学生が運営する総合型地域スポーツクラブの事例報告(1) ― SPORTS北海道函館キャンパスについて ―
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第70巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 70, No.1. 令 和 元 年 8 月 August, 2019. 学生が運営する総合型地域スポーツクラブの事例報告⑴ ― SPORTS北海道函館キャンパスについて ―. 吉 村 功 北海道教育大学函館校スポーツ文化研究室. Case Report on Comprehensive Community Sports Club Operated by Students : ⑴ ― on SPORTS-Hokkaido Hakodate Campus of Hokkaido University ―. YOSHIMURA Ko Department of Sports-Culture, Hakodate Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 SPORTS北海道函館キャンパスは,地域の人々にスポーツの楽しさを伝え,地域の活性化に 寄与することを目的とした総合型地域スポーツクラブである。その主たる運営は,北海道教育 大学函館校に所属する学生スタッフが行なっている。 本クラブでは,小学生から高齢者までを対象としたいくつかのスポーツ教室があり,それぞ れの年代のニーズに合ったスポーツ活動を行なっている。本稿では,小学3,4年生を対象と したスポーツ教室における,計10回の実施内容を紹介する。さらには,著者からの学生スタッ フへのコメント,並びに学生スタッフ間の反省を挙げ,運動内容や実施上の留意点を明記した。. 1 はじめに. 村・橋本,2016,p.23)。そしてそのコンセプト として,大人が夢中になってスポーツを存分に楽. SPORTS北海道函館キャンパス(以後, 「SPORTS. しむこと,子どもたちがスポーツの楽しさを味わ. 北海道」と表記)は,2008年に発足した総合型地. うとともに,スポーツ活動を通して心身の基盤づ. 域スポーツクラブである。その目的は,地域の人々. くりを行うことに主眼をおいている。この活動に. を対象に,スポーツの喜びを伝え,スポーツ活動. よって,生き生きとした地域づくりに貢献すると. を通じて地域住民の健康増進と豊かな生活を送る. ともに,子どもたちのスポーツ能力を養い,将来. ことに寄与するとともに,北海道並びに函館圏に. におけるスポーツ選手としての可能性を育んでい. おけるスポーツ振興を図ることである(田中・吉. く こ と を 目 指 し て い る( 田 中・ 吉 村・ 橋 本,. 347.
(3) 吉 村 功. 2016,p.7) 。. ンスなどの様々な要素が効果的に組み合わさる. 2018年度には,定期教室として, 「スポーツあ. と,よりスムーズな動作が生まれる。この組み合. そびすと」 (小学1,2年生対象), 「Do遊パーク」. わせを効果的に調整する能力がコーディネーショ. (小学3,4年生対象),「冬期教室」(小学1〜. ン能力である。すなわち「目や耳でとらえた情報. 4年生対象) 「ジュニアサッカー教室Bambi」(小. や足の裏の感覚など外界からキョッチした刺激を. 学1〜4年生対象) , 「すぽると広場」 (高齢者対. 脳で分析・判断し,動作の目的に応じて,神経を. 象) , 「スポーツ遊ING」(子どもの保護者対象). 伝って筋肉を動かすという一連の運動プロセスを. があり,毎週,あるいは隔週で活動を行っている。. 瞬時に適切に行う能力」を言う(白石・川本・吉. またその他に,カヌー体験,トレッキング,雪遊. 田,2013,p.74)。そしてコーディネーション能. びなどの1日企画を年に5回実施している。. 力には,表1に示したように7つの要因が挙げら. これらの運営や活動のサポートを主として行. れている。. なっているのが,北海道教育大学函館校に所属す る「SPORTS北海道」の学生スタッフである。著. 表1 7つのコーディネーション能力. 者は,それぞれの活動(「ジュニアサッカー教室 Bambi」と「スポーツ遊ING」を除く)における 事前打ち合わせ,及び活動へのコメントを毎回 行っている。 本稿では,2018年度後期に実施された, 「Do遊 パーク」 (小学3,4年生対象)における実施内 容を示すことによって,子どもたちが楽しみなが らスポーツ能力を育んでいく事例を紹介する。ま た,著者からの主なコメントや学生スタッフの反 省を挙げ,実施上の留意点を明記することを目的 とする。 また同じような立場から注目されているものと. 2 「SPORTS北海道」における運動遊びの コンセプト. して,「バルシューレ(Ballschule)」がある。近 年の子どもたちは,路上や公園での運動遊びの文 化が衰退し,健康への害や体力・運動能力の低下. 前述のように, 「SPORTS北海道」では,子ど. はもとより,社会性へ情緒といった側面への悪影. もたちがスポーツの楽しさを味わうとともに,ス. 響などが指摘されている(木村,2010,p.10)。. ポーツ活動を通して心身の基盤づくりを行うこと. このような現状を打開するために,バルシューレ. に主眼をおき,スポーツ能力を養うことを目指し. では,子どもたちにひたすらプレイをする中で,. ている。それを実践するために,コーディネー. ボールゲームに共通する一般的な身のこなしや技. ション運動を中心的な柱としている。第二次性徴. 術を身につけてもらうことを基本的に考えている. 直前の12歳頃までの時期における子どもは,神経. (木村,2010,pp.14-18)。「SPORTS北海道」に. 系の発達が目覚ましい。このような時期に適切な. おいても,プレイを通して,子どもたちが様々な. 運動刺激を与えると,子どもは楽しみながら夢中. 身のこなしや技術を獲得することを想定している。. になって取り組み,気が付かないうちに基礎的な 体力や運動能力が養われる(東根,2007,pp.1011) 。運動やスポーツでは,筋力,柔軟性,バラ. 348.
(4) 学生が運営する総合型スポーツクラブの事例報告. 3 「Do遊パーク」について. <用具>ドッチビー <内容>2人1組で向かい合い,バックハンドス. 「Do遊パーク」は小学3,4年生を対象とし. ローとアンダーハンドスローをする。捕るときに. たスポーツ教室である。2018年度後期の活動は,. はドッチビーを両手で挟むようにする。. 10月から12月において週1回(木曜日16:30〜. ④「渡り鳥」. 17:40) ,計10回開催された。会員(年度始めと. <ねらい>相手の捕りやすいところにドッチビー. 後期の始めに会員を募集)の子どもは27名(3年. を投げ,パスを繋いで他チームと競い合う。. 生18名, 4年生9名)であり,10の小学校から通っ. <用具>ドッチビー,フープ,ステップリング. てくる児童である。1回の教室における学生ス. <内容>1チーム5人程度で床にジグザグに置か. タッフの参加は,平均で約13人であった。. れたステップリングの上に立つ。スタートから順. 学生スタッフのうち,「Do遊パーク」の責任者. にドッチビーでパスを繋ぎ,最後の人まで行くと. の学生リーダーが1名いる。毎回の教室の前日ま. 1点。最後の人は,数m先の学生が持っている. でに,責任者と著者とで運動メニューについての. フープ内にドッチビーを投げて入ればさらに1. 打ち合わせをする。運動メニューは,これまでの. 点。パスをしたら次のステップリングの位置に進. 「SPORTS北海道」の取り組み(田中・吉村・橋. んで行く。最後の人はスタート位置に戻り,ドッ. 本,2016,pp.105-120)や,運動遊びに関する他. チビーのパスをスタートさせる。制限時間内での. の書籍を参考に,さらには子どもたちの実態を踏. 得点を競い合う。. まえながら工夫・考案していく。そして当日の昼. ⑤「ハイタッチ鬼」. 休みに,学生スタッフはリハーサルをする。毎回. <ねらい>身をかわして巧みに逃げる。捕まった. の教室終了後,著者から学生スタッフにコメント. 仲間を見つけて助ける。. を述べ,その後,学生スタッフ間での反省会が行. <内容>鬼ごっこ。タッチされたら胸の前でハイ. われる。. タッチの準備をして待つ。助けるためには「ハイ タッチ」と言いながら捕まった人とハイタッチを. 4 実践内容. する。 【学生スタッフへの主な教示】. 第1回目:2018.10.4. ③について:子ども個々へのアドバイスができる. 【運動メニュー】. ように,できない要因(体の向き,腕の振り方な. ①w-up(準備運動). ど)を見つけて教えよう。. ②「仲間を探せ!」. ④について:最初の人から最後の人までドッチ. <ねらい>動物のモノマネをしながら仲間を見つ. ビーを落とさずに繋げた場合に加点をしてはどう. け,自己紹介をする。. か(パスの正確性が得点になる)。また,最後の. <内容>4〜5人で1グループとなり,1から順. 人がスタート位置に戻って再スタートをする際に. に通し番号が与えられる。学生リーダーは番号に. 時間がかかってしまう。よりスムーズに展開する. 対する動物名(1はゾウ,2はウサギなど)を示. ための検討が望まれる。. す。子どもたちは声を出さずにモノマネをし,他. 【学生間の主な反省点】. のグループの同じ動物同士が集まって自己紹介を. ②について:できるだけ動きが似ていない動物名. する。. を提示した方がよい。. ③「ドッチビーフィーリング」. ③について:バックハンドスローでは体を横向き. <ねらい>ドッチビーの投げ方を学び,相手の捕. にし,フォロースルーの手を相手に向けること,. りやすいところに投げる。また捕り方も学ぶ。. アンダーハンドスローでは手首の使い方につい. 349.
(5) 吉 村 功. て,手本を示しながら教える。. こかにパスできるコースを空けた上で,ディフェ. ④について:ノーミスでパスを繋げた場合に加点. ンスとしての動きをもう少し厳しくしよう(学生. すると, 達成感や喜びの感情が高まる。また,フー. の正面に来たボールでさえ,子どものパスを通そ. プに投げ入れた後,早くスタートに戻った方が得. うとして,わざと身をかわしている)。. 点アップにつながることを,作戦タイムで確認さ. ④について:コート内のプレーヤーの人数を検討. せる。. しよう。 【学生間の主な反省点】. 第2回目:2018.10.11. ③について:予想よりも良く蹴れてはいたが,鳥. 【運動メニュー】. かごを行う前に,ペアでのパス練習をした方がよ. ①w-up(サーキット). かった。円の中の学生は,もう少しボールを持っ. ステップリングでのケンケンパ,マットでの前. ている子どもの近くまでディフェンスに行った方. 転あるいは開脚前転,コーンを避けながらのバス. が良い。. ケットボールのドリブル移動,縄跳び,跳び箱(開. ④について:みんながボールに触れてより活発に. 脚跳び)を時間内に次々と行う。. 動けるよう,子どもの人数,コートの大きさやコー. ②「ジェンカ」. ト数を調整する。ゲーム前にチームで練習する時. <ねらい>リズムに乗って体を動かす。. 間があると良かった。. <内容>ジェンカの音楽に合わせてステップをす る。曲が止まったら近くの人とジャンケンをし,. 第3回目:2018.10.18. 負けた人は勝った人の後ろに付いて前の人の肩に. 【運動メニュー】. 手を乗せる。最後の1列になるまで続ける。. ①w-up(サーキット). ③「鳥かご」. 第2回目と同様の運動を行う。. <ねらい>敵をよく見て,味方にパスをする。. ②「カラフルチョイス」. <用具>サッカーボール. <ねらい>聴覚情報に対して素早く反応する。. <内容>子ども6人が円になり,その中に学生が. <用具>3色のビブス. 入る。学生にボールを取られないように,味方の. <内容>床に並べられた3色のビブスを挟んで2. 子どもにパスをする。. 人が向かい合う。学生リーダーが言うお題に合う. ④「サッカー」. 色のビブス(ex.「空」→青ビブス)を素早く取る。. <ねらい>チームで協力してサッカーを楽しむ。. ③「カタキ」. <用具>サッカーボール,コーン,コーンバー. <ねらい>声を出してアピールし,パスをもらう。. <内容>5人v.s. 5人(うち学生が1人ずつ)で. <用具>ドッジボール,ビブス. サッカーのゲームを行う。. <内容>5人v.s. 5人。味方同士でパスをつなぎ. ⑤「コンセント鬼」. (ボールを持って動けるのは3歩まで),逃げて. <ねらい>身をかわして巧みに逃げる。捕まった. いる相手チームの人にボールを当てる。当てられ. 仲間を見つけて助ける。. たらコートの外で待機する。自分にボールを当て. <内容>鬼ごっこ。タッチされたら両手を腰に当. た人がボールに当てられた場合,コート内に復帰. てて待つ。助けるためには「コンセント」と言い. できる。. ながら,捕まった人の肘と胴体の隙間に両手を差. ④「リレー」. し込む。. <ねらい>がんばって走り,勝利を目指す。. 【学生スタッフへの主な教示】. <用具>バトン,ビブス. ③について:円の中の学生は,子どもが味方のど. <内容>4チームでリレーをする。. 350.
(6) 学生が運営する総合型スポーツクラブの事例報告. 【学生スタッフへの主な教示】. <ねらい>身をかわして巧みに逃げながら相手の. 著者が参加できず,コメントはない。. しっぽを取る。. 【学生間の主な反省点】. <用具>スズランテープ. ②について:子どもが立つ位置をきちんと示し,. <内容>ズボンの後ろにしっぽ(スズランテープ). 手は頭の上に置いた状態で始めるのが良い。お題. を着け,敵チームのしっぽを取る。取られたら新. の色ではないビブスを取るという方法も,新しい. しいしっぽを着ける。しっぽを取った数をチーム. バージョンとして考えられる。. で競う。. ③について:ゲーム前にキャッチボールの練習を. 【学生スタッフへの主な教示】. した方が良かった。パスをねらいとしたが,あま. ③について:シャトルの下に素早く動いてキャッ. り見られなかった(パスがあまりされなかった原. チすることが大切であるということを,見本の動. 因について検討するよう,後日著者から促した)。. 作と言葉でさらに強調しよう。 ④について:打ち合いの時間を連続的に多く取っ. 第4回目:2018.10.25. たので,子どもの上達が顕著であった(プレーを. 【運動メニュー】. しながらどんどん技術を体得していた)。. ①w-up(サーキット). 【学生間の主な反省点】. 第2回目と同様の運動運動を行う。. ②について:お題の提示の仕方を工夫すると,さ. ②「たけのこニョッキッキ」. らに盛り上がるであろう (ex.「○○が好きな人」 ) 。. <ねらい>リズムに合わせて表現する。. ③について:説明時に,視覚と聴覚でしっかりと. <内容>しゃがんでいる子どもたちに対して,学. ポイントを提示するよう心がける。. 生リーダーは‘笛でリズム’を鳴らした後に「お. ④について:子ども同士で打ち合いを始めるタイ. 題」 を告げる。子どもたちは笛と同じリズムを‘手. ミングが少し早かった。学生との打ち合いでもう. 拍子’ を打つ。お題に合った子どもは「ニョッキッ. 少しポイントを体得してから移行しても良かった。. キ」と言いながら立ち上がり,両手を伸ばして頭 の上方で重ねる(ex.‘ピーピピ’ 「男の子」→‘パ. 第5回目:2018.11.1. ンパパ’<男児が立ち上がって>「ニョッキッ. 【運動メニュー】. キ」 ) 。. ①w-up(サーキット). ③「バドミントンフィーリング」. 第2回目と同様の運動を行う。マットの前転で. <ねらい>ラケットの持ち方や振り方を学ぶ。. は,大きな前転にチャレンジするために,柔らか. <用具>バドミントンラケット,シャトル. い障害物を置き,それを越えて前転を行うコース. <内容>❶羽根キャッチ:学生が出したシャトル. を設けた。跳び箱では,着地のポーズをとるよう. の位置に動き,利き手でキャッチする。❷ラケッ. にした。. トの持ち方や振り方の説明後,素振りをする。❸. ②「リズムジャンプ」. ネットを挟み, 学生が出したシャトルを打ち返す。. <ねらい>リズムに合わせて表現運動をする。. ④「バドミントンラリー」. <内容>音楽(ややスローテンポの「さんぽ−と. <ねらい>シャトルを打ち合って,相手コートに. なりのトトロ」に合わせ,体育館の床のライン上. 返す。. を中心線として4種類のジャンプ(❶〜❹)をす. <用具>バドミントンラケット,シャトル. る。❶両足で右側→左側→右側→左側にジャンプ,. <内容>学生対子どもで打ち合い,その後,子ど. ❷❶のジャンプ時に手拍子をつける,❸両足で右. も同士で打ち合う。. 側へジャンプ→左側へジャンプ→右側へしゃがむ. ⑤「しっぽとり」. →左側へジャンプ→右側へジャンプ→左側へしゃ. 351.
(7) 吉 村 功. がむ,❹開脚→クロス開脚→開脚→クロス開脚. 【学生間の主な反省点】. ③「ヒッティングボール」. ③について:学生の見本だけではなく,バットの. <ねらい>バットでのボール打ちにチャレンジす. 持ち方などの説明もすべきであった。苦手な子ど. る。. もには,その子のスイングの軌道を考慮したトス. <用具>プラスチック製バット,スポンジボール. もできると良かった。. <内容>学生がトスしたボールをティーバッティ. ⑤について:くじを引く順番も設けようとしたた. ングする。. めに,時間がかかったのではないか。もっと単純. ④「王様ディスクドッジ」. にゲームを進めても良かった。. <ねらい>ドッチビーを使って楽しくドッジボー ルをする。. 第6回目:2018.11.15. <用具>ドッチビー. 【運動メニュー】. <内容>相手チームにわからないように,最初に. ①w-up(自分チャレンジ). チーム内で王様を決める。ドッチビーを使って. 「自分チャレンジ」というテーマのもと,マッ. ドッジボールを行う。味方の王様が当てられた時. ト運動,縄跳びについての技を行い,クリアする. 点で相手チームの勝ち。. と「自分チャレンジカード(図1)」にシールが. ⑤「ドキドキバイキング」. 貼られる。マット運動は,前転,開脚前転,後転,. <ねらい>作戦を考えてゲームを楽しむ。. 開脚後転,側方倒立回転,壁倒立など計12の技で. <用具>6種類のボール数個ずつ,フープ十数個. ある。縄跳びは,前跳び,後ろ跳び,交差跳びな. <内容>チーム戦。十数箇所のフープ内に様々な. ど計5つの技,及び,それぞれ3段階の回数が設. ボールを置く。チームの1番手から順にボールを. けられている。長縄は,回転している長縄をくぐ. 1つずつ取って来る(制限時間まで,再び1番手. る運動である。. から順に行う) 。制限時間後,ボール獲得数の多 いチームから順に,各種ボールへの配点を決める くじを引く。配点と獲得ボール数によって合計点 を競う。 【学生スタッフへの主な教示】 ①について:子どものレベルに沿って,前転での 障害を置く位置が異なるコースを設けよう。 ②について:最後の着地点を設定すると,それま での一つひとつのジャンプの距離を子ども自身が 工夫していくかもしれない。 ③について:子どもの肩より下の高さにトスをし よう(高い位置でボールを打とうとするために上 手くできない) 。 ④について:ゲームの状況を踏まえて,コートの 大きさを適切に調整していた。 ⑤について:くじ引きから得点計算までの時間が かかり過ぎる。時間効率を上げよう。 図1 自分チャレンジカード. 352.
(8) 学生が運営する総合型スポーツクラブの事例報告. ②「カラフルチョイス」. いのか考えよう(波打たない回し方,リズムの取. <ねらい>集中して素早く反応する。. り方など)。. <用具>3色のビブス,マーカーパッド. ④について:自分がタグを取られないことが優先. <内容>第3回目と同様の内容。ただし,そこで. し,進むのに躊躇してしまう。どうすればチーム. の反省を踏まえ,子どもの立つ位置にマーカー. として勝てるのか,次回は子どもたちに考えさせ. パッドを置き,お題が言われるまでは手を頭の上. よう。. に置く。 「言われた色や言われた物の色を取る」. 【学生間の主な反省点】. 「言われなかった色を取る」などと,お題を工夫. ③について:長縄は膝を使って大きく回す。子ど. した。. もの体力を考え,跳躍時間が長すぎないようにす. ③「長縄跳び」. る。. <ねらい>チームで長縄跳びにチャレンジする。. ④について:タグを取られたくないためになかな. <用具>長縄. か前に進まない子どもがいる。フェイントやおと. <内容>1チーム5〜6人が1列となり,時間内. りを使いながら,どんどん前に進むことを伝えた. に長縄を跳んだ回数を競う。. い。. ④「ダイヤモンドアドベンチャー」. ⑤について:ウサギ跳びは,移動距離を短くした. <ねらい>タグを取られないように身をかわしな. 方が良い。. がら走り抜けて行く。 <用具>タグ,ボール. 第7回目:2018.11.22. <内容>攻撃チームは1人2本のタグをつけ,ダ. 【運動メニュー】. イヤモンド(ボール)をゴール地点へと運ぶ。運. ①w-up(自分チャレンジ). び終えたならばコートの外を通り,スタート位置. 第6回目と同様の内容である。. から再び行う。コートには2箇所の守備側ゾーン. ②「たけのこニョッキッキ」. があり,守備側はタグを取ろうとする。攻撃側は. <ねらい>リズムに合わせて表現をする。. ゴールまでに2本のタグを取られたならばスター. <内容>第4回目と同じ内容である。お題とし. ト位置に戻り,タグをつけて再スタートする。. て,自分が好きだと思うもの(ex.イヌ,カレー. ⑤「サバイバルラン」. ライス,サッカーなど)を加えた。. <ねらい>ボールから上手に身をかわして走る。. ③「タグラグビーフィーリング」. <用具>バランスボール. <ねらい>ラグビーボールに慣れる。. <内容>子どもはスタートラインからゴールまで. <用具>ラグビーボール. 走る。その間,サイドから学生スタッフがバラン. <内容>❶大学生とキャッチボールをする。❷. スボールを転がす。ボールに当たらないように身. 5〜6人の子どもで外向きの円になり,右回りや. をかわし,ゴールへと走りながら進む(ウサギ跳. 左回りで隣の人にパスをする。. びで進むバージョンも加えた)。. ④「ダイヤモンドアドベンチャー」. 【学生スタッフへの主な教示】. <ねらい>タグラグビーの攻撃の動きを学ぶ。. ①について:上手な縄跳びのモデルを子どもに見. <用具>ラグビーボール,タグ. せ,縄を回す腕の使い方を教えよう。マット運動. <内容>子ども3人が攻撃側であり,コートの端. では,回転力はどのようにすれば上がるのかを検. から端までボールを持って進む。ただし,コート. 討しよう。. 中には守備側の学生が2人いる。守備側からタグ. ③について:長縄をうまく跳ぶには,縄を回す側. を取られたら,後方の味方にパスを出し(前方へ. (学生)の要因も大きい。どのように回したら良. のパスはできない),再び前方へと進んで行く。. 353.
(9) 吉 村 功. ⑤「タグ取り鬼」. <ねらい>前回よりも正確にボールをパスし,. <ねらい>鬼ごっこ形式でタグをたくさん取る。. キャッチできるようになる。. <用具>タグ,ベルト. <用具>ラグビーボール,マーカーパッド. <内容>一人2本のタグをつけての鬼ごっこ。タ. <内容>❶2人でのパス&ラン:2人が横の間隔. グを取ったら自分のベルトにつける。自分のタグ. をとり,互いに前方に進みながらパス&ランをす. がなくなったらコート外に出る。. る。それぞれの直線上にマーカーパッドが交互に. 【学生スタッフへの主な教示】. 置いてある。ボールを持った人は前方のマーカー. ③について:❶ラグビーボールの形状を考えて,. パッドまで走りそこで止まる。左側(右側)から. 相手が取りやすいパスをするにはどうすれば良い. 走って来るパートナーに後方位置でパスをする。. かを検討しよう。❷パスを出したり受けたりする. パスを受けた人は,前方のマーカーパッドまで. 時に,上体がボールの方に向けられていない。そ. 走って止まり,右側(左側)から走って来るパー. のため,腕だけでボールを扱ってしまい,パスミ. トナーに後方位置でパスをする(以降繰り返し)。. スやキャッチミスが起こる。. ❷3人でのパス&ラン:3人(左りからABC). ④について:ボールを持っている人が,タグを取. が横の間隔を取り,前方に進む。中央線上には赤. られたくないという思いが優先し,ディフェンス. 色と黄色のマーカーパッドが交互に置いてある。. が近づくとどんどん後方に動いてしまう。タグを. 最初に真ん中にいるBは,ボールを持って第1の. 取られても攻撃権を失うわけではないことをしっ. 赤色マーカーパッドまで進む。そこで左から来た. かり理解させ,前に進むことを強調するようにし. Aに後方へのパスをし,左前方に走る。Aは中央. よう。. 線上を進み,第2の黄色マーカーパッドまで進む。. 【学生間の主な反省点】. そこで右から来たCに後方へのパスをし,右前方. ③について:取りやすい(思いやりのある)パス. に走る。Cは中央線上を進み,第3の赤色マー. をするために,1)投げる相手の方に臍を向け,. カーパッドの位置で,左から来るAにパスをして. 2)ボールをまっすぐ押し出すように(ボールの. 左前方に走る(以降繰り返し)。右側と左側のど. 先端が相手に見えるように) ,3)相手のお腹の. ちらにパスをするかは,マーカーパッドの色と学. あたりにパスをする。. 生からの声による指示で伝える。. ④について:タグを取られても攻撃側の不利益が. ④「長縄跳び」. ないことや,前に進むことの大切さについて,学. <ねらい>8の字跳びにチャレンジする。. 生がもっと見本を示しながら説明する。. <用具>長縄 <内容>縄に対して斜めから入り,縄の周囲を8. 第8回目:2018.11.29. の字に跳び進んで行く。1チーム5〜6人で,時. 【運動メニュー】. 間内にクリアした回数を競う。. ①w-up(自分チャレンジ). ⑤「ドキドキバイキング」. 第6回目と同様の内容である。. <ねらい>作戦を考えてゲームを楽しむ。. ②「じゃんけん鬼ごっこ」. <用具>6種類のボール数個ずつ,フープ十数個. <ねらい>視覚情報に対して素早く反応する。. <内容>第5回目と同様である。ただし,時間の. <内容>2人で向かい合って並ぶ。じゃんけんを. ロスを防ぐため,各種ボールへの得点のくじ引き. して,勝った方が後方に逃げる(負けた方は追い. は,チームリーダーの学生が行う。. かける) 。また,勝った方と負けた方の条件を変. 【学生スタッフへの主な教示】. えて行う。. ③について:❶パスが難しいので,2人の間隔は. ③「タグラグビー・パスフィーリング」. もう少し狭い方が良い。❷3人がそれぞれどのよ. 354.
(10) 学生が運営する総合型スポーツクラブの事例報告. うに動いて行くのかを理解するのが難しい。特. <ねらい>ルールを覚えながら,ゲームを楽しむ。. に, ボールをパスした後の進む方向に戸惑ったり,. <用具>ラグビーボール,タグ. ボールを持たずパスも受けない時にどのように動. <内容>主なルール:1)トライゾーンの中で. けばよいのかわからなくなっている。. ボールを床につけると得点(とび込んでのトライ. ⑤について:前回の反省を踏まえ,時間のロスが. は禁止)。2)スローフォワードは反則となり,. 解消されていた。得点の計算をチーム内の子ども. その位置から相手チームのパスで再スタート。3). 同士で行わせていたところも良かった。ただし,. 相手のタグを取る時は「タグ」と言い,取ったタ. くじ引きによる得点の中に,マイナス得点は無い. グは相手に返す。4)押したり叩いたりする等の. 方が良い。. 身体接触はしない。. 【学生間の主な反省点】. 【学生スタッフへの主な教示】. ③について:正確にパスをし,キャッチをするこ. ④について:ボールを持っている人はタグを取ら. とをねらいとするのであれば,まずはその場で(移. れたくないという意識が強く,後方へと下がって. 動をせずに)パス&キャッチの練習時間を取った. しまう。そのため,味方が前方に取り残されてし. 方が良かった。子どもたちは,動き方を理解する. まい,パスもできない。タグを取られても攻撃権. ことで精一杯であった。目標に対して,やること. を失うことはなく,パスをすれば良いということ. が多すぎた。. を理解させることが大切である。また,味方が取. ④について:縄の方に斜めに入って行く位置がよ. りやすいパスを出すこと,取ったタグを相手に返. くわからず,上手に跳べない子どもがいた。次回. す時は丁寧に渡すこと,を子どもたちに伝えよう。. は,スタート位置に目印を付けてみる。. 【学生間の主な反省点】 ③について:先週行った内容なので,だいぶス. 第9回目:2018.12.6. ムーズに動けるようになってきた。また,パスを. 【運動メニュー】. もらう時に合図をする子どもが増えてきて,パス. ①w-up(自分チャレンジ). もうまくできるようになってきた。. 第6回目と同様の内容である。. ④について:「前に進み,タグを取られたらパス」. ②「言うこと一緒・やること逆」. を子どもによく説明する。取ったタグは手渡しで. <ねらい>言葉を素早く判断して動作に変える。. 相手に返すようにする。タグを取った時は大きな. <内容>学生リーダーが言ったことと同じことを. 声で「タグ」と言って審判にアピールする。. 言いながら,逆の動作をする。例えば,学生が 「右」と言ったならば,子どもは「右」と言いな. 第10回目:2018.12.13. がら左側にジャンプする。学生が「前」と言った. 【運動メニュー】. ならば, 「前」 と言いながら後ろにジャンプをする。. ①w-up(自分チャレンジ). ③「タグラグビー・パスフィーリング」. 第6回目と同様の内容である。. <ねらい>動きの中で,相手の取りやすいところ. ②長縄跳び」. にパスを出せるようになる。. <ねらい>8の字跳びを上達させ,チームとして. <用具>ラグビーボール,マーカーパッド. の回数を上げる。. <内容>まずは相手の胸に向けて,優しいパス練. <用具>長縄,マーカーパッド. 習をする(移動しない)。次に前回と同様,3人. <内容>マーカーパッドが置いてあるスタート位. でのパス&ランを行う。パスをもらう時は, 「ハイ」. 置から斜め方向に進入し,8の字を描くように跳. と言って手を上げて合図をするように促す。. び進んでいく。1チーム5〜6人で,制限時間内. ④「タグラグビー・ゲーム」. にクリアした回数を競う。縄に引っかかった場. 355.
(11) 吉 村 功. 合,素早く脱出するように促す。 ③「タグラグビー・ゲーム」. 5 おわりに. <ねらい>ルールを再確認し,ゲームを楽しむ。. 「SPORTS北海道」では,子どもたちが楽しみ. <用具>ラグビーボール,タグ. ながら,コーディネーション能力を柱としたス. <内容>主なルールは前回と同様である。前回の. ポーツ能力を育んでいくために,毎回のスポーツ. 反省点を子どもたちにしっかりと伝えた上でゲー. 教室において様々な運動遊びを行なってきた。例. ムを行う。. えば,「鬼ごっこ」「サバイバルラン」「タグラグ. ④「障害物リレー」. ビー」などでは,走ることを基盤としながら,上. <ねらい>全力で臨み,リレーを楽しむ。. 手に身をかわすこと(変換能力)を養っている。. <用具>とびなわ,ソフトバスケットボール,コー. ボール,ドッチビー,バドミントンなどの道具を. ン,マーカーパッド. 使った運動では,相手や飛んで来るボール等との. <内容>❶〜❹を順に行う障害物リレーである。. 距離感覚(定位能力)を掴み,道具を巧みに操作. ❶くじを引き,そこに示してある方法(前跳び5. する(識別能力)といったスキルを習得している。. 回,後ろ跳び3回,あや跳び2回)の縄跳びをす. 反応ゲームでは,素早く正確な対応(反応能力). る。❷コースにいくつか置かれたコーンを避けな. が求められる。リズムやジャンプ系の運動では,. がらドリブルをして進む。❸縦に5枚置かれてい. バランスを保ちながらテンポよく動くこと(バラ. るマーカーパッドを全て裏返す。❹くじを引き,. ンス能力,リズム能力)を育んでいる。. お題に合う人(大学生,小学3年生など)を見つ. 子どもたちは,仲間の子どもたちや学生スタッ. けて一緒に走る。. フと共に,運動(プレイ)を夢中になって楽しみ. 【学生スタッフへの主な教示】. ながら遂行し,運動スキル上達させている。10回. ③について:ボールを持っている人が後ろに下. の教室終了後に行った子どもたちへのアンケート. がってしまうことがあるが,前回より前に進もう. 調査では,「楽しかった」という回答がほぼ100%. とする意識が強くなった。パスを出すことも増え. であり,「うまくできなかった○○の運動ができ. た。しかし,パッサーとレシーバーとの距離が遠. るようになった」という回答が多くあった。学生. いため,正確で優しいパスが出せず,キャッチが. スタッフは,毎回,準備と反省をもとに運動メ. 非常に難しい。. ニューや指導についての工夫を行なっており,子. 【学生間の主な反省点】. どもたちの成長はこれらの成果であろう。. ②について:これまで跳なかった子どもが跳べる. 著者は,当スポーツ教室における子どもたちや. ようになり,とても嬉しかった。縄への進入が楽. 学生スタッフの様子から,そして様々な文献を参. になり,タイミングも掴めたようである。. 考にしながら(阿部,2015;佐藤・青野,2015;. ③について:状況に合わせてパスを出せる子ども. 白石・川本・吉田,2013等),より安全に楽しく,. が増えてきた。しかしパスミスが多くある。攻撃. さらなる技能の向上に向けたコメントを発してき. 側は,ボールを持っている味方に近づき,パスを. た。「SPORTS北海道」は,2019年度以降も継続. もらいやすくすることが次回の課題である。. される。今後さらに発展していくために,学生へ. ④について:❹のお題が子どもの場合(例えば「小. のより良い支援について検討を加えていく必要が. 学3年生」 ) , 何人もの子どもたちが集まって来て,. ある。. ごちゃごちゃになる。子どものお題は無い方が良 い。. 引用・参考文献 阿部利彦監修(2015)清水 由・川上康則・小島哲夫編. 356.
(12) 学生が運営する総合型スポーツクラブの事例報告. 著 気になる子の体育 つまずき解決BOOK 授業で 生かせる実例52,学研教育みらい. 東根明人(2007)子どものつまずきがみるみる解決する コーディネーション運動(ボール運動編),明治図書. 木村真知子編著(2010)子どものボールゲーム バル シューレ,創文企画. 諸澄敏之(2001)手軽で楽しい体験教育 よく効くふれ あいゲーム119,杏林書院. 佐藤善人・青野 博編著(2015)公益財団法人日本体育 協会監修 ACPアクティブ・チャイルド・プログラム 子どもの心と体を育む楽しいあそび,ベースボール・ マガジン社. 白石 豊・川本和久・吉田貴史(2013)新版 どの子も のびる運動神経―小学生編,かもがわ出版. 高橋健夫・松本格之祐・尾縣 貢・髙木英樹編(2010) すべての子どもが必ずできる体育の基本,学研教育み らい. 田中和久・吉村 功・橋本忠和(2016)SPORTS北海道 という活動―SPORTS北海道方式による総合型地域ス ポーツクラブの運営方法と教材提供―,SPORTS北海 道函館キャンパス.. . (函館校教授). 357.
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