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新しい強化ガラス用応力測定機の開発

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Academic year: 2021

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1.はじめに

 スマートフォーンや、タブレットなどに代表 される携帯用電子機器の表示部は、タッチ操作 や、落下で破損しないように化学強化ガラスが カバーガラスとして使われています。そのカバ ーガラスはさらに強度を高くするために、ガラ ス組成や化学強化方法の改良が進められてお り、そのために、化学強化で形成される表面の 応力層の応力分布を正確に把握する必要があり ます。  当社では 2016 年に、従来からの化学強化ガラ ス用表面応力計 Fsm6000(以後 Fsm と表記)の 解析ソフトを改良し、応力分布が測定できるよ うになっています。しかし、この Fsm は化学強 化層に形成される導波光を利用するもので、導 波光が発生しない化学強化ガラスもあり、その ため、全ての強化ガラスで測定が可能な散乱光 光弾性効果を利用した強化ガラス用応力測定器 Slp1000(以後 Slp と表記)を開発、商品化しま した。(図 1:本体写真) 〒 170-0013 東京都豊島区東池袋 5-47-15 TEL  03-3985-9531 FAX  03-3985-9532 E-mail:[email protected]

新製品・新技術紹介

新しい強化ガラス用応力測定機の開発

(有)折原製作所

折原 秀治

Development of new stress measuring instrument for strengthening glass

Shuji Orihara

ORIHARA INDUSTRIAL CO.,LTD

これらの測定装置は AGC 株式会社様にイオン 濃度測定結果などとの比較による検証をしてい ただいています。1 ) 2 )

2.原理

 散乱光光弾性効果を利用したガラス内部の応 力測定法は古くから知られており、測定装置の 商品化の例もいくつかあります。しかし、ガラ ス表面付近のみに応力層を形成する化学強化ガ ラス用の応力測定装置は実用化されていません でした。  しかし、近年、高性能なレーザー光源、撮像 素子、PC などが、安価に入手できるようにな り、それらを最大限利用することで、化学強化 ガラスの表面から数 10 〜数 100um の層の応力 図1 本体写真(Slp1000) 54

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分布を正確に測定できるようになりました。  散乱光光弾性効果とは、レイリー散乱におけ る散乱光強度が散乱元の光の偏光状態で変化す る事と、応力により複屈折を起こす光弾性効果 を利用したものです。図 2 を使い今回開発した 応力測定装置の具体的な測定方法を説明しま す。  レーザー光源からのレーザー光を液晶可変リ ターダで時間的連続にリタデーションを可変さ せ、そのレーザー光をプリズムを通して被測定 ガラスに入射する。被測定ガラス中のレーザー 光による散乱光をカメラで動画として画像を取 得し、PC により画像処理、計算処理を行い、ガ ラス表面から深さ方向の応力分布を算出するも のです。  図 3 はガラス中のレーザー散乱光像の写真 で、右上から被測定ガラスに入射されています。 空間分解能(深さ分解能)はレーザー光のビー ム径で決まるため、そのレーザー光は応力が一 番変化するガラス表面付近に最小ビーム径にな るよう調整され、その部分の空間分解能は約 10um です。 図2 測定方法の概略図 図3 散乱光画像

3.特徴

 下記は Fsm、Slp それぞれの特徴をまとめた ものです。 Fsm の特徴  ◎最表面の応力値は高精度。  ◎操作が容易。  △ 屈折率分布が表面ほど高くなる強化法に限る。  △曲面ガラスへの対応が難しい。 Slp の特徴  ◎屈折率分布に依存しない。  ◎曲面ガラスへの対応が容易。  ◎ピンポイントで測定できる。  △測定時間がやや長い。(現状約 10 秒)  △空間分解能がやや低い。(現状約 10um)  △最表面層の応力値は精度が落ちる。  それぞれの特徴はお互いに相反する内容も多 く、両方の測定手段を使い分けることで、より 幅広く強化ガラスの応力分布を測定することが 可能になります。

4.測定例

4 - 1  Slp での測定例  図 4 は Fsm、Slp での比較のために、両方で 測定可能なナトリウム・アルミノシリケートガ ラスで、Na を K に置換した化学強化ガラスの 測定結果です。両方の測定結果が非常に良く一 図4 測定例 FsmとSlpの比較 55

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致しているのが分かります。  図 5 はリチウム・アルミノシリケートガラス で、Li を Na に置換した化学強化ガラスの測定 例です。この化学強化ガラスは導波光は全く形 成されず、Fsm では測定ができませんが、Slp では測定が可能です。  図 6 は物理強化ガラスの測定例です。物理強 化ガラスは厚みが厚いために、Slp で測定可能 な範囲では、ほぼ直線的な分布です。また、Fsm と異なり、フロートガラスのガス面、スズ面の 両面を測定することが可能です。 図6 測定例 物理強化ガラス 図7 測定例 Fsm+Slp 図5 測定例 リチウム・アルミノシリケートガラス 4 - 2  Fsm + Slp の測定例  近年、リチウム・アルミノシリケートガラス で、深い部分を Na に浅い部分を K に置換し、 表面は浅く強く、深い部分は深く弱く強化層を 形成する方法が開発されています。このような ガラスでは Slp の空間分解能(約 10um)より 浅い領域で急激な応力変化をするために、表面 付近では正確な応力が測定できません。一方、 表面付近は K に置換されているために、その部 分においては Fsm での測定が可能です。そのよ うなガラスでは、表面付近を Fsm、深い部分を Slp で測定し、それぞれのデータを合成し全体 の応力分布を得ることもできます。図 7 はその 例で、グラフ中長点線が Slp、短点線が Fsm、 実線が合成後の応力分布です。

5.今後の性能向上

 この Slp は開発を始めてまだ 3 年程度であ り、ハード、ソフト面とも改善すべき点はまだ 多く残っています。  レーザー波長の短波長化、カメラレンズの大 口径化、カメラの高速化などにより、空間分解 能、精度、再現性の向上ができ、測定時間短縮 56

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化なども可能であることが分かってきていま す。今後これらの改善を商品に取り入れ、性能 向上を図っていく所存です。

6.さいごに

 ユーザー様から測定の難しいサンプルを提供 していただくことが、測定装置開発の原動力に なっています。もし、測定でお困りのガラスが ありましたら、微力ながら最大限測定ができる よう挑戦していきますので、是非、当社にご相 談ください。  また、評価用のガラスサンプルのご提供、及 び、装置のご評価に多大なご協力をいただいた AGC 株式会社様に深く感謝申し上げます。

7.参考文献

1 ) K.Akatsuka,S.Ogami,S.Ohara and S.Orihara, J.Ceram.Soc.Jpa.,124,S7-S11( 2016 ) 2 ) S.Inaba,S.Ogami,S Orihara and Y.Orihara,J.

Ceram.Soc.Jpa.,125[11]814-820 (2017)

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参照

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