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第9分科会(分科会報告,大会報告 会務報告)

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Academic year: 2021

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経済教育34号  183 示した。質疑では,アメリカのグローバル教育の現状 についての質問,貧困について日本の身の回りの問題 を取り上げるべきとの意見があった。  第 4 報告は,塩田尚樹(獨協大学)会員の「CRS 企 業の利潤最大化問題教授法についての考察」である。 2 生産要素 1 生産物モデルにおいて,規模に関して収 穫一定(CRS)生産技術を持つ完全競争企業の利潤最 大化問題を扱う場合の,教育上の工夫を論じた。CRS 技術の下での利潤最大化行動では。産出ゼロが最適解, 最適解が無数,あるいは最適解が存在しないとの場合 が生じ,学生を混乱させている。報告者は,費用最小 化問題から費用関数を導出し,次に,その費用関数の もとでの利潤最大化による産出量の選択という「多段 階アプローチ」を提案した。さらに,これを利用して, グラフにより要素価格フロンティアを導出する方法を 示した。1 次同次の生産関数の場合,費用最小化条件 を説明するだけで十分ではないかとの質問があった。 利潤最大化条件により供給曲線を示すことで,需要条 件によっては産出ゼロが市場均衡になることを示すこ とに意義があると回答された。 (文責:松尾匡) 第 9 分科会  第一報告は,糸井重男(松商短大)の「経済・金融 教育における ICT を活用した“反転授業”の有効性 と課題」であった。糸井報告は,知識の習得に重きを おいた従来の教育目標のみでなく,汎用的で実際に 「できること」を重視する教育目標を実現するために, ICT を活用した反転授業の意義についての興味深い報 告となった。  まえもって学生に授業の課題についての理解を自習 させておき,本番の講義では,ディスカッションや学 生によるプレゼン,オリジナルのテストなどを行って 理解を確かなものとし,実際に活用できる能力として 定着させるという試験的な授業内容の報告がなされた。  これから,さらに有効性のある授業展開をおこなっ ていくうえでのさまざまな問題が整理され,検討された。 現場の授業実践に裏付けられた貴重な報告となった。  第二報告は,斎藤清「金融庁次世代 EDINET 対応 の経済・会計教育システム」であり,2013 年度より 稼働することとなった次世代 EDINET において,東 証 33 業種と同じ分類に変更されたことや,従業員数 や経営指標の項目などが追加されたことを受けて,イ ンターネット上でアクセスできる財務データを縦横無 尽に分析できる XCAMPUS の新段階についての刺激 的な報告となった。  この EXCAMPUS の進化によって,財務データを 直接買うことができない大学などにおいても,これか らのデータの蓄積によって,学生に直接,EXAM-PUS をとおして日経指標に準拠した財務データに触 れさせることができるようになったことは特筆にあた いすると思われる。EXCEL 出力によるデータ活用も さることながら,拡大扇型散布図や三色三角バブルグ ラフや三次元図などといった,視覚的な教育資料を提 供できる XCAMPUS の利用範囲が広がったことの意 味は大きいと思われる。  第三報告は新井明「経済教育と金融教育の間─セ ンのケイパビリティ論を手がかりに─」であり,金 融教育の課題を経済教育のしっかりとしたベースの上 で展開する必要性と方向性を示した意欲的な報告で あった。金融リテラシー教育が,「貯蓄から投資」へ といったような生々しいスローガンを無批判に押し付 けている現状に対して警鐘をならす有意義な議論が展 開された。  金融教育と経済教育の間に,「知識とスキルとアク セスに基づいて金融資源を効果的に管理する能力」で とされるケイパビリティ概念を媒介させることによっ て,金融教育においても消費者主権を徹底する方向で, 金融スキルの蓄積が必要であるとされた。アマルティ ア・センのケイパビリティ論から示唆を得て,とりわ け金融アクセスから遮断されている貧困層の金融スキ ル向上が,豊かな暮らしを実現する前提となるという 認識には大いに学ばされた。  金融スキルという意味での能力開発のみでなく,金 を稼ぐという労働の視点からもケイパビリティ論は有 効に働くのではないか。むしろ労働の潜在能力を前提 にしてはじめて金融スキルのケイパビリティ論が本当 に生きてくるのではないかと意見も出された。  第四報告の中里弘穂(福井県立大学)「若年者の早 期離職の要因と職場ならびに教育現場での効果的な離 職防止策を考える」では,福井県立大学と高校生への 独自なアンケート調査にもとづいた若者離職の原因分 析がなされた。若者離職の先行研究を踏まえながら, 大学生活の在り方と若者離職行動の関係性について分 析が進められた。その上で,離職防止にキャリア教育 が果たす役割について,労働にもとづく職場観の育成 や,職場の上司や同僚になんでも相談できるといった コミュニケーション能力の向上が効果的であることが 説得的に示された。 (文責:岩田年浩・増田和夫) The Japan Society for Economic Education

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