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ソニー子ども科学教育プログラム 2013年度優秀校 論文

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(1)

さいたま市立桜木小学校

校長 宮田 正己

PTA 会長 遠藤 孝明

(2)

Ⅰ 本校のめざす「科学が好きな子ども」とは

1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 2013年度の研究について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 研究構想図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

Ⅱ 2013年度の研究に基づく授業実践

1 実践記録1 単元名「ものの燃え方と空気」(6年 2013年4∼5月)・・・・・・・・・・3 2 実践記録2 単元名「動物のからだのはたらき」(6年 2013年5∼6月)・・・・・・・10 3 実践記録3 英会話のスペシャル授業(6年 2013年3月)・・・・・・・・・・・・・・14 4 実践記録4 さいたま市青少年宇宙科学館と連携した出前授業(6年 2013年2月)・・・16

Ⅲ 研究を実施してからの子どもの姿

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

Ⅳ 実践の成果と課題

学習内容のつながり・思考のつながり・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 2 考えの深め合い・表現の高め合い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

Ⅴ 2014年度の教育計画

1 研究構想図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 2 具体的な実践の単元計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22

Ⅵ 理科好きな子ども・教師の学校をめざして

・・・・・・・・・・・・・・25

Ⅶ 終わりに

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25

(3)

- 1 -

Ⅰ.本校のめざす「科学が好きな子ども」とは

1.はじめに

「科学が好きな子ども」とは、「わかった!」と目を輝かせるとともに新しい疑問が生まれたり、 今までの生活を振り返って理解した内容とのつながりを感じたりして、自然に対し、科学の目をも った地球的な視野で考えられる姿であると考える。 昨年度、担任する学級(第6学年:児童数23名)でアンケートを行った結果、「理科好きな子 ども」がとても多く、実験・観察を楽しいと思っているという結果となった。しかし、「自分から 進んで学習に取り組むこと」や「学んだことを実際に生かしている」ことに関してはどちらかと言 えば消極的な数値が出ていた。

2.2013年度の研究について

子どもたちが科学の視点をもって学び、互いに高め合うことによってより深い視点をもった思考 になることで、学習内容がより子どもの中で「価値のある学び」になるのではないか。そして、そ の「価値ある学びを活用したい」という欲求が芽生え、さらなる疑問や生活場面での活用を考えて 実践し、学習内容をより広い視野から見て、自主的な学びの取組を見せるのではないかと考える。 そこから、自然のありがたさや環境について考え、科学の視点からの自分と地球環境とのかかわり について深く考えられる子どもこそが「科学が好きな子ども」と考え、実践へとつなげていくこと を構想した。 また、2012年度までは,子どもの実態を踏まえた教師側の思いから「科学が好きな子ども」 像を設定して追究してきた。2013年度においては、子どもを主体とし、子どもの生き生きとし た学びのある姿を「つながり」と「高め合い」に視点を置き、実践していきたいと考える。 理科で学んだことが生活で役立った。 実験・観察は自分から行っている。 理科が楽しい(好き)。 0 0 0 0 1 0 13 18 11 10 4 12 そう思う どちらかといえばそう思う あまり思わない 思わない

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- 2 -

<研究構想図>

<自分から>

<学習環境から>

科学が好きな子ども

学びの中で実感する

「つながり」

学びの中で実感する

「深め合い」

思考の深まりからの追究・活用

本校の「科学が好きな子ども」の

「深め合い」

考えの深め合い 予想段階での理由の違いから、視点の置き方を理 解する高め合い 考察の考え方の違いを共有する高め合い 表現の深め合い ノート記録から多様な表現方法の高め合い 相手意識をもった発言・発表表現の高め合い 価値ある 学び

本校の「科学が好きな子ども」の

「つながり」

学習内容のつながり

単元や授業の学習内容のつながり 教科・学年を超えた学習内容のつながり 中学校へのつながり

思考のつながり

生活経験と既習のつながり 学習前と学習後の思考の変容とつながり 自然・環境と理解内容のつながり

(5)

- 3 -

Ⅱ.2013年度の研究に基づく授業実践

6年生最初の単元である「ものの燃え方と空気」では、「人類が他の動物が扱わなかったものを 便利だと使用したことにより目覚ましい進歩をとげたものとは?」と質問すると、子どもたちから すぐに「火」と回答が返ってきた。そこで、「今は身近なものになっている火を、燃やし続けるに はどうしたらよいかを「学習前・学習後シート」に記入して科学的な見方や考え方の深まりを子ど も自身が実感する工夫をした。以下はシートの内容である。

実践記録1 単元名「ものの燃え方と空気」

(6年)2013年4~5月

学習前と学習後の思考の変容とつながりを意識した授業内容の工夫

<A 児> <A 児の学習前の記入> ・火の中に紙や葉を入れると燃えて空 気が悪くなる。 ・ビニールなどをとかすことができる。 ・水をかけると火が消える。 A 児の記述は、生活経験によるものが多 いことが分かる。燃やした後の気体につ いても触れているが「空気が悪くなる」 といった抽象的な内容である。 <A 児の学習後の記入> ・燃えた後は燃やす前より、酸素が減 って二酸化炭素が増える。 ・(アルコールランプは)空気の通り 道が蓋をするとなくなるから火が 消える。 学習内容から具体的に燃えた後 の気体を記述している。さらに、 アルコールランプの消火構造 を、学習内容の応用として触れ ている。

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- 4 - 学習後は A 児 B 児ともに、学習前との科学的な見方や考え方の深まりを、目に見える形として記 入することにより実感している。 この時点では、学習内容を生活に活かす内容は見られなかった。シート自体に慣れていないこと と、単元全体の内容をまとめることに精一杯だからではないかと考えられる。 <B 児> <B 児の学習前の記入> ・マッチで火を点ける→煙が出る →空気が汚くなる ・マッチで火を点ける→水で火は 消える ・マッチで火を点ける→だんだん 炎が大きくなる→空気が凄く 汚くなる ・黒くぬった紙に虫眼鏡で日光を 当てると火が出る マッチで火を点けるから枝分か れのように矢印で現象をつない でまとめている。さらに、3年生 の学習内容(虫眼鏡を使用して日 光で紙を焦がすこと)も想起して いることが分かる。 ・燃えている間の空気の通り道が下 から上であること ・酸素は燃える性質がある気体であ ること ・燃えた後の気体は酸素が減って、 二酸化炭素が増えること(気体検 知管を使用して調べる) 「空気の通り道」や「燃えた後 の空気の成分」のキーワードと なる事柄を押さえ、「物が燃える 現象」を科学的な見方で具体的 にまとめていることが分かる。

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- 5 - 子どもたちは、5年生の宿泊体験でキャンプファイヤーを経験している。そこで、「キャンプフ ァイヤーのように、ミニ井桁を作って燃やし切ろう」と投げかけた。ここでは、共通体験から科学 の視点が生活で生かされていることを実感させるべく設定した活動である。 井桁の組み方を工夫した考えを相手へ伝える手段として「イラストと理由」を使って画用紙にま とめ、発表し合った。考え方の相違点を押さえるだけでなく、「イラストが大きく、説明は分かり やすい言葉」などの表現方法のポイントにも気付くことができた。

生活経験のつながりを意識させた体験活動の工夫

実際に作成したグループごとの井桁 <1班> それぞれの「木」が くっついているの で、火が燃え移りや すいと思ったから <2班> 空気の通り道がたくさんあり、 燃えやすそうだから <3班> この形にした理由 ・空気がよく入るようにしたかったから ・火が全体にいきやすい形だと思ったから <4班> 新聞紙はよく燃えるか らその木の棒にはさむ と一緒になって木の棒 も燃えると思ったから <5班> イゲタの中のはばが 広いと燃えなかった から、はばをせまく した。 <6班> すきまを開けて、割りばしを組む ことで空気が出入りできるから <7班> 三角形は内側の面積が四角形より小 さいから燃えやすいと思った。 <8班> 面積がせまい方が燃 え広がるのがはやい と思ったから

予想段階で井桁の組み方の違いに視点をあて、問題意識を深め合う工夫

<ミニ井桁の材料> ○割り箸を4等分にした物12本 ○割り箸の接着用ボンド ○種火として使用する新聞紙1枚 (燃やす時に入れるマッチは10本) <条件> ○最後まで燃やし切る井桁を作成する ○12本全て使って組む ○新聞紙はちぎったり丸めたりしてよい

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- 6 - 実際にグループで作成した井桁を燃やしたところ、1班 のみが火が燃え続けることができず、2~7班は最後まで 燃えきることができた。そこをきっかけとして、子どもた ちは「ものを燃やし続けるには、何かきまりがあるのでは ないか」と気付き始めた。 <実験後の上記の活動に触れた子どもの考察> 今まで問題意識の低い子どもにとっては、やらされた実験で終了してしまい、生きた学びになっ ていなかった。さらに、結果を基にして考察をする場面においても他の子どもに追随するだけにな っていた。こうした子どもたちも、この体験活動から、空気の流れにしっかりと目を向けられた。 また、温かい空気が上、冷たい空気は下と関連付けていることから4年生「ものの温まり方」と関 連付けて考えられていることがわかる。

単元を貫く問題意識を高める体験活動の工夫

燃やしている時の様子 燃え残った1班 燃えきった2~7班 自分の班のいげたは、空気の通り道が1つしかな かったから、燃え切らなかった。

(9)

- 7 - 本校の児童は、工夫して書くことのポイントを身につけ、書くことを比較的楽しんでいるように 見受けられる。しかし、理科の場面においては、「結果」と「考察」の書き分けの理解ができない 面がある。 そこで、手立て 1.違いの分かる説明 手立て2.掲示物の活用 から「理解の深め合い」をねら いとして実施した。 <結果と考察の違いの説明内容> <「見て学ぶ」ことをねらいとした掲示活用の工夫> 学習の振り返りとともに、結果と考察の違いをはっきり分けている児童ノートを、他の児童の参 考資料として掲示物に添付した。その際、教師から細かな指導や助言をするのではなく、友達のノ ート記述から「見て学ぶ」ようにさせた。子どもたちは、「隣のクラスの子のノートだ!」や「こ のまとめ方すごい見やすいよ」など、興味をもってまとめ方に着目していた。

考え方の違いを共有し深め合う考察の工夫

<結果の書き方> ○数値などを用いて、実験から誰が見 ても同じ状態・変化を、自分の感情・ 気持ちなどを含めずに記入する。 ○見やすくするためにグラフ・表など を使ってまとめる。 <考察の書き方> ○結果から何が言えるかをまとめ、そ こから自分の考えや疑問を記入す る。 ○見やすくするために、イラストを使 ってまとめる。 結果と考察の違いの参考 となる児童ノート

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- 8 - こうしたの手立てにより、子どものノート記述から変容の姿が見られつつある。以下は同一児童 による「結果と考察の書き分け」のノート内容である。 (変容前の単元:「物の燃え方」変容後の単元:「植物のからだのはたらき」) さらに、子どものノートからは結果と考察の書き分けとともに、考察の中で生活とのつながりや科 学的な見方や考え方の新たな視点での記入が見られた。 考察: 酸素が減っているということは、燃えるときに 酸素が必要なのだと思います。 そして、あまり全体のうちの酸素の量は変わっ てないので火事の時も落ち着いて行動すれ助 かると思うので落ち着いて行動した方がよい と思います。 実験前まで火事になると酸素が無くなると考 えていたことが、実験から酸素量があまり変 わらないことに着目して、火事の時の行動と 結び付けてまとめていることがわかる。 考察: 空気の通り道で、その空気は酸素で酸素の 通り道をつくれば1班のイゲタも燃えた と思います。 実験結果から酸素が燃やすはたらきが あると理解し、導入で実施したミニ井桁 づくりで、1班の燃え残った原因を科学 の視点から思考して、燃え尽きるための 手立てを提案している。 変容前 変容後 考察: 上と下の空気の通り 道があると燃える。 考察: 葉に日光をあてると、でんぷんが作られるという ことが分かったから、つまり、光合成と関係があ るのだと思いました。だからお米は、かりとる前 に日光に当たっているから、でんぷんがあるのだ と思いました。だったら、日光に当たっている植 物はすべてでんぷんがあると思いました。

(11)

- 9 - 「ものの燃え方と空気」の学習を実施する中で、学習の延長上に子どもたちの様々な疑問がうまれ てきた。以下は、理科の学習の中で芽生えた疑問を自主学習において、自ら調べてまとめてきたも のである。 「理科っておもしろいな」で留まることなく、「もっと調べてみたい」と感じて行動した姿であ ると考えられる。

思考の深まりからの探求

<疑問→調べる活動へ> 「ものの燃え方と空気」の勉強で実験の後に燃やした後に出たけむ りがくさくて灰色だったから、なぜそのようなことになったのか不 思議だったから。 <疑問→調べる活動へ> 実験で使用した石灰水から「なぜ白く反応する のか」疑問に思って調べてまとめたもの ノートの左半分に「ものの 燃え方と空気」の学習内容 をまとめている。右半分で 学習から疑問に思った「空 気のない宇宙でロケット の燃料が燃えるのはなぜ か」と「空気のない宇宙で なぜ太陽が燃えるのか」を 調べてきたもの。

(12)

- 10 - 「物の燃え方と空気」の単元と同様に学習前・学習後シートを使用して思考の変容を実感できるよ うに設定した。

実践記録2 単元名「動物のからだのはたらき」

(6年)2013年5~6月

学習前と学習後の思考の変容とつながりの工夫

<A 児> <B 児> 学習前は、消化を中心にしか考えていなか ったものが、学習後には呼吸と消化を押さ えている他に血液の大切さにも着目して いる。学習前はどちらかというとイラスト が全体を占めているのに対し、学習後は図 を使って見やすくまとめられていること が読み取れる。 学習前は、呼吸には酸素、消化には食べ物 と水分が必要なことをまとめている。学習 後には、多くの臓器の名前を挙げ、全て大 切で必要であることと、消化には良く噛ん で食べる方が良いことに触れている事か ら学習内容を生活場面へ生かそうとして いることが分かる。 「物の燃え方と空気」の時と比較すると、自分自身に重ねて考えやすいこともあってか、学習内 容を生活場面に生かそうとする内容が多く見られた。

(13)

- 11 - 全身の血液の流れとはたらきについて考える場面において、脈拍と心臓の拍動数は同じか聴診器 で確かめた。その後、酸素を全身に行き渡らせる時に心臓は血液を送り出すポンプのような役目を することを実感するために、実際に運動(鬼ごっこ)をして運動前と運動後の脈拍数の違いを調べ た。 普段子どもたちの中でよく行われる「鬼ごっこ」であるが、運動することによって身体の中の仕 組みはどうなっているのか考えながら活動しており、運動後の脈拍計測では「すごい数が増えて る!」などの驚きの言葉が聞かれた。 以下は児童のノート記録である。

生活経験のつながりを意識させた体験活動の工夫

運動前 脈拍計測 運動中(増やし鬼) 運動後 脈拍計測 考察でも触れている通り、動くことで酸素が必 要になり、体中に酸素を送るための心拍数増加 を読み解いている。日常で行われている体験活 動を、科学の視点を用いて取り組むことにより 自分の体の中は今どうなっているのか考える ことができていることが読み取れる。 実験前の思考は、「走ることで 脈がビックリするから速くなっ たと思っていた」という曖昧な思 考が、科学の視点を用いた体験的 活動により、実験後血液の流れと 心臓の動きに着目することがで きている。 また、今までの経験と実験内容 を照らし合わせて、「心臓の近く に肺があるので走ったら苦しく なるのではないか」と考察してい ることが分かる。

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- 12 - 「物の燃え方と空気」の時は画用紙にイラストと理由をまとめたが、書き直しができない点と話 し合ってまとめるより、図工の作品づくりのようにイラストの色を塗るグループが多かった。そこ で、自分の考えを分かりやすく説明するために、ホワイトボードによる予想発表会形式を取り入れ た。 <口で吸った空気は?> 考察: 拍動と脈拍は同じ動きをすることが分かった。鬼ごっこをし た後は、すごい激しかった。1分後に、心臓を服の上から触 ってみたら、同じくとても激しかった。 この実験を象やネズミでやってみたい。 児童は運動をすると脈拍や拍動数が上がることは想 像できるが、具体的な数値で見てみると予想よりはる かに多くなっていたことに驚いている。さらに、自主 的に1分後、自分の服の上から拍動を確かめてみたら 運動直後と変わらないことを確認していることから 興味が高まっていることが分かる。その表れが「同じ 実験を象やネズミでやってみたい」と他の動物との違 いに興味が広がっていると考えられる。

相手意識をもった発言・表現方法の深め合いの工夫

気管→肺→心臓 理由: 空気は吸って気管を通り、肺 に入り、肺胞によって酸素と 二酸化酸素の交換が行われ、 血液の流れによって心臓に行 くと思ったから。 気管→肺→心臓 理由: 気 管 と 心 臓 は 直 接 つ な がっていないから。 気管→肺→心臓 理由: 全身に行くには、肺を通って から心臓にいきそうだから。 発表会から、お互いの考えや気づきの違いに目がいき、考えや 視点が広がるきっかけとなった。活用方法や場についてはさらに 工夫したい。

(15)

- 13 - 「ものの燃え方と空気」と同様に、学習を進めていく中で様々な疑問が子どもたちの中に芽生えた。 特に、授業の中で「鯉は他の魚と違い、胃が無い」と紹介した点について疑問をもち、調べてくる ものが多かった。 さらに、普段食事で食べている「サバ」を料理する際、呼吸器官である「エラ」を観察した様子 を報告してきてくれたモノもあった。 次にあげる写真は、思考の深まりからの活用の場面では番 外編とも捉えられるかもしれないがあげさせていただく。こ の児童は、臓器の働きの学習後、自分のお気に入りのキーホ ルダーのぬいぐるみに人間の臓器を紙に書いて貼っている。 一見ふざけているようにも見えるかもしれないが、「理科が好 き」「科学が好き」だからこその行動ではないか。

思考の深まりからの追究・活用

魚には「有胃魚」と「無胃魚」(鯉・ サンマ・ドジョウ・めだか)がいる。 授業では、胃がない魚は「鯉」 のみの紹介だったが、自主学習 により他にも胃が無い魚を調 べてきている。 今まで、授業の中で「生 活に生かしていきたい」 といった記述は沢山あっ たが、実際に行動できた ものは少ない。今回の自 主学習のように、実際の 行動に写し、自分で納得 して学習としてまとめあ げる姿はまさに「科学が 好きな子ども」の姿なの ではないだろうか。

(16)

- 14 - 本校は平成17年度より英会話の自主研究を始め、本年度は小・中一貫「英会話」研究推進モデ ル校としての発表を予定している。この学習の中に、「物の見方・考え方」につながる題材を取り 入れる。ここでは、「ものの浮き沈み」を行った。そして、児童が身近な野菜や果物を使った簡単 な実験を英語だけで表現し、伝え合おうとすることで、事物・現象のポイントをしっかりと見つめ ることになると考えた。

<授業の様子>

実践記録3 英会話のスペシャル授業 (6年)2013年3月

「学習内容のつながり」からの科学の視点を取り入れた英会話授業

<用意した物> 水槽(中に水を入れる) 野菜(ジャガイモ・さつまいも・ブロッコリー・人参・かぼちゃ・ピーマン・トマト) 果物(みかん・オレンジ・バナナ・キウイ) <授業の流れ> 1.浮く(Float)沈む(Sink)の言葉の確認 2.ジャガイモを水槽に入れて水に沈むことを確認 3.児童の選択する野菜や果物に「浮く・沈む」を理由も含めて予想 4.実際に水槽に選択した野菜や果物を入れて確認 5.結果から浮く・沈むのきまりを考察 (全部で5種類の野菜や果物を入れて、浮く・沈む法則を見つける) 子どもたちは、5種類の野菜や果物を入れる度にカウントダ ウンをして「浮く・沈む」をドキドキしながら確認していた。 また、回数を重ねていくことで考察を通して「浮く・沈む法則」 を立てていた。最後に、「土の中で育つ野菜は沈み、土の上で 育つ野菜や果物は浮く」と知ると「へ~!」と感嘆の声をあげ ていた。

(17)

- 15 - 普段の英会話はレクや歌が中心だったが、一問一答の形から規則性を見出す活動は児童のだんだ ん分かってくる様子が表情から伺えた。また、規則性に気付いてくると結果が分かるごとに反応よ く考察する姿が見られた。学習感想からも夢中になった様子が見られる。 今回「浮く」「沈む」の二択という シンプルな実験を繰り返すことで英 会話としても単語を反復練習のよう に覚えるのではなく、楽しみながら 覚えていた姿にこれからの学習内容 の工夫の可能性を感じた。 今後、この英会話の学習で扱う内 容に、動物や植物の分類など、子ど もたちにとって興味深く、物の見方 や考え方を工夫して表現する内容を 取り入れていきたい。 A 児のワークシート 始めは水分量の違いと予想していたが、実 験の回数を重ねることで、体積の違いと 考えを変えていくことが分かる。 B 児のワークシート 最後まで「空洞」で規則性を考察していた が、最後に外・・・Float 土・・・Sink とまとめて納得したことが分かる。 <学習感想>

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- 16 - 昨年度の論文で教育計画に位置付けた、さいたま市青少年宇宙科学館と連携した「出前授業」を 実施した。内容は、「人と環境」で現在の日本の発電事情(火力・風力・水力・原子力)から、実 際に手回し発電機で発電の仕 組みと大変さを実感し、環境に 良い発電を考えていくもので ある。 すでに、授業で手回し発電機に よる豆電球とLED を発電させ る手応えの違いは実験してい たものの、専門的な知識の解説 と発電の仕組みを踏まえた実 験に、児童は大きな興味関心をもった。授業の中で学んだことの発展学習として、たいへん効果的 な内容となった。 出前授業の内容の中では、「ペルチェ素子」による発電実験を全員が実施した。本来、中学理科 の内容であるが、二酸化炭素を排出しない方法の発電としての紹介の他に、中学校で学習する内容 であることを児童に紹介することで、中学校の授業への期待が高まったように感じた。 また、今回の「出前授業」は本校の特別支援学級の児童も一緒に参加した。事前に大きな音の実 験は避けることや、座席の配慮はしたが当日の児童の様子は、驚いて怖がる様子もなく楽しそうに 周囲の児童と最後まで実験を取り組んだり、話を聞いたりすることができていた。担任によるモデ ル実験から安全であることを確認してから実験することや、普段の交流学級の友達が周囲にいるこ とから安心感のもとで取り組むことができたのではないかと考えられる。特別支援学級の担任から も「学習を通して、児童につながりを実感でき、良い経験になった」と評価された。

実践記録4 さいたま市青少年宇宙科学館との連携による出前授業

(6年)2013年2月

「学習内容のつながり(発展)

」を意識した工夫

ペルチェ素子の担任によるモデル実験 児童同士のペルチェ素子実験

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- 17 -

Ⅲ 研究を実施してからの子どもの姿(学習感想から)

これまでの研究を振り返るにあたり、研究の中心となった2013年度(平成25年度)の6年 生へ1学期の理科の学習感想を記入してもらった。以下がその内容である。 6年生の1学期では、身近なことについて学習して、私たちが今、 生活しているのは、自然のおかげだと思いました。今、呼吸してい るのは植物のおかげ。食べ物を食べられるのも植物のおかげ。水が のめるのは雨などのおかげだから、自然を大切にしようと思いまし た。森林破壊などは、結果自分たちを苦しめるのではないかと思い ます。 理科の授業を通して科学的理解を培い、地球環境へ感謝の 思いをもつことができている。さらに、森林破壊がどう影 響するのかを考え、自分の考えをもつことができている。 私は、1学期の単元は、この理科のテーマのように、環境と全て 関わっていることが分かりました。また、どの単元も全部つなが っているなと感じました。なぜなら、ものを燃やすと酸素が減っ て、二酸化炭素が増え、たとえば、工場や車などから排出されて その空気で私たち人間と動物、植物が呼吸をします。今はまだき っと木や植物が多いと思うけど、ずっと無駄な植物(森林)伐採 をしていけば、木が減って、動物も人も空気が汚れて住みづらく なってしまうと思います。だから、無駄な伐採はしないでほしい し、近くへ行くときは、車じゃなくて、徒歩など、自分ができる ようなことをやって、地球を住みよい星にできたらいいなと思い ました。 単元全体を通して「環境」と結び付け、感想を記入して いることが読み取れる。また、自分でできる環境保護に ついても考え、活用しようとしていることが分かる。環 境保護を他人事で考えず、自分が住んでいる地球として、 将来を真剣に考えていこうとしていると考えられる。 子どもたちの学習感想から、一貫したテーマをもった授業づくりの大切さを感じた。何のた めにこの学習をしているのかいつでも振り返られるテーマをもち、科学的な見方・考え方を楽 しみながら学習し、活用を真剣に考えることが大切である。さらに、学習内容を活かして「地 球と自分のより良い関係」で向き合って生活し、実践する姿になってこそ「価値ある学習」な のではないかと考える。

(20)

- 18 -

Ⅳ 実践の成果と課題

1.単元や授業の流れのつながり <成果> 学校生活の時間割に沿った学習活動では、ほぼ1時間ごとに教科が変わる。子どもたちの思考は 1時間ごとに区切られ、ややもすると単元を通しての意識が途切れてしまう場合がある。今回の実 践では、単元を貫く問題提起(事象との出会い)にポイントを置くことで、子どもたちが追究する テーマを一貫する授業を実践することができた。子どもたちの考察内容からも、学習が進む中で「あ の時の実験は、今回の学習内容のココが関係しているのではないか」と本時の学習と今までの学習 のポイントを置くことで、結び付けてまとめる姿が多く見られた。 <課題> 今回研究の中心となった6年理科の1学期は、「環境」をテーマとして授業実践を行うことがで きた。 2学期以降は「太陽と月の形」や「てこのはたらき」、「水溶液の性質とはたらき」など、1つの まとまりのあるテーマにはなりにくい。子どもたちにとって「価値ある学習」となるように、教師 として子どもたちにとっての学びの必然性を明確にして、学習活動を展開していきたい。 2.教科・学年を超えた学習内容のつながり <成果> 「学習は常に積み重ねていくものであり、いきなり新しい内容が始まることはない」ことを伝え ることで、学習のつながりを感じながら、子ども自身がのびのびと取り組むことができる姿を見る ことができた。また、予想や考察の内容からも、既習を結び付けられるようになってきた。 英会話と理科の合科授業では、子どもたちに少しずつ法則を見出させる楽しみと2つの授業が合 わさった新鮮さを感じさせることができた。英会話の学習の雰囲気は独特で馴染まない様子の児童 も、理科との合科授業では自然で楽しそうな表情で取り組めていた。 <課題> 学年を超えた学習内容のつながりは、教材研究の段階でさらに明確にして取り組みたかった。し かし、実際には1時間の授業をこなすことで精一杯となり、学習の系統性の意識が薄かったことを 反省している。6年間を見通した学習から、既習を活かす学習となるように学校全体として学習内 容のつながりを一覧にするなど、教科部の活用を充実する必要がある。 今回実践した英会話との合科授業は、あくまでも余剰時間の中での実践で行った。英会話の教師 との打ち合わせの時間も取り、準備も時間がかかったのが反省である。今回の授業を活かして、指 導案を次年度へ送り、打ち合わせや準備に活かせるようにしたい。 3.中学校へのつながり <成果> 出前授業から、6年生へ中学校への期待を高める授業実践を実施することができた。中学校への 不安を言葉にしていた子どもも、徐々に期待へと変化していく様子も伺えた。自信をもって学習に

学習内容のつながり

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- 19 - 向かうことが大切であることを再認識し、中学校の学習が何でも新しい始まりなのではなく、小学 校とつながっていることを実感するきっかけ作りにもなることができたと考えている。 <課題> 今回の取組は、あくまでも本校の中だけの取組でしかない。中学校から「どんな学習を身につけ させておくべきか。」や「中学校の学習でどうつなげていくか」を意識したり、中学校の教師から の声を直接聞いた実践ではない。さいたま市では、本年度から小中一貫教育を掲げており「つぼみ の日」として小学生と中学生の交流の日を設定した。子どもだけでなく、教師どうしも交流を重ね、 つながっていく必要があると感じる。 1.生活経験と既習のつながり <成果> めざす児童の姿が「学習して得た知識を生活で生かし、自分と地球との関わりを科学の視点から 考えられる子」である。生活経験や既習の振り返りから学習内容へと進行していく授業展開はとて も自然な流れだと感じる。さらに、単元が終わってから「生活へどう生かしていくか」を考えるこ とによって単なる知識に留まることなく「価値ある学習」へ近づくことができたように考える。 <課題> 本校はビルに囲まれた生活環境の中であるため、経験のバラつきが見られる。全ての児童が同じ ように経験しているものを導入で触れるように配慮したが、学習内容によっては経験の差が出てく る。既習に至っては、児童の声から「やってない」とよく聞かれるがよく聞いてみると「覚えてい ない」という方が多かったため大きな問題は見られなかった。やはり、子どもの心にしっかり刻ま れる体験活動や単元全体にわたってつながりのある学習を継続していく重要性を感じる。 2.学習前と学習後の思考の変容とつながり <成果> 「学習前・学習後シート」の活用により、子ども・教師共に目で見て学習内容の習得を実感する ことができた。また、内容を精選してよりシンプルにしたことで子どもの思考に対する表現力を高 めることができた。たくさんの学習内容を見やすく、分かりやすくしようと苦悩しつつ、まとめる ことを楽しむ子どもの姿が確認できた。 <課題> 単元の導入前とまとめ後に「学習前・学習後シート」の記入を位置付けたが、導入では、上記で 述べた生活経験のバラつきと既習内容を覚えていない児童にとっては記入することが難しく、20 分ぐらいの時間が掛かっていた。さらに学習後は、学習内容をまとめることに集中してしまい、「活 用場面の思考」まで余裕をもって取り組むことが難しかった。記入内容と記入する場面を考え、子 どもの豊かな発想力を発揮できるようにさせたい。

思考のつながり

(22)

- 20 - 1.予想段階での考えの違いに視点をあて、問題意識を高め合う工夫 <成果> 昨年度の6年生へ予想をするのがなぜ苦手なのか質問してみたところ、「どうやって考えを文字 や図・イラストにすればいいのか分からない」と返答された。そこで、様々な考えを共有する「友 達から学ぶ」ことを行い、考えを深め合うことができた。これまでは、「予想のポイント」を教師 から示すことが多く、今回の実践は他教科でも活かされるべき姿であると考える。 <課題> 今回、予想の共有をする場面で模造紙やホワイトボードを使用して取り組んだ。個人の予想をグ ループでまとめる際に、どうしても思考の面での力関係が生まれ、良い考えでも活かされない場面 も見受けられた。集団で共有する前段階のグループの共有場面で、「一人ひとりの考えを大切にす る話合いのルール」を確立したいと感じる。 2.考察の考え方の違いを共有する高め合い <成果> 今まで結果と考察の違いを理解できなかった子どもたちから、「違いが分かり、考察を考えたり 書いたりすることが好きになった」という感想や声を多くもらった。また、結果から考えられるこ とが一人ひとりちがうことの新鮮さを感じている様子も多く見られた。良い考察として発表しても らった児童に対して「同じ結果なのに、ああやって考えられるなんてすごい」と感心する場面もあ った。考察を深めていくことは、学習に対する自主的な姿勢を伸ばすことにつながるように感じた。 <課題> 考察は学習内容を踏まえて広い視野をもって考えることから、どうしても時間に個人差が生じた。 考察の記入場面だけで考えるのではなく、実験して結果を出す段階から考察しながら取り組むべき であるように思う。そうすることで、結果を出す子どもたち同士の会話もより深いものになってい き、思考の上での高め合いにもなる。教師の助言内容も厳選して、子どもたちに考えさせるものに していきたい。 1. ノート記録から多様な表現方法の高め合い <成果> 「ノートは写すものではなく考えて創るもの」と指導を繰り返し、子どもたちはノートの空間配 置を考えながらノートを構成する能力を高めていくことができた。また、参考になる児童のノート を共有することで工夫するポイントやまとめる工夫をつかませることができた。理科の授業はノー トと筆記用具と色鉛筆と子どもたちの中でも位置付けられ、より書くことを楽しんでいると感じら れる。 <課題> 書くことを楽しむには、それなりの時間が必要になる。理科の授業は体験活動も大切になるので 教師の指導時間をより分かりやすく短時間に実施することが重要になると実感する。子どもが満足

考えの深め合い

表現の高め合い

(23)

- 21 -

<学習環境から>

<自分から>

いくノート時間の確保のため、指導内容を精選していきたい。 2.相手意識をもった発言・発表表現の高め合い <成果> 発表形式を取り入れることで、子どもたちは自然に相手意識をもって内容を考えることができて いた。また、自分たちが苦労するほど「他のグループはどうやったのか」気になる様子があり、集 中して発表内容を聞くことができた。発表前のまとめている段階で「発表の練習をしておくこと」 を助言するとグループ内でリハーサルを行ったり、「どうやって説明したらいい?」などの相談を 行っていたりしていたので、コミュニケーション活動にもつながっていた。 <課題> 発表者を決めるのはグループ内で考えさせてしまったため、いつも同じメンバーとなっていた。 今後は話合いが行われる前に教師側が意図的に指示して、均等に発表する機会が与えられるように していきたい。さらに、「自信をもって自分の考えを相手に理解してほしい」思いのもてる問題提 起を教師が楽しみながら考えることと、話合いの方法を子どもたちと共に考えていきたい。

Ⅴ.2014年度の教育計画

2013年度の成果と課題を踏まえ、2014年度の教育計画を以下に示す。 <研究構想図> これまで本校でめざしてきた「科学が好きな子ども」像は、理科を中心とした学習活動が、さら に発展してその先の未知のものへと興味関心をもち、生活の中で活用されていることに目を向けさ せることができる姿として取り組んできた。しかし、本年度の実践を通して、めざすべき「科学が 好きな子ども」は、学習を発展させて探求・活用することだけでなく、単元の学習の中に問題解決 の喜びに浸る子どもであると実感させられてきた。発展としての「探求・活用」も大事であるが、 単元の始まりから終わりまでの問題解決の活動にさらにしっかりと取り組みたい。

科学が好きな子ども

思考の深まりからの探求・活用

系統性の重視

学びを実感する

単元を貫く問題意識の工夫

「つながり」

学びの中で実感する

「深め合い」

(24)

- 22 - <具体的な実践の計画1> ~国語の学習とつなげて~ 6学年 (理科)単元名「電気とわたしたちのくらし」(2014年度) <単元計画> 理科と国語を合科させることで、身近な体験や生活に目を向けた話合い活動に重点を置き、限り のあるエネルギー資源の有効活用を自分のこととして問題意識をもって考えさせたい。 国語:既習や生活からの「節電」討論会 ねらい: 今の生活がどれだけ電気に支えられているのかを自分自身 のこととして実感させるようにする。 理科:「電気とわたしたちのくらし」 ねらい: 電気の利用や発電の仕方を学び、最後に「10年先の環境 に優しいマイホーム」を計画させ、環境に優しい電気の 使い方を考えさせる。 国語:科学の考え方を深めた「節電」発表会 ねらい: 理科の学習後の科学的な考え方の深まりを実感しながら、 「節電」についてプレゼンテーション形式の発表会で深 め合い、活用への意識を高めさせる。 学習内容 活動内容(◆)と留意事項(■) 第一次(国語) 節電について討論会を開こう ○節電派と反節電派に分かれて討論会を開く。 ○聴衆グループは、電気と自分のかかわりにつ いて一人ひとりの考えを発表する。 ◆既習や生活経験から、電気は大切に使わ なければいけないが、生活に欠かせない ものであることを話し合う。 ■電気は、熱・音・運動・光などに使用さ れていることに気付かせ、理科の学習へ つなげる。 第二次(理科) 電気を熱に変えることができるのか 電気はつくることができるのか つくった電気は貯めることができるのか 10年後の環境に良いマイホームを考えよう ◆電熱線に電流を流すと発熱することを確 かめる。 ◆手回し発電機で発電させ、コンデンサー で電気を貯めることができることを確か める。 ■マイホームは、節電を重視させるため、 電気の使用方法に留めて考えさせ、発電 は取り扱わないようにする。 第三次(国語) 今できる節電方法の発表会 ○理科の学習を踏まえた電気の科学的な見方や 考え方を節電に活用させて発表する。 ◆節電の提案や実際に家で実施してみた内 容を発表する。 ■節電を電気を使わないという思考ではな く、環境に配慮して電気を使用する思考 へと結び付けさせるようにする。 エネルギーと しての電気に 興味を深め、 節電への意識 を高められる 子 ↓ 科学が好きな 子ども

(25)

- 23 - 学習のつなが りを意識して 「ものの温ま り方」の見方 や考え方を深 め合える子 ↓ 科学が好きな 子ども <具体的な実践の計画2> ~科学的な見方・考え方を培う理科学習~ 4学年 単元名「ものの温まり方」 (2014年度) <単元計画> 学習内容 活動内容(◆)と留意事項(■) 第一次 金属はどのように温まるか調べよう ○ろうをぬった金属板をあたため、温ま り方について調べる。 ◆生活場面の例から「フライパンを火にかけた 時の温まり方はどうなっているか」を考えさ せる。 ■予想は言葉やイラストを使って説明させる。 第二次 水はどのように温まるか調べよう ○水を熱したときの様子を調べる。 ◆生活場面から問題を発見し、実験計画を立て て実施する。 ■予想や考察はイラストを使って金属の温まり 方と比較して発表させる。 第三次 空気はどのように温まるか調べよう ○理科室の空気の温まり方を調べる。 ○今までの学習から「ものの温まり方」 をまとめて、発表する。 ◆金属と水の温まり方の学習を活用して、生活 場面から問題提起し、実験計画を立てて実施 する。 ■金属・水・空気の温まり方をイラストや言葉 を使って見やすく、分かりやすい説明となる よう助言する。 ■発表はグループ全員で協力して分担させる。 金属の温まり方で問題解決の過程を想起し、水や空気の温まり方では子ども主体の学習計画を立 て「ものの温まり方」のきまりを見つけさせるようにすれば、学習のつながりを感じることができ ると考える。また、生活場面からの問題を発見することで、身近な科学の見方や考え方を深め合う ことができるのではないかと考える。

3.空気の温まり方

2.水の温まり方

1.金属の温まり方

ねらい: 日 常 生 活 か ら 例 を 挙 げ、問題発見から考察 までの問題解決の流れ を想起させる。 ねらい: 金属の温まり方を学習 した流れを活用させ、 水ではどうかを学習計 画から立てさせる。 ねらい: 金属と水の学習を活用 して空気の温まり方を 調べ、「ものの温まり 方」をまとめさせる。

(26)

- 24 -

「やってみたい!」と「これが使える!」を引き出す理科学習環境の充実

(2014年度)

単元を一貫した意識をもち、子どもたちから実験計画を考えられる環境を整えるべく、主要な実 験器具と実験内容の掲示を計画した。 実験器具の絵 実験器具の使用例 実験器具の注意事項 <アルコールランプの場合> <気体検知管の場合> 実際に実験を行った際に指導される注意事項や、子どもたちがよく間違ってしまう事を繰 り返さないように、子どもの気持ちに沿った「価値ある掲示」にしたい。理科室で常に目に 入るようにし、事故の無い、安全で充実した実験や観察ができるような理科の学習環境を整 えていきたい。 こうした理科学習環境の整備にあたっては、理科部の教師だけでなく学校全体で取り組ん でいきたい。その時には、各学年の理科学習指導の実施上の課題を確認し、教師のニーズに あったものとしていきたい。

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- 25 -

Ⅵ 理科好きな子ども・教師の学校をめざして

本校では、平成25・26年度さいたま市教育委員会の研究委嘱を受け、「問題を解決する力や 自分の言葉を使って表現する力を育成する学習指導と評価の工夫」を研究テーマに、「理数教育」 で研究を推進している。 平成25年度には、第4学年と第6学年で研究授業を、平成26年度には第3学年~だい6学年 の全学年で研究授業を実施し、市内外の学校に授業公開を中心とした研究発表を行う予定である。 理科部のみではなく、研修でも理科学習を研究し、まず理科の楽しみを教師が感じて子どもたちへ 授業を通してつなげていけるようにしたい。 また、さいたま市では、確かな学力の向上や「中1ギャップ」の緩和のために、義務教育9年間 を見通したカリキュラムを作成し、平成26年度から、「小・中一貫教育」を全校で実施する予定 である。 「科学が好きな子ども」を育成するためには、校内は無論、関係中学校とも共通理解を図り、一 貫性のある学習指導を展開していく必要がある。そのためには、本研究を個人研究の域に留めるこ となく、来年度の年間指導計画に位置付け、PDCA の評価システムを繰り返して授業改善を図って いきたい。そして、校内での研修の一層の充実のために本研究を活用するとともに、小・中学校の 教師の授業参観や合同研修会を計画・実施し、小・中の連続性を通した「科学が好きな子ども」の 育成を図っていきたい。

Ⅶ 終わりに

本年度で4回連続の応募をさせていただいた。過去3年間を振り返ってみると、子どもたちの未 知なる才能をどうやって引き出すか毎回苦悩の連続だった。さらに、自分が予想するものを上回る 子どもたちの発想力に脱帽することが多々あったように思う。その都度、子どもたちと感動し、共 感したのを覚えている。 私は教師となって5年目になる。この論文に取り組み、子どもたちと向き合い、理科に取り組む ことを通して成長できたと思っている。 過去の教師としての自分自身が斬新な授業を求める傾向があった。これまでの実践を通して、見 栄えだけの新しさや驚きを求めるのではなく、授業で実施されているスタンダードな形の内容が多 かったように思うが、私自身にすると、子どもの考えに寄り添うことができたのではないかと感じ る。これからも、子どもたちの思考を深め、「もっとやりたい」「もっと知りたい」を引き出すかに 重点を置いて取り組みたいと考えている。 また、授業が上手くいかないと思った時に、素直に子どもたちに相談したこともあった。子ども たちはみんな面倒くさがることなく、親身になって考えてくれ、子どもの心の温かさを感じた。論 文の回数を重ねるほど、子どもたちとの心の距離が近くなっていることを実感する。また、「科学 が好きな子ども」を追い求めているうちに、自分自身が科学を好きになっていることも驚かされた。 これからも、子どもたちと真剣に向き合い、科学を楽しみながら理科の学習を展開していきたい。

(執筆者)さいたま市立桜木小学校

教諭 峯岸 愛

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