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妊娠中期までの体重増加と食生活が耐糖能異常に与える影響

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妊娠中期までの体重増加と食生活が耐糖能異常に与える影響

The factors influencing glucose intolerance through the second trimester;

weight gain and change in dietary habits

卯 野 陽 子(Yoko UNO)

*1

藤 田

愛(Megumi FUJITA)

*2

山 口 咲奈枝(Sanae YAMAGUCHI)

*2 抄  録 目 的 妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンなどの影響により耐糖能異常が起こりやすい。女性は妊娠する と食生活を見直していくが,妊娠後の食生活の変化に加えて妊娠期間を通して約10kgの体重増加が生 じることも耐糖能に影響を与えていることが推測される。そこで本研究は,妊娠中期までの体重増加量 と食生活に着目し,耐糖能異常に影響を与える要因を検討した。 対象と方法 研究デザインは妊娠初期から妊娠中期までの縦断研究である。対象は2018年3月~2019年6月にA病 院で妊婦健診を受けている180名をリクルートした。調査内容は,年齢,非妊時BMI,妊娠中期までの 母体体重増加量,妊娠中期の血糖値,食生活,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)である。妊娠中 期の血糖値140mg/dl以上を「耐糖能異常群」,それ未満を「正常群」とし,食生活の変化の比較ではχ2 検 定とt検定を行い,耐糖能異常に影響を与える要因の検討は二項ロジスティック回帰分析を行った。独 立変数として,非妊時BMIと妊娠中期までの体重増加量,朝食頻度,妊娠中期の摂取エネルギー量を 投入した。 結 果 147名(81.7%)が分析対象となり,耐糖能異常群35名,正常群112名となった。両群ともに非妊時よ りも朝食を摂取するようになり,食べる速度に気をつけ,食品購入の際に栄養成分表示を参考にする行 動をとっていた。耐糖能異常の要因は,非妊時BMI(オッズ比1.18(95%信頼区間1.05-1.32))と妊娠中 期までの体重増加(オッズ比0.78(95%信頼区間0.61-0.99))であった。 結 論 耐糖能異常予防のためには,妊娠中期まではつわりや嗜好の変化を伴うが,食生活の変化があること から,早期の食事指導と適切な体重増加が得られる指導が必要である。また,非妊時BMI区分による 妊娠初期・中期・後期の至適体重増加量の指針検討が必要と考える。 キーワード:耐糖能異常,妊娠中期までの体重増加,食生活 2020年5月18日受付 2020 年9月10日採用 2020年12月4日早期公開

*1山形大学医学部附属病院(Yamagata University Hospital)

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Abstract Purpose

Glucose intolerance in pregnancy is likely to occur, as there is an increase in human placenta lactogen by the second trimester. We presumed that changing dietary habits and approximately 10-kg weight gain during pregnancy most likely influenced this condition. Thus, a pregnant woman should be encouraged to reconsider her dietary habits. In this study we examined the factors influencing glucose intolerance with a focus on weight gain and change in dietary habits through the second trimester.

Methods

This longitudinal study examined pregnant women from the first trimester through the second trimester. We recruited 180 pregnant women who were in their first trimester and who attended a single hospital prenatal clinic between March 2018 and June 2019. Patient characteristics included age, pre-pregnancy body mass index (BMI), maternal weight gain until the second trimester, blood glucose levels in the second trimester, dietary habits, and a brief dietary history questionnaire (BDHQ). A blood glucose level of 140 mg / dl or more during the second trimester placed the patient in the glucose intolerance group and a glucose level less than 140 mg / dl placed the patient in the normal group. Data analysis was performed using the chi-square test and the t-test for the comparison of dietary habits between the first trimester and the second trimester. Binominal logistic regression analysis was used to investigate the factors influencing glucose intolerance. We analyzed the data using the following covariates: pre-pregnancy BMI, weight gain until the second trimester, age, and energy intake.

Results

A total of 147 pregnant women participated in the study. In the two groups (35 in the glucose group and 112 in the normal group), change in the women's dietary habits included having breakfast, carefully monitoring the speed at which they ate, and checking nutritional facts when they purchased food. Factors influencing glucose intolerance were found to be pre-pregnancy BMI and weight gain until the second trimester. The analysis showed the following results: odds ratio [OR], 1.18; 95% confidence interval [CI], 1.05-1.32, and OR 0.78; 95% CI 0.61-0.99.

Conclusion

Pregnant women experience nausea, vomiting, and / or changes in their taste for food in the first trimester. How-ever, we considered that nutrition education and an appropriate weight gain until the second trimester would prevent glucose intolerance. In addition, optimal gestational weight gain must be examined in each trimester of gestation. Key words: glucose intolerance, weight gain until second trimester, dietary habits

Ⅰ.緒   言

妊婦は非妊時と比較し妊娠中に胎盤から分泌される ホルモンなどの影響によりインスリン抵抗性が増大す ると考えられており,耐糖能異常が起こりやすい。そ のため,産婦人科診療ガイドライン2017(日本産科婦 人科学会他,2017)において,妊娠初期に妊娠糖尿病 (gestational diabetes mellitus:以下,GDM)あるいは “妊娠中の明らかな糖尿病”と診断されなかった妊婦に 対して,妊娠24~28週の妊娠中期に50g(glucose chal-lenge test:以下,GCT)を行う。その後,血糖値 140 mg / dl以上の妊婦に対して 75g 経口ブドウ糖負荷試験 (以下,75gOGTT)を行い,GDMを診断する。本邦で は,2010年のGDMの診断基準変更(増本他,2010)や 出産の高齢化(栗林他,2015)が関連して耐糖能異常が 増加していると言われている。海外の報告において, GDMの妊婦は正常の妊婦と比較し,将来糖尿病になる 確率は 7.43倍(Bellamy, et al. 2009),母親が妊娠期に 高血糖であると,子どもが将来耐糖能異常や肥満にな る確率が上昇する(Krishnaveni, et al. 2005)ことが知 られている。また,妊娠中のやせ女性による低栄養, 肥満女性における過栄養は,それぞれ児の発育に影響 を与え,両者とも次世代の将来の肥満や2型糖尿病と いった非感染性疾患(Non-communicable diseases:以 下,NCDs)の発症と関連する(Heindel, et al. 2015)こ とが報告されており,妊娠中の耐糖能異常や栄養状態 は母子双方の将来の健康にも影響を与える。 GDMのリスク因子として,肥満,2 型糖尿病の家 族歴,巨大児分娩の既往,妊娠糖尿病の既往,高齢出 産,多胎妊娠,多囊胞性卵巣症候群がある(日本糖尿 病・妊娠学会,2018)。それに加え,生活習慣病であ る2型糖尿病と同様に運動不足や食生活の乱れ等の要 因も関連していると考えられる。平成 29 年度国民健 康・栄養調査(厚生労働省,2018)では,妊娠可能年

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齢である 20~30 代の女性は朝食欠食率が高いこと, 厚生労働省が示している推定エネルギー必要量を摂取 しておらず,脂肪摂取率が高い一方でタンパク質やカ ルシウム,鉄などの摂取は不足しているという栄養バ ランスの偏りがみられている。また,20 代女性のや せの増加が問題となっているが,30 歳以上の女性で は,肥満とやせの頻度は同程度である現状もある(厚 生労働省,2018)。このように妊孕期にある20~30代 の女性の食生活に関する様々な問題が顕在化している 中で,さらに妊婦は栄養面に配慮した食生活を妊娠前 よりも一層心がけなければならない。女性は妊娠を きっかけにそれまでの食生活を見直し,「朝食をしっ かり食べるようになる」など具体的な食生活について も 望 ま し い 方 向 へ と 意 識 を 変 化 さ せ る(大 水 他, 2010)が,急激な食生活の変化に加えて妊娠期間を通 して約 10kg の体重増加が生じることも耐糖能に影響 を与えていることが推測される。 75gOGTTで GDM と診断されずとも,50gGCT で陽 性と診断された妊婦は周産期合併症の観点からGDMと 同様の耐糖能異常があるとみなすことができるとの報 告がある(Shinohara, et al. 2020)。そのため,50gGCT 陽性を耐糖能異常とし,予防医学の観点からこの集団 の食生活の特徴を明らかにすることは重要であると考 える。一方,耐糖能は食生活の影響も受けるが,つわ りのある妊娠初期から,スクリーニングが行われる妊 娠中期までの食生活と耐糖能の関連について縦断的に 行われている研究は筆者の知る限り見当たらない。そ こで,本研究では妊娠中期までの体重増加量と食生活 に着目し,耐糖能異常に影響を与える要因を検討する ことを目的とした。 用語の定義 本研究では ① 耐糖能異常を妊娠中期の GDM スクリーニング (50gGCT)陽性者で血糖値140mg/dl以上とする。 ② 食生活とは,食事の摂取頻度と時間,外食・中 食の利用頻度,食事摂取内容を含む食事に関わ る事柄を含むものとする。

Ⅱ.研 究 方 法

1.研究デザイン 研究デザインは,妊婦を対象とした耐糖能異常に関 する縦断研究である。 2.研究対象者 A病院の妊婦健康診査に通院している妊娠初期の妊 婦180名を対象とした。対象者については,関連要因 を 3~4 変数と推測し,その上で投入変数×10 のサン プルサイズが必要(Peduzzi, et al. 1996)と考えると耐 糖能異常群40名が必要であった。A病院で耐糖能異常 となる割合が 25% 前後で推移していることから,耐 糖能異常群数を確保するために150名程度のデータが 必要と算出された。さらに脱落やデータの欠損を考慮 し180名をリクルートした。除外基準は,妊娠前から の糖尿病,妊娠初期に診断された明らかな糖尿病であ る者とした。 3.データ収集の期間と時期,データ収集方法 調査期間は,2018年3月~2019年6月までであった。 調査時期は,初期妊婦健康診査が行われる妊娠11~13 週と GDM のスクリーニング検査である 50gGCT が実 施される妊娠23~26週の2回,同一対象者に無記名自 己記入式質問紙調査,簡易型自記式食事歴法質問 票(brief-type self-administered diet history question-naire:以下,BDHQ)と診療録からのデータ収集を 行った。対象妊婦の初期妊婦健康診査時に研究者が個 別に研究内容,質問紙の記載方法,同意撤回について 書面を用いて説明を行った。書面による研究参加への 同意を得て,同意書を研究者と対象者双方で保管した。 質問票記載後は産科外来の窓口で回収を行った。 4.調査項目 1)対象者の属性

診療録からは,年齢,非妊時 Body Mass Index(以 下:非妊時 BMI),妊娠・出産回数,妊娠中期までの 母体体重増加量,不妊治療の有無,職業の有無,家族 形態,50gGCTの結果を収集した。質問紙では,妊婦 自身の出生体重,糖尿病家族歴,妊娠後の運動習慣の 有無について尋ねた。 2)食生活に関する調査項目 食生活については,先行研究(曽我他,2013)と厚 生労働省の標準的な健診・保健指導プログラム(厚生 労働省,2013)の質問項目を参考に作成した20項目か らなる質問紙を使用した。食事のとり方は,朝食習 慣,昼食習慣,夕食習慣,就寝前2時間以内の飲食を 「ほとんど毎日食べていた」「週に 4~5 日食べていた」 「週に2~3日食べていた」「ほとんど食べていない」の 4つの選択肢から択一回答を求めた。夕食時間は,「19

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時前」「19時~21時」「21時以降」「夕食は食べない」の 4つの選択肢から択一回答を求めた。食べる速度は, 他人と比較して「速い」「同じくらい」「遅い」の3つの 選択肢から択一回答を求めた。中食といわれる家庭外 で調理・加工されたものを購入して食べる形態の食事 および外食の頻度については「ほとんど毎日」「週に 4~5回」「週に2~3回」「ほとんど食べないまたは購入 しない」の 4つの選択肢から択一回答を求めた。食品 購入時に栄養成分表示を参考にするかについては「は い」「いいえ」の2つの選択肢から択一回答を求めた。 食事内容の調査に用いたBDHQは過去1ヶ月間の習 慣的な栄養素摂取量などの食習慣を知ることができる 質問票であり,すでに妥当性が確認されている(児林 他,2012)。BDHQは80項目の質問から構成されてお り,およそ30 種類の栄養素とおよそ50 種類の食品の 摂取量が算出され,個人の栄養素摂取量や食品摂取量 などの情報を得ることができる。今回は BDHQ で算 出されたデータのうち,摂取エネルギー量を用いた。 また,食事のバランスについては,BDHQから算出さ れたエネルギーを産生する栄養素であるたんぱく質 (Protein),脂質(Fat),炭水化物(Carbohydrate)の栄 養素別比率の構成比であるPFCバランスを算出した。 食生活は初期妊婦健康診査時には非妊時について, 50gGCT実施日は妊娠中期について回答してもらっ た。BDHQは,調査日よりそれぞれ過去1ヶ月間につ いて思い出して回答してもらった。 5.分析方法 妊娠中期の50gGCTの結果より,血糖値140mg/dl以 上を「耐糖能異常群」,それ未満を「正常群」として 2 群に群別した。記述統計後,食生活に関する変化は, カテゴリーの場合にはχ2 検定,連続値の場合はt検定 を行い,耐糖能異常の要因の検討には二項ロジス ティック回帰分析を行った。ロジスティック回帰分析 は,耐糖能異常の有無を従属変数とし,独立変数には 単変量解析で有意に関連があった項目の非妊時 BMI と妊娠初期から妊娠中期までの体重増加量,妊娠を きっかけとして特徴的な変化がみられた朝食頻度と妊 娠中期の摂取エネルギー量を投入して分析を行い, オッズ比を算出した。変数の選択は,尤度比検定によ る変数増加法を用いた。データの分析には統計ソフト SPSS for Windows Ver. 23を用い,統計学的有意水準 は5%,信頼区間は95%とした。 6.倫理的配慮 本研究は,山形大学医学部倫理審査委員会の承認を 得て実施した(第 2018-445 号)。調査への協力は本人 の意思であり研究への参加辞退や研究への不参加に よって不利益を被らないこと,調査紙は無記名とし, 個人情報が公開されることはないこと,データは研究 者が所属する機関の研究室で処理し,データはファイ ルにパスワードを付けて保存を行い他者が閲覧できな いようにすること,データは本研究以外では使用しな いことを文書と口頭で説明し,同意書への署名によ り,研究参加への承諾を得た。また,個人が特定でき ないように,調査施設でカルテ番号と調査番号をリン ケージし,データは調査番号で管理した。リンケージ する人とデータを入力する人は別々とし,入力者には カルテ番号がわからないようにした。

Ⅲ.結   果

調査に同意を得られた180名の妊婦に質問紙を配布し た。未回収,早期 GDM,転院,子宮内胎児死亡・流 産,妊娠初期から入院,データ欠損のあった27名を除 外した。また,一般的に自記式食事調査法には,過小 ・過大申告による申告誤差が存在するため,上下2.5% の外れ値を確認した。本研究では過大評価はなかった ため,過小評価として摂取エネルギー量の−2.5%を外 れ値としてそのデータを含む6名も除外した。その結果 33名を除外し,147名(81.7%)を分析対象とした。正 常群112名,耐糖能異常群35名であった(図1)。 1.対象者の属性 表1に対象者の属性を示す。年齢は正常群33.1±4.9 歳,耐糖能異常群 33.5±5.0 歳で両群に有意差はみら れなかった。妊娠初期から妊娠中期までの体重増加量 では,正常群は4.8±1.7kg,耐糖能異常群は3.9±1.8kg であり,耐糖能異常群の体重増加が有意に少なかった (p=0.01)。 初 期 妊 婦 健 康 診 査 日 か ら 妊 娠 中 期 の 50gGCT実施日までの妊婦健診週数の間隔は,正常群 12.1±0.8週,耐糖能異常群12.0±0.5週であり,両群に 有意差はみられなかった。非妊時 BMI は,正常群で 20.9±2.9,耐糖能異常群で23.3±4.4であり,耐糖能異 常群の非妊時 BMI が有意に高かった(p=0.01)。BMI 区 分 の 割 合 で は, 正 常 群 で BMI18.5 未 満 は 17.9%, 18.5-25未満は 74.1%,25 以上は 8.0%,耐糖能異常群 で BMI18.5 未満は 11.4%,18.5-25 未満は 60.0%,25 以

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A 病院産科外来に妊娠初期より通院している糖尿病既往のない妊婦(11~13 週) N=180 50gGCT 施行(23~26 週) n=156 正常 n=112 耐糖能異常(血糖値140mg/dl 以上) n=35 ・未回収(n=9) ・早期GDM(n=3) ・転院(n=9) ・IUFD・流産(n=2) ・妊娠初期から入院(n=1) ・未回収・調査データ欠損(n=3) ・栄養過小評価(n=6) 解析対象 n=147 図1 解析対象の概要 表1 対象者の属性 正常群(n=112) 耐糖能異常群(n=35) mean±SD p 年齢(歳)1) 33.1±4.9 33.5±5.0 .64 妊娠中期までの体重増加量(kg)1) 4.8±1.7 3.9±1.8 .01 妊婦健康診査受診間隔(週)1) 12.1±0.8 12.0±0.5 .45 非妊時BMI(kg/m21) 20.9±2.9 23.3±4.4 .01 n(%) n(%) 非妊時BMI区分2) 18.5未満 20(17.9) 4(11.4) .01 18.5~25.0未満 83(74.1) 21(60.0) 25以上 9(8.0) 10(28.6) 出産回数2) 初産 56(50.0) 23(65.7) .10 経産 56(50.0) 12(34.3) 妊婦自身の出生体重2) 正常 102(91.1) 28(80.0) .09 低出生体重児 4(3.6) 4(11.4) 巨大児 3(2.7) 3(8.6) 不明 3(2.7) 0(0.0) 糖尿病家族歴2) あり 39(34.8) 15(42.9) .39 なし 73(65.1) 20(57.1) 不妊治療の有無2) あり 36(32.1) 11(31.4) .94 なし 76(67.9) 24(68.6) 職業の有無2) あり 90(80.4) 26(74.2) .44 なし 22(19.6) 9(25.7) 家族形態2) 核家族 86(76.8) 29(82.9) .45 複合家族 26(23.2) 6(17.2) 妊娠後の運動習慣2) あり 19(17.0) 4(11.4) .60 なし 93(83.0) 31(88.6) 1)t検定 2)χ2検定

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上は 28.6% であった。妊婦自身の出生体重は,2500g 未満である低出生体重児で産まれた者は,正常群は 3.6%,耐糖能異常群は11.4%であり,有意差はみられ ていないが耐糖能異常群で妊婦自身が低出生体重児で 産まれた割合が高かった。糖尿病家族歴は,正常群 34.8%,耐糖能異常 42.9% であり,有意差はみられな かった。不妊治療の有無は,正常群32.1%,耐糖能異 常群31.4%であり有意差はみられなかった。職業の有 無は,職業を有していたのは,正常群80.4%,耐糖能 異常群74.2%であり有意差はみられなかった。家族形 態 は, 核 家 族 が 正 常 群 は 76.8%, 耐 糖 能 異 常 群 は 82.9%であった。妊娠後の運動習慣の有無は,運動習 慣のある者は,正常群 17.0%,耐糖能異常群 11.4% で あり,有意差はみられなかった。 2.食生活の変化 非妊時と妊娠中期における両群の食生活についての 結果を表2に示す。非妊時と妊娠中期の食生活を群間 で比較した結果,いずれの項目でも有意差は認められ なかった。しかし,両群とも妊娠後に食生活を変化さ せていた。朝食頻度は,「ほとんど毎日食べる」が非妊 時は正常群 75.0%,耐糖能異常群 74.3%,妊娠中期は 正常群 93.8%,耐糖能異常群 88.6% と増えていた。夕 食時間は,正常群は早まり,耐糖能異常群では「21時 以降」であった者が非妊時11.4%,妊娠中期2.9%と少 なくなっていた。就寝前2時間以内の食事は,正常群 は変化がなかったが,耐糖能異常群では「ほとんど毎 日食べる」が非妊時 22.9%,妊娠中期 8.6% と少なく なっていた。食べる速度は,両群ともに食べる速度が 速かった者は速度に気をつけて食べるようになってい た。外食頻度は,「ほとんど食べない」が非妊時は正常 群 48.2%,耐糖能異常群 48.6%,妊娠中期は正常群 55.3%,耐糖能異常群 65.7% と増えていた。中食利用 頻度は,正常群では利用する頻度が少なくなってい た。栄養成分表示参考の有無は「参考にする」が非妊 時は正常群 19.7%,耐糖能異常群 28.6%,妊娠中期は 正常群39.2%,耐糖能異常群40.0%と増えていた。 3.摂取エネルギー量とPFCバランス 妊娠初期と妊娠中期における両群の摂取エネル ギー量,PFCバランスの比較を表3に示す。妊娠初期 における摂取エネルギー量は,正常群は1449.7±396.6 表2 非妊時と妊娠中期の食生活 非妊時 妊娠中期 正常群 (n=112) 耐糖能異常群(n=35) p (n=112)正常群 耐糖能異常群(n=35) p 朝食頻度(人・%) ほとんど毎日食べる 84(75.0) 26(74.3) .99 105(93.8) 31(88.6) .41 週に4~5日食べる 9(8.0) 3(8.6) 4(3.6) 3(8.6) 週に2~3日食べる 8(7.1) 3(8.6) 1(0.9) 1(2.8) ほとんど食べない 11(9.8) 3(8.6) 2(1.7) 0(0.0) 夕食時間(人・%) 19時前 30(26.8) 7(20.0) .09 44(39.2) 12(34.3) .82 19時~21時前 79(70.5) 24(68.6) 66(58.9) 22(62.9) 21時以降 3(2.6) 4(11.4) 2(1.8) 1(2.9) 就寝前2時間以内の飲食(人・%) ほとんど毎日食べる 13(11.6) 8(22.9) .26 12(10.7) 3(8.6) .29 週に4~5日食べる 12(10.7) 5(14.3) 13(11.6) 5(14.3) 週に2~3日食べる 48(42.9) 10(28.6) 47(42.0) 9(25.7) ほとんど食べない 39(34.8) 12(34.3) 40(35.7) 18(51.4) 食べる速度(人・%) 早い 32(28.6) 15(42.9) .16 26(23.2) 13(37.1) .21 同じくらい 55(49.1) 11(31.4) 65(58.0) 15(42.9) 遅い 25(22.3) 9(25.7) 21(18.8) 7(20.0) 外食頻度(人・%) ほとんど毎日食べる 0(0.0) 0(0.0) .73 0(0.0) 0(0.0) .19 週に4~5日食べる 2(1.7) 0(0.0) 0(0.0) 0(0.0) 週に2~3日食べる 56(50.0) 18(51.4) 50(44.6) 12(34.3) ほとんど食べない 54(48.2) 17(48.6) 62(55.3) 23(65.7) 中食利用頻度(人・%) ほとんど毎日購入する 4(3.5) 3(8.5) .65 2(1.7) 0(0.0) .84 週に4~5日購入する 12(10.7) 3(8.5) 7(6.2) 3(8.5) 週に2~3日購入する 56(50.0) 16(45.7) 58(51.7) 18(51.4) ほとんど購入しない 40(35.7) 13(37.1) 45(40.1) 14(40.0) 栄養成分表示参考の有無(人・%) 参考にしない 90(80.3) 25(71.4) .35 68(60.7) 21(60.0) .55 参考にする 22(19.7) 10(28.6) 44(39.2) 14(40.0) χ2検定

(7)

kcal /日,耐糖能異常群は1486.1±435.5kcal/日で,両群 に有意な差はみられなかった。また,妊娠初期のPFC バランスは,正常群では,たんぱく質14.3±2.3%,脂 質 26.7±5.0%,炭水化物 57.3±6.6%,耐糖能異常群で は,たんぱく質 14.5±2.3%,脂質 26.7±5.2%,炭水化 物 57.2±6.6% で,いずれも有意な差はみられなかっ た。妊娠中期における摂取エネルギー量は正常群 1566.9±384.2kcal /日,耐糖能異常群1463.7±358.8kcal/ 日で,両群に有意な差はみられなかったが,耐糖能異 常群は妊娠初期に比べ摂取エネルギー量が減少してい た。妊娠中期の PFC バランスは,正常群では,たん ぱく質 14.5±2.2%,脂質 27.8±4.4%,炭水化物 56.5± 5.6%,耐糖能異常群では,たんぱく質15.0±2.7%,脂 質 28.8±5.2%,炭水化物 54.8±6.6% で,いずれも有意 な差はみられなかった。また,妊娠中期では炭水化物 の摂取割合が両群ともに妊娠初期より少なくなってい た。 4.耐糖能異常に影響を与える要因 耐糖能異常に影響を与える要因の結果を表 4 に示 す。耐糖能異常の有無に影響する変数として非妊時 BMI,妊娠初期から妊娠中期までの体重増加,朝食頻 度,妊娠中期の摂取エネルギー量を投入した結果,非 妊時BMIと妊娠中期までの体重増加が選択された(モ デルχ2 検定でp<0.01)。非妊時BMIのオッズ比は1.18 (95% 信頼区間 1.05–1.32)であり,非妊時 BMI が高い ほど,耐糖能異常の要因となっていた。妊娠中期まで の体 重増加 のオッズ 比は 0.78(95% 信 頼区間 0.61– 0.99)であり,妊娠中期までの体重増加が少ないほど, 耐糖能異常の要因となっていた。変数の有意性は,非 妊時 BMI が p<0.01,妊娠中期までの体重増加が p< 0.05であった。このモデルの Hosmer-Lemeshow 検定 結果は p≧0.05 で適合していることが示され,予測値 と実測値の判別的中率は78.9%であった。

Ⅳ.考   察

1.対象者の属性 本研究の対象者は正常群では33.1±4.9歳,耐糖能異 常群では33.5±5.0歳であった。厚生労働省の2018年の 人口動態統計によると妊婦の平均年齢は,第 1 子は 30.7歳,第2子は32.6歳であり(厚生労働省,2019a), 今回の対象者はこれらと比較してやや高めの年齢で あった。これは,不妊治療で妊娠した割合が両群とも に30%を超えており,2017年日本産科婦人科学会で調 査された不妊治療による妊娠率17.3%(日本産科婦人 科学会,2018)よりも高かったことから,対象年齢が 高くなったと考える。 妊娠中期に運動習慣を有していた割合は,正常群 17.0%,耐糖能異常群11.4%であった。平成 29年国民 健康・栄養調査(厚生労働省,2018)での運動習慣は20 代11.6%,30 代14.6%となっており,本研究の対象者 表3 妊娠初期と妊娠中期の摂取エネルギー量とPFCバランス 妊娠初期 妊娠中期 正常群(n=112) 耐糖能異常群(n=35) p 正常群(n=112) 耐糖能異常群(n=35) p 摂取エネルギー量(kcal) 1449.7±396.6 1486.1±435.5 .64 1566.9±384.2 1463.7±358.8 .16 たんぱく質PFC割合(%) 14.3±2.3 14.5±2.3 .68 14.5±2.2 15.0±2.7 .28 脂質PFC割合(%) 26.7±5.0 26.7±5.2 .99 27.8±4.4 28.8±5.2 .27 炭水化物PFC割合(%) 57.3±6.6 57.2±6.6 .94 56.5±5.6 54.8±6.6 .14 t検定 PFC算出方法 P:Protein(%)=たんぱく質(g)×4(kcal/g)/エネルギー量(kcal)×100 F:Fat(%)=脂質(g)×9(kcal/g)/エネルギー量(kcal)×100 C:Carbohydrate(%)=炭水化物(g)×4(kcal/g)/エネルギー量(kcal)×100 表4 耐糖能異常に影響を与える要因 95% 信頼区間 変数 B 標準誤差 Wald 自由度 有意確率 オッズ比 下限 上限 非妊時BMI 0.16 0.06 7.30 1 0.007 1.18 1.05 1.32 妊娠中期までの体重増加 −0.25 0.12 4.04 1 0.045 0.78 0.61 0.99 モデルχ2検定p<0.01;Hosmer-Lemeshow検定p≧0.05;判別的中率78.9% 従属変数:耐糖能異常の有無 独立変数:非妊時BMI,妊娠中期までの体重増加,朝食頻度,妊娠中期の摂取エネルギー量

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も同様に運動習慣が少ない結果となった。一般に,糖 尿病治療の一つに運動療法があるが,非妊時に運動習 慣を有していなかった者は,妊娠初期のつわりや体調 の変化に加え,切迫流産のリスクなどを考えて,妊娠 早期より何らかの運動を開始することは困難であると 考えられる。そのため,妊娠中期までに妊婦が運動で 耐糖能をコントロールすることは難しいことが推測さ れ,栄養に重点を置いた指導の重要性が示唆された。 2.食生活 非妊時と妊娠中期の食生活の変化では有意差はな かったが,両群ともに朝食頻度が増え,食べる速度に 気をつけ,栄養成分表示を参考にする割合が増えてお り,妊娠後に食生活を変化させていた。林は,妊娠期 を規則正しい生活や食生活およびライフスタイルを見 直す良い機会(林,2010)と報告しており,本研究に おいても両群ともに妊娠をきっかけとして食生活を見 直して,行動を変化させていたと考えられる。その一 方で,耐糖能異常群の非妊時の食生活をみてみると, 朝食欠食,遅い夕食時間,食べる速度が速い,就寝前 2時間以内の飲食の割合が正常群と比較し高いことが わかった。このような食生活は,一般的に肥満や生活 習慣病のリスク因子といわれている。本研究では非妊 時 BMI が高い人ほど耐糖能異常の要因になったこと から,妊娠前の食生活が妊婦の耐糖能に影響を与えて いるとも推測される。そのため,妊孕期にある女性や それ以前の生殖年齢を迎える前の学童期から食生活に 関する指導や知識を周知する必要がある。食生活の基 盤を作るのは家庭であるため,望ましいとされる食生 活の実践を家庭内で行うことの大切さがうかがえた。 摂取エネルギー量は,正常群では妊娠初期1449.7± 396.6kca /日,妊娠中期1566.9±384.2kcal/日,耐糖能異 常 群 で は 妊 娠 初 期 1486.1±435.5kcal/日, 妊 娠 中 期 1463.7±358.8kcal /日であった。両群ともに 1 日に必要 な最低の推定エネルギー必要量である 1650kcal/日を 満たしておらず,さらに,平成 29 年国民健康・栄養 調査の 20 代女性 1694kcal/日,30 代女性 1685kcal/日 (厚生労働省,2018)よりも低い結果となった。妊娠 初期はつわりや嗜好の変化を伴うことが多いこと,エ ネルギー摂取量を推定する質問紙法で過少申告が存在 すること(Okubo, et al. 2008),妊娠経過による体重の 増加を不満足ととらえる傾向が強いこと(丸山他, 2015)から,妊婦の心身の状態も摂取エネルギー量の 結果に影響したと考えられる。妊娠期は妊娠に伴う母 体の変化に対応するために必要なエネルギーと母体の 基礎代謝量の増加を考慮し,妊娠初期は+50kcal,妊 娠中期には+250kcal,妊娠後期には+450kcal の付加 量が必要とされている(厚生労働省,2019b)。本研究 において,妊娠中期での付加量も充足していない結果 が示され,妊婦の低栄養状態が懸念された。現在,胎 児期から低栄養に晒されることにより生活習慣病を発 症する素因が形成され,その後の環境因子が成人期以 降のNCDs発症リスク要因となる生活習慣病胎児期発 症起源説(Development of Health and Diseases:以下, DOHaD)(Gluckman, et al. 2004)が注目されている。 本研究でも,妊婦の摂取エネルギー量の低さから多く の胎児が低栄養に晒されている可能性が高く,将来の NCDsの罹患率増加が懸念される。横山は,初産婦の 妊婦を対象にした調査で,妊婦の半数以上が DOHaD について知らなかったことを報告している(横山他, 2015)。妊娠期の低栄養状態は次世代の健康にも影響 を及ぼすため,胎児への影響を示した適切な知識の普 及と食生活の変容につながるような栄養指導が必要と なる。 PFCの 理 想 値 は, た ん ぱ く 質 13%~20%, 脂 質 20%~30%,炭水化物50%~65%である。平成29年国 民健康・栄養調査において 20 代,30 代の女性の食生 活は,脂肪摂取率が高い一方でたんぱく質の摂取は不 足している栄養バランスの偏りがある(厚生労働省, 2018)が,今回は正常群,耐糖能異常群ともにいずれ の栄養素も理想値内であったことから,栄養バランス の偏りは少なかったといえる。我が国では,2006 年 より 1 日の食事で「何を」「どれだけ」食べたら良いか の指針となる「妊産婦のための食事バランスガイド」 (厚生労働省,2006)を用いることが推奨されている。 本研究では栄養バランスは理想値内であったことか ら,「妊産婦のための食事バランスガイド」の使用は一 定の効果が得られていると思われる。一方で,「妊産 婦のための食事バランスガイド」では主食を中心にエ ネルギーを十分に摂ることを勧めているが,本研究で は両群ともに主食の栄養素である炭水化物を妊娠中期 に少なく摂取していたことから,指針が浸透していな い可能性も認められた。炭水化物摂取と耐糖能異常と の関係について Tajima らは,炭水化物を多く摂取し ている妊婦ほど耐糖能異常のリスク低減につながるこ とを報告しており(Tajima, et al. 2017),さらなる「妊 産婦のための食事バランスガイド」の活用が重要と考 える。

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本研究では78.9%の妊婦が就業していた。このよう に女性の就業率の増加に伴い,食事を作るために費や せる時間も少なくなってきている。今回,妊娠による 外食,中食の利用頻度に大きな変化はみられなかった が,外食や中食においていかに栄養的に望ましい食事 を摂るかも重要となってくる。食事形態も多様化して きており,栄養指導の際は,現在有効とされている 「妊産婦のため食事バランスガイド」を家庭内で完結 させる食事ではなく,負担軽減も考慮して外食や中食 の利用も含めた具体的な食品選択等を一緒に考えてい くような栄養指導が必要になってくると考える。 3.耐糖能異常に影響を与える要因 耐糖能異常に影響を与える要因として,「非妊時 BMI」と「妊娠中期までの体重増加」が関連することが 明らかとなった。 「非妊時 BMI」は BMI が高いものほど耐糖能異常の 要因であった。GDM の要因として肥満(日本糖尿病 ・妊娠学会,2018)がある。耐糖能異常群ではBMI25 以上の肥満の割合は 28.6% と正常群の 8.0% と比較し て高く,本研究において「非妊時 BMI」が耐糖能異常 に影響を与える要因として示されたことは先行研究と も 同 様 の 結 果 で あ っ た(村 田 他, 2014: 藁 谷 他, 2016)。 「妊娠中期までの体重増加」は,少ない体重増加が 耐糖能異常の要因となっていた。先行研究において も,GDMの妊婦は妊娠全期間を通しての体重増加量 が少ない(坂本,2018)と報告されている。妊娠前の 肥満は妊娠高血圧症候群,妊娠糖尿病,帝王切開分 娩,巨大児のリスクを高め(Enomoto, et al. 2016),妊 娠中の著しい体重増加は巨大児分娩,帝王切開分娩の リスクが高まる(Goldstein, et al. 2017:Johnson, et al. 2013)。それらを予防する観点からも,非妊時 BMI25 以上の妊婦の体重管理は個別対応となっており,妊娠 初期より体重増加を抑制する指導を受けている(内藤 他,2019)。さらに,肥満妊婦は妊娠中に体重が増加 することに約8割が否定的な感情を抱いている(林他, 2017)との報告もあり,自主的に体重を抑制する行動 を取っていたと考えられる。本研究における耐糖能異 常群は,食生活は一般的に良いとされる方向に変化さ せていたが,妊娠中期に摂取エネルギーが低下してい たことから,食事制限により体重増加を抑制していた ことが推測される。一方,耐糖能異常群にはBMI18.5 未満のやせも11.4%含まれていた。先行研究では,妊 娠前の低体重は妊娠中の不十分な体重増加のリスクを 高める要因であること(Suliga, et al. 2018),やせの妊 婦では,分娩時の理想体重が推奨体重より少ない体重 値を回答した妊婦が多い(横山他,2015)との報告が ある。非妊時に低体重および低栄養状態にある女性 は,妊娠後に食生活の変化が認められた場合でも,や せ志向を反映した食事をとっていた可能性がある。ま た,標準体格妊婦の過小な体重増加量でGDMのリス クが増大したこと(甲斐村他,2017)が報告されてい ることからも,BMIがいずれの区分であっても適切な 体重増加が重要であると考える。 妊婦健康診査時の体重増加に関する指導は,合併症 予防を念頭におき,非妊時 BMI 別推奨体重増加量を 越えないことを目標としているため,体重増加を抑制 する指導が主体となっている。また,至適体重増加量 は妊娠全期間を通しての目標値であり,妊娠各期の具 体的な推奨値は示されていない。さらに,現在示され ている BMI 区分による至適体重増加量は,日本人に 適しているのかの議論が行われている段階である (Nomura, et al. 2019)。本研究は耐糖能異常のスク リーニングが行われる妊娠中期までの体重増加が少な いことが耐糖能異常に影響を及ぼしていることを明ら かにした。そのため,非妊時 BMI 区分による妊娠期 間の至適体重増加量でなく,妊娠初期・中期・後期各 期の至適体重増加量の指針の検討が今後必要であると 考える。

Ⅴ.研究の限界と今後の課題

今回,妊娠中期の耐糖能スクリーニング陽性の時点 での調査であり,最終的にGDMの診断に至るところ まで追跡はしていないため,GDM の要因とは言えな い。しかしながら,妊娠中期までの体重増加が少ない ことが耐糖能異常の要因と示唆されたため,妊婦の栄 養指導,体重管理指導の一助となると考える。さら に,今後は,妊娠初期・中期・後期の至適体重増加量 の指針の検討が課題である。一方で,耐糖能異常には 食生活などの環境因子のみならず遺伝要因が関与して いる。2型糖尿病に関しては,すでに90を超える関連 ゲノム領域が同定されている(Imamura, et al. 2016)。 そのため,今後は食生活のみならず,遺伝的要因との 関連も調査をしていくことが必要であると考える。

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謝 辞 本研究にご協力くださいました対象者の皆様,なら びに研究協力施設のスタッフの皆様に心より感謝申し 上げます。 なお,本研究は山形大学大学院医学系研究科看護学 専攻博士前期課程学位論文を加筆・修正したものであ る。 利益相反 本論文に関する利益相反事項はありません。 文 献

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