ヘグナーの「自己金融論」についての一考察
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(2) 第47巻. 第 1号. る場合よりも, より安易に危険を引き受けるため, 資本の誤配を招きやすいと考えてい た4)。 他方, ケ ラ. ー. (Kohler,. T.)は, 自己金融の判定には確定された不変の理論は存在し. ないという立場から, 市場を通して資本を調達する場合に比べ, 必ずしも不都合であると はみなせないと主張し5) , ハゼナック (Hasenack, W.)は, 自己金融の評価は支配的な状 況に左右されるという立場から, 資本の正当な使用は資本市場を通しての導入によっての み保証されるという見解は市場の正常な機能に対する信頼の表れに過ぎないとみなしてい た6)。 また, アメリカでは, フォ. ー. ド (Ford, H.) が, 自己金融を企業の唯一の正当な資本. 調達源泉とみなし, 結果として獲得利益を企業外に引き出す, 他の資本調達方法 (Finan zierungsart). は, 短絡的な利瀾動機 (Profitmotiv) に従い, 高価格により顧客数を制限す. る, 不合理な産業制度であると考えていた 7\ この点, 本稿で検討する,. ヘ グナ ー. (Hegner, F.). によれば, 同一の対象, つまり, 自. 己金融を異なる観点から考察したために, 上記のような見解の相違が生じた。 彼らは, 自 己金融に関連した, 国民経済的な問題の解答を, 一部分, 経営経済的な研究方法で, 経営 経済的な問題の解答を, 一部分, 国民経済的な研究方法で得ようとしている。 このような 考察の立場の恣意的な変更と, これによりもたらされた研究方法の誤用は, 自己金融の過 程についての明快な認識と判定を妨げる, 不明瞭さを結果としてもたらしている8) 。 もち ろん,「経済現象としての企業の自己金融は国民経済学と経営経済学の共通した認識対象 である。 このため, 企業の自己金融は, 2つの異なる観点から考察でき, これに対応して 2. つの異なる方法に従って研究されるべきである」9)。具体的には, 消費する特殊経済の立. 場から行なわれる私経済的な考察を除いてlO)ll), 生産する特殊経済に関連させて検討する 4). Vgl. Prion, W.: (Selbstfinanzierung) Die Selbstfinanzierung der Unternehmung, in.: Kapital und Kapitalismus. Band. 1., Berlin 1931. S.34.; Hagest, K. Selbstfinanzierung. S.113. 5) Vgl. Kohler, T.: (Selbstfinanzierung) Selbstfinanzierung der Unternehmung, Berner Dissertation 1932. S.88f. 6) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.12-13.; Hasenack, W.: (Selbstfinanzierung) Wesen und Arten der Selbstfinanzierung, in: Die Betriebswirtschaft 1931. S.204. 7) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.13-14.; Ford, H.: (Heute) Das groBe Heute- das groBere Morgen, Leipzig 1926. S.37 u. S.232.; Hagest, K. Selbstfinanzierung. S.84 u. S.89. 8) Vgl.Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.14-15 u. S.133-134. 9) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.16. 10) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.16-17. I l) この点, ヘグナ ー は, 「私経済的な考察方法では. 企業の手段による企業家のための最高の貨 幣収入 (Gelderfolg) の獲得が主要な課題になる。 経営経済学が把握するような, 独自の規則 (Regeln) と法則 (Gesetz) を有する. 独自の制度 (Wesen) として. 企業は存在しない。 国. 民経済的な問題の解決には, このような私経済的な思考過程は役立たない。 ここでは, 富裕水準 に対する企業の意義を認識すべきである」 (Hegner, F. Se!bstfinanzierung. S.90-91.) と述べ ている。 -122 (122)-.
(3) ヘグナ ー の「自己金融論」についての一考察(牧浦) 経営経済学の観点と, 富 (Wohl) と繁栄 (Gedeihen), つまり, 富裕水準の獲得 (Wohl standsgewinnung) 過程における個々の経済体の関係 (Zusammenhang) と協力 (Zu sammenwirken) に関連させて検討する国民経済学の観点から, 企業の自己金融という経 済現象をヘグナ ー は研究する 12) 。 ここで, 本稿の概要を述べれば, まず, 経営経済的な問題として検討するために, 自己 金融の経営経済的な本質を明らかにした後, 企業に対する資本調達の影響について言及す る。 次に, 国民経済的な問題として検討するために, 自己金融の国民経済的な本質を解明 した後, 富裕水準に対する資本調達の影響について論究する。 そして, 経営経済的な観点 と国民経済的な観点から自己金融の総合作用について考察する。. 2 (1). 経営経済的な問題としての企業の自己金融. 自己金融の経営経済的な本質. 本来, 私企業は, 創業者 (Grunder), いわゆる, 企業家 (Unternehmer) の営利対象 (Erwerbsobjekt) として設立され,企業家にとって,できる限り高い財貨利益もしくは貨 幣利益 (Giiter-. oder Geldgewinn), すなわち, 最高の資本利得 (Rendite) を獲得する. ことにその目的は置かれている。 しかも, 少なくとも, 企業家が自己の目的にとり必要と みなす期間,企業が存続することが,彼の利害には適っている 13) 。しかし,このような企業 家の私経済的な利害を完全に排除して, 企業の存在の保全 (Sicherung) のための規則 (Regeln) の探求と, この規則に従うための手段 (Mittel) の探索が行なわれる場合にの み,経営経済学とみなしうる 14)15) 。しかも,経営経済学は,企業の持続的な存在の前提を解 明しようとすることにより,企業に影響力を及ぼし,その行動 (Gebaren) において考慮さ れるべき, 諸力が二つのグル ー プに区分されうることを認識する。 言い換えれば, これら. °. 12). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.17 u. S.89 u. S.105.; Ulrich, H.: (Betriebswirtschaftslehre) Nationalokonomie und Betriebswirtschaftslehre, Bern 1944. S.99. 13) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.19 u. S.35. 14) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.19.; Ulrich, H. Betriebswirtschaftslehre. S.15. 15) この点, オスパ ー ル (Osbahr, W.) は,「企業家の要望 (Unternehmerwiische) と企業の必 要 (Bediirfnis der Unternehmung) はそのままでは一致しない。 率直にいえば, 企業家努力 は自己のために最大の利益を企業から引き出すことにある。 そして, おそらく短期間のみであ る。 … ••• (しかし, 企業の立場から経済問題を検討する者は,)企業を, 国民経済, また, 世界 経済の全体組織の 一部分として, 同時に私的な営利獲得努力の基礎として, 把振することによ り, 企業の最長の活動期間と最大の経済力の展開 (wirtschaftliche Kraftentfaltung) のため の条件を確認しようとすべきである」 (Osbahr, W.: (Bilanz) Die Bilanz vom Standpunkt der Unternehmung, Leipzig 1923. S.115-117.) と述べている。 -123 (123)-.
(4) 第47巻. 第 1号. 諸力の影響可能性もしくは影響範囲に対応した,経営経済学の方針 (Richtung) により. 企業は 2 つの部分に分けられる。 つまり, 企業給付の形成において経済性 (Wirtschaftlich keit) の法則が妥当する内部部門と, 私経済的に組織された国民経済内での企業の立場に. 対応して. 決定的な原動力としての収益性 (Rentabilitat) が作用を及ぼしうる外部部門に 分けられる。 その際, 内部部門は「経営」という名称で. 外部部門は「企業」という名称 であらわされる 16) 。 このような事実を踏まえて, ヘ グナ ー は, 経営経済的な本質から,「企 業は, 生産目的のための生産手段 (Produktionsmittel) (国民経済上の資本)の経済・法 律上での統合 (Zusammenfassung) であり,経済的な給付の形成のために. 利用可能な手 段が, その価値上では最低でも維持されるように, 用いられるという使命を有する, 持続 的な統合である」 17) と主張する。 また. 企業の持続性 (Dauerhaftigkeit) に対する要求 (Forderung) に対応して,必要 な流動資産の構成部分, つまり,貨幣手段 (Geldmittel) が充分な規模で存在するように, 企業は配慮すべきである。 通常, このような貨幣手段の調達に役立つ. 企業活動は資本調 達 (Finanzierung) と呼ばれる。 多くの経済学者と経済実務家は この活動を資本の調達 (Kapitalbeschaffung) という名称であらわすが, そ こでは,資本は,生産要素についての. 処分権 (Verfilgungsmacht) を意味する 18), 私経済的な貨幣資本 (Geldkapital) と解さ れている。 しかし, 資本が生産手段と解されるならば, 国民経済的に考察されており, 資 本の調達は企業の資産の形成 (Vermogensbildung) の過程を示唆できる。 この点, 企業 が所有する貨幣手段という資産構成部分が生産手段という資産構成部分に転換されるとき に初めて, 国民経済的な観点では, 企業の資本の調達が生ずる。 反面, 経営経済的な見方 で資本調達と呼ばれる過程を考察すれば, この過程には, 企業内での1つではなくて, 2 つの過程, つまり, 貨幣手段の調達 (Geldmittelbeschaffung) と貨幣手段の使用 (Geld mittelverwendung) が問題にされている ことを認識すべきである. 踏まえて,. ヘ グナ ー は,「(経営経済的な観点での)資本調達を.. 19). 。 このような事実を. 特殊な, 簡単に転換可能. な資産種類の調達, つまり, 貨幣手段の調達に役立つ, 企業のあらゆる方策と解する」 20\ と こ ろで, 資本調達は, 通常, 所有関係により結合されたい, 経済体から必要な貨幣が. 16) 17) 18) 19). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.23. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.23-24. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.98. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.24-25 u. S.92-93.; Hagest, K. Selbstfinanzierung. S.23. 20) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.26 u. Vgl. S.92.; Vgl. Hagest, K. Selbstfinanzierung. S.25. -124 (124)-.
(5) ヘグナ ー の 「自己金融論」についての 一考察(牧浦) 企業に配備される,「自己資本調達」 (Eigenfinanzierung) 」と, 他の経済体から信用の経 路を通して貨幣が企業に譲渡される,「他人資本調達 (Fremdfinanzierung) 」 に区分でき る21) 。 この点. ヘグナ ー によれば, 企業活動の結果からもたらされた, 貨幣収益 (Geld erlos) が, 企業給付の形成のために必要だった, 貨幣費用 (Geldaufwendung) よりも,. 大きいときに, この余剰が企業内に留保され, 生産手段の購入もしくは調達のために用い られるならば, 企業の所有者や他の経済体からの資本が利用されるのではない, 三番目の 貨幣の調達の可能性 (Geldbeschaffungsmoglichkeit) が発生し, 自己金融と呼ばれる22)0 しかし, 自己金融を自己資本調達とみなして, たとえば, ラ イト ナ ー (Leitner, F.) は, 「自己金融を, 企業家からの支払手段の導入, つまり事業家 (Gesellschafter) からの資本 投入 (Kapitaleinlage) とわれわれは解する」 と述べているし23), シュマ ー レンバッ ハ (Schmalenbach, E.) も同様に,「自己金融は, 信用に頼らない, 資本調達のすべてであ. る。 正確に言えば, 株式会社が, 利益を資本調達のために留保し, 自己の支払手段ではな くて, 株主の支払手段で資本調達するため, このような形式のみが自己金融と呼ばれるべ きである」 24) と主張している。 その際 シュマ ー レンバッ ハ は, 私経済的な思考を採用し て, 企業を, 独立した制度 (Wesen) としてではなくて, 企業家の営利対象として考察し ておるため25), ヘグナ ー は 「シュマ ー レンバッ ハ の把握を誤りとわれわれはみなすべきで ある」 26) と批判している。 経営経済的な観点では, 企業に主体性 (Subjektcharakter) を 認めるならば, 企業には, 自己の活動により獲得した貨幣手段, つまり, 利益部分により, 主体として自ら資本調達できる可能性が存在する。 従って, 経営経済的に考察すれば, 回 収した(換金化した)利益による貨幣の調達は, 所有資本家もしくは企業家からの貨幣の 調達とは異なる27) 。 この点, 自己資本調達と他人資本調達は, 企業の資産と利益に対する 他の経済体, つまり, 資本提供者の法律上の要請 (Rechtsanspruch) に根拠付けられてい るのに対して, 自己金融は新しい法律上の要請を発生させない28) 。 また, 自己金融の前提 として利益が企業内に存在しなければならない29) 。 しかも, 現実に, 流動的 (liquid) に存 21) 22) 23). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.26-27. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.27.; Hasenack, W. Selbstfinanzierung. S.94. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.27.; Leitner, F.: (Finanzierung) Finanzierung der Unternehmung, Berlin 1927. S.18. 24) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.28.; Vgl. Schmalenbach, E.: (Finanzierung) Finanzierung, Leipzig 1937. S.7. 25) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.28. 26) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.28. 27) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.28-29. 28) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.30 u. S.31 u. S.99-100 u. S.102. 29) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.32 u. S.100 u. S.120.; Keller, Th.: (Finan/' -125 C 125)-.
(6) 第47巻. 第 1号. 在する成果部分 (Ertragsteil) のみが自己金融には利用でき,擬制的な (fiktiv) 評価操作 のみから生ずる決算利益 (Bilanzgewinn) ではな い 30) 31 ) 。 このような事実, 具体的には, 「企業が他の経済体に頼らず,企業内部の過程が問題になる」 と い う自己金融の主要な本質 上の特徴を踏まえて, ヘ グナ ー は,「自己金融を,企業が貨幣手段を自己の給付による売上 利益 (Verkaufsgewinn) から調達するため,企業資産の現実的かつ 相対的な増加か,企業 に対する他の経済体の直接的な法律上の要請を認めな い, 相対的な資産の増加のみを生 じ させる, 貨幣手段の調達の特別な方策と解する」32) と定義して い る33) 0. (2). 企業 に対す る 資本顧連の影響. 外部の貨幣提供者もしくは企業家に提供すべき, 最高の貨幣利益もしくは貨幣所得 (Geldeinkommen) の獲得に本質を置いた企業の 目 標は私経済的な企業 目 標と呼ばれるの. に対して, 国民経済の最高かつ最長の貨幣所得の源泉, つ まり. 国民の富裕水準の持続的 な源泉を企業が形成することに本質を置いた企業の 目 標は国民経済的な企業 目 標と呼ばれ るが, 両 目 標には. 所 得 源 泉 の持続性. 従って, 企業の持続性に対する要求が 見られ る34)35) 。 具体的には, 常に 目 標に沿って給付の形成に投入でき, 外部でのあ らゆる種類の 債権者を満足させうるように, 資産を企業は維持すべきで あ る。 この点. 経営経済的な観 点から. 企業の維持では, 資産維持が問題になり, それは生産手段維持と貨幣手段維持を 意味し, 貸借対照表上では貨幣手段の価値上での維持として示される36) 。 また. 上位の企. /'zierung) Probleme der Finanzierung von lndustrie, Gewerbe und Handel, in. : Geld und Kreditsystem der Schweiz, Zurich 1944. S.306. 30) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.33.. この点, ヘ グ ラ ー は. 「 わ れ わ れは 自 己金融に対する本質的な 2 つの前提を獲得した。 つ ま り, 1. 経費の 支弁に用いる必要がない, 本来の企業活動に由来する, 実際に流動的な貨幣手段の存. 31). 在, 2. こ の よ うな貨幣収益をし ばらく の 間 も しく は 永 久に企業 内に留保する可能性である」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.33.) と述べて いる。. 32) 33). Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.34. ; Hagest, K. Selbstfinanzierung. S.28- 29.. こ の 点 ヘ グ ラ ー は, 「 こ の記述に お いて, 自己金融に新規資本調達と変更資本調達 (Neu und Umfinanzierung) をと もに包括した。 決算資本 (Bilanzkapital) に対する現実的かつ相. 対的な資産増加を示唆する, 貨幣の調達では, 新規資本調達として の 自己金融が問題になる。 決 算資本に対する相対的な資産増加 のみを結果として も たらす, 貨幣の調達では, 変更資本調達と しての 自己金融が問題になる」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.34 u. Vgl. S.93-94.) と述 べている。. 34) 35). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.36-37 u. S.72-73.. 36). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.38- 39 u. S.78 u. S.107.. こ の 点,「企業によ り, 私経済的な企業 目 標は貨幣所得 C Geldeinkommen) を 国民経済 的 な 企 業 目 標 は 財 貨 所 得 (Gtitereinkommen) を 獲 得 し よ う と す る」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.37.) 。 しかし, 販売可能な給付を形成するときにのみ, 貨幣所得が企業 に生 じ , すべて の企業はそ の経費を貨幣で 支 払 わ な け れ ばならない。 こ の ため, ヘ グ ラ ー は, 「経営経済的な企業 目 標は持続的な給付 の 形成と貨 幣 成 果 の 獲得にそ の 本質 が 置か れている」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.38 u. Vgl. 43 u. S.65 u. S.78.) と主張する。 -126 (126 )-.
(7) ヘグナ ー の 「 自 己金融論」 についての 一考察 ( 牧浦) 業目標の達成, つまり, 持続的な給付の形成, 企業の持続性は, 下位の企業目標の達成, つまり, 貨幣成果 (Geldertrag) , と く に, 利益の獲得に依存している。 このため, 利益の 獲得は経済上の成果と呼ばれ, 私経済的な経済体制では, 収益性が企業の経済上の成果の 評価基準とされる。 その際, この収益性は, 企業自らが影響力を及ぼしうる要因と, 影響 力を及ぽす可能性のない要因に左右される。 しかも, 前者は内部部門 (経営) と外部部門 にあるものに区分できるが, 後者は本質上外部部門に常に属する。 具体的には, 影響可能 な内部部門の要因は経済性, 経営流動性 ( Betriebsliquiditat ) , 影響可能な外部部門の要 因は生産性 (Produktivitat) , 企業流動性 (Unternehmungsliquiditat) , 部分的には経費 (Aufwand) , 販売価格である。 他方, 影響不可能な外部部門の要因は, 一定の調達価格の. 結果 (Folge) として, 部分的には経費であり, 競争の影響 (Auswirkung) の結果として の販売価格, さらに, 市場危険, つまり, 景気変動, 政策現象, 債務者の支払不能な どに よる, ある種の損失の可能性である37) 。 このため, 「企業に対する資本調達, とりわけ, 自 己金融の経営経済的な影響 (EinfluB) を研究する ことは, 経済性, 流動性, 生産性, 収益 性, 競争力, 危険に対する資本調達の作用 (Einwirkung) と, 企業の資産に対する これら 作用の波及効果 (Fortpflanzung) を, しかも現在と将来 で, 研究する ことになる」38) 。 以 下, 具体的に各要因について検討する。. ①. 経済性とコスト に対する影響可能性. 経営経済的な経済性では,. 経済財の調達は目標ではな く て.. 貨幣純成果の獲得 (geld. liche Reinertragserzielung) の手段として役立つ, 給付と製品の形成に目標はある. 39). 。 こ. のため. 経営経済的な経済性により. 経営内での給付の形成のための処置 (Verfahren) の 方法 (Art) と様式 (Weise) のみが把握される。 この点.. ヘ グラ ー は.. 「われわれは, 経営. 経済的な経済性を, 給付の形成のための処置の方法にのみ関係付け, … …結果としての給 付もし く は製品には関係付けない。 このため, 経営経済的な経済性ではできる限り経済的 な 方法と様式での給付の形成に その本質はある。 このような給付の形成のための経営経済 的な目標は. 収益性と呼ばれる, 他の概念によっても把握されうる」40) と述べている。 と こ ろ で. 経済的な方法と様式は, 給付の形成が最少の手段 (Mittel) と最短の時間 (Zeit). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.39- 40. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.40 u. Vgl. S.42 u. S.78. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.43 u. S.40 u. S.115.; Amonn, A.: (Grund begriffe) Volkswirtschaftliche Grundbegriffe und Grundprobleme, Bern 1944. S.19. 40) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.44.. 37) 38) 39). - 127 ( 127 )―.
(8) 第47巻. 第1号. を用 いて行なわれる と きに. 呈示される。 その際, 給付の形成のために使用される手段は 資産構成部分で あ り, この よ うな資産構成部分は一部 (原材料な どは) 直接的に消 費され, 一部 (機械な どは) 消耗される。 し か し . 資産構成部分は単純に消滅するの ではなくて. 形成される給付も し くは製品内に価値上では移転されるが, この移転は製品 の販売に よ る 売上収益 (Verkaufserlos) に よ り可能になる。 このため. 製品も し くは給付は資産費消 41 ). (Vermogensverbrauch) を支弁できる価格で売却されるべきで あ る. 。 また, 他人資本で. 資本供給されておるならば. 時間上 の 使用 に対 し て利子を支払わなければならな い。 これ は, 加工経営上 (werkbetrie blich) の給付 の 形成では把握できな い, 時間に左右される. 追加的な資産費消 で あり, 企業の財務構成 (Finanzstruktur) に よ っても左右される, 企 業 レ ベ ル で の資産消 費 で あ る。 この点, 製品単位当たり で の 利子時間 コ ス ト (Zins-Zeit Kosten) は貨幣価値上では利子率 と 時間に依存する と みな し うる42) 。 この よ うな事実を踏. まえて.. ヘ グナ ー は.. 「『 コ ス ト 』 は.. 一. 方で. 企業の影響力 の範囲外に あ る事実, つまり,. 利子率に, 他方で. 企業の影響力 の 範囲内に あ る 2 つ の 時間要素に左右されて い る。 利子 時間 コ ス ト 額を と も に 規定する.. 1 つ の 時間要素は直接的な加工の 期間 (Dauer) で あ り,. 他 の 時間要素は. 原材料 と し て の 経営 内 で の 登場から完成品 と し て製品が経営も し くは企 業から去る売却ま で. つまり, 製品に拘束された資産構成部分が貨幣形態で企業に再 び回 収されるまでに要する全体の期間で あ る」 43) と 述べて い る44) 。 と こ ろ で, 他人資本で資本供給される企業の 経営では, 4 種類 の資産費消, つまり, 減価償却 コ ス ト ,. 2 ) 労務 コ ス ト ,. 3 ) 外部 (材料 と 付加的要素 の導入) コ ス ト と ,. 利子時間 コ ス ト を確認できるが 45), 時間 と コ ス ト の関係について.. ヘ グナ ー は.. 1) 4). 「時間は二. 様式で作用する。 すなわち' a) 直接的な加工の期間が よ り長期になる程, (経営 レ ベ ル で の資産費消 で あ る) コ ス ト 1 ,. 2 , 3 と , もち ろ ん, (企業 レ ベ ル で の資産費消 で あ る) コ. ス ト 4 が よ り大きくなる。 b) 経営内 で の迂回時間 (Herumliegezeit) が よ り長 く なる程, コ ス ト 4 は よ り大きくなるが. コ ス ト 1 , 2 , 3 は影響されな い 。 また, 時間 a) と 時間 b). 4 1) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.44-45. 42) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.45-48. 43) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.49 u. Vgl. S.50-51. 44) この点. ヘグナ ー は, 「時間に対する利子時間 コ ス ト の依存性は二方面から明らかに さ れる。. 45). ま ず, 製品の直接加工にお ける期間 が長い程, 単位当た りでの利子時間 コ ス ト は大きくなる。 ま た. 製品が売却 さ れるときに, 価値上で拘束 さ れた資産構成部分を流動的な形で企業は回収する が, … …その際 完成品 や半製品が在庫さ れるならば, こ のよ うな資産構成部分は長期間に亘 り 価値上拘束さ れる。 資産構成部分の拘束が こ のよ うな停滞した製品でよ り長期になる程. 利子 コ ス ト はよ り増大する」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.48.) と述べている。 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.52.. - 12 8 C 128 )-.
(9) ヘ グナ ー の 「自己金融論」 についての一考察(牧浦) は総時間 c)をともに構成す る が, 総時間は, 資産費消を意味し, その規模は時間 a)と時 間 b)の長さの合計に依存す る 」 46) と述べてい る 。 また,「自己金融と自己資本で資本供給 された企業の経営では, コ スト 1 ,. 2,. 3 のみが実際の資産費消として存在す る 。 このた. め, コ スト を実際の資産費消と解す る ならば,. 1 つの時間要素, つまり, 直接的な加工の. 期間のみが コ スト に現れ る 。 迂回時間は このような コ スト では把握できない」47)。 このよう に, 他人資本調達は利子 コ スト と追加的な資産費消を生じさせ, 自己金融と自己資本調達 は利子 コ スト と追加的な資産費消を発生させない48) 。 しかし, 経済性の評価では,. 2つの. 時間要素が 把握 され, 給 付 連 関 (Leistungsserie) で の 資 産 費 消 と 時間費 消 (Zeitge brauch). が把握され る べきであ る 49) 。 言い換えれば, どのような方法で資本調達された企. 業でも, すべての経営に対して, 辻回時間を一緒に考慮す る 総時間の把握により, 全体的 な資産費消の把握は可能にな る 50) 。 この点,. ヘ グラ ー は,「 コ スト. は経営経済的な経済性の. あらゆ る 外部の変動から解放された評価基準であ る 」51 ) という見解の下で, 「経営経済的 な経済性は, 資産費消と時間費消を最少に維持す る ように配慮された, 経営上の給付の形 成のための方法と様式と解され る 。 その際, 時間費消は, 生産の開始 (企業内での原材料 もしくは補助材料としての製品の登場)から, 完成品が企業から売却により放出され, 生 産のために消費された手段と時間を企業が販売価格で換金化す る 瞬間までの, 時間間隙 (Zeitdauer). とみなす。 このような経済性の評価基準として コ スト が用いられ る 」 52) と述. べてい る 。 と こ ろで, 経済性を企業の外部部門のあらゆ る 影響から分離させ, 具体的には, 資本調 達を外部部門の現象として経営に全く影響力を及ぼさないものとし,. コ スト を実際の資産. 費消と解す る 場合, 減価償却についても検討されなければならない53)。 この点, 減価償却 は本質上さま ざまな期間と計算時点に企業の経費を配分す る ための簿記技術上の手段であ る が, 本来の企業上の, つまり, 貸借対照表上での減価償却と, 経営上の, つまり, 計算 上の減価償却に区分でき る 。 そして, 後者は, 生産のための利用により生 じ た資産の減少 を さ ま ざまな製品に按分して配分す る ことにより, 直接的な資産の維持もしくは生産手段. 46) 47) 48) 49) 50) 51) 52) 53). Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.53. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.53. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.55. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung.. S.55. S.53. S.54. S.54. S.55-56.. - 1 29 ( 1 29 )-.
(10) 第 47 巻. 第1号. の維持に役立つ のに対して, 貸借対照表上での減価償却は, 計算上のそれよりも, 大きな 規模や小さな規模で企てられる。 その際, 計算上の減価償却, つまり, 本来の価値消耗 (Wertverzehr) よりも大きく企てられる貸借対照表上での減価償却は,留保利益により自 己金融を行ない, 準備金 (Reserve) を形成するが,計算上の減価償却には全く影響力を及 ぼさない。 逆に, 後続の過少な貸借対照表上での減価償却は以前に形成された準備金を取 り崩す54) 。 この点, ヘ グラ ー は, 「資本調達方法は減価償却 コ スト に影響力を有しない。 減 価償却 コ スト は生産において生ずる財消耗 (Gtiterverzehr) と価値消耗につ いて配慮す る」 55) ものと考えている56) 。 このような事実を踏まえて, ヘ グナ ー は,「資本調達は, 経済性原理に従った給付の形 成 すなわち , 生産の方法と様式としての経済性に対して直接的な影響力を全く及ぼしえ ない。 それは このような経済性の評価基準, つまり, コ スト に対して決して作用しない。 資本調達が企業の資産費消に影響力を及ぼしうるときでも, 企業の外部部門に属する現象 の このような影響可能性は コ スト にも, 経済性にも意義を有しない。 というのは, これら は, 純粋な (内部部門を志向するという) 目的観点では, 企業の外部部門から分離された 要素であるからである。 資本調達による経費の影響可能性と コ スト の非影響可能性から経 費と コ ス ト の差異の可能性が生ずる」57) と述べている 58)。. ②. 流動性に対する影響可能性 流動性の問題は, 一方で換金可能性 (Liquidierbarkeit), つ まり, 貨幣手段に容易に転. 換されうる資産構成部分の特質と,他方で支払準備 (Zahlungsbereitschaft) , つまり, 満 期になった支払いを支弁するための企業の準備から構成される59) 。 このため, 二種類の流 54) 55) 56). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.56-57. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.57. Vgl. Juesten, W.: (Cash-flow) Cash-flow und Unternehmensbeurteilung, 4. Aufl., Berlin 1980. S.75-76 u. S.86-87. ; Lticke, W. : (Finanzplanung) Finanzplanung und Finanzkontrolle in der lndustrie, Wiesbaden 1965. S.192. 参照。 溝 ロ 一雄 ・ 後藤幸男訳 『資金計画」 税務経理協会 1970年 223 頁 ; 拙著 (資金計画論) 『 ド イ ツ 資金計画論』 森山書店 1997 年 41-42頁 46 頁 57) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.58-59. 58) この点 ヘ グナ ー は, 「自己金融 と自己資本調達は, 他人資本調達に 比べて, 企業の経費を削. 59). 減する とい う 影響力を有する。 し かし, 経済性の評価基準 としての コ ス ト は資本凋達方法には影 響 さ れ な い」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.58.) とか, 「給付の形成の経済性は純粋な経 営経済的な 観点では資本調達 とは独立している」 (Hegner, F . Selbstfinanzierung. S.59 u. Vgl. S.115.) と述べている。 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.59. ; Zentner, G. : (Liquiditiitsproblem) Das Liquiditiitsproblem in der industriellen Unternehmung, Berlin u. Wien 1932. S.14.; Gutenberg, E.: (Finanzen) Grundlagen der Betriebswirtschaftslehre. Band 3.: Die Finanzen. 3. Aufl響, Berlin-Heidelberg-New York 1969. S.326. 参照。 溝ロ 一 雄 • 森昭/ -130 (130 )-.
(11) ヘグナ ー の 「自己金融論」 につい ての 一考察(牧浦) 動性を区分できる。 すなわち , ( 1 )経営の流動性。 これは, 給付の形成と継続した経営経過 (Betriebsa bla uf). による経営の資産費消, たとえば, 賃金, 機械な どから生ずる, 経費を. 常に支弁する ことを内容とする。 (2)企業の流動性 (貸借対照表上での流動性)。 これは, 信 用の満期に対応して常に貨幣提供者に返済する ことをその本質とする 60) 61 ) 。 この点, 他人 資本調達は満期の利子や元金の償還で, 自己資本調達は利益処分で, 企業の流動性に対し て一定の要求 (Anforderung) をするが, 自己金融は要求しない62)。 また, 自己金融によ り 留保される利益部分が継続して使用され, 自己資本調達と, とくに他人資本調達では, 利益が一時的にのみ使用されうるため, 資本調達によ り 経営の流動性は間接的な影響可能 性を 被 る63) 。 このような事実を踏まえて, ヘ グナ ー は, 「企業の流動性からみて, 自己金融よ り も, 他 人資本調達と自己資本調達のケ ー スではよ り 高い流動性度が必要になる ことから, 資本調 達は流動性に影響力を及ぼしうる」 64) とみなしている。. ③. 生産性と収益性に対する影響可能性. 経営経済的な生産性は, 企業目標の達成, 従って, 貨幣成果の獲得と給付の形成の持続 性の保全 (Sicherung) に役立つ,経済的な活動もしくは現象であ り ,経営経済的な企業目 標の達成に適しているという, 経済的な要素の特性を意味する。 このため, 生産性に対す る 資 本 調 達 の 影 響 力 を 考 察 す る こ と は, 企 業 手 段 (Unternehmungsmittel) の 適 性 (Tauglichkeit),. 具体的には,貨幣資本提供者と企業の関係 (Zusammenhang) に基づい. た資産の適性に対する資本調達の作用を検討する ことを意味する65) 。 この点, 他人資本調 達では, 信用の満期もしくは信用の解約において債権者に支弁し, 企業の存続 (Fortbe stand). を確保するために, 債権者に対する資産の関係に基づいて, 流動資産部分 を 自己. 1977 年 369- 370 頁 ; Allgemeine Betriebswirtschaftslehre, 7. Aufl., Berlin 1952. S.66. ; Flohr, G.: (Zeitraumbilanz) Die Zeitraumbilanz, Berlin 1963. S.91-92. ; Nicklisch, H.: (Betriebswirtschaft) Die Betriebswirtschaft, 7. Aufl., Stuttgart 1932. S.456.; 参照。 拙著(資金計画論) 128-129 頁 60) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.59--60. 61) この点. ゼ ン ト ナ ー (Zentner, G.) は. 「流動性は, 常に, 販売過程(生産過程) と他人資本 の請求 (Inanspruchnahme) か ら 継続し て生ずるあ ら ゆる義務 (Verpflichtung) に対 し て時 間を厳守し, かつ, 完全な 金額で応 じ ら れる, 企業の能力 と解 さ れる」 (Zentner, G. 1932. S. 17.) と述べている。 62) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.60 u. S.70. 63) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.60. 64) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.60 u. Vgl. S.114-115. 65) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.61--62.. / 夫 ・ 小 野 二 郎 訳 『経営 経 済 学 原 理 第 3 巻 . Mellerowicz, K. : (Betriebswirtschaftslehre). 財 務 論J 千 倉 書 房. -131 (131)-.
(12) 第47巻 第 1 号. 資本調達では, このよ う な償還や利子支払いはないが, 必要な配当支払いのための準備を しなければならない66\ このよ う な事実を踏まえて, ヘ グナ ー は, 「他人資本調達は, 本来の形式, つまり,貨幣 形式において, 給付の形成のための全面的な使用とい う 資産の適性に ダ メ. ー. ジ を与える こ. とがあるのに対して, このよ う な影響可能性は, 自 己資本調達では ほとん ど, 自己金融で は全 く , 発生しない」67) と考えている。 また, 既に述べたが, 「収益性は私経済的な経済体制内での企業の経済上の成果の評価基 準を意味する。 それは, 数値では, ある期間において企業目標の達成のために企業内で使 用され, 貨幣で評価された総ての資産もし く は手段 (Mittel) に対する貨幣純成果の割合 で認識される」68)。 このため, 企業収益性は, 利益と同様, 給付の形成の経済性と経費に左 右される69 ) 0 このよ う な事実を踏まえて, ヘ グナ ー は, 「純粋に経営経済的に考察すれば, 企業収益性 が財務上の構成 (finanzielle Struktur) もし く は資本調達により影響される ことは明らか である。 企業の自己金融が拡大される程, 企業収益性はより大き く なるのに対して, 自 己 金融に比べて自己資本調達が増大する程度により, 企業収益性は僅かに減少する。 この減 少は他人資本調達の増大によりさらに強化される。 このため, 貨幣面では, 純粋な自己金 融では収益性は全 く 減少しないが, 純粋な自己資本調達では僅かに減少し, 純粋な他人資 本調達では強 く 減少する。 その際, この減少は他人資本の信用期限 (Kreditfrist) に依存 する」 70) と考えている 71\. ④. 競争力, 危険と危険克服に対する影響可能性 競争力の維持,危険, もし く は, 危険克服に対する資本調達の影響力を検討するならば,. 将来での企業の保全 (Sicherung) をはかる ことになる 72) 。 また,企業が, 国民経済の孤立 した細胞 (Zelle) ではな く て, 密接に連関し. 依存している ことにつ いて配慮しなければ ならない。 このよ う な依存と連関内で, 経営経済的な目標, つまり, 給付の形成と貨幣成 66) 67) 68) 69) 70) 71) 72). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.62--63 u. S.82. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.63 u.Vgl. S.83.; Vgl. Zentner, W. Liquiditatsproblem. S.96. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.61 u.Vgl. S.63--64.. こ の点. ヘグナ ー は. 「利益 と同様. 実際の企業収益性は企業の活動期間中は決して正確には 確定 さ れ えない。 貸借対照表か ら 明 ら かに さ れ る 収益性は, 資産の評価において実施 さ れ る企業 政策に強 く 影響 さ れてい る 」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.64.) と考えて い る 。 Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.64--65. 参照。 拙著 (資金計画論) 315頁 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.65 u. S.40 u. S.81. -132 (132 )一.
(13) ヘ グナ ー の 「自己金融論」 についての 一考察(牧浦) 果の獲得を達成するという企業の特性が競争力である73) 。 しかも, 企業は, 持続的な主体 である ことより,予想できない将来,不確実性, つまり,危険を引き受ける ことになる74\ と こ ろで, 給付の販売で企業は相互に競争しており, そ こでは, 純粋な経営経済的な思 考とは無関係な独占組織の形成を除けば, 市場で成果を充分あ げて存在する見込みは, 給 付の質と,質に比べた価格に左右される75) 。 以下では,企業が適合すべき外部状況として, 一定の競争者数で, 全員が過少な購買力を利用するケ ー スと, 一定の需要給付量で, 競争 者数が増加するケ ー スを考える。 この点, 前者のケ ー スでは, 景気が良 く なるまで, 限ら れた販売数量で,生産装置,経営の操業 (Beschaftigung) と資産を維持する ことが課題と なる。 そ こでは, 原価法則から明らかなように, 最適操業度以下への生産の抑制は共通費 からもたらされる単位コスト の増加を惹起するが, 在庫生産による在庫コスト の増大か, 企業の総経費を支弁できない価格での製品売却か, 留保利益による準備金の取り崩しのみ が可能である76) 。 また, 他人資本で資本供給されている企業に比べて, 自己金融や自己資 本で資本供給されている企業は,利子コスト がないため,共通した不都合な市場状況でも, 在庫生産したり,安い販売価格で操業できる可能性は大きい77) 。 他方,後者のケ ー スでは, 生産技術の改善により, 経費を引き下 げる以外に途はない。 革新的な企業は給付の形成を 最新かつ最廉価な処置 (Verfahren) に従って組織しようとする。 このため,競争力の維持 は生産装置の適合と拡充 (Ausdehnung) を時折要求するが, これら方策は, 自己金融に よる準備金か, 市場状況に依存した自己資本調達や他人資本調達により, 必要な貨幣手段 を準備できるときにのみ, 可能なため, 競争力の維持は資本調達と関連している78) このような事実を踏まえて, ヘ グナ ー は,企業の流動性と同様,「企業の競争力の維持の 手段として, あらゆる資本調達は適しており, 使用可能である。 しかし, 経営経済的な観 点では, 自己金融には, 自己資本調達と他人資本調達よりも, 優位性が認められる」 7 9) と 述べている。 また, 危険は損失可能性の存在を意味するが, 企業が被 る危険は, 企業内の危険, つま り , 経営危険 (Betriebsrisiko) と, 企業外の市場危険 (Marktrisiko), つまり, 本来の企 業危険 (Unternehmungsrisiko) に区分され, 経営危険は, コス ト を伴うが, 保険 (Ver-. 73) 74) 75) 76) 77) 78) 79). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.70. S.65. S.66. S.66 u. S.98. S.66-67. S.67-68. S.68-70. u. Vgl. S.81.. -133 ( 133 )-.
(14) 第47巻. 第1号. sicherung) により防止でき, 資本調達には依存しない。 こ れに対して, 市場危険は, 不確. 実で, 不都合な景気の状況により生ずるため, 危険克服と競争力の維持に関係している80\ こ の 点. こ の ような危険な 期 間 に お い て存 続 で き る 可 能 性 は 企 業 の 財 務 上 の構 造 (Aufbau) の方法により非常に拡大できるが, 危険克服の特殊な方法は準備金政策に見ら. れる81). 0. こ のような事実を踏まえて,. ヘ グナ ー は,. 「可能な資産損失の程度と, こ れによる企業の. 全体的な壊滅の可能性は適切な準備金政策により縮小でき, 手段として,. こ れに加えて, 財務上の補助. 3 つの資本調達方法の内, 自 己金融が最適, 自 己資本調達が少し劣り, 他人. 資本調達が最低で適していると述べる こ とにより, 危険克服に対する資本調達の影響力は 特徴付けられうる」 82) と考えている。 なお, 資本調達方法は企業管理者 (Unternehmungsfunktionar) の行動に影響力を及 ぼしうる。 こ の点, 誤 っ た管理者行動では, 資本の解約告知 (Kapitalkiindigung) の脅威 (Androhung) とか, 利子コス ト による成果への負担の増加を介して, 他人資本調達によ. る修正作用 (Korrektionswirkung) が見られる83)84) 。 しかし, こ のような関係では, 自 己 金融には誤った企業管理者に対する修正作用は見られない85) 。 こ の点,. ヘ グナ ー は,. 「貨幣. 提供者の私経済的な利 害の好都合な作用は, 経 営 経 済 的 に 方 向 付 けら れ た 基 本 原 則 (Grundsatz) と規則に企業が従わないときにのみ, 現れる。 しかも, 経営経済的に考えれ. ば,. 良く訓練された管理者は,. 資本調達による私経済的な利害もしくは利子経費 (Zins. aufwand) の抑制作用 (Druckwirkung) なしに, 企業と経営を正しく管理し, 組織でき. るため, こ のような作用は必要ではない」 86) とみなしている。 なお, 「他人資本調達は, 正 常な期間では, 貨幣提供者に企業行動 (Unternehm ungsgebaren) に対する小さな共同質 疑権 (Mitsprachrech t) を与えるため, 企業内での私経済的な利害の担い手 (Trager) と しては非常に制限された規模で問題にされる。 また, 自己金融は, その 『根元J (Ende) が 企業内にあるため, こ のような私経済的な利害の担い手としては問題にはならない。 しか し, 自己資本調達は, こ れにより企業行動に対する共同質疑権を, とくに利益の使用にお 80) 81) 82) 83) 84). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.72 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung.. S.70-71. S.71. u. Vgl. S.81. S.73-74 u. S.86. この点. ヘグナ ー によれば. 「『誤 り のないJ 行為 (fehlerlos Handeln) は経営経済的に方向 付 け ら れた コ ン ト ロ ー ル方策の適用によ っ てのみ保証 さ れる もの と 考え ら れる」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.74 u. Vgl. S.73.) 。 85) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.74. 86) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.77.. - 1 34 ( 1 34 )-.
(15) ヘグナ ー の 「 自 己金融論」 についての 一考察(牧浦) いて. 貨幣提供者が獲得する ため. 企業内での私経済的な利害の担い手もしくは指導者 (Leiter). としては適している」 87\. 3 (1). 国民経済的な問題 と し て の企業の 自 己金融. 自 己金融の国民経済的 な本質. 国民経済的な問題としては, 富裕水準に対する経済的な現象もしくは事実の影響力が研 究される。 このため, 以下では, 企業内で経営経済的な研究方法で確定された資本調達の 作用が, 国民経済的な研究方法により, 富裕水準に対する効果での意義において検討され る88) 。 と こ ろで,社会的な富裕水準の獲得過程から考察すれば,企業は,大規模にかつ合理 的な方法で経済財の生産を可能にする,生産要素の統括 (ZusammenschlilB) もしくは結 合 (Kombination) である。 従って, 企業は, 共通した 需要 (Bedarf) のための財, 富裕 水準が生産される, 組織を意味する89) 。 この点, ヘ グナ ー は,「国民経済的な観点では, 企 業は, 独立した主体性を有し, 経済的な給付の形成のための, 生産要素の持続的な結合を 意味する。 そして, このような生産主体もしくは生産単位として企業は, 社会的な富裕水 準の獲得過程において, 自己の活動の結果が国民経済的に良好とみ なされる ために, 特定 の規則と法則に従って充 たすべき,特定の機能を引き受け る。 その際, (従う ことが個 々 の 企業の持続的な存在にとって前提を意味する,経営経済的な法則と規則とは異なり,) この 国民経済的な法則と規則は, すべての企業に対して, 個別的にも, 全体的にも, 妥当性を 有するが, 従う ことは個 々 の企業の現存 (Existenz) に対する直接的な前提を意味 し な い」90) と主張する。 また ,経営経済的な観点では,資本調達は企業の貨幣資産の調達過程 (Geldvermogens beschaffungsvorgang). と解されるが飢 国民経済的な観点では,資本が生産手段 (建物,. 機械 道具 補助材料等) , 貨幣が共通し た交換手段 (Tauschmittel), つまり, 経済財の 処分権と解される た め92), 企業による貨幣調達は国民経済的な資本の形成 (KapitalHegner, F. Selbstfinanzierung. S.77. ; Vgl. Sandig, C. : (Finanzierung) Finanzierung mit Fremdkapital, 2. Aufl., Stuttgart 1973. S.10. ; Sandig, C. : (Fremdkapital) Fremd kapital, Finanzierung mit. in. : Btischgen, H. E. (Hrsg.) , Handwi:irterbuch der Finanz wirtschaft, Stuttgart 1976. S.649.; 参照。 拙稿(他人資本調達論) 「 C. ザ ン デ ィ ヒ の他人資本 調達論についての一考察」 近大商経学叢 第 44巻 第 1 号 1997年 7 月 2 頁 88) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.89. 89) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.91. 90) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.91-92. 9 1 ) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.92. 92) Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.93 u. S.92.. 87). - 1 35 ( 1 35 )-.
(16) 第47巻. 第 1号. bildung) の部分過程とみなされる93)。 この点,. ヘ グナー は,. 「企業の貨幣もしくは交換手. 段の調達過程は, 国民経済的な観点での資本調達と解され, 結果として. 国民経済的な資 本の形成をもたらしうる」94) と主張する。 と こ ろで, 生産資本, つまり, 生産財 (Produktionsgtiter) の利用 (Gebrauch) は費 消 (Verbrauch) を意味するが, 反復した使用を認める恒久資本 (stehendes Kapital) と, 認めない循環資本 (umlaufendes Kapital) に区分されうる。 この点, 経験では, 「より多 くの恒久資本が生産で使用される程, 生産の成果はより大きくなる。 また, より多くの恒 久資本が, 国民経済内に存在し, 生産に使用される程, より多くの経済財が生産の成果と して生 じ . 国民の富裕水準の絶対的な規模はより大きくなる」 95) 。 また. 消費財 (Konsu mgtiter) の現時点での生産 (sofortige Produktion) の放棄が, 国民経済的な資本の形成. の前提をなし. 国民経済的な節約 (Sparen) と呼ばれるのに対して 96) , この国民経済的な 節約により解放される生産要素が新しい資本財 (Kapitalgtiter) の形成に用いられる過程 は国民経済的な投資過程 (Investieren) と呼ばれる97) 。 この点.. ヘ グナ ー は,. 「国民経済的. な資本の形成は. 本質上. 生産における資本の使用の, 国民の富裕水準を促進するという. 効果にその動機 (Ursach) を有し. 国民経済的な節約と投資過程という前提に関係した. 生産過程を意味している」 98) とみなす99)0 また, 資本の形成という資本調達の特殊な方法, 具体的には. 自己資本調達と他人資本 調達では. 設 立資本調達 (Grundungsfinanzierung) で も 後 続 資 本 調 達 (Nachfinan zierung) でも, 貨幣提供者と企業の間で法律関係 (Rechtverhaltnis) , つまり, 資本の成. 果に対する貨幣提供者の要請 (Anspruch) が生ずる 1 00) 。 この点, 「自己資本調達もしくは 他人資本調達の場合, 他の経済体に対する企業の提携 (Verbind ung) が貨幣資本により生 ずる ことが国民経済的には重要である。 資本の形成である自己金融では資本と企業の この ような外部提携は生じない。 以前実施された資本の形成が自己金融により変更資本調達さ Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.93-94. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.94. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.94 u. Vgl. S.96. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.95 u. S.96-97.; Amonn, A.: (Grundziige) Grundziige der Volkswohlstandslehre, 1926. S.lOOf. ; Amonn, A. : Grundbegriffe. S.97f. 97) Vgl. Hegner. F. Selbstfinanzierung. S.95. 98) Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.95. 99) こ の点, ヘ グナ ー は, 新たな資本の形成を動機 と する資本調達 と , 新たな資本の形成を全 く 動 93) 94) 95) 96). 1 00). 機 と し な い 資本調達を区分 し , 「前者を新規資本調達. 後者を変更資本調達 と 呼ぶ。 国民経済的 な変更資本調達は, こ れによ り 新 し い 資本の形成が全 く 生 じな いが, 以前に実施 さ れた資本調達 が他 も のに転換 さ れる と きに, 現れる」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.95-96.) と 述べて いる。 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.99-100.. - 136 ( 136)-.
(17) ヘ グナ ー の 「自己金融論」 についての 一考察(牧浦) れ, 貨幣資本部分が償還されるな ら ば, 外部提携は解消される」 IOI ) 。 また, 資本調達を, こ れにより複数の経済主体 と の外部提携を結果 と してもた ら す資本調達 と , 複数の経済主体 と の外部提携を結果 と して全 く もた ら さない資本調達 と に分 け れ ば, 前者には市場資本課 達 (Marktfinanzierung) と しての自己資本調達 と 他人資本調達, 後者には非市場資本調 達 と しての自己金融が属する 102) 。 この点,. ヘ グナ ー は,. 「他人資本調達もし く は自己資本調. 達は, と りわ け , いわゆる市場資本調達 と して大規模に実施される と , 貨幣面では, 資本 を通して他の経済体に対する企業の提携が生ずる。 自己金融では, 外部 と の企業の このよ うな資本提携, 企業内に存在する資本に対する他の経済体の抽象的な処分権は全 く 生じな い」 103) と 述べている。 反面, 利益は, 私経済的には, 販売収益が調達経費を上回われば, 生ずるが 1 04), 「生産 要 素 の よ り 少 な い 費 消 (Verbrauch) と 利 用 (Gebrauch) を 伴 う 新 し い 生 産 処 置 (Prod uk tionsverfahren) によって同量もし く はより多 く の経済財が獲得されうる と きに のみ, 国民経済的な利益 と 呼べる。 このような国民経済的な利益は市場経済では私経済的 な貨幣利益 (Geldgewinn) と 経営経済的なそれに関係している」 105) 。 この点,. ヘ グナ ー は,. 「自己金融を可能にする前提 と しては利益の原因 と 種類は重要ではない。 貨幣利益の存在 で充分である。. ……. この利益が国民経済的な利益 と して同時に生ずるのかは, 特定の実施. される自己金融の国民経済的な判定に と ってのみ重要である」 106) と 主張する。 なお, 「国 民経済的な観点での自己金融は, 自己の活動か ら 結果 と して生ずる貨幣利益による, 企業 の貨幣 と 交換手段の調達 と 解されるが, その際, 貨幣利益は国民経済的な資本の形成をも た ら しうる」 107) 0. (2). 富裕水準 に対す る 資本調連の影響. 個人の富裕水準は充分な程度で経済財を個人が使用する こ と を意味し, 国民の富裕水準 は経済財をすべての経済体が使用する こ と をその本質 と する 108) 。 この点, 後者の国民の富 裕水準は, 個人の需要に対応した, 財がより多 く 存在する程, また, これ ら 財がすべての 101) 102) 103) 104) 105) 106) 107) 108). Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.100 u. Vgl. S.103. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.102-103. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.100. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.101. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.101. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.102. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.103. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.104. ; Amonn, A. : Grundbegriffe. S.2 lf. ; Amonn, A. : Grundziige. S.l lf. - 1 37 ( 1 3 7 ) -.
(18) 第47巻. 第1号. 個人に (絶対的ではなくて, 相対的に) 同程度に配分される程, より大きくなる。 このた め, 国民の富裕水準の規模にとり重要な 3 つの基準は, ( 1 )生産される財数量の規模, (2)財 の種類に関連した これら財数量の組合わせ (Zusammensetzung) と, (3)すべての経済体 に対する これら財数量の配分である。 そ こでは, ( 1 )生産される財数量の規模は, 国民経済 に投人される生産要素の ①属性 (Gattung) , ②数量,③投入の方法と, 給付の形成のた めの生産要素の使用における ④経済性に依存し, (2)財の種類に関連した財数量の組合わ せは生産の方向を規定するのに役立ち , (3)経済体に対する財数塁の配分は, 社会的な富裕 水準の獲得過程,つまり,国民経済への経済体の共同作用 (Mitwirkung) の可能性から生 ずる 109)。 また,「貨幣志向的な,私経済的な市場経済では,貨幣が共通した交換手段として 機能するが, 国民の富裕水準の獲得過程は, 社会と個人の生産過程と交換過程の混合 (Gemisch) として, 構成されている。 そ こでは, 貨幣と財の運動は相互に影響して おり,. これにより全体過程の結果である, 国民の富裕水準は左右される」 l lO\ と こ ろで, 企業の貨幣の調達の過程, つまり, 資本調達は このように特徴付けられる国 民の富裕水準の獲得過程での貨幣の運動を意味する l l l ) 。 このため,「経営経済的な資本調 達の作用は国民の富裕水準にとっても童要であり, 経営経済上不都合な作用はまた国民経 済上も不都合な作用になりうる」1 1 2)。 具体的には,まず, 国民経済上良好な用役 (Dienst) を給付できる状態にある企業は, 経営経済的な観点でも健全であるが, この企業の経営経 済的な健全性 (Gesundheit) のために, 資産維持に努められなければならないが, 資本調 達の作用は この企業の資産維持を困難にする。 この点,. ヘグ. ラ ー によれば,「貨幣面では,. 自己金融は これにより調達された資産の維持に影響力を及ぼさないのに対して, 自己資本 調達は僅かに, 他人資本調達は非常に, これらにより調達された資産に貨幣面で条件付け られた付随作用 (Nebenwirkung) を通して, 影響力を及ぼしうる。 従って , 経営経済的 な資本調達の作用に関連して , 資本調達が資産に影響力を及ぼしうるという性質があると いう事実は, 国民経済にも関係がある」 ll3) また, 手元の生産要素により, 消費財がより多く生産される程, 現在の国民の富裕水準 はより高くなり,生産財がより多く生産される程,将来の国民の富裕水準はより高くなり, 現在のそれはより低くなる。 言い換えれば, 資本の形成は, 消費財生産の強力な制限とい. 109) l lO) 111) 112) 113). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.104-105 u. S.107. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.106. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.106. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.108. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.108 u. Vgl. S.86-87.. - 1 38 ( 1 38 )-.
(19) ヘグナ ー の 「自己金融論」 についての 一考察(牧浦) う犠牲なしには, 拡充されえない 1 14) 。 その際, 国民経済では, 市場資本調達により, 国民 経済内でのより良い購買力の分布と製品に影響力を有する経済体層を形成して, 生産の合 目的的性を促進する効果とともに 1 15し あらゆる経済体によって私経済的に節約された貨 幣所得を企業に集中する可能性がもたらされる。 この点,. ヘ グナ ー は,. 国民経済内に存在. する生産要素の投人の方法と, 投人される生産要素の属性に対する資本調達の影響につい て, 「国民経済では, 消費財生産のためか,資本財生産のためかという,生産要素の投入の 方 法 は 資 本 の 形 成 の 強 度 (Intensitat) に 対 す る 市 場 資 本 調 達 の 調 整 作用 (Regel wirkung). により影響される。 貨幣面では, 市場資本調達は, 資本の形成の国民経済上好. 都合な, 最適な強度を提供するのに対して, 自己金融には強度に関する このような制御作 用 (Steuerungswirkung) が欠落している。 資本の形成でのできる限り大規模な拡充によ り, 質上で最も恒久的な属性のある生産要素, 国民経済的な資本を将来の生産に投入する ことを促進できる。 このような属性のある生産要索の拡大された投人の促進のためには, 国民経済内での補助手段としてあらゆる資本調達方法が必要になる。 この関係では, 多様 な資本調達方法に内在する長所や短所が認められうる。 その際, 投人される生産要素の属 性に対しては資本調達からは特殊な付随作用は生じない」 1 1 6) と述べているll7) 更に, 国民経済に投入される生産要素の数量は, 基本的には, 企業が自由 に使用できる 貨幣資本量に左右 されるが,. ヘ グナ ー は,. 国民経済に投入される生産要素の数量に対する. 資本調達の影響について,「企業は,企業目標の達成のために,自己の使用可能な貨幣手段 のすべてを生産過程に直接的には投入できない。 貨幣手段の一定の有高, 一定の流動性を 維持する ことが強制される。 経営経済的な観点では, 流動性の維持は資本調達方法により 影響される。 他人資本調達と自己資本調達は, 自己金融よりも, より高い流動性度を必要 とする。 この事実は, 貨幣志向的な経済としての全体的な国民経済の生産過程に投人され る生産要素の数量に関して, 自己金融では自己資本調達よりも, 自己資本調達では他人資 本調達よりも, 相対的により多く手元の生産要素が企業により国民経済に投人されうる こ. 114) 115) 116) 1 17). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.109-1 10. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.121. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.1 14.. この点, ヘグ ラ ー は, 「市場資本調達によ り , … … 節約する人 と投資する経済体が分離する。 自己金融では,私経済的に節約する経済体 と投資する も のの間でのこのような分離は確認できな い … … 。 このため, 自己金融によ り 惹起 さ れる資本の形成は その強度に おいて財販売市場にのみ 従う。 結果 として, 自己金融では, 資本の形成の強度に関連 して, 国民経済的な節約可能性 (こ れは, 貨幣志向的な市場経済では, 経済体によ っ て私経済的に節約 さ れる所得金額の総額によ り 金額上では示 さ れるが) は考慮 さ れない」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.112.) と述べて いる。. - 1 39 C 1 3 9 )-.
(20) 第47巻 第 1 号 とを意味す る 」 l l8) と述べてい る 。 そして. でき る 限り少ない資産費消と時間費消という経営経済的な経済性に対して, 国 民経済的な経済性はでき る 限り少ない生産要素費消と時間費消という給付の形成の方法と 様式にその本質を置く l l9)。 この点, 資本調達は, 経営経済的な経済性に対して影響力を及 ぼさないのと同様, 国民経済的な経済性にも影響力を有しない 120) 。 しかし, 経済的な行動 原理に従って, 需要が少ない, もしくは, 需要が全くない製品が形成され, 需要があ る 製 品が形成されなければ, 国民の富裕水準は促進されないため, 国民経済内で生産され る 財 数量の組合わせにも配慮して, 需要の重要性に従って, 消費財生産が行な わ れ る ように, 資本の形成 つまり, 生産手段が生産で使用され る ようになされなければならないが, 市 場経済では購買力に支えられた需要が基準にな る ため, 購買力のない生存のための需要 (Existenzbedilrfnis). の充足を企業には期待できない 121 )122 )。 しかし,自己金融は,市場資. 本調達に比べて, より少ない貨幣的に条件付けられた経費により, より安い価格で製品を 販売でき る ため, 販売市場によ る 生産の誤った指導 (Lenkung) を部分的には改善でき る 可能性を有す る 123) 。 この点, 私経済的な市場経済では, 利子 (配当も含む) に資本の形成 のための国民経済上最良の指導の機能が認められ る が 124),. ヘ グナ ー は,「しかし,利子金額. によ る 資本の使用の このような指導は, すべての状況下で, 国民経済上好都合とはみなし えない。 購買力がない, 国民層の需要は, このような利子によ る 指導では把握されず, 資 本の形成と資本の使用のためにも考慮されない。 このため, 広範囲な国民層で購買力がな ければ, このような指導は不都合とみなされう る 」 12 5) と述べてい る 。 反面, 自己金融でも 市場資本調達でも, 資本の形成は利益の獲得という影響下にはあ る 126)。 この点.. ヘ グナ ー. は,「国民経済的な目的観点に従った生産の指導にとっては. 市場資本調達は, たとえば, 資本の形成に対す る 利子の指導機能の存在ではなくて. 購買力の配分という作用により, その結果 (Auswirkung) において非常に好都合になりう る 。 資本の形成に対す る 利子の. 118) 119) 120) 121) 122). 123) 124) 125) 126). Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.114-115. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.115. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.115 u. S.59. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.116-118.. こ の 点 ヘグナ ー は, 「国 民経済的な観点では, 少数の経済体が国民経済内で 奢{多の ため の 需 要 (Luxusbed iirfnis) を 充た し 始める 前に, 少な く と も す べての経済体に対 し て 生存 のための需要 (Existenzbediirfnis) を充たす可能性がある こ とが, 望 ま しい」 (Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.117.) と述べている。 Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.118. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.118-119. Hegner. F. Selbstfinanzierung. S.119 u. Vgl. S.121. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.119--121.. - 1 40 ( 1 40 )-.
(21) ヘグナ ー の 「自己金融論」 につい ての一考察 ( 牧浦) 指導に関して, これが, 市場資本調達と自己金融において資本の形成を一定方向に指導す る, 利益の発生に関係している ことが確認された。 このため, 資本の誤配の恐れは, 資本 調達方法ではなくて, 利益の種類に依存している」 127) と述べている。 なお, 「市場資本調達は, (個々 の資本調達において多数の貨幣提供者が参加 するという 前提下では)貨幣面で国民経済にとってもっとも好都合という意味で, 資本の配分機能を 高めうるのに対して, 自己金融は貨幣面での このような国民経済上での好都合な作用を発 揮できない」 1 28)。 このため, ponente). ヘ グナ ー は,. 「国民の富裕水準の配分機構 (Verteilungskom. に対する資本調達の作用は, 自己金融よりも, 市場資本調達の方がより好都合. である」 1 29) と結論付けている。. 4. 経営経済的 な観点 と 国民経済的 な観点か ら み た 自 己金融の総合作用. 企業活動を, ( 1 )調達, (2)本来の給付の形成と. (3)販売に区分すれば, たいていの場合, ( 1 )調達と(2)本来の給付の形成は資産費消, つまり, 経費を, (3)販売は資産補充 (Vermogens ersatz),. つまり. 成果をもた らす。 このため, 経費は企業資産を削減する傾向, 成果は企業資. 産を増加させる傾向を有する 130)。 この点, 表 l で示されるように, 経費は, 調達の経費と給付 の形成のための経費に, 更に, 後者は, 財の消耗と給付の消耗 (Gilter- und Leistungsver zehr). として現れる, 技術的に条件付け ら れた経費と. 資本調達方法により惹起させ ら れる, 貨. 幣の消耗 (Geldverzehr) で直接示される, 貨幣的に条件付け られた経費に区分できる 131 )。 その 際 給付の形成のための経費に対する資本調達の影響力は, 利子経費以外に, 他人資本調達と 自己資本調達が自己金融よりも高い流動性度を条件とするため. 流動性でも認め ら れるが. 自 己資本調達では少ない。また, 貨幣の調達の過程は, 他人資本調達と自己資本調達で経費 (発行 経費)をもた らすが, 自己資本調達では額面以上発行で生ずる 1 32)。 このため,. ヘ グナ ー は.. 「大. 体において. 自己金融は貨幣面で企業経費 (Unternehmungsaufw and) を増加させる傾向を全 く有せず, 自己資本調達は このような傾向を有し, 他人資本調達は強い このような傾向を有す る」 133) と考えている。. 127) 128) 129) 130) 131) 132) 133). Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.121-122. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.123. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.124. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.78-79. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.79-80. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.80 u. S.84 u. S.114-115 u. S.124. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.82 u. Vgl. S.85. - 1 41 C 1 41)-.
(22) 第 47 巻. 表l. 第l号. 資本調達方法 と給付の形成で生ず る経費の種類 134) 給付の形成の ための経費. 調達の経費. 利 子 経 費 流動性経費 技 術 的 に 条 件付 け ら れ た 経 費 貨幣的に条件付 け ら れ た経費 他人資本調達 自己資本調逹 自 己 金 融. は し9 は い [} いいえ. は い いいえ いいえ. は い は い2) いい え. 貨幣的に条件付 け ら れ ない経費 は い は い は い. 1 ) 額面以上発行で支弁 さ れ る 2 ) 他人資本調達よ り も 少ない 反面,企業資産が特殊な企業給付の遂行 (Vollbringung) により適している程, 成果は より大きい。 こ の 点, 生産性とともに, 「企業により調達される貨幣手段の適性と,当該資 本調達方法の適性は, 特殊な企業の 行動 (Tatigkeit) に大幅に依存している。 その際, こ のような行動の特殊な方法により流動資産に比べて固定資産がより大きくなる程, 企業に より長期間に亘って拘束され, いずれの理由でも償還しなくても済む貨幣手段がより適す るようになる」 135)。 また, 他人資本調達におけるより大きな流動性度の必要性が企業の貨 幣手段の 需要もしくは資産需要を増加させ, 生産過程と販売過程に直接使用されうる, 資 産部分の割合を削減する 136)。 そして, ヘ グナ ー は,「大きな流動性を要求する資本調達にお いて, 手元の企業資産による成果獲得の可能性 の 直接的な削減が生じ, 他人資本調達での 返済義務 (Rtickersattungsverpflichtung) により, 生産性と, こ の ような貨幣手段の全 面的な使用に対する適性が, 信用期限の長さに反比例して, 削減されるため, 資本調達に より成果は直接影響される。 こ のような事実は各資本調達方法に対して企業資産に関連し て示される。 自己金融は貨幣面では決して成果を制約しない。 自己資本調達は実践上制約 しないが, 他人資本調達は貨幣面で成果を制約しうる。 とりわけ, 短い信用期限と期限な しの信用の存在では」 137) と述べている。 こ のような事実を踏まえて, ヘ グナ ー は,総合作用について,「純粋な経営経済的な観点 では自己金融 の良い判定をわれわれは得た。 全く, 純粋な経営経済的な観点では, 自己金 融を最良の資本調達方法とみなし, 自己金融の 増加を企業が努力した結果と考えるべきで ある。 つまり, できるだけ大規模な利益部分を留保し, これを企業危険に対応した準備金. 134) 135) 136) 137). Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.81. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.82. Vgl. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.83.; Zentner, G.: Liq uiditatsp roblem. S.96. Hegner, F. Selbstfinanzierung. S.84.. -142 (142 )-.
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