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通級指導教室「ことばの教室」に通う小学生への心理的援助に関する調査

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Academic year: 2021

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(1)通級指導教室「ことばの教室」に通う小学生への心理的援助に関する調査                               専攻 特別支援教育学専攻                                 コース心身障害コース                                       M108105D                                       多田 千夏 対象児は小学生で、経歴はそれぞれ、「ことばの教室」. I本研究の目的  これまでの「ことばの教室」に関する研究として. 2年目と1年目、どちらも通常学級(小学校)の担任. は、上記の太田(2007)による吃音児に関する研究や、. 経験があり、教員b(女)とd(女)について、主な対象. 森・熊井・川住(2008)が事例から検討したものが挙 げられる。森ら(2008)は、言語指導場面における幼. 児は幼児で、教員bの経歴はrことばの教室」3年. 児期前期の聴覚障害児の内発的動機づけとそれに関 与する心理的欲求(交流感・有能感・自己決定感)の 変化、および母親からのフィードバックと働きかけ がこれらの変化に及ぼす影響について明らかにして いる。結果は、1例において、まず交流感を基礎に 内生的動機づけとそれに関与する有能感が増加し、. 以上、幼稚園の担任経験あり、教員dについては「こ とばの教室」1年目、教員経験1年目である。 2.調査期間.  2008年9月∼2009年7月にかけて43回(1回の参 与観察時間は60分)の参与観察と、2009年8月に1 回のインタビューを行う。 3.調査手続き. ①X市立Y小学校にある通級指導教室「ことばの教室」に 通う小学生の学習場面や遊びの場面について参与観察を. その後、自己決定感がみられるようになるとともに、 自発的一内生的(内発的)動機づけが増加するという. 行う。. 順序性が認められた。課題成功時の母親からのr承 認する」「褒める」等の感情的なフイ』ドバックは有. 能感に影響を与え、課題失敗時のr励まし」を含む 感情的なフィードバックは無力感反応を抑制すると 考えられた。また、母親のr励まし」は子どもが独 力で課題を成し遂げることを促し、r叱責」は内的統 制感を増加させる等、「褒める」だけでなく、「励ま す」r叱る」といった母親の働きかけが自己決定感に 影響を与えることが示唆された。.  ただ、これらの研究は、質問紙による調査や課題 を提示しそれらの評価を行うといった調査研究であ る。また、対象が吃音児や聴覚障害児に絞られてお り、「ことばの教室」に通う児童全体を対象とし、具 体的な関わりを検討したものではない。  そこで本研究では,「ことばの教室」に通う小学性 を対象に、指導や学習場面について参与観察を行い、. rことばの教室」で具体的にどのような関わりがあ り、どのような心理的援助が行われているのかにつ いて調査を行うことを目的とする。. ②さらに、X市立Y小学校「ことばの教室」の教員4名に インタビューを行う。インタビュー内容は『対象児への指 導」、r保護者への関わり」、r対象児の集団への配慮」につ いての3点である。 4.分析手続き. ①参与観察から心理的な援功に関わるエピソードか ら、心理的援助方法を抽出する。.  心理的な援助に関わるエピソードとは、rことばの 教室」の教員が個別の学習場面で行った配慮、や、学 校(集団場面など)、家庭での出来事を想定して、児 童に指導や助言を行ったものとする。 ②抽出した援助方法について、KJ法を参考に質的分 析を行う。. ③インタビューについて質的分析を行う。 皿 結果と考察. 心理的な援功に関わるエピソードのまとめと考察  上述したA∼K児についてのエピソードと、その援 助方法にっいてまとめると、3つの特徴が考えられ た。. 皿 方法.  一っ目は、児童の心の状態を配慮したうえで、学. 1.対象. 習指導が行われていたことである。「ことばの教室」.  参与観察の対象児は、X市立Y小学校にある通級 指導教室rことばの教室」に通う小学生2∼6年生の. は、個別の指導が基本であり、まず、対象児の気持 ちを考慮し、そこから信頼関係を作り上げていくこ. 11名。対象児の主訴は、A児(男・小6)とB児(男・ 小6)が学習支援(読み書き)について、C児(男・小2. とが大切であると考えられた。. ∼小3)は微細運動とコミュニケーションについて、 D児(女・小4)は構音轄、E児(男・小6)、1児(男・. 小3)、J児(男・小2)はコミュニケーションについ て、F児(男・小2)ぱ織田運動と構音障害、G児(女・ 小5)は難聴、H児(男・小3)は難聴と学習支援(読み 書き)、K児(女・小2)は構音障害についてであった。.  インタビューの対象者は、X市立Y小学校にある 通級指導教室「ことばの教室」の教員4名。各教員 のプロフィールについて、教員・(女)と・(女)の主な.  二つ目は、発達年齢や障害種はもちろんのこと、 それ以外にも個々の抱える問題や性格などを配慮し、 援助されていたことである。  最後は、集団を想定したエピソードと援助方法で、. 対象児11人中6名と、半分以上の対象児に見られた 方法である。rことばの教室」に通う児童は、通常学 級でそれぞれの問題や課題を抱えている。彼らは、 その問題や課題を少しでも早く解決・達成できるよ うrことばの教室」に通っている。それには、一つ の近道として、通常学級の条件に近し\小集団や集. 一208_.

(2) 団をイメージした指導や学習で、自信をつけさせる ことが考えられるのではないだろうか。  これらのことから、「ことばの教室」では、一人ひ とりの子どもと向き合い、それぞれの二一ズに合わ せることを基本として心理的援助を行っていること が考えられる。そして、彼らの抱える問題や課題を 乗り越えていくためには、集団、または、小集団を 想定した援助方法が大きな役割を果たすのではない かと考える。. 心理的な援助方法の分類のまとめと考察  心理的な援助方法の分類を行った結果、指導と心 理的援功を区別した時、指導の刺こ心理的援助が含 まれていることが明らかとなった。ほとんどの援助 方法は指導であり、その目的が心理的援助と考えら れるため、指導の中に心理的援助が含まれているこ とになる。.  「ことばの教室」では、どんな指導場面(学習場面). においても、「児童の心の状態」を中心に考えた指導. が行われていることが明らかとなった。このような 関わりは、rことばの教室」に通う児童にとって最一も 基本的で重要な関わりであることを園田(2007)も述. べていた。そして、このr児童の心の状態」を中心 に考えた指導が、「ことばの教室」に通う子どもたち との信頼関係を作り上げるきっかけとなることが考 えられる。.  最後に、rことばの教室」が最終目標とするのは、 対象児が何の支援も必要とせずに学級に適応できる ことである。それまでの過程については、「小集団場 面を想定した指導」、「集団での指導」といった援助 方法が考えられた。この方法は、通級指導教室の「こ とばの教室」であるからこそできる、最終目標達成 への近道であることが考えられた。 インタビューの考察.  rことばの教室」の教員4名に、インタビューを 行い、r対象児への指導」、r保護者との関わり」、r児. 童の集団への配慮」の全ての内容において、それぞ れの教員の経歴の違いから、対象児や保護者、学級 担任への関わり方や考え方が異なっていた。しかし ながら、子ども一人ひとりの状態をしっかり理解し ようとする関わりや、保護者に対しては、保護者の 視点に立って寄り添うといった関わり、集団全体で 対象児を捉え、支援しようとする姿勢など根本的な 部分でのそれぞれの考えは、一致していると考えら れた。.  さらに、保護者の不安や悩みは多く、「ことばの教. 室」は、保護者からの相談をうけることから始まる ことが考えられた。.  これらのことを踏まえると、rことばの教室」は、 通級している対象児だけに心理的援功がおこなわれ ているのではなく、保護者や学級担任に対しても、 センター的な役割として、心理的援助が行われてい. 総合考察と今後の課題  本研究では、「ことばの教室」を参与観察し、そこ から得られたエピソードを抽出した。さらに、エピ ソードから心理的な援助方法を抽出し、それらの分 類を行った。この結果から考えられたことは、 ①指導の中に心理的援助が含まれていること、②「こ とばの教室」では、どんな指導場面(学習場面)にお. いても、r児童の心の状態」を中心に考えた指導が行 われている、③r小集団場面を想定した指導」、r集 団での指導」といった援助方法は、通級指導教室の rことばの教室」であるからこそできる、最終目標 達成への近道であるといった内容であった。この考 察は、rことばの教室」の教員4名に行われたインタ ビューにより、①、②は、r対象児への指導」のイン タビュー内容から、裏付けることができた。しかし、. ③については、一部一致し、裏付けることができる 部分もあるが、新たな事実が明らかとなった。  具体的には、インタビュー内容からは、集団の中 で対象児一人だけを見た特別な配慮を行うのではな く、「集団の中にいる対象児」として配慮を考えてい くことが重要であるとされた。しかし、心理的援助 方法の分類でr小集団場面を想定した指導」と、r集 団での指導」といったカテゴリーを付けた時、筆者 が考えていたのは、対象児が集団に適応できるよう な指導を行うことのみをイメージしていた。もちろ ん、このことも必要とされるが、対象児が集団へ適 応していくためには、r集団の中にいる対象児」とし て心理的援助を行っていく必要があることも考えら れる。.  さらに、二つ目のインタビュー内容「保護者との 関わり」から、rことばの教室」は、教育相談として 保護者への関わりが強く、心理的援助がおこなわれ ていることが明らかとなった。.  これらのことから、rことばの教室」は対象児のみ に心理的援助が行われているのではなく、保護者や 学級担任に対しても、センター的な役割として中心 に立ち、心理的援助が行われていることが考えられ た。.  今回の研究を通して、今後2つのことが課題とし て考えられた。いずれも、心理的な援助方法の分類 から考えられることである。.  一つ目は、対象児の障害種が少し偏っていたため、 細かく分類することができなかった。障害翻リにさ らに細かく分類を行うことで、より具体的な心理的 援助の方法が明らかになったかもしれない。  二つ目は、心理的援助方法の分類で示した図は、. 対象児のみにいえることであり、保護者や通常学級 との関係が明らかとなっていない。今後、これらの ことについて検討していきたい。. ることが考えられた。. 主任指導教員  鳥越 隆士. 指導教員  鳥越隆士. 一209一.

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