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陽極酸化Ta₂O₅薄膜の電気的特性

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Academic year: 2021

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(1)

陽 極 酸 化

Ta2 05薄

小 林 洋 志*・ 岸 田 庸 子*・ (1973年

5月

Thc Electrical Charactcristics of

1ま

え が き 酸化 タン歩ル σ

a205)は ,比

誘電率が比 較 的 大き く(ε

r=23),ま

た誘電損失が少ないので (tanδ =0・01

),従

来か らコンデ ンサーとして用いる目的で広 く研究 されてきた1)2)。

Ta205層

を生成す る方法 としては

,熱

酸化法3),陽 極酸化法4)∼の

,反

応性スパ ッタ リング法7) な どがあ り

,生

成法によって

,そ

の性質が異 ると考え ら 浄てい る。

Ta205は

良質の絶縁体であるが

,高

電界の もとでは非オーム性の電流が流れ5), また整流作用を示 すな ど4)S),興味ある現象が存在す る。 我 々は

,近

Ta205絶

縁層を簿つ

Ta_Ta205

ZnS:Ln3+_Au構

造 の Clectroluminescencc(EL)

膜 の 電 気 的 特 性

田 中 省 作*・ 笹 倉 1日 受 理) 素子の研究を行 ってきた8)。 このような

EL素

子の電気 的特性は

, Ta205層

の比誘電率と絶縁耐圧に大きく依 存す るので,これ らの性質を知 る事は重要である。本実 験では

,

スパ ッタリング法により生成された

Ta薄

膜 を

,

陽極酸化す ることにより得 られた

Ta205薄

膜の 性質に関 して

,特

に誘電的性質

,絶

縁破壊電界

,整

流効 果に着 目し

,検

討を行 った。

2試

料 の 製 作

Ta薄

膜は

RFス

パ ッタリング法により

,約

5000A の厚さでガ ラス基板上に生成させた。)。 続いて

Ta薄

を陽極酸化す ることにより

, Ta205薄

膜を 生 成 させ た。陽極酸化装置の概略をFig。と に示す。電解液は, 博*

AnOdic Oxidizcd Ta205 Fillns.

by

Hiroshi KoBAYASHI,Yoko KIsHIDA,ShOSaku TANAKA

and HirOshi SASAKURA.

(Received May,11973)

Abstract

The dielectric constant, the dielectric loss, the breakdown voltage and the current at high electric fields of Ta205 1ayers have been measured using Ta―

継 交 こ 機 毬 館 予 重 壇 醍 韓 轄 辱

r義

I

electrically stable and sh。 私/ the dielectric constants of 20-25,which are slightly smaIIer than those of bulk(25-27). The Current at high electric fields depends strongly uPon temperature and therefore is considered to be the Schottky curr― ent. The breakdown electric field is abOut 5x106v/cm.A few of the Ta―

T2205

Au devices studied show the remarkable rectifying characteristics, which may be

due to the n―i―P junction of the Ta205 1ayer.

(2)

シュウ酸

,水

,エチ レング リコールを

1:2:3の

重量 比に混合 したものを用いた。エチレング リコールは

,消

泡作用や界面活性の性質があるので

, Ta205面

の泡が

Ta205表

面か ら離れるときに電流集中が起 り破壊のき っかけを作 る現象を緩和 し

,電

流集中を防止 し

Ta205

面 と化成液の接触を良好にし均一化成を行なわせる作用 がある。 したが って高酸化電圧での陽極酸化を行なわせ ることができる。 Ta sputtered hin on glass substrate

Fig.l Experttnental arrangement fOr anodic oxidatiOn. 陽極酸化電圧は

,酸

化開始か ら終了まで 定 電 圧 とし た。電解液の抵抗が非常に小さいために

,酸

化の初期に 過大な電流が流れるのを防 ぐため

,回

路に直列に

, lK

Ω の抵抗が挿入された。通常陽極酸化電 圧は100Vと し たので

,初

期電流は約

100mAで

ぁる。陽極酸化される

Ta膜

の面積は約20翻でぁるので

,酸

化電流密度は最大

5mA/前

でぁる。酸化電流密度は時間と共に, ほ ぼ 指 数関数的に減少 し

,酸

化20時間前後で0.2μA/c孟 程度の 漏洩電流を残すだけとな り化成は終了する。 陽極酸化電圧 と生成膜厚の関係を

Fig.2に

示す。化 成電圧

lV当

りの生成酸化膜厚 は16∼

18Aと

な り従来 か ら報告されている値。'と 一致 した。

Ta205は

透明で あるので膜厚 に固有の干渉色を程する。

Fig.2の

右軸 に示された干渉色は

Youngに

よって得 られた結果つ と良 く一致 している。 X線回折の結果

,

生成 された

Ta205膜

は無定形で あることが確め られた。 陽極酸化怒了後の

Ta205膜

,約

30分 間水洗 した 後アセ トンで洗浄 し

,約

50℃の空気中で乾燥させた。続

いて

,Ta205膜

上に2 511ullφの

Au薄

膜を対向電極 とし

て真空蒸着 し

, Ta_Ta205 ▲ u(M―

I一

M)素

を製作 した。

Fig.3に

素子の構造 とともに, I―

V特

性測定回路を示す。 00         00         00 30       20         10 ︵く ︶ の の 国 Z M O H〓 い Σ d H﹄ gttibv 51ue 0 50 1oo 150 200

ANODIC vOLTAGE(V)

Fig.2 Filni観 ckness vst anOdic voltage.

Ta205

1ayer Ta ilm

glass substrate

Fig。 3 Sample structure and circuit diagram

of I―V ttneasurument,

3

実験結果な らびに検討 3.1 誘電的性質 誘電的性質を検討す るために種々の厚さの

Ta205

層を持つ

Ta_Ta205 Au素

子の容量 と誘電損失を測 定 した。容量 と膜厚の関係を

Fig,4に

示す。素子の 容量Cは,lll式で表わされる。

C =ε

o ε

.S/d (1)

ここで ε

rは Ta205の

比誘電率, Sは 素子の面積, d は

Ta205層

の厚さである。

Ta205bulkの

比 誘 電率 は25∼ 27でぁるが

,

陽極酸化で得 られた

Ta205の

比 誘電率は20∼25となることが知 られている1)2)。 我 々が 生成 した

Ta205層

の比誘電率が どの程度 の 値である かを考察するために^比誘電率 εrを15,20,25と した ときの計算曲線を

Fig.4に

実線で示す。膜厚が1500

A程

度以上の素子の比誘電率は20前後であ り, 陽 極酸

(3)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第

4巻

1号

化により生成された

Ta205膜

について従 来 か ら報告 されている値 と一致する。膜厚が

1000A以

下 になると 比誘電率は10程度 とな り厚い膜の値 よりかな り小 さな値 となるが,この原因は明 らかでない。比誘電率 と膜厚の 関係を

Fig.5に

示す。膜厚が1500A以上になると比 誘電率は20∼ 25とほぼ一定値 となる。陽極酸化法により 生成 した

Ta205薄

膜の比誘電率が

Ta205bulkよ

り 一般に小さくなるのは

,Ta205層

が非品質であ り,ま た多孔質であることか ら定性的には理解できる。 1000

FILM TH

Fig。 4 Capacitance vs.filれi thiCkness.

の増大は

,薄

嘆の緻密性が悪 く

,化

成が不安定であるこ とによると考え られ る。1500A程 度 以上 の厚さをもつ 素子の tanδは0・01∼0.05の 範囲にある。これ らの値を すでに報告 されてい る最良の値0,002∼ 0.012)と比較す ると, 5倍程度悪い といえる。 tanδ に強い影響を与え る因子を見い出す こと

,な

らびにtanδ の改善は今後の 問題である。

i

0 1000 2000 3000

FILM THICKNESS(A)

Fig。 6 Dielectric loss vs.fユ lma thickness.

3.2 電流―電圧特性な らびに絶緑耐圧

Ta205層

の電子伝導機構や絶縁耐圧を検討 するため に

,種

々の薄膜をもつ素子について電流一電圧特性を測 定 した。陽極酸 化 電 圧

100Vで

生 成 した 1700Aの

Ta205層

を有す る素子の室温 と液体窒 素 温 度 に おけ る

,代

表的な電流―電圧特性をFig.7に示す。

Ta205

層の厚 さが異る素子についても

,絶

縁破壊電圧が異 るだ けでほぼ同様な電流 一電圧特性が得 られた。通常の素子 は非オーム性ではあるが整流性は示さなか った。また液 体窒素温度における電流値は室温における値 よりかな り 小 さく

,

また絶縁破壊電圧 も一般に高 くなる。 もし,

Ta205層

を流れ る電流が トンネル電流であれば, この ような温度依存性を示 さないはずであ り,また絶縁層 の 厚 さも十分厚いので観測された電流はシ ョットキー電流 であると思われる5)。 室温における

,絶

縁破壊電圧 と膜厚 の関係を

Fig.8

に示す。絶縁破壊電界は膜厚によらず

,ほ

ぼ一定値 5× lo6 v/cmとなった。すなわち耐圧

lVに

要する膜厚 は

20A程

度である。 この値は陽極酸化を行 うときの単 位 電圧当 りの酸化膜厚

17A/vと

比較 して

,ほ

ぼ満足 しう る値である。

Ta205陽

極酸化膜中に ピンホールやその 他 の欠陥が多 く存在すれば,このような高耐圧は得 られ ︵随 a ︶ 国 O Z く 卜 H O く 儀 く 0 0 ・ 1   0 ・ 05         0 ・ 01 ∽ ∽ O d   O H ば い 0 国 劇 田 ︻ ∩

::

FILM THICKNESS(A)

Fig.5 Dielectric constant vs.filni thickness. 種 々の厚 さの

Ta203層

をもつ素子の誘電 損 失 を,

l KHzに

おいて測定 した。測 定 結 果 を

Fig.6に

示 す。loooA以下の厚 さの素子について tanδ は0.05∼ 0.5と かなり悪い。 この厚さの範囲は

,比

誘電率が異常 に小さい領域 とも一致す る。 したが って, 1000A以下 の厚さの

Ta205層

における, 比誘電率の異常や tanδ

80卜

流菰耐

3000

O  

Oヽヽ 一

︺ヽ味 ︼

、 、。 、一 、

    

    

  一

〇       〇   〇     〇                                 一

(4)

Fig.71=v character二 stics of the Ta205,1700A h thichness.

に順方向特性を示 し, 50∼100μ

Aの

電流が流れる。他

,Au電

極を負にバイアスした ときには

,通

常の素子

と同様にわずかの電流しか流れない。

Fig.9 Rectryttg characteristics Of the 850 A

Ta205,heaSured ot room temperature.

このような素子の整流性については

,い

くつかの機構 が考察 されている4)5)。

_っ

の機構 として

,Ta205層

一様であるが両側の電極金属が異るので非対称障壁が形 成 され整流性が現れ るとい う考え方がある5)。 しか し , 同じ電極金属をもつ大部分の素子が

,整

流性を示さない ことか ら,この機構によるとは考えがたい。 この他に,4k流性は電極金属の性質ではな く

Ta205

層の性質によるとす る機構が考え られる。

Ta205層

が 陽極酸化に よって生成されるとき

,Ta金

属側界面 にお いて

Ta原

子の過剰によりn形層 が 形 成 され

,

一方

Ta205表

面近 くでは

O原

子の過剰 あるいは

Ta原

子 の 不足によりp形層が形成され

,中

間層が i形層 となる可 能性が示されている4)。 この ような場合

, Ta_Ta205

-Au素

子は

n_i_p接

合 となるか ら

, Au電

極が正

にバイアスされた時に順方向とな り

,我

々の実験結果 と 一致する。どのような生成条件のとき整流性を示す素子 が得 られるのか明 らかでないが

,陽

極酸化の過程が整流 性に大きく影響 していると思われるので

,我

をが得た整 流性はこのような Ta20ヽ 層の n―i一

p接

合による整 流作用によると考え られる。

Ta205層

を絶縁層 として用いるときには

,整

流性は 悪い影響を与える。 しか し

Ta205層

の整流性は大きな 電圧依存性をもつので

,電

流制限層 として使用 しうる可 能性がある。 したが って

,再

現性 よ く整 流 性 を有する

Ta205層

を得 る生成条件を見い出 す こ とは 重 要 であ

,今

後の研究課題である。 ・50         ︲00         50 ︵> ︶ 田 0 く 辟 d O >   Z ユ 〇 ∩ 留 < 田 ∝ 働 0 1000 2000 3000 4000

FILM THIcKNESS(A)

Fig.8 Breakdown v。ltage vs,film thickness. The siOpe corresponds tO the electric Field. ない と思われ る。 したが っ て 陽 極 酸 化 法 は 高 耐 圧

Ta205膜

を得 るのに有効な一方 法であ る と 考 え られ る。

3.3整

流 特 性

Ta Ta205 Au素

子の中に, 河ヽ数ではあるが顕著 な流整性を示すものが得られた。陽極酸化電圧50Vで生 成 した

850Aの

Ta20S層

を有する整流性 を示す素子 の電流―電圧特性を

Fig.9に

示す。他の異った膜厚を 有する素子についても同様に整流性を示す素子が得られ た。それらの素子は

Au電

極を正にバイアス したとき 60 80 100 ︵く 、 ︶ ト イ ロ 館 館 D O 30     拇 20 40 ∞ 80 11Xl VOLTACE(v)

(5)

鳥 取 大 学 工 学 部 研 究 報 告 第

4巻

1号

4結

論 木実験の結果か らつ ざのことが明 らか とな った。 (司

RFス

パ ッタリングにより生成された

Ta薄

膜 を 陽極酸化することに より

,Ta205薄

膜が得 られた。化 成電圧

lV当

りの生成酸化膜厚は16∼

18Aで

ぁる。ま た生成 された

Ta205膜

は無定形である。

1211500A以

上の膜 厚 をもつ

Ta_Ta205 Au素

子 は安定 した電気的特性を示 し

,Ta205の

比誘電率 は20 ∼25,誘電損失 は0.01∼0・05でぁる。

1000A以

下 の膜 厚をもつ素子においては比誘電率が小 さくな り誘電損失 は増加す る。 しか しその原因は明 らかでない。 131 電流―電圧特性に顕者な温度依存性が観察 された。 したが って

,高

電界において流れる非オーム性電流はシ ョッ トキー電流であると思われる。 14)絶縁破壊電界は膜厚 によら

iほ

ぼ一定値 5×106 V/Cluを示す。すなわち耐圧

lVに

要する膜厚は

20Aで

ある。陽極酸化における

lV当

りの生成膜厚17Aと 比較 して

,十

分良好な値が得 られた と言える。

(5〕 Ta―

Ta205 Au素

子のい くつかは顕著な整流性

を示 した。観察 された整流性は

Ta205層

の ■―i一p 接合によると考え られるが

,

そのような整 流 性を持つ

Ta205層

の生 成条件については十分明らかでない。 以上のことより

,Ta薄

瞑 を 陽極 酸 化す ることによ り

,良

質な絶縁物である

Ta205薄

膜 を得 られること がわか った。

Ta205薄

懐を絶縁層 として用いた

M―

I 一S―

M構

造の

EL素

子の特性については別の 機会に 報告 したい。 参 考 文 献 日本学術振興会薄膜第131委員会編:薄膜工学 ハ ン ドブ ック第IIE編第1章オーム社 (1964). 水 島宜彦

,原

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,三

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6)N.Axelrod and No Schwa■

z : J.Electroc―

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C.Medrud:J.

Electroche學,Soc.,116(1969)242.

H. Kobayashi, S,Tanaka,H. Sasakura and

Y.Hamakawa:JaPan.J.Appl.Pllys, 12(

197の ,

小林洋志

,岸

田庸子

,熊

谷直樹

,笹

倉博 :鳥取大 学工学部研究報告第 3巻 第2号 (1973)90。

Fig。 6 Dielectric loss vs.fユ lma thickness.

参照

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