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中学校における別室登校への支援に関する研究 : 質問紙調査と実践の結果と分析を通して

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Academic year: 2021

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(1)中学校における別室登校への支援に関する研究     一質問紙調査と実践の結果と分析を通して一 教育実践高度化専攻 心の教育実践コース.      P10042G      冨本祐加.  中学校の不登校生徒数が平成22年度の調査.  研究1における意識調査では、別室の存在価. で5年ぶりに1O万人を下回る結果となった。. 値を認める意見が多く得られた。一方、一度別. しかしながら、この数値には学校には登校する. 室を開設すると継続しなければならず、結果的. が所定のクラスヘは入らない生徒や、始業から. に教員の空き時間がなくなり、教職員の意識の. 終業までの時間を学校で過ごさずに短時間だけ. ずれが生じ、別室登校に関わる教職員の負担が. でも登校する生徒の数は含まれていない。実際. 増えるということにもなる。学校組織としての. にはこのような別室登校生徒が増えていると推. チーム支援の必要性が求められる結果であった。. 測される。不登校への柔軟な対応の」つとして.  意識調査をもとに、より効果的な別室登校支. 行われている別室登校への支援は、それぞれの. 援のあり方を模索するために、A県内の公立中. 学校の方針と教職員にその運営が任されており、. 学校349校の学校長・教育相談担当者・不登校. 対応する教職員は日々模索を繰り返している。. 対策担当者宛に「別室登校・相談室に関する」. r別室登校」の捉え方はそれぞれの教職員や学. 質問紙調査(199一校回答,回収率57%)を郵送. 校によって様々であり、実態が見えにくいのが. して別室登校の状況に関する調査を依頼した。. 現状である。また、学校としての実態調査や別.  199校のうちr別室を開設している」学校は. 室の運営などを含めた別室登校への具体的な支. 154校であった。r別室が過去にはあったが現在. 援策についての先行研究がほとんどみられない. はない」15校のうち、不登校生徒がいない学校. という現状もある。. は1校のみであり、「現在も過去にも別室を開設.  本研究では、これらの課題に対応するための. したことがない」29校のうち、不登校が0人と. 別室登校支援モデルを提示した。研究1(調査). 回答した学校は8校である。この数字は担当者. では、現職教員に対する別室に関するインタビ. の配置や大級生徒の対応など別室の運営の困難. ューによる意識調査と、A県内の公血中学校に. さを表している可能性が考えられる。. おける別室登校の実態把握のための質問紙調査.  A県内においては、r不登校の回復過程」とし. を行い、調査結果の分析から別室登校の現状や. て「不登校から別室登校になる」生徒の割合が、. 課題をまとめた。研究2(実践)では、調査か. 「教室から別室登校になる」割合の倍以上であ. ら得た知見をもとに、B中学校における課題を. ることがわかり、学校までなら足を運べるとい. 踏まえながら、別室登校生徒へのr直接支援」. う生徒が多いことから、不登校生徒にとって別. と校内の支援体制の整備に関する「間接支援」. 室の意義は大きいといえる。しかしながら、別. の両面からの支援プログラムモデルを作成し、. 室登校生徒の年度末の現状では「別室登校を継. その内容をB中学校で実践した。. 続している」生徒がr教室に復帰する」生徒の. 一86一.

(2) 4倍を超えていた。r別室登校を継続したまま卒. 報が提供され、多面的な視点から幅広い支援に. 業していく」生徒も多く、不登校の状態から学. つながっていった。共通理解しつつ支援方針や. 校へ登校できても、教室への道は遠い場合が多. 具体的な支援策を決め役割分担することで、支. いと言わざるを得ない。支援者は教室復帰を目. 援者自身も目標を持った関わりと継続的な支援. 指しながらも、急ぎすぎることなく、生徒にと. ができるようになった。さらに、会議では、支. っては支援者にしっかりと丁寧に闘ってもらう. 援者間の悩みを共有する機会にもなり、教職員. 経験ができ、将来的に次へとつながる別室であ. の相互理解と心理的負担の軽減にもつながった。. ることが重要であると考える。.  今回の調査結果では、回答のあった中学校の.  現在、別室の運営や支援に関しては試行錯誤. 95%の学校で不登校や別室登校生徒が在籍し. の途上であり、状況は学校により様々であるが、. ていることがわかった。不箪校が一般に認めら. 教職員、生徒、保護者に対して別室のあり方や. れ、登校の一形態として許容されつつある別室. 目的を共通理解したうえで、別室を運営する必. 登校への支援は今後ますます必要になってくる. 要性が示されている。. と思われる。.  研究2では、別室登校生徒への「直接支援」.  今回の調査では中学校における別室登校の現. のための授業プログラムを考案した。その中で. 状を調べたが、小学校からの引き継ぎ事項や中. 心理療法の一つである交互スクリブル物語統合. 学卒業後の生活など、将来を見据えた長期的な. (MSSM)法では、心の中の思いが絵や物語の. 視点から小中高の連携の在り方についても考え. 中に表わされることもあり、生徒との関係づく. る必要がある。また、作成したシート集では家. りと理解につながった。教師の生徒理解や生徒. 庭面の支援を州立てしたが、複雑化・重層化す. 自身の自己・他者理解を進めると同時に、教室. る課題を抱える生徒を取り巻く家庭への支援と. 復帰を考える上で重要となる学習支援において. して、学校にできる限界を見極め、必要に応じ. は、学習の継続性を意識し、学習の成果や取り. て、一. 組みを可視化することを通して、達成感をもつ. ーとの連携を図ったり、地域や外部の専門機関. ことができるように工夫した。. と繋がることも重要であると考える。.  r間接支援」として、r生徒の自己理解の促.  別室登校支援に関しては、支援員の人員配置. 進・教師の生徒理解や情報収集のためのシート. や空き教室の確保など学校により実情が様々で. ①∼⑥」と「別室の運営に関するシート⑦∼⑪」. あり、また別室登校生徒の状況も一人ひとりの. の支援ツールを作成し、別室登校生徒との関わ. 個別性が高く、個に合わせてその都度対応を考. りや校内連携に活用した。予防的なアプローチ. えていく必要がある。すべての生徒に対して多. として行った全校生徒へのアンケートは、それ. 角的な視点からの生徒理解に基づく支援が求め. ぞれの生徒の現在の思いや悩みなどが紙面から. られ、特に支援を必要としている生徒への多面. 読み取ることができ、生徒理解と早期支援につ. 的な理解と役割分担によるチーム支援は重要で. ながるものであった。別室登校生徒への支援会. あり、今回行った調査と支援プログラムが生徒. 議ではチーム援助シートを用いて、学習、心理・. 理解と支援の一助となることを願っている。. 社会、進路、健康、家庭面の5領域に関する情.         修学指導教員  新井 肇. 報の整理や援助案を考えて行く中で、新しい情.         指導教員 松本剛. 一87一. 沁モフ視点からスクールソーシャルワーカ.

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参照

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