C A N C E R 9
(2000)
,p.21-22
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遠州灘産ホモラ科
2 種およびコブシガニ科 1 種の記録
中 島 徳 男
前回( 第1
報) では ,稀種であるコウナガカム リおよびオオホモラについて報告したが本報にお いては,ホモラ科の2
種およびコブシガニ科の1
種を紹介する. いずれも ,属名や学名の変更及び 分類学的に興味ある種についての記録である . な おこの研究に使用した標本は 豊橋市自 然史博物 館 に保管されている . ホモラ 干ヰHomolidae
1 .
イボテオオホ モラMoloha m ajora (Kubo
,
1936 )
本標本は甲長
50.5mm
の雄で,1980
年3
月,愛知 県渥美半島,伊良湖 岬 沖の遠 州灘,水深約200m
の砂底から沖合底引き網により採集されたもので ある .甲面には鋭い突起が左右相称に並んでいる . 眼 前 線 は 強 大 で そ の 外 縁 に 1 本の小枝がある . 甲の両側縁にそれぞれ,4
本の大赫と数個の小糠 が並んでいる . は さみ脚 は歩脚とほぼ同じぐらい の太さで,第1
歩脚よ り40 .0mm
短い. 前方3
対の 歩脚 の長節には前縁,後縁にそれぞれ3
,4
本の 赫 が生えている( 写真1 )
.
写真1
イボテオ オホモラTokuo NAKAJIMA: R ecords of
two homolid and one
leucosiid crabs fro m the Enshu-Nada
,Central
]apan
Guinot
&
Richer
de
Forges (1995)
がホモラ科 に関する大部のモノグラフを出版した. 従来,本 種は日本と南アフ リカ という遠隔の地 に分布する とされて,Paromola alcocki Stebb ing
の 学 名 が 与 えられていた. しかし ,彼らは標本を直接比較し てこれらは 別種と考え ,日 本産の種には従来シノ ニムとされていたLatreillopsis
桝 品,jor Kubo
を復活 させた . また ,8arnard
(1947)
に よ り創設され たTelx
ω
卯(Moloha)
を 復 活 さ せ て , 学 名 をMoloha majora (Kubo)
と改めた . この属には, 本 種 の ほ か 模 式 種 の 南 ア フ リ カ 産 M .alcoki
(Stebbing)
, カ リ フ ォ ル ニ ア 産 M.faxoni
(Schmitt)
,日 本産のツノ ナガオオホ モラM. ac
叫-tispina (Sakai)
, セ イ シ ェ ル 諸 島 産 M .alisae
Guinot
&Richer de
Forges
, モ ル ジ ブ 諸 島 産 M.grandPe
γrini Gun inot
&Richerde Forges
の
6
種 が含 まれてい る. 本種とM .
alcocki
は事実よく似ているが,南ア フリカ産の種では歩脚が平たく,上縁に強い線状 突起が等間隔に並んでいる . 長節の上縁末端の突 起も明 らかに鋭く ,長い. 本種は酒井(1976)
および池田( 1998)
による と,房総半島沖,相模 湾,駿河湾,熊野灘,土佐 湾の水深100-200m
から知られている. 遠州灘周 辺の海域では,紀伊長島沖の熊野灘より 雌 1 個体 が記録されている ( 短尾類分布調査研究会,1983) .
日本固有種.2 .
ツ ノナガオオホモラMoloha acutispina (Sakai
,
1961 )
本襟本は甲長25mm
の雌 で,1980年 3
月,愛知県 渥美半島,赤羽根沖の遠州灘,水深約4 0 m
の砂底 から 小型底引き網により採集されたものである .甲面が滑 らかで, 胃域とその 両面 と心域に小 さ い練が左右相称、に配置しているほか,肝域に 1 本
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遠州i難産ホモラ科2種およびコブシガニ科l種の記録 16 17 写真2
ツノ ナガオオ ホモラ 脱 域 に3
本 の 大 き な 赫 がある . はさみ) 拘l
は歩脚と │行l
じように 細 く, 歩 脚よりも 短 い ( 写 兵2) .
属 名 の 変 更 に 関 し て は 前 種 を 参!!託 本種は, 日 本 固 有 種で, 相模 湾 ,志 摩 半 島 沿 岸 熊 野 灘 , 紀 伊 南 部 , 土 佐 湾 か ら 知 ら れ て い る (酒 升, 1976). な お , 遠 州 灘 周 辺 の 海 域 で は , 紀 伊 長!:占ilj'
の 熊 野i
難より 雌11
附体 が 記 録 さ れ て い る ( 短足類分布調査研究会, 1983) .コブ シガニ科
Leucosiidae
3 .
サ メ ハ タ 工 バ リ ア Ebalia scabriuscula O r t m a n n,
1892 本 燃 本 は l判長 8 mm の雄で, 198 0年 2 月 ,愛 知 県 渥 美 半 島 ,伊 良 湖 岬 沖 の 遠州 灘 水 深 150 - 2 0 0 m の 砂 底 か ら 沖 合 成 引 き 網 に よ り 採 集 さ れ た も の で あ る. 甲は やや横長で、, 菱形に近く{ ,' :rfli
は丸い粒で、 お お わ れ,腸 域 が 丸 く 盛 り 上 が って いる. 甲の倶IJ 縁 は 中 央 部 が や や 角 張 っ て おり, 後 縁 は2
つ に 分 かれている . 第1
腹肢は幅広く,先端まで同じ幅. 第2
腹 肢 は ご く 短 い . 第1
,第2
腹 肢 の 長 短 は 属 や 系 統 を 考 え る 上 で 重 要 と 考 え ら れ る が, 例 え ば 大 き さ や 一般 的 な 特 写真3
サメハダエハリア 徴 が 本 種 に 似 て い る テ ナ ガ エ パ リ ア Ebalia longi m。
印
O r t m annで は , 第 2 腹 肢 の 方 が 第 1 腹 肢 よ りも 明 らかに長い . こ れが エ バ リ ア 属 に 共 通 す る 特 徴 と 考 え られることから , 本 種 を 別 種 に 移 す べ き で あ る ( 写 真3) .
本種は日本特産で,相模湾,熊野灘,土佐湾, 引 用 文 献G u inot. D. & Richer dc Forges. 1995. C rustacea Dec apo-da Brachyura: Rev ision de la famille des H om oli dae de H aa n. 1839. In: A. C rosni er (ed. ). Resultats des C a m pagncs M u sorstom. vol. 13. Mem. M u s. natn. d' Hist nat.. Paris. (A). 163: 283-5 17
池凹 1998. 相模湾雌深海性蟹類 66pp .1l 4p ls. 中島{ 忠男. 1999. 遠州灘産カニ類 2 稀種の記録. Canccr, 8 : 39-40. 酒 井 恒,1976 日本産蟹類 (3巻). 773pp. ( 英文) . 461 pp ( 和文) . 251pls. 講談社,東京 短尾類分布調査研究会,1983. 伊勢湾および熊野灘北 中部域の短尾類相. 三重 県立博物館研究報告( 自然 科学) . 5 : J -78 (甲 殻 類学会員)