卒業論文
冬期におけるヒートポンプ式リタンエアデシカント
空調システムの性能調査
指導教員:
宋 城基 准教授
広島工業大学環境学部
環境デザイン学科
2015 年度
山之内 喜一
指導教員記入欄 担当教員 宋 城基 印目次
第 1 章 序論 1-1 研究背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 1-2 既往の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1-3 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 1-4 論文構成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 第 2 章 建物と空調システムの概要及び実測方法 2-1 建物と空調システム概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10 2-2 実測方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 第 3 章 2013 年 12 月~2014 年 3 月実測結果 3-1 温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3-2 絶対湿度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 3-3 相対湿度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 3-4 加湿量と処理熱量及び電力量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 3-5 COP と負荷率及び SHF と加湿負荷率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 3-6 回帰分析による給気温湿度に関する検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 第 4 章 2015 年 1 月 19 日~23 日実測結果 4-1 温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 4-2 絶対湿度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42 4-3 相対湿度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44 4-4 加湿量と処理熱量及び電力量・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 4-5 COP と負荷率と SHF・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 4-6 回帰分析による給気温湿度に関する検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 第 5 章 比較検討と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50 第 6 章 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 参考文献 謝辞 AIJ 論文第 1 章
序論
- 1 -
第 1 章 序論
1-1 研究背景 地球温暖化によって省エネルギーや CO2排出量削減が求められている。オフィスビルのエ ネルギー消費量の約 40%が空調関連分野であり、省エネルギーの空調システムが求められ ている。従来デシカント空調システムでは冬期の低湿度の外気をデシカントロータで加湿 し、排熱でデシカントロータを再生させる方式を採用している。しかし、従来デシカント 空調システムでは 60℃程度の低温排熱で再生させる場合は加湿不足となるため、外気を予 め加湿する必要がある。そのため新しく開発されたヒートポンプ式リタンエアデシカント 空調システム1)(以下、デシカント空調システム)は、排熱温度が 40~60℃程度でも十分 にデシカントロータが再生可能であるとされている。しかし、デシカント空調システムは イニシャルコストが高く、空調機本体が大きいため設定面積が大きくなるなどのデメッリ トもある。 図 1-1 従来デシカント空調システム (出典:リタンエアデシカント空調機-リタンエア除湿方式による高効率外気処理-)- 2 - 1-2 既往の研究 1)低炭素化と知的生産性に配慮した最先端オフィスにおける潜熱顕熱分離型空調の研究 -第一報 レタンエアデシカント空調機の実負荷運転における最適能力調整- 研究目的 レタンエアデシカント空調システムの実負荷運転時における性能調査及び性能改善のた めの検討をし、更なる省エネ運転への最適化を目的としている。定格風量 4200𝑚3/ℎに対し て実運用風量は 1000~1500𝑚3/ℎであったため、デシカントロータと全熱交換機の設定回転 数が最適でないことが考えられた。 研究方法 対象建物は、東京都清瀬市に建設された地上三階立て延べ床面積 3,370 ㎡の研究所であ る。顕熱は自然対流を使用したタスクパネル、潜熱はレタンエアデシカント空調システム により処理を行う。風量による影響を確認するため、表 1-1 に示す条件で可変させて検証 を行った。また、最適な回転数を設定するために、定格風量時 4200𝑚3/ℎではデシカントロ ータと全熱交換器回転数をそれぞれ 6~70rph と 3~18rph に、実運用風量時 1200𝑚3/ℎでは デシカントロータ回転数を 6~29rph に変化させて検証を行った。 研究結果 表 1-1 と図 1-2 に示すように、風量に対して回転数が早すぎた場合、デシカントロータ に顕熱交換量が多くなることによる除湿性能の低下が見られた。また、風量が減少し風速 が遅くなりすぎた場合、全熱交換器に偏流が発生することによる除湿性能の低下が見られ た。図 1-3 に示すように、定格風量時では回転数が 17~41rph のとき除湿性能が確保され、 17rph が最も温度上昇が少なかった。図 1-4 に示すように、実運用風量時では回転数が初期 設定 29rph で大きな除湿性能の低下が見られ、17rph 以下では大きな変化は見られなかった。 このことからデシカントロータ適正回転数は 17rph であることがわかった。図 1-5 に示す ように、回転数 15rph 以下では熱交換後の性能が安定せず、15rph 以上では飽和状態の傾向 が見られた。このことから全熱交換器適正回転数は 15rph であることがわかった。また遮 蔽版により面風速を上げることで、偏流を防げることがわかった。 考察 全熱交換器では、偏流により素子に均等に風が接触せず除湿性能の低下が起きているこ とが考えられたが、デシカントロータでは偏流については考えられていなかった。デシカ ントロータに遮蔽版を取り付けた場合の影響を検証する必要があると考えられた。
- 3 -
表 1-1 風量の各可変条件(左)、風量変化時の全熱交換機の結果(右)
図 1-2 風量変化時のデシカントロータの各結果
- 4 -
図 1-4 回転数可変時の実運用風量時におけるデシカントロータの各結果
- 5 - 2)ヒートポンプ式デシカント空調システムの性能調査-夏期における実測調査-2) 研究背景及び目的 地球温暖化によって省エネルギー化や CO2排出量削減が求められている。従来型の冷却減 湿処理の空調方式では、温度制御は可能でも湿度制御は成り行きになる。そこで、従来型 に比べ湿度をよりコントロールでき、潜熱をより効率よく処理できるように改良され、排 熱も利用できるデシカント空調システムが注目されている。本研究では、ヒートポンプ式 リタンエア型デシカント空調システムの性能を明確にすることを目的に実測調査を行った。 研究方法 対象建物は広島市に建設された地下 2 階、地上 12 階建ての延床面積 13,000 ㎡のオフィ スビルである。除湿冷却能力は 143kg/h と 133kW、加湿加熱能力は 79kg/h と 121kW である。 冷房時の給気設定温度は 27℃、給気設定絶対湿度は 10.5g であり、空調運転時間は平日の 8:30~18:00 である。実測は 2013 年の 7 月~9 月の期間で行い。リタンエアデシカント空 調機の外気と出入口の温湿度の実測を行い、リタンエアデシカント空調機の外気と還気と 給気の温湿度変動と除湿量および処理熱量、COP、SHF を調査した。 実測結果 図 1-6 に 7 月~9 月の空調時間内における温度頻度を、図 1-7 に絶対湿度頻度を示す。給 気温度 27℃以下は 7 月が 95%、8 月は 40%、9 月は 60%であった。給気絶対湿度 10.5g 以 下は 7 月が約 20%、8 月は約 10%、9 月は約 50%であった。 図 1-8 に 7 月~9 月の空調時間内における日積算の処理熱量と電力量を示す。7 月の電力 量は欠測している。7 月~9 月で処理熱量は約 310MJ/day~5,200MJ/day で、そのうち顕熱 は約 40MJ/day~500MJ/day で潜熱は約 270MJ/day~4,700MJ/day であった。このことから、 7 月~9 月における処理熱量の平均は約 2,500MJ/day で、そのうち顕熱は 2~3 割、潜熱は 7 ~8 割であった。8 月と 9 月の電力量は約 250kW/day~約 650kW/day であった。 図 1-9 に 8~9 月の空調時間内における除湿負荷率と熱負荷率、COP の関係を示す。除湿 負荷率 8 月と 9 月ともにまんべんなく散布されていた。8 月の熱負荷率は 0.6~0.8 に集中 しており、この時の COP は定格以上の 4~8 を示した。9 月の熱負荷率は 0.1~0.3 に集中し ており、この時の COP は、ほぼ定格を下回っていた。8 月よりも温度が低かったため負荷率 が低くなったと考えられた。 考察 給気温度の約4割、給気湿度の約 8 割が設定温湿度に達していないことがわかったが、 その原因分析は行われなかった。空調機出入口だけでなく、内部の測定を行う必要がある ことが考えられた。
- 6 - 図 1-6 温度頻度 図1-7 絶対湿度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気
7月
8月
9月
頻度
[%
]
6.0~
10.5~
14.0~
17.0~ [g/kg(DA)]
- 7 -
図 1-8 処理熱量と電力量
- 8 - 1-3 研究目的 従来型に比べ性能が向上したヒートポンプ式リタンエアデシカント空調システムである が、性能調査の研究事例はほとんどなく詳しいデータは明らかになっていない。既往の研 究2)ではこのヒートポンプ式リタンエアデシカント空調システムの夏期における性能を明 確にすることを目的に実測を行い、デシカント空調機の外気と還気と給気の温湿度変動と 除湿量および処理熱量、COP、SHF 等を調査した。 そこで本研究では、新しく開発されたヒートポンプ式リタンエアデシカント空調システ ムの冬期における外気と還気と給気の温湿度変動と加湿量および処理熱量、COP、SHF 等 を明確にすることを目的に実測調査を行った。
- 9 - 1-4 論文構成 図 1-10 に本研究における研究の流れを示す。研究背景、空調システム概要など理解した うえで目的を決め、収集データを整理し、データ解析を行う。データ解析は 2013 年 12 月 ~2014 年 3 月と 2015 年 1 月 19 日~23 日で、それぞれの期間の比較を行い考察とまとめを 述べる。 第 1 章の序論では研究の背景、既往の研究、本研究の研究目的を示す。第 2 章の建物と 空調システム概要では本研究における対象建物と対象空調システムの概要を示す。第 3 章 と第 4 章では 2013 年 12 月~2014 年 3 月と 2015 年 1 月 19 日~23 日の温湿度変動、加湿量 と処理熱量及び電力量、COP と負荷率及び SHF と加湿負荷率、回帰分析による給気温湿度に 関する検討を示す。第 5 章では比較検討と考察を行い、第 6 章ではまとめを行う。 図 1-10 研究の流れ •文献調査(既往の研究) •データ解析(温湿度変動、加湿量と処理熱量及び電力量、COPと負荷率及び SHFと加湿負荷率等) •比較検討と考察(2013年12月~2014年3月と2015年1月19日~23日) •まとめ
第 2 章
- 10 -
第 2 章 建物と空調システム概要
2-1 建物概要と空調システム 2-1-1 建物概要 図 2-1 に対象建物の外観を示す。対象建物は広島県広島市に位置するオフィスビルであ る。このオフィスビルは 1973 年 3 月に竣工された地上 12 階、地下 2 階のSRC造で、延 床面積は 13,000 ㎡である。この建物の 1 階と 2 階は銀行、3 階から 11 階はオフィス、12 階は監視室になっている。デシカント空調システムは屋上に設置されており、この建物の 空調方式は個別分散方式であり、室内負荷はビル用マルチエアコンにより処理し、外気負 荷は 2 台設置されているデシカント空調システムによって処理する。 図 2-1 対象建物の外観- 11 - 2-1-2 空調システム概要 ビル用マルチエアコンの室外機の冷房能力は 90kW、暖房能力は 100kW のものが屋上に 9 台あり、室内機は冷房能力 2.2kW~9kW のものが計 207 台ある。 表 2-1 と図 2-2 にデシカント空調システムの性能表とデシカント空調システムの内部構 成と外観図を示す。にデシカント空調システムはデシカントロータと全熱交換器、蒸発器 と凝縮器、加湿器により構成されており、デシカントロータと加湿器で加湿を、全熱交換 機で給気温湿度管理を行っている。また、除湿冷却能力は 143kg/h と 133.2kW、加湿加熱能 力は 79kg/h と 121.8kW であり、給気風量は 13,000 ㎥/h、排気風量は 13,670 ㎥/h、還気風 量は 9,765 ㎥/h、バランス用外気風量は 3,905 ㎥/h である。バランス用外気風量とはヒー トポンプの熱バランスを合わせるために必要な風量のことである。全熱交換器とデシカン トロータの回転数はそれぞれ 16rpm と 5~20rph である。冬期の定格運転時の COP と SHF は それぞれ 3.35 と 0.45、定格運転時の全熱交換器の温度交換効率と湿度交換効率はどちらも 69%、デシカントロータの加湿効率は 0.26g/kJ である。夏期の定格運転時の COP と SHF は それぞれ 3.76 と 0.23、定格運転時の全熱交換器の温度交換効率と湿度交換効率はどちらも 68%、デシカントロータの除湿効率は 0.09g/kJ である。暖房時の給気設定温湿度は 20℃と 10g で、冷房時の給気設定温湿度は 27℃と 10.5g となっている。また、空調運転時間は 8:30 ~18: 00 で土、日、祝日は運転休止である。
- 12 - 表 2-1 デシカント空調システムの性能表 図 2-2 デシカント空調機(上:内部構成、下:外観) 仕様 電源kW 送風機 13,000㎥/h×450Pa(機外) 5.5 排風機 9,765㎥/h×450Pa(機外) 7.5 除湿冷却能力 133.2kW(顕熱30.9kW、除湿量143.7kg/h) 加湿加熱能力 121.8kW(顕熱55.5kW、加湿量79.1kg/h.) 圧縮機 22.4 デシカントロータ 0.2 全熱交換ロータ 0.75
- 13 - 2-1-3 ダクト系統図 図 2-3 に対象建物のダクト系統図を示す。デシカント空調機で空調された空気はダクト を通り、まず防火ダンパー(以降 FD と表記)を通過する。FD とは、火災時の延焼防止や熱 い空気の噴出を防ぐためのダンパーで、ダクトが防火区画を貫通する場合に取り付けられ る。次に防火ダンパーを通過した空気は、各階の風量調整防火ダンパー(以降 FVD と表記) に送られる。FVD とは、風量調整を兼ねる防火ダンパーで、通常は風量調整、火災発生時は 防火ダンパーとして作動する。最後に FVD で風量調整された空気は、各可変低風量ダンパ ー(以降 VAV と表記)に送られ、室内に空気を供給する。VAV とは、室内負荷に応じて送風 量を変えることにより冷暖房能力を調整することができる。そして、排気される室内空気 は、まず風量調整ダンパー(以降 VD と表記)に送られる。VD とは、風量調整用のダンパー である。次に VD に送られた空気は、ダクトを通り FD に送られる。FD に送られた空気はデ シカント空調システムに戻され、排気される。 図 2-3 ダクト系統図
- 14 - 2-2 実測方法 図 2-4 に測定位置を示す。測定期間は 2013 年 12 月~2014 年 3 月の 4 ケ月間と 2015 年 1 月 19 日~23 日で、2013 年 12 月~2014 年 3 月はデシカント空調システムの外気、還気、給 気の 3 箇所における温湿度と電力を測定した。図 2-5,6,7 に内部6箇所を示す。2015 年 1 月 19 日~23 日はデシカント空調システムの外気と給気、還気の3箇所と給気側全熱交換器 交換後、凝縮器通過後、再生側デシカントロータ通過後、排気側全熱交換器通過後、蒸発 器通過後、排気側デシカントロータ通過後の内部6箇所における温湿度と電力を測定した。 また、温湿度の間隔は 5 分、電力量は 1 時間間隔で測定した。デシカント空調機 2 台の温 湿度変動は同じであったため、1 台のデータを用いた。 図 2-4 デシカント空調システムの測定位置
- 15 -
図 2-5 左:給気側全熱交換器通過後、右:凝縮器通過後
図 2-6 左:再生側デシカントロータ通過後、右:排気側全熱交換器通過
第 3 章
- 16 -
第 3 章 2013 年 12 月~2014 年 3 月実測結果
3-1 温度 3-1-1 各月の温度変動 図 3-1,2 に 12 月~3 月の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給気の温度変動 を示す。12 月の外気温度は 2℃~11.2℃、還気温度は 14.3℃~22.1℃、給気温度は 6.1℃ ~20.9℃の変動であった。1 月の外気温度は 1.7℃~12.6℃、還気温度は 14.6℃~21.2℃、 給気温度は 9.7℃~21.5℃の変動であった。2 月の外気温度は 1.8℃~19.4℃、還気温度は 15.1℃~21.8℃、給気温度は 6.8℃~21℃の変動であった。3 月の外気温度は 6.3℃~25℃、 還気温度は 17℃~23.3℃、給気温度は 12.1℃~21.5℃の変動であった。12 月の外気温度は 20 日、25 日、30 日の午前を除けば 5℃以上の変動であった。還気温度は立ち上がり 8:30 ~9:00 と 12 日、30 日を除けば 20℃以上の変動であった。給気温度は立ち上がり 8:30~ 9:00 と 12 日、20 日と 30 日の午前を除けばほとんどが 15℃以上の変動であったが、設定 温度 20℃に達しているのは 24 日だけであることがわかった。1 月の外気温度は 6 日、7 日、 23 日、24 日の午後を除けば 10℃以下の変動であった。還気温度は立ち上がり 8:30~9: 00 を除けば 20℃以上の変動であった。給気温度は立ち上がり 8:30~9:00 と 10 日を除け ば 15℃以上の変動であったが、設定温度 20℃に達しているのは 7 日と 16 日だけであるこ とがわかった。2月の外気温度は 20 日以降が 10℃以上の変動であった。還気温度は立ち上 がり 8:30~9:00 を除けば 20℃以上の変動であった。給気温度は立ち上がり 8:30~9: 00 と 6 日、7 日を除けば 15℃以上の変動であったが、設定温度 20℃に達しているのは 17 日、24 日 26 日、28 日だけであることがわかった。3 月の外気温度は 6 日~11 日の午前を 除けば 10℃以上の変動であった。還気温度は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば 20℃以上 の変動であった。また、28 日は還気温度より外気温度の方が高いことがわかった。給気温 度は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば 15℃以上の変動であったが、設定温度 20℃に達し ているのは 14 日と 28 日だけであることがわかった。このことから各月において給気温度 は設定温度 20℃にほとんど達していないことがわかった。また、外気と給気が変動しても 還気はほぼ一定の変動であることがわかった。- 17 - 図 3-1 各月の温度変動(上:12 月、下:1 月)
0
5
10
15
20
25
温度[
℃
]
外気
還気
給気
0
5
10
15
20
25
温度[
℃
]
外気
還気
給気
- 18 - 図 3-2 各月の温度変動(上:2 月、下:3 月)
0
5
10
15
20
25
温度[
℃
]
外気
還気
給気
0
5
10
15
20
25
30
温度[
℃
]
外気
還気
給気
- 19 - 3-1-2 代表週の温度変動 データの欠損がなく、外気、還気、給気の変動が安定している 12 月 16 日~20 日を代表 週とする。 図 3-3 に代表週 12 月 16 日~20 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給気 の温度変動を示す。外気温度は 1.6℃~11.2℃、還気温度は 14.5℃~21.9℃、給気温度は 8.9℃~20℃の変動であった。外気温度は 20 日の午前を除けば 5℃~10℃の変動であった。 給気温度と還気温度は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば 15℃~20℃と 20℃~21.9℃の変 動であった。このことから代表週 12 月 16 日~20 日では給気温度は設定温度 20℃にほとん ど達していないことがわかった。また、外気と給気が変動しても還気はほぼ一定の変動で あることがわかった。 図 3-3 代表週 12 月 16 日~20 日の温度変動
0
5
10
15
20
25
温度
[℃
]
外気
給気
還気
- 20 - 3-1-3 外気と還気と給気の温度頻度 図 3-4 に 12 月~3 月の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気、還気、給気の温度頻度を 示す。外気温度が 10℃以下は 12 月が約 80%、1 月は約 90%、2 月は約 65%、3 月は約 20% であった。還気温度が 20.1℃以上は 12 月が約 70%、1 月は約 50%、2 月は約 60%、3 月は 約 90%であった。給気温度が 15.1℃以上は 12 月が約 65%、1 月と 2 月は約 70%、3 月は 約 90%であった。また、給気設定温度 20℃に達しているのは 12 月が約 1%、1 月は約 3%、 2 月は約 6%、3 月は約 2%であった。このことから各月において設定温度 20℃に達してい るのは 6%以下であったが、15℃以上は約 70%であることがわかった。 図 3-4 冬期の温度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気 12月 1月 2月 3月頻度
[%
]
~10℃
10.1~15℃
15.1~18℃
18.1~20℃
20.1℃~
- 21 - 3-2 絶対湿度 3-2-1 各月の絶対湿度変動 図 3-5,6 に 12 月~3 月の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給気の絶対湿度 変動を示す。12 月の外気絶対湿度は 2.1g~6.1g、還気絶対湿度は 4g~8.4g、給気絶対 湿度は 3.8g~10.5gの変動であった。1 月の外気絶対湿度は 2.1g~5.5g、還気絶対湿度 は 4.2g~8g、給気絶対湿度は 5.8g~10.3gの変動であった。2 月の外気絶対湿度は 2.2 g~9g、還気絶対湿度は 3.8g~8.4g、給気絶対湿度は 5.3g~10.4gの変動であった。 3 月の外気絶対湿度は 2g~9.5g、還気絶対湿度は 4.2g~8.7g、給気絶対湿度は 5.9g ~11.1gの変動であった。 12 月の外気絶対湿度は 12 日、13 日、20 日、25 日を除けば 3g以上の変動であった。還 気絶対湿度は 9 日、10 日、19 日を除けば 8g以下の変動であった。給気絶対湿度は立ち上 がり 8:30~9:00 と 12 日を除けば 8g以上の変動であったが、設定絶対湿度 10gに達し ているのは 9 日、10 日、19 日だけであることがわかった。 1 月の外気絶対湿度は 10 日、21 日、22 日を除けば 3g以上の変動であった。還気絶対湿 度は 8 日を除けば 8g以下の変動であった。給気絶対湿度は立ち上がり 8:30~9:00 と 10 日を除けばほとんどが 8g以上の変動であったが、設定絶対湿度 10gに達しているのは 8 日だけであることがわかった。 2 月の外気絶対湿度は 6 日~20 日までは 2.5g~4gの変動で 20 日以降は 4g以上の変動 であった。還気絶対湿度は 27 日、28 日を除けば 8g以下の変動で 27 日が外気絶対湿度よ り低くなっていることがわかった。給気絶対湿度は立ち上がり 8:30~9:00 を除けばほと んどが 8g以上の変動であったが、設定絶対湿度 10gに達しているのは 27 日と 28 日だけ であることがわかった。 3 月の外気絶対湿度は 5 日と 11 日~31 日はほぼ 4g以上の変動であった。還気絶対湿度 は 5 日、13 日、28 日を除けば 8g以下の変動で 12 日が外気絶対湿度より低くなっているこ とがわかった。給気絶対湿度は立ち上がり 8:30~9:00 と 12 日を除けば 8g以上の変動で あったが、設定絶対湿度 10gに達しているのは 9 日、10 日、19 日だけであることがわかっ た。このことから各月において給気絶対湿度は設定絶対湿度 10gにほとんど達していない ことがわかった。
- 22 - 図 3-5 各月の絶対湿度変動(上:12 月、下:1 月)
0
2 46
8 1012
絶対湿度[ g/kg (DA) ]外気
還気
給気
0
2
4
6
8
10
12
絶対湿度[
g/kg
(DA)
]
外気
還気
給気
- 23 - 図 3-6 各月の絶対湿度変動(上:2 月、下:3 月) 0 2 4 6 8 10 12 絶対湿度[ g/kg (DA) ]
外気
還気
給気
0 2 4 6 8 10 12 絶対湿度[ g/kg (DA) ]外気
還気
給気
- 24 - 3-2-2 代表週の絶対湿度変動 図 3-7 に代表週 12 月 16 日~20 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給気 の絶対湿度変動を示す。外気絶対湿度は 2.3g~5.8g、還気絶対湿度は 4g~8.2g、給気 絶対湿度は 3.1g~11.6gの変動であった。給気絶対湿度と還気絶対湿度は立ち上がり 8: 30~9:00 を除けば 8g~10gと 6g~8gの変動であった。このことから代表週 12 月 16 日 ~20 日では給気絶対湿度は設定絶対湿度 10gに近いことがわかった。 図 3-7 代表週 12 月 16 日~20 日の絶対湿度変動 0 2 4 6 8 10 12
絶対湿度
[g
/k
g
(DA
)]
給気
外気
還気
- 25 - 3-2-3 外気と還気と給気の絶対湿度頻度 図 3-8 に 12 月~3 月の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気、還気、給気の絶対湿度頻 度を示す。外気絶対湿度が 5g以下は 12 月が約 90%、1 月は約 95%、2 月は約 80%、3 月 は約 65%であった。還気絶対湿度が 7.5g以下は 12 月が約 80%、1 月と 2 月は約 90%、3 月は約 75%であった。給気絶対湿度が 7.6g以上は 12 月が約 85%、1 月は約 75%、2 月は 約 70%、3 月は約 90%であった。設定絶対湿度 10gに達しているのは 12 月が約 5%、1 月 と 2 月は約 2%、3 月は約 8%であった。このことから各月において設定絶対湿度 10gに達 しているのは 8%以下であったが、7.6g以上は約 80%であることがわかった。 図 3-8 冬期の絶対湿度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気 12月 1月 2月 3月頻度
[%
]
~5g
5.1~7.5g
7.6~10g
10.1g~
- 26 - 3-3 相対湿度 3-3-1 各月の相対湿度変動 図 3-9、10 に 12 月~3 月の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給気の相対湿 度変動を示す。12 月の外気相対湿度は 26.7%~88.2%、還気相対湿度は 38.1%~51%、給 気相対湿度は 48.7%~88.7%の変動であった。1 月の外気相対湿度は 34.2%~85.9%、還 気相対湿度は 38%~57.8%、給気相対湿度は 51.9%~84.3%の変動であった。2 月の外気 相対湿度は 29.3%~86.8%、還気相対湿度は 35.4%~54.7%、給気相対湿度は 47.1%~ 87.4%の変動であった。3 月の外気相対湿度は 24.6%~88.2%、還気相対湿度は 34.8%~ 55.6%、給気相対湿度は 44%~83.5%の変動であった。 12 月の外気相対湿度は 12 日が低く 30%を下回っていることがわかった。給気相対湿度 も 12 日が低く 50%を下回っているがわかった。還気相対湿度はほぼ一定で 40%~50%で 変動であった。 1 月の外気相対湿度は 8 日、10 日、20 日が高く 80%を超えていることがわかった。還気 相対湿度はほぼ一定で 40%~50%で変動であった。給気相対湿度は 6 日、7 日、9 日、16 日が 60%を下回っていることがわかった。 2 月の外気相対湿度は 20 日が低く 30%を下回っていることがわかった。還気相対湿度は ほぼ一定で 40%~50%で変動であった。給気相対湿度は 25 日が低く 50%を下回っている ことがわかった。 3 月の外気相対湿度は 5 日と 13 日が高く 80%を超えていることがわかった。還気相対湿 度は 13 日を除けばほぼ一定で 40%~50%で変動であった。給気相対湿度は 28 日が低く 50% を下回っていることがわかった。このことから各月において還気相対湿度はほぼ一定で 40%~50%で変動であった。
- 27 - 図 3-9 各月の相対湿度変動(上:12 月、下:1 月)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
相対湿度[
%]
外気
還気
給気
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
相対湿度[
%]
外気
還気
給気
- 28 - 図 3-10 各月の相対湿度変動(上:2 月、下:3 月)
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
相対湿度[
%]
外気
還気
給気
0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 相対湿度[ %]外気
還気
給気
- 29 - 3-3-2 代表週の相対湿度変動 図 3-11 に代表週 12 月 16 日~20 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気と還気と給 気の相対湿度変動を示す。外気相対湿度は 29.3%~91.1%、還気相対湿度は 37.4%~52.9%、 給気相対湿度は 28.7%~95.6%の変動であった。還気相対湿度は 40%~50%で変動し、ほ ぼ一定であった。このことから代表週 12 月 16 日~20 日では給気相対湿度は設定相対湿度 70%に達していることがわかった。また、還気温湿度が 20℃以上、38%以上であることか ら室内の推奨温湿度環境は満足していることがわかった。 図 3-11 代表週 12 月 16 日~20 日の相対湿度変動 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 相対湿度 [% ]
還気
給気
外気
- 30 - 3-3‐3 外気と還気と給気の相対湿度頻度 図 3-12 に 12 月~3 月の空調時間帯における外気、還気、給気の相対湿度頻度を示す。外 気相対湿度が 40.1%以上は 12 月と 1 月が約 85%、2 月は約 80%、3 月は約 60%であった。 還気相対湿度が 40.1~55%は 12 月と 1 月は約 95%、2 月と 3 月は約 85%であった。給気 相対湿度が 55.1%以上は 12 月、2 月、3 月は約 95%、1 月は約 75%であった。設定相対湿 度 70%に達しているのは 12 月と 1 月は約 70%、2 月は約 65%、3 月は約 45%であった。 このことから各月において給気相対湿度は設定相対湿度 70%に達しているのは約 60%であ ったが、給気相対湿度 55.1%以上は約 95%であることがわかった。また、還気相対湿度 40.1% 以上は約 90%であることから、室内の相対湿度は満足していると考えられる。 図 3-12 冬期の相対湿度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気 外気 還気 給気
12月
1月
2月
3月
頻度[%]
~40%
40.1~55%
55.1~70%
70.1%~
- 31 - 3-4 加湿量と処理熱量及び電力量 3-4-1 各月の時間積算加湿量と処理熱量及び電力量 図 3-13、14 に 12 月~3 月における空調時間帯の時間積算加湿量と時間積算処理熱量及び 電力量を示す。加湿量は立ち上がり 8:30~9:00 と 12 月 12 日と 3 月 12 日を除けば、12 月は 47kg/h~106kg/h、1 月は 47kg/h~104kg/h、2 月は 21kg/h~100kg/h、3 月 12kg/h~ 102kg/h の変動をしており、平均加湿量は 71 kg/h であった。このことから、12 月、1 月、 2 月が 3 月より加湿量が多いことがわかった。 処理熱量は立ち上がり 8:30~9:00 と 12 月 12 日と 3 月 12 日を除けば、12 月は 238 MJ/h ~396MJ/h で、そのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 122MJ/h~132MJ/h と 116MJ/h~265MJ/h であ った。平均処理熱量は 306 MJ/h でそのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 126MJ/h と 181MJ/h であ った。1 月は 191MJ/h~401MJ/h で、そのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 58MJ/h~140MJ/h と 133MJ/h~261MJ/h であった。平均処理熱量は 317 MJ/h でそのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 136MJ/h と 181MJ/h であった。2 月は 99MJ/h~401MJ/h で、そのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 47MJ/h~160MJ/h と 52MJ/h~241MJ/h であった。平均処理熱量は 306 MJ/h でそのうち顕熱 と潜熱はそれぞれ 119MJ/h と 177MJ/h であった。3 月は 33MJ/h~383MJ/h で、そのうち顕 熱と潜熱はそれぞれ 33MJ/h~128MJ/h と 0MJ/h~256MJ/h であった。平均処理熱量は 262 MJ/h でそのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 86MJ/h と 175MJ/h であった。このことから、各月とも顕 熱は 3~4 割、潜熱は 6~7 割であった。 電力量は立ち上がり 8:30~9:00 と 12 月 12 日と 3 月 12 日を除けば、12 月は 5kW/h~ 24kW/h、1 月は 8kW/h~26kW/h 、2 月は 7kW/h~27kW/h、3 月は 7kW/h~27kW/h の変動をし ており、平均電力量は 17 kW/h であった。このことから、各月とも電力量の変動幅はほぼ 同じであることがわかった。
- 32 - 図 3-13 時間積算加湿量と処理熱量及び電力量 (上:12 月、下:1 月)
0
50
100
150
200
250
300
350
400
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
8:
30
16
:0
0
14
:0
0
12
:0
0
10
:0
0
8:
30
16
:0
0
14
:0
0
12
:0
0
10
:0
0
8:
30
16
:0
0
14
:00
12
:0
0
10
:0
0
8:
30
16
:0
0
14
:0
0
12
:0
0
9 10 11 12 13 16 17 18 19 20 24 25 26 27 30
電力量[
kW/
h
]
処理熱量[
M
J/
h
]加湿量
[kg/
h
]
潜熱 顕熱 加湿量 電力量0
50
100
150
200
250
300
350
400
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
8:
30
15
:0
0
12
:0
0
9:
00
16
:00
13
:0
0
10
:0
0
17
:0
0
14
:0
0
11
:0
0
8:
30
15
:0
0
12
:00
9:
00
16
:0
0
13
:0
0
10
:0
0
17
:0
0
14
:0
0
6
7
8
9
10 15 16 17 20 21 22 23 24
電力量[
kW/
h
]
処理熱量[
M
J/
h
]加湿量
[kg/
h
]
潜熱 顕熱 加湿量 電力量- 33 - 図 3-14 時間積算加湿量と処理熱量及び電力量 (上:2 月、下:3 月)
0
50
100
150
200
250
300
350
400
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
8:
30
15
:0
0
12
:0
0
9:
00
16
:0
0
13
:00
10
:0
0
17
:0
0
14
:0
0
11
:0
0
8:
30
15
:0
0
12
:0
0
9:
00
16
:0
0
13
:0
0
10
:00
17
:0
0
14
:0
0
11
:0
0
6
7
10 12 13 14 17 18 19 20 21 24 25 26
電力量[
kW/
h
]
処理熱量[
M
J/
h
]加湿量
[kg/
h
]
潜熱 顕熱 加湿量 電力量0
50
100
150
200
250
300
350
400
0
50
100
150
200
250
300
350
400
450
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:00
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
8:
30
13
:0
0
3
4
5
6
7
10
11
12
13
14
電力量[
kW
/h
]
処理熱量[
M
J/
h
]加湿
量
[kg/
h
]
潜熱 顕熱 加湿量 電力量- 34 - 3-4-1 各月の日積算加湿量と処理熱量及び電力量 図 3-15 に 12 月~3 月における空調時間帯の日積算加湿量と日積算処理熱量及び電力量を 示す。加湿量は 255kg/day~909kg/day の変動をしており、4 ヶ月の平均加湿量は 703 kg/day であった。3 月は外気温湿度が他の月より高いため加湿量が少ないと考えられる。 処理熱量は 12 月~2 月で 12 月 12 日と 2 月 25 日を除けば、2,166 MJ/day~3,544MJ/day で、そのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 701MJ/day~1,601MJ/day と 1,409MJ/day~2,145MJ/day であった。12 月~2 月の 12 月 12 日と 2 月 25 日を除いた処理熱量の平均は 3,114 MJ/day で 顕 熱 と 潜 熱は そ れぞ れ 1,301MJ/day と 1,813MJ/day で あ った 。 3 月 は 912MJ/day ~ 3,210MJ/day で、そのうち顕熱と潜熱はそれぞれ 264MJ/day~1,096MJ/day と 648MJ/day~ 2,114MJ/day であった。3 月の処理熱量の平均は 2,510MJ/day でそのうち顕熱と潜熱はそれ ぞれ 812MJ/day と 1,698MJ/day であった。このことから処理熱量は 912MJ/day~3,544MJ/day の変動をしており、処理熱量の 4 ケ月の平均は 2,930MJ/day で、そのうち顕熱が 3~4 割で 潜熱は 6~7 割であることがわかった。また、処理熱量が変動しても顕熱と潜熱の割合はあ まり変わらないことがわかった。 電力量は 12 月~2 月で 141kW/day~230kW/day であった。12 月~2 月の電力量の平均は 186kW/day であった。 3 月の電力量は 131kW/day~239kW/day であった。3 月の電力量の平 均は 206kW/day であった。このことから電力量は 131kW/day~239kW/day の変動をしており、 4 ケ月の平均は 190 kW/day であった。このことから、1 月から電力量が多くなっているこ とがわかった。 図 3-15 各月の日積算加湿量と処理熱量及び電力量
0
50
100
150
200
250
300
350
400
0
500
1,000
1,500
2,000
2,500
3,000
3,500
4,000
9 12 17 20 26 6 9 16 21 24 10 14 19 24 3 6 11 14
12月
1月
2月
3月
電力量
[KW/
d
]
処理熱量
[MJ/day]
加湿量
[kg
/d
ay]
潜熱 顕熱 加湿量 電力量- 35 - 3-5 COP と負荷率及び SHF と加湿負荷率 3-5-1 各月の COP と負荷率 図 3-16 に 12 月~3 月の立ち上がり 8:30~9:00 を除く空調時間帯における COP と熱負 荷率の関係を示す。12 月の熱負荷率は 0.2~0.9、COP は 2~6 の変動であった。熱負荷率が 0.6~0.9 に集中しており、このときの COP は 4~6 に集中していた。このことから熱負荷率 が 0.6 以上の時に定格 COP3.35 を超えていることがわかった。1 月の熱負荷率は 0.44~0.91、 COP は 3~7 の変動であった。熱負荷率が 0.6~0.9 に集中しており、このときの COP は 3~ 6 に集中していた。このことから熱負荷率が 0.6 以上の時に定格 COP3.35 を超えていること がわかった。2 月の熱負荷率は 0.23~0.92、COP は 2~7 の変動であった。他の月と比べる と散らばっているが熱負荷率が 0.6~0.9 に集中しており、このときの COP は 3~6 に集中 していた。このことから熱負荷率が 0.6 以上の時に定格 COP3.35 を超えていることがわか った。3 月の熱負荷率は 0.08~0.88、COP は 2~7 の変動であった。熱負荷率が 0.5~0.8 に 集中しており、このときの COP は 2~5 に集中していた。このことから熱負荷率が 0.6 以上 の時に定格 COP3.35 を超えていることがわかった。 図 3-16 COP と熱負荷率(左上:12 月、右上:1 月、左下:2 月、右下:3 月) 0 2 4 6 8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C OP [-] 熱負荷率[-] 定格COP3.35 0 2 4 6 8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C OP [-] 熱負荷率[-] 定格COP3.35 0 2 4 6 8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C OP [-] 熱負荷率[-] 定格COP3.35 0 2 4 6 8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 C OP [-] 熱負荷率[-] 定格COP3.35
- 36 - 3-5-2 各月の SHF と加湿負荷率 図 3-17 に 12 月~3 月の立ち上がり 8:30~9:00 を除く空調時間帯における SHF と加湿 負荷率の関係を示す。12 月の加湿負荷率は 0.59~1.34 、SHF は 0.29~0.56 の変動であっ た。加湿負荷率が 0.7~1.2 に集中しており、このときの SHF は 0.3~0.5 に集中していた。 このことから加湿負荷率が 0.9 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。 1 月の加湿負荷率は 0.6~1.32 、SHF は 0.27~0.61 の変動であった。加湿負荷率が 0.7 ~1.2 に集中しており、このときの SHF は 0.3~0.55 に集中していた。このことから加湿負 荷率が 1 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。2 月の加湿負荷率は 0.45~1.26 、 SHF は 0.2~0.54 の変動であった。加湿負荷率が 0.8~1.2 に集中しており、このときの SHF は 0.3~0.5 に集中していた。このことから加湿負荷率が 1 以上の時に定格 SHF0.45 を下回 ることがわかった。3 月の加湿負荷率は 0.5~1.29 、SHF は 0.21~0.44 の変動であった。 加湿負荷率が 0.7~1.2 に集中しており、このときの SHF は 0.3~0.55 に集中していた。こ のことから加湿負荷率が 0.7 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。 図 3-17 SHF と加湿負荷率(左上:12 月、右上:1 月、左下:2 月、右下:3 月) 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 SHF [-] 加湿負荷率[-] 定格SHF0.45 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 SHF [-] 加湿負荷率[-] 定格SHF0.45 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 SHF [-] 加湿負荷率[-] 定格SHF0.45 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 SHF [-] 加湿負荷率[-] 定格SHF0.45
- 37 - 3-5-3 冬期の COP と負荷率及び SHF と加湿負荷率 図 3-18 に 12 月~3 月の立ち上がり 8:30~9:00 を除く空調時間帯における COP と熱負 荷率の関係を示す。熱負荷率は 0.08~0.92、COP は 2~7 の変動であった。熱負荷率が 0.6 ~0.9 に集中しており、このときの COP は 3~6 に集中していた。このことから定格 COP3.35 以上は約 85%であり、熱負荷率が 0.6 以上の時に定格 COP3.35 を超えていることがわかっ た。 図 3-18 に 12 月~3 月の立ち上がり 8:30~9:00 を除く空調時間帯における SHF と加湿 負荷率の関係を示す。加湿負荷率は 0.45~1.34 、SHF は 0.2~0.61 の変動であった。加湿 負荷率が 0.8~1.2 に集中しており、このときの SHF は 0.3~0.5 に集中していた。このこ とから定格 SHF0.45 以下は約 75%であり、加湿負荷率が 0.9 以上の時に定格 SHF0.45 を下 回ることがわかった。 図 3-18 上:COP と熱負荷率、下:SHF と加湿負荷率 0 2 4 6 8 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1
C
OP
[‐
]
熱負荷率[‐]
定格COP3.35
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0 0.5 1 1.5SHF
[‐
]
加湿負荷率[‐]
定格SHF0.45
- 38 - 3-6 回帰分析による給気温湿度に関する検討 給気温湿度に影響を与えている因子を探るため、回帰分析によりそれぞれの測定箇所の 温湿度と電力量の影響度を調べた。 回帰分析の結果、給気温度に影響を与えている因子は外気温度(𝜃𝑂𝐴)、還気湿度(𝑥𝑅𝐸)、 電力量(kW)であった。また、給気湿度に影響を与えている因子は外気温度(𝜃𝑂𝐴)、外気 湿度(𝑥𝑂𝐴)、還気湿度(𝑥𝑅𝐸)、電力量(kW)であった。回帰分析により得られた給気温湿 度の回帰式を(1)と(2)に示す。 𝜃𝑆𝐴=0.18𝜃𝑂𝐴+1.42𝑥𝑅𝐸+0.07 kW+4.03…(1) 𝑥𝑆𝐴=-0.031𝜃𝑂𝐴+0.139𝑥𝑂𝐴+0.722𝑥𝑅𝐸+0.004 kW+2.526…(2) 図 3-19 に回帰式の計算結果から得られた給気温湿度と測定した給気温湿度との関係を示 す。この結果から回帰式から得られた給気温湿度と測定した給気温湿度に相関関係が確認 できた。 係数の絶対値の大きさから各因子の影響度を考えると給気温度は還気湿度(𝑥𝑅𝐸)、外気 温度(𝜃𝑂𝐴)、電力量(kW)の順に大きいことがわかった。また、給気湿度は還気湿度(𝑥𝑅𝐸)、外気 湿度(𝑥𝑂𝐴)、外気温度(𝜃𝑂𝐴)、電力量(kW)の順に大きいことがわかった。 表 3-1 に各因子の変動を示す。求めたい因子を変数とし、そのほかの因子には表 1 の最 小値を回帰式に代入し計算した結果、給気温度を 20℃以上にするためには還気湿度は 10.8 g以上、外気温度は 51.2℃以上、電力量は 129 kW 以上必要であることがわかった。また、 給気湿度を 10g以上にするためには、還気湿度は 9.8g以上、外気湿度は 29g以上、電力 量は 96 kW 以上必要であることがわかった。しかし、それぞれの測定箇所の温湿度と電力 量だけでは正確な値を求めることが出来なかった。
- 39 - 図 3-19 計算結果と測定結果の関係 表 3-1 因子の変動 y = 0.9878x R² = 0.5594 y = 0.9911x R² = -0.606 0 5 10 15 20 25 0 5 10 15 20 25 計算給気温湿度[ ℃ ][g /kg] 測定給気温湿度[℃][g/kg(DA)]
給気温度
給気湿度
因子
変数
変動幅
外気温度
1.8℃~25℃
外気湿度
2.0g~9.5g
還気湿度
4.5g~8.6g
電力量
kW
3kW~27kW
𝜃
𝑥
𝑥
第 4 章
- 40 -
第 4 章 2015 年 1 月 19 日~23 日実測結果
4-1 温度 4-1-1 温度変動 図 4-1 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における温度変動を示す。外気温 度は 5.4℃~12.3℃、還気温度は 18℃~21.1℃、給気温度は 15.8℃~22.1℃、給気側全熱 交換器交換後は 16.5℃~23.3℃、凝縮器通過後は 33.3℃~46.8℃、再生側デシカントロー タ通過後は 21.2℃~30.2℃、排気側全熱交換器通過後は 6.3℃~12.6℃、蒸発器通過後は -0.9℃~5.7℃、排気側デシカントロータ通過後は 8.8℃~15.5℃の変動であった。給気温 度は 15℃以上の変動であったが、設定温度 20℃に達しているのは 20 日だけであることが わかった。 図 4-1 1 月 19 日~23 日の温度変動(上;外部 3 箇所、下;内部 6 箇所) 0 5 10 15 20 25 温度[ ℃ ] 外気 還気 給気 -10 0 10 20 30 40 50 19日 20日 21日 22日 23日 温度[ ℃ ] 凝縮器通過後 再生側デシカントロータ通過後 排気側デシカントロータ通過後 給気側全熱交換器通過 蒸発器通過 排気側全熱交換器通過- 41 - 4-1-2 外気と還気と給気の温度頻度 図 4-2 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気、還気、給気の温度 頻度を示す。外気温度が 10℃以下は 76%であった。還気温度が 20.1℃以上は 76%であっ た。給気温度が 15.1℃以上は 100%であった。また、給気設定温度 20℃に達しているのは 12 %であった。このことから設定温度 20℃に達しているのは 12%以下であったが、15℃ 以上は 100%であることがわかった。 図 4-2 1 月 19 日~23 日の温度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気
還気
給気
温度頻度
[%
]
~10℃
10.1~15℃
15.1~18℃
18.1~20℃
20.1℃~
- 42 - 4-2 絶対湿度 4-2-1 絶対湿度変動 図 4-3 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における絶対湿度変動を示す。外 気絶対湿度は 2.7g~6.3g、還気絶対湿度は 5g~8.8g、給気絶対湿度は 5.5g~9.2gの 変動であった。全熱交換器交換後は 6.5g~10.7g、凝縮器通過後は 4.8g~8.4g、再生 側デシカントロータ通過後は 9g~13.5g、排気側全熱交換器通過後は 3g~6.2g、蒸発 器通過後は 3g~5.8g、排気側デシカントロータ通過後は 1.3g~2.9gの変動であった。 給気絶対湿度は設定絶対湿度 10gに達している日はないことがわかった。 図 4-3 1 月 19 日~23 日の絶対湿度変動(上;外部 3 箇所、下;内部 6 箇所) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 絶対 湿度 [ g/kg ( D A ) ] 外気 還気 給気 0 2 4 6 8 10 12 14 16 19日 20日 21日 22日 23日 絶対湿度[ g/ ㎏( DA )] 凝縮器通過後 再生側デシカントロータ通過後 給気側全熱交換器通過 排気側デシカントロータ通過後 排気側全熱交換器通過 蒸発器通過
- 43 - 4-2-2 外気と還気と給気の絶対湿度頻度 図 4-41 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気、還気、給気の絶対湿度 頻度を示す。外気絶対湿度が 5g以下は 80%であった。還気絶対湿度が 7.5g以下は 80% であった。給気絶対湿度が 7.6g以上は 20%であった。設定絶対湿度 10gに達しているの は 0%であった。このことから設定絶対湿度 10gに達しているのは 0%であったが、7.6g 以上は 20%であることがわかった。 図 4-4 1 月 19 日~23 日の絶対湿度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気
還気
給気
絶対湿度頻度
[%
]
~5g
5.1~7.5g
7.6~10g
10.1g~
- 44 - 4-3 相対湿度 4-3-1 相対湿度変動 図 4-5 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における相対湿度変動を示す。外 気相対湿度は 35.1%~87.4%、還気相対湿度は 36.5%~56.7%、給気相対湿度は 33.8%~68.4% の変動であった。全熱交換器交換後は 43%~77.3%、凝縮器通過後は 9.1%~30.1%、再生側 デシカントロータ通過後は 39.6%~81.5%、排気側全熱交換器通過後は 33.7%~83.2%、蒸発 器通過後は 69.8%~96%、排気側デシカントロータ通過後は 15%~27.6%の変動であった。還 気相対湿度はほぼ一定で 40%~60%で変動であった。還気相対湿度はほぼ一定で 40%~ 55%で変動であった。 図 4-5 1 月 19 日~23 日の相対湿度変動(上;外部 3 箇所、下;内部 6 箇所) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 相対 湿度 [ %] 外気 還気 給気 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 19日 20日 21日 22日 23日 相対湿度[ %] 凝縮器通過後 再生側デシカントロータ通過後 給気側全熱交換器通過 排気側デシカントロータ通過後 排気側全熱交換器通過 蒸発器通過
- 45 - 4-3-2 外気と還気と給気の相対湿度頻度 図 4-6 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における外気、還気、給気の相対 湿度頻度を示す。外気相対湿度が 40.1%以上は 90%であった。還気相対湿度が 40.1~55% は 80%であった。給気相対湿度が 55.1%以上は 24%であった。設定相対湿度 70%に達し ているのは 0%であった。このことから設定相対湿度 70%に達しているのは 0%であったが、 給気相対湿度 55.1%以上は 24%であることがわかった。また、還気相対湿度 40.1%以上は 約 90%であることから、室内の相対湿度は満足していると考えられる。 図 4-6 1 月 19 日~23 日の相対湿度頻度
0%
20%
40%
60%
80%
100%
外気
還気
給気
相対湿度頻度
[%
]
~40%
40.1~55%
55.1~70%
70.1%~
- 46 - 4-4 加湿量と処理熱量及び電力量 図 4-7 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯 8:30~18: 00 における時間積算加湿量と時間積 算処理熱量及び電力量を示す。加湿量は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば、30.8kg/h~ 61.5kg/hの変動をしており、平均加湿量は 39.6 kg/h であった。1 月 19 日~23 日ではあ まり加湿されていないことがわかった。 処理熱量は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば、225MJ/h~292MJ/h で、そのうち顕熱と潜 熱はそれぞれ 122MJ/h~166MJ/h と 77MJ/h~154MJ/h であった。処理熱量の平均は 241MJ/h で顕熱と潜熱はそれぞれ 142MJ/h と 99MJ/h であった。そのうち顕熱が 6~7 割で潜熱は 3 ~4 割であることがわかった。処理熱量が最も多いのは 22 日の 17 時で最も少ないのは立ち 上がり 8:30~9:00 を除けば 19 日の 9 時であった。 電力量は立ち上がり 8:30~9:00 を除けば、6kW/h~24kW/h の変動をしており、平均電 力量は 17kW/h であった。電力量は安定していないことがわかった。 図 4-7 加湿量と処理熱量及び電力量 0 5
10
15 20 25 30 0 50100
150 200 250 300 8: 3011
:00
14 :0 0 17 :0 0 10 :0 0 13 :0 0 16 :0 0 9: 00 12 :0 015
:00
8:30 11 :0 0 14 :0 0 17 :0 0 10 :0 0 13 :0 0 16 :0 0 19日 20日 21日 22日 23日電力量
[kw
/h
]
処理熱量
[M
J/
h
]
加湿量
[kg
/h
]
潜熱 MJ/h 顕熱 MJ/h 加湿量 kg/h 電力量 kWh- 47 - 4-5 COP と負荷率及び SHF と加湿負荷率 図 4-8 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯における COP と熱負荷率の関係を示す。熱負荷率 は 0.52~0.67、COP は 3~5 の変動であった。熱負荷率が 0.55~0.65 に集中しており、こ のときの COP は 3~4 に集中していた。このことから定格 COP3.35 以上は 80%であり、熱負 荷率が 0.55 以上の時に定格 COP3.35 を超えていることがわかった。 図 4-8 に 1 月 19 日~23 日の空調時間帯における SHF と加湿負荷率の関係を示す。加湿負 荷率は 0.4~0.78 、SHF は 0.44~0.66 の変動であった。加湿負荷率が 0.45~0.6 に集中し ており、このときの SHF は 0.55~0.65 に集中していた。このことから定格 SHF0.45 以下は 3%であり、加湿負荷率が 0.78 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。 図 4-8 上;COP と熱負荷率、下;SHF と加湿負荷率 0 1 2 3 4 5 6 0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
C
OP
[‐
]
熱負荷率[‐]
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0 0.2 0.4 0.6 0.8 1SHF[‐
]
加湿負荷率[‐]
- 48 - 4-6 回帰分析による給気温湿度に関する検討 給気温湿度に影響を与えている因子を探るため、回帰分析によりそれぞれの測定箇所の 温湿度と電力量の影響度を調べた。 回帰分析の結果、給気温度に影響を与えていると考えられる因子は給気側全熱交換器後 (𝜃1)、排気側全熱交換器後(𝜃2)、蒸発器後(𝜃3)であった。給気湿度に影響を与えている と考えられる因子は外気湿度(𝑥𝑂𝐴)、給気側全熱交換器後(𝑥1)、排気側全熱交換器後(𝑥2)、 蒸発器後(𝑥3)であった。回帰分析により得られた給気温湿度の回帰式を(1)と(2)に 示す。 𝑂𝑆𝐴=0.62𝜃1 +0.25𝜃2 +0.29𝜃3+3.77 …(1) 𝑥𝑆𝐴=−0.94𝑥𝑂𝐴 +0.75𝑥2 +0.9𝑥3 +0.68𝑥3-1.97…(2) 回帰式の計算結果から得られた給気温湿度と、測定した給気温湿度との関係を図 4-9 に 示す。回帰式の計算結果から得られた給気温湿度と測定した給気温湿度の重相関係数𝑅2の 値が 1 に近いことから、回帰式から考えられた影響を与えている因子は妥当だと考えられ る。 係数の絶対値の大きさから各因子の影響度を考えると給気温度(𝑂𝑆𝐴)は給気側全熱交換 器後(𝜃1)、給気湿度(𝑥𝑆𝐴)は排気側全熱交換器後(𝑥2)が最も影響を与えていることがわ かった。 表 4-1 に各因子の変動を示す。求めたい因子を変数とし、そのほかの因子には表 1 の最 小値を回帰式に代入し計算した結果、給気温度を 20℃以上にするためには給気側全熱交換 器後は 21.5℃以上、排気側全熱交換器後は 15.7℃以上、蒸発器後は7.4℃以上必要である ことがわかった。給気湿度を 10g以上にするためには、給気側全熱交換器後は 12.6g以上、 排気側全熱交換器後は 7.8g以上、蒸発器後は 8.8g以上、外気湿度は 0.5g以上必要であ ることがわかった。
- 49 - 図 4-9 計算結果と測定結果の関係 表 4-1 因子の変動 y = 0.9996x R² = 0.9444 y = 0.9992x R² = 0.9687 0 5 10 15 20 25 0 5 10 15 20 25 計算温湿度 [℃ ][ g/ k g( DA )] 測定温湿度[℃][g/kg(DA)] 給気湿度 給気温度
因子
変数
変動幅
外気湿度
2.8g~6.3g
給気側全熱交換器
14.6℃~23.4℃
通過後温湿度
6.7g~10.7g
排気側全熱交換器
6.4℃~12.7℃
通過後温湿度
3g~6.2g
0.3℃~5.7℃
3.2g~5.7g
蒸発器通過後温湿度
𝑥
𝜃
1𝑥
1𝜃
2𝑥
2𝜃
3𝑥
3第 5 章
比較検討と考察
- 50 -
5 章 比較検討と考察
2013 年 12 月~2014 年 3 月の代表週 12 月 16 日~20 日と 2015 年 1 月 19 日~23 日では給 気温度は 2015 年 1 月 19 日~23 日のほうが高く、設定温度 20℃を超える割合も多いことが わかった。給気絶対湿度は 2013 年 12 月 16 日~20 日のほうが高いが、設定絶対湿度 10g に達するのは 5%しかなくどちらも低いことがわかった。還気相対湿度はどちらもあまり変 わらず 40%~50%でほぼ一定であった。また、どちらも還気温湿度が 20℃以上、38%以上 であることから室内の推奨温湿度環境は満足していることがわかった。電力量はあまり変 わらないが処理熱量は 2013 年 12 月 16 日~20 日のほうが多く処理しており、顕熱と潜熱の 割合が逆になっていることがわかった。また、加湿量も 2013 年 12 月 16 日~20 日のほうが 多いことがわかった。COP はほぼ同じであることがわかった。SHF は 2013 年 12 月 16 日~ 20 日のほうが定格以下を示す割合が多いことがわかった。2013 年 12 月~2014 年 3 月の代 表週 12 月 16 日~20 日と 2015 年 1 月 19 日~23 日で差がみられたのは、デシカントロータ と全熱交換器の回転数が違うか加湿器が停止していることが考えられる。第 6 章
まとめ
- 51 -
第 6 章 まとめ
新しく開発されたヒートポンプ式デシカント空調システムの実測調査を行い、以下の知 見を得た。 1)2013 年 12 月~2014 年 3 月の各月において給気温度は設定温度 20℃に達しているのは 6%以下であったが、15℃以上は約 70%であることがわかった。また、外気と給気が変動 しても還気はほぼ一定の変動であることがわかった。2015 年 1 月 19 日~23 日では、設 定温度 20℃に達しているのは 12%以下であったが、15℃以上は 100%であることがわか った。 2)2013 年 12 月~2014 年 3 月の各月において給気絶対湿度は設定絶対湿度 10gに達して いるのは 8%以下であったが、7.6g以上は約 80%であることがわかった。2015 年 1 月 19 日~23 日では、設定絶対湿度 10gに達しているのは 0%であったが、7.6g以上は 20% であることがわかった。 3)2013 年 12 月~2014 年 3 月の各月において給気相対湿度は設定相対湿度 70%に達して いるのは約 60%であったが、給気相対湿度 55.1%以上は約 95%であることがわかった。 2015 年 1 月 19 日~23 日では、設定相対湿度 70%に達しているのは 0%であったが、給 気相対湿度 55.1%以上は 24%であることがわかった。また、どちらも還気相対湿度 40.1% 以上は約 90%であることから、室内の相対湿度は満足していると考えられ、還気温湿度 が 20℃以上、38%以上であることから室内の推奨温湿度環境は満足していることがわか った。還気相対湿度はほぼ一定で 40%~50%で変動であった。 4)2013 年 12 月~2014 年 3 月の 4 ヶ月の平均加湿量は 703 kg/day で 4 ケ月の平均電力量 は 190 kW/day であった。4 ケ月の平均処理熱量は 2,930MJ/day で、そのうち顕熱が 3~4 割で潜熱は 6~7 割であることがわかった。また、処理熱量が変動しても顕熱と潜熱の割 合はあまり変わらないことがわかった。2015 年 1 月 19 日~23 日の平均加湿量は 39.6 kg/h で平均電力量は 16kW/h であった。平均処理熱量は 241MJ/h で、そのうち顕熱が 6~7 割 で潜熱は 3~4 割であることがわかった。 5)2013 年 12 月~2014 年 3 月において定格 COP3.35 以上は約 85%であり、熱負荷率が 0.6 以上の時に定格 COP3.35 を超えていることがわかった。定格 SHF0.45 以下は約 75%であ り、加湿負荷率が 0.9 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。 2015 年 1 月 19 日~23 日では、定格 COP3.35 以上は 80%であり、熱負荷率が 0.55 以上の 時に定格 COP3.35 を超えていることがわかった。定格 SHF0.45 以下は 3%であり、加湿負 荷率が 0.78 以上の時に定格 SHF0.45 を下回ることがわかった。 6)2013 年 12 月~2014 年 3 月において係数の絶対値の大きさから各因子の影響度を考え ると給気温度は還気湿度、外気温度、電力量の順に大きく、給気湿度は還気湿度、外気- 52 - 湿度、外気温度、電力量の順に大きいことがわかった。給気温度を 20℃以上にするため には還気湿度は 10.8g以上、外気温度は 51.2℃以上、電力量は 129 kW 以上必要である ことがわかった。また、給気湿度を 10g以上にするためには、還気湿度は 9.8g以上、 外気湿度は 29g以上、電力量は 96 kW 以上必要であることがわかった。しかし、それぞ れの測定箇所の温湿度と電力量だけでは正確な値を求めることが出来なかった。 2015 年 1 月 19 日~23 日において係数の絶対値の大きさから各因子の影響度を考える と給気温度は給気側全熱交換器後、給気湿度は排気側全熱交換器後が最も影響を与えて いることがわかった。給気温度を 20℃以上にするためには給気側全熱交換器後は 21.5℃ 以上、排気側全熱交換器後は 15.7℃以上、蒸発器後は7.4℃以上必要であることがわか った。給気湿度を 10g以上にするためには、給気側全熱交換器後は 12.6g以上、排気側 全熱交換器後は 7.8g以上、蒸発器後は 8.8g以上、外気湿度は 0.5g以上必要であるこ とがわかった。
- 53 - 今後の課題 本研究では、冬期のみの結果であり中間期の解析は行っていない。よって中間期におい て、デシカント空調システムがどのような運転を行い、どれほどの性能なのかは不明であ る。そこで、年間を通してデシカント空調システムがどのような運転を行い、どれほどの 性能なのか明確にするために中間期の解析を行う必要がある。また、2013 年 12 月~2014 年 3 月の測定箇所は外気、還気、給気の三箇所、2015 年 1 月 19 日~23 日の測定箇所は給 気側全熱交換器交換後、凝縮器通過後、再生側デシカントロータ通過後、排気側全熱交換 器通過後、蒸発器通過後、排気側デシカントロータ通過後の 6 箇所であるが、空調機内部 の解析は行いきれていない。そこで、より詳細な性能調査を行うために空調機内部6箇所 における再生温度、デシカントロータの加湿効率、全熱交換器の交換効率などの解析を行 う必要がある。また、本研究では加湿器が運転しており、加湿器なしの性能を明確にする 必要がある。