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寒冷地体育の現状と課題(1) : 目標と学習内容の関連から

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(1)Title. 寒冷地体育の現状と課題(1) : 目標と学習内容の関連から. Author(s). 三浦, 裕. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 36(2): 113-121. Issue Date. 1986-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/5004. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 寒. 令地体育の現状と課題. ~(1) 目標と学習内容の関連から~. 三. 浦. 格. 北海道教育大学旭川分校体育科教育学研究室. i A Study ofPhys caI Education in Cold Areas Yutaka N1 IURA Phys i l, Educat i ikawa Co l l i do Uu ivers i ion ty ofEducat on Laboratory ege ca ,Asah , Hokka , Asah ikawa070. Abstract. l l known that Hol dくai d。 i l ti sl ocatedin the nothern part of Japan s we . But many con i derat i fectphys i i l t t s onsthataf caleducation lessonsi ncold areas arel e known. The purpose o i ionlessons,and to fthi tudy wastoinvestigatethe state ofphys ss caleducat. i he correlation betweenthegoal examinet sand curriculum materials ofthephys caleducation ienced by every pup lessons exper i latthe presentt ime .. AI 1 the data was taken by questionnaire from all primary schools in Asahikawa city, Hokkai do . 1 l l school i The conculusi。ns drawn f )a rom the assembl ed data are s characterize the r ,(. lessonsi intofcurr i ial l 2 tudyofAcademi )as npo culum mater s s c Learning Time ,butnotgoa ,(. in Phys ion(ALT‐PE) wi l lbeneeded ass。onasposs i i bl e caIEducat ,. 1, は じ め に. 周知のように, 我々 が生活す る北海道の冬の気候は, 避けて通ることの できない自然現象である 寒冷と積雪によって代表される. しかも1年のうちで寒さに影響を受けるのは, 約半年間に及ぶと 言っても過言では ない, また, ともすれば運動不足になりかねないこのような環境のもとで, 多く. の子どもたちがその大半をこの北海道において過すということは, このような冬の環境が, 発達途 上という大切な時期にある子どもたちにとってかけがえのない環境であり, また人生の環境でもあ るとも考えられる. このような視点から学校体育を考えてみると, 北海道における冬期間の体育授 業がもつ重要性が改めて認識される.. 113.

(3) . 三. 浦. 格. しかしながら, 現状では技術指向的な意味でのウィ ンタース ポーツとしての報告はあるものの, 寒冷地における学校体育の領域としての研究 (特に目標論・学習内容論・指導法等) については, 1 0 ) 僅かに授業時間外でのゲレン デスキーを対象とした報告が少数見ら れるの 7 } ( ’ ほとんど見当らず( , 2 } .◎ み であ る(. このため, 本稿においては, 旭川市内の小学校を対象として冬期間における体育授業の 現状を把 握し, 寒冷地体育における問題点を明らかにすることによ って, 本道における体育授業を一層充実 させていくための 基礎的研究を行うことを目的と した,. 2. 研究方 法 本研究においては, 旭川市内の小学校における体育授業の実態を把握するために, 実際に どのよ うな授業が行われているのかについて, アンケート調査を行っ た. 調査対象は旭川市内の全小学校 0 日 ま で であ り, ア ン 4年11月 5 日から同3 63校とした (市立62校・国立1校) . 調査期間は. 198 00%であっ た. ケートは対象校へ直接持参・回収した, 回収率は1. な お, 今 回 の ア ン ケ ー トに お い て, 歩 く ス キ ー を は じめ と し て 用 語 に つ いて は, 用 具 や そ の 目 標・. 内容.実施方法などによる厳密な定義は行わず, 各学校の体育主任の判断に任ねた. また, それら の用語については経験的・一般的に使用されている用語を用いた,. 3, 結果と考察 1) 学習内容別による学校の分類について 現状を把握する第一の方法として, 学習内容別に よる学校のタイ プを明らかにするため, 回収し. たアンケートを分類し以下の結果を得た.. A タイ プ ( 48校) ……主としてゲレンデスキーのみ を学習内容として扱っている学校 プ B タイ (2校) ……主として歩くスキーのみを学習内容として扱っている学校. C タイ プ (7校) ……主としてス ケートのみを学習内容として扱っ ている学校 ABタイ プ (1校) ……主としてゲレンデスキーと歩くスキーの両方を学習 内容として扱ってい. る学校 ACタイ プ (3校) ……主としてゲレンデスキーとスケートの両方を学習内容として扱っ ている 学校. ADタイ プ (2校) ……主として ゲレンデスキーと雪中サッカーの両方を学習 内容として扱って いる学校 以上の結果より, 旭川市内の小学校における冬季体育の特徴としては, 全小学校がスキー授 業を 00%であっ た,またタイ プ別内訳け 行っ ている点を挙げることができる. したがっ てその実施率は1 の第一位が, Aタイ プの 「ゲレンデスキーのみを学習内容と して扱っ ている学校」 であり, その数 6%)と最も 多いことが分った. 次に割合が多かっ たのがCタイ プ であり, 「スケー は48校(全体の7. トのみを学習内容と して扱っている学校」 が7校 (全体の11%) であっ た, B, AB, AC,,AD タイ プの学校はこれらより もさらに少なくなり, 旭川においては 「歩くスキー」や 「雪中サッカー」. 114.

(4) . 寒冷地における体育科教育. が, 独立した学習内容として単独 ではあまり行われていないことを表している . 5 ( } “ この結果は赤塚{ , 星野 の報告と同様の傾向を示しており, Aタイ プのゲレンデスキー が旭川市 における最も代 表的な冬期間の学習内容であると考えることができる この理由としては 旭川市 . , が置かれている地理的条件・気候的条件が他の道内の地域と比較して スケートや雪中サ カーな ッ , どよりもゲレンデスキーの方がより生活に密着しているためであると考えられる また同時にこの . 結果は全国レベ ルばかりではなく, 道内レベ ルにおいても地域の特性を生かした授業づくりを行 っ て い る こ と を 表 わ して い る .. 2) 学習内容別による冬季体育 の目標につい て ÷涌 L,当 蒲 汀★ 膚 爪 舶′す- セ. . 『 、イ 宗 こ 守一当 内 合 の 際淵糸0」~’レ て 添ミオっ 十L しズ この. が 表 1 であ る.こ れ に よ る と, ゲ レ ン デス キ ー. の み を 学 習 内 容 と し て 扱 っ て い る A タイ プ の 学 校 に お い て,最 も 占め る 割 合 が 高 い 目標 は , 箱細 レ カ ( ブ 女 n ン東 い f。 『白 侠,一辛狽 丁 - 」 ノ. ;二. デ. ニ二:』: ;二三 三ロド:〆 し. でめ っ た, 31立に 旧建 康 増 週巨』 と 続 き,. 4 位 以 下 は『体 力』 ,『集 団 活 動 の 規 律 を 守 る』 , 『生 活 習 慣』の 順 と な っ て い る 他 の B C . , ,. A B, A C, A D の 各 タイ プ の 学 校 に お い て も, そ の 実 数 値 こ そ 少 な い も の の ほ ぼ同様 の. 表1. 学習内容別に みた冬季体育の目標に ついて. ーー\-\- \-\、. 健康維持増進. (数字は学校数). A. 自然に親しむ 生 活 習 慣. 1 8 32 8. 集 団 活 動. l o. 生 濫 涯 生 生 活 活 生 技. 6 6. 術. 35. 力 体 カ そ の 他 全 校 数. 16 l 1 48. B C AB AC AD リ ム 1 4 . ← . ▲ 1 上. 2 4 1 1 1 ワ ム に U ・ 十 っ ▲ ” っ 々 2 5 1 2 2 n U ^ = ^ V U ^ = V ^ = U 0 0 0 0 0 I I ^ = n V U 1 1 1 O ム l o o , 2 ハ U ハ 4 ^ = V ^ = V ー ▲. 0. 2. 0. 0. 2. 2 0 7. 1 0 l ・. 3 2 ハ U ^ = V 0 O 3 2. 1. リ ム Q U I I Q U . ← 2 3 1 3 1 リ ム ハ ‘ . ← Q V ^ ‘ n U n V n V. 0 2. (重複回答 含). 傾向がみられた. このことはあまり 学校のタイ プに拘わらず 体育授業の中心的な目標が『技術』・『自然に親しむ』 , であり, また具体的には教師が授業において, 子どもたちに主として 『技術』,『自然に親しむ』 態 度を習得させることをねらいとしていることを示している しかしながら この結果には一つの混 . , 乱が内包されている. それは, 『技術』 と 『自然に親しむ』 が同じレベ ルの目標として扱われている. 点である.. 4 〉 これを具体的にみれば, 授業を成立させる目標設定の方法は( , 目標一内容一教材吟方法一結果 という図式の中で目標をとらえ, その位置づけを体育科教育や授業の出発点であるとしている し . たがって目標と, 教材に附随す る『技術』とでは 明らかにその位 置づけが異なるもの である 『技 , , 術』 を単独で目標レベ ルに組み入れると ますます授業を混乱させるだけ である , , 学習者がある特定の運動やスポー ツを学習しようとする場合 その過程や発展段階において 『技 , 術』 (厳密に言うなら ば運動や スポーツに関わる技術)の習得は 学習者にとって重要な位置を占め る が, これはその運動やスポーツを学習するための必要から生じた-手段であり 一方法 である し , . たがって, 体育の授業においてたとえば水泳を学習するということは チャンピオンスポー ツや競 , 技の世界 で必要とされるような個々の 『技術』 を習得することをさすのではなく 体育の授業に 取 , り入れて有益である運動やスポー ツとして成り立っている水泳を学習することである この意味に . おいて 『技術』 は, 体育授業の中で学習者にとって目標達成・接近のための具体的な位置づけがな さ れ る,. 6 ) Conwe 『技術』 に関してはいるいるな角 度からの考え方が できるが{ ( 3 )によれば 「『技術』 と l l , , は身体活動に対する知識・態度・興味や評価そして覚醒に関与する神経系な どと密接な関係をも つ 115.

(5) . 三. 浦. 格. もの である」 としている. したがって, 小学校の体育授業を前提として考えた場合に重要な点は, 『技術』 が独立した一つの領域として存在しているのでは なく, あくまで目標との関連性から具体 的に授業の中で学習内容として導き出される性格のもの であるということ である. このような観 点から授業を考 えた場合, 本来の授業は観 念的にその前提 として 『技術』 を習得す るための授 業ではなく, 目標から設定された学習内容と しての運動やス ポーツに附随する 『技術』 を習得する授業 であると考 えることができよう, 冬期間の 学習内容について 表2は, 主として扱う学習 内容を全校を対象として学年 ごとに表に したもの である. 表2より, 低学年において高 い割合を占めているのが 『雪あそび』・『歩くスキー』・『雪洞造り』 の項 目 である が, こ れは高学年に なるに したがって減少 して いる. こ れに 対して, 『ゲレン デス キー』・『雪中サ ッカー』・『スケート』 は低学年よりも高学年に おいて高い割 合を占めている, この ことは, 冬期間の体育授業においても他期間の体育と同様に高学年になるにしたがい既成のス ポー ツを学習内容として取り扱う割合 が多くなってきていることを示している. このことからも今後授 業における目標や学習 内容などの設定や導入について, 遊びからスポーツへの転換をふまえた上で の個々 の領 域の関連性 (低学年→高 学年) を把握することが必要であろう. 0% ま た, 表 2 より各学年を通じてあまり変化がみられないのが,『室内教材』であり,平均では約6 ラ け 計画したカリキ 然の影響を受 ュ , にも達してい る. 寒冷地における冬期間の体育は, 多くの自 ム通りの授業を安定して行うことが難 しい面もあり, これらの影響をあまり受けない 『室内教材』 を扱う場合も 多い. しかしながら, 前述のように冬期間の体育を位置づけると, 自然の影響を殆んど受けない 『室内 教材』は寒冷地における体育の 学習内容としては, 消極的であろう. その理由を結果4) で述べる.. 3). 表2. [数字は全校数(63校)に占める割 合]. 1年 2.4 び 5 雪 洞 造 り 19 .O. 雪. 遊. ゲレンデスキー 39 .7 2 6. 歩く スキー 7 ス ケ ー ト. 1 2.7. 雪中サ ッカー. 3,2 2.4 5. 室 内 教 材. 2年. 3年. 2 49.. 15,9. 20 .6 40.O 7 1 .4 12 .7 3 .2 55 .6. 4.3 1 8 7.3 2 2.2. 5年. 6年. 9 .5 9,5. 6.3 7 9 .. 6 .3 7 .9. 2 9 .I 1 1・l. 9 2.I. 4年. 1 5 7. 17 .5. 19.O. 60 .3. 61 .9. 23 .8. l 11. 19 .O 30 .2. 2.I 9 11 .l O 9. 1 2 30 ,. 学習内容別にみた 屋外体育の価値意識. 表3. 冬期間の学習 内容について. (数字は学校数). AB AC AD. 計. A. B. C. 43. 2. 6. l. 3. 2. 5 7. 4. 0. l. 0. 0. 0. 5. あまり重要ではない. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 0. 無. l. 0. 0. 0. 0. 0. l. 48. 2. 7. l. 3. 2. 6 3. 非 常 に 重 要 であ る 重. 合. 要. で あ 解. る 答 計. 3 65 .5 .I 6 (重複回答 含). 4) 雪や氷を利用する体育の価値について 『体育の授業において 雪や氷など自然を利用 することに価値がありますか?』 という質問では, 無回答の1校を除いた全対象校がその重要性を認めている (表3) . これは, 寒冷地においても冬期間の自然に親しむという 認識をもっ て, 北海道の特色を理解して いるものと考えられ, 寒冷地の体育に 非常に前向き で積極的な姿勢であると考えられる. ) の『室内教材』が高い割 合を示している事実とは 対照的であり, 雪や氷な しかしこ れは, 結果3 どを利用する 屋外での体育の重要性を認めている一方, 現状とその価値意識の間には隔があること. も表している. この理由として考えられるのは, まず第一点として 「雪や氷など冬の自然環境や生 116.

(6) . 寒冷地における体育科教育. 活している場としての地域性に対して 実際の授業における目標設定の価値づけをしてはいるも の , の, 現実にはそれほどその価値意識が高くはないこと」 また第二点としては「能率的なカリキ ラ , ュ ム消化という合理性のため, 天候・設備・施設などの外的条件に適応した授業づくりをしていない こと」 , そして第三点と して 「寒冷地における体育授業についての適切な指導 書・解説書・授業研究 など有益な資料となるものがないこと」 などを挙げることができ る . したがっ て, 今後これらの点を改善することが本道における体育 授業を充実させる一方法 であろ . 5) 冬期間の体育における指導方法 指導の方法としては目標論 的立場と形態的立場の2つを考え 実際に多く の小学校で行わ れてい , る6つの指導方法を挙げることによって その結果を学校のタイ プ別にまとめた (表4) , . これによると 『技術指導型』 が最も多く 次いで 『一斉指導型』・『雪や氷に親しむ遊び型』 と続 , いて い る.. 全体的に学校タイ プ別による大きな違いはみられず ほとん どの学校 で同様な傾向がみられた , . 目標との関連では, 1) での結果通り 最も割合が高かったのが 『技術指 導型』 であり 2番目 , , が 『雪や氷に親しむ遊び型』 であった . また指導形態 では, 教師を中心と した 『一斉指導』 が圧倒的に 多く 子どもの自主性に任せた指 , 導はあまり行われていないことが分っ た . 『子どもの自主 的活動』 をここでは仮りに グルー プ学習としてとらえられて いるが この数値が , 低い理由は, 学習の場の特 殊性や グループ単位が運動の成立条件 であること しかも自然に影響を , 受けやすい屋外 での授業であることなどが考えられる . 指導法に関しては目標や 学習内容 そして各学校の立地条件に加えて子どもたちの発育,発達状 , 況などさま ざまな点か ら総合的に検討されなければな らないの で 一概にどの指導法が優 れている , とは答え られない性格の問題ではある が 目標設定の構図をふまえたうえで選択,決定することが , 重要 である, そのためには 冬期間におけ る学習内容の特性を認識した指導法の開発を行いなが , ら, 多種多様な実践や研究報告がなされることにより より充実 した授業展開を計画しなけ ればならな , いものと考えられる.. しかしここで注意しなけれ ばならないことは 従前の研究がそう であっ たように 技術を中心と , , した個々の競技領域に関しての独立した指導法や指導内容の研究に終始するのではなく あくま で , 基本的には授業全体を一つの単位 つまり総合的にシステム化されたもの として捉え 具体的な方 , , 法論等を構築していく ことの重要性 である 体育の効果があらわれるまでには かなりの時間を必 , , 要とし, 促成栽培のできない領域 であるため しばしば結果の定着を急ぎ過 ぎる傾向がみられる , . このため指導者は目に 見える結果を重視 し また目に見える物・事を指導の目安・基準と対応させ , て, 授業における指導を行い がちになる可能性がある このような場合 その目安としての『技術』 . , や『成果』を絶対目標とした授業展開 が起こり得る危 険性がある しかしな がら 佐藤らは( 8 }このよ . , うな状況に陥ち入らないためにも,授業のシステム化や教授-学習の プロ グラム化を提言している .. 6) 冬季体育の目標達成度について 目標達成度の基準をどこに 置くかについては 目標と学習 内容の展開や評価な どと密接な関係を , もつもの であり, 個々 の状況に応じた設定 が必要であることなどから非常に難しい問題の一つでは 117.

(7) . 三 浦. 格. 表4 学習内容別にみた指導の方法. (数字は学校数). AB AC 1 ← 3. AD. 計. l. 46. l. 0. 2. 2 1. l. 0. 0. 2. 7. 0. 2. 0. 0. 0. 3. 27. l. 4. 0. 3. l. 36. 9. l. l. l. 0. 2. 1 4. 48. 2. 7. l. 3. 2. A. B. C. 技 術指導 型. 33. l. 7. 親 劃 雷 やラ kに. ′型 ・遊 び しむ. 16. 0. 2. ゲーム・競争. 3. l. 記録会中心型. l. 一 斉 指 導 ・ ど も の 子 力 自 主目 勺活重 全. 校. 数. (重複回答 含). 表5 目標達成度 A. B. C. AB. (数字は学校数) AC. AD. 計. ほとん ど達成 し て い る. 12. l. 3. 0. 0. 0. 16. まあまあ達成 し て い る. 35. l. 4. l. 3. 2. 46. あまり達成し て い な い. l. 0. 0. 0. 0. 0. l. 48. 2. 7. l. 3. 2. 全. 校. 数. 表6 目標を達成する場合の障害. (数字は学校数). A. B. C. AB. AC. AD. 計. 天候に影響し 計画しずらい. 6. 0. 0. 0. 0. l. 7. 費用がかかる. 6. 0. 0. l. 2. 0. 9. 施設が不十分. 7. 0. 0. l. 0. l. 9. 雪や寒さ を 児童が嫌う 学習内容に 問題がある. l. 0. 0. 0. 0. 0. l. 0. 0. 0. 0. i. 0. l. 教師の力不足. 4. 0. l. 0. 0. 0. 5. そ. の. 他. 2. 0. 0. 0. 0. 0. 2. 全. 校. 数. 48. 2. 7. l. 3. 2. (重複回答. 含). あるが, 今回は授 業実施者である各学校の主観に任ねて回答して もらっ た. その目標の達成度状況 をまとめ たのが, 表5である, 全体では, どのタイ プの学校においても『まあまあ達成している』と答えた学校 が最も多く, 『あ まり達 成していない』 と答えた1校 を除けば, 全ての学校が程度の差はあれ達成していると回答し て い る.. しかしながら, 目標が完全に 達成されていない学校がある以 上, 一体どのようなことが, 目標達 成を妨 げているのであろうか. 目標は可能な限り達成・接近されることにより, 初めて授業におい て具体的な価値をもつ性格 であるため, このことは非常に 重要な問題 である. 7) 目標達成を妨 げている要因 結果6)より, 完全に目標を達 成していない学校が70%以上も占めている現状から, そこには何 らかの目標達成を妨げている要因が考えられる. これについての回答をまとめたのが表6である. この設問に対する回答の実数値は他の設問に対 して大幅に 少なか っ たものの, 次のような結果が得 ら れ た.. 表 6 より, 『天候に左右され計画しずらい』・『費用がかかる』・『施設が不充分』の3項目に回答し. た学校が大部分を占め, 次いで 『教師の力不足』・『学習内容に問題がある』・『雪や寒さを児童が嫌 う』 と回答したのは, それぞれ5, 1, 1校 であっ た. この結果から, 目標達成を妨げている要因は, 授業を成立させている3要素 (被学習者=学習内 容;学習者) 以外の自然条件・経済的負担・施 設・設備などに 関連するものが圧倒的に 多いことが 労 っ た. 118.

(8) . 寒冷地における体育科教育. このことは, 教科としての体育の特色であると捉えることができるし, また現状が実際に目的を 達成するためには充分な状態 ではないことも表わしている,. しかしながら, これらを全て即刻改善することは不可能であるとしても, 個々の状況において達 成でき得る目標を設定することは重要 である, つまり, 授業は現状において成り立っているもので. あり, この限られた現状の中で行われるのが実際の授業 であるからである. したがってこのような 要因を計画的に改善する一方, 実際の授業において達成可能な目標の設定を計り, 充実した学習の 展開を行わなければならない. 8) 現状のカリキュ ラムにおける課題. 以上のように, 寒冷地における体育の現状についてまとめてきた が, その結果からさま ざまな改 善点を指摘することができる, このため, 現状の体育授業について次の3つの目標・内容を加える. 必要性が生じてきているものと考えられる. まず第一が, 『現状を考慮し, 地域性を生かした寒冷地体育独特の積極的なカリキュ ラムの作成』. であろう. なぜならば, 結果7) において冬期間における自然環境の重要性を認識しながらも, 結果1) の 学校タイ プ別中心教材において『室内教材』が各学年とも約6 0%を占めていることは, 『技術』を授. 業における中心的な目標とする ばかりに, 基盤となる冬の生 活環境と体育授業とを切り 離した目 標,学習内容の設定・展開の結果 であると考えられることによる,. 毎年冬になれば雪が降り積る北海道に生活す る人々にとっ て, 冬は忍耐の季節 でもある しかし, . どうしても避けて通ることのできない季節であるならば, また一層充実した生活を送ろうとするな らば, 冬に対してより積極的な姿勢をもたなければならない. この意味において体育の授業こそ,. 前述のような重要性をもつものであると考えられる, このためには, 北海道という地域 の特色を生 かした体育授業のカリキュラムを設定しなければならないし, また結果7) でも触れたように, 現 状の体育授業の問題点を整理し, これに対応したカリキュラムへの改善をしなければならないと考 えられる.. 第二点は, 『生涯体育 への関連性をもつ体育授業でなければならない』という点を挙げることがで. き る.. つまり, 冬の北海道の環境自体が我々 にそして子どもたちにも実に様々 な影響を与えているとい う事実を事実として捉え, また小学校における体育授業を他と切り離して単なる6年間で終了 して しまう性格の授業として扱うの ではなく, 6年間という人生の中での重要かつ継続した発育・発達 の時期 であり, 前後の時代や生涯に密接な関連性をもっ た体育授業であるという認識が重要 である. と考えられる. この意味においても, 実際の目標と学習内容の位置づけが検討・設定さ れなければ ならない であろう. また, 第三には, 『統一性をもった合理的な授業を計画・検討・展開しなければならない』 という 点を挙げることができる,. 通年1 05時間の体育授業は365日にばらまかれた個々の点のよう でもあるし, 単元ごとの関連性 からすればそれは線で結ばれているとも考えられるが, 重要な点はこれらの授業が本質的に目標に 対して統一性をもっていなければならないということ である. しかもそれは合理的 でなければなら ない. しかし合理性に追われた結果, 当初設定した目標等を変更するのではなく, 実際に展開可能 なカリキュラム作成の後, さらに合理性を求めるという手順が必要 であると考えられる ,. 119.

(9) . 三. と. 4. ま. 浦. 格. め. 現在よりよい競技成績を獲得するため, 個々のスポーツ 競技の権威者たちが体育学や運動学にお ける最新の理論と研究 結果をもちよることにより選手をトレーニン グしているが, こ れはあくまで も競技スポーツにおける一方法であり, この種のス ポーツと学校 での体育授業とでは別 の性格をも つもの である. 言うまでもなく, 一方は純粋な競技ス ポーツ であり, 一方は教育の -領域である体 育であり, 当然前提となる目標 が異なっ ているのである, しかし, 最近ではこの教育の出発点とも 言える目標があいまいとなり授業が混乱 している, またこれらの結果を, ATL-PE研究の立場から択えれば, まず目標の 設定とこれに続く学習 内容自体の関連性に問題があることを示唆している. しかも同時に, 目標から導き出される計画上 の学習活動と実際に行われる実質 学習活動との間には, 相違が生じているこ とをも表わしている. 特にスキーやスケートに関する研究が少ない現状では, この種の 研究が今後益々 必要となるであろ う. ま た 特 に 体 育 の 授 業 は, マ ス コ ミ に よ っ て 報 道 さ れて い る よ う な オ リ ン ピ ッ ク や ワ ー ル ドカ ッ. プ頂点主義の底辺としてのイメージが強いが (体育授業・クラ ブ活動・ ス ポーツ少年団などとの混 あるということは前述の通りである. しか 同) , 実際の体育授業とこれらとは性格 を異にするもので しながら, 同時に 無雪地方中心主義的な体育授業と, 寒冷地における体育 授業それ自身とも特色が 異なっているということもまた事実である, したがって, 教科としての 独自性と寒冷地であるとい う特色を生かした体育授 業の確立が必須である. これからの体育授業は, 従来のように個々に切り 離した視点からでは なく, 全体を踏まえた上で, 教科としての体育授業を総合的な視点から確立さ せ, その 内包されている特色を生かした授業であることが要求されてくるであろう.. 5, お わ り に. 以上の結果より, 冬期間における学校体育授業の現状がかなり明らかになったが, これら全体に ついて 目標と学習 内容との関連からみると次のようにまとめるこ とができる, まず授業の出発 点ともいえる目標については, 目標の設定に関する内容レベ ルの検討が充分では なく混乱している 点を挙げることができる. その一つ が, 『技術』 である. 『技術』 は運動・ス ポー ツに附随するもの (表裏一体) であり, 授業のしくみから考えれば, 目標の設定後に選択・決定さ れる学習 内容に含まれる性格をもつものであるため, 学習内容が決定さ れる以前に 『技術』 に関す る目標 が単独に設定されることは本来ありえないこと である. 第二点として, これは授業全体と関わりをもつものであるが, 寒冷地における冬期間の体育授業 全般についての研究の必要性である. 従前脚光を浴びていた 「体力づくりの体育」 や 「楽しい体育」 も, 最近 では表面的な内容に対する批判 も多く, その 形骸化が指摘され始め てきている. このため には, まず体育授業を一つの授 業として認識したうえで, 他の領域との混同を避けるため, その独 自性を柱に し授業を展開する必要性がある, 今後システム化理論や, ALT-PE研究を中心とし 1 1 ( ) た E T U C A FI A S, M B I などの有用な手法を用いた研究が望まれる . ,. 120.

(10) . 寒冷地における体育科教育. 引用・参考文献 1. 赤塚幸雄 『上川管内におけるスキー指導の実態』「歩くスキーの理論と実践」 北海道教育大学旭川分校寒冷 7 4 ,地体育研究会 19 2. 天野誠一 「親と子のスキー」 成美堂出版 1983. t t loso h andPr ・ l land Wr 3. Char l l es c.Cowe e t nan L・France i ip l i ーEducat i nc es。fphys py ca on“ , phy ’PREN- TICE‐HALL N US A 1 J 9 6 3 r e w e s e y ,INC. , , ,. 4. 藤井英嘉 『第2章 体育科教育の目的・目標』「北海道体育科教育の研究」 北海道教育大学保健体育科教育 研究会編 学術図書出版社 1 98 3 5. 星野正彦 「旭川市における学校体育のスキー指導の実態」 1 98 0 未発表 6. 荒木豊 『第三章 ス ポーツ教育の理論と実践』 「スポーツ教育」 中村敏雄編著 大修館書店 1 9 81 7. 佐藤隆・山川岩之肋編 「学校スキーの計画と指導」 第一法規 197 6 8. 佐藤裕ほか編著 「体育の授業計画と教授-学習プログラム」 新体育社 19 85 9. 高村雄治 「子どものためのスキー教本」 スキージャーナル 1 98 3 10 83 . 玉井謙一 「冬季体育」 泰流社 19 ” ThomasJ ’ ’ Human Kinet 11 inandJani ingi i IEducat ce K.0l ion son n Phys i i ca .Templ csPubl sher . s , Teach , lnc i gn . ,Champa ,USA,1983. 121.

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