●
●
平成
28年
度
修 士論文
AACに
お ける
ASD児
と支援者 の
岨齢 の解消を志 向 した
意思把握 スキル獲得支援 プ ログラムの
開発 に向けた検討
兵庫教育大学大学院
学校教育研 究科
教育 内容・ 方法 開発 専攻
行動 開発 系教育 コース
M[15203B
青木遥香
●
内容
第 1章 は じめに 。… … … …… … … … …… … … … …… ¨… … … …… … … …… … … …… … … …11.1.研
究の背景.……… … … … …… … ……… … … …… … … … …… … … …… …… …… ……11.2.研
究の 目的.…¨… …… …… … … ………… … ……… …… … … ¨… … … …… ¨… …… ……5 第2章
支援者 が推測可能 な接続文節 の分析.…… … … ………… …… … … …… ……… … ……22.1.方
法.…… … …… … …… … … … …… … … …… …… ¨… …… … … …… … … … ……22.2.結
果.…… … … ……3 2.3. 考察.¨¨¨¨¨………¨¨¨………¨……・・・・………¨¨¨¨¨………¨¨¨……¨¨"¨¨¨¨¨6 第3章
Webコ
ーパスを用いた接続文節 の収集.…… … … …… ……83.1.解
析 プ ログラムの準備.…… … … …… … …… … …… …… … … …83.2.接
続単語 の リス ト作成.…… … … …・13 第4章
収集 した接続文節の比較.…… … … … …… … … … …… … …… … …… … ¨… …… … … … …154.1.接
続文節 の個数 の観 点か らの検討 .…… … …… …… … … … ¨… … … …… … … …… … … …154.2.接
続文節 の種類数の観 点か らの検討.…… … … …184.3.Webコ
ーパ スが収集 した接続単語 の妥 当性 に関す る検討.…… … … …・19 第5章 仮説 の検証 を 目的 としたシステム構築.…… … … …… …… …… …… …225.1.シ
ステ ムの概要.…… … ¨… … … …… … … …… … …… …… … … ……225.2.シ
ステ ム操作の流れ.…… …… … … …… … … ¨… … … ¨… … … … …23 第6章
システ ムを用いた仮説 の検証.…… … … …276.1.方
法.…… … … …… …… … … ¨… … … ¨… … … …… ……… … … … …276.2.結
果 と考察.……… … … … …… … …… …… …… … … …… …… … … …296.3.検
証実験 を通 した考察.…… … … …… … … … …… …… … … …… … … …… … … … …55 第7章 結論 と今後 の課題.……… … … …… … …… … … …… … … …… … … …… … … 56 7.1. 結論。¨¨¨…・・¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨……¨……¨¨………¨………¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨¨………¨………567.2.今
後の課題.…… … …… …… …… … … …… … … …… … … …… …… … … …56 参考文献.……… …… … … …… ¨… ¨… …… …… …… …… …… …… … … …… … … …58 謝辞.¨¨.¨¨¨¨¨¨¨¨…¨………・¨¨¨¨¨¨¨¨…………¨¨・¨……¨¨¨・¨¨¨・………・¨¨¨………・¨¨…¨………58第
1章
は じめに
1.1.研
究 の背景
自閉症 スペ ク トラム
(Autism Spectrum DisordeL以
下ASDと
す る)は
Wing
ら(1991)に よつて提案 され た概 念 で あ り
,自
閉症 や ア スペ ル ガー症候 群 な ど,別
の 障害 とされ てい た もの を一 つ の連続 体 と して整 理 した分 類 で あ る。 ア メ リカ精神 医学学会 (DSM‐V)で
は,ASDの
診 断基 準 と して以下 の上位 項 目2点
,下
位 項 目7項
を挙 げてい る。 ①:社会 的 コ ミュニ ケー シ ョンお よび相 互 関係 にお け る持 続 的障害 (以下 の3点
で示 され る)1.社
会 的・情 緒 的 な相 互 関係 の障害.2.他
者 との交 流 に用 い られ る非 言語 的 コ ミュニ ケー シ ョン (ノ ンバ ーバル・ コ ミュニ ケー シ ョン)の
障害.3.年
齢 相応 の対 人 関係 性 の発 達や維 持 の障害. ②:限
定 され た反 復す る様 式 の行動,興
味,活
動 (以下 の2点
以 上 の特 徴 で示 され る) 第 1章 常 同的 で反復 的 な運動 動 作や 物 体 の使 用,あ
るい は話 し方 第2章同一性 へ の こだ わ り,
日常動 作へ の融 通 の効 か ない執着,言
語・ 非 言語 上 の儀 式 的な行動 パ ター ン. 第3章集 中度・ 焦 点 づ けが異 常 に強 くて 限定 的 で あ り,固
定 され た興 味 が あ る。 第4章感 覚入 力 に対す る敏 感 性 あ るいは鈍感性,あ
るい は感 覚 に関す る環境 に対 す る普 通以上 の関心 。ASDは
これ らの特徴 が何 らか の か た ちで組 み合 わ さって表れ る障害 で あ り,重
複 して い る知 的障 害 の程 度,周
囲 の環 境 等 に よつて表 れ 方 は様 々 で あ る。 つ ま りASDと
い つて も,そ
の性 質 は個 々で大 き く異 な る。ASDの
児童 生徒 (以下,ASD
児 とす る
)に
多 く見 られ る不適応 行 動 (他人 をつ ね る,自
分 自身 を噛む,身
体 を前 後 に揺 らす,手
をひ らひ らさせ るな ど,そ
の場 に適 して い ない行動)は
,こ
れ らの 特性 が原 因 で 引 き起 こ され た可能性 が あ る。そ の た め,ASD児
の支援 を行 う際,ASD児
の支援 に携 わ る者 (以下,支
援者 とす る)が
個別 で異 な る特性 を十 分理解 す る必 要 が あ る.実
際,廣
瀬(2003)は
,授
業 中や 生活 場 面 にお け る行動 の 問題 は,ASD児
の学 力 の 高低 に 関係 な く学 級 担 任 が対応 に苦 慮 して い る と述 べ てお りASD児
へ の指 導 に困難 さを抱 えてい る支援者 は多い と考 え られ る。徳永 (2007) は,ASDの
特 性 を理 解 しつつ そ の特 性 に応 じた指 導 を組 織 で展 開す る こ との重 要 性 を指摘 してお り,支
援者 は これ らのASD児
個 々の障害 特性 や 家庭 環境 や 性 格 等 の個 人 因子 を考慮 した うえで,ASD児
とコ ミュニ ケー シ ョンを行 うこ とが重 要 で あ る。 佐 々木(2003)は,TEACCHで
は コ ミュニ ケー シ ョンを受容性 コ ミュニ ケー シ ョ ン と表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンの二つ にわ け られ てい る と して い る.受 容性 コ ミュ ニ ケー シ ョンは,相
手 か ら情報 を受 け取 る もので,表
出性 コ ミュニ ケー シ ョンは 自 ら表 出 した い意 思 を相 手 に伝 え る もの で あ る。本研 究 で は コ ミュニ ケー シ ョンを こ れ らの2つ
にわ けて検 討 してい く。 従 来 の支援 で は,支
援 者 か らの一方 的 な コ ミュニ ケー シ ョン,す
なわ ち障 害 当事 者 に とつて は受容性 コ ミュニケー シ ョンが 中心 で行 われ て きた.し
か し,近
年 は障 害 当事者 の表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンを 中心 に据 えた考 え方 や 支援 。指 導 が取 り入 れ られ るよ うにな つて きて い る。障害 当事者 に よ る意 思決 定や 意 思表 出な ど,表
出 性 コ ミュニ ケー シ ョンの重 要 さが先 行研 究 にお い て指 摘 され て お り(Holburn&
Vietze,2002).ASD児
のQOL(Quality Of Life)を
高 め る とい う観 点 か らも,支
援者 には障 害 当事者 の表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンに着 目す る こ とが求 め られ て い る。
この よ うな背 景 か ら近 年
,拡
大 。代 替 コ ミュニ ケー シ ョン(Augmentative&
Alternative Communication,以
下AACと
す る)の
考 え方 が近 年急速 に普及 してい る。
AACと
は,何
らか の理 由で コ ミュニ ケー シ ョン障害 を もつ人 に対 して,身
振 りや サイ ン,図
形 シ ンボル,コ
ミュニ ケー シ ョン機器 を使 用 した多面的 なア プ ロ ー チ で,そ
れ らに よ りそ の障害 を補 償 しよ うとす る もので あ る。金森(2006)は
, 「障害児者 の社会参加 や活動 の場 を拡 大 し,生
活 の質全般 を 向上 させ る上 で,AAC
の概 念 は欠 かす こ とが で きない。」 と述 べ て い る.Kagohara(2013)は
,AACア
プ リケー シ ョンが発 達 障 害 の あ る児 童 の コ ミュニ ケー シ ョン能 力 の拡 大 に有 効 で あ る と報告 し,AACに
お け る コ ミュニ ケー シ ョンの効果 も確 認 され てい る。 これ ら か ら,障
害 に よる困難 さを克服す るので はな く,AACの
概 念 の よ うに代 替機 能 を 獲 得 し表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンを充 実 させ る こ とがASD児
のQOLを
高 め る と い う観 点 におい て も必 要 で あ る と考 え られ る。この こ とは
,平
成28年
4月
よ り施行 され た障害者 基本 法第3条
にお い て,「全 て 障 害者 は,可
能 な限 り,言
語 (手話 を含 む 。)そ
の他 の意 思疎 通 の た めの手段 につ い て の選択 の機 会 が確 保 され る と ともに,情 報 の取得 又 は利 用 のた めの手段 につ い て の選 択 の機 会 の拡 大 が 図 られ る こ と」 と言 及 され てお り,
同月 よ り施 行 され た 障害者 差別 解 消法 にお い て も「障害者 か ら現 に社 会 的 障壁 の除去 を必 要 と して い る 旨の意 思 の表 明が あつた場 合,そ
の実施 に伴 う負 担 が過 重 で ない ときは,障
害者 の 権利 利 益 を侵 害す る こ と とな らない よ う,当
該 障 害者 の性 別,年
齢 及 び 障 害 の状 態 に応 じて,社会 的障壁 の除去 の実施 につ い て必 要 かつ合 理 的 な配 慮 を しな けれ ばな らない」と記述 され て い る こ とか ら,表
出性 コ ミュニ ケー シ ョンの観 点 で も合理 的 配慮 の提供 が求 め られ る よ うにな る場 面 が増 え る こ とが想 定 され る。以 上 の背 景 か ら,ASD児
を支援す る現場 にお いて適切 な コ ミュニ ケー シ ョン手段 の確 保 は喫緊 の課 題 とい える. 本研 究 で はAACの
観 点 で広 く利 用 され て い る,シ
ンボル を用 い た コ ミュニ ケー シ ョンに着 目す る。 シ ンボル はASD児
に とつて視 覚 的 に理解 しや す く,シ
ンボル を用 い た コ ミュニ ケー シ ョン (以下 シ ンボル コ ミュニ ケー シ ョン とす る)の
有効性 につ い て は藤 沢(2004)な ど,こ
れ まで に数 多 く報 告 され てお り,本
研 究 が対 象 とす る表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンの観 点 か らも有効 で あ る と考 え られ る.な
お,複
数 の シ ンボル を使用 して,二
語 以上 の文章 の作成 を学 習 させ る こ とが,意
思表 出 とい う観 点 で は有 用 で あ るが,習得 す るまで に
PECS(Picture Exchange Communication
System:絵
カー ド交換 式 コ ミュニ ケー シ ョン システ ム)な
どに代表 され る専 門的 なプ ログラムで長期 間取 り組 む必 要 が あ る こ とか ら,本 研 究 で は シ ンボル に よる二 語 以 上 で構 成 され る文 に関 して は検討 せ ず ,一 語 文 での表 出性 コ ミュニケー シ ョン を対 象 とす る。 シ ンボル コ ミュニ ケー シ ョン とい う観 点 で,ASD児
の表 出性 コ ミュニ ケー シ ョ ンを成 立 させ るた めには,二
点 の条件 を満 たす必 要 が あ る。 一 点 目は支援者 がASD児
の表 出性 コ ミュニ ケー シ ョン を促 す た めの適 切 な シ ン ボル を確保 し,提
供す る こ とで あ る。ASD児
が使 用 したい シ ンボル がそ もそ も選 択 肢 と して用意 され て い な けれ ば,表 出性 コ ミュニケー シ ョンを促 す こ とが で きな い。 また,ASD児
は シ ンボル の選択 にか か る認 知 的負 荷 が高 い た め,シ
ンボル が 多 く用意 され てい るだ けで あ る と,選
択す る こ とが 出来 ない 。二点 目は
,ASD児
が シ ンボル を用 いて表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンを行 つて きた 際 に,相
手 の意 思 を シ ンボル か ら把握 す る こ とで あ る。意 思 を表 出す る と欲 求 が満 た され る経 験 が乏 しけれ ば,ASD児
は表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンを行 うこ とがで きない 。また,そ
の状 態 にお いて は,シ
ンボル を提 示 して も欲 求 が満 た され ない と い う誤 学習 を誘 発 し,シ
ンボル に対す る無 関心 (も しくは拒 否)状
態 に陥 る可能性 す らあ るた め,ASD児
の意 思 をlll嬬な く読 み取 る こ とが支援者 に求 め られ る。 そ こで,提
示 され た シ ンボル か らASD児
が表 出 したい意 思 につ い て把 握 す るス キル を意 思把握 ス キル と定義す る。意 思把握 ス キル を,ASD児
が表 出 したい意 思 をシ ンボル か ら推 測す るフ ェー ズ (意思推 測 フ ェー ズ)と
,推
測 の是非 につ い て,ASD児
に シ ンボル を用 い て質 問す る フェー ズ (意思確認 フ ェー ズ)の
2種
類 で構 成 され る と仮 定 し,本 稿 で は第 一段 階 と して意 思推 測 フェー ズ につ い て検討 す るこ とと した。 意 思推 測 フェー ズ で は,ASD児
が表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンのた め に シンボル を支援者 に提示 して きた際,支
援 者 は シ ンボル か らASD児
が表 出 した い意 思 を推 測す る こ とが必 要 とな る。例 を挙 げ る と,「 食 べ る」 の シ ンボル が提 示 され た場合 にお いて は,シ
ンボル の 内容 を 「食 べ た い」 と解 釈 し,「 ごはん を」「給食 を」「友 だ ち と」な どの語 を補 つて意 思 を推 測 す る こ とが求 め られ るで あ ろ うし,「 りん ご」 の シ ンボル を提 示 され た場 合 にお いて は,り ん ごだ けで は何 を求 め られ てい るのか はわ か らない ので ,「 食 べ たい」「ほ しい」「遊 び た い」 な どの語 を補 って意 思 を推 測す る こ とが求 め られ るで あ ろ う。 この よ うに,提
示 され た シ ンボル か らASD児
の意 思 を推 測す る作 業 自体 は必ず 発 生す る もので あ るが,支
援者 が推 測 を怠 つた り間違 つた りしてASD児
が表 出 し たい意 思 を決 めつ けて しま うと,ASD児
と支援者 の考 えに離嬬 が発 生 して しまい, 結果 と して,表
出性 コ ミュニケー シ ョンの機 会 を失 うこ とに もな りかね ない。 そ こで,主 観 が入 つた り甑齢 が発 生 した りす る要 因 につ い て検討 す る過 程 の 中で, 支援者 が特 定 の シ ンボル か ら想 起 可能 な意 思 の レパ ー トリが 限定 的 な点 に着 日 し た.言
い換 え る と,シ
ンボル が示す 内容 を単語 に置 き換 えた場合,単
語 に接続 す る 文節 (以降,接
続 文節 とす る)の
レパ ー トリが少 ない とい え る。逆 に接続 文節 の レ パー トリが 多 くなれ ば多 くな るほ ど,よ り多 面的 な意 思推 測 が可能 とな る と考 えた。1.2.研
究 の 目的
以上 の背景 か ら,意 思把握 ス キル 獲 得 を志 向 した プ ロ グ ラムの 開発 を 目指す 中で, 本 稿 で は,意 思 推測 フェー ズ を対 象 と した支援者 向 けプ ログ ラム につ い て検 討 す る こ とを 目的 とす る。 検討 項 目は以 下 の2点
で あ る.1点
日は,支
援 者 に接 続 文節 を可能 な限 り推 測 さ せ た うえで,Webコ
ー パ スか ら収集 した接続 文節 を比較 す る こ とで,支
援 者 が推 測 可能 な接 続 文節 の レパー トリが 限定 的 で あ る点 につ い て 明 らか にす る と ともに, プ ログ ラム につ い て今 後検 討・開発 を進 め る こ との意 義 につ いて確認 す る こ とで あ る。2点
日は,支
援 者 に 自 らの接 続 文節 の レパ ー トリが限 定 的 で あ る こ とに対 して 気 づ きを促 す こ とが,接
続 文節 の レパ ー トリを増 やす,す
な わ ち支援 者 が特 定 の シ ンボル か ら想 起 可 能 な意 思 の レパ ー トリを増 や す こ とに対 す る意 識 づ け に な る と い う仮 説 の確 証 を得 る こ とで あ る。本 稿 で は これ らの点 につ いて確認 す べ く,支
援 者 の 中で も意 思 把 握 ス キル につ い て意 識 した経 験 が 浅 い で あ ろ う教 員 養 成 大 学 の 学 生 を対象 に調 査 を実施 した。 本 論 文 は以 下 の構成 とす る。まず,支
援者 が推 測 可能 な接 続 文節 の レパ ー トリが 限定 的 で あ る可能性 につ い て確認 すべ く,第2章
で支援 者 が推 測 した接 続 文節 の傾 向 につ いて分析 し,第
3章
で はWebコ
ーパ スで収集 した接 続 文節 を分析 した うえ で,第
4章
で両者 につ いて比較 した結果 につ い て報告す る。次 に,支
援 者 に 自 らの 接続 文節 の レパ ー トリが限定 的 で あ る こ とに対 して気 づ きを促 す こ とが ,接 続 文節 の レパ ー トリを増や す ,す なわ ち支援 者 が特 定 の シンボル か ら想 起 可能 な意 思 の レ パ ー トリを増やす こ とに対す る意識 づ けにな る とい う仮説 について検証す べ く,第5章
で仮説 の検 証 を 目的 に開発 した システ ムの概 要 につ いて説 明 し,第6章
で シス テ ム を用 いて仮説 を検 証 した結 果 につ い て報告す る。最 後 に第7章
で結論 と今 後 の 課題 につ いて述 べ る.第2章
支援者 が推測可能 な接続 文節 の分析
支 援 者 が推 測 可能 な接 続 文節 の レパ ー トリが 限 定 的 で あ る可能 性 につ い て確 認 す べ く,支
援者 が推 測 した接 続 文節 の傾 向 につ い て分析 し,Webコ
ー パ スで収集 した接 続 文節 を分 析 した うえで,両者 につ い て比較す る。比 較 に先 立 ち,本 章 で は, 支援 者 が推 測可能 な接 続 文節 の傾 向 を把握 し,分
析す る こ とを 目的 とす る。2.1.方
法
教 員養 成 大学 の大学 生 。大学 院 生10名
(A∼J)を
被 験者 と した 。被 験者 は学部 の講 義 の 中で発 達 障害 に関す る知識 を得 てお り,ま
た小 学校 (通常学級)で
の教 育 実 習 を少 な くとも4週
間経 験 してい る. 分析 対象 の語 の選 出の た め に,シ ンボル を用 い た コ ミュニ ケー シ ョンで多 く利 用され て い る
PIC(Pictogram ldeogram Communication)(オ
フ ィス・ ス ロー ライ フ2006)を使 用 した
.PICは
ユ ニバ ー サル コ ミュニ ケー シ ョンを 目的 として作成 され, シ ンボル は1379個
提 供 され てお り,一
部 の シ ンボル はJIS絵
記 号 と して登録 され て い る。PICは
具 体 的 な事物 や 対象物 を表 すPictogramと
,抽
象 的 な概 念や 動 き を表すIdeOgramに
よ り構 成 され てい る。PICシ
ンボル よ り,表
出性 コ ミュニ ケー シ ョン とい う観 点 で使 用 可能 な シ ンボル を抽 出 した 。PICを
用 い た シ ンボル コ ミ ュニ ケー シ ョンは藤 沢 ら(2007)や 小林 (2009)な ど多 くの報 告 が な され てお り,実
践 的 に使 用 が可能 で あ る とい え る. まずPICの
シ ンボル の 中か ら,表
出性 コ ミュニ ケー シ ョンの観 点 で使 用 可能 な もの を抽 出 した。結果 ,「 動詞 」「名詞 」「感 情 を示す形 容詞 」 の3点
につ いて抽 出 した。「動詞 」 は,「 食 べ る」「寝 る」 な ど,
自身 の要求 や欲 求 を示す 行 為 と捉 え る こ とが で き る。「名 詞 」 は,「 ごはん」「 りん ご」 な ど,要
求や 欲 求 を示 す行 為 の対 象 を指 した もので あ る と考 え られ る。「感 情 を示す形 容詞 」は,「嬉 しい」「悲 しい」 な ど,当
事者 が表 出 したい感 情 を示 した もので あ る とい え る。 以上 の3点
の中か ら,本
稿 で は調 査対 象 を 「動詞 」 と した.理
由は,行
為 の対象 か ら想 像 され うる動詞 が 限 られ る「名 詞 」お よび「感 情 を示す形 容詞 」とは異 な り, 「動詞」が示す シンボル は行為 が対象 とす る事物 が不 明確 であ り,推
測 され る接続 文節 が多義 にわた る と考 え られ ,意 思把握 ス キル の有 無 に よる影 響 が大 きい と考 えた 。次 に
,シ
ンボル の語 が 「∼ した い」 と変換 で き る もの が表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンの観 点 で妥 当で あ る と考 え,動
詞 の シ ンボル の 中か ら,「 ∼ した い」 と接続 す る こ とがで き る意 志動詞 に変換 可能 な もの を抽 出 した。さ らに,特
別 支援 学校 の知 的障害児 に対 して設 定 され て い る教 科 と領 域 を合 わせ た 「日常生活 の指導 」「遊 び の指 導 」「生 活 単 元 学 習 」 にお い て指 導 され て い る内容 を,国
立 特 別 支 援 研 究 所(2006,2011)か
ら抽 出 し前述 の シ ンボル と照合 させ 「遊 ぶ 」「買 う」「食 べ る」を 選 出 した 。これ らを意 志動詞 に変換 した 「遊 び た い」「買 いた い」「食 べ た い」を本 研 究 の分析 対象語 と した。 接続 文節 の収集 は調 査用紙 へ の記述 に よ り実施 した。被 験者 に は表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンに困難 さを持 つASD児
に対 して支援 を行 うこ とを想 定 させ た うえで, 前述 の3種
類 の シ ンボル とシ ンボル が示 す意 志動詞 を提 示 し,制
限 時 間で あ る 15 分 の時 間内で可能 な限 り記 述 させ た。記述 す る内容 は,例えば「食 べ たい」の場合, 「ご飯 を」や 「一緒 に」 とい つた接続 文節 を被験者 の可能 な限 り列挙 させ る。ただ し,「 食 べ た い」 に対 して 「おや つ を」や 「ラー メ ンを」 な どの よ うに食 べ物 に関 す る属性 の語 しか想 起 で きない な ど,被 験者 か ら同一属性 の語 しか想 起 で きない 旨 の質 問 が あ つた場 合,当
該接 続 文節 につ い て は途 中で 中断す る よ うに指 示 した.ま
た,特
定 の児童 生徒 を想 起す る必 要性 や,具
体 的 な場 面 を想 起す る必 要性 につ いて 質 問 され た 際 には,想
起す る必 要 が ない 旨,被
験者 に指 示 した。 次 に,被
験者 が記述 したす べ て の接 続 文節 につ いて形 態 素解 析 を実施 した。形 態 素解析 には 日本語 形 態 素解 析 システ ムで あ るMecab(工
藤 ほか2004)を
使 用 した。 形 態素解 析 した接 続 文節 は,接
続 文節 の末尾 の単語 (以下,接
続 単語 とす る)別
に 分類 した。例 えば「お に ぎ りを食 べ たい」とい う文章 の場 合,接
続 文節 に あた る「お に ぎ りを」を形 態 素解 析 し,「お に ぎ り」「を」の末尾 にあた る 「を」が接続 単語 に 該 当す る.2.2.結
果
被験者 か ら収集 した接続 文節 につ い て,分 析対 象語別 に分類 した結果 を表1∼
表3に
示す 。なお,表 2に
お いて,「飲 み物 (買いた い)」 「ゲー ム (買い たい)」 な ど, 接続 単語 と しては異 な る ものの属性 が 同 じで あ る ものが存在 したた め,これ らを変数 とみ な し
,同
一 の接 続 単語 「商 品」 と して処理 してい る。 また,表
3の
「ご飯 」 「お に ぎ り」は,ご
飯 を食 べ物 と解釈 した場合 は 同様 に 同一 属性 とな るが,ご
飯 を 食事 と捉 えた場合,属
性 が異 な る.そ
の た め,今
回 は 「ご飯 」 と 「お に ぎ り」は別 の接続 単語 と して分類 して い る。 以 下 ,「 遊 び たい」「買 いた い」「食 べ たい」 の分析 対象 語 別 に,被
験者 の傾 向 に つ い て述 べ る.遊 びた い
「遊 び たい」(表1)に
記述 され た接続 文節 の総数 は64語
で あ つた 。被 験者 別 に み る と,接
続 文節 の総数 はIの
11個
が最 大 で,最
小 はEの
3個
で あ つた。平均値 は6.4個
,中
央値 は5.5個
,最
頻値 は4個
で あ つた。接 続 文節 の種 類 数 は,A,H
の5種
類 が最大 で,最
小 はB,C,Fの
2種
類 で あ つた。 ま た,接
続 単語 と して は 「で」お よび 「と」 に集 中す る傾 向がみ られ,51.6%,21.9%で
あ つた. 被 験者Gは
「ゲー ムで」「お もちゃで」な ど,物
を指 し示 す 「で」 のみ の使 用 と な つてい る.ま
た,記
述す る こ とので きた接 続 文節 の数 に大 き く差 が あ る こ とが確 認 で き る.買 いプ
=い
「買いたい」(表2)に
記述 され た接続 文節 の総数 は47語
で あ つた。被 験者 の記 述 最 多 はIの
12個
,最
少 はGの
3個
で あ った.平
均 値 は6.4個
,中央値 は5.5個
, 最 頻値 は4個
で あ った。接 続 文節 の種 類 数 はA,Iの
5種
類 が最 大 で,最
小 は B,D,E,Jの
1種
類 で あ つた。また,接
続 単語 と しては 「を」お よび 「が」に集 中す る傾 向がみ られ,46.8%,23.4%で
あ つた. 被 験者B,D,Eは
「ゲー ム」「お もちゃ」「お か し」 な ど,購
入 した い商 品 を指 し示 す 「を」「が」のみ使 用 して記 述 して い る。また,被
験者Jは
助 詞 を使 用せ ず, 購 入 したい商 品 を羅列 して記述 してい た。また,記
述 す る こ とので きた接 続 文節 の 数 に大 き く差が あ る こ とが確認 で き る。食べ た い
まず ,「 食 べ たい」(表
3)に
記述 され た接続 文節 の総 数 は65語
で あ つた 。被 験 者 別 にみ る と,接
続 文節 の総数 はAの
14個
が最 大 で,最
小 はBの
3個
で あ つた. 平均 値 は6.5個
,中
央値 と最 頻値 は ともに5個
で あ つた 。接続 単語 の種類 数 は,A
とCの
5種
類 が最 大 で,最
小 はBと Eと
Jの 1種
類 で あ つた 。また,接
続 単語 と して は 「を」お よび 「が」 に集 中す る傾 向がみ られ,40.0%,23.1%で
あ った 。 被 験者B,E,」
は 「お か し」「給食 」「ご飯 」 な ど,食
べ たい対象や概 念 を指 し 示 す 「を」「が 」 のみ使 用 して記 述 して い る.ま
た,被
験者Jは
助詞 を使 用せ ず, 購 入 したい 商品 を羅列 して記 述 して い た 。また,記
述 す る こ とので きた接 続 文節 の 数 に大 き く差 が あ る こ とが確認 で き る。 表1
被 験 者 が 記 述 した 「遊 びた い」 の 接続 単 語 で と て に △ 後 で 明 日 す ぐ か ら 計 A 5 2 1 1 1 10 B 1 3 4 C 3 1 4 D 3 2 2 1 8 E 3 F 3 3 6 G 4 4 H 1 5 1 6 3 2 」 6 2 1 9 計 33 14 9 3 1 1 1 64 接続単語/総数 51.6% 21.9% 14.1% 4.7% 1.6% 1.6% 1.6% 1.6% 1.6% 100.0% 表2
被 験 者 が記 述 した 「 買 いた い」 の 接 続 単 語を 力` で 商 品 :こ か ち と て は やっぱt 計 A 1 1 1 1 B 4 4 C 4 D 5 E F 2 1 G 1 3 H 1 4 I 5 1 1 12 」 6 計 22 2 2 1 1 1 1 ′ , 接続単暦/総数 46.8% 23.4% 12.8% 0.0% 4.3% 4.3% 2.1% 2.1% 2.1% 2.196 100.0% 表
3被
験 者 が記 述 した「食 べたい」の接 続 単 語2.3.考
察
3つ
の分析 対象語 に共 通す る点 と して2点
確認 で きた。1点
目は,全
体 的 な接 続 文節 の記述 数 の少 な さで あ る。1語
につ き10個
を超 え る接続 単語 を記述 した被 験者 はAと
Iの 2名
のみ で あ つた。特 定 の分析 対象語 に 対 し,接
続 文節 を3語
しか推 測 で きて い ない ケー ス も散 見 され る こ とか ら。多 くの 被 験者 が接 続 文節 の推 測 に負 担感 や 困難感 を抱 い て い る こ とが うかが え る。接 続 文 節 を多 く記述 で き る こ とが,必
ず しもASD児
の意 思 を推 測す るス キル に直結 す る わ けで はないが,逆
に推 測 可能 な接続 文節 の個数 を確 保 で きな けれ ば,ASD児
の 意 思 に合 致す る選 択肢 を提 示す る こ とが で きず,結
果 と して,ASD児
の表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンの機 会 を阻害す るこ と とな る. を ム ″ で ご飯 ヽら ム ″ ヽ っぱし もの ム ″ △ 明 日 と だけ 卜にぎl それ 計 A 5 4 B 3 3 C 1 1 1 1 1 5 D 1 1 5 E 5 5 F 2 1 5 G 2 1 1 1 5 H 2 1 6 1 」 7 計 6 3 2 1 1 i 1 1 接続単語/総敗 40 誂 92% 46% 46% 15% llXl劇2点
目は接 続 単語 の種 類 数 の少 な さで あ る。いずれ の分析 対象語 にお い て も,多
くて5種
類,少
ない もの は2種
類 以 下 で あ つた。接続 単語 の種類 数 の少 な さは,推
測 可能 な接 続 文節 の レパ ー トリの偏 りを示 す もの と捉 え る こ とが で き る。例 えば 「食べ たい」の シ ンボル を提示 され た際 に,「 りん ごを (食べ たい)」 「お菓子 を (食 べ たい)」 とい つた食 べ物 に偏 つて しまい,「 友 達 と (食べ たい)」 とい つた可能性 を想 起す る こ とが 出来 ない 。つ ま り,接
続 文節 に偏 りが 生 じる こ とに よ り,支
援者 が接続 文節 を誤 つて推 測す る リス クが高 ま る こ とが懸念 され る。 これ ら2点
よ り,支
援者 が推 測 可能 な接続 文節 が少 数 で あ つた り,接
続 単語 の レ パ ー トリが 限定 的 で あ つた りす る とい うこ とが確 認 で きた 。第
3章
Webコ
ーパス を用 いた接続 文節 の収集
第2章
で収集 した支援者 が推 測 す る接 続 文節 と比較 す るた め に,Webコ
ーパ ス か ら該 当語 の接 続 文節 を収集 す る こ と と した.Webコ
ーパ ス はWeb上
の言 葉 を無 作為 に抽 出す るた め,該
当す る接続 文節 の量 を確 保 し,種
類数 を網 羅 す る こ とがで き る と考 えたた めで あ る。3.1.解
析 プログラムの準備
Webコ
ーパ スか ら接 続 文節 を収集 す る こ とを 目的 に,コ
ー パ スか ら収集 したデー タを解 析 す るプ ログ ラム を
MicrOsoft Excel VBAで
準備 した 。形 態 素解 析 には,日本語 形 態 素解 析 システ ムで あ る
Mecab(工
藤 ほか2004)を
使 用 した。コーパ ス は筑波 ウェブ コー パ ス(NINJAL‐
LWPfor TWC)(筑
波 大学 ほか 2015)を使 用 した。Webコ
ーパ ス を用 い て該 当す る意 志 動詞 が含 まれ る文 を収集 した後 準備 したプ ログ ラム を用 い て,各
文 につ い て形 態 素解 析 を実施す る。使 用語 の頻度順 や使 用語 数 の割 合 な どを 自動 算 出で き る よ うに な つて い る. 以 下,プ
ログラム の概 要 と使 用 手順 を示 す 。まず 図1に
示す様 に,画
面 の 「接続 文節 」 の列 に筑波 ウェブ コーパ ス を用 い て 出力 した接続 文節 の一覧 を コ ピーす る。 解 析 ボ タ ンを押す と,図 2に
示 す様 に形態 素解 析 の結果 が 出力 され る。図2の
左 列1列
目が接続 文節 の一 覧, 3列
日以 降 が形 態 素解 析 の結果 を示す.接続語を入力してください。 「何: 疇 : これ│ 『何: ああ、: 力嗜」電,ゞ: アイスが: 色 。._: 図
1
入 力画 面量
:轟獅臨諄
:=「 │ 図2
形 態素解 析 結 果==:灘
壽
図
3
接 続 単語 ソー ト画 面鋤 `1 樹ガヤ: 「何: 何が: こ二十■: 『何: ああ、: 本当に: 駄 C: 何か: と力薄軍: これ発ヽ 焼肉が: アイスが: 魚しヽ・ : 何を: ああ: │ ‐ が : Tと赫
:
:
と まらが: :
赫 :轟: :
嘔T¬
も轟 :影 ― ′銹 図4
単語検索画 面 形 態 素解析 した後 に,接
続 単語 に あた る語 を収集・カ ウン トし,図
3に
示す よ う に,使
用頻度 順 に順位 付 け を行 う。 最 後 に,図 4の
太枠 部分 に検 索 したい接 続 単語 を入 力 し,再
度解 析 ボ タ ンを押す と,の
よ うに各接続 単語 の前 に接続 す る語 の ラ ンキ ン グが示 され る。…… … 1… … ■ 1曝
=曜
舞
=‥
:鞠
■‐ず
妻
予
I■
11
和食
: 'ア
イ
ス
_ 」 l a:ノ お1:ヮ■■. 図5
接 続 単 語 と接 続 語 一 覧 123.2.接
続 単語 の リス ト作 成
Webコ
ーパ スか ら収集 した接 続 文節 を形 態 素解 析 した結果 か ら,接
続 単語 の リ ス トを作成 す る。なお,Webコ
ーパ スか ら収集 した接 続 文節 は「食 べ た い」が5000
個 ,「 遊 び た い」 が1990個
,「 買 い た い」 が5000個
で あ った 。そ の 中か ら収集 し た接続 文節 内に句 読 点 お よび鍵 括 弧等 が あ つた場 合,不
要語 と して排 除 した。排 除 した不 要語 を表4に
示す 。不要物 を排 除 した結 果,表
5の
通 り「遊 び た い」の702
個 ,「 買いた い」 の1633個
,「 食 べ た い」 の1744個
とな り,こ
れ らを分析 対象 と した 。各語 の接 続 単語 の ラ ンキ ング上位20語
を表6に
示す 。 表4
不 要 語 一 覧 表5
接 続 単 語 リス トの接続 単 語 個 数 遊びたい ★ ☆ … ・ ● ○ ◇ ◆X=
<『
」「"∼
“ “ ∼│]:/
∼, , , **)(∼
∼ ∼ ― (空白) .:* . 炉tい =‐い ∼(()),,◆
―%%,:"「
」『 』 【 】>≫
□ ○ ● ・ … … ※./@[│「
“ 》「=■
→ ☆ (空白) 食べたいV∼
∼∼(空
白)()), , **._:*
/::∼
∼“ "「 「 ∼,]│“
」『 』<=X◇
〇 ● ・ … ★ 【 】 ◆ ☆ ― 個 数 「遊びたい」 702 「食 べたい」 1633 「 買 いたい」 1744表
6 Webコ
ー パ スか ら抽 出 した接続 単 語 (上位 15語) 遊 びたい 買 い■‐い 食 べたい 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 ヨ 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ と 267 18.36% を 1436 39.94% 力く 1037 28.83% で 264 18.16% で 319 8.87% を 655 18.21% に 192 13.20% が 211 5.87% も 257 7.14% て 131 9.01% に 4.98% に 196 5.45% は 63 4.33% は 4.76% で 171 4.75% 力 ' 53 3.65% も i50 4.17% は 82 2.28% も 42 2.89% 安 く 143 3.98% か 64 1.78% を 29 1.99% か ら 141 3.92% て 55 1.53% ま だ 24 1.65% と 80 2.23% ま た 50 1.39% もつと 21 1.44% た ら 66 1.84% と 35 0.97% たくさん 16 1.10% て 57 1.59% もう一 度 33 0.92% か ら 15 1.03% の 43 1.20% の 33 0.92% の 15 1.03% ば 35 0.97% たくさん 31 0.86% か ら 15 1.03% な ら ● ‘ 0.75% か ら 31 0.86% の 15 1.03% で も 26 0.72% 早 く 30 0.83% 14第4章
収集 した接続 文節 の比較
本 章 で は,被
験者 が推 測 した接 続 文節(2章
)とWebコ
ーパ スで収集 した接 続 文 節(3章
)につ い て,接
続 単語別 に整 理 して三点 の観 点 に基 づ い て比較 して考察 した 結果 につ い て述 べ る。4.1.接
続 文節 の個 数 の観 点か らの検 討
被 験者 か ら収集 した接続 文節 を接 続 単語 別 に分類 し,順 位 付 け を行 つた.さ らに, これ らをWebコ
ーパ スか ら収集 した接 続 単語 と比較 す る。以 下,分
析 対 象語 別 に 比較 結果 を述べ る。遊びたい
「遊 びたい」 の結果 を表7に
示す 。Webコ
ー パ スか ら収集 した接 続 単語 の使 用 頻度 が1位
の 「と(18.4%)」 は,被
験者 か ら収集 した接続 単語 で は66個
中14個
(21.9%)見
られ た。 また,2位
の 「で(18.2%)」 は66個
中34個
(51.6%)見
られ た. 買 い た い 「買いたい」 の結果 を表8に
示 す 。Webコ
ー パ スか ら収集 した接 続 単 語 の使 用 頻度 が1位
の 「を(39.94%)」 が,被
験者 か ら収集 した接 続 単語 で は54個
中22個
(40.7%)見 られ た.2位
の 「で(8.87%)」 が47個
中11個
(20。4%)見
られ た 。食べ た い
「食 べ たい」 の結果 を表9に
示す 。Webコ
ーパ スか ら収集 した接 続 単 語 の使 用 頻度 が1位
の 「が(28.9%)」 は,被
験者 か ら収集 した接 続 単語 で は65個
中17個
(26.2%)見 られ た。また,2位
の「を(18.21%)」 は65個
中24個
(36。9%)見
られ た。 以上 の結果 をま とめ る と,接
続 単語 別 に見 た接 続 文節 数 は,Webコ
ー パ ス上位 の接 続 単語 に集 中す る傾 向がみ られ,Webコ
ーパ スの上位2単
語 に限定す る と, いずれ の語 にお い て も,50%を
上 回 る接続 単語 が集 中 してい る こ とが分 か る。この 結果 は,被
験者 の接続 文節 の レパ ー トリが,特
定 の接 続 単語 に偏 る可能性 を示唆す る もの とい え る。表
7
「遊 び た い」 の 比較 遊びたい 被 験 者 Webコー パ ス(上位5語
) 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 合 接続 単 語使 用 語 数
使 用 割 合 で 34 53.1% と 267 18.36% と 14 21.9% で 264 18.16% をして 6 9.4% に 192 13.20% に 3 4.7% て 131 9.01% △ , 3 1.6% は 63 4.33% 明 日 1 1.6% 力` 53 3.65% 使 つて 1 1.6% も 42 2.89% 今すぐ 1 1.6% を 29 1.99% だか ら 1 1.6% ま だ 24 1.65% 帰 つて 1 1.6% もつと 21 1.44% じゃなくて 1 1.6% た<さん 16 1.10% か ら 15 1.03% の 15 1.03% か ら 15 1.03% の 15 1.03% 16
表 8 「 買 いた い」 の 比較 買 いたい 被 験 者 Webコーパス(上位 15語) 接 続 単 語 使 用 語 数 使 用割 合 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 合 を 22 40.7% を 1436 39.94% が 20.4% で 319 8.87% 名詞 のみ 7 13.0% 力` 211 5.87% で 6 11.1% に 179 4.98% か ら 2 3.7% は 4.76% と 1 1.9% も 150 4.17% は 1 1.9% 安 く 143 3.98% やつばり 1 1.9% か ら 141 3.92% すぐに 1 1.9% と 80 2.23% 行 つて 1 1.9% た ら 66 1.84% ために 1 1.9% て 57 1.59% の 43 1.20% ば 35 0.97% な ら 27 0.75% で も 26 0.72%
食 べたい 被 験 者 Webコーパス(上位 15語) 接続 単 語 使 用 語 数 使 用割 合 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 合 を 24 36.9% 力く 1037 28.83% が 26.2% を 655 18.21% 名詞 のみ 10.8% も 257 7.14% で 6 9.2% に 196 5.45% 何 か 3 4.6% で 4.75% お腹 いつぱい 2 3.1% は 82 2.28% か ら 2 3.1% か 64 1.78% と 1 1.5% て 55 1.53% △ 7 1 1.5% また 50 1.39% 明 日 1 1.5% と 35 0.97% 一 口だけ 1 1.5% もう一 度 33 0.92% の 33 0.92% たくさん 31 0.86% か ら 31 0.86% 早 く 30 0.83% 表
9
「食 べ た い」 の 比較4.2.接
続文節の種類数の観点か らの検討
Webコ
ー パ スで収 集 した接続 文節 にお け る接 続 単語 の種 類 数 と被 験 者 の記 述 最 大種類数 について表10に
示 す 。「食 べ たい」 が138種
類 で あつた の に対 し,被
験 者 の 中で最 も接続 単語 の種 類数 が多 か ったAが
5種
類 で あつた。同様 に,「遊 び た い」 はWebコ
ーパ スが245種
類 で あ るの に対 し,被
験者 の最 多 はAと
Hの
5種
類,「買 いた い」は
Webコ
ーパ スが種類 で あ るの に対 し,被
験者 の最 多 はAと
Iの
5種
類 で あ つた。被 験 者 に よつて は接 続 単語 が1種
類 しか存在 しない ケー ス もあつた。
以 上 の結果 よ り
,接
続 単語 の観 点 で捉 えた場 合 にお いて,被
験者 が推 測 可能 な接続 文節 の レパー トリが 限定的 で あ る とい う仮説 は妥 当で あ る可能性 が考 え られ る.
表
10
接 続 単 語 の種 類 数 Webコー パ ス 被 験 者 の記 述 最 大 種 類 数 「遊びたい」 138 5 「食べたい」 245 5 「F尋いチ =い」 312 5 4.3。Webコ
ー パ スが収集 した接続単語 の妥 当性 に関す る検 討
4.1。 と4.2よ り,被
験者 が推 測 した接続 文節 にお け る接続 単語 が,Webコ
ーパ ス の もの と比較 した場合 にお いて ,接 続 文節 の レパ ー トリが限定 的 で あ る可能性 は示 唆 され たが,Webコ
ー パ スが収 集 した接 続 文節 にお け る接 続 単語 が,意
思把 握 ス キル (意思推 測 フ ェー ズ)の
観 点 か ら捉 えた場合 にお いて,使
用 不 可能 で は ない も ので あ る こ とが前提 とな る。 そ こで,Webコ
ーパ スの接続 単語 リス ト(表 6)の上位15語
の うち,被
験者 が未 使 用 の接続 単語 を抽 出 した うえで,妥
当性 につ い て検 討 した 。抽 出 した結果 を表 11 に示す 。遊 びた い
「遊 びたい」 に使用 され てい る接続 単語 の うち,「 が」 が含 まれ る接続 文節 を確 認 した ところ,「私 が食 べ た い もの は 00」 の様 に,「を」 と同 じ使 われ 方 で あ るた め,接
続 単語 と して は対 象外 で あ る と判 断 した。 また,「 は」 に関 して も 「彼 は食 べ たい」な ど,表
出性 コ ミュニ ケー シ ョンの観 点 で は使 用 され てお らず,同
様 に対 象外 と した 。ただ し,そ
の他 の接続 単語 につ い て は,意
思推 測 フェー ズ の もの と し て は妥 当で ある と判 断 した。員いプ
=い
「買いたい」 に使 用 され てい る接続 単語 が含 まれ る接続 文節 を確認 した ところ, す べ ての接 続 単語 が意 思推 測 フェー ズ にお い て妥 当な もので あ る と判 断 した 。表
11
被 験 者 が未 使 用 の接続 単 語 遊 びたい 「は」「もつと」「が」「も」「まだ」「を」「たくさん」 「まだまだ」「いっぱい」「楽しく」「から」 員 い■‐い 「に」「安く」「も」「たら」 「また」「ば」「どうしても」 食 べ たい 「も」「に」「また」「無性に」「たくさん」 「どうしても」「もつと」「の」食べ た い
「食 べ たい」 に使用 され てい る接続 単語 の うち,「 の」 が含 まれ る接続 文節 を確 認 した ところ,「私 の (も の を)食
べ たい」,接
続 文節 中に省 略 され て い る部 分 が あ る こ とか ら,接
続 単語 と して は対 象外 で あ る と判 断 した。ただ し,そ
の ほか の接続 単語 につい ては,い
ず れ も 自分 が どの よ うな形 で食 べ たい のか,ど
の よ うな気持 ち で食 べ たい のか とい つた こ とを指 し示 してお り,意 思推 測 フェー ズ の もの と しては 妥 当で あ る と判 断 した。 以上 の結果 よ り,多 くの接続 単語 が意思推 測 フェー ズ の観 点 か ら捉 えた場合 にお いて,妥
当な もの で あ る とい え る。4。3.で検討 し使 用 不 可能 だ と判 断 した接続 単語 を排 除 した接続 単語 リス トを表12に
示す 。 20表
12
再 作 成 したWebコ ー パ ス の接 続 単 語 リス ト 遊 びたい 買 いたい 食 べ たい 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ と 267 19.06% を 1436 39.94% 力` 1037 29.10% で 264 18.84% で 319 8.87% を 655 18.38% に 192 13.70% 力く 211 5.87% も 257 7.21% て 131 9.35% に 179 4.98% に 196 5.50% は 63 4.50% は 4.76% で 4.80% も 42 3% も 150 4.17% は 82 2.30% を 29 2.07% 安 く i43 3.98% か 64 1.80% ま だ 24 1.71% か ら 141 3.92% て 55 1.54% もつと 21 1.50% と 80 2.23% ま た 50 1.40% たくさん 16 1.14% た ら 66 1.84% と 35 0.98% か ら 15 1.07% て 57 1.59% もう一 度 33 0.93% の 1.07% の 43 1.20% たくさん 31 0.87% か ら 1.07% ば 35 0.97% か ら 31 0.87% の 1.07% な ら 0.75% 早 く 30 0.84% か ら 1.07% で も 26 0.72% で も 25 0.70%第5章
仮説 の検証 を 目的 と した システム構 築
前 章 まで にお い て,被
験者 が推 測 した接 続 文節 にお け る接 続 単語 が,Webコ
ー パ スか ら収集 した接続 文節 と比較 した場合 にお いて,多 様 性 が確保 で きてい ない可 能性 お よび少数 で あ る可能性 が示 唆 され た。つ ま り,支
援 者 が推 測 可能 な接 続 文節 の レパ ー トリが 限 定 的 で あ る とい え る。そ こで,支
援 者 に 自 らの接続 文節 の レパ ー トリが限定 的 で あ る こ とに対 して気 づ きを促 す こ とが,接続 文節 の レパ ー トリを増 や す ,す なわ ち支援 者 が特 定 の シ ンボル か ら想 起 可能 な意 思 の レパ ー トリを増 やす こ とに対す る意 識 づ けにな る と考 えた 。この仮説 につ いて検 証す べ く,本
章 で は検 証 を 目的 に開発 した システ ムの概 要 につ い て説 明す る. 5。1.シ
ス テムの概要
第3章
で用 いた プ ログ ラム をベ ー ス と して,使
用者 の推 測す る接 続 文節・ 接 続 単語 とWebコ
ーパ スか ら収集 した接続 文節・ 接続 単語 の比較 が可能 な システ ムを設 計 した 。システ ムは
Microsoft Excel VBAで
作成 し,Windows10お
よび 8.1で
MicrosoftoNET Framework 4.5以
降 がイ ンス トール され た環境 下 にお い て動 作確認 済み で あ る。 なお,形
態 素解 析 には第3章
と同様,
日本 語形 態 素解 析 シス テ ムで あ るMecab(工
藤 ほか2004)を
使 用 した。なお,Mecabの
バ ー ジ ョンは0.996の
もので動 作確認 を して い る.ま
た,Webコ
ーパ ス のデ ー タは表9の
もの を使 用す る。 225.2.シ
ステム操作 の流れ
システ ムの操 作 の流れ を図6∼
図11に
示す 。 図6の
網掛 け部 分 に接 続 単語 を可能 な限 り入 力 す る。入 力 時 にEnterキ
ー を二 度 押 しす る こ とで,次
のセル の入 力 が切 り替 わ つた うえで,例
えば 「食 べ た い」の 接 続 単語 を入力す る作 業 の 中で は,「 食 べ た い」 が2列
目に表 示 され る。 なお,図
9の
セルBlを
変更す る こ とで,B列
はす べ て反 映 され る。 ユー ザ は図6の
網掛 け部 分 に,図 7の
よ うに入 力 し,入
力 が終 わ り次 第,解
析 ボ タ ンを押す 。入 力 しなおす 場合 を想 定 し,一
斉 に消去 可能 なClearボ
タ ンを準備 し た 。 解 析 ボ タ ンを押 す と画 面 が切 り替 わ り,図 8の
よ うに結果 が表 示 され る。図8の
左 側 には操 作者 の接 続 文節 を形態 素解 析 し,接 続 単語 を使 用 頻度 順 に並 べ た ものが 図11の
よ うに表 示 され る。表示 され るの は接 続 単語 の一覧 と接 続 単語 の頻度,接
続 単語 の使 用割 合,接
続 単語 が含 まれ る接 続 文節 の一 覧 で あ る.接
続 単語 が含 まれ る接 続 文節 の確認 は,図
10の
よ うに コンボ ボ ックス を ク リックす る こ とで表 示 で き る. 図11の
右 側 にはWebコ
ーパ スの接 続 文節 を形 態 素解 析 し,接続 単語 を使用 頻度 順 に並べ た ものが 図14の
よ うに表 示 され る。 につ い て も,コ
ンボボ ックス を ク リ ックす る と,接
続 単語 が含 まれ る接続 文節 を表 示す る こ とが 可能 で あ る。また,ユ
ー ザ が入力 した接 続 文節 にお け る接続 単語 とWebコ
ーパ ス で収 集 した接続 単語 の 比較 を可視 化す べ く,ユ
ー ザ が記述 で きなか つた接続 単語 につ い て,赤
字 で表 示 す る よ うに した.磁
J
一
劇
﹁
現
劇
r
一
6
繁
一■
一2
一3
一4
¨■
一5
一7
ず8
一3
一m
¨
9 ” ■ 2 ” “ 15 ¨ “ 一 ” ” 19 一 ” ” ″ 一2 ¨ 麟 図6
接続文節 の入 力画 面番
素
Fヽ本
=しヽ
:鮮
毎` : 番妻ンヽ電た三金ヽ : 番塾″ヾ″壁」レiヽ :輩
t` 図7
接 続 文 節 の入 力結 果 図8
結果表示画面 一 ..1.・.・‐‐‐■■■│'..'... ‐――‐・・・ ‐‐ .‐・ ・犠斡 轟は、片瀬こ 表 ― tltのです。 0,0":― V 。64:― V 24^ が 1 3 一 4 一 5 一 6 一 7 一 8 一
3 i C
△ 3: 50.00%___2:¨
銀1001:____ __▼
図9
接続 単 語 の 一 覧表 示 図10
接続 文 節 の リス トの表 示を も に で は か E F G V●ゆ 接続単語 IW壁ての使用語数 Wobでの使用 '1合 Wobでの使用例 H I J L が 1 1037 655 257 196 171 82 64 55 50 35 331 33‐ 31 31 30 25 23 23‐ 23‐ 221 17 14‐ 14 13 13 図
1l Webコ
ー パ ス との比 較 結 果確 認 画 面 28831-▼ 1821■ ―一――――――――▼ 7141-▼ 545%│―――――――――――――▼ 4751‐―――――――――――――▼ 2281-▼ :78% V i5311-――――――――――――▼ ,391-▼ 097%│―――――――――――――▼ 092■ ― ▼ 0921-▼ 086■│―――――――――――――▼ 0861-▼ 0831‐ 070%― ▼ 0641-▼ 064■ ― ▼ 064■ ‐―――――――――――▼ 061ヽ ――――――――――▼ 047■ ― ▼ 039ヽ 一 ▼ 039ヽ 一 ▼ 036■ ― ▼ 0361-▼ ・赤字の語は、片方に 表示されていないものです。 ・使用例は、 セルをクリック→▽をクリック、 で確認できます。 て また と もう一度 の た0ん かう 早く も 無性に │おいしく いっifい 何 もの 美嚇 く まで 毎日 :絶対 26第
6章
システム を用 いた仮説 の検証
本 章 で は,意
思把握 ス キル を意識 した経験 の浅 い支援者 を対象 と して,前
章 で作 成 した システ ム を実 際 に使 用 し,提 案 手法 が妥 当で あ る可能性 につ い て確 認 す る こ とを 目的 に実践 的検討 を行 つた結果 につ いて報 告 す る。6.1.方
法
教員養 成 大 学 の大学 生 。大学 院 生10名
(ア∼ コ)を
被 験者 と した.被
験者 は小 学校 (通常学校)で
の教 育 実習 を少 な くとも4週
間経 験 してい る。実験 の前 に被験 者 には事前 ア ンケー トを行 う,ASDの
特性 や シ ンボル コ ミュニ ケー シ ョン,本
実 験 の趣 旨につ いて説 明 した. 実験 は システ ム操 作 の後 にア ンケー ト調 査 とい う手順 で行 つた .シ ステ ム操 作 で は,第
2章
と同様 ,「 遊 び たい」「買 い た い」「食 べ たい」 を提 示 し,第
5章
で作成 した システ ムを利 用 させ ,第2章
と同様 ,接 続 文節 を推 測 が可能 な限 り入 力 させ た。 被 験者 には表 出性 コ ミュニ ケー シ ョンに困難 さを持 つASD児
に対 して支 援 を行 う こ とを想 定 させ 実施 した。入 力 の制 限 時 間 は15分
間 と設 定 し,制
限時 間 内で接続 文節 を被 験者 の可能 な限 り列 挙 させ る。例 えば記 述 内容 が 「食 べ た い」 の場合 は, 「ご飯 を」や 「一緒 に」 とい つた接続 文節 を列挙す る.た
だ し,「 食 べ た い」 に対 して 「おや つ を」や 「ラー メ ンを」な どの よ うに食 べ物 に関す る属性 の語 しか想 起 で きないな ど,被
験者 か ら同一属性 の語 しか想 起 で きない 旨の質 問 が あ つた場合, 当該接 続 文節 につ い て は途 中で 中断す るよ うに指示 した。また,特
定 の児 童 生徒 を 想 起す る必 要性 や,具
体 的 な場 面 を想 起す る必要性 につ い て質 問 され た際 には,想
起す る必要 がない 旨,被
験者 に指 示 した 。 システ ム使 用後 に,試
験 車 が接 続 文節 を入 力 し形 態 素解 析 した もの と,Webコ
ーパ スの接 続 文節・接 続 単語 を比較す るた め に,図 8に
示す画 面 を表 示 す る。被 験 者 は3種
類 の語 の比較結 果 につ い て確認 し,そ
の後,事
後 ア ンケー トを記 入 す る。 以 下,ア
ンケー トの概 要 を示す ① 接続 文節 を挙 げ る こ との難 易度 (質問 内容)「 食 べ たい」「遊 び た い」「買い た い」 の前 に接続 す る文節 を挙 げ る こ とは易 しか つたです か?難
しか つたです か?(質問形 式
)5件
法 (選択 肢)
易 しい、 どち らか とい うと易 しい 、 どち ら ともい えない 、 どち らか とい うと難 しい 、難 しい (追質 問) (ど
ち らか とい うと難 しい,難
しい を選 択 した方)ど
の よ うな点 が 難 しか つた です か?
② 接続 文節 を挙 げ る作 業 に対す る印象 (質問 内容 )「 食 べ た い」等 の語 に接続 す る文節 を挙 げてみ た感 想 を 記 述 して くだ さい 。 (質問形 式)自
由記述 ③ システ ム利用 に よる気 づ き獲 得 (質問 内容)あなた は本 システ ム を用 い る こ とに よ り語彙 へ の気 づ き を獲 得す る こ とがで きま したか?
(質問形 式)5件
法 (選択 肢)
で きた、 どち らか とい うとで きた、 どち らともい えない 、 どち らか とい うとで きて い ない 、 で きて い ない (追質 問) (③
にお い て,で
きた・ どち らか とい うとで きた と答 えた方)語
彙 へ の気づ きは どの よ うな もので したか。 ④ 本 システ ムの有用性 (質問 内容)本
システ ム を使 用 す る こ とに、有用性 を感 じます か?
(質問形 式)5件
法 (選択 肢)
感 じる、 どち らか とい うと感 じる、 どち らか とい うと感 じない、感 じない 、 どち らともい えない ⑤ASD児
支援 の観 点 で の有用性 (質問 内容)支
援者 が 文節 の気 づ きを獲得 す る こ とが 自閉症 スペ ク トラム障害児 の支援 に役 に立つ と思 い ます か?
(質 問形 式)5件
法 (選択 肢)役
に立つ と思 う、どち らか とい うと役 に立つ と思 う、どち ら ともい えない、どち らか とい うと役 に立 た ない と思 う、役 に立 た ない と思 う ⑥ASD児
を支援す る際 の留意 点 (質問 内容)自
閉症 スペ ク トラム障害児 の困 りを支援 す る とき、何 に気 をつ け る 必 要 が あ る と思 い ます か? (質問形式)自
由記 述 ⑦ システ ム使用 の感 想 28(質問 内容
)本
システ ム を使 用 し,気
づ い た こ と考 えた こ とを書 い て くだ さい. (質問形 式)自
由記述6.2.結
果 と考 察
被 験者 が挙 げた接 続 文節 の一覧 と接 続 文節 を形 態 素解 析 した結 果 ,お よび事 後 ア ンケー トにつ い て,6.2.1で
被 験者 別 に考察 した結果 につ いて,6.2.2で
事 後 ア ンケ ー トの結果 を踏 ま えて考 察 した結 果 につ い て報 告す る。●
6.2.1.
被 験 者 別 にみ た結 果 と考 察
以 下,被
験者 (被験者 ア∼被 験者 コ)別
に,結
果 につ いて考 察 す る.考
察 の際, 被 験者 の比較 結果 とWebコ
ーパ スの結果 と比較 す る際,比
較 対 象 を表12の
上位10語
とす る。 比較 に用 い るデ ー タ(表12の
上位10語
)を表13に
示す 。 表13 Webコ
ーパ スの接続 単 語 リス ト (上位10語
) 遊びたい 員いチ =い 食 べたい 接続 単 三 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ 接続 単 語 使 用 語 数 使 用 割 △ ロ と 267 19.06% を 1436 39.94% 力く 1037 29.10% で 264 18.84% で 319 8.87% を 655 18.38% に 192 13.70% 力く 211 5.87% も 257 7.21% て i31 9.35% に 179 4.98% に 196 5.50% は ^ υ 4.50% は 4.76% で 4.80% も 42 3% も 150 4.17% は 82 2.30% を 29 2.07% 安 く 143 3.98% か 64 1.80% ま だ 24 1.71% か ら 141 3.92% て 55 1.54% もつと 21 1.50% と 80 2.23% ま た 50 1.40% たくさん 1.14% た ら 66 1.84% と 35 0.98%被験 者 ア
(被験者 ア の実態) 被 験者 ア は
,学
部4年
生 で あ り,2回
の小 学校 実習 を こな して い る。また,発
達 障害 に関す る講 義 の受講 も済 ませ てい る.ASD児
との 関 わ りは,教
育 実習 だ けで は な く現在 参加 して い るス クール サ ポー トで もあ る と答 えて い る。ASD児
の支援 の際,気
をつ け る こ と と して,物
事 の 見通 しをつ け る こ とや,視
覚 的支援 を行 うこ と,を
挙 げてい る.ASD児
が シ ンボル コ ミュニ ケー シ ョンを行 つて い る場 面 を見 た こ とが ない と答 えてい る. (被験者 ア の結果) 表14に
被 験 者 アが入 力 した接 続 文節 一 覧,表
15に
接 続 文節 を形 態 素解析 した 結 果,表
16に
事後 ア ンケー トを挙 げ る。 表14
被 験 者 ア が入 力 した接 続 文 節 一 覧 表15
被 験 者 ア 形 態素 解析 結 果 遊 びたい 。ボールで 。みんなと ・宿題をやる前 に ・動物園 に行つて ・ゲームで ,外 で 。家 の 中で ・友だちと ・トランプで ・友だちの家で ・ご飯 の後 に ・鬼 ごつこをして ・校 庭 で ・滑 り台 ・プランコ 。犬と ・お菓子 作 りをして 。音 楽 を聴 きながら・遠 いところへお出 か けをして 買 い たい ・新しい服を 。お菓子を ・プレゼントを ・デパートで ・おもちゃを ・テレビゲームを ・本を 。ノートを ・安いものを ・高級なものを 。いろいろな店で見てから ・好きなものを ・体 にいいものを ・友だちと一緒に ・車を ・新 しい靴を ・都会で 。早く 。もつとたくさん ・毎 日 食 べ たい ・雪の宿を ・お餅を ・皆と同じものを 。おいしいものを ,あたたかいものを ・冷たいものを 。さつばりしたものを ・早く。お腹いつぱい 。すぐ出てくるものを いうどんを・ラーメンを ・あのお店の人気商 品を ・地域 限定のものを ・カニを旅館で ・友だちと一緒に 。お母さんの作つたご飯 が ・給食を早く・お弁 当を ・パン屋さんのパンを 。自分で作つて ・自分が好きなものだけ ・安くておいしいお得に 。無制限で ・ヘルシーなものを ・とんかつを ・高級なお店で 。朝ご飯を ・テレビで紹介されてたおいしいそうなものを ・部屋で ・こたつに入つて ・焼 き芋を落ちばで作 つて ・名 物 の料 理 をその地 で ・飲 み物 と一 緒 に 30遊 びたい 買いたい 食 べ たい 接続 単語 使 用語 数 使用割 合 接続 単語 使用語 数 使用割合 接 続単 語 使用 語数 使 用割合 で 7 36.84% を 65.00% を 50.00% て 4 21.05% で 2 10.00% で 14.71% と 3 15.79% か ら 1 5.00% に 8.82% に 2 10.53% に 1 5.00% て 8.82% 滑 り台 1 5.26% 早 く 1 5.00% 早 く 2 5.88% ブランコ 1 5.26% たくさん 1 5.00% いっ│ずい 1 2.94% なが ら 1 5.26% 毎 日 1 5.00% 力く 1 2.94% 表
16
被 験 者 ア の事 後 ア ンケ ー ト (被験者 ア の考察) 被 験者 アが入 力 した接続 単語 の数 が,「遊 び た い」が19個
,「買い た い」が20個
, 「食べ たい」が32個
で あ つた。接続 文節 の入 力 が 「遊 び た い」が7種
類,「買 いた い」 が7種
類 ,「 食 べ た い」 が7種
類 で あ つた.第
入力 に関 して一 定程 度 あ り,比
較 的接続 文節 の推 測 が で きて い る と考 え られ る。事 後 ア ンケ ー トで も,問 1で
「ど ち らともい えない」を選択 し,接
続 文節 の入 力 に困難 さを感 じて い ない こ とが わか ① どちらともいえない ② 偏 りができる (食べたいなら,∼ を遊びたいなら,∼ で) 相手の気持ちを想像するのは難 しいが,実 際に相手の状況を目で見ると想像するのは難し いが,実際に相手の状況を目で見ると予想しやすいかもしれないと思つた. ③ どちらかというとできた 動詞につなげる接続語の使用頻度にかたよりができるという気づき。(ア) ④ 感 じる ⑤ 役 に立 つと思 う ⑥ どんなことを話 したい,伝 えたいのか考えるとき,接続語が異なると意味が変わるものと変わ らないものがあることを頭に入れておく.状況から伝えたい内容を予想することで,より的確 な予想ができると思う. ⑦ 接続単語 に注 目したことで,具体 的な名詞 以外にも重要な役割があることに気づいた.英 語 ではまた文法が異なるので,日本語ならではの着眼点だなあと思いました。しか し,「食 べ た い」で は入 力 され た接 続 単語 「を」の使 用割 合 が
50.00%だ
つた が,Webコ
ーパ ス上 で は18.21%の
た め,「 を」 に集 中 してい る こ とが 見受 け られ る。 また,「 買 いたい」 で は接 続 単語 「を」 は13個
入 力 され てお り,使
用割 合 が65.00%と
な つてい た 。 この よ うに一つ の接 続 単語 へ の入 力 の多 さが被 験者 ア の特 徴 で あ る と言 え る。事 後 ア ンケー ト問2,3で
は 自身 の入 力 につ いて 「偏 りが あ つ た.」 と答 えてお り,推
測 の偏 りにつ いて本 システ ムの利 用 に よ り認 識 で きた よ う で あ る 被 験者 アは,本 システ ムの利 用 に よ り,語 彙 の獲 得 が「どち らか とい うとで きた」 と答 え,ま
た本 システ ムの有用性 につ いて も「あ る」 と答 えてお り,被
験者 ア に と って本 システ ム に よつて気 づ き を得 られ た こ とが質 問や 追質 問 の 回答 か らわ か っ た 。被験者 イ
(被験者 イ の実態) 被 験者 イ は,学
部4年
生 で あ り,2回
の小 学校 実習 を こな して い る.ま
た,発
達 障害 に関す る講 義 の受講 も済 ませ てい る。ASD児
との 関わ りは,教
育 実 習 だ けで はな く,ス クール サ ポー トや 以前行 つてい た家庭 教 師 のアル バ イ トで長 期 的 に発達 障害児 の指 導 を行 つて い た こ とを答 えて い る。また,被
験者 イ が小 学校 の頃 の 同級 生 にASDだ
と思 われ る音 声言語 でのや りと りが 出ない児童 がい た。彼 とは家族 ぐ るみ で仲 良 く してい た とい うエ ピソー ドを語 つてい た。支援 の際気 をつ け る こ とと して,気
持 ちを押 し付 けず理解 しよ うとす る こ とを挙 げてい る。ASD児
が シ ンボ ル コ ミュニ ケー シ ョンを行 つて い る場 面 を見 た こ とが ない と答 えてい る。 (被験者 イ の結果) 表17に
被験者 イ が入 力 した接続 文節 一 覧,表
18に
接 続 文節 を形 態 素解 析 した 結果,表
19に
事 後 ア ンケー トを挙 げ る。 表17
被 験 者 イが 入 力 した接 続 文 節 一 覧 32遊 びたい ・外 で ・友だちと一 緒 に 。ボール で ・お昼休 み に・楽 しく 。鬼 ごつこをして 買 いた い ・高級 なものを 'お菓 子 を ・スーパー で ・お年 玉 で ・友 だちとゲームを 食 べ たい ・友だちとご飯を 。おやつでクッキーを ・レストランで 。フォークで。お腹いつぱい 。少 しだけ 。帰つてから 遊 びたい 買いチヒい 食 べたい 接続 単語 使 用語 数 使用割合 接続単語 使 用 語 数 使 用割 合 接続 単語 使 用 語 数 使 用 割 合 に 2 33.33% を 6000% を 28.57% で 2 3333% で 2 40.00% で 28.57% 楽 しく 1 16.67% い っぱ い 1 14.29% て 1 16.67% だ け 1 14.29% か ら 1 14.29% 表