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新たな過剰適応傾向尺度作成の試み

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Academic year: 2021

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-75 446

-新たな過剰適応傾向尺度作成の試み

○井口 聖香、大久保 街亜、国里 愛彦 専修大学大学院文学研究科心理学専攻 【問題】 過剰適応とは環境からの要求や期待に個人が完全に 近い形でしたがおうとすることであり,内的な欲求を 抑圧してでも,外的な欲求に応える努力を行うこと (石津, 2006)である。環境からの要求や期待は文化 によって異なり,日本では自己主張を抑制したり(殿 岡ら, 1994),場の調和を守ること(河合, 1976)が 重視される。したがって,日本の文化における社統合 しては行動とは,自己主張を抑制したり,他者との関 係を維持するような行動である。過剰適応の人は社会 適応的な行動をとるため,一見適応的であるとみなさ れる。しかし過剰適応の人は、自身の欲求を抑圧した 状態を維持することによって自己不全感を抱きやす く、募った感情を爆発させて周囲との関係を悪化させ ることになる可能性があり、抑うつや対人不安との関 連も示されている。これらの過剰適応によって生じる 問題を予防するためには、過剰適応に関する研究が必 要であると思われる。 過剰適応を測定する尺度はいくつか存在するが,主 に使用されているのは,桑山(2003)と石津(2006) の 2 つの尺度である。桑山(2003)の尺度(以下、桑 山尺度)は,「対自因子」と「対他因子」の 2 つの下 位因子から構成されており,石津(2006)の尺度(以 下、石津尺度)は,「自己抑制」,「自己不全感」,「他 者配慮」,「期待に沿う努力」,「人から良く思われたい 欲求」の 5 つの下位因子から構成されている。桑山尺 度および石津尺度の下位因子はそれぞれ「外的適応」 と「内的適応」に分けられるとされているが,石津尺 度「自己主張」の因子は研究者によって解釈が異なり, 「外的適応」と「内的適応」のどちらにも分類される 場合があり,どちらが適切かの検討が不十分である。 また、石津尺度および桑山尺度は、妥当性検討が不 十分であると思われる。石津尺度は妥当性検討の際に 公的自己意識尺度とTEGのAC尺度との関連を検討して いるが、これらの尺度からは外的適応の側面しか検討 できず、内的適応の側面は検討できていない。桑山尺 度は妥当性検討の際に P -F studyの結果から解釈可能 性を検討しているが、自己抑制の側面以外の検討がで きていない。 以上のことから、本研究では過剰適応の因子構造を 再検討することおよび内的適応および外的適応 2 つの 側面から妥当性の検討を行うことを目的とする。 【目的】 本研究では 2 つの過剰適応尺度の共通性および独自 性を検討して新しい過剰適応尺度を作成し、過剰適応 の因子構造を再検討することを目的とする。また、調 査前に関連が想定される変数に関する仮説を設定し, 内的適応および外的適応の側面から構成概念妥当性を 検討する。 【方法】 手続き 大学生277名(男性143名,女性132名,その他 2 名) が調査に参加した。同意を得られなかったデータや、 すべての回答番号が同一で明らかに回答が歪んでいる データは分析からは除外した。分析対象は259名で あった。平均年齢は19.04(1.65)歳であった。 講義終了後に、研究説明を行ったうえで同意を得ら れた参加者に質問紙を配布し回答を得た。本研究は専 修大学人間科学部心理学科・大学院文学研究科心理学 専攻の人を対象とした研究倫理委員会により承認を得 た手続きに従った(申請番号17-ML177010-01)。 質問紙 以下の 9 つの尺度を調査に用いたが,参加者の負担 を考慮して質問紙の冊子を 2 種類用意した。 A タイプ の冊子は,1 ),2 ),3 ),7 ),8 ),9 )の全83項目, B タイプの冊子は, 1 ), 2 ), 4 ), 5 ), 6 )の全87 項目であった。 1 )石津尺度:石津(2006)による過剰適応尺度,2 ) 桑山尺度:桑山(2003)による過剰適応尺度, 3 )外 的動機づけ:友人関係全般における動機づけ尺度(岡 田,2005)の「外的」因子, 4 )自尊感情:Mimura & Griffiths(2007)による, 5 )自己主張:社会的自己 制御尺度(原田・吉澤・吉田,2008)の「自己主張」 因子, 6 )拒否回避欲求:賞賛獲得欲求・拒否回避欲 求尺度(小島・太田・菅原,2003)の「拒否回避欲求」 因子, 7 )抑うつ:PHQ-9(村松・上島, 2009) , 8 ) 公的自意識:自意識尺度日本語版(菅原,1984)の「公 的自意識」因子, 9 )対人葛藤回避:対人葛藤方略尺 度(加藤,2003)の「回避スタイル」因子。 【結果・考察】 桑山(2003)と石津(2006)を統合するため,全55 項目を含めて探索的因子分析を行った。平行分析とス クリー基準から, 3 因子構造が推奨された。因子負荷

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日本認知・行動療法学会 第44回大会 一般演題 P2-75 447 -量が0.4以下の項目を削除したところ、最終的に残っ たのは40項目であり,本尺度は以下統合尺度と表記す る。第一因子は、石津尺度の「期待に沿う努力」、「人 から良く思われたい欲求」の項目がベースとなってい た。この因子は「周囲からの評価を気にして過剰に努 力すること」を意味する項目で構成されており,「外 的適応」の因子とした。第二因子は石津尺度の「自己 不全感」の項目がベースとなっていた。この因子は 「自信のなさや孤独感を抱き,自分のしたいことがわ からないこと」を意味する項目で構成されており,「内 的不適応」の因子とした。第三因子は石津尺度の「自 己抑制」の項目がベースとなっていた。この因子は 「思っていることは外に出さない,我慢すること」を 意味する項目で構成されており,「自己抑制」の因子 とした。このことから,これまで内的適応と外的適応 のどちらに分類されるか研究者によって見解が異 なっていた「自己抑制」の因子が,どちらにも分類さ れない独立した因子である可能性が示唆された。 構成概念妥当性を検討するために桑山尺度および石 津 尺 度, 統 合 尺 度 と 各 変 数 間 の 関 連 を 検 討 し た (table1)。その結果、いずれの尺度もおおむね仮説を 支持し、各尺度は過剰適応を測定できていると判断で きるだろう。今後は、各過剰適応尺度の下位因子ごと に各変数との関連を検討し、それぞれの尺度の共通性 や独自性を検討していく。 【参考・引用文献】 新井田(2014). 過剰適応に関する尺度の検討: 2 つの 尺度を用いて 北星学園大学大学院論集4,149-164. 石津(2006). 過剰適応尺度作成の試み 日本カウンセ リング 学会第39回大会発表論文集, 137 河合隼雄(1976). 母性社会日本の病理 中央公論社 桑山(2003). 外界への過剰適応に関する一考察-欲 求不満場面における感情表現の仕方を手がかりにして 京都大学大学院教育学研究科紀要, 49, 491-493. 殿 岡 幸 子・ 大 島 茂・ 湯 浅 和 男・ 谷 口 興 一・ 内 田 栄 一・渡辺束也・桂戴作(1994). 狭心症患者に対する 心身医学的観察(第 1 報)-過剰適応指数の提言- 心身医学, 34, 557-564.

参照

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