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サービスの広告に期待される役割-香川大学学術情報リポジトリ

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香 川 大 学 経 済 論 青 空 第68巻 第 2・3号 1995年11月 415-445

サービスの広告に期待される役割

藤 村 和 宏

はじめに プロモーションあるいはその構成要素である広告の機能や目的に関しては, 有体財のマーケティング理論の中で論じられてきた。基本的機能としては情報 伝達と説得があり,その直接的

H

つ最終的目的は消費者を購買へと駆り立て, 売上高を増加させることであるとされている。そして,その最終的目的に至る 前段階において,情報伝達,想起,知識構造の変容,説得,行動への影響など の役割を果たすとされている。 しかし,サービスの広告においては,有体財の広告において期待される役割 だけで十分であろうか。サービス自体とそのデリパリー(生産及び提供)・プロ セスの特質のために,サービスの広告には有体財のそれ以上の役割が期待され ると考えられる。サービス自体の無形性のために消費者は購買意思決定過程に おいてその品質を直接的に示すような本質的属性を利用できないことが多いの で,高いリスクを知覚するであろうし,品質評価に困難を感じるであろう(藤 村, 1990)。また,デリパリー・プロセスでは消費者の参加が必要不可欠であ り,参加の仕方や程度がサービスの品質形成において重要な役割を果たすとい うことがある(藤村, 1995, 1994)。さらに,消費者がデリパリー・プロセスに 参加し,サービス提供組織の従業員との聞でサービス・エンカウンターが展開 される場合には,両者の行動パターンもデリパリー効率とサービス品質に重大 な影響を及ぼすことになる。 このような特質のために,サービスの広告には有体財のそれ以上の役割が期 香 川 大 学 経 済 論 青 空 第68巻 第 2・3号 1995年11月 415-445

サービスの広告に期待される役割

藤 村 和 宏

はじめに プロモーションあるいはその構成要素である広告の機能や目的に関しては, 有体財のマーケティング理論の中で論じられてきた。基本的機能としては情報 伝達と説得があり,その直接的

H

つ最終的目的は消費者を購買へと駆り立て, 売上高を増加させることであるとされている。そして,その最終的目的に至る 前段階において,情報伝達,想起,知識構造の変容,説得,行動への影響など の役割を果たすとされている。 しかし,サービスの広告においては,有体財の広告において期待される役割 だけで十分であろうか。サービス自体とそのデリパリー(生産及び提供)・プロ セスの特質のために,サービスの広告には有体財のそれ以上の役割が期待され ると考えられる。サービス自体の無形性のために消費者は購買意思決定過程に おいてその品質を直接的に示すような本質的属性を利用できないことが多いの で,高いリスクを知覚するであろうし,品質評価に困難を感じるであろう(藤 村, 1990)。また,デリパリー・プロセスでは消費者の参加が必要不可欠であ り,参加の仕方や程度がサービスの品質形成において重要な役割を果たすとい うことがある(藤村, 1995, 1994)。さらに,消費者がデリパリー・プロセスに 参加し,サービス提供組織の従業員との聞でサービス・エンカウンターが展開 される場合には,両者の行動ノfターンもデリパリー効率とサービス品質に重大 な影響を及ぼすことになる。 このような特質のために,サービスの広告には有体財のそれ以上の役割が期

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416ー 香川大学経済論叢 612 待されると考えられる。本稿では,この有体財の広告以上にサービスの広告に 期待される役割について検討する。尚,広告はサービス提供組織が利用できる 消費者とのコミュニケーション・ツー/レの一つにすぎないので,他のツールと 組合わさることによってのみ以下で検討するような役割を効果的且つ効率的に 遂行することができるであろう。 II 広告に期待される役割 サービス自体の無形性と,そのデリノTリー・プロセスにおける消費者の参加 やサービス・エンカウンターの寄在のために,サービスの広告には以下のよう な役割が期待されるであろう。そして,それには外部顧客である消費者に対す るコミュニケーションだけでなく,内部顧客である従業員に対するコミュニケ ーションも含まれている。 ①サービスの性質や品質に関する情報を消費者に提供することで,提供サー ビスに対する理解や期待の形成を援助する。 ②消費者が提供サービスに対して過度な,あるいは誤った期待を形成しない ように期待形成を管理する。 ③消費者がサービス・デリパリー・プロセス及びそこにおいて展開されるサ ービス・エンカウンターに参加し,それらを効果的且つ効率的に遂行でき るように,消費者にそれらに必要なスクリプトを学習させる。 ④購買意思決定過程で消費者が知覚するリスクを削減する。 ⑤消費者の満足形成過程における原因帰属に影響を与えることで,不満足の 発生を抑制する。 ⑥従業員,特に接客員に彼らの職務の重要性を認識させ,適切なスクリプト や行動基準を提供する。 サービスの広告にはこのような役割が期待されており,サービス提供組織は その展開する広告にこのような役割を適切に担わせることによって,サービス ・デリパリー・システムの効果と効率を高め,それによって消費者満足を向上 416ー 香川大学経済論叢 612 待されると考えられる。本稿では,この有体財の広告以上にサービスの広告に 期待される役割について検討する。尚,広告はサービス提供組織が利用できる 消費者とのコミュニケーション・ツー/レの一つにすぎないので,他のツールと 組合わさることによってのみ以下で検討するような役割を効果的且つ効率的に 遂行することができるであろう。 II 広告に期待される役割 サービス自体の無形性と,そのデリノTリー・プロセスにおける消費者の参加 やサービス・エンカウンターの寄在のために,サービスの広告には以下のよう な役割が期待されるであろう。そして,それには外部顧客である消費者に対す るコミュニケーションだけでなく,内部顧客である従業員に対するコミュニケ ーションも含まれている。 ①サービスの性質や品質に関する情報を消費者に提供することで,提供サー ビスに対する理解や期待の形成を援助する。 ②消費者が提供サービスに対して過度な,あるいは誤った期待を形成しない ように期待形成を管理する。 ③消費者がサービス・デリパリー・プロセス及びそこにおいて展開されるサ ービス・エンカウンターに参加し,それらを効果的且つ効率的に遂行でき るように,消費者にそれらに必要なスクリプトを学習させる。 ④購買意思決定過程で消費者が知覚するリスクを削減する。 ⑤消費者の満足形成過程における原因帰属に影響を与えることで,不満足の 発生を抑制する。 ⑥従業員,特に接客員に彼らの職務の重要性を認識させ,適切なスクリプト や行動基準を提供する。 サービスの広告にはこのような役割が期待されており,サービス提供組織は その展開する広告にこのような役割を適切に担わせることによって,サービス ・デリパリー・システムの効果と効率を高め,それによって消費者満足を向上

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613 サービスの広告に期待される役割J 417-させることが可能となるであろう。さらに,それによって市場において競争優 位も構築できるであろう。 1 消費者のサービス理解と期待形成の援助 サービスは行為,パフォーマンス,努力であるために,あるいはサービス品 質の大部分が経験属性によって構成されているために,サービスの内容や品質 は消費中あるいは消費後にしか理解・評価できないことが多い(藤村, 1990)。 このため消費者は,購買意思決定過程で利用可能なサービスあるいはサービス 提供組織をエボークド・セットに加えたり,提供されているサービスの性質や 品質を理解したり,あるいはサービスに関する知覚品質(あるいは心的イメー ジ,期待)を明確に形成したりすることが困難になっている。これらのことの ために広告に期待される役割のーっとして,消費者がサービス内容の理解や知 覚品質(あるいは期待)の形成を容易に行えるように援助するということがあ る。尚,この役割には,サービスを構成している属性あるいは部分品質の一部 を消費者が不適切に劣っていると知覚している場合にはそれを修正したり,新 しいあるいは改善したサービス・コンセプトやサービス水準がある場合にはそ れらを消費者に伝達することも含まれる。 この役割遂行のための手段としては,広告によるサービスの有形化がある が,これは本来無形なものを視覚的あるいは知的に把握可能なものにするもの である。 Shostack(1977)は,“有形な証拠"を提供することによって消費者の サービス評価を助けることの重要性について特に言及している。その中で彼女 は,有形性の強い製品の場合にはイメージ広告が有効であり,無形性の強い製 品の場合には評価を可能にするような有形な証拠を提供する広告が有効でbあ る,と論じている。 Upahand Uhr (1981)もサービスの広告に関する文献レビ ューに基づ、いて,消費者はサービス評価のための有形な手掛かりを必要として いることから,広告者は提供サービスの性質と品質に関する手掛かりを提供す るために有形物に注意を払う必要がある,と結論づけている。またHeskett, Sasser and Hart (1990)は,専門性の高いサービスあるいは信頼属性が高い割 613 サービスの広告に期待される役割j 417-させることが可能となるであろう。さらに,それによって市場において競争優 位も構築できるであろう。 1 消費者のサービス理解と期待形成の援助 サービスは行為,パフォーマンス,努力であるために,あるいはサービス品 質の大部分が経験属性によって構成されているために,サービスの内容や品質 は消費中あるいは消費後にしか理解・評価できないことが多い(藤村, 1990)。 このため消費者は,購買意思決定過程で利用可能なサービスあるいはサービス 提供組織をエボークド・セットに加えたり,提供されているサービスの性質や 品質を理解したり,あるいはサービスに関する知覚品質(あるいは心的イメー ジ,期待)を明確に形成したりすることが困難になっている。これらのことの ために広告に期待される役割のーっとして,消費者がサービス内容の理解や知 覚品質(あるいは期待)の形成を容易に行えるように援助するということがあ る。尚,この役割には,サービスを構成している属性あるいは部分品質の一部 を消費者が不適切に劣っていると知覚している場合にはそれを修正したり,新 しいあるいは改善したサービス・コンセプトやサービス水準がある場合にはそ れらを消費者に伝達することも含まれる。 この役割遂行のための手段としては,広告によるサービスの有形化がある が,これは本来無形なものを視覚的あるいは知的に把握可能なものにするもの である。 Shostack(1977)は,“有形な証拠"を提供することによって消費者の サービス評価を助けることの重要性について特に言及している。その中で彼女 は,有形性の強い製品の場合にはイメージ広告が有効であり,無形性の強い製 品の場合には評価を可能にするような有形な証拠を提供する広告が有効であ る,と論じている。 Upahand Uhr (1981)もサービスの広告に関する文献レビ ューに基づいて,消費者はサービス評価のための有形な手掛かりを必要として いることから,広告者は提供サービスの性質と品質に関する手掛かりを提供す るために有形物に注意を払う必要がある,と結論づけている。またHeskett, Sasser and Hart (1990)は,専門性の高いサービスあるいは信頼属性が高い割

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-418 香川大学経済論叢 614 合を占めるサービスの場合には特に,有形な手掛かりに注意を払う必要があ る, と百命じている。 彼らの主張とは多少異なるものに, Urwin(1975)の議論があるO 彼はサービ ス広告とライフサイクノレ概念とを組合せ,広告における有形化の重要性を認め ながらも,ライフサイクノレによってサービス広告のあり方は異なるべきであ る,と論じている。またLeggand Baker (1987), Zeithaml (1990)などは,広 告での有形な手掛かり提供をサービスの鮮明化(vividness)の一手段として位 置づけている。彼女らは,消費者がサービスの性質や品質を推測したり,明確 な心的イメージを形成したりするのを比較的容易にする方法のひとつが鮮明化 である,と論じている。鮮明化は広告の中で鮮明な情報を用いることで,消費 者の五感に強烈で、明確な印象を与え,明瞭な心的イメージを作り出そうとする ものである。 Leggand Bakerは,鮮明化と消費者のサービス理解の関係につ いて,鮮明な広告はそうでない広告によりも提供サービスを消費者によく理解 させることができるであろう,という仮説を立てている。また,サービスの鮮 明化によって,消費者がサービスを心的に理解することを容易にしたり,触れ ることができるようにすることで,企業も競争優位性を獲得できるであろうと している。この鮮明化の方法については次章で詳細に検討したい。 2 消費者の期待形成の管理 サービス自体の無形性のために,消費者は購買意思決定過程でサービス内容 を理解したり,期待を形成したりするのが困難であり,それを解決する手段と して広告におけるサービスの有形化や鮮明化が必要とされる。しかし,この過 程ではさらに,消費者の中に形成される期待が適切な水準になるように管理さ れる必要がある。 消費したサービスに対して消費者が不満足を感じる主要な原因は,サービス について企業が約束したもの(期待)と企業が実際に提供したもの(成果)とのギ ャップにある (Parasuraman,Zeithaml and Berry, 1985)。図 lに示している ように,期待は購買意思決定過程においてだけでなく,満足あるいは不満足形 -418 香川大学経済論叢 614 合を占めるサービスの場合には特に,有形な手掛かりに注意を払う必要があ る, と百命じている。 彼らの主張とは多少異なるものに, Urwin(1975)の議論があるO 彼はサービ ス広告とライフサイクノレ概念とを組合せ,広告における有形化の重要性を認め ながらも,ライフサイクノレによってサービス広告のあり方は異なるべきであ る,と論じている。またLeggand Baker (1987), Zeithaml (1990)などは,広 告での有形な手掛かり提供をサービスの鮮明化(vividness)の 手段として位 置づけている。彼女らは,消費者がサービスの性質や品質を推測したり,明確 な心的イメージを形成したりするのを比較的容易にする方法のひとつが鮮明化 である,と論じている。鮮明化は広告の中で鮮明な情報を用いることで,消費 者の五感に強烈で、明確な印象を与え,明瞭な心的イメージを作り出そうとする ものである。 Leggand Bakerは,鮮明化と消費者のサービス理解の関係につ いて,鮮明な広告はそうでない広告によりも提供サービスを消費者によく理解 させることができるであろう,という仮説を立てている。また,サービスの鮮 明化によって,消費者がサービスを心的に理解することを容易にしたり,触れ ることができるようにすることで,企業も競争優位性を獲得できるであろうと している。この鮮明化の方法については次章で詳細に検討したい。 2 消費者の期待形成の管理 サービス自体の無形性のために,消費者は購買意思決定過程でサービス内容 を理解したり,期待を形成したりするのが困難であり,それを解決する手段と して広告におけるサービスの有形化や鮮明化が必要とされる。しかし,この過 程ではさらに,消費者の中に形成される期待が適切な水準になるように管理さ れる必要がある。 消費したサービスに対して消費者が不満足を感じる主要な原因は,サービス について企業が約束したもの(期待)と企業が実際に提供したもの(成果)とのギ ャップにある (Parasuraman,Zeithaml and Berry, 1985)。図lに示している ように,期待は購買意思決定過程においてだけでなく,満足あるいは不満足形

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615 サービスの広告に期待される役割 419ー 成過程においても重要な役割を果たしている。消費者満足研究における期待不

確認

(expectancy disconfirmation)パラダイムでは,購買意思決定過程にお いては個々の製品やサービスに対して期待が形成されるが,その期待は選択に つながる態度に影響を及ぽすだけでなく,満足形成過程においてもそれを評価 するための比較基準としての役割を果たすと仮定されている(藤村,

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)

。そ して,知覚された製品パフォーマンスやサービス成果がこの比較基準としての 期待を上回る場合には満足が形成され,下回る場合には不満足が形成されると 考えられている。 このように期待は満足形成過程において比較基準という重要な役割を果たす ために,提供可能なサービスに比べて過度の期待を消費者に抱かせることは消 費者の不満を導くことになる。そのために消費者の期待水準とその形成にかか わる要因を理解し,期待水準を提供可能なサービス水準に管理することは,サ Timet 図l 期待不確認プロセスの概念モデル 出所:Cadott,巴E R, R B.Woodruff, and R L Jenkins (1987),“Expectations and Norms in Models of Consumer Satisfaction," Journal

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Marketing Research, Vol 24 (August),p 306 一部加筆。 615 サービスの広告に期待される役割 419ー 成過程においても重要な役割を果たしている。消費者満足研究における期待不

確認

(expectancy disconfirmation)パラダイムでは,購買意思決定過程にお いては個々の製品やサービスに対して期待が形成されるが,その期待は選択に つながる態度に影響を及ぽすだけでなく,満足形成過程においてもそれを評価 するための比較基準としての役割を果たすと仮定されている(藤村,

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。そ して,知覚された製品パフォーマンスやサービス成果がこの比較基準としての 期待を上回る場合には満足が形成され,下回る場合には不満足が形成されると 考えられている。 このように期待は満足形成過程において比較基準という重要な役割を果たす ために,提供可能なサービスに比べて過度の期待を消費者に抱かせることは消 費者の不満を導くことになる。そのために消費者の期待水準とその形成にかか わる要因を理解し,期待水準を提供可能なサービス水準に管理することは,サ Timet 図l 期待不確認プロセスの概念モデル 出所:Cadott,巴E R, R B.Woodruff, and R L Jenkins (1987),“Expectations and Norms in Models of Consumer Satisfaction," Journal

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Marketing Research, Vol 24 (August),p 306 一部加筆。

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-420- 香川大学経済論叢 616 ービス提供組織にとって重要な課題である(Bateson,1991)。尚,この目的達 成において注意すべきことは,競争者との比較において,期待水準をあまりに も下げすぎないということである。消費者が競争者よりも低い期待しか形成し ない場合,期待管理は消費者との取引を失うことにつながるからである。 消費者の期待水準をサービス提供組織が提供可能なサービス水準に管理する 必要があるが,消費者の期待は様々の要因,例えば消費者自身の過去の消費経 験,口コミ,サービス提供組織の展開するマーケティング・ミックスなどに影 響されて形成される。サービス提供組織が管理可能なマーケティング・ミック スについて見ると,それには伝統的な

4

Psに加えて,物理的証拠(physical evidence),参加者(participants),サービス生成プロセス (processof service assembly)の3Psも含まれる (Boomsand Bitner, 1981)。サービスは従業員, 消費者,物理的環境の聞の相互作用過程で生成されるために,追加的

3

Psも 消費者にサービス品質に関するメッセージを送り,消費者が購買意思決定過程 においてサービスあるいはサービス提供組織に対するイメージや期待を形成す るのに役立つし,提供されるサービス品質に対する消費者の知覚にも影響を与 える(藤村, 1991a)。例えば,サービス提供施設のデザイン,装飾,業務用名 刺,業務用文房具,サービス施設内の従業員や他の顧客の服装や態度などは, サービス提供組織に対するイメージや期待を形成するのに役立つようなメッセ ージを消費者に送るであろう。従って,追加的3Psを含むマーケティング・ ミックスは,それらが消費者に発するメッセージ間の一貫性あるいは統一性を 保つと同時に,それらのメッセージが提供可能な品質水準に見合った期待を形 成するように管理されなければならない。 追加的

3

Psを含むマーケティング・ミックスの中でも,広告は言葉や動画, 絵,音楽などを通じて消費者に多くのメッセージを直接的

E

つ効果的に伝達す ることができるので,消費者がサービスの性質や品質を推測するのに役立つ手 (1) 消費者fの期待水準を提供可能な品質水準に保つことは重要であるが,比較過程におい て同化効果が生じる場合には,提供可能な品質水準よりも少し高い期待を抱かせる方が 効果的であるかもしれない。 -420- 香川大学経済論叢 616 ービス提供組織にとって重要な課題である (Bateson,1991)。尚,この目的達 成において注意すべきことは,競争者との比較において,期待水準をあまりに も下げすぎないということである。消費者が競争者よりも低い期待しか形成し ない場合,期待管理は消費者との取引を失うことにつながるからである。 消費者の期待水準をサービス提供組織が提供可能なサービス水準に管理する 必要があるが,消費者の期待は様々の要因,例えば消費者自身の過去の消費経 験,口コミ,サービス提供組織の展開するマーケティング・ミックスなどに影 響されて形成される。サービス提供組織が管理可能なマーケティング・ミック スについて見ると,それには伝統的な

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Psに加えて,物理的証拠(physical evidence),参加者(participants),サービス生成プロセス (processof service assembly)の3Psも含まれる (Boomsand Bitner, 1981)。サービスは従業員, 消費者,物理的環境の聞の相互作用過程で生成されるために,追加的

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Psも 消費者にサービス品質に関するメッセージを送り,消費者が購買意思決定過程 においてサービスあるいはサービス提供布団哉に対するイメージや期待を形成す るのに役立つし,提供されるサービス品質に対する消費者の知覚にも影響を与 える(藤村, 1991a)。例えば,サービス提供施設のデザイン,装飾,業務用名 刺,業務用文房具,サービス施設内の従業員や他の顧客の服装や態度などは, サービス提供組織に対するイメージや期待を形成するのに役立つようなメッセ ージを消費者に送るであろう。従って,追加的3Psを含むマーケティング・ ミックスは,それらが消費者に発するメッセージ間の一貫性あるいは統一性を 保つと同時に,それらのメッセージが提供可能な品質水準に見合った期待を形 成するように管理されなければならない。 追加的

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Psを含むマーケティング・ミックスの中でも,広告は言葉や動画, 絵,音楽などを通じて消費者に多くのメッセージを直接的

E

つ効果的に伝達す ることができるので,消費者がサービスの性質や品質を推測するのに役立つ手 (1) 消費者fの期待水準を提供可能な品質水準に保つことは重要であるが,比較過程におい て同化効果が生じる場合には,提供可能な品質水準よりも少し高い期待を抱かせる方が 効果的であるかもしれない。

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617 サービスの広告に期待される役割j -421 掛かりを提供し,特定の便益を約束して期待の形成を促すことにおいて特に重 要な役割を果たしている。そのため広告は,期待の管理においても重要な役割 を果たさなければならないと考えられる。しかし,広告に消費者の期待管理と いう役割を効果的に遂行させるためにどのような方法を用いることができるの か,に関する実証的研究は行われていない。しかしながら,アメリカン航空の 行った“アメリカン航空はなぜ、遅れるのか"と題する広告方法は,この問題に 対処する一つの方法であるかもしれない(Zeithaml,1990)。この広告は,規制 緩和と競争激化で予定時間通りの飛行ができなくなった時に,その原因はアメ リカン航空にあるのではなく,航空サービス産業全体の状況にあるということ を説明するために行われている。アメリカン航空は,遅延原因は主要空港にお ける超過密ダイヤと需要の変動にあることを説明するとともに,この問題を多 少とも解決するために進めている自社の対策を記述することで,航空会社全体 に対する期待を低下させる(時間通りの運航は困難であると知覚させる)と同時 に,サービス改善のためのアメリカン航空の努力を消費者に知覚させている。 ここで重要なことは,自社に対する期待を低下させるのではなく,業界全体に 対する期待を下げ,適正な水準に保持しようとしていることである。自社に対 する期待だけを低下させることは,自社の新規顧客獲得を阻害するばかりでな く,既存顧客の競争者へのスイッチングを促すことになるからである。尚,ア メリカン航空のこのような広告はサービスの利用経験が期待以下となった場合 に起こる原因帰属にもポジティブな影響を及ぽすかもしれないが,この点につ いては後節で検討したい。 またZeithaml(1990)は,サービス・デリパリー・プロセスを記述し,サー ビス品質を構成する品質次元の水準聞にトレード・オフがあることを消費者に 理解させることも,期待を適正水準に管理する手段として用いることができる であろう,と論じている。この考え方に基づくと,例えば,待ち時間と個客化 対応の聞のトレード・オプが避けられない場合,待ち時聞が短いことを望むな らば標準化された対応しかできないが,待ち時聞が長くてもよければ個客化対 応が可能で、あることを,消費者に理解させるような広告というものもあるかも 617 サービスの広告に期待される役割j -421 掛かりを提供し,特定の便益を約束して期待の形成を促すことにおいて特に重 要な役割を果たしている。そのため広告は,期待の管理においても重要な役割 を果たさなければならないと考えられる。しかし,広告に消費者の期待管理と いう役割を効果的に遂行させるためにどのような方法を用いることができるの か,に関する実証的研究は行われていない。しかしながら,アメリカン航空の 行った“アメリカン航空はなぜ、遅れるのか"と題する広告方法は,この問題に 対処する一つの方法であるかもしれない(Zeithaml,1990)。この広告は,規制 緩和と競争激化で予定時間通りの飛行ができなくなった時に,その原因はアメ リカン航空にあるのではなく,航空サービス産業全体の状況にあるということ を説明するために行われている。アメリカン航空は,遅延原因は主要空港にお ける超過密ダイヤと需要の変動にあることを説明するとともに,この問題を多 少とも解決するために進めている自社の対策を記述することで,航空会社全体 に対する期待を低下させる(時間通りの運航は困難であると知覚させる)と同時 に,サービス改善のためのアメリカン航空の努力を消費者に知覚させている。 ここで重要なことは,自社に対する期待を低下させるのではなく,業界全体に 対する期待を下げ,適正な水準に保持しようとしていることである。自社に対 する期待だけを低下させることは,自社の新規顧客獲得を阻害するばかりでな く,既存顧客の競争者へのスイッチングを促すことになるからである。尚,ア メリカン航空のこのような広告はサービスの利用経験が期待以下となった場合 に起こる原因帰属にもポジティブな影響を及ぽすかもしれないが,この点につ いては後節で検討したい。 またZeithaml(1990)は,サービス・デリパリー・プロセスを記述し,サー ビス品質を構成する品質次元の水準聞にトレード・オフがあることを消費者に 理解させることも,期待を適正水準に管理する手段として用いることができる であろう,と論じている。この考え方に基づくと,例えば,待ち時間と個客化 対応の聞のトレード・オプが避けられない場合,待ち時聞が短いことを望むな らば標準化された対応しかできないが,待ち時聞が長くてもよければ個客化対 応が可能で、あることを,消費者に理解させるような広告というものもあるかも

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~422 香川大学経済論叢 618 しれない。 3 消費者のスクリプト学習の援助 従来の態度や満足形成にかかわる研究においては,期待は製品全体ベースあ るいは属性ベースで定義されてきた。例えば,製品全体ベースでの定義では「製 造業者の訴求あるいは製品情報によって創り出される,製品の全体的なパフォ ーマンスに対する消費前の信念(Anderson,1973; Churchill and Surprenant,

1982; Oliver, 1977; Swan and Martin, 1981; Westbrook and Reilly,

1983)Jと定義されている。また,属性ベースでは r製品が備え持っている諸 属性の水準に対する消費者の信念(Bearden and Teel, 1983; Churchill and Surprenannt, 1982; Oliver and Linda, 1981; Olson and Dover, 1976, 1979;

Westbrook and Reilly, 1983)Jと定義されている。 しかし,サービスの場合,そのデリパリー・プロセスに消費者が参加し,生 産と消費が同時に行われるために,前述の定義のように期待を捉えるだけでは 不十分である。サービスは生産と消費が同時に行なわれるために,サービスに 対する消費者の満足は提供されたもの(結果)とその提供のされ方(プロセス) の両方に基づいて形成されるであろうから,評価基準としての期待もその両方 に対して形成されると考えられる。結果に関する期待は従来の期待の捉え方と 同様に,パフォーマンス水準として捉えることができるであろうが,プロセス に関する期待はサービス・デリパリー・プロセスを構成する一連の出来事とそ れらの時間的順序,各出来事内で関係する従業員や他の顧客の特性や行為,各 活動が起こる状況などから構成されていると考えられる。すなわち,プロセス に関する期待はスクリプトによって構成されていると考えられる。

スクリプト(台本)とは, Smith and Houston(l983)によると,イベント・ スキーマあるいは知識の心的表象であり,サービス・エンカウンターを含む (2 ) スキーマは,ある刺激領域に関する一般的な知識の単位で記憶の中に貯蔵されてお り,その領域内の特定の事実に関する情報を処理する際のガイドラインとして働く。ス キーマは個人によって異なるし,様々なものに対してスキーマは構築される。例えば, ~422 香川大学経済論叢 618 しれない。 3 消費者のスクリプト学習の援助 従来の態度や満足形成にかかわる研究においては,期待は製品全体ベースあ るいは属性ベースで定義されてきた。例えば,製品全体ベースでの定義では「製 造業者の訴求あるいは製品情報によって創り出される,製品の全体的なパフォ ーマンスに対する消費前の信念(Anderson,1973; Churchill and Surprenant,

1982; Oliver, 1977; Swan and Martin, 1981; Westbrook and Reilly,

1983)Jと定義されている。また,属性ベースでは r製品が備え持っている諸 属性の水準に対する消費者の信念(Bearden and Teel, 1983; Churchill and Surprenannt, 1982; Oliver and Linda, 1981; Olson and Dover, 1976, 1979;

Westbrook and Reilly, 1983)Jと定義されている。 しかし,サービスの場合,そのデリパリー・プロセスに消費者が参加し,生 産と消費が同時に行われるために,前述の定義のように期待を捉えるだけでは 不十分である。サービスは生産と消費が同時に行なわれるために,サービスに 対する消費者の満足は提供されたもの(結果)とその提供のされ方(プロセス) の両方に基づいて形成されるであろうから,評価基準としての期待もその両方 に対して形成されると考えられる。結果に関する期待は従来の期待の捉え方と 同様に,パフォーマンス水準として捉えることができるであろうが,プロセス に関する期待はサービス・デリパリー・プロセスを構成する一連の出来事とそ れらの時間的順序,各出来事内で関係する従業員や他の顧客の特性や行為,各 活動が起こる状況などから構成されていると考えられる。すなわち,プロセス に関する期待はスクリプトによって構成されていると考えられる。

スクリプト(台本)とは, Smith and Houston(l983)によると,イベント・ スキーマあるいは知識の心的表象であり,サービス・エンカウンターを含む

(2 ) スキーマは,ある刺激領域に関する一般的な知識の単位で記憶の中に貯蔵されてお り,その領域内の特定の事実に関する情報を処理する際のガイドラインとして働く。ス キーマは個人によって異なるし,様々なものに対してスキーマは構築される。例えば,

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619 サービスの広告に期待される役割 423-日々の反復的な出来事における相互作用を容易にする一般的知識である。また Schank and Abelson(1977)によると,スクリプトは行動のあらかじめ決定さ れた型にはまった順序であり,見慣れた状況を明確にするものである。 Abboott and Black (1980)は Schankand Abelsonの定義を拡張して,平凡な出来事の ためのスクリプトは日常生活で頻繁に行われるために,行動が型にはまってい る出来事に関する知識であり,出来事に関連する標準的行動,性質,対象から 構成される,と定義している。 対象あるいは対象のクラスのためのスキーマ,人々あるいはパーソナリティ・タイプの ためのスキーマ,社会的あるいは職業上の役割のためのスキーマ,出来事のためのスキ ーマなどが構築される (Smithand Houston, 1983)。 (3 ) スクリプトと類似した概念に役割期待がある。スクリプトは心理学の分野から出た概 念であるが,役割期待は社会心理学から出た概念である。 役割は個人外のもの(extraーindividual)と仮定されており,すべての個人はある役割 を引き受けるときには,あらかじめ決められている行動セ、yトに従って同じように行動 することが期待されている。その行動セットは一般的に経験とコミュニケーションを通 じて学習されるが,役割の内容に関しては個人間でかなりの程度にコンセンサスがあ る。また,役割行為は相互依存的であり,その適切性は他者によって判断される。サー ビス提供にかかわっている従業員の場合,他者には管理者,共働者,消費者などが含ま れる。それゆえ,役割演技者は他者から受けるフィードノ"';;クに適応することになる。 (Solomon, Surprenant and Gutman, 1985) サービスの利用経験が豊富で,そこでの役割を理解している消費者は無意識にそれに 相応しい役割を演じることができるが,経験の少ない,あるいは理解していない消費者 はかなりの認知的活動を必要とする。また,役割の割当はサービス・エンカウンターの 初期段階で行われ,それ以後の相互作用に影響を及ぼすため,エンカウンターの初期段 階は,後の段階よりも相互作用の最終的成果にとってより重要であるとされている。 役割不一致は消費者あるいは従業員の不満足につながるが,それは次のことから起こ るであろう (Solomon,Surprenant and Gutman, 1985)。 (1)職務義務あるいはその性格に対する従業員の知覚が,それらに対する消費者の期待 と異なっている。 (2)顧客としての役割に関して消費者が持ーっている概念が,従業員が持っている顧客の 役割概念と異なっている。 また,役割j理論とスクリプト理論のパ スペクティブの聞には,次のような基本的相 違がある。 (1)スクリプト理論のパ スペクティブはかなり広い範囲にもの(例えば,サービスの 背景の影響)に関係しており,個人間のサービス・ヱンカウンターというよりは, サービス経験に関係している。 (2)スクリプトは個人的・主観的で各個人ごとに存在し,個人の経験とパーソナリティ ーによって決定される。 方,役割jはより客観的で,個人の知覚や認知というより は,社会的地位あるいは肩書(医者,作家)によって定義されている。 619 サービスの広告に期待される役割 423-日々の反復的な出来事における相互作用を容易にする一般的知識である。また Schank and Abelson(1977)によると,スクリプトは行動のあらかじめ決定さ れた型にはまった順序であり,見慣れた状況を明確にするものである。 Abboott and Black (1980)は Schankand Abelsonの定義を拡張して,平凡な出来事の ためのスクリプトは日常生活で頻繁に行われるために,行動が型にはまってい る出来事に関する知識であり,出来事に関連する標準的行動,性質,対象から 構成される,と定義している。 対象あるいは対象のクラスのためのスキーマ,人々あるいはパーソナリティ・タイプの ためのスキーマ,社会的あるいは職業上の役割lのためのスキーマ,出来事のためのスキ ーマなどが構築される (Smithand Houston, 1983)。 (3 ) スクリプトと類似した概念に役割j期待がある。スクリプトは心理学の分野から出た概 念であるが,役割期待は社会IL;、理学から出た概念である。 役割は個人外のもの(extraーindividual)と仮定されており,すべての個人はある役割 を引き受けるときには,あらかじめ決められている行動セ、yトに従って同じように行動 することが期待されている。その行動セットは一般的に経験とコミュニケーションを通 じて学習されるが,役割の内容に関しては個人間でかなりの程度にコンセンサスがあ る。また,役割行為は相互依存的であり,その適切性は他者によって判断される。サー ビス提供にかかわっている従業員の場合,他者には管理者,共働者,消費者などが含ま れる。それゆえ,役割演技者は他者から受けるフィードパyクに適応することになる。 (Solomon, Surprenant and Gutman, 1985) サービスの利用経験が豊富で,そこでの役割を理解している消費者は無意識にそれに 相応しい役割を演じることができるが,経験の少ない,あるいは理解していない消費者 はかなりの認知的活動を必要とする。また,役割の割当はサービス・エンカウンターの 初期段階で行われ,それ以後の相互作用に影響を及ぼすため,ヱンカウンタ の初期段 階は,後の段階よりも相互作用の最終的成果にとってより重要であるとされている。 役割j不一致は消費者あるいは従業員の不満足につながるが,それは次のことから起こ るであろう (Solomon,Surprenant and Gutman, 1985)。 (1)職務義務あるいはその性格に対する従業員の知覚が,それらに対する消費者の期待 と異なっている。 (2)顧客としての役割に関して消費者が持ーっている概念が,従業員が持っている顧客の 役割

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概念と異なっている。 また,役割理論とスクリプト理論のパ スペクティブの聞には,次のような基本的相 違がある。 (1)スクリプト理論のパ スペクティブはかなiり広い範囲にもの(例えば,サービスの 背景の影響)に関係しており,個人間のサービス・エンカウンターというよりは, サービス経験に関係している。 (2)スクリプトは個人的・主観的で各個人ごとに存在し,個人の経験とパーソナリティ ーによって決定される。 方,役割jはより客観的で,個人の知覚や認知というより は,社会的地位あるいは肩書(医者,作家)によって定義されている。

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-424- 香川大学経済論叢 620 スクリプトには因果的・時間的順序において関連している一連の行動が含ま れるので,将来の出来事に関する予測を容易にするという機能がある。サービ スのプロゼスに関する期待はこのスクリプトに基づいて形成されており,さら にこの機能のために消費者はサービス・デリパリー・プロセスへの参加やサー ビス・エンカウンターの展開を効果的目つ効率的に遂行できると考えられる。 サービスは従業員,消費者,物理的環境の聞の相互作用過程で生産され提供 されるために,サービス・デリパリー・プロセスは3者の多種多様な活動や状 況から構成される出来事の連鎖である。消費者はサービスを消費することで反 復的にこの出来事の連鎖を経験し,スクリプトを学習するであろう。このスク リプトの中には,サービス・デリパリーを構成する一連の諸活動,それらの活 動が標準的に起こるであろう順序と所要時間,それらの活動を行うであろう行 為者の特性や役割,活動が行われる背景などが含まれるであろう。消費者はス クリプトに含まれるこれらの要素を統合化・抽象化することで,プロセスに関 する期待を形成していると考えられるし,また,それらを利用することでサー ビス・デリパリーやサービス・エンカウンターに適切に参加し,サービス・デ リパリーが進行し完結することに貢献している。 スクリプトにはまた,規範体系として,サービス・デリパリー・プロセスで 経験することを評価するための基準を提供するという機能もある

(

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Houston, 1983)。消費者はサービス・デリパリー・プロセスで経験する出来 事をスクリプトと比較し,両者の適合度を評価することで,プロセスに対する (4) スクリプトは予測可能性と確実性を高めたり,役割遂行に必要!とされる心的努力量を 削減したりする(Langerand Imber, 1979;Langer and N巴wman,1979)。さらに,粉

神的疲労によるストレスの削減を可能にするために,スクリプトに基づく行動はプラス の感育的効果を持っている (Humphreyand Ashforth, 1994)。 また,ひとたび行為者がスクリプトを学習すると,その行為者はもはや問題解決に従 事する必要はなくなり,思考を働かせることなく迅速に複雑な行為を遂行することがで きる。しかしながら,スクリプトによる思考を働かさない行為は,その行為が頻繁に繰 り返されるという状況の下では間違いを増加させる可能性もある(Langer and Imber, 1979;Langer and Newman, 1979)。そのような状況の下では,無意識に遂行すること によってモニタリングが省かれるために,因果連鎖における重要なステップを認識する ことなくそのステップを忘れてしまう可能性がある。 -424- 香川大学経済論叢 620 スクリプトには因果的・時間的順序において関連している一連の行動が含ま れるので,将来の出来事に関する予測を容易にするという機能がある。サービ スのプロセスに関する期待はこのスクリプトに基づいて形成されており,さら にこの機能のために消費者はサービス・デリパリー・プロセスへの参加やサー ビス・エンカウンターの展開を効果的目つ効率的に遂行できると考えられる。 サービスは従業員,消費者,物理的環境の聞の相互作用過程で生産され提供 されるために,サービス・デリパリー・プロセスは3者の多種多様な活動や状 況から構成される出来事の連鎖である。消費者はサービスを消費することで反 復的にこの出来事の連鎖を経験し,スクリプトを学習するであろう。このスク リプトの中には,サービス・デリパリーを構成する一連の諸活動,それらの活 動が標準的に起こるであろう順序と所要時間,それらの活動を行うであろう行 為者の特性や役割,活動が行われる背景などが含まれるであろう。消費者はス クリプトに含まれるこれらの要素を統合化・抽象化することで,プロセスに関 する期待を形成していると考えられるし,また,それらを利用することでサー ビス・デリパリーやサービス・エンカウン夕、ーに適切に参加し,サービス・デ リパリーが進行し完結することに貢献している。 スクリプトにはまた,規範体系として,サ、ービス・デリパリー・プロセスで 経験することを評価するための基準を提供するという機能もある

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Houston, 1983)。消費者はサービス・デリパリー・プロセスで経験する出来 事をスクリプトと比較し,両者の適合度を評価することで,プロセスに対する (4) スクリプトは予測可能性と確実性を高めたり,役割遂行に必要とされる心的努力設を 削減したりする(Langerand Imber, 1979;Langer and N巴wman,1979)。さらに,粉

神的疲労によるストレスの削減を可能にするために,スクリプトに基づく行動はプラス の感情的効果を持っている(Humphreyand Ashforth, 1994)。 また,ひとたび行為者がスクリプトを学習すると,その行為者はもはや問題解決に従 事する必要はなくなり,思考を働かせることなく迅速に複雑な行為を遂行することがで きる。しかしながら,スクリプトによる思考を働かさない行為は,その行為が頻繁に繰 り返されるという状況の下では間違いを増加させる可能性もある(Langer and Imber, 1979;Langer and Newman, 1979)。そのような状況の下では,無意識に遂行すること によってモニタリングが省かれるために,因果連鎖における重要なステップを認識する ことなくそのステップを忘れてしまう可能性がある。

(11)

621 サービスの広告に期待される役割j -425-満足度を評価するのではないかと考えられる (Taylorand Crocker, 1981)。 経験する出来事とスクリプトの適合度が高ければサービスのプロセスに関する 満足度は高くなるであろうし,適合度が低ければ満足度は低くなるであろう。 そして,このプロセスに関する満足度と結果に対する満足度を総合すること で,消費者は消費したサービスに対する全体的な満足度を決定するであろう。 このような考え方は,期待不確認パラグイムにおける評価過程の考え方と一致 するものである。但し,期待不確認ノfラダイムでは,量的な適合度で満足度が 決定されているが,スクリプトの定義から明らかなように,プロセスに関する 満足度は量的なもの以外の適合度に基づいて決定される。 消費者は彼らが学習したスクリプトに基づいてサービス・デリパリーに参加 し,さらにそれを基準として満足度を評価している場合,消費者とサービス提 供組織の従業員が異なるスクリプトを保持しているならば,サービス・デリパ リー及びそこにおけるサービス・エンカウンターの効果的

E

つ効率的な展開は 阻害されるし,そこでの出来事は消費者及び従業員がそれぞれに保有するスク リプトからの逸脱したものとなり,両者がそれぞれに保有するスクリプトと出 来事との適合度は低くなるであろう。このことは消費者の不満足を高めるだけ でなく,従業員をも不愉快にするであろう。逆に,両者が同一あるいは類似し たスクリプトを保持している場合には,サービス・デリパリー及びそこにおけ るサービス・ヱンカウンターは効果的且つ効率的に行われ,両者とも満足感を 形成するであろう。 このようにスクリプトがサービス・デリパリー・プロセスにおける行動基準 (5 ) 経験あるいは出来事を保持するスクリプトから逸脱させ適合度を低下させる要因は, 消費者と従業員のそれぞれが保持するスクリプトの違い以外にもある。その つに,活 動が連続的に生起することを可能にする条件の欠如がある(Schank and Abelson, 1977)。例えば,銀行rATMによる現金引出しサービスを利用する場合,もしATMが 故障しているならば,そこで活動は中断し

τ

しまう。この場合, ATMの回復を待っか, あるいは窓口で引き出しをするかによって欠如している条件を補うことを要求される が,これらはスクリプトからの逸脱を意味している。このような逸脱に伴う待ち時間や 不便さは怒りゃいらいらにつながり,結果として消費者に不満を感じさせてしまうであ ろう。 621 サービスの広告に期待される役割j -425-満足度を評価するのではないかと考えられる (Taylorand Crocker, 1981)。 経験する出来事とスクリプトの適合度が高ければサービスのプロセスに関する 満足度は高くなるであろうし,適合度が低ければ満足度は低くなるであろう。 そして,このプロセスに関する満足度と結果に対する満足度を総合すること で,消費者は消費したサービスに対する全体的な満足度を決定するであろう。 このような考え方は,期待不確認パラグイムにおける評価過程の考え方と一致 するものである。但し,期待不確認ノfラダイムでは,量的な適合度で満足度が 決定されているが,スクリプトの定義から明らかなように,プロセスに関する 満足度は量的なもの以外の適合度に基づいて決定される。 消費者は彼らが学習したスクリプトに基づいてサービス・デリパリーに参加 し,さらにそれを基準として満足度を評価している場合,消費者とサービス提 供組織の従業員が異なるスクリプトを保持しているならば,サービス・デリパ リー及びそこにおけるサービス・エンカウンターの効果的

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つ効率的な展開は 阻害されるし,そこでの出来事は消費者及び従業員がそれぞれに保有するスク リプトからの逸脱したものとなり,両者がそれぞれに保有するスクリプトと出 来事との適合度は低くなるであろう。このことは消費者の不満足を高めるだけ でなく,従業員をも不愉快にするであろう。逆に,両者が同一あるいは類似し たスクリプトを保持している場合には,サービス・デリパリー及びそこにおけ るサービス・ヱンカウンターは効果的且つ効率的に行われ,両者とも満足感を 形成するであろう。 このようにスクリプトがサービス・デリパリー・プロセスにおける行動基準 (5 ) 経験あるいは出来事を保持するスクリプトから逸脱させ適合度を低下させる要因は, 消費者と従業員のそれぞれが保持するスクリプトの違い以外にもある。その つに,活 動が連続的に生起することを可能にする条件の欠如がある(Schank and Abelson, 1977)。例えば,銀行rATMによる現金引出しサービスを利用する場合,もしATMが 故障しているならば,そこで活動は中断し

τ

しまう。この場合, ATMの回復を待っか, あるいは窓口で引き出しをするかによって欠如している条件を補うことを要求される が,これらはスクリプトからの逸脱を意味している。このような逸脱に伴う待ち時間や 不便さは怒りゃいらいらにつながり,結果として消費者に不満を感じさせてしまうであ ろう。

(12)

-426 香川大学経済論叢 622 及びその評価基準として働いているとすれば,サービス提供組織としては,消 費者と従業員に適切でしかも同一あるいは類似したスクリプトを学習・保持さ せるような戦略を策定・実施する必要があるであろう。そして,もしこのよう な戦略を効果的に展開できるならば,消費者の満足度を高めることができるば かりでなく,従業員の職務満足も高めてサービス・デリパリーの効果と効率を 高めることが可能となるであろう。また,サービス提供組織がその組織のサー ビスを消費する場合にのみ適切であるような独自のスクリプトを競争者よりも 早く消費者に学習・保持させることができるならば,消費者の競争者へのスイ ッチを抑制することができるであろう。それは,特定のサービス提供組織にの み適用可能な特殊なスクリプトを学習した消費者は,異なるスクリプトでサー ビス・デリパリーが展開される他のサービス提供組織を利用することで,保持 するスクリプトと出来事の不適合から不満足を感じやすくなるからである。ま た,その学習されたスクリプトの放棄はスイッチング・コストを発生させるこ とにもなるからである。 このように消費者の保持するスクリプトはサービス・デリパリー及びその評 価において重要な役割を果たすために,サービスの広告に期待される役割の一 つに消費者の記憶の中に適切なスクリプトを構築するということがある。特に 新規なサービスや非常に購買頻度の低いサービスの場合には,広告は消費者に スクリプトを学習させることにおいて重要な役割を果たすであろう。また,消 費者が不適切なスクリプトを形成している場合には,広告はそれらを修正する のに役立つであろう (Leggand Baker, 1987)。広告によって消費者がサービス ・デリパリーにかかわる適切なスクリプトを学習するならば,サービス・デリ ノTリー及びそこで展開されるサービス・エンカウンターは効果的

E

つ効率的に 進展するであろう。また,適切なスクリプトを学習することによって,サービ ス・デリパリー・プロセスに関する期待も現実に即したものとなり,プロセス に関して消費者が不満足を形成することも減少すると考えられる。 消費者に適切なスクリプトを学習させる効果的な手段としては,次章で検討 する劇化がある (Leggand Baker, 1987)。消費者があるサービス提供組織のサ -426 香川大学経済論叢 622 及びその評価基準として働いているとすれば,サービス提供組織としては,消 費者と従業員に適切でしかも同一あるいは類似したスクリプトを学習・保持さ せるような戦略を策定・実施する必要があるであろう。そして,もしこのよう な戦略を効果的に展開できるならば,消費者の満足度を高めることができるば かりでなく,従業員の職務満足も高めてサービス・デリパリーの効果と効率を 高めることが可能となるであろう。また,サービス提供組織がその組織のサー ビスを消費する場合にのみ適切であるような独自のスクリプトを競争者よりも 早く消費者に学習・保持させることができるならば,消費者の競争者へのスイ ッチを抑制することができるであろう。それは,特定のサービス提供組織にの み適用可能な特殊なスクリプトを学習した消費者は,異なるスクリプトでサー ビス・デリパリーが展開される他のサービス提供組織を利用することで,保持 するスクリプトと出来事の不適合から不満足を感じやすくなるからである。ま た,その学習されたスクリプトの放棄はスイッチング・コストを発生させるこ とにもなるからである。 このように消費者の保持するスクリプトはサービス・デリパリー及びその評 価において重要な役割を果たすために,サービスの広告に期待される役割の一 つに消費者の記憶の中に適切なスクリプトを構築するということがある。特に 新規なサービスや非常に購買頻度の低いサービスの場合には,広告は消費者に スクリプトを学習させることにおいて重要な役割を果たすであろう。また,消 費者が不適切なスクリプトを形成している場合には,広告はそれらを修正する のに役立つであろう (Leggand Baker, 1987)。広告によって消費者がサービス ・デリパリーにかかわる適切なスクリプトを学習するならば,サービス・デリ ノTリー及びそこで展開されるサービス・エンカウンターは効果的

E

つ効率的に 進展するであろう。また,適切なスクリプトを学習することによって,サービ ス・デリパリー・プロセスに関する期待も現実に即したものとなり,プロセス に関して消費者が不満足を形成することも減少すると考えられる。 消費者に適切なスクリプトを学習させる効果的な手段としては,次章で検討 する劇化がある (Leggand Baker, 1987)。消費者があるサービス提供組織のサ

(13)

623 サービスの広告に期待される役割l 427ー ーピスあるいはそのカテゴリー内のサービスをほとんど利用したことがない場 合,広告でサービス・デリパリー・プロセスで起こる出来事やその順序,消費 者と従業員の役割,背景などを劇化して見せることで,消費者に適切なスクリ プトを形成させることができるであろう。 4 購買意思決定過程における消費者の知覚リスクの削減 サービスには無形性,生産と消費の同時性,品質の標準化・均一性の困難性, 一過性などの特質があるが,これらの特質のために消費者は購入前にサービス の品質を推測・評価することが困難であるし,品質にかなりのバラツキと変動 のある代替案の中から選択しなければならない。さらに,購入したサービスに 問題があったとしても,苦情を出し難いということや保証を受け難いというこ ともある。そのため有体財よりもサービスの購買意思決定過程においての方 が,消費者は高いリスクを知覚するであろうと考えられる。その結果,消費者 は積極的に情報を探索し,購買に伴う不確実性を低減することで,リスクを削 減しようとするであろう(藤村,

1

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)

。 知覚リスクは購買前の意思決定過程において消費者が主観的に知覚するリス ク,すなわち特定の不確実な状況において不適当な購買意思決定を行った場合 に起こりうる種々の重大な損失についての消費者の知覚である。そして,この 知覚リスクは「不確実性(結果が好ましくないかもしれないということに対す る個人の主観的確信度)Jと「結果/賭け量(行為の結果が好ましくない場合に 失われるもの )Jという 2次元で構成されるものとして捉えられている。そのた め知覚リスクの削減は

2

次元のどちらか一方あるいは両方を低減することで達 成されると考えられるが,購買意思決定過程においては,消費者は不確実性を 低減することで知覚リスクを削減しようとする傾向があり,そこでは情報探索 が重要な役割を果たす。従って,知覚リスクは情報探索活動の範囲と程度を決 (6 ) 多くの研究者は「不確実性」と「結果(賭け量)Jという 2次元で知覚リスクを捉えて いるが不確実性」と「重要性J (Amdt, 1967, Bettman, 1973), '不確実性」と「危

険J(Cunningham, 1967, Schiffman, 1972),あるいは「可能性」と「危険J(Kogan and

Wallach, 1964)という 2次元で知覚リスクを捉えている研究者もいる。 623 サービスの広告に期待される役割l 427ー ーピスあるいはそのカテゴリー内のサービスをほとんど利用したことがない場 合,広告でサービス・デリパリー・プロセスで起こる出来事やその順序,消費 者と従業員の役割,背景などを劇化して見せることで,消費者に適切なスクリ プトを形成させることができるであろう。 4 購買意思決定過程における消費者の知覚リスクの削減 サービスには無形性,生産と消費の同時性,品質の標準化・均一性の困難性, 一過性などの特質があるが,これらの特質のために消費者は購入前にサービス の品質を推測・評価することが困難であるし,品質にかなりのバラツキと変動 のある代替案の中から選択しなければならない。さらに,購入したサービスに 問題があったとしても,苦情を出し難いということや保証を受け難いというこ ともある。そのため有体財よりもサービスの購買意思決定過程においての方 が,消費者は高いリスクを知覚するであろうと考えられる。その結果,消費者 は積極的に情報を探索し,購買に伴う不確実性を低減することで,リスクを削 減しようとするであろう(藤村,

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次元のどちらか一方あるいは両方を低減することで達 成されると考えられるが,購買意思決定過程においては,消費者は不確実性を 低減することで知覚リスクを削減しようとする傾向があり,そこでは情報探索 が重要な役割を果たす。従って,知覚リスクは情報探索活動の範囲と程度を決 (6 ) 多くの研究者は「不確実性」と「結果(賭け量)Jという 2次元で知覚リスクを捉えて いるが不確実性」と「重要性J (Amdt, 1967, Bettman, 1973), '不確実性」と「危

険J(Cunningham, 1967, Schiffman, 1972),あるいは「可能性」と「危険J(Kogan and

(14)

-428 香川大学経済論議 624 定する重要な要因の一つである。 広告は不確実性を低減させるために消費者が用いることのできる情報源の一 つであるが,消費者は広告などのマーケタ一統制的コミュニケーション・チャ ネlレを他の情報源ほどには知覚リスク削減のための情報源としては重視しない 傾向がある (Cox,1967)。その原因は広告自体の特性ばかりでなく,広告方法 にもある。例えば,有体財と同様にサービスにもイメージ広告が用いられるこ とが多いが,無形なサービスを暖昧に表現することは消費者のサービス理解を さらに困難なものとし (Shostack,1977),知覚リスクを削減するのではなく逆 に高める方向に作用しているからである。消費者の知覚リスクを削減するとい う役割も広告に期待されるが,そのためには消費者のデリパリー・プロセスへ の参加の必要性のために複雑に見えるサービスを消費者にとって理解しやすい ものにするような広告が必要とされるであろう。サービスの広告手段と知覚リ スクの削減効果の関係についてはまだほとんど研究が行われていないが,後述 するような劇化によってスクリプトを消費者に学習させ,サービスの性質と品 質,サービス・デリパリー中に起こるであろう出来事などを予想しやすいもの にするというのも一つの方法であろう。また,サービスを関連のある有形物で 有形化し,消費者にとって理解しやすいものにするということも,知覚リスク の削減に効果があると考えられる。 5 消費者の不満足形成に影響を及ぼす原因帰属の管理 前述の期待不確認パラダイムでは,“期待>成果"という関係は不満足形成に 直接的に結び付くとされているが,

B

i

t

n

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(1990)は期待と成果の不一致と不満足 形成とは原因帰属によって媒介されるというモデルを提示している(図2参照)。 (7) 知覚リスクの大きさと情報探索抵の聞には,必ずしも直線的な比例関係が存在すると は限らない。藤村(1991b)の調査結果では,知覚リスクの測定尺度に問題はあるが,両 者の聞に逆U字型の関係が発見されている。すなわち知覚リスクがある水準以上に大 きくなると,その個人の情報処理能力あるいは情報探索によるリスク削減能力を超える ために,積極的な情報探索ではなく,他人(外部)への依存によってリスクを削減しよう とする傾向が強まるかもしれない。 -428 香川大学経済論議 624 定する重要な要因の一つである。 広告は不確実性を低減させるために消費者が用いることのできる情報源の一 つであるが,消費者は広告などのマーケタ一統制的コミュニケーション・チャ ネlレを他の情報源ほどには知覚リスク削減のための情報源としては重視しない 傾向がある (Cox,1967)。その原因は広告自体の特性ばかりでなく,広告方法 にもある。例えば,有体財と同様にサービスにもイメージ広告が用いられるこ とが多いが,無形なサービスを暖昧に表現することは消費者のサービス理解を さらに困難なものとし (Shostack,1977),知覚リスクを削減するのではなく逆 に高める方向に作用しているからである。消費者の知覚リスクを削減するとい う役割も広告に期待されるが,そのためには消費者のデリパリー・プロセスへ の参加の必要性のために複雑に見えるサービスを消費者にとって理解しやすい ものにするような広告が必要とされるであろう。サービスの広告手段と知覚リ スクの削減効果の関係についてはまだほとんど研究が行われていないが,後述 するような劇化によってスクリプトを消費者に学習させ,サービスの性質と品 質,サービス・デリパリー中に起こるであろう出来事などを予想しやすいもの にするというのも一つの方法であろう。また,サービスを関連のある有形物で 有形化し,消費者にとって理解しやすいものにするということも,知覚リスク の削減に効果があると考えられる。 5 消費者の不満足形成に影響を及ぼす原因帰属の管理 前述の期待不確認パラダイムでは,“期待>成果"という関係は不満足形成に 直接的に結び付くとされているが,

B

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(1990)は期待と成果の不一致と不満足 形成とは原因帰属によって媒介されるというモデルを提示している(図2参照)。 (7) 知覚リスクの大きさと情報探索量の聞には,必ずしも直線的な比例関係が存在すると は限らない。藤村(1991b)の調査結果では,知覚リスクの測定尺度に問題はあるが,両 者の聞に逆U字型の関係が発見されている。すなわち知覚リスクがある水準以上に大 きくなると,その個人の情報処理能力あるいは情報探索によるリスク削減能力を超える ために,積極的な情報探索ではなく,他人(外部)への依存によってリスクを削減しよう とする傾向が強まるかもしれない。

OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ

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