ソフトウェア可制御オンチップメモリによるメモリシステムの低消費電力化
6
0
0
全文
(2) ALU. FPU. register. SCM. Cache. NIA Memory (DRAM). Network. 図1. SCIMA の構成図. 一方,SCIMA ではソフトウェア制御の SCM を用い ることで,メモリトラフィックを最小限に抑えること が可能となる.この特徴により,SCIMA では高性能 を達成できることがわかっている1)2) .一方,消費電 力の面においても,オフチップメモリトラフィックの 削減は効果が大きいと考えられる.負荷容量の高い外 部のメモリバスや I/O パッドを駆動するために,多く の電力が消費されるからである.本稿では,このメモ リトラフィック削減による,SCIMA の消費電力削減 効果について,定量的に評価することを目的とする. SCIMA ではまた,ロード/ストア命令,すなわちレ ジスタ・SCM 間データ転送のための SCM アクセスの 際にも,従来のキャッシュアクセスに比べ消費電力を 削減できる3) .従来の連想キャッシュでは,アクセスす べきデータは高々1 つのウェイにしか存在しないにも 関わらず,キャッシュアクセス時間の増加を防ぐため に,タグの検索と同時に全てのウェイを並列にアクセ スする.このため,該当するデータが存在しないウェ イでは無駄に電力が消費されている.しかし,SCM で は,キャッシュとは異なりアクセスすべき位置がアド レスから一意に決定されるため,アクセスすべきデー タが存在するウェイのみを選択的にアクセスすること ができる. 本稿では,オフチップメモリトラフィック削減によ る低消費電力化に加え,選択的ウェイアクセスによる 低消費電力化についても評価を行ない,メモリシステ ム全体の低消費電力化について検討を行なう.. 2. SCIMA 2.1 概 要 SCIMA の構成を図 1に示す.SCIMA はプロセッサ 上にキャッシュだけでなく,アドレス指定可能な SCM (Software Controlled Memory) を搭載する.従来の キャッシュでは,データのアロケーションやリプレー スメントがハードウェアで暗黙的に制御されるのに対 し,SCM はそれらの制御をソフトウェアで明示的に 行う. SCIMA では論理アドレス空間上に SCM 領域をマッ ピングする.SCM 領域は 1 つの大きな連続領域である. ため,この管理を TLB ではなく専用レジスタで行い, TLB ミスの頻発を防ぐ.導入するレジスタは,SCM 領域の先頭アドレスを保持する ASR (On-Chip Address Start Register) とオンチップメモリの容量を表 す AMR (On-Chip Address Mask Register) である. 2.2 拡 張 命 令 SCM へのデータ転送を制御するため,page-load/pagestore と呼ぶ主記憶・SCM 間のデータ転送命令を追加 する.本命令によるデータ転送は大きな粒度で行な い,オフチップメモリレーテンシの影響を抑えること を狙う. レジスタ・SCM 間のデータ転送は従来の load/store 命令により行う.前節で述べたアドレスマッピング機 構により,load/store の対象アドレスが SCM 領域か 否かを判定し,SCM 領域であれば SCM へのアクセス を,そうでない場合は通常のキャッシュアクセスを行 なう. 2.3 キャッシュ・SCM 統合機構 キャッシュと SCM に割り振られる容量をアプリケー ションの性質に応じて変えるべく,総容量一定のもと SCM とキャッシュの容量比を実行時に再構成できる機 構を提案している2) .具体的には,n-way 連想キャッ シュの連続する一部の way を SCM に割り当てる.. 3. SCIMA における低消費電力化 3.1 メモリトラフィック削減による低消費電力化 SCIMA は,SCM・主記憶間のデータ転送を,pageload/page-store 命 令 に よ り 明 示 的 に 行 う こ と で , SCM のデータアロケーション・リプレースメントを ユーザから制御可能である.そのため,必要なデータ のみを必要なタイミングで転送することができる.一 方,キャッシュはハードウェア制御により決められたア ルゴリズムでそれらの制御が行なわれるため,個々の プログラムに最適なデータアロケーション,リプレー スメントを行わせることは難しい.例えば,ソフトウェ ア的な手法でデータの再利用性を向上させるキャッシュ ブロッキング (タイリング)4) を適用する場合,キャッ シュではラインコンフリクトによる同一配列のブロッ ク内データの干渉 (self interference) や,異なる配列間 のデータの干渉 (cross interference) により,オフチッ プメモリトラフィックが増加してしまう. SCM を利用することで,SCIMA ではキャッシュに 比べ以下の点でトラフィックが削減できる. • データの再利用性を最大限に活用できる – コンフリクトミスが生じない – 再利用性のあるデータが再利用性のないデー タにより追い出されることがない • 転送サイズが可変であるため,ストライド転送と なる場合に,必要ないデータの転送が抑制できる プロセッサ・主記憶間のデータ転送では,負荷容量. 2 −2−.
(3) Address Tag Index Offset. way n-1. Vdd: 1.8V DIMM module. Cache. SCM. data select. ?= MUX. ?=. On-Chip. register. decode. way 0. decode. Tag. way-select. FPU. ALU read/write enable. address bus. MUX / Drive. data bus. OCM-test. data. 図2. bus. SCIMA の SCM アクセス. の高い外部のメモリバスや I/O パッドを駆動するため, 消費される電力が多い.キャッシュに比べオフチップ メモリトラフィックの削減が期待できる SCIMA では, 低消費電力化を図ることができると考えられる. 3.2 選択的ウェイアクセスによる低消費電力化3) 従来の n ウェイ連想キャッシュでは,キャッシュアク セスが発生すると,アクセスされたアドレスの Index 部をデコードすることで,該当するキャッシュ内のセッ トを決定する.次に,該当セットのタグ,およびデー タアレイの全てのウェイを並列にアクセスし,それぞ れのデータを読み出す.そして,読み出されたタグと アクセスされたアドレスの Tag 部分を比較し,一致す るものがあればキャッシュヒットとなり,該当ウェイ のデータが選択される.このように,選択すべきデー タがタグアレイの内容に依存するため,高速化のため には全てのウェイを並列に読み出す必要がある. SCIMA のキャッシュ・SCM 統合機構を図 2に示す. 従来のキャッシュの機構に対し,SCIMA ではアクセ スされたアドレスが SCM 領域に対するものかどうか の判定 (SCM-test) と,その際にどのウェイのデータ をアクセスすべきかの選択 (way-select) を行なう回路 が追加される. 本機構において,SCM-test 回路でキャッシュアクセ スと判定された場合は,従来のキャッシュアクセスと 同様の動作となる.一方,SCM アクセスと判定された 場合は,way-select 回路により決定されるウェイ内の データが選択される.この時,アクセスすべきセット は,SCM-test の判定結果によらず,アドレスの Index 部のみで決定される.従って,選択すべきデータのウェ イをキャッシュアクセス時より早い段階で決定するこ とができ,SCM アクセス時には 1 つのウェイのみを 選択的にアクセスすることができるため,消費電力の 削減につながる.さらに,選択すべきデータがタグの 内容に依存しないため,タグアレイへのアクセスを抑 制することによる消費電力の削減も期待される.. 4. 消費エネルギー評価 4.1 評価モデル 本稿では,SCIMA の低消費電力化の効果について 調べるため,オフチップメモリバス,およびキャッ シュ/SCM アクセスにおける消費エネルギーを評価. address: 15bit data: 64bit Vdd: 3.3V. 図3. 評価モデル. する.なお,本稿で以降バスの消費エネルギーと表記 した場合には,プロセッサや DIMM の I/O パッドで 消費されるエネルギーも含まれるものとする. 本評価では,主記憶として SDRAM5) を想定する. 図 3は評価におけるプロセッサと主記憶のモデルを表 している.ここでは,64Mx4 SDRAM デバイス (4bit 幅) を 16 個並べ,64bit 幅のメモリモジュール (DIMM) を構成する場合について考える.この場合,アド レスバスのビット幅は 15 ビットである. 本稿でモデルとする SDRAM のアクセスタイミン グを図 4に示す.SDRAM では row アドレスに続いて column アドレスを発行することで,クロックに同期 して連続な数データ (burst length 分のデータ) が転送 される.また,burst length 以上の連続データを転送 する際,row アドレスに変更がなければ,column ア ドレスのみを発行することで連続デするータの転送が 可能と仮定する.なお,本稿では burst length を 4 と して評価を行なう. 4.2 評 価 方 法 評価におけるベンチマークプログラムとして,NAS Parallel Benchmarks の中から CG,FT の 2 つのカー ネル,および筑波大学の計算物理学研究センターで行 われている QCD (量子色力学) 計算6) を用いる. 評価では,まずキャッシュ用のコードと SCIMA 用に 最適化したコード2) を既存の MIPS 用コンパイラでコ ンパイルし,バイナリコードを作成する.そして,そ のバイナリを入力とするシミュレータ1) を用い,ロー ド/ストア回数,メモリトラフィック,ビット遷移回数 などの情報を採取し,消費エネルギーを求める.ここ で,アドレスバスについては,実際にビット遷移回数 をシミュレーションにより求める.データバスやキャッ シュ/SCM アクセス時のビット遷移においては,遷移 確率を 0.5 と仮定してビット遷移回数を算出した. 消費エネルギーは,文献7) で提案されたキャッシュ 消費エネルギーモデルを参考にして求めた.その際, チップ内におけるキャッシュ/ SCM アクセス時の負 荷容量のパラメータは文献8) のものを,またバスの負 荷容量については文献5) のものを採用した. また本評価では,チップ内およびバスの駆動電圧を. 3 −3−.
(4) Clock RAS CAS Address row. Col. Col. Col. Data. D1 (1) D1 (2) D1 (3) D1 (4). D2 (1) D2 (2) D2 (3) D2 (4). burst length = 4. 図4 評価におけるメモリ構成の仮定. w¸º¿¼. 5. 評 価 結 果 5.1 バスの消費エネルギー まず,SCIMA によるメモリトラフィック削減の効 ☆. 文献8) では,0.8µ のデザインルールにおけるチップ内の負荷容 量のみが示されており,その際のチップ内の駆動電圧は 3.3V を 仮定している.しかし,本稿ではチップ内とオフチップバスの 電圧の違いを考慮にいれるため,チップ内の電圧を 1.8V として 評価する.. wª ¤. 図5. . . w¸º¿¼ wª ¤ ¨. メモリトラフィック ¹Ìʶ»¸Ë¸. . wª ¤ . 図6. w¸º¿¼. wª ¤ «. . . . . w¸º¿¼. . . line size. 表2. wª ¤ «. ¹Ìʶ¸»»É. . . . w¸º¿¼. . ¥ÆÉĸÃÀѼ»wÌÊwżɾÐ. それぞれ 1.8V,3.3V と仮定して評価を行った☆ .なお, アドレスのデコードに必要な消費エネルギーやタグ比 較回路の消費エネルギーは評価には含めないものとす る.これは,小規模な組合わせ回路における消費電力 は,SRAM アレイアクセスやオフチップメモリへのア クセスに必要な消費電力に比べて非常に小さいと言わ れており7) ,妥当な仮定と思われる. 表 1に評価におけるメモリ構成の仮定を示す.キャッ シュ ,および SCM の構成は,合計 64KB,4-way の キャッシュを,キャッシュ・SCM 統合機構により,容 量比を再構成した場合を想定する.また,データアレ イの各ウェイは,内部でサブアレイに分割されるが, 本稿の評価では CACIT10) により得られた最適な分割 数を用いる. このような条件のもと,キャッシュアーキテクチャ (Cache と表記) と SCIMA の消費エネルギーについて 比較評価を行なう.まず SCIMA のトラフィックの削減 による消費電力削減の効果を調べるため,バスの消費 エネルギーのみを評価する.次に,キャッシュ/SCM ア クセスの消費エネルギーも含め,メモリシステム全体 の消費エネルギーについて比較を行う.その際,SCIMA では 3.2節で述べた選択的ウェイアクセスを行っ た場合について,またキャッシュにおいては,MRU ア ルゴリズムによるウェイ予測9) を行った場合について 評価を行う.. Ǹ¾¼ÃƸ»ÊËÆÉ¼. . 総ウェイ数 ラインサイズ サブアレイ分割数. º¸º¿¼wÄÀÊÊ. . - SCIMA モデル. line size. キャッシュ: 64KB (4way) SCM: 0KB キャッシュ: 16KB (1way) SCM: 48KB 4way 32B, 128B 行方向: 2 分割 列方向: 1 分割. . メモリサイズ - Cache モデル. ¥ÆÉĸÃÀѼ»w¤¼ÄÆÉÐw«É¸½½Àº. 表1. SDRAM のアクセスタイミング. w¸º¿¼ wª ¤ ¨. バスの消費エネルギー. CG におけるアドレスバス発行回数・ビット遷移回数. issued row issued column bit swing. Cache line 32 line 128 243932 57351 243932 229404 3019750 943794. SCIMA line 32 line 128 23276 14588 230355 231288 604155 534096. 果を見るため,図 5に Cache と SCIMA のメモリトラ フィックを示す.図 5は,各ベンチマークプログラム において,ラインサイズ 32B の場合を基準とした相 対的なメモリトラフィックである.なお各棒グラフ は,キャッシュミスによるトラフィック (cache miss) と,page-load/page-store によるトラフィック (pageload/store) の内訳も示している. 図から,すべてのプログラムにおいて SCIMA は キャッシュに比べオフチップメモリメモリトラフィッ クが削減されていることがわかる.これは,SCM を 用いることで,必要なデータがコンフリクトなどによ り追い出されることなく,再利用性を最大限に活用で きた結果である. 次に,図 6に各プログラムにおけるバスの相対消費 エネルギーを示す.図中,Ebus addr はアドレスバス の消費エネルギーを,また Ebus data はデータバスの 消費エネルギーを示している.図から,SCIMA では Cache に比べ 1%から 61%もの消費エネルギーが減少. 4 −4−.
(5) . . à ¸Ãà ʼ ®§ ¸ ¤ ¤ ¿¼ w ¸º www wª w wª www ÃÀżw ¼ º¿. à ¸Ãà ʼ ®§ ¸ ¤ ¤ ¿¼ w ¸º www wª w wª www ÃÀżw ¼ º¿. . . . . . . à ¸Ãà ʼ ®§ ¸ ¤ ¤ ¿¼ w ¸º www wª w wª www ÃÀżw ¼ º¿. . à ¸Ãà ʼ ®§ ¸ ¤ ¤ ¿¼ w ¸º www wª w wª www ÃÀżw ¼ º¿. www. w. ¸º. à ¸Ãà ʼ ®§ ¤ ¤ ¿¼ ¸º wª w wª www ÃÀżw. ¿¼. www. w. ¸º. à ¸Ãà ʼ ®§ ¤ ¤ ¿¼ ¸º wª w wª www ÃÀżw. ¿¼. メモリシステム全体の消費エネルギー 表3. . CG FT QCD. . キャッシュ/SCM アクセス回数. Cache #access (% WP hit) 1686219 (69%) 65400698 (84%) 8620112 (89%). SCIMA #access (% SCM access) 1731899 (96%) 50253470 (92%) 8806997 (55%). . w¸º¿¼. 図7. wª ¤ . w¸º¿¼. wª ¤ «. . . . . line size. . . . ¥ÆÉĸÃÀѼ»w»»É¼ÊÊwÌÊ Å¼É¾Ð. ¹ÌÊ. . . 図8. º¿ÀÇ. . . . ¨. . . żɾÐwÆÅÊÌÄÇËÀÆÅ²¡ÆÌü´. żɾÐwÆÅÊÌÄÇËÀÆÅ²¡ÆÌü´. . . «. . żɾÐwÆÅÊÌÄÇËÀÆÅ²¡ÆÌü´. . w¸º¿¼ wª ¤ ¨. アドレスバスの消費エネルギー. していることがわかる.これは,トラフィックの削減に 比例して,データバス (Ebus data) の消費エネルギー が減少しているためである.さらに,アドレスバス の消費エネルギーが減少していることも理由の 1 つで ある. アドレスバスのみの消費エネルギーを比較したもの を図 7に示す.SCIMA ではアドレスバスの消費エネ ルギーも大きく削減されているが,これには次の理由 がある.まず,トラフィックが削減されたことにより, そもそもアドレス発行の回数が削減されたためである. また,SCIMA では大きな連続領域を一度に転送でき るため,row アドレスを 1 回発行した後,column ア ドレスのみで連続領域の転送ができ,row アドレスの 発行が抑制されたことも挙げられる.さらに,連続な column アドレスのシーケンスが発行された場合,ビッ トの遷移回数が少なくなることも理由の 1 つである. 表 2に,CG における row アドレス/column アドレ スの発行回数 (issued row / issued col),およびアド レスバスにおけるビット遷移回数 (bit swing) を示す. CG では Cache と SCIMA でメモリトラフィックに大 きな違いはないにも関わらず,row アドレスの発行回 数が大きく削減されており,またビット遷移回数も Cache の半分程度となっている. 以上のことから,SCIMA ではトラフィック削減に より,実際にデータバス,アドレスバス共に消費エネ ルギーを削減することができると言える. 5.2 メモリシステム全体の消費エネルギー 本節では,バスの消費エネルギーに加え,キャッ シュ/SCM アクセスの際の消費エネルギーを評価し, メモリシステム全体の消費エネルギーについて検討 する.. 図 8に,各ベンチマークプログラムにおける,キャッ シュ/SCM アクセスにおける消費エネルギー (Echip) と,バスにおける消費エネルギー (Ebus) の合計を示す. Cache モデルにおいて,“Cache” と “CacheWP” はそ れぞれウェイ予測を行なわなかった場合と行なった場 合を表している.また,“SCIMAall”,“SCIMAsel” は SCIMA モデルにおいて,SCM アクセス時にも全 ウェイを並列にアクセスした場合と,選択的にウェイ をアクセスした場合の違いである.SCIMA では,ア ドレスからアクセスすべきウェイを一意に決定できる ため,常に選択的ウェイアクセスが可能であるが,比 較のために “SCIMAall” を評価した. また,表 3に,32B のキャッシュラインにおける両 モデルのキャッシュ/SCM アクセス回数を示す.表 3 には,Cache モデルにでのウェイ予測の際のヒット率 (% WP hit) と,SCIMA モデルのキャッシュ/SCM ア クセス回数中に SCM アクセスが占める割合 (% SCM access) も示している. まず,選択的ウェイアクセスを行なわない “Cache” と “SCIMAall” を比較する.FT を除き,キャッシュ /SCM アクセス回数はほとんど変わらないため (表 3 参照),チップ内の消費エネルギー (Echip) に差はない. しかし,SCIMA ではバスの消費エネルギーが削減さ れているため,合計の消費エネルギーは SCIMA の方 が少なくなっている.なお,FT においてチップ内の 消費エネルギーが SCIMA で少ないのは,Cache モデ ルの場合にコンフリクトミス頻発による性能低下を防 ぐ目的で,計算領域を一時的な scratch 配列にコピー するため,キャッシュアクセス回数が SCIMA よりも 多くなるためである. 次に,全ウェイを並列にアクセスせずに,データの 存在するウェイをのみ選択的にアクセスすることで, キャッシュ/SCM アクセス時の消費エネルギーを削減 した “CacheWP” と “SCIMAsel” について比較する. CacheWP では,ウェイ予測が成功した場合,今回 仮定した連想度 4 のキャッシュではタグアレイアクセ. 5 −5−.
(6) れる. ¥ÆÉĸÃÀѼ»wżɾмøР§Éƻ̺Ë. . 6. まとめと今後の課題. . w¸º¿¼. wª ¤ . w¸º¿¼. wª ¤ «. 図9. . . . . . line size. . . w¸º¿¼ wª ¤ ¨. ED 積. スの消費エネルギーは変わらないものの,データアレ イアクセスの消費エネルギーが 4 分の 1 になる.今回 評価したベンチマークプログラムでは,ウェイ予測の ヒット率が高いため (表 3参照),チップ内の消費エネ ルギーが 60%∼72%ほども削減されている. また,SCIMAsel では,SCM アクセスの場合にデー タアレイアクセスの消費エネルギーが約 4 分の 1 にな るが,その他にタグアレイアクセスの消費エネルギー も削減できる.表 3より,SCIMA ではロード/ストア 命令の大部分が SCM へのアクセスであるため,チップ 内の消費エネルギー削減率は 75%∼77%と CacheWP の場合に比べ,より高くなっている. 合計の消費エネルギーについて比較すると,SCIMAsel ではチップ内部,およびバスの消費エネルギー の両方が CacheWP に比べ削減されるため,両モデル 間の消費エネルギーの差はさらに大きくなる.例えば FT では,約 50%もの消費エネルギーが,また最も低 い CG の 128B ラインサイズの場合でさえ 5%の消費エ ネルギーが CacheWP に比べ削減されている.従って, SCIMA はメモリシステム全体として見た場合,キャッ シュアーキテクチャに比べ低消費エネルギー化を達成 できるアーキテクチャであると結論付けることがで きる. 5.3 性能と消費エネルギーの関係 これまでクロックレベルの性能評価において,SCIMA はキャッシュアーキテクチャに比べ高性能が達成で きることが示されている2) .従って,SCIMA は SCM を用いることで,高性能かつ低消費電力を実現できる アーキテクチャである.この性能と消費エネルギーの関 係について議論するため,図 9に Cache モデルと SCIMA モデルの ED 積 (Energy-Delay Product) を示す. 両モデルとも,消費エネルギーは選択的ウェイアクセ スを行なった場合を想定している.また,Cache モデ ルのウェイ予測において,予測ミスが生じた際の性能 へのペナルティーは無視している. 図 9では,SCIMA は Cache に比べ ED 積を大きく改 善できることがわかる.この結果から,性能と消費エ ネルギーの両方を考えた場合,キャッシュアーキテク チャに対する SCIMA の優位性はさらに増すと考えら. 本稿では,ソフトウェア制御のオンチップメモリを用 いる SCIMA のメモリトラフィック削減による低消費電 力化について評価を行なった.また,キャッシュ/SCM アクセスにおける消費電力を含めて評価し,メモリシ ステム全体の低消費電力化の効果についても検討した. 評価結果より,SCIMA ではトラフィック削減によ り,キャッシュに比べ実際にデータバス,アドレスバ スの消費エネルギーを削減できることがわかった.ま た,SCIMA ではキャッシュ/SCM アクセスに費やさ れる消費エネルギーも大きく削減できることから,メ モリシステム全体として見た場合,キャッシュアーキ テクチャに比べ大幅な消費エネルギー削減効果が得ら れることがわかった.今後は,さらに詳細なモデルで 評価を行なう予定である. 謝辞 本研究の一部は,文部科学省科学研究費補助 金 (基盤研究 (B) No. 14380136) によるものである.. 参 考 文 献 1) 中村 宏, 近藤 正章, 大河原 英喜, 朴 泰祐, “ハイパフォーマ ンスコンピューテティング向けアーキテクチャSCIMA”, 情 報処理学会論文誌, Vol 41, No. SIG 5(HPS 1), pp.15–27, 2000 年 8 月. 2) 近藤 正章, 中村 宏, 朴 泰祐, “SCIMA における性能最適化手 法の検討”, 情報処理学会論文誌, Vol 42, No. SIG 12(HPS 4), pp.37–48, 2001 年 11 月. 3) 近藤 正章, 大根田 拓, 田中 慎一, 中村 宏, “ソフトウェア可 制御オンチップメモリを用いた低消費電力化の検討”, 並列処理 シンポジウム JSPP2002, pp.285–288, 2002 年 5 月. 4) M. Lam, E. Rothberg and M. Wolf, “The cache performance and optimizations of Blocked Algorithms”, Proc. ASPLOS-IV, pp.63–74, 1991 5) “PC SDRAM Specification”, Revision 1.7, Intel Corporation, Nov. 1999. 6) S. Aoki, et al. “Performance of lattice QCD programs on CP-PACS”, Parallel Computing 25, pp.1243–1255, 1999. 7) M. B. Kamble, and K. Ghose, “Analytical Energy Dissipation Models For Low Power Caches”, Proc. of the 1998 Int’l. Sym. on Low Power Electronics and Design, pp.143–148, Aug. 1998. 8) M. B. Kamble, and K. Ghose, “Energy-Efficiency of VLSI Caches: A comparative Study”, Proc. of the IEEE 10th. Int’l. Conf. on VLSI Design, pp.261–267, Jan. 1997. 9) K. Inoue, T. Ishihara, and K. Murakami, “WayPredicting Set-Associative Cache for High Performance and Low Energy Consumption”, Proc. of the Int’l. Sym. on Low Power Electronics and Design, pp.273–275, Aug. 1999. 10) S. Wilton and N. Jouppi, “CACTI: An Enhanced Access and Cycle Time Model for On-Chip Caches”, WRL Research Report 93/5, July 1994.. 6 −6−.
(7)
関連したドキュメント
(注)本報告書に掲載している数値は端数を四捨五入しているため、表中の数値の合計が表に示されている合計
24cm 以下 28mm 厚ポリカ又は畳床 7 枚 又 は 鋼 板 8.1mm(注). 4mm 厚ポリカ又は畳床
エネルギー大消費地である東京の責務として、世界をリードする低炭素都市を実 現するため、都内のエネルギー消費量を 2030 年までに 2000 年比 38%削減、温室 効果ガス排出量を
~2030 年までに東京のエネルギー消費量を 2000 年比
①正式の執行権限を消費者に付与することの適切性
[r]
(注)本報告書に掲載している数値は端数を四捨五入しているため、表中の数値の合計が表に示されている合計
東京は、大量のエネルギーを消費する世界有数の大都市であり、カナダ一国に匹