日本赤十字九州国際看護大学/Japanese Red Cross Kyushu International College of Nursing
日本赤十字社の救護活動
著者
浦田 喜久子, 東 智子
著者別名
URATA Kikuko
図書名
看護白書 : 平成24年版
開始ページ
109
終了ページ
118
出版年月日
2012
URL
http://id.nii.ac.jp/1127/00000464/
8 日本赤 十字社 の救 護活 動
日本赤十字社の救護活動
[浦田喜久子/東 智子] 日本 赤 十 字 社(以 下 、 日赤)は 、 国 内 ・国 際 にお け る紛 争 や 災 害 時 の 救 護 活 動 を主 た る業 務 と し、 そ の 対 応 は医 療 救 護 、 救 援 物 資 の 備 蓄 と配 分 、 災 害 時 の血 液 製 剤 の供 給 、 義 援 金 の 受 付 と配 分 等 が あ り、 被 害 の特 徴 や ニ ー ズ に応 じ て 対 応 して い る。 日赤 は 、1947(昭 和22)年 に 制 定 され た 災 害 救 助 法 に 、 国 ・都 道 府 県 に 対 して 救 助 の 協 力 義 務 が 明 記 さ れ 、1961(昭 和36)年 の 災害 対 策 基 本 法 に は、 指 定 公 共機 関 に位 置 づ け られ て い る。 日本 赤 十 字 社 法 に 医療 救 護 班 を確 保 して お くこ とを定 め 、 日赤 本 社(以 下 本 社)お よび 全 国 の 赤 十 字 支 部 ・病 院 に約500個 班(1個 班 は 医 師1名 、看 護 師 長1名 、 看 護 師2名 、 主 事2名 か らな る計6名)を 常 備 して い る。 ま た 、 救 護 班 の ほか にdERU(domestic Emergency Response Unit:国 内型 緊 急 対 応 の仮 設 診 療 所 設 備 、通 信 機 器 とそ れ ら を運 ぶ トラ ック お よび 訓 練 され たdERU要 員 < 医 師 ・看 護 師 等 を含 む14名 > を運 用 す る シ ス テ ム の 総 称)を 全 国 に20ユ ニ ッ ト配 備 して い る。 救 護 班 の 派 遣 は 、 現 地 対 策 本 部 と本 社 の 対 策 本 部 お よ び全 国 の6つ の ブ ロ ッ ク代 表 支 部 と連 携 を 図 りな が ら計 画 的 に実 施 して い る。 派 遣 命 令 は 現 地 対 策 本 部 よ り召 集 さ れ るが 、 近 隣 の 支 部 長 ・赤 十 字 病 院 長 判 断 で も派 遣 で き る 。 今 回 の 震 災被 害 の 特 徴 と して 、 死 者 ・行 方 不 明者 、 家 屋 の全 壊 の ほ とん どが 津 波 に よ る もの で あ る。 一 命 を取 り留 め避 難 所 生 活 を余 儀 な くさ れ た 人 々 は 、 災 害 に よ る負 傷 よ りも、 寒 さ や 食 料 等 が 不 足 した避 難 所 で の厳 し い集 団 生 活 に よ る感 染 症 の発 症 、 慢 性 疾 患 の悪 化 、 精 神 的 ス トレ スが 顕 著 で あ っ た 。 この よ うな被 災 者 に対 応 す る た め 、 こ こ ろ の ケ アや 新 た に 編 成 した看 護 ケ ア 班 ・介 護 チ ー ム を派 遣 した 。 また 、 福 島第 一 原 発 事 故 に よ る放 射 線 被 ば くとい うか つ て な い 被 害 の 被 災 者 に 対 して も医療 救 護 を実 施 した 。 宮 城 県 石 巻 市 で は 、津 波 に よっ て ほ と ん どの 病 院 が 被 災 した た め 、 唯 一 診 療 機 能 を有 した 石 巻 赤 十 字 病 院 を支 援 す るた め、 全 国 の 医 療 従 事 者 が 集 結 し活 動 した 。 今 回 は、 この よ うに 多 岐 に わ た っ た 日赤 の救 護 活 動 に つ い て 述 べ る。第1部 各 論I 災害 時の 各組織 の活動 と考 察 3月11日14時46分 に東 日本 大 震 災 が 発 生 す る と、 本 社 に は15時 に第 二 次 救 護 体 制 が 配 置 され た。15時30分 に は第 三 次 救 護 体 制 が 発 令 され る と と も に、 災 害 救 護 対 策 本 部 が 設 置 され 、 か ね て よ り整 備 して い る 「日本 赤 十 字 社 本 社 災 害 救 護 体 制 要 綱 」 に 従 って 、 社 内の 災 害 時 業 務 の統 括 ・調 整 、 現 地 対 策 本 部 お よび 各 支 部 との 連 絡 ・調 整 や 国 ・地 方 公 共 団体 ・防 災 関 係 機 関 との連 絡 ・調 整 に取 り組 ん だ 。 本 社 対 策 本 部 は、15時30分 、ブ ロ ッ ク代 表 支 部 に 、各 支 部 救 護 班 を宮 城 県 へ 派 遣 す る よ う指 示 し、15時48分 に は さ い た ま赤 十 字 病 院 救 護 班1班 が 出動 した 。16時50分 、 日赤 医療 セ ン タ ー が救 護 班 にdERUを 同 行 して 出 動 した 。 17時51分 、東 京 都 支 部 管 下 の5病 院 か ら救 護 班 が 、武 蔵 野 ・鳥 取 赤 十 字 病 院 か らは DMATが 出 動 した 。 そ の後 、 発 災 当 日 に は、 全 国 の 支 部 ・病 院 か ら、 救 護 班33班 、 DMAT22班 が 出 動 した 。 しか しな が ら、被 災 の 状 況 が 大 き い 上 に 通 信 機 器 が 十 分 に 機 能 せ ず 、 ま た ガ ソ リン不 足 等 か ら救 護 班 の 現 地 到 着 は 困 難 で あ っ た 。 救 護 班 の 活 動 範 囲 は、 常 備 救 護 班 派 遣 要 領 で は応 急 医療 、 助 産 、死 体 の 処 理 、 巡 回 診 療 とな って い る。今 回 も、 開 設 した救 護 所 や 被 災現 場 で の 医 療 救 護 を行 う と とも に 避 難 所 等 に お い て 巡 回 診 療 を行 った 。 救 護 班 の 活 動 は6カ 月 間 行 わ れ 、935班6,700名 を派 遣 し、87,000名 を診 療 した 。 救 護 班 の 編 成 は先 に 述 べ た通 り基 本6名 で あ るが 、 状 況 に応 じて増 員 す る こ と とな っ て お り、今 回 は 医師 を複 数 含 む班 が 約35%、 薬 剤 師 を含 む班56%、 こ こ ろ の ケ ア 要 員 を含 む 班23%と な っ て い る。薬 剤 師 を 含 む 班 が 半 数 以 上 を 占 め て い る の は 、服 薬 を継 続 す る必 要 の あ る慢 性 疾 患 の 人 々 が 多 く、 また 処 方 箋 等 も な く 与薬 をす る こ とが 必 要 だ っ た こ とに よ る も の と思 わ れ る。 受 診 者 数 は、5月 末 で の 「救 護 班 活 動 取 扱 い 集 計 表 」 か ら、 発 災2∼3日(1日 約 1,700名)が 多 く、2週 目 が ピー ク(1日1,800∼2,400名)と な っ て い る。年 齢 階 層 別 で は 乳 幼 児(0∼4歳)が3.6%、 成 人(5∼74歳)73.5%、 高 齢 者(75歳 以 上)22。9% で あ る。 岩 手 、 宮 城 、 福 島3県 の人 口 比 率 か ら見 る と、 高 齢 者 の 受 診 率 が 高 い 。 症 状 別 で は重 症0.2%、 中 等 症3.7%、 軽 傷 が96.1%で あ っ た 。疾 患 別 で は 上 気 道 感 染 26,0%、 高 血 圧19.2%、 外 傷4.6%で あ っ た 。 震 災 に よ る外 傷 よ り慢 性 疾 患 が 多 く、 軽 傷 が ほ とん どで あ っ た の が 特 徴 で あ る。 救 護 日誌 に は 、 「通 常 飲 ん で い る処 方 薬 が す べ て な くな っ た 患 者 さ ん が 救 護 所 に来 られ て 」、 「ス トレス か ら くる と考 え られ る症 状 」、 「避 難 所 で の 食 事 は高 齢 者 に は 口 に 合 わ ず 、 ほ とん ど食 事 が とれ て い な い 」、 「こ ころ の ケ ア の介 入 が 必 要 な ケ ー スが 頻 出 す る」 とい っ た 記 載 が 多 い 。 救 護 班 は 、 で き るだ け き め細 や か な 対 応 を心 が けて い るが 、 活 動 期 間 が3日 間 で あ る こ とか ら時 間 をか け て の 十 分 な対 応 や 申 し送 りが で き な い こ と、 救 護 日誌 の不 統 一
8 日本赤 十字 社の救 護活 動 な ど に課 題 が 残 っ た 。 また 、 避 難 所 等 の 避 難 者 の 状 況 、衛 生 環 境 や ライ フ ラ イ ン等 の ア セ ス メ ン トに つ い て は 、 日赤 の 災害 救 護 活 動 と して 制 度 的 に位 置 づ け られ て い な い が 、 現 地 で 救 護 活 動 を実 施 す る上 で必 要 で あ る。 それ に基 づ き、 現 地 で 活 動 す るさ ま ざ ま な 支 援 チ ー ム との連 携 の も と、 コー デ ィ ネ ー シ ョン を行 え る人 材 育 成 が 今 後 の 課 題 で あ る。 1995年 の 阪神 ・淡 路 大 震 災 を契 機 に 、災 害 時 の こ こ ろ の 問題 が 重 要 視 され る よ うに な り、 日赤 で も、 こ こ ろ の ケ ア を災 害 救 護 活 動 の大 きな 柱 と位 置 づ け て い る。 「赤 十 字 の こ こ ろ の ケ ア」は、精 神 科 医 等 の 専 門 家 が 行 う精 神 治 療 や 心 理 療 法 とは 異 な り、特 別 な 訓 練 を受 け た 非 専 門 家 に よ る心 理 社 会 的 支 援 で あ り、支 持 ・傾 聴 ・共 感 ・ 具 体 的 支 援 の4要 素 か らな る 「こ こ ろ の救 急 法 」 が基 本 で あ る。 日赤 は 、 こ ころ の ケ ア を 導 入 す る た め 、1998年 か ら国 際 赤 十 字 ・赤 新 月社 連 盟主 催 の 心 理 支 援 ワー ク シ ョ ッ プ に参 加 し、2003年 よ り こ こ ろ の ケ ア 指 導 者 研 修 会 を実 施 し て きた 。 ま た 、こ こ ろの ケ ア は 、① 災 害 発 生 早 期 か ら開 始 す る こ とが 重 要 で あ る こ と、 ② 生 活 支 援 や 医 療 救 護 と並 行 して 行 う こ とが 必 要 で あ る こ とか ら、2005年 よ り各 赤 十 字 都 道 府 県 支 部 に お い て 、 救 護 班 要 員 に対 す る こ こ ろの ケ ア研 修 も行 っ て い る。 東 日本 大 震 災 の 発 災 当 日 に は、全 国 の 日赤 病 院 か ら55の 救 護 班 が 出動 し、その 後 も 次 々 に救 護 班 が 派 遣 さ れ た 。 本 社 の 災 害 対 策 本 部 で は各 救 護 班 に 、 こ ころ の ケ ア要 員 を 同 行 させ る よ う求 め た が 、 実 際 に は こ ころ の ケ ア要 員 が 同行 して い な い救 護 班 も多 く、 同 行 して い て も 医療 活 動 に時 間 を と られ て い る現 状 が あ っ た 。 そ の よ うな 中 、 東 京 都 支 部 が 代 表 を務 め る第 ニ ブ ロ ッ クが こ こ ろの ケ ア班 を 石 巻 に 派 遣 す る こ とに な っ た 。被 災 地 の 情 報 が ほ とん どな い状 況 で3月14日 に 石 巻 に 向 け て 出 発 した こ こ ろ の ケ ア班 は、 石 巻 日赤 が 多 くの 被 災 者 を受 け入 れ 、 職 員 が不 眠 不 休 で 働 い て い る現 状 を 目 の 当 た りに した 。 こ こ ろの ケ ア班 は、 病 院機 能 を維 持 す る た め に 、 まず は病 院 職 員 に 休 息 を と らせ る こ とが 重 要 と判 断 し、 遺 体 安 置 所 で 家 族 の ケ ア に あ た っ て い た 臨 床 心 理 士 や 事 務 職 員 を順 番 に休 ませ な が ら、 大 切 な 家 族 を 亡 く した方 々 の ケ ア を 行 っ た 。 また 、 病 院 内 に リフ レ ッ シ ュ ル ー ム を開 設 し、 病 院 職 員 の 心 身 の ケ ア を実 施 した 。 これ らの活 動 と並 行 して 、 地 域 の避 難 所 を巡 回 し、 被 災 者 の こ ころ の ケ ア も開始 した。 日赤 は 、 営 城 県石 巻 市 以 外 に、 岩 手 県 の 宮 古 市 、 釜 石 市 、 陸 前 高 田 市 、 福 島 県 の福 島市 、 会 津 若 松 市 等 で 救 護 活 動 を展 開 して い た。 こ こ ろ の ケ ア活 動 も同 地 域 で 行 う こ と と し、 ブ ロ ッ ク代 表 支 部 に こ こ ろ の ケ ア要 員 の 派 遣 を依 頼 、 調 整 を 開 始 した 。 しか し、 広 域 に わ た る被 災地 に救 護 班 を 大 量 投 入 して い る状 況 で 、 ① 救 護 班 員 に加 えて こ こ ろの ケ ア要 員 を派 遣 す る こ と、 ② こ こ ろ の ケ ア班 の活 動 を支 え るた め の連 絡 調 整 員 や 車 両 、 宿 舎 を確 保 す る こ と、 な ど に困 難 を極 め た 。 岩 手 県 で は 、 日赤 支 部 が
第1部 各論I 災害 時の各 組織 の活動 と考 察 あ る盛 岡 市 と沿 岸 部 の 被 災 地 が 離 れ て い た た め、 各 活 動 地 域 の 状 況 を把 握 し、 こ こ ろ の ケ ア を 展 開 す るた め の コ ー デ ィネ ー タ ー が 必 要 で あ った 。 そ の た め、 長 期 間 活 動 で き る こ こ ろ の ケ ア 指 導 者 を派 遣 し、 関 係 機 関 との調 整 や 活 動 体 制 の構 築 を 行 っ た 。 派 遣 され た こ こ ろの ケ ア要 員 は、 保 健 師 と協 働 して 避 難 所 等 で 住 民 の 話 を傾 聴 した り、 子 ど も と遊 ん だ り しな が ら、 健 康 状 態 や 生 活 環 境 の チ ェ ッ ク、 感 染 予 防 ・血栓 予 防 の た め の 保 健 衛 生 活 動 、 ス トレ ッチ体 操 や マ ッサ ー ジ等 を 実施 し、 必 要 時 、 精 神 科 医 師 に相 談 す るな ど、 多 岐 に わ た る活 動 を行 っ た 。 福 島県 で は、 救 護 班 要 員 が 被 災 者 の健 康 相 談 を 行 い な が ら こ こ ろの ケ ア を 実 施 し、 赤 十 字 ボ ラ ン テ ィ ア も リ ラ ク ゼ ー シ ョ ン を行 う等 、 こ こ ろ の ケ ア活 動 を 行 った 。 被 災 地 の 医療 機 関 が 機 能 回 復 す る と とも に 、 救 護 班 の派 遣 は徐 々 に 縮 小 さ れ て い っ た。 しか し、 こ こ ろ の ケ ア は長 期 に わ た っ て必 要 で あ る と判 断 し、 救 護 班 同行 派 遣 か ら、 こ こ ろ の ケ ア単 独 班 の 派 遣 に切 り替 えて い っ た 。2011年9月1日 まで に全 国 か ら 派 遣 され た こ こ ろの ケ ア 要 員 は718名 で 、 約14,000名 の方 に か か わ っ た 。 その 後 は 、 被 災 地 支 部 が ボ ラ ン テ ィア 中 心 の こ こ ろ の ケ ア 活 動 を継 続 して い る。 日赤 が こ こ ろの ケ ア活 動 を展 開 す る に あ た り、 医 療 救 護 班 、 厚 生 労 働 省 の こ こ ろ の ケ アチ ー ム 、保 健 セ ン ター 、 避 難 所 の 保 健 師 等 との 連 携 を密 に す る こ とが 重要 で あ っ た 。 しか し、行 政 や 他 の 関 係 団 体 の 「赤 十 字 の こ こ ろ の ケ ア 」 に対 す る認 知 度 は低 く、 現 地 で 良好 な 連 携 関 係 を保 つ た め に は繰 り返 し説 明 す る こ とが 必 要 で あ っ た 。 特 に、 厚 生 労 働 省 の要 請 に よっ て 派 遣 さ れ て い る こ こ ろ の ケ ア チ ー ム に は精 神 科 医 が 必 ず 含 ま れ て お り、 彼 ら と現 地 で 連 携 す るた め に は 「赤 十 字 の こ こ ろ の ケ ア」 に つ い て 理 解 して も ら う こ とが 必 須 で あ っ た。今 後 は 、「赤 十 字 の こ ころ の ケ ア」 につ い て の 認 知 度 を 日赤 内外 で 高 めて い くこ とが 必 要 で あ る。ま た 、現 地 で 長 期 間 コー デ ィ ネ ー ター と して 活 動 で き る人 材 の育 成 も急 が れ る。 発 災 当初 よ り、 イ ン フ ラが 十 分 機 能 しな い 避 難 所 等 で 、 長 期 間 の 不 自由 な 集 団 生 活 を強 い られ る被 災 者 の 健 康 管 理 や 生 活 支 援 の ニ ー ズ が 高 い状 況 に あ っ た 。 4月 末 まで 救 護 活 動 を 行 っ た 師 長 を対 象 に 、「救 護 活 動 に お け る看 護 支 援 ニ ー ズ 調 査 (4日)」 を行 っ た 結 果 、看 護 活 動 で 必 要 な項 目は 、 こ ころ の ケ ア、保 健 指 導 ・教 育 、 日 常 生 活 援 助 とも そ れ ぞ れ 約30%で あ っ た 。保 健 指 導 ・教 育 で は、感 染予 防 、疾 病 予 防 ・ 悪 化 予 防 で あ り、 日常 生 活 援 助 で は、 清 潔 、 環 境 整 備 、 排 泄 援 助 等 で あ った 。 また 、 生 活 不 活 性 化 に よ る疾 病 の予 防 、 高 齢 者 ・要 介 護 者 へ の 援 助 が 必 要 で あ る こ とが 明 ら か に な っ た 。 そ こで 、活 動 目 的 を 「避 難 所 、仮 設 住 宅 等 の被 災 者 の健 康 レ ベ ル に応 じ た疾 病 予 防 、 慢 性 疾 患 悪 化 の予 防 、 日常 生 活 援 助 、 指 導 ・教 育 」 と して 、看 護 ケ ア を 専 門 に提 供 す る 「看 護 ケ ア班 」 を6月 よ り派 遣 す る こ とに した 。
8 日本 赤十 字社 の救 護活動 派 遣 先 は、 多 数 の 避 難 者 が存 在 し、 医療 ニ ー ズ が 発 生 した場 合 の 連 携 を考 え 、 日赤 の救 護 班 が 継 続 され て い る岩 手 県 陸 前 高 田 市 立 第 一 中学 校 と した 。 派 遣 人 員 は 、 一班 を看 護 師2名 と した 。 そ の活 動 が 健 康 ニ ー ズ の アセ ス メ ン トや 高 度 看 護 実 践 、他 職 種 と連 携 で き る能 力 を 有 す る者 と し、 派 遣 期 問 は、 実 働5日 間 と した 。 全 国 か ら集 ま っ た保 健 支 援 チ ー ム と協働 す る こ と と し、看 護 ケ ア班 は 、 岐 阜 県 ・岐 阜 市 保 健 チ ー ム と の協 働 で 活 動 した 。 被 災 者 の 全 戸 調 査 の 結 果 を 受 け、 健 康 障 害 を有 した仮 設 住 宅 ・在 宅 避 難 者 の 訪 問 、 避 難 所 内 の 巡 回訪 問 を実 施 した 。 避 難 所 に は、 高 齢 者 ル ー ム が設 置 され 、 全 国 か ら派 遣 さ れ た 介 護 福 祉 士 の 方 々 と協 働 して 看 護 ケ ア を提 供 した 。8月 まで の3カ 月 間 、 看 護 師35名 を 派 遣 した。 看 護 師 等 は 、保 健 師 、認 定 看 護 師 、健 康 生 活 指 導 員 ・救 急 法 指 導 員 ・幼 児 安 全 法 指 導 員(日 赤 が 認 定 す る資 格)、 ケ アマ ネ ジ ャー 、訪 問 看 護 経験 者 等 何 らか の 有 資 格 者 や 経 験 豊 富 な 者 で あ り、保 健 師 か ら は、 よきパ ー トナ ー と して 認 知 さ れ た 。 派 遣 者 の 生 活 の拠 点 を 日赤 岩 手 県 支 部 遠 野 対 策 本 部 と し、 レ ン タ カ ー で 現 地 ま で 移 動 した。 活 動 が ス ム ー ズ に い くよ う活 動 要 綱 を作 成 し、看 護 ケ ア班 の た す き を 円滑 に つ な げ る よ う に した。 この 活 動 は 、 日本 赤 十 字 社 の6校 の 看 護 大 学 に 引 き継 が れ2012年3月 まで 継 続 され た 。 また 、 被 災 地 の 高 齢 者 施 設 で 介 護 者 が 不 足 して い る こ とや 避 難 所 に お け る高齢 者 ケ ア の 必 要 性 か ら、 全 国 に8カ 所 あ る赤 十 字 の 特 別 養 護 老 人 ホ ー ム に勤 務 す る介 護 福 祉 士 等 に よ っ て 「介 護 チ ー ム 」 が 編 成 さ れ 、 岩 手県 の特 別 養 護 老 人 ホ ー ム、 介 護 老 人 保 健 施 設 で の活 動 に あ た っ た。 介 護 チ ー ム は 、 介 護 職 員5∼6名 、 連 絡 調 整 員1∼2名 、 健 康 生 活 支 援 講 習 指 導 員1∼2名 の 計7∼9名 で 構 成 し、 食 事 介 助 や 入 浴 介 助 な どの支 援 を行 っ た。4月 か ら6月 ま で に15班67名 が 活 動 した 。 看 護 ケ ア班 と介 護 チ ー ム の派 遣 は、 今 回 の 震 災 の ニ ー ズ に応 じて 初 め て実 施 した も の で あ る。 災 害 時 の 全 サ イ クル や ニ ー ズ に応 じた看 護 支 援 に つ い て 、 十 分 に は準 備 さ れ て い な か っ た の が 実 情 で あ る。 今 後 、 これ らの派 遣 体 制 や 教 育 につ い て 検 討 し整 備 して い くこ とが課 題 で あ る。 原 発 事 故 に お け る救 護 員 の 派 遣 は、 初 め て の経 験 で あ り、 救 護 員 の二 次 被 ば くか ら の安 全 確 保 につ い て の 明 確 な基 準 が な く困 難 を極 め た 。 長 浜 赤 十 字 病 院 の 救 護 班 は 、3月11日16時 過 ぎ の 出 動 命 令 に よ り、翌12日 に相 馬 市 に 到 着 して14時 に救 護 活 動 を 開始 した 。 しか し、19時 に は 日赤 福 島 県 支 部 よ り放 射 線 汚 染 の拡 大 に よ る撤 退 指 示 が 出 さ れ た た め川 俣 町 へ 移 動 し、 福 島赤 十 字 病 院 救 護 班 と と も に、 原 発 事 故 で 避 難 して き た 双 葉 町 、 富 岡 町 、 浪 江 町 の 住 民 が 避 難 して い る 7カ 所 の 避 難 所 を巡 回 診 療 した 。 さ らに 、13日 に 、撤 退 指 示 に よ り、 川 俣 町 か ら二 本 松 市 へ 移 動 した 。
第1部 各論Ⅰ 災 害時 の各組 織 の活動 と考 察 そ の後 、日赤 は 活 動 地 域 を 原 発 よ り30km圏 外 と し、救 護 員 は個 人 線 量 計 を携 帯 し、 集 積 線 量1ミ リシ ー ベ ル トまで を 目安 と して 活 動 す る こ とに した 。 活 動 時 の被 ば く線 量 の管 理 は本 社 が 行 っ た。 放 射 線 に 関 す る支 援 要 員 と して 、 広 島 赤 十 字 ・原 爆 病 院 と 日本 赤 十 字 社 長 崎 原 爆 病 院 の 放 射 線 専 門 の 医 師 を福 島 に派 遣 し、 救 護 員 に ブ リー フ ィ ン グ、 デ ブ リー フ ィ ン グ を実 施 し た。 ま た 、 緊 急 時 に 備 え、 福 島 県 支 部 に 防 護 服 や ガ イ ガ ー カ ウ ン タ ー を 設 置 した 。 この よ うな整 備 を して 、 避 難 所 に お け る救 護 活 動 や 、 警 戒 区域 一 時 立 ち 入 り中 継 地 点 にお いて 医療 救 護 を 実施 し た。 今 回 の原 発 事 故 は 、 世 界 的 に は チ ェル ノ ブイ リや ス リー マ イ ル 島 の 原 発 事 故 が 例 に あ っ た も の の 日本 で は想 定 外 の 出来 事 で あ っ た 。 しか し、 も はや 原 発 の 「安 全 神 話 」 は崩 壊 し、 世 界 的 な 課題 と して 、 検 討 準 備 して い く必 要 が あ る。 検 討 に は、 放 射 線 に よ る健 康 障害 へ の 対 応 、健 康 モ ニ タ リン グ、 食 物 汚 染 、 除 染 、 被 ば くの 予 防 ・教 育 、 避 難 民 の 対 応 、 こ こ ろ の ケ ア等 さ まざ ま な課 題 が あ る。 国 際 赤 十 字 委 員 会 、 国 際 赤 十 字 ・赤 新 月 社 連 盟 は い ち早 くこ の課 題 に取 り組 ん で い るが 、 多 くの 国 際 的 な機 関 との 連 携 が 重 要 で あ る。 石 巻 医療 圏 で は石 巻 市 立 病 院 、 石 巻 市 夜 間 急 患 セ ン ター が 壊 滅 的 被 害 を 受 け、 唯 一 診療 機 能 を保 持 して い た 石 巻 赤 十 字 病 院(以 下 、 石 巻 日赤)は 、 多 くの被 災 者 を一 手 に 受 け入 れ る こ と とな っ た 。 病 院 職 員 は不 眠 不 休 の 状 態 で 診 療 活 動 を続 け、 こ の状 態 が 続 け ば 石 巻 日赤 も機 能 不 全 に 陥 る危 険性 が あ っ た 。発 災2日 後 の3月13日 、石 巻 日赤 か ら本 社 に支 援 要 請 の 第 一 報 が 入 り 、 本 社 で は直 ち に看 護 職 員 の 派 遣 に 向 けて 動 き始 めた 。 通 信 手 段 の確 保 が 難 しい 中 、 派 遣 者 に被 災地 の 状 況 や 個 人 装 備 な ど を知 らせ るた め に情 報 収 集 す る と と も に、 派 遣 者 の移 動 手 段 や 食 料 確 保 な どの 調 整 を行 い 、 そ の 日の うち に全 国 の 日赤 病 院 に 派 遣 依 頼 を発 信 した 。3月14日 に は第1班 支 援 要 員 を召 集 し、 翌 日、 助 産 師10 名 、看 護 師8名 を チ ャー タ ーバ ス で 送 り出 した(写 真1)。 現 地 で の 活 動 は原 則5日 間 、 移 動 を含 め て7日 間 の 派 遣 期 問 で あ っ た。 石 巻 日赤 は近 隣 地 域 の す べ て の 妊 産 婦 を受 け入 れ 、 分 娩 数 が激 増 して い た 。 派 遣 さ れ た 助 産 師 た ち は、 夜 勤 の ロー テ ー シ ョン に 組 み 込 ま れ 、 分 娩 介 助 や 外 来 で の 妊 産 褥 婦 指 導 、NICUで の新 生 児 ケ ア等 を 担 当 した 。各 病 棟 に は支 援 看 護 師 が1∼2名 ず つ 配 置 され 、 日常 生 活 援 助 を 中 心 に活 動 した 。 本 社 で は今 後 も長 期 的 な 支 援 が 必 要 にな る と考 え、 直 ち に第2班 以 降 の 派 遣 調整 に 取 りか か っ た 。 石 巻 日赤 の 受 診 者 数 は震 災 前 の約6倍 、 救 急 車 の受 け 入 れ も平 常 時 の 約5倍 とい う状 況 に あ り、3月25日 に は支 援 要 員 増 員 の 要 請 が 入 った 。 そ の た め 、 ト リア ー ジ エ リア支 援 と して新 た に看 護 師 を 追 加 派 遣 す る こ と と な っ た 。 派 遣 者 数 、 派 遣 期 間 は 現 地 の状 況 に応 じ て調 整 し、8月14日 ま で に372名 の看 護 職 員 が 石 巻 日赤 で
8 日本赤 十 字社 の救 護活 動 支 援 活 動 を行 っ た 。 各 日赤 病 院 は、 発 災 直 後 か らDMAT、 救 護 班 等 を派 遣 して お り、 さ ら に病 院 支 援 要 員 等 の 派 遣 が 加 わ る こ とで 勤 務 調 整 が 困 難 に な る こ とが 予 想 され 、 先 を見 越 した 派 遣 計 画 が 必 要 で あ っ た 。 ま た 、 今 回 の 病 院 支 援 業 務 は通 常 の 救 護 活 動 と異 な るた め 、支 援 要 員 の 心 の 準 備 と実 際 の 活 動 に 乖 離 が あ り、「自分 た ち の 活 動 は被 災 地 の 支 援 に な っ て い る の か?」 とい う気 持 ち を 抱 く者 も少 な くな か っ た 。 そ の た め 、 事 前 オ リエ ンテ ー シ ョン や ブ リー フ ィ ン グ を通 して 、 現 地 の 状 況 や 支 援 の 必 要 性 ・意 義 、 支 援 内容 を具 体 的 に伝 え る こ と も必 要 で あ っ た 。 石 巻 日赤 に とっ て は、 支 援 に よ っ て 職 員 が 休 息 を と る こ とが で き、 病 院 機 能 を 維 持 で き た 一 方 で 、 要 員 受 け 入 れ の 準 備 等 が 必 要 と な る状 況 も生 まれ た 。 課 題 と して 、 現 地 に長 期 間 滞 在 して マ ネ ジ メ ン トや コ ー デ ィ ネ ー トが で き る 人 材 の 育 成 等 、 派 遣 す る側 、 受 け 入 れ る側 双 方 に と っ て 効 果 的 な 支 援 体 制 を整 え る こ とが 挙 げ られ る。 石 巻 赤 十 字 看 護 専 門 学 校(以 下 、 石 巻 看 専)は 、 全 国 で 唯 一 壊 滅 的 な 被 害 を 受 け た 看 護 学 校 で あ る(図1)。 発 災 当 時 、学 校 に い た 学 生 と教 職 員 は 、押 し寄 せ る津 波 か ら必 死 に逃 れ た 。 そ して 、 外 部 との 連 絡 が 全 く とれ ず 孤 立 した 避 難 所 内 で 、 約1,200名 の 避 難 者 に 対 して 飲 ま ず 食 わ ず の 救 護 活 動 を行 っ て い る。 学 校 は 石 巻 日赤 と離 れ て お り、 学 生 ・教 職 員 の 安 否 は も ち ろ ん 、 建 物 の 被 害 状 況 は数 日た っ て も確 認 で き な か っ た 。 幸 い 学 生 と教 職 員 は 全 員 無 事 で あ っ た が 、 校 舎 は もち ろ ん 、 学 校 運 営 の 基 盤 と な る施 設 設 備 や 資 料 等 の 一 切 を失 っ て い た 。 教 職 員 は 、 石 巻 専 修 大 学 の 教 室 を 借 用 し、5月 か らの 学 校 再 開 を 目指 して 復 興 に取 り組 み 始 め た 。 しか し、 在 学 生 の 住 居 確 保 な ど の 生 活 支 援 、 新 入 生 へ の 現 状 説 明 や 入 学 意 思 の確 認 な ど に 追 わ れ 、 学 校 再 開 の 準 備 に 取 り組 め る状 況 に な か っ た 。 そ こで 本
115
第1部 各論I 災害 時 の各組 織 の活 動 と考 察 社 は 、学 校 運 営 に 必 要 な 施 設 整 備 と書 類 の 復 元 を行 うた め に 、全 国 の 赤 十 字 教 育 施 設 ・ 医 療 施 設 か ら、 看 護 教 員 の 資 格 と経 験 を持 つ 職 員 の 派 遣 を 決 定 し た 。 支 援 要 員 は、 学 校 運 営 に 関 す る資 料 や 実 習 要 項 等 の 復 元 業 務 を行 い 、3月25日 か ら5月14日 の 間 に 合 計29名 が 支 援 活 動 を行 っ た 。 教 職 員 の 中 に は 生 活 基 盤 を失 っ た 者 も あ り、 支 援 要 員 を 派 遣 して も、 ほ と ん ど休 息 を とれ な い状 況 が 続 い て い た 。5月 か ら石 巻 専 修 大 学 で 講 義 を再 開 した こ と に加 え 、 学 校 建 築 にか か わ る業 務 が 新 た に生 じ、 教 職 員 の 疲 弊 は い っ そ う強 くな っ て い た が 、 国 家 試 験 を控 え た3年 生 の 臨 地 実 習 開 始 の タ イ ム リ ミ ッ トが 迫 っ て い た 。 本 社 は 、6月 の実 習 開 始 に 向 け て 、 臨 地 実 習 を サ ポ ー トす る要 員 を派 遣 す る必 要 が あ る と判 断 し、 実 習 ロ ー テ ー シ ョ ン に合 わ せ て 支 援 要 員 を 派 遣 す る計 画 を 立 案 した 。 ま た 、 学 校 復 興 に 関 す る業 務 を支 援 す る学 校 再 建 マ ネ ジ メ ン ト支 援 者 を長 期 派 遣 す る 手 配 を進 め た 。2012年3月 ま で に 派 遣 した 実 習 支 援 要 員 は19名 、 学 校 再 建 マ ネ ジ メ ン ト支 援 者 は2名 で 、 うち1名 は 現 在 も活 動 中 で あ る 。 今 回 の 派 遣 の 主 な 目的 は 、 被 災 地 の 学 生 ・教 職 員 へ の 学 習 ・業 務 支 援 だ っ た が 、 現 地 教 職 員 へ の 心 理 的 支 援 も重 要 で あ っ た 。 被 災 者(教 員)が 被 災 者(学 生)を 支 え る 構 図 に よ り、 支 え る側 の 教 員 は 弱 音 を 吐 く相 手 も場 も持 ち 得 な か っ た の だ が 、 今 回 、 教 員 を派 遣 し続 け た こ とで 、 一時 で も感 情 を 吐 き 出 す 機 会 を持 つ こ とが で き た 。 ま た、 支 援 要 員 に とっ て も、 災 害 看 護 学 につ い て の学 び や 教 育 観 を 深 め る機 会 とな っ た 。 一 方 で 、 受 け 入 れ 側 に と っ て は 、 オ リエ ン テ ー シ ョ ンや 関 係 づ く りな どの 負 担 を 負 う こ
116
8 日本赤 十字 社の救 護活 動 と とな っ た。 今 後 は、 現 地 雇 用 に よ る人 員 確 保 や 赤 十 字 の グル ー プメ リ ッ トを 活 か した人 事 交 流 に よ る長 期 派 遣 を検 討 す る な ど、 派 遣 体 制 の あ り方 に つ い て 検 証 す る必 要 が あ る。 今 回 、未 曾 有 の被 害 に対 応 した 救 護 活 動 か ら、 多 くの学 び と課 題 を見 出 した 。 日本 にお い て も、 今 後 も大 き な 地震 が 発 生 す る こ とが 高 い 確 率 で予 測 され 、地 球 規 模 で見 て も、 災 害 が 多 発 して い る。 グ ロ ーバ ル 社 会 に お い て 、 災 害 対 策 は 日本 の 問 題 だ けで は な く、 世 界 的 な 課 題 で あ る。 地 球 規 模 で 相 互 支 援 の 体 制 を つ く り上 げ て い く こ とが 求 め られ る。 今 回 の教 訓 を 活 か し、特 に課 題 と した 以 下 の項 目 につ い て 充 実 ・整 備 して い き た い 。 災 害 時 は 、 多 機 関 ・多 職 種 との連 携 の 下 に 、 地 域 ア セ ス メ ン トに 基 づ き、 救護 員 の 配 置 、 救 護 活 動 の 内容 等 を調 整 ・指 示 して い く必 要 が あ る。 こ う した 本 部 機 能 に看 護 職 と して参 画 す る こ と に よ り、 き め細 か で 適 切 な被 災 者 へ の ケ ア の提 供 や 救 護 員 へ の 配 慮 が で き る。被 災 地 域 の状 況 や 実 施 され て い る活 動 の全 体 像 を把 握 し、ロ ー テ ー シ ョ ンで 派 遣 され る救 護 チ ー ム等 の 活 動 を マ ネ ジ メ ン ト ・コ ー デ ィ ネ ー トで き る人 材 の育 成 が 急 が れ る。 また 、 そ の よ うな 人 材 が一 定 期 間 活 動 で き る よ うな 派 遣 体 制 を整 え る こ と も重 要 で あ る。 日赤 で は多 くの 職 員 が救 護 活 動 等 に携 わ り、 そ の 中 に は今 まで 救 護 活 動 を経 験 した こ とが な い者 も少 な くな か った 。2011年3月 ま で に 派 遣 さ れ た 救 護 班 員 を対 象 に 実 施 した メ ン タ ル ヘ ル ス に 関 す る調 査 で は、 初 回 派 遣 者 が56%と い う結 果 で あ っ た 。 初 回 派 遣 者 が 未 曾 有 の 大 災 害 を 目の 当 た りに し、 日常 業 務 とは全 く異 な る状 況 の 中 で 活 動 した 時 、 派 遣 者 へ の こ こ ろの ケ ア は非 常 に重 要 とな る。 また 、今 回 は被 災 者 で あ り支 援 者 で も あ っ た 行 政 の 関 係 者 、 自衛 隊 や 消 防 関 係 者 な ど の こ こ ろ の ケ ア も ク ロー ズ ア ッ プ され た 。これ らの 人 々 へ の 現 地 で の こ こ ろ の ケ ア と と もに 、現 地 か ら戻 っ て き た救 護者 が 、 組 織 的 か つ 計 画 的 に こ こ ろの ケ ア を 受 け られ る体 制 が 必 要 で あ る。 本 社 看 護 部 が行 っ た 救 護 班 の 看 護 師長 対 象 の 調 査 で は、派 遣 中 の 活 動 と して 、「診 療 の補 助(92%)」 、 「保 健 指 導 ・教 育(51%)」 、「こ こ ろ の ケ ア(39%)」 、 「高 齢 者 ・障 が い者 ・小 児 ・母性 ケ ア(24%)」 、 「日常 生 活 の 援 助(13%)」 とい う結 果 で あ っ た 。 こ れ は 、 日赤 の 救護 班 が 災 害 急 性 期 へ の 対 応 を 中 心 に 教 育 を行 っ て き た こ とが 影 響 して い る と考 え られ る。 今 回 の 震 災 の 特 徴 は 、 建 物 倒 壊 等 に よ る外 傷 は 少 な く、 避 難 生 活 環 境 の 不 整 備 に よ る感 染 症 等 の 発 症 、 慢 性 疾 患 の悪 化 、 メ ン タ ル ヘ ル ス の不 調 、 高 齢 者 の 生 活 不 活 性 化
第1部 各 論I 災 害時 の各組織 の活 動 と考察 に よ る心 身 の 機 能 低 下 な どが 多 か っ た こ とで あ る。この よ うに 、医 療 ニ ー ズ よ り看 護 ・ 介 護 ニ ー ズ が 高 か っ た こ とを鑑 み る と、災 害 の特 徴 や 災 害 サ イ ク ル に応 じ て、「診 療 の 補 助 」 だ け で は な く、看 護 独 自 の機 能 を発 揮 す る こ とが よ りい っ そ う求 め られ る と考 え る。今 後 起 こ り う る大 規 模 災 害 を想 定 す る と、今 回 初 め て の 試 み で あ る看 護 ケ ア 班 ・ 介 護 チ ー ム の 活 動 経 験 を 実 践 知 と して 蓄 積 し、 災 害 の特 徴 、 災 害 サ イ ク ル 、 ニ ー ズ に 合 わせ た活 動 が で き る柔軟 な体 制 が とれ る よ う整 備 して お く こ とが 必 要 と考 え る(図2)。 救 護 活 動 を 行 う際 に は 、 被 災 地 に 負 担 をか け な い よ う、 個 人 お よび チ ー ム に 必 要 な 装 備 等 を備 え て い る こ とが 求 め られ る。 しか し、 今 回 の よ う に広 範 囲 に及 ぶ 大 規 模 災 害 の 場 合 は 、 救 護 班 等 の 宿 泊 施 設 や 食 料 な ど の 生 活 環 境 を整 え るの は 非 常 に 困 難 で あ っ た 。 救 護 要 員 が 心 身 と も に健 康 で な けれ ば 十分 な活 動 は期 待 で きな い。 活 動 拠 点 とな る施 設 ・設 備 等 の環 境 整 備 な ど、 ロ ジ ス テ ィ ッ ク な 支援 体 制 の充 実 も 重 要 で あ る。 日本 は地 震 大 国 で あ り、首 都 直 下 型 地 震 や 東 海 、 東 南 海 地 震 等 は高 い 確 率 で発 生 が 予 測 され て い る。 今 後 は、 さ ま ざ ま な 災 害 を想 定 し、 放 射 線 看 護 も含 め た 災 害 看 護 教 育 に 力 を入 れ て い くこ とが重 要 で あ る。 ま た 、 災 害 時 に は 被 災 地 で の 自助 ・共 助 が 非 常 に 重 要 とな る。 住 民 と とも に、 地 域 の 防 災 力 を高 め るた め の取 り組 み に看 護 職 と して参 画 す る こ とも求 め られ る。