234 (56) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
ヤ ガワ アキ ハル矢川彰治(昭和2
博士(医学) 乙第1303号平成4年9月18日
学位規則第4条第2項該当(博土の学位論文提出者)
Tegafur持続静注投与’による抗腫瘍効果の病理組織学的検討 (主査)教授 羽生富士夫 (副査)教授 笠島 武,小柳 糸威 文 内 容 の 要 旨
目的 消化器癌に対し,手術に化学療法を併せて行うこと により治療成績の向上を図る試みがなされている. Tegafur(FT)は,体内で徐々に5-FUに交換され抗腫 瘍効果を示す制癌剤である.著者らは,5・FUの有効血 中濃度を維持する目的で中心静脈カテーテル法を用い たFTの持続静注投与を考案した.この投与法では, 癌組織に,正常組織および血清の5ないし10倍の高い 5-FU濃度が得られている.著者は,本法による癌病巣 の病理組織学的変化を胃癌症例について検索し,治療 効果を検討した. 対象ならびに方法 1981~1988年に東京女子医科大学消化器病センター において,術前にFTの持続静注投与が行われた胃癌 切除症例のうち34例を対象とした.なお対照として同 時期に切除が行われた制癌剤非投与胃癌症例31例を用 いた.FTは,1日800mgを3号補液1,0GOmlに加え, 手術当日まで2~36日平均7.5日24時間持続的に点滴 静注を行った.組.織学的効果は,主病巣の中心と辺縁, 転移リンパ節の最大割面について,ヘマトキシリソ・ エオジン染色により作製した組織標本で検索した.効 果判定は市岡の示す組織の変性度(軽度D、,中等度 D2,高度D3)を用い,無変性D。を加え判定基準とした. 成績ならびに結果 制癌剤非投与例の主病巣,転移リンパ節での変性度 の出現頻度は,D。およびD、が87.1~100%と大部分を 占めた.そこで,D2およびD3の変性度をFTによる効 果とした. FT投与例において, D2, D3の変性度の出現頻度は, 主病巣で58.8~61.3%,転移リンパ節で86。9%であっ た.D2, D3の出現頻度を組織呼野にみると,主病巣で は,乳頭腺癌75%,高分化型管状腺癌100%,中分化型 管状腺癌100%,低分化腺癌47.4%,膠様腺癌50%,印 環細胞癌0%であった.乳頭腺癌,高分化型腺癌,中 分化型腺癌を分化胃癌,低分化腺癌,膠様腺癌,印環 細胞癌を低分化型癌とすると,有効例の頻度は分化型 癌90.9%,低分化型癌43.5%と分化型癌に高かった. しかし,転移リンパ節では低分化型癌でも90.5%と組 織型にかかわらず高率であった. 考案ならびに結論 FT持続静注投与の抗腫瘍効果を病理組織学的に検 討した結果,主病巣では,低分化型癌にくらべ高分化 型癌の有効率が高いが,転移リンパ節では分化型癌, 低分化型癌のいずれにも高率に効果を示すという特徴 が明らかになった.したがって,転移巣の抗腫瘍効果 に優れたFT持続静注投与法を手術に併せて行うこと は,きわめて合理的かつ効果的であると考えられた. 一868一235