネ ジ メン ト ・コン トロー ルの概 念 を説 明す る。 その 次 に W節 で文 献研 究 とイ ンタ ビュー を基 に してM社 の事 例 を紹 介 し,Simons の モデル と関係づ け て若子 の解釈 を加 え る。 ところで, リエ ンジエア リングの重要 な柱 は職能 を越 えた水平 的情報交換 の 1)【マ イクロ ・プ ロフィッ ト・センターについて】 Cooper(1995)は ,製 造工程 を分 けて利益責任 を課す東丸醤油ゃ キ リンビールの よ うな ケー ス をpseudomicroprofit centerと 呼び,京 セラや太陽 グループの ような小 さな 自律

的事業単位 を real microprofit centerと呼んでい る。後者の場合 で も京セラのア ミーバ組

織 は 自律度の高い疑似企業 であるのに対 し,太 陽 グループは法的に独立 した事業体 である。 【コン トロールの 3様 式 につ いて】 コン トロールの様式には,安 室他 に よれば例 えば以下の 3つ があ る (安室他,p.77)。 それ らは上位者が部下の行動 を直接指導す る方式, ヒエ ラルキーによって公式的に行 うコ ン トロール,情 報 と価値 の共有化 に よるコン トロールである。 第 1の コン トロー ルは,OJTを 重視 す る 日本企業 の場合,特 に重要 であ るが,部 下 の 人数 が 多 くなると直接の管理 は不可能になる。 そこで, ヒエ ラルキーによる管理が行 われ る。 ところが これ も下位か ら伝達 され る情報の遅滞や歪み,上 位 での不適切 な決定 などの 問題 が あ る。 第 3の コン トロールは,い わばセルフ ・コン トロールである。 ト ップが経営 理 念 を提示 し,価 値 と情報 を共有す るこ とに よって,分 散 した組織の メンバー を協働 させ る ものである。

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 2 7 促進 とコンピュータ情報システムの利用であった。ネットワー クという場合, 垂直的 (上位 と下位の)あ るいはヒエラルキーや職能を越えた個人と個人,拠 点 と拠点の間の直接のインターアクションを想定することになる。 しか し,M 社は, コンピュータ情報システムというよりもむしろ人のネットワークにより 共同体的かつ MPC間 ではオープンな組織を形成 している。 近年,少 な くない企業がカンパニー制 をとり入れ,欧 米流の能力主義を導入 しつつあるが,M社 はそれらとは一線を画すると筆者は考える。 ヒア リングと文献研究に基づいて,以 下のような仮説をたててみた。今後, これらの仮説をさらに検証する必要がある。 ① Simonsの マネジメン ト・コン トロールのフレームワー クは, 日本企業に も適用できる可能性が高いが,そ れを適用する場合には修正を加える必要が ある。 ② 経 営理念によるコン トロールは,広 範囲に権限委譲 して分散 した組織単位 を統合するために重要な意味をもっている。

③ M社 の場合,市 場の動きが非常に激しい状況下で戦略変更をし市場に適応

した迅速 な意思決定 をす るため に イ ンター ア クテ ィブ ・コン トロー ルが不可 欠 で あ る。 ④ 米 国企業のように文章化 されたバウング リー ・システムは日本企業にはな いか もしれない。 しか し,そ の代わ り暗黙のルールがある。 ⑤ 診 断的コン トロール ・システムの必要性は否定できない。 しかし,こ のシ ステムだけではイノベーションを妨げる可能性がある。従業員の価値創造の 機会 を探求する意欲 を損なわないためには,結 果だけで判断するのではな く プロセス評価が必要である。

⑥ M社 では従業員の動機づけのための報酬システム ・業績管理会計システム

の重要性は米国の企業に比べて相対的に低い可能性がある。人事評価 と昇進

シス テムの重要性 は否定 で きないが,M社 の従 業員 に対す るインセ ンテ ィブ は,金 銭 的報酬 よ りも終 身雇用制 に よる安 定感,仕 事 内容 に関す る決定権 と 仕 事 の複雑 さに基づ く 「仕 事 のや りが い」 「協 力す る仲 間」 その他 の活性化

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政 策 に あ る。

② M社 ではコンピュータ情報システムよりもむしろ人のネットワ

ーク・シス

テムにより価イ

直・情報の共有化によるコントロールを行っている。ただし,

M P C が グローバルに分散す るにつれて コンピュー タ情報 システムが必要 に なって くる可能性 は否定 できない。

③ 職 能を分社によって分割し過ぎるとかえって統合のコス トがかかる恐れが

ある。

III.Simonsに よ る コ ン トロー ル ・レ′`一

Simonsは,経 営者がイノベーションとコン トロールのバランスをどのよう

にとっているのかという問題意識から研究を開始し,事 業戦略を実行 しコント

2 )

ロールするための包括的理論を構築しようとしている。

マネジメント・コントロールの4つのレバー】

戦略 とマネジメン ト・コン トロール ・システム (MCS)の 関係について,Si‐ monsは トップ 。マネジメン トが不確実性下でどのように新 しい戦略 を導 き出 3 ) し競争優位 を維持 し続けているか を説明 している。ユニー クなのは戦略 を所与 と考 えず MCSは 戦略の実行 だけではな く戦略形成のシステムで もあるとして い る点にある。Simonsの い うMCSは ,プ ランエ ング,予 算編成,環 境調査, コンペ ティター分析,業 績報告 と業績評価,資 源配分,従 業員への報酬か ら構 成 されてい る。 Simonsは ,MCSを 戦略変 更の ため の重要 な レバー と捉 え, 4つ の コン ト ロール ・レバーか ら成 っているとす る。 それ らは促進 システムである経営理念 2 ) 戦略 とマネジメン ト・コン トロールの関係 を論 じた ものはい くつかある。例 えば G o v i n ‐ d a r a j a n & S h a n k に よるビル ド, ホ ール ド, ハ ー ヴェス トとい うような戦略 ミッシ ョン の変化 に応 じたマネ ジメン ト・コン トロー ル ・システムの変化 を類型化 した研 究 もあ る (Govindraian&Shank(1992)pp.16-20, /Jヽ 林 (1993)pp.108-109。 浅 田 (1993), 谷 (1990) (1992)も参照)。 3)Silnons(1990)p.127.

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ネットワーク組織におけるマネジメシト・コントロール 1 2 9 に よる コン トロー ル ・システム とイ ンター ア クテ ィブ ・コン トロー ル ・システ ム ( I C S ) , 抑 制 システム で あ るバ ウ ング リー ・システ ム ( B C S ) と 診 断的 コ シ トロー ル ・シス テ ム ( D C S ) で あ る。現 実 に は これ らが組 み合 わ され て使 用 され て い る。 「経営理念によるコン トロール ・システム」 とは,上 級管理者が組織にとっ ての基本的価値, 目的,進 むべ き方向を示すためのシステムである。公式シス テムとしては信条や ミッションを文書で敢 えて抽象的な形で示すことによって, 価値創造の機会 を探求するよう従業員を動機づけようとしている。 「バウング リー ・システム」 とは,許 容 しうる行動範囲を設定するものであ る。ただし,そ れは 「すべ きでないこと」を定めた最低基準であ り,ブ レーキ の働 きをする。最低基準を定めるのは価値創造の方法を探求する個人の創造性 4 ) の発揮 を妨 害 しないため であ る。 チ ェ ック リス トとい った形 で成文化 した もの は 日本企業 では使 用 していないに して も資本予算 の利用 はあ る。 「診断的 コン トロー ル ・システム」 とは,管 理者が組織の成果 をモニター し, 事 前 に設定 され た業 績標 準 か らの実績 の差違 を縮小 す るため の公 式 的情報 シス テムである。一つはアウ トプ ッ ト・コン トロールであ り, もう一つはインプ ッ ト・コン トロールである。 アウ トプ ッ ト:コ ン トロールない し結果によるコン トロールの例 としては, 利益計画 と予算, 日標による管理,標 準原価計算 システム等があげ られ る。 インプ ッ ト・コン トロール とは,作 業プロセスやアウ トプ ッ トを直接にモニ ター で きない場合 に,質 の良いインプ ッ トの選択 ・訓練によ リアウ トプ ッ トを コン トロールす るとい うものである。ただ問題 なのは,訓 練等にコス トがかか るこ とや,個 人が私利 を追求す る リスクがあることである。 なお,Simonsが あげている重要 な業績変数 には財務的変数 に限 らず顧客満 足,品 質の ような非財務的変数 も含 まれている。 それ らの組み合 わせ は戦略の 変更に応 じて変化す る。 4)Simons(1995)pp.33-41.

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診 断 的 コン トロー ル ・シス テム が有 効 で な い条 件 , プ ロセ ス を コン トロー ル することができないケースとしては次のようなものがある。 例えば,(1)R&Dの 場合のようにコン トロールされるプロセスの新新 さの程 度が高い場合,事 前にアウ トプットの量やタイプを知 ることが難 しい。(〕「成 功」 とか 「ビジネス ・カルチャーの変化」 といったような 「測定できない不明 確なコンセプ トがアウ トプットの場合,得 )組織メンパーがプロセスに重大な影 響力をもっていない場合である。 さて,所 与の目標 を達成すればよいとするDCSは 従業員を業務上重要な業 績変数に注目させ るためには有用性 をもつ。 しか し,そ の一方でイノベーショ ンと機会探求を抑制するというリスクを伴 う。 戦略的不確実性が高い状況の下では,組 織メンバー全員に知覚 した機会 と脅 威に関する情報を探求そして交換させ,新 しい戦略を生み出してい く必要があ る。市場の不確実性に対応するために組織 も自らを作 り変えていく必要がある。 インターアクティブ ・コン トロール ・システム (ICS)は上司が部下の意思 決定活動に規則的かつ個人的に関与するための公式的情報システムである。 上述の 4つ のコン トロールレバーの組み合わせでMCSが 構築 されていると いうのが Simonsの モデルである。これ らのレバーの中で最後の ICSに つい て以下で説明する。 【戦略形成プロセス】 Simonsが考 えている戦略形成プロセスは,以 下のようなものである。 戦 略 的不確 実 を認識 した トップ ・マ ネ ジ メ ン トが ICSを 選 択 す る と,そ の ビジネスの将来 に関 して トップ 。マ ネ ジメン トが描 くビジ ョン (あるいは価値 観や選 好 )が 管理 者 に示 され る。 競 争市場 の不確実性 と激 しい変化 の ため に,ほ とん どの管理 者 は将来望 まし い競 争 ポ ジシ ョンヘ移動す るのに どうすべ きか を完全 に理解 していないので, 5)Ibid., pp.59-62, p.70, p.72. 6)Ibid., pp.92-96.

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 131 トップ ・マネジメン トは,イ ンターアクティブに使用する一つのコン トロール ・システムを選房Uし,機 会を探求せよというシグナルを出し,重 要な決定を許 可 し,全 組織の監視 を促す。部下の管理者達は地位に応 じたインターアクティ ブな対話を行 う。そのプロセスで議論 ・学習が行われ,新 しい戦略が発生する。 同時並行的に他のい くつかのコン トロール ・システムが診断的に利用されてい の るだろう。 Simonsは このようなシグナ リング→監視 (機会,脅 威,問 題の探求)→ 決 定の承認 と組織学習→事業戦略の創発 というプロセスにより, トップ ・マネジ メン トのビジョンが新戦略に反映されるとする。 概念的には以上のように述べ られるが,具 体的な戦略形成のプロセスは明ら かではない。

なお,あ るコントロール ・システム (例えば予算管理)が ICSの候補 とし

て選択されるためには, コントロール ・システムは,① 新たな情報が入ってく

るのに伴い予測を修正すること,② 理解しやすい情報を提供すること,③ 組織

の複数の階層の管理者達によって利用されること,④ 行動計画の修正の引き金

であること,⑤ 事業戦略に関する戦略的不確実性の効果について情報を収集 ・

8 ) 生 成す るこ と, といった特性 を もってい る必要 が あ る。 W.M社 の事例 では ここで M社 のケー ス をとりあげ よう。真のエ ンパワメン トとは どうい うこ とか,メ ンバー を活性化 させ る方法,評 価 。報酬の与 え方に特徴的な″点1ま あ るのか,以 下,M社 の組織,MPCの 目的,仕 事 のや り方,統 合方法,管 理 会計 システム とインセンティブ ・システムについてみてい くことに したい。 1.組 織 M社 は冷凍技術 を基礎 に し,食 品加工,エ ネルギー関連,極 低温等の多分野 7)Ibid., p.97, pp.101-102. 8)Ibid., pp.108-109.

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に進出 している100社以上の独立法人 (以下,MPCと 表現する)か ら成 る会 社である。特徴的なのは,後 述のように,本 社はサポー ト業務に徹 し,大 幅に 権限を委譲 された MPCそ れぞれが市場に密着 した経営を行 っている点にある。 9 各 MPCは 人事 。経理 まで も分権化 されている点に特徴がある。 しか し,新 規 採用や資本調達 を本社 で行 っていた り,人 事 のことについて上か らの強い干渉 が あるならば完全に分権化 しているとはいえない。 また,国 内の製造は一箇所 で行 っている。 これは,分 権化 しす ぎるとかえって調整 コス トがかか るか らで あろ う。 MPCは 自律的な有機的組織 である点に注 目したいぅす なわち,後 述の よう に,MPCそ れぞれが市場に適応す るために 自律的に機動的な意思決定 を行 い なが らも高度 な統合状態にある。 M社 は もともとグループ制の経験 を十分積 んだ上 で分社 した とい う経緯があ り,単 なるベ ンチャー企業の寄せ集めではない。MPC間 の協力関係 は強 く, そこには調整の しくみがあるはずである。 現在 はラインは独立法人化 しているのでグループ制は存在 しないが,グ ルー プ制の下 では メンバーは 自分の所属す るグループ と同時に横断的なプロジェク トに参加 した。肩書 きは対外的な ものであ り, リーダーは役職の上下に関係 な く適任者が 自然発生的に選ばれ る代 わ り,能 力 を発揮 できなければす ぐ退任す るこ とになる。MPCの 社長 に して も同様 であるが,彼 らには人 をまとめ る力 や仕事の コン トロール能力が問われ る。 リー ダーの交替は頻繁 に行 われ メンバ ー構成 も変化 してい く。なお,販 売 MPCは 5人 か ら30人,製 造 MPCは 100 人 くらいの人数か らなっている。 グルー プ制か らMPCに 移行 し,MPC間 の連絡が よ くな り,共 同体 意識が 生 まれた。大幅な権 限委譲が行 われ責任 も重 くな り,社 員一人一人の 自覚が高 まったこ とはその一 因であろ う。 9)前 川 (1996)p.75. 10)鎌 田 (1987)p.211. 11)前 川製作所広報室 (1991)p.219,p.221,p.230,p.235.

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 3 3 MPCは 市場別 ・地域別 に ブ ロ ッ クを形 成 して い る。各 ブ ロ ッ クには総合 研 究所 (総研 )が あ り開発や エ ン ジエ ア リン グを行 って い る。 そ こで は MPCレ ベ ルで理解 で きない問題 を議論 し情報提供 をす る。 さらに,ブ ロ ックを越 える 問題 につ いては,本 社 の総研 とブ ロ ックが組 みプ ロジェ ク トを遂行 す る。 注意 すべ きなの は ブ ロ ックは会 議体 で あ って ス タ ッフ機 関 で も管理機 構 で もない と いう点である。ブロックはブロック全体の方針や戦略を決定するのであるが, どのレベルで誰が何 を決定するという明確なルールはない。 なお,近 年ではM社 だけでは対応できない技術 をもっているベンチャー企業 の参加 を呼びかけている。このようなことが可能である理由の一つは企業規模 に比べてマーケッ トが大 きいことにもある。 2.分 社 した理由 【分社のねらい】 次に,な ぜた くさんの MPCを 創設 したかである。M社 の社長 自身は,MPC のねらいは,「つぶれないこと」「プロジェク トを仕上げること」「禾U益をだす

ことではない」と述べている。利益極大化を至上目的としていない。また,「自

己不完結 の シス テム」,す なわ ち市場 の 中で 「まわ りの システム との間で物質 ・エネル ギー ・情報 を授受 しなが ら全体 との調和 をはか りつつ 自己を確 立 させ て い る」状 態 をめ ざ して い る。

分社のねらいを

箇条書きにし

てみよザ。

第 1に ,激 しい環境 の変化 に迅速 に適応 してい く (顧客 ニー ズをつかむ)こ 1 2 ) 鎌 田 ( 1 9 8 7 ) p . 1 7 8 , p . 1 8 0 , p . 7 6 13)日 経違 (1995)p.145,前川 (1996)p.71. 14)岩 崎,pp.6465. 15)前 川 (1995)p.71. 16)前 川 (1994)p.4, 17)岩 崎,p,70,(1)市場 の変化 に対 して組織が柔軟 に対応 で きるこ と (総合 力の発揮,他 との協 力),(2)人も組織 も自身の性質 を変 えて全体 との調和 をはかれ ること。 18)日 経ベ ンチャー (1995)p.26.

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とがあげられる。 第 2に ,全 員に企業家精神 をもたせ ると共に,MPCの 社長については トッ プ ・マネジメン トの育成 という意味をもつ。大幅な権限が委譲されているので, 仕事にや りがいをもてる。 第 3に ,MPC化 にすることにより,倒 産の脅威 (大きな責任)が モチベー ションを引き出すことになる。 また,30代 に社長になれるポス トがあるので, 出世への可能性がインセンティブとなる。 第 4に ,MPC化 により連絡がよくなり共同体意識が高まった。これは,MPC 間の協力体制 と情報の共有化 を意味する。 第 5に ,資 本金 1億 円以下の企業では法人税 ・事業税の節税対策になる (こ れは目的 というより効果か もしれない)。 以上である。 【フラッ トな組織 と協力体制】 そ もそ もグループ制 は ヒエ ラルキー組織の弊害 を解消す るために始 まった と 言われ る。縦割 り組織の不能率 を排除す るためには,フ ラッ トな組織に した り 組織の境界 をな くす ことが必要 である。M社 には,他 のグループにいる必要 な 人材 と直接に情報交換 をした り,他 のグループのスタッフに 自由にプロジェク トヘの参加 を求めた りで きる企業風土がある。市場のエー ズを源流へ流 し 「意 思決定が速い」点にメ リッ トがある。 このような特長は当然分社 してか らも受 け継がれている。経営理念の浸透 によ りM社 としての運命共同体 としての 「社 員の意識」があることや,各 MPCは 小 さな組織 なので単独 で仕事 をす るのは 困難 な場合が多 く,MPC間 で盛 んに情報交換や人事交流 をや りなが ら協力せ ざるをえない状況にある。以上のことが,分 社 したことによってかえって求心 力が強 まった といわれ る意味であろう。 分社 にはいろいろ理 由があるだろうが,受 注生産 を基本 とす るM社 の場合 は 19)鎌 田 ,op.cit.,p。 178,p.180.

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ネ ッ トワー ク組織 におけ るマネ ジメン ト ・コン トロール 1 3 5 -つ 一つ違 う顧客の要求に迅速に答えることに最大のねらいがある。これは,

より具体的には,① 顧客の潜在的ニーズを掘 り起こす (M社側が理解 し提案す

る)こ と,② 本社の返事を待たずにMPCレ ベルですばや く意,8決定ができる

こと,③ 地方の MPCか ら他の MPC,首 都圏のMPCや 本社の総研へ と情報

が流れ,MPCや 本社から自由に人材を集めてこられること,を 意味している。

3.情 報共有化の方法と仕事のや り方

本社の役割 とブロック運営会議】

大 きな仕事 には複数の MPCの 協力が必要 である。 そのための前提条件 とし て情報交換,調 整機構 の存在が予想 され る。一つは MPCと MPCの 間の調整 であ り, も う一つは次節で述べ る MPC内 の統合 に関連す る報酬 システム ・評 価 システムである。 組織の統合の役割 を担 っているのがブロック運営会議 と本社 である。 ブ ロック運営会議 とは,地 域 あるいは産業市場分野毎に設け られ (例えば, 東北 ブ ロ ック,九 州 ブ ロ ック,食 品食肉ブ ロック等),MPCの 社長が集合 し, 戦略,長 期計画,人 事 問題,利 益の使途等について議論す る場 である。本社 は 金融,情 報,技 術開発, コンサルタン ト等の役割 を果 たす。 これ らの職能が本 社 に集 中されているとい うのは,ブ ロック運営会議でカバー しきれないため と, 独立 していては能率が悪い とい う理由によるものだ と考 えられ る。 興味深いのは,本 社 は 「会社的 な企画 ・立案 を専業 とす る統括機関ではな く サー ビス提供機関である」 とい う点である。本社 はM社 グループ をコン トロー ルす る機関 として位置づけ られていない。 M社 グループ全体 に とって最適 な意思決定 を各 MPCに とらせ るようなイン セ ンティブ ・システム を設定す る とい う見方 を とるな らば,基 本的に本社 と MPCの 間には主従関係が あ るこ とにな る。 しか し,公 式的権 限に よ り調整 さ 2 0 ) 鎌 田 , o p . c i t . , p . 5 4 . 21) 日 ホ登週巳, op.cit., p。145. 2 2 ) 鎌 田 , o p . c i t . , p . 2 0 1 .

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中大輔講師追悼号 (第307号) れ る階層組織 とい うよ りは,む しろ 自律性 を もった多数 の MPCが 存在 し,そ れ をい くつか の地域 あ るいは産業 市場 に対応 したブ ロックで ま とめ,ブ ロック 運営会議 で計画が立案 されて い る。 自律 的 な複数 の意思決定拠″点が存在 し, V 節 で述べ るよ うなネ ッ トワー クをつ くってい る と考 え られ る。 これに関連 して,「場作 り」 とい う考 え方に触れてお きたい。 取締役 の岩崎氏は,現 場 と全体組織の下す判断が一致 しない可能性 を指摘 し, 「意味的な情報の生成 と統合」の欠如 を心配 している。 そ もそ もM社 がめ ざして きたのは 「場づ くり」であった。情報には,コ ンピ ュー タに入力で きる情報 と出来 ない情報があ り,「場」では後者の情報が生成 し,関 係 と行動によって情報の意味が生成 される。岩崎氏は 「より大 きな統合 的 な関係」 を場所 と呼ぶ。個人 ・単位集団に とっては企業全体が,企 業に とっ ては市場が 「場所」 である。「場所 はお互 いが 自分 を開いて超越的な観点に立 たなければみえてこない」のである。 これは個人が 自らの技能 ・感性 ・知識等 を深め る と共に,他 と相互作用 をもつ中で, よ り上位 レベルか ら自分 自身の役 割 を知覚 し, もっている情報の意味や貢献の仕方 を知 るとい うことであろうか。 個 々の現場 では細かいノウハ ウはわか っているが,そ れの意味付けをして他ヘ 応用 した リー般化す ることが難 しい。他者 と議論す ることによって自身を変え 情報の質,意 味付け を深めてい くことが,組 織全体 の統合のために必要であろ う。 そのための情報交換は,例 えば首都 圏 MPCの 幹部が地方 との間を行 き来 す るこ とを通 じて も行 われている。 米国企業 との違 いは,M社 で重視 されているのは, どちらか というと直に対 面す ることによるコミュニケー ションであることも興味深い。 監査役の森村氏によれば, コンピュー タ情報 システム,デ ー タベース等より も,「書 いた もの」「会議」の方が重要 である。非公式の 「ノミニケー ション」 も大切 であろう。例 えば計画に して も,MPCが どうい う方向へ行 きたいのか, どうい うこ とをや りたいのか をメンバー の主だった者が A4の 用紙に 1-3 23)岩 崎, op.citt, pp.70-72. 2 4 ) 日 経 ベ ンチ ャー, O p o c i t . , p . 1 8 .

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ネッ トワー ク組織におけるマネジメン ト・コン トロール 1 3 7 枚 程 度 の 「企 業 化 計 画 」 に ま とめ , 全 員 が 読 む こ とが で き る よ うに してい る。

全体像の共有をコンピュータによる情報システムに頼らない理由は情報システ

ムを設置 しても,必 要な情報が必要なところへ行かなければ無意味であるため である。情報システムが複雑す ぎて一部の者しか使用しない可能性 もあるし, 直接会 って話すことで初めて伝わる感覚 を大切にしているせいであるとも考え られる。直接会 うことを重視する姿勢は会議・打ち合わせのための旅費 ・交通 費に関する節約 をあまりやかましく言わない点に現れているそうである。 なお,企 業化計画 とは別に P/L等 の計画 もあ り,会 計数値が共通言語 とし て必要であることは別段普通の会社 とかわらない。 また,大 社長は 「制度 ・ルールはない」という。「つぶれない」ための 「勘」 に頼 る意思決定 を提唱 している。ルールや制度にとらわれ,考 えてから動 くの では市場の動 きには対処できないからである。ルールを極力」卜除することによ って組織に壁 を作:らないとVヽうこともあるだろう。 【顧客 ニー ズに応 える方法 と 「積 み分 け」】 M社 の戦略は基本的に 「棲み分 け」である。すなわち,既 存の市場 でマー ケ ッ ト・シェア を確保す るべ く独 自の製品 を作 る。顧客のエー ズを満たすべ く, 他社 が出 した A製 品 と違 った B製 品 を出す こ とで同 じニー ズを満足できるこ とを示す。独 自の技術開発 もあるが,既 知の技術の組み合せ で勝負す るのであ る。製造だけ とい う他 の メー カー と比較 して,M社 はエンプニア リング会社の 性格が強い点に強みがある。 企業 と共にビジネス機会 を開発す るパー トナー としての顧客 を創 り出す努力 (「長期 的顧客維持努力」)も行 われてい る可能性 が あ る。 とい うのは,「お客 さ ん と一緒に…モノを作 り上げ る」「未完製品を完成に近づ け るのが実績だ」「市 場 の変化 にあわせ て,… お客 さんの状況 をみ なが ら完成 させ てい る」「ある程 25)前 川 ・佐藤 (1994)p.5. 26)前 川製作所広報室 (1991)p.180,p.224. 27)井 関 (1996)

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2 8 ) 度 まで先が見えた時,開 発に手をかけている」 という記述にみられるように, 必ず しも完成品をもってい くのではな く,顧 客 と共に製品を作 り上げてい く。 顧客のユーズを掘 り起 こし,顧 客の注文に応 じて最適のものになるように製品 の改良 ・調整 を行 うのである (ただし,常 にユニー クな製品ばか り作 るわけで はないか ら,製 品差別化だけではな く,当 然 コス ト引き下げも試みているとの ことである)。 また国のプロジェク トを請け負った り,電 力 ・ガス会社 との共同開発プロセ スで客 をひっぱ りこんで売るという方法 もとっている。 再言すれば,こ こで重要なポイン トは,顧 客 自身がニーズをことばではっき り言い表せないため,MPCメ ンバーが顧客に直接会 って潜在的ニーズを整理 することである。 また,い ろいろな職能部門の専門家がそれぞれの立場から情 報 を収集 し (売れな くなった り価格が下がっている原因は何か等問題″点を発見 し)情 報を合成することである。これが,前 述の情報の質を変える,全 体 をつ かむ ということではないか と筆者は解釈する。 4.マ ネジメン ト・コン トロールとインセンティブ ・システム 【管理会計システム】 大幅な分権化 と同時に調整は不可欠である。ただ し,M社 では上述のよう に会議による情報の共有化やルールの少ない組織文化により当事者間による調 整 を行い,調 整者による上からの調整を極力排除 しているように見受けられる。 では,マ ネジメン ト・コン トロールの下位 システムとして,管 理会計はどの ように用いられているのだろうか。問題は会計数値の用い方である。 計画についていえば,「企業化計画」の他に会計数値 を用いた計画 も存在す る。 例 えば,プ ラン トエ事 を請け負 う場合,受 注前 ・受注後に計画 と実績を比較 する。予算は積み上げ方式で全体 との調整を行 うが,上 から押 しつけるのでは 28)前 川製作所広報室 (1991)pp.202-209.

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 3 9 な く,多 少 の ギャ ップが あ って も実行 す るこ とはあ る。 ただ し,か な り上位 と 下位 で たて た計画 に差 が あ る場合,上 位 が下位 にプ レッシャー をかけ るこ とは あ るよ うであ る。 「予算や計画はない」 とい う記述 もM社 の文献にはみ られ るが,こ れは当 初 の計画は一応たてて も,ユ ニ ッ ト生産 についてはい くらになるかわか らず, 計画 自体 かな り自由に変更せ ざるをえない とい うこ とを意味 しているのであろ う。 もちろん月次利益 は計算 しているし, 3カ 月,半 年,期 末には詳細に業績 を計算 している。マイルス トー ン管理が行 われているはずである。 各 MPCと 地方の総研 は翌年の予算の数値 を本社 に対 して提 出 して くるので それが計画 といえな くはない。 ただ,そ れが達成 され るか されないかは二の次 で,高 めの計画数値 をたててそれ を達成す るための議論 をす ること自体が重要 視 されている。例 えば,議 論の中で先にや るべ き設備投資やプ ロジェク トの優 先順位 が変 わ るこ とはよ くある。 3割 とい う市場の伸 び とシステムが 2, 3年 で陳腐化す るとい う市場の激 しい変化のために (すなわち不確実性があま りに も大 きいので)計 画数値 自体 は予測数値 として信頼性 をもたないこと,そ して 売上高や利益等の高めの予算の設定が知識創造 をさせ るための引 き金 として使 われているのではないか と考 える。 また,基 本的に実績値 は健康診断の数値の ような もので,異 常箇所 を発見 し手のほ どこしようがな くなる前に問題解決す るために使用 されている。予算管理 システムは処罰のために利用 されていない。 ただ し,全 社的にある一定水準の成果があがればボーナスが増加す るといった 報奨 は考 えられてい る。 本社 費 ・共通費については,販 売 MPCの 売上高の 5%と い う形で配賦 され る。製造 MPCの 場合 は 「生産高の 3%」 と 「人員数 と一定額の積」の和 とし て負担す る。例 えば,製 品開発費の場合,販 売ブロック,販 売 MPCが ロイヤ リティーができ収益が実現 した段階で最終的に技術研究所へ支払 うことになる。 MPC側 は開設時にM社 本体か ら資産 (負債)を 移管 され,純 資産額 は本社 29)前 川 (1996)p.74. 30)Ibid., p.76.

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か らの借 りであ るこ とや,市 場,顧 客 ,技 術 も譲 って もらってい るこ とを考慮 す れば, 本 社 費の負担 もや む を得 ない と考 えてい る。 社 内金利制度 に関 しては,本 社 が本社 の余剰 資金 を資金 の足 りない MPCに 貸 し, プ ライム ・レー ト+ 1 % を 課 して い る。M P C は 独 自に社 外 か ら資金 を 調達 す るこ とを許 されて いないの で本社 か ら金利 の高 い資金 を借 りざるをえな い。 【インセ ンティブー報酬,評 価,仕 事 内容,長 期雇用】 まず,処 遇について とりあげたい。 「競争社会 におけ る能力主義は,昇 給の際,ギ スギス した人間関係 を招 きや す い。気のあったグループの中でこそ,各 人が創造意欲 をか きたて られ る」 こ の社長の ことばや給与体系か らみて,M社 は基本的に金銭的報酬の差 をつけ る こ とよ りも 「仕事 のや りがい」 を重要 なインセンティブ と考 えている。受注生 産,少 人数 であることか ら,一 人一人が幅広 い仕事 を任 され る。 このことも技 能 を身につけ る自己啓発の楽 しみ と共 に 「や りがい」に結びつ く。 また,60歳 とい う 「定年制」はあるものの,本 人が希望 し承認 されれば定年 後 も働 き続け るこ とがで きる。 この ような長期雇用に基づ く安定感が結果的に 企業への忠誠心 を函養す る。 賃金 カー ブが緩やか な給与は技能 ・成果の向上によ り右上が りにな りうる点 に もM社 の経営哲学の具体化 と日本型経営の面影 をみ ることがで きる。 もっと も,管 理職 につ いては業績に運動 した変動的部分が小 さ くない。問題 は, どの ような評価 に よ り個 人間に差 をつけているかである。 31) 日井墨違 op.cit., p.147. 32)し か し,長 期雇用は,企 業 内での技能の形成 を効率的に行 うための システム としての意 味 ももってい る。つ ま り育成に時間がかか り,当 該企業内でのみ通用す る技能 をもつ人材 な らば,そ の人材教育に企業は コス トをかけ るの も合理的 といえる。だが,他 社 で も通用 す る一般 的技能 につ いてはア ウ トソー シングの方が有効 か もしれ ない。 33)日 経ベ ンチャー op.dt.,p。29, 日経連 op.cit,,p.149. 34)日 経ベ ンチャー op.cit.,pp.29-30。

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 4 1 端 的 に言 えば, 評 価 の特徴 は成果 よ りもプ ロセ ス重視 とされ る。 これ は結果 が よ くな くて も挑戦 した者 の方が高 く評価 され る点 に特徴 が あ る。 もちろん, 他 の者 の協 力 な しでは仕事 は で きないの で勝 手気 ま まに無茶 は で きない。組 織 風土 として他社 に比べ て比較的 自由度が高い雰囲気 になっているとい うこ とで あろ う。仕事 をや る上で周囲の者の了解 の上で正 しいプロセスでや ったことな らば結果が悪 くて も責任 はあま り問われない とい うことである。 これは,先 述 の会計数値の使 い方に も反映 している。業績の良い MPCと 悪 い MPCの 間で ほ とん ど報酬 に差はつけていない。 これは業績の悪い MPCへ 人事異動があっ て も社員に不満 をもたせ ない とい う理 由だそ うである。 これは,MPC間 に壁 をつ くらないようにす るための工夫の一つ ともとらえられ る。 MPC間 でほ とん ど差 をつけない として も,給 与に全 く個 人差がない とい う わけではない。資料 をみてみ ると,27歳 までは学歴年功序列型が原則であるが, 27歳以降は管理職給与体系に移行す る。給与体系はい くつかの群 に分かれ,給 与体系郡 内では個 人差 は少 ない として も群 間では個 人差が大 きい。 給与は基本給部分 と変動部分か ら構成 され,基 本給部分 は潜在能力やや る気 に応 じて,変 動部分 は関係力,行 動力,技 能 ・技術力 とい う要素で 5段 階評価 した結果 と年齢 とでマ トリックスの表が作成 され る (関係力 とは 「市場や他者 といかに創造的な関係形成 を推進 しうるか」 を意味す る)。 したが って変動部 分 につ いては 「結果」が反映 され ることになる。評価 は MPCの 長→ブロック 運営会議→評議会→役員会 で一人一人につ いて行 われ る。賃金表ぼ毎年景気 ・ 業績等 を考慮に入れて改訂 され る。柔軟性 をもったシステム といえよう。 また, 次長以上は年俸制 に移行 しているとい う。 以上 の システムは1995年3月 以降採用 されたシステムであるが,変 動部分 の 35)伊 藤忠商事 のカンパニー制 (MPCで はない)で は,新 入社員の採用,給 与体系 もカン パニー毎に行 っている。原則 として独立法人間の人事 異動 はな く,法 人の業績の善 し悪 し に よって差 をつけ るとい う方針 を打 ちだ した。 これはM社 の場合 と一線 を画す る (日経新 聞 (1997))。 36)日 経ベ ンチャー op.cit.,pp.2829, 日経連 op.cit.,p。149.

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ような短期 の結果 を反映 した部分の全体 に 占め る割合が増加す る傾 向にある。 す なわち 「技能の形成」だけではな く,従 業員にそれ を発揮 させ るように動機 付 け,組 織 を活性化す ることを目指 した ものである。 M社 は協調 を重視 した会社 である。上述の 「関係力」による評価 は,協 調 を 促進す るためのシステム といえよう。 これは,集 団主義的な努力 を評価す るも のであ り,MPC内 部及 び MPC間 の求心力 を保つ ための しかけの一つになっ 3 9 ) てい る。 では,会 計上の業績評4面については どうか。監査役の森村氏によれば決 して 会計数値 による業績評価 をないが しろには してこなか った とい う。そのあらわ れが,か つてあった P/L50と い うことばだそ うである。 繰 り返すが重要 なのは,会 計数値 の使 い方である。私見では,会 計数値 を組 織の効率性 をみて進むべ き方向を見定め るための一つの指標 として位置づ け, あるいは業績結果の個 人の報酬に運動す る割合が少 ない限 りにおいて逆機能の 問題 は少 ない。非財務的数値 に よる業績評価やプ ロセス評価 をや っていること か らみて も問題は少 ないのか もしれない。 また,評 価 には,数 段階 を経 ること に よ り,客 観性 ・平等性 をもたせ ようとしている。 しか し,独 立法人になってか らは少な くとも社長にかか る圧力 と倒産の恐怖 は相 当な ものである。MPC間 での競合が起 こらないのが不思議 である。 これ には各 MPC単 独 では仕事がで きない とい う事情,先 述の 「関係力」に よる評 37)DCSと 関係づ けて管理職 に能力給 が導入 され てい るの も金銭 的報酬 に よる活性化 を全 く無視 してい るわけではない とい う証拠 であ る。 38)M社 におけ る活性化 の工夫 (前川 ・佐藤,op.cit.,p.5.) 事務所 は 1フ ロア。 タイ トルは機能 と仕事 の分離,「 さん」づ けで呼びあ う。 簡単 な企画書。肩書 き,給 与 は年功序列が原則 (ただ し,成 果 を反映す るように変化 し つつ あ る ?)MPC社 長 は対面集 団の中で選 ばれ る。文書化 され た制度 とルー ルはない。 独特 の人材育成観 (型にはめないな ど)。定年ゼ ロ。 39)求 心力 を維持す る方法 としては,ス トックオプ ション (自社株 を一定の価格 で購入でき る権利)を 与 えるとい う方法がある。つ ま り, 自社 の価値があがれば 自分 に リター ンがあ るので従業員は全社的に業績があが るよう努力す るインセンティブをもつ (日経新聞 「揺 れ る人事 変 わ る賃金 3」 1997.2.24.)。 しか し,M社 のや り方はこれ とは相違す る。

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 4 3 価,ブ ロ ック運営会議や総 研 に よる調整,組 織文化 が影響 してい る と考 え られ る。 なお,海 外 の MPCで は現地 方式 に近 い評価 ・報酬形態 を とらざるを得 ない。 ちなみ に メキ シ ヨの MPCの 場合 , ヒエ ラル キー的 な意思決 定,資 金 も現地 の 銀行 か ら調達 す る とい う方法 を とってい る。 【Simonsに よるMCSの モデルとの関係】 さて,M社 のケースを先述の Simonsの 4つ のコン トロールレバー と関連 づけて解釈するとどうなるか,繰 り返 しになるので要″点だけを述べ る。 第 1に,バ ウング リー ・システムは存在 しない可能性がある。M社 には 「・… をしてはいけない」 というルールはない。それだけではな く,ほ とんど制度や ルールがないという。 これはインタビューによれば 「明文化されたルール」が 少ないという意味である。けれども 「暗黙のルール」は相当あるとのことであ った。 また,記 述のように 「関係力による評4面」は,MPC間 で競争をや りに くくす るシステムである。文字 どお りのバ ウンダ リー ・システムはないが,そ れに代 わるものがあるだろう。 第 2に ,診 断的 コン トロール ・システム (DCS)は 「管理 者 が組 織 の成 果 をモニ ター し,事 前に設定 された業績の標準か らの差異 を修正す るための公式 的情報 システム」である。例 えば,利 益計画 と予算, 日標管理はこのような使 い方 をすれば DCSと なる。けれ ども,標 準化 は創造性 の発揮や イノベー シ ョ ンを妨げ ることがあ り, また,逆 機能 を引 き起 こす可能性 もよ く指摘 され る。 M社 の場合,受 注生産の性格 もあ り市場の動 きにあわせ て 自律的に柔軟に意 思決定す る仕事 のや り方,売 上 ・利益の多いことが必ず しも評価 されないこと や,「 目標値や ノルマ を示 し,そ の達成度合 い (だけ)で 評価 は しない」 とい う評価 のや り方か らみて も,DCSの 重要性は低 い といえるか もしれない。 第 3に , トップの経営理念は求心力の点で きわめて重要 な働 きをしている。 40)前 川 (1996)p.69. 41)Simons(1995)p.60,p.62. 42)鎌 田,op.cit.,p.204.p.28.

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これが分散 した MPCど うし,MPCを 本社 に,そ して組織 メンバー を協 カヘ 導 く。上か らの命令 よ りも市場 に密着 している組織 メンバーに決定権 を与 え創 造性 を発揮 させ る方が人は生 き生 きと働 くし企業 も発展す るとい う考 え方で経 営 は行 われてい る。重要 なのは,い かに して トップの考 え方 を組織全体 に浸透 させ るかである。 社長 自身は, コン トロールが嫌 いだ,経 営理念な どはない と言ってお られ る。 これは,経 営理念は,経 営理念が先にあってそれによってコン トロール しよう とい うことか ら生 じた ものではな く, 自然に生 まれて きた考 え方,あ るいはグ ループ制 をとる中で何 もない と従業員が不安 なので,こ うい う風にや っていっ た らどうか と トップが示唆 した内容 である。だが,結 果的には,そ の考 え方に よって方向付けがおこなわれている可能性は否定 できない。 ト ップの メッセー ジを流 し続けた りM社 の 「ものの考 え方」 を大切に している。組織 メンバーが コン トロールされていると感 じていない として も,そ れは 「条件付け権力」に よる一種 の コン トロール とも考 えられ る。経営理念は社員一人一人が共同体ヘ の所属意識 をもち協力的であるために不可欠であろう。 第 4に インターア クティブ ・コン トロールである。

Simonsに よる ICSの 定義 についてはIII節で述べ た とお りであるが,こ れ を 垂直的双方向の情報の流れ を主 として考 え,水 平的なインターア クションを含 まない情報の共有化の システム と考 えると,IV節 で述べ たM社 のマネジメン ト の内容 は厳密にはその具体例 とは言えない可能性がある。 以上の こ とも含めて, V節 では,M社 がある種のネ ッ トワー ク組織 として ど の ようなマネジメン ト・コン トロールを行 っているか,一 つのモデル として論 じるこ とに したい。 V . ネ ッ トワー ク組織 の マ ネ ジ メ ン ト ・コン トロール ネ ッ トワー クの意味 は一義 的 ではない。M 社 のケー スは ヨン ピュー タ情報 シ 43)Ibid., p.136. 44)前 川 (1996)p.85. 45)岩 崎,p.66.

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ネッ トワー ク組織におけるマネジメン ト・コン トロール 1 4 5 ス テ ム に よ るオー プ ン ・ネ ッ トワー ク とは 異 な るが, 以 下 の特 徴 を もって い る こ とで あ る種 の ネ ッ トワー ク組 織 と して と らえ られ る。 1.自 律性の高 さと相互依存関係 MPCは 自律性が高い。本社 とMPCの 関係 は親会社 (本社)が 子会社 を支 配す るといった関係 ではない。MPCは 本社 のたてた戦略 を単に実行す る存在 ではな く,そ れぞれ受注生産 を行 っている各々独 自の市場環境で顧客 と密着 し て情報 を収集 し,他 の MPC,総 研,本 社 とのインターア クシ ョンによ り戦略 を創発 し実行へ移す存在 である。各ブロック内や全社的なプ ロセスにおいて経 営資源 (ヒ ト・モノ ・カネ ・情報)が MPCの 境界 を越 えて 自由にや りとりさ れ る。例 えば,前 述の ように欲 しい人材 も欲 しい MPCか ら他 の MPCの メン バーに直接に交渉 して集めてこられる。複数の MPCの メンバーか ら構成 され るプ ロジェ ク ト,各 MPCが 単独 ではで きない仕事 も少 な くない。仕事 がや り やすいように 自ら組織の作 り変 えが行 われ る。MPCは お互 いに相手が所有 し ている資源 (技術 ・人材 ・知識等)に 依存 して存続 しているので,よ り稀少な 資源 をもってい るほ ど相 手に対 しパ ワー をもつ ことになる。MPC間 はその よ うな資源依 存関係 で結びついているのか もしれない。 2.ヘ テラルキー組織 と双方向の情報交換 確かに,MPCは 独 自に外部か ら資本調達 で きない点で本社 に資金 を依存 し ている。本社 は金融の他 に も人材採用,広 報, コンサルタン ト等の機能 を果 た している。 その限 りでは,MPCは 本社 に依存 しているか もしれない。 しか し, あ くまで も本社 ・首都圏総研 は MPCの 活動 をバ ックア ップす る機関である。 複数 の地方総研 も音都総研 の代理 として MPCを とりまとめている。 自律的 な意思決定主体が複数 あ り, しか もそれ らが重要 な情報 を生成 していると考 え ら才宅る。 46)前 川製作所 紹 介のパ ンフレッ ト,今 井 ・金子 (1993),岩 淵 (1995)(1996),坂 上 (1997), 国領 (1995)(1996).

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当然,本 社 か ら MPCへ の一 方的 な情報 の流れ ではな く双方 向的 な情報 交換 が行 われ る。本社 と MPCの 間 の双 方 向の情報交換 につ いて は,本 社 か らは, 経営理 念,方 針,MPC間 の調整 に関す る情報等が,MPCか らは市場 情報 (顧 客 の ニー ズ,競 争相 手 の情報 等)が 流 され,情 報共有 が促 進 され る。 イン ター ア クテ ィブ ・コン トロー ルで述べ た戦略創発や IV節の 3で 述べ た情報共有 の説 明が これ に相 当す る。 調整機構 として,本 社 (首都 圏総研)と MPCの 間にある地方総研 を中心 と してブロック運営会議が開催 され る。各ブロック毎の戦略形成の情報が本社ヘ 伝 わると,全 体 レベルでの戦略が明 らかにな り,逆 に全体の戦略が明 らかにな ると,ブ ロック毎の戦略 も計画 もよ り詳細にたて られ るようになる。同様の上 下の インターア クシ ョンは,ブ ロック内の MPCレ ベルにつ いて もいえよう。 以下のプ ロセスは,個 人 レベ ル,総 研 メンバーや MPCの 社長に よる出張や ブ ロック運営会議, ト ップ ・レベルでの会議 を通 して行 われ る。 この ように,M社 は,垂 直的 ・水平的情報交換,イ ンターア クションを行 い, MPC間 に壁がな く,環 境変化 に応 じて組織 内容 も変容 してい くとい う意味で 有機的なネ ッ トワー ク組織 である。 3.オ ープ ンネ ッ トワー クと日本型のネ ッ トワー ク組織 しか し,前 述のようにM社 は ヨンピュー タ情報 システムによるオープン ・ネ ッ トワー クとは違 う意味でのネ ッ トワー クになっている。企業化会議,開 発会 議,技 術会議等各種の会議が重要 な意味 を持 っている。MPC間 の行 き来や直 接 に相手 (注文主や顧客)と 会 い場 を共有す るこ とは,情 報機器 では伝 わ らな い相手の本音やお互 いの技術 レベルを含む量的 ・質的に優れた情報 を得 られ る 機会 をつ くる。 また,M社 の経営 は,人 脈,経 験や勘,文 化や暗黙のルールを共有 し信頼関 係 に頼 る経営 であ る。重要 な経営資源 をM社 グループの中に囲い込む形で経営 を行 っている。長期的雇用はこれ を支 える一要素である。 職能 ・一企業の壁 を越 えた人 と人 との直接の コ ミュニケー ションを大切にし

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ネットワーク組織におけるマネジメント・コントロール 1 4 7 小 さな本社 とフラッ トな組織によ り組織階層に沿 った情報経路 を最短に した り, 情報 と価値 の共有化 に よる調整 を行 う″点に特徴があ り,成 功 していると言えよ う。 ただ,今 後 グローバル化の進展で コンピュー タ情報 システムの重要性が増加 して くるのではないか とい うことである。例 えば,ワ ール ドワイ ドな研究開発 体制 をとるような場合 を予想 して,情 報化投資 を進め る必要はないか。国内で も問題はないわけではない。例 えば,異 なるブロックの MPCで 別々に重複 し て同 じ問題に取 り組んでいた とい うケース も聞 く。 もちろん, コンピュー タ情 報 システムが使用 されていないわけではない。M社 では,全 社か ら収集 された 市場 。経営 ・技術情報がデー タベース化 された り,分 析 。加工 されて MPCヘ フィー ドバ ックされ る。全社 的 な OAネ ッ トワー クも開発 されてい るとい う。 ただ し,そ れがネ ッ トワー ク ・コンピューティングの段階に達 しているか どう かは疑間である。 M社 のマネジメン トは, コンピューティングによ り,さ らにその長所 を補強 で きるように思われ る。 もちろん,そ の前に新規投資の必要,ソ フ トウェアや ハー ドの互換性,メ インテナンス,企 業秘密漏洩の問題等が解決 される必要が ある。 Ⅵ.結 び 本稿 では,M社 の事例 をとりあげ ることで,あ る種の MPCそ してネ ッ トワ ー ク組織のマネジメン ト・コン トロールの特徴 を示そうとした。 Simonsの コン トロール ・レバーに よる説明 を 日本企業に適用す るのは限界 47)国 領 (1995)(1996):国領 (1996)に よれば, 日本 型のネ ッ トワー ク組織 の問題″点は, あ うんの呼吸,経 験や勘,人 脈に頼 る仕事 のや り方 をとることによ り,社 内の コ ミュニケ ー ションが効率的になる一方で,社 外 とのインターフェース(「分業 を行 う主体 のモノや情 報 をや りと りす る方 式 (国領 (1996)p.8)」)を失 って い る。 この こ とは,外 部 資源 を活 用 しに くくす る事態 を生 じている (国領 (1996)pp,8-9).

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が あ る ものの,部 分 的 に修 正 すれば利用 で きるよ うに思 われ る。 ただ,こ れに つ いては本稿 では十分 説明 で きなか った。 自律化 した組織単位 を統合 す るため に,経 営理 念の浸透,暗 黙のルー ル,ブ ロ ック運営会 議 と総 研 の存在 は重要 であ る。M社 では,定 年後 も勤め続け られ る安 心感 と独特 の人材育成観 に よって個 人のM社 へ の求心 力 を高め る と同時 に, ヒ トに よる情報 ネ ッ トワー クに よって MPCの 本社 へ の求心 力 を高め てい る。 しか し,そ れだけ ではない。戦略 的課題 の具体化,調 整機 能,情 報共有化 の 場 の提供 等 の面 で,予 算管理 プ ロセス も重要 な役割 を果 た してい る と推察 され る。 ただ,残 念 なが ら会 計 システムにつ いては まだ十分 に調査 で きていない。 プ ロジェ ク トの管理,利 益 計画等,イ ンター ア クテ ィブに利用す る コン トロー ル ・システム として どれ を選 択 してい るのか。M社 と他社 の MPCを 比較 す る こ とに よ り類型化 も試み たい。 これ らにつ いては今後 の研 究課題 であ る。 (付記)本 稿 は文献や 資料 を読 ん で疑 間に思 った点 を中心 に インタビュー で質 問 ・確 認 した 上 で記述 した ものです。 しか しなが ら,誤 った解釈 については筆者の責任 に よるものです。 参 考 文 献 浅 田孝幸 『現代企業の戦略志向 と予算管理 システム』同文舘,1993年 。 井 関利 明 「リレー シ ョンシ ップ ・マー ケテ ィング①―⑥」や さしい経済学, 日 本経済新 聞, 1996年 11月1622日 。 今井 賢一 ・金子郁容 『ネ ッ トワー ク組織論』岩波書店,1993年 。 岩崎嘉 夫 「前)11製作所 :『 独法経営』の推進」文献名不明。

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(謝辞)本 稿 の執筆 に先 立 ち,ご 多忙 の ところ,長 時 間の インタビュー,工 場 見学 に快 く応 じて下 さった前川製作所 常勤監査役 森村収三様,技 術研究所 所長 サ│1村邦明様,守 屋工 場 次長補 石塚 哲夫様,取 締役 ・工場 長 鈴 木征 入様,そ して,資 料 や イ ンタ ビュー の手 配 でお世話 になった根本江都 子様 に この場 を借 りて御礼 申 し上 げ ます。 また,最 初 に前川 製作所 を紹介 して くだ さった黒川晋助教授 に も感謝 いた します。 さ らに,企 業訪 間 に付 き 合 っていただいた大 阪大学浅 口孝幸教授,愛 媛大学 岡本直之講師 に もお礼 申 し上 げ ます。 なお,本 稿 の研究にあたっては,文 部省科学研究補助金の支援 を受けている。

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Manage】ment Control Systemis of M Company

Makoto Yori

These days,a firm which consists of rnany rnicroprofit centers at‐ tracts attention.In case of M Company,the main purpose of divid‐ ing the organization into rlicroprofit centers,is to adapt to corn‐ petitive environmen低 .

The process that top management shows a vision,stilnulates all employees into opportunity一 seeking and learning,and drives new strategies to emerge, is consistent with the model of interactive control systems.However,the management control systems of M company(sharing information with others,incentive systems and

S00n),may be fundamentally different from those of firmsin U.S.A. NI company has lnultiple sOurces ofinformation and autonomous decision rnaking centers.They construct a network,which is differ‐ ent fronl a computer network.

This paper also discusses the way M Company coordinates and controls lnany rnicropront centers.

参照

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